JPH0912338A - 断熱ガラス - Google Patents

断熱ガラス

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JPH0912338A
JPH0912338A JP7161954A JP16195495A JPH0912338A JP H0912338 A JPH0912338 A JP H0912338A JP 7161954 A JP7161954 A JP 7161954A JP 16195495 A JP16195495 A JP 16195495A JP H0912338 A JPH0912338 A JP H0912338A
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oxide film
composite oxide
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tungsten
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JP7161954A
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Itaru Shibata
格 柴田
Riichi Nishide
利一 西出
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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    • C03C17/22Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with other inorganic material
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に十分な可視光線透過率、良好な断熱性能
及び耐久性を有し、更に良好な電波透過性を有するガラ
スとして自動車用や建築用窓ガラスとして好適に使用す
ることができる断熱ガラスを提供すること。 【構成】 ガラス基板上に、タングステンと周期律表の
IVA族、IIIA族、VIIB族、VIB族及びVB
族から成る群から選ばれた少なくとも1種の元素とから
なる複合酸化物膜を形成したことを特徴とする断熱ガラ
ス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用や建築用窓ガ
ラスとして好適な断熱機能及び電波透過性を有する断熱
ガラスに関し、特に十分な可視光線透過率、良好な断熱
性能及び耐久性を有し、更に良好な電波透過性を有する
ガラスとして自動車用や建築用窓ガラスとして好適に使
用することができる断熱ガラスに関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、省エネルギーの観点から窓ガラスを通じて室内に照
射される太陽光の特定波長部分を遮断し室内の温度上昇
を減少させると共に、冷房機器の負荷をも低減させ、更
に人体への日射感を緩和させるため、断熱性の高い窓ガ
ラスが要求されている。
【0003】熱線を遮断する方法として、従来から屈折
率の異なる誘電体膜を多層に積層させることによる光干
渉効果を利用して特定の波長部分を遮断する方法が知ら
れている。しかしながら、この方法では誘電体膜を10
層あるいは20層積層させることで、理想的な波長選択
性を付与させることができるので、多くの層数が必要と
なる光学部品や素子としては使用することができるが、
窓ガラスとしては工業的に使用することができない。
【0004】また、他の熱線を遮断する方法としていわ
ゆるドルーデミラーと呼ばれるITO膜やAlドープZ
nO膜に代表される透明導電性膜を使用して熱線を遮断
する方法が知られている。しかしながら、これらの膜は
太陽光のうち、1.5μm以上の光を遮断するが、それ
以下の波長光は透過するため、断熱性能としては十分で
はない。
【0005】更に、特公昭47−6315号公報に開示
されているような銀膜に代表される金属膜を誘電体で挟
み光干渉効果を利用した断熱ガラスが知られている。し
かしながら、この種の断熱ガラスは酸化しやすい銀膜を
使用しているために、ガラス単体に成膜した状態では使
用し難く、通常合わせガラスの内側に断熱膜を形成させ
て使用せざるを得ない。また、この銀膜の代わりに金属
窒化物を使用した断熱ガラスも提案されている(特開昭
63−206333号公報)。
【0006】また、近年、自動車や建築物ではAMやF
Mなどのラジオ波、VHFやUHFなどのテレビ波、携
帯電話及び人口衛生を利用したGPSシステムなどの電
波利用が進められている。また、この種の電波を送受信
するために、自動車では専用のアンテナを窓ガラスに形
成させる方法が一般的になっている。また、建築用ガラ
スとしても高層ビルなどで窓ガラスが周囲の電波強度に
影響すると言われている。
【0007】一方、断熱膜として前述した導電性のある
膜を使用すると、特開平3−122032号公報に開示
されているようにアンテナ線上に導電性膜を形成すると
アンテナ線間に電流が流れアンテナ性能が劣化するとい
う欠点があった。また、断熱膜の導電性がよいとアンテ
ナ性能が劣化するという欠点以外に携帯電話などの電波
透過性にも問題が生じてくる。これらの観点から、ドル
ーデミラータイプや銀膜などの断熱膜は好ましくない。
【0008】従って本発明の目的は、電波関係の欠点を
解決し、かつ優れた断熱性能と及び耐久性を有する断熱
ガラスを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
ガラス基板上に、タングステンと周期律表のIVA族、
IIIA族、VIIB族、VIB族及びVB族から成る
群から選ばれた少なくとも1種の元素とからなる複合酸
化物膜を形成したことを特徴とする断熱膜により達成さ
れた。以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0010】ガラス基板は色度図上でY値が1.00〜
1.40の範囲、x値が0.24〜0.32の範囲、y
値が0.30〜0.41の範囲の色合いを有することが
好ましい。
【0011】酸化タングステン膜は5価のタングステン
による赤外線域に強い吸収を有することが知られている
が、WO3 で記載されるような6価の状態では吸収はな
い。吸収を持つ酸化タングステンは酸素/タングステン
比で2.50〜2.98の範囲であることが好ましい。
この範囲を超える比率では赤外線吸収を期待することは
できない。
【0012】また、酸化タングステン膜はその製造方法
にもよるが、一般に耐久性が十分でないことが知られて
いる。更に、導電性は膜厚にもよるが、数百Ω/□〜数
十KΩ/□の範囲であり、上記アンテナや電波透過性の
問題点を考慮すると十分な高抵抗な膜ではない。
【0013】本発明における複合酸化物膜は酸化タング
ステンが有する1μmの強い光吸収を本質的に持つ。ま
た、周期律表のIVA族、IIIA族、VIIB族、V
IB族及びVB族から成る群から選ばれた少なくとも1
種の元素は、酸化タングステン単独では十分に得られな
かった耐久性と酸化タングステン単独では制御し難かっ
た導電性を改良するために使用され、酸化物として複合
酸化物膜中で存在する。
【0014】周期律表のIVA族、IIIA族、VII
B族、VIB族及びVB族から成る群から選ばれた少な
くとも1種の元素は、複合酸化物膜中で安定な酸化物と
して酸化タングステンと共存し、酸化タングステン単独
の耐久性の悪さを改善すると共に、酸化タングステン膜
を数百KΩ/□〜数百MΩ/□まで高抵抗化する機能を
有する。
【0015】IVA族としてはSi、IIIA族として
はAl、VIIB族としてはMn、VIB族としてはC
r、VB族としてはV又はNbを好ましく使用すること
ができる。これらの元素は複合酸化物膜用の合金ターゲ
ットを作製し易いことによるもので、必ずしも上記元素
に限定されるものではない。
【0016】本発明における複合酸化物膜は以下のスパ
ッタ法により成膜することができる。スパッタターゲッ
トとしてタングステンと周期律表のIVA族、IIIA
族、VIIB族、VIB族及びVB族から成る群から選
ばれた少なくとも1種の元素を所定の濃度含む合金ター
ゲットを使用し、スパッタガスとして所定のガス比に調
整されたアルゴン(Ar)及び酸素(O2 )の混合ガス
を用い、いわゆる反応性スパッタ法にて、ガラス基板上
に複合酸化物膜を形成することができる。
【0017】また、本発明においては上記のタングステ
ン系複合酸化物膜の保護及び光干渉効果により断熱性能
を向上させるためにタングステン系複合酸化物膜の片側
又は両側にスパッタ法により透明誘電体膜を形成するこ
とが好ましい。即ち、タングステン複合酸化物膜上に第
2層として透明誘電体膜を設けるか、又はガラス基板上
に第1層として透明誘電体膜を設け、第1層上に第2層
として複合酸化物膜を設け、第2層上に第3層として透
明誘電体膜を設けることが好ましい。
【0018】この透明誘電体膜は珪素、チタン、クロム
及びジルコニウムの酸化物から成る群から選ばれた少な
くとも1種からなる複合酸化物膜及び/又はシリコーン
とアルミニウムとからなる複合酸化物膜であることが好
ましく、特に内部応力が少なく、かつ低屈折率の保護膜
材料としてタングステン複合酸化物膜と好適に組み合わ
せることができるシリコーンとアルミニウムとからなる
複合酸化物膜が好ましい。
【0019】この複合酸化物膜はアルミニウムを10〜
80原子%の範囲で含有し、かつその膜厚は10〜20
0nmの範囲であることが好ましい。
【0020】過酷な使用条件下では、更に耐久性を向上
させる必要があった。本発明においてはこのような要求
に対して容易に厚膜化が可能であるシリコーンハードコ
ート膜を保護膜として使用することが好ましい。シリコ
ーンハードコート膜はシラノールどうしの単純な脱水縮
合反応により硬化するもので、硬化した膜はシロキサン
結合を骨格とした高分子物質である。成膜はディップコ
ート、フローコート、スプレーコート等のいわゆる湿式
成膜で厚膜を容易に成膜することができる。
【0021】しかしながら、このシリコーンハードコー
ト膜を直接に上記のタングステン系複合酸化物膜上に成
膜した場合には、断熱性能などの光学性能は問題はなか
ったが、過酷な使用条件下では、シリコーンハードコー
ト層とタングステン系複合酸化物膜とが剥離する現象が
あった。この問題を解決するため、すなわち密着性を改
善させるため両者の中間に上記透明誘電体層を設けるこ
とを見いだし、耐久性を向上させることができた。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0023】実施例1 タングステン系複合酸化物膜としてIVA族のSiを選
択した例について説明する。ガラス基板として色度図上
でY値が1.27、x値が0.29、y値が0.32の
ガラス基板を使用した。ガラス基板をイソプロピルアル
コールを用いて脱脂洗浄し、純粋洗浄した後、窒素ブロ
ー乾燥した。次に、このガラス基板をスパッタ装置内に
搬送し、5×10-6Torrまで排気した。スパッタ装
置内にはスパッタターゲットとしてW−10原子%Si
合金ターゲットが設置されている。
【0024】成膜の手順は、まずターゲット表面をクリ
ーニングするため、スパッタガスとしてアルゴンガスを
真空層内に導入し、真空層内の圧力が5×10-3Tor
rになるようにアルゴンガス流量及び排気速度を調整し
た。次いで、スパッタパワー500Wで3分間、ターゲ
ット表面をクリーニングした。スパッタガスに酸素ガス
を導入した。このとき、アルゴンガスと酸素ガスの流量
比を30:4になるように調整し、かつ圧力を5×10
-3Torrになるように調整した。真空槽内のガス濃度
が均一になるのに必要な時間が経過した後、スパッタパ
ワー500Wで成膜を開始し、膜厚90nmの複合酸化
物膜を得た。
【0025】このようにして成膜された複合酸化物膜の
膜抵抗は約40MΩ/□であり、電波透過性及びアンテ
ナ送受信性能に問題はなかった。また、図1にシリコン
を添加した場合の酸化タングステン膜の光透過率−波長
の分光スペクトルを示す。分光性能は図1に示すように
可視光線域で透過率が70%であり、更に赤外線域での
透過率は波長1μmで約22%と優れた熱線遮断特性を
有していた。このことは可視光線域(波長0.38〜
0.78μm)で高い透過率であり、赤外線域(波長
0.78〜2μm)で低い透過率になっていることを示
している。即ち、この可視域での高い透過率は良好な視
認性を示しており、赤外線域での低い透過率は赤外線
(即ち、熱線)を良好に遮断することを示している。
【0026】また、耐久性に関しても、150℃、10
時間で分光性能に変化はなく、優れた耐久性を有してい
た。一方、機器分析でこの複合酸化物膜を分析したとこ
ろ、SiはSi酸化物として存在し、Wも酸化物であっ
た。Wと酸素の比率はW1に対して酸素2.70〜2.
90の範囲であり、WとSiの比率はW1に対してSi
0.09であり、ほぼターゲット組成を反映してい
た。
【0027】実施例2 タングステン系複合酸化物膜としてIIIA族のAlを
選択した例について説明する。ガラス基板、成膜手順及
び膜厚は実施例1と全く同様であり、スパッタターゲッ
トとしてW−10原子%Al合金ターゲットを使用し
た。このようにして成膜された複合酸化物膜の膜抵抗は
約30MΩ/□であり、電波透過性及びアンテナ送受信
性能に問題はなかった。また、図2はアルミニウムを添
加した場合の酸化タングステン膜の光透過率−波長の分
光スペクトルを示す。分光性能は、図2に示すように可
視光線域で透過率が70%であり、赤外線域での透過率
は波長1μmで約21%と優れた熱線遮断性を有してい
た。このことは、実施例1で説明したのと同様に可視光
線域(波長0.38〜0.78μm)で高い透過率であ
り、赤外線域(波長0.78〜2μm)で低い透過率に
なっていることを示している。即ち、この可視域での高
い透過率は良好な視認性を示しており、赤外線域での低
い透過率は赤外線(即ち、熱線)を良好に遮断すること
を示している。
【0028】更に、耐久性に関しても、150℃、10
時間で分光性能に変化はなく、優れた耐久性を有してい
た。一方、機器分析でこの複合酸化物膜を分析したとこ
ろ、AlはAl酸化物として存在し、Wも酸化物であっ
た。Wと酸素の比率はW1に対して酸素は2.70〜
2.90の範囲であり、またWとAlの比率はW1に対
してAl 0.1であり、ターゲット組成を反映してい
た。
【0029】実施例3 タングステン系複合酸化物膜としてVIIB族のMnを
選択した例について説明する。ガラス基板、成膜手順及
び膜厚は実施例1と全く同様であり、スパッタターゲッ
トとしてW−10原子%Mn合金ターゲットを使用し
た。このようにして成膜された複合酸化物膜の膜抵抗は
約40MΩ/□であり、電波透過性及びアンテナ送受信
性能に問題はなかった。また、分光性能は可視光線域で
透過率が70%以上であり、赤外線域での透過率は波長
1μmで約25%と優れた熱線遮断性を有していた。
【0030】更に、耐久性に関しても、150℃、10
時間で分光性能に変化はなく、優れた耐久性を有してい
た。一方、機器分析でこの複合酸化物膜を分析したとこ
ろ、MnはMn酸化物として存在し、Wも酸化物であっ
た。Wと酸素の比率はW1に対して酸素は2.80〜
2.90の範囲であり、またWとMnの比率はW1に対
してMn 0.1であり、ターゲット組成を反映してい
た。
【0031】実施例4 タングステン系複合酸化物膜としてVIB族のCrを選
択した例について説明する。ガラス基板、成膜手順及び
膜厚は実施例1と全く同様であり、スパッタターゲット
としてW−10原子%Cr合金ターゲットを使用した。
このようにして成膜された複合酸化物膜の膜抵抗は約2
5MΩ/□であり、電波透過性及びアンテナ送受信性能
に問題はなかった。また、分光性能は可視光線域で透過
率が60%以上であり、赤外線域での透過率は波長1μ
mで約16%と優れた熱線遮断性を有していた。
【0032】更に、耐久性に関しても、150℃、10
時間で分光性能に変化はなく、優れた耐久性を有してい
た。一方、機器分析でこの複合酸化物膜を分析したとこ
ろ、CrはCr酸化物として存在し、Wも酸化物であっ
た。Wと酸素の比率はW1に対して酸素は2.80〜
2.90の範囲であり、またWとCrの比率はW1に対
してCr0.08であり、ほぼターゲット組成を反映し
ていた。
【0033】実施例5 タングステン系複合酸化物膜としてVB族のVを選択し
た例について説明する。ガラス基板、成膜手順及び膜厚
は実施例1と全く同様であり、スパッタターゲットとし
てW−10原子%V合金ターゲットを使用した。このよ
うにして成膜された複合酸化物膜の膜抵抗は約40MΩ
/□であり、電波透過性及びアンテナ送受信性能に問題
はなかった。また、分光性能は可視光線域で透過率が7
0%以上であり、赤外線域での透過率は波長1μmで約
27%と優れた熱線遮断性を有していた。
【0034】更に、耐久性に関しても、150℃、10
時間で分光性能に変化はなく、優れた耐久性を有してい
た。一方、機器分析でこの複合酸化物膜を分析したとこ
ろ、VはV酸化物として存在し、Wも酸化物であった。
Wと酸素の比率はW1に対して酸素は2.80〜2.9
0の範囲であり、またWとVの比率はW1に対してV
0.09であり、ほぼターゲット組成を反映していた。
【0035】実施例6 タングステン系複合酸化物膜としてVB族のNbを選択
した例について説明する。ガラス基板、成膜手順及び膜
厚は実施例1と全く同様であり、スパッタターゲットと
してW−10原子%Nb合金ターゲットを使用した。こ
のようにして成膜された複合酸化物膜の膜抵抗は約40
MΩ/□であり、電波透過性及びアンテナ送受信性能に
問題はなかった。また、分光性能は可視光線域で透過率
が70%以上であり、赤外線域での透過率は波長1μm
で約29%と優れた熱線遮断性を有していた。
【0036】更に、耐久性に関しても、150℃、10
時間で分光性能に変化はなく、優れた耐久性を有してい
た。一方、機器分析でこの複合酸化物膜を分析したとこ
ろ、NbはNb酸化物として存在し、Wも酸化物であっ
た。Wと酸素の比率はW1に対して酸素は2.80〜
2.90の範囲であり、またWとNbの比率はW1に対
してNb 0.09であり、ほぼターゲット組成を反映
していた。
【0037】実施例7 タングステン系複合酸化物膜としてIVA族のSiを選
択し、第2層目としてSiO2 膜を選択した例について
記す。ガラス基板として色度図上でY値が1.27、x
値が0.29、y値が0.32のガラス基板を使用し
た。ガラス基板をイソプロピルアルコールにて脱脂洗浄
し、純粋洗浄した後、窒素ブロー乾燥した。このガラス
基板をスパッタ装置内に搬送し、5×10-6Torrま
で排気した。スパッタ装置内には、タングステン系複合
酸化物膜用のスパッタターゲットとしてW−5原子%S
i合金ターゲットが、第2層目のSiO2 膜用スパッタ
ターゲットとしてSiターゲットがそれぞれ設置されて
いる。
【0038】成膜の手順は、まずSi−Wターゲット表
面をクリーニングするため、スパッタガスとしてアルゴ
ンガスを真空槽内に導入し、真空槽内の圧力が5×10
-3Torrとなるようにアルゴンガス流量や排気速度を
調整した。次にスパッタパワー500wで3分間、ター
ゲット表面をクリーニングした。更にスパッタガスに酸
素ガスを導入した。このときアルゴンガスと酸素ガスと
の流量比を30:4になるように調整し、かつ圧力を5
×10-3Torrとなるように調整した。真空槽内のガ
ス濃度が均一になるのに必要な時間が経過した後、スパ
ッタパワー500wで成膜を開始し、第1層目の膜厚4
0nmのSi酸化タングステン複合酸化物膜を得た。
【0039】次にSi酸化タングステン膜の上に、アル
ゴンガスと酸素ガスとの流量比を20:10となるよう
に調整し、かつ圧力を5×10-3Torrとなるように
調整した。真空槽内のガス濃度が均一になるのに必要な
時間が経過した後、Siターゲットを使用しスパッタパ
ワー500wで、第2層目の膜厚10nmのSiO2
を得た。更にハードコート膜として東芝シリコーン製ハ
ードコート膜(商品名:トスガード520)をフローコ
ート法にて塗布した後、大気中120℃で、1時間の焼
成を行い3μmに成膜した。
【0040】このようにして作製された断熱ガラスは可
視光線域で透過率が70%以上であり、また赤外線域で
の透過率は波長1 μmで約25%と優れた熱線遮断性を
有していた。更に耐久性に関しても、50℃、95%R
H環境下で分光性能に変化はなく、優れた耐久性を有し
ていた。またSi酸化タングステン膜の膜抵抗は約40
MΩ/□であり、電波透過性及びアンテナ送受信性能に
問題はなかった。
【0041】実施例8 酸化タングステン系複合酸化物膜として実施例1と同様
にSi酸化タングステン膜を使用し、第2層としてTi
2 を選択した例について記す。ガラス基板、Si酸化
タングステン膜の成膜手順及び膜厚は実施例1と全く同
様である。第2層目として使用したTiO2 膜はTiタ
ーゲットを使用しArガスとO2ガスとの混合ガス(A
r:O2 =20:5)を使用した反応性スパッタにて成
膜し、TiO2 膜を5nmに成膜した。更に実施例1と
全く同様にしてハードコート膜を1μmに成膜した。
【0042】このようにして作製された断熱ガラスの可
分光性能は可視光線域で透過率が70%以上あり、また
赤外線域での透過率は波長1μmで約22%と優れた熱
線遮断性を有していた。更に耐久性に関しても、50
℃、95%RH環境下で分光性能に変化はなく、優れた
耐久性を有していた。
【0043】実施例9 酸化タングステン系複合酸化物膜として実施例1と同様
にSi酸化タングステン膜を使用し、第2層としてZr
2 を選択した例について記す。ガラス基板、Si酸化
タングステン膜の成膜手順及び膜厚は実施例1と全く同
様である。第2層目として使用したZrO2 膜はZrタ
ーゲットを使用し、ArガスとO 2 ガスとの混合ガス
(Ar:O2 =20:5)を使用した反応性スパッタに
て成膜し、ZrO2 膜を5nmに成膜した。更に実施例
1と全く同様にしてハードコート膜を1μmに成膜し
た。
【0044】このようにして作製された断熱ガラスの可
分光性能は可視光線域で透過率が70%以上あり、また
赤外線域での透過率は波長1μmで約23%と優れた熱
線遮断性を有していた。更に耐久性に関しても、50
℃、95%RH環境下で分光性能に変化はなく、優れた
耐久性を有していた。
【0045】実施例10 酸化タングステン系複合酸化物膜として実施例1と同様
にSi酸化タングステン膜を使用し、第2層として酸化
クロム膜を選択した例について記す。ガラス基板、タン
グステン系複合酸化物の成膜手順及び膜厚は実施例1と
全く同様である。第2層目として使用した酸化クロム膜
はCrターゲットを使用しArガスとO 2 ガスとの混合
ガス(Ar:O2 =15:15)を使用した反応性スパ
ッタにて成膜し、CrO膜を5nmに成膜した。更に実
施例1と全く同様にしてハードコート膜を1μmに成膜
した。
【0046】このようにして作製された断熱ガラスの可
分光性能は可視光線域で透過率が70%以上あり、また
赤外線域での透過率は波長1μmで約24%と優れた熱
線遮断性を有していた。更に耐久性に関しても、50
℃、95%RH環境下で分光性能に変化はなく、優れた
耐久性を有していた。
【0047】実施例11 酸化タングステン系複合酸化物膜として実施例1と同様
にSi酸化タングステン膜を使用し、第2層としてSi
とTiの複合酸化物膜を選択した例について記す。ガラ
ス基板、タングステン系複合酸化物の成膜手順及び膜厚
は実施例1と全く同様である。第2層目として使用した
SiTi複合酸化物膜はSi−20原子%Ti合金ター
ゲットを使用しArガスとO2 ガスとの混合ガス(A
r:O2 =20:10)を使用した反応性スパッタにて
成膜し、SiTiO膜を10nmに成膜した。更に実施
例1と全く同様にしてハードコート膜を1μmに成膜し
た。
【0048】このようにして作製された断熱ガラスの可
分光性能は可視光線域で透過率が70%以上あり、また
赤外線域での透過率は波長1μmで約24%と優れた熱
線遮断性を有していた。更に耐久性に関しても、50
℃、95%RH環境下で分光性能に変化はなく、優れた
耐久性を有していた。
【0049】実施例12 酸化タングステン系複合酸化物膜とガラス基板との間に
誘電体層を設ける構成について記す。ガラス基板上に第
1層目としてSiO2 膜を、第2層目としてSi酸化タ
ングステン複合酸化物層を、第3層目としてSiO2
をスパッタにて成膜し、最後に第4層目としてハードコ
ート膜を順次成膜した。成膜方法は実施例1と全く同様
であり、膜厚はそれぞれ第1層目のSiO2 膜を30n
m、第2層目のSi添加酸化タングステン膜を90n
m、第3層目のSiO2 膜を10nm、第4層目のハー
ドコート膜を1μmに成膜した。
【0050】このようにして作製された断熱ガラスの可
分光性能は可視光線域で透過率が70%以上あり、また
赤外線域での透過率は波長1μmで約20%と優れた熱
線遮断性を有していた。更に耐久性に関しても、50
℃、95%RH環境下で分光性能に変化はなく、優れた
耐久性を有していた。
【0051】比較例1 実施例1の場合と複合酸化物膜中のSi濃度が異なる場
合について説明する。スパッタターゲットとしてW−1
0原子%Si合金ターゲットに代えてW−2原子%Si
合金ターゲット及びW−20原子%Si合金ターゲット
を用いた他は、実施例1と全く同様にして複合酸化物膜
を成膜した。W−2原子%Si合金ターゲットを使用し
た場合には、成膜された複合酸化物膜の膜抵抗値は90
0KΩ/□であり、電波透過性およびアンテナ送受信性
能に問題はなかった。
【0052】分光性能は赤外線域での透過率が波長1μ
mで約19%と優れた熱線遮断性を有していたが、可視
光線域で透過率が68%であり、可視光線の光透過性が
悪くなっていた。また、耐久性は150℃、10時間で
透過率が約5%上昇した。一方、機器分析でこの複合酸
化物膜を分析したところ、SiはSi酸化物として存在
し、Wも酸化物であった。Wと酸素の比率はW1に対し
て酸素は2.70〜2.90の範囲であり、またWとS
iの比率はW1に対してSi 0.02であり、ターゲ
ット組成を反映していた。
【0053】W−20原子%Si合金ターゲットを使用
した場合には、成膜された複合酸化物膜の膜抵抗値が6
0MΩ/□であり、電波透過性及びアンテナ送受信性能
に問題はなかった。分光性能は可視光線域で透過率が7
0%であり、可視光線の透過率は十分であったが、赤外
線域での透過率は波長1μmで約40%と熱線遮断性が
悪くなっていた。
【0054】また、耐久性は150℃、10時間で分光
特性に変化はなかった。機器分析でこの複合酸化物膜を
分析したところ、SiはSi酸化物として存在し、Wも
酸化物であった。Wと酸素の比率はW1に対して酸素は
2.80〜2.90の範囲であり、またWとSiの比率
はW1に対してSi 0.18であり、ほぼターゲット
組成を反映していた。
【0055】この2例の結果から、複合酸化物中のSi
濃度が所定の濃度以上であると熱線遮断性が劣化し、所
定の濃度以下であると可視光線域での光透過性が悪くな
り、また耐久性も不十分であることが判る。
【0056】比較例2 実施例1の場合と複合酸化物膜中のWと酸素の比率が異
なる場合について説明する。成膜手順としてスパッタガ
スのアルゴンガスと酸素ガスとの混合比を代えた他は、
実施例1と全く同様にして複合酸化物膜を成膜した。ア
ルゴンガスと酸素ガスとの流量比が30:1となるよう
に調整して成膜した場合について説明する。このように
して成膜された複合酸化物膜の膜抵抗は約100KΩ/
□であり、電波透過性及びアンテナ送受信性能が劣化し
た。
【0057】また、分光性能は可視光線域で透過率が3
0%であり、赤外線域での透過率も波長1μmで約18
%と優れた熱線遮断性を有していた。更に、耐久性は1
50℃、10時間で透過率が約10%上昇した。一方、
機器分析でこの複合酸化物膜を分析したところ、Siは
Si酸化物として存在し、Wも酸化物であった。Wと酸
素の比率はW1に対して酸素は2.4〜2.5の範囲で
あり、WとSiの比率はW1に対してSi 0.09で
あり、ほぼターゲット組成を反映していた。
【0058】アルゴンガスと酸素ガスとの流量比が3
0:6となるように調整して成膜した場合について説明
する。このようにして成膜された複合酸化物膜の膜抵抗
は約1200MΩ/□であり、電波透過性及びアンテナ
送受信性能に問題はなかった。また、分光性能は可視光
線域で透過率が80%であり、十分な光透過性を有して
いたが、赤外線域での透過率は波長1μmで約35%と
熱線遮断性が悪くなっていた。
【0059】更に、耐久性に関しても、150℃、10
時間で分光性能に変化はなく、優れた耐久性を有してい
た。一方、機器分析でこの複合酸化物膜を分析したとこ
ろ、SiはSi酸化物として存在し、Wも酸化物であっ
た。Wと酸素の比率はW1に対して酸素は2.95〜
3.0の範囲であり、またWとSiの比率はW1に対し
てSi 0.09であり、ほぼターゲット組成を反映し
ていた。
【0060】この2例の結果から、複合酸化物中のWと
酸素の比率が所定の値以上であると熱線遮断性が劣化
し、所定の比率以下であると可視光線域での光透過性が
悪くなり、また耐久性も十分でなくなることが判る。
【0061】比較例3 実施例1の場合と複合酸化物膜の膜厚が異なる場合につ
いて説明する。成膜時間を代えて膜厚を調整した他は、
実施例1と全く同様な方法により複合酸化物膜を成膜し
た。複合酸化物膜の膜厚が20nmの場合には、成膜さ
れた複合酸化物膜の膜抵抗値は80MΩ/□であり、電
波透過性及びアンテナ送受信性能に問題はなかった。分
光性能は可視光線域で透過率が75%であり、可視光線
の光透過性は十分であったが、赤外線域での透過率は波
長1μmで約33%と熱線遮断性が悪くなっている。
【0062】また、耐久性は150℃、10時間で分光
性能に変化はなかった。一方、機器分析でこの複合酸化
物膜を分析したところ、SiはSi酸化物として存在
し、Wも酸化物であった。Wと酸素の比率はW1に対し
て酸素は2.80〜2.90の範囲であり、またWとS
iの比率はW1に対してSi 0.09であり、ターゲ
ット組成を反映していた。
【0063】複合酸化物膜の膜厚が500nmの場合に
は、成膜された複合酸化物膜の膜抵抗値は10MΩ/□
であり、電波透過性及びアンテナ送受信性能に問題はな
かった。分光性能は可視光線域で透過率が65%であ
り、可視光線の光透過性は悪くなった。赤外線域での透
過率は波長1μmで約17%と熱線遮断性は優れてい
た。更に、耐久性は150℃、10時間で分光性能に変
化はなかった。
【0064】一方、機器分析でこの複合酸化物膜を分析
したところ、SiはSi酸化物として存在し、Wも酸化
物であった。Wと酸素の比率はW1に対して酸素は2.
80〜2.90の範囲であり、またWとSiの比率はW
1に対してSi 0.09であり、ターゲット組成を反
映していた。
【0065】比較例4 IB族として銀(Ag)を添加した場合について説明す
る。スパッタターゲットとしてW−10原子%Ag合金
ターゲットを用いた他は、実施例1と全く同様にして複
合酸化物膜を成膜した。得られた複合酸化物膜は、膜抵
抗値としては8MΩ/□で問題はなかったが、可視光線
域での光透過率は約30%と低く、窓ガラス材としての
応用に制限が生じてしまった。
【0066】比較例5 VIA族としてテルル(Te)を添加した場合について
説明する。スパッタターゲットとしてW−10原子%T
e合金ターゲットを用いた他は、実施例1と全く同様に
して複合酸化物膜を成膜した。得られた複合酸化物膜
は、膜抵抗値として800KΩ/□で問題はなかった
が、可視光線域での光透過率が約50%と低く、窓ガラ
ス材としての応用に制限が生じてしまった。また、耐久
性に関しても、150℃、10時間で透過率が約10%
上昇し、耐久性に関しても十分ではなかった。
【0067】比較例6 添加元素としてIVA族のシリコン(Si)及びタング
ステンに代えてニッケルを用いた場合について説明す
る。スパッタターゲットとしてNi−10原子%Si合
金ターゲットを用いた他は、実施例1と全く同様にして
複合酸化物膜を成膜した。得られた複合酸化物膜は、膜
抵抗値としては15MΩ/□で問題はなかったが、可視
光線域での光透過率は約65%と低く、更に赤外線域で
の透過率は約45%と熱線遮断性が悪くなっていた。
【0068】実施例13 タングステン系複合酸化物膜としてIVA族のSiを選
択し、第2層目としてシリコンアルミニウム複合酸化物
膜を選択した例について記す。ガラス基板として色度図
上でY値が1.27、x値が0.29、y値が0.32
のガラス基板を使用した。ガラス基板をイソプロピルア
ルコールにて脱脂洗浄し、純粋洗浄した後、窒素ブロー
乾燥した。このガラス基板をスパッタ装置内に搬送し、
5×10-6Torrまで排気した。スパッタ装置内に
は、タングステン系複合酸化物膜用のスパッタターゲッ
トとしてW−5原子%Si合金ターゲットが、シリコン
アルミニウム複合酸化物膜用のスパッタターゲットとし
てSi−50原子%Alターゲットが設置されている。
【0069】成膜の手順は、まずSi−Wターゲット表
面をクリーニグするため、スパッタガスとしてアルゴン
ガスを真空槽内に導入し、真空槽内の圧力が5×10-3
Torrとなるようにアルゴンガス流量や排気速度を調
整した。次にスパッタパワー500wで3分間、ターゲ
ット表面をクリーニグした。次にスパッタガスに酸素ガ
スを導入した。このときアルゴンガスと酸素ガスとの流
量比を30:4になるように調整し、かつ圧力を5×1
-3Torrとなるように調整した。真空槽内ガス濃度
が均一になるのに必要な時間が経過した後、スハッタパ
ワー500wで成膜を開始し、第1層用の膜厚80nm
のSiタングステン複合化物膜を得た。次にSi酸化タ
ングステン膜の上に、同一のガス条件にてシリコンアル
ミニウム用ターゲットをスパッタパワー500wで、膜
厚50nmのシリコンアルミニウム複合酸化物膜を得
た。
【0070】このようにして作製された断熱ガラスは可
視光線域で透過率が70%以上あり、また赤外線域での
透過率は波長1μmで約30%と優れた熱線遮断性を有
していた。またSi−50%Al複合酸化物膜の屈折率
がn=1.5と低いため、可視光線域での反射色も弱く
ガラスとして好ましいものであった。更に耐久性に関し
ても、50℃、95%RH環境下で分光性能に変化はな
く、優れたピンホールような微小な欠陥も発生せず、す
ぐれた耐久性を有していた。またシリコン複合酸化物膜
の膜抵抗は約40MΩ/□であり、電波透過性及びアン
テナ送受信性能に問題はなかった。
【0071】実施例14 タングステン系複合酸化物膜とガラス基板との間に透明
誘電体膜を設ける構成について記す。ガラス基板上に第
1層としてSi−50原子%Al膜を、第2層としてS
i酸化タングステン複合酸化物膜を、第3層としてSi
−50原子%Al膜をスパッタ法にて順次成膜した。成
膜方法は第2層のSi酸化タングステン複合酸化物膜が
実施例1と全く同様であり、第1層及び第3層のSi−
50原子%Al膜が実施例13と全く同様である。膜厚
は第1層のSi−50原子%Al膜を10nmに、第2
層のSiタングステン膜を30nmに、第3層のSi−
50原子%Al膜を50nmに成膜した。
【0072】このようにして作製された断熱ガラスの可
分光性能は可視光線域で透過率が70%以上であり、ま
た赤外線域での透過率は波長1μmで約30%と優れた
熱線遮断性を有していた。更に耐久性に関しても、50
℃、95%RH環境下で分光性能に変化はなく、またピ
ンホールのような微小な欠陥も発生せずにすぐれた耐久
性を有していた。またSiタングステン複合酸化物膜の
膜抵抗は約40MΩ/□であり、電波透過性及びアンテ
ナ送受信性能に問題はなかった。
【0073】実施例15 タングステン系複合酸化物膜上に透明誘電体膜を設ける
構成について記す。ガラス基板上に第1層としてSiタ
ングステン膜を、第2層としてSi−10原子%Al膜
をスパッタ法にて順次成膜した。成膜方法は実施例14
と全く同様である。膜厚は第1層のSiタングステン膜
を80nmに、第2層のSi−10原子%Al膜を50
nmに成膜した。
【0074】このようにして作製された断熱ガラスの可
分光性能は可視光線域で透過率が70%以上あり、また
赤外線域での透過率は波長1μmで約31%と優れた熱
線遮断性を有していた。またSi−10原子%Al複合
酸化物膜の屈折率がn=1.5と低いため、可視光線域
での反射色も弱くガラスとして好ましいものであった。
また耐久性に関しても、50℃、95%RH環境下で分
光性能に変化はなく、すぐれた耐久性を有していた。
【0075】実施例16 シリコンアルミニウム複合酸化物膜としてSi−80原
子%Al膜を使用した他は実施例13と全く同様にして
断熱ガラスを作製した。
【0076】このようにして作製された断熱ガラスの可
分光性能は可視光線域で透過率が70%以上あり、また
赤外線域での透過率は波長1μmで約30%と優れた熱
線遮断性を有していた。またSi−80原子%Al複合
酸化物膜の屈折率がn=1.6と低いため、可視光線域
での反射色も弱くガラスとして好ましいものであった。
更に耐久性に関しても、50℃、95%RH環境下で分
光性能に変化はなく、すぐれた耐久性を有していた。
【0077】実施例17 シリコンアルミニウム複合酸化物膜の膜厚を200nm
とした他は実施例13と全く同様にして断熱ガラスを作
製した。
【0078】このようにして作製された断熱ガラスの可
分光性能は可視光線域で透過率が70%以上あり、また
赤外線域での透過率は波長1μmで約30%と優れた熱
線遮断性を有していた。更に耐久性に関しても、50
℃、95%RH環境下で分光性能に変化はなく、すぐれ
た耐久性を有していた。
【0079】実施例18 シリコンアルミニウム複合酸化物膜の膜厚を10nmと
した他は実施例13と全く同様にして断熱ガラスを作製
した。
【0080】このようにして作製された断熱ガラスの可
分光性能は可視光線域で透過率が70%以上あり、また
赤外線域での透過率は波長1μmで約35%と優れた熱
線遮断性を有していた。更に耐久性に関しても、50
℃、95%RH環境下で分光性能に変化はなく、すぐれ
た耐久性を有していた。
【0081】比較例7 シリコンアルミニウム複合酸化物膜としてSi−5原子
%Al膜を使用した他は実施例13と全く同様にして断
熱ガラスを作製した。
【0082】このようにして作製された断熱ガラスの分
光特性は可視光線域で透過率が70%以上あり、また赤
外線域での透過率は波長1μmで約30%と優れた熱線
遮断性を有していた。またSi−5原子%Al膜の屈折
率がn=1.5と低いため可視光線域での反射色も弱く
ガラスとして好ましいものであった。しかし耐久性に関
しては50℃、95%RH環境下で分光性能に変化はな
いものの、局所的にヒビ割れが発生した。
【0083】比較例8 シリコンアルミニウム複合酸化物膜としてSi−90原
子%Al膜を使用した他は実施例13と全く同様にして
断熱ガラスを作製した。
【0084】このようにして作製された断熱ガラスの分
光特性は可視光線域で透過率が70%以上あり、また赤
外線域での透過率は波長1μmで約30%と優れた熱線
遮断性を有していた。またSi−5原子%Al膜の屈折
率がn=1.6と低いため可視光線域での反射色も弱く
ガラスとして好ましいものであった。しかし耐久性に関
しては50℃、95%RH環境下で分光性能に変化はな
いものの、局所的に欠陥が発生した。
【0085】比較例9 シリコンアルミニウム複合酸化物膜としてSi−50原
子%Al膜を使用し、膜厚を250nmとした他は実施
例13と全く同様にして断熱ガラスを作製した。
【0086】このようにして作製された断熱ガラスの分
光特性は可視光線域で透過率が70%以上あり、また赤
外線域での透過率は波長1μmで約33%と優れた熱線
遮断性を有していた。しかし耐久性に関しては50℃、
95%RH環境下で分光性能に変化はないものの、局所
的にヒビ割れが発生した。
【0087】比較例10 シリコンアルミニウム複合酸化物膜としてSi−50原
子%Al膜を使用し、膜厚を5nmとした他は実施例1
3と全く同様にして断熱ガラスを作製した。
【0088】このようにして作製された断熱ガラスの分
光特性は可視光線域で透過率が70%以上あり、また赤
外線域での透過率は波長1μmで約38%と優れた熱線
遮断性を有していた。しかし耐久性に関しては50℃、
95%RH環境下で分光性能に変化はないものの、局所
的にヒビ割れが発生した。
【0089】
【発明の効果】本発明の断熱膜ガラスによれば、耐久性
があり可視光線域での光透過性が高く、更に赤外線域で
の光透過性の低い、断熱効果に優れたガラスが得られ
る。また、最表層にシリコーンハードコート膜を積層し
たことにより、より耐久性をあげることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のシリコンを添加した場合の酸化タン
グステン膜の光透過率−波長の分光スペクトルを示す。
【図2】実施例2のアルミニウムを添加した場合の酸化
タングステン膜の光透過率−波長の分光スペクトルを示
す。
【図3】実施例7の構成を示す断面図である。
【図4】実施例12の構成を示す断面図である。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板上に、タングステンと周期律
    表のIVA族、IIIA族、VIIB族、VIB族及び
    VB族から成る群から選ばれた少なくとも1種の元素と
    からなる複合酸化物膜を形成したことを特徴とする断熱
    ガラス。
  2. 【請求項2】 複合酸化物膜が周期律表のIVA族、I
    IIA族、VIIB族、VIB族及びVB族から成る群
    から選ばれた少なくとも1種の元素を3〜15原子%の
    範囲で含有することを特徴とする請求項1記載の断熱ガ
    ラス。
  3. 【請求項3】 複合酸化物膜がタングステン酸化物の酸
    素/タングステン比で2.50〜2.98の範囲である
    ことを特徴とする請求項1記載の断熱ガラス。
  4. 【請求項4】 複合酸化物膜の膜抵抗値が500KΩ/
    □〜800MΩ/□の範囲であることを特徴とする請求
    項1記載の断熱ガラス。
  5. 【請求項5】 複合酸化物膜がスパッタリング法にて成
    膜されることを特徴とする請求項1記載の断熱ガラス。
  6. 【請求項6】 複合酸化物膜の膜厚が50〜200nm
    の範囲であることを特徴とする請求項1記載の断熱ガラ
    ス。
  7. 【請求項7】 複合酸化物膜上に、第2層として透明誘
    電体膜を設け、必要に応じて該2層上に第3層としてシ
    リコーンハードコート膜を設けてなることを特徴とする
    断熱ガラス。
  8. 【請求項8】 ガラス基板上に、第1層として透明誘電
    膜を設け、該第1層に第2層として複合酸化膜を設け、
    該第2層上に第3層として透明誘電体膜を設け、必要に
    応じて該第3層上に第4層としてシリコーンハードコー
    ト膜を設けてなることを特徴とする断熱ガラス。
  9. 【請求項9】 透明誘電体膜が珪素、チタン、クロム及
    びジルコニウムの酸化物から成る群から選ばれた少なく
    とも1種よりなる複合酸化物膜であり、かつ膜厚が5〜
    100nmの範囲であることを特徴とする請求項7又は
    8記載の断熱ガラス。
  10. 【請求項10】 透明誘電体膜がシリコーンとアルミニ
    ウムとからなる複合酸化物膜であることを特徴とする請
    求項7又は8記載の断熱ガラス。
  11. 【請求項11】 複合酸化物膜がアルミニウムを10〜
    80原子%の範囲で含有することを特徴とする請求項1
    0記載の断熱ガラス。
  12. 【請求項12】 複合酸化物の膜厚が10〜200nm
    の範囲で成膜されることを特徴とする請求項10又は1
    1記載の断熱ガラス。
  13. 【請求項13】 複合酸化物膜がスパッタリング法にて
    成膜されることを特徴とする請求項10記載の断熱ガラ
    ス。
  14. 【請求項14】 シリコーンハードコート膜の膜厚が
    0.5〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項
    7又は8記載の断熱ガラス。
  15. 【請求項15】 ガラス基板が色度図上でY値が1.0
    0〜1.40の範囲、x値が0.24〜0.32の範
    囲、y値が0.30〜0.41の範囲の色合いを有する
    ことを特徴とする請求項1記載の断熱ガラス。
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