JPWO2008050628A1 - エアバッグアキュムレータ用継目無鋼管とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

焼入れ・焼戻しを行わずに、焼ならし熱処理のみで製造可能な、引張強度850 MPa以上、−20℃での耐バースト性能を有するエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管は、質量%で、C:0.08〜0.20%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.010%以下、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、Al:0.002〜0.10%を含み、さらにCa:0.0003〜0.01%、Mg:0.0003〜0.01%、およびREM(希土類元素):0.0003〜0.01%から選ばれた少なくとも1種と、Ti:0.002〜0.1%およびNb:0.002〜0.1%から選ばれた少なくとも1種とを含み、下記の式(1)で定義されるCeqが0.45〜0.63の範囲である鋼組成を有し、金属組織がフェライト+ベイナイトの混合組織である:Ceq=C+Si/24+Mn/6+(Cr+Mo)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・ 式(1)式(1)中の元素記号はその元素の質量%での含有量の数値を意味する。

Description

本発明は、高強度および高靭性が要求されるエアバッグアキュムレータ用に適した継目無鋼管と、その鋼管を安価に製造する方法に関する。本発明は特に、−20℃で内圧バースト試験(閉管の内圧を高めて破裂させる試験)を行っても脆性破面を呈さないという高強度・高靭性を備えたエアバッグアキュムレータ用鋼管とその製造方法に関する。
近年、自動車産業においては、安全性を追求した装置の導入が積極的に進められている。中でも、衝突時に乗員がハンドルやインストルメントパネルなどに衝突する前に、それらと乗員との間にガス等でエアバッグを緊急展開させ、乗員の運動エネルギーを吸収して傷害軽減を図るエアバッグシステムが開発され、大多数の自動車に搭載されるまでに到っている。
従来のエアバッグシステムでは、爆発性薬品を使用してエアバッグを展開する方法が一般に採用されてきた。しかし、環境リサイクルを可能にする観点から、高圧充填ガスを使用してエアバッグを展開するエアバッグシステムが開発され、その適用が広がっている。
高圧充填ガスを使用するエアバッグシステムでは、衝突時にエアバッグ内に吹出す不活性ガス(例、アルゴン)のような展開用ガスを蓄圧容器(アキュムレータ)内で常時高圧に保持し、衝突時にはアキュムレータから一気にガスをエアバッグに吹出させてエアバッグを展開させる。アキュムレータは一般に適当な長さに切断した鋼管の両端に蓋体を溶接することにより製造される。
エアバッグのアキュムレータ(以下、エアバッグアキュムレータあるいは単にアキュムレータという)は、例えば300 kgf/cm2程度の高圧のガスがこれに常時充填されているので、長期間そのような高圧力に耐える必要がある。さらに、ガス吹き出し時には極めて短時間に大きな歪速度で応力が負荷されるので、アキュムレータはこの応力にも耐える必要がある。また、自動車の燃費改善につながるエアバッグシステムの小型軽量化を可能にするために、エアバッグアキュムレータには充填ガスの高圧化と薄肉化が望まれている。
このため、エアバッグアキュムレータの製造には、高圧では溶接管より一般に信頼性が高い継目無鋼管が用いられる。従来の圧力シリンダーやラインパイプのような単なる構造物とは異なり、エアバッグアキュムレータ用鋼管には、高い寸法精度、加工性及び溶接性に加えて、ガスの充填圧に十分に耐えるため850 MPa以上の引張強度と、低温での使用を考慮して、−20℃以下でのバースト試験での破壊が延性であることで示される優れた低温耐バースト性(靱性)が要求される。
エアバッグアキュムレータに好適に用いられる継目無鋼管とその製造方法が、例えば、特許文献1〜4に開示されている。
これらの特許文献に提案された方法では、製造工程の中で鋼管に焼入れ・焼戻しを施すことにより、必要な高強度と耐バースト性能を有する継目無鋼管を製造する。しかし、焼入れ・焼戻し熱処理の実施は、鋼管の製造工程を煩雑にして生産性を低下させ、加えて製造コストを高騰させるという問題がある。従って、なるべく簡易な熱処理を施すのみで、所望の性能を満足させる継目無鋼管の製造方法が望まれる。
特許文献5には、焼入れ・焼戻し熱処理を利用しないエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管の製造方法が開示されている。この特許文献には、製管した鋼管を、850〜1000℃で焼ならしたのち、所定の寸法に冷間加工を施したまま、もしくはさらに応力除去焼鈍、焼ならし、または焼入れ・焼戻し処理を施すことによって、高寸法精度で加工性と溶接性に優れ、かつ高強度、高靭性鋼管を製造できることが記載されている。しかし、特許文献5に記載された方法は引張強度が590 MPa級の継目無鋼管の製造を目的とし、そこに記載されている実施例で得られている鋼管の引張強度は、最大でも814 MPaにとどまり、近年のエアバッグアキュムレータの充填ガスの高圧化、薄肉化の要求に応えるには不十分である。
特許文献6にも焼入れ・焼戻し処理以外に、焼きなまし、焼ならし、あるいは熱処理のない冷間加工ままのエアバッグ用継目無鋼管が開示されているが、目標とする引張強度は590 MPa以上にとどまる。この特許文献は冷間加工後の熱処理の種類を明らかにしているだけで、熱処理の条件については特に制限していないことからも分かるように、鋼組成によってその目的達成を図ろうとするものである。
特許文献4には、焼入れ・焼き戻しに代えて、焼ならしにより熱処理を行う高強度・高靱性・高加工性のエアバッグ用継目無鋼管の製造方法が提案されている。この方法では、C:0.01〜0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.10〜2.00%、Cr:1.0%超〜2.0%、Mo:0.5%以下、任意選択的にCu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Nb:0.10%以下、V:0.10%以下、Ti:0.10%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成の鋼素材を製管して継目無鋼管としたのち、850〜1000℃の範囲内の温度に加熱して空冷する焼ならし処理を施し、その後、冷間引抜きして所定寸法の鋼管とする。しかし、焼きならし条件に関する実施例は乏しい。また、この方法は、1.0%超のCr含有量を前提としているため、合金コストが割高であり、低温靭性にも疑問がある。
特許文献4では低温靭性の評価は、落重試験で評価されている。落重試験は、簡易な低温靱性の評価方法として、特許文献6等でも利用されている。特許文献6における低温靱性の評価結果では、焼なまし等の熱処理を施した継目無鋼管と冷間加工ままの継目無鋼管とで落重試験結果が同等である。このことからも、簡易評価方法にすぎない落重試験が、今日のエアバッグアキュムレータに求められる厳しい要求性能を適切に評価できるか疑問である。
上記各特許文献にも示唆されているように、エアバッグアキュムレータ用継目無鋼管の製造においては、外径寸法、肉厚寸法精度を向上させるために冷間抽伸等の冷間加工が一般に不可欠である。特許文献7の段落[0003]〜[0004]に記載されているように、エアバッグアキュムレータは、組立てのために外径寸法精度が要求される部品であるが、自動車の重量増加を避ける必要上、鋼管強度を増大するために鋼管の肉厚を厚くすることはできない。その上、エアバッグが運転席だけでなく助手席やさらには後部座席にも搭載されるようになり、1車に複数のエアバッグを設置するために、アキュムレータのコスト低減の要求が高まっている。
特開平8−325641号公報 特開平10−140250号公報 特開2002−294339号公報 特開2004−27303号公報 特開平10−140249号公報 特開平10−140283号公報 特開平11−199929号公報
本発明の目的は、焼入れ・焼戻しを伴わない簡易な熱処理を施すだけで製造可能な、アキュムレータの充填ガスの高圧化と薄肉化に十分対応可能な、850 MPa以上の引張強度を有し、−20℃でのバースト試験において脆性破壊しないという高い低温耐バースト性能を有するエアバッグアキュムレータ用の継目無鋼管を提供することである。
本発明の別の目的は、かかるエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管の製造方法を提供することである。
エアバッグアキュムレータ用鋼管の薄肉細径化は、自動車の燃費向上のみならず、エアバッグのコスト低減にも寄与する。製管後に行う冷間加工は、エアバッグアキュムレータ用鋼管の寸法精度の確保と薄肉細径化のために不可欠である。しかし、現実には、冷間加工が鋼管の低温靭性もしくは耐バースト性に顕著な影響を与え、特に鋼管を高強度とするほど、低温靭性もしくは耐バースト性の確保が難しくなる。従って、高強度と低温耐バースト性の両立が可能となるように鋼の化学組成や熱処理プロセスを選定する必要がある。
本発明者らは、エアバッグアキュムレータ用継目無鋼管の強度および低温耐バースト性能に及ぼす鋼管の化学組成、金属組織および各工程の製造条件の影響を調査した。その結果、C当量(以下、Ceqと記す)を適正な範囲にし、最終的に所望の寸法に仕上げるための冷間抽伸加工の前に、焼ならし熱処理を施して、鋼管の金属組織をフェライト+ベイナイトの2相組織とすることにより、焼入れ・焼戻し熱処理を施すことなく、エアバッグアキュムレータ用途として850 MPaを超える引張強度および−20℃でのバースト試験でも亀裂が進展しない高い耐バースト性能を有する継目無鋼管となることを見いだした。
本発明は、質量%で、C:0.08〜0.20%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.010%以下、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、Al:0.002〜0.10%を含み、さらにCa:0.0003〜0.01%、Mg:0.0003〜0.01%、およびREM(希土類元素):0.0003〜0.01%から選ばれた少なくとも1種と、Ti:0.002〜0.1%およびNb:0.002〜0.1%から選ばれた少なくとも1種とを含み、下記の式(1)で定義されるCeqが0.45〜0.63の範囲であり、残部Feおよび不純物から本質的になる鋼組成を有し、金属組織が、ベイナイト面積率が10%以上のフェライト+ベイナイトの混合組織であることを特徴とするエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管である:
Ceq=C+Si/24+Mn/6+(Cr+Mo)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・ 式(1)
式中の元素記号はその元素の質量%での含有量の数値を意味する。
上記組成において、Feの一部を、Cu:0.05〜0.5%およびNi:0.05〜1.5%から選ばれた1種または2種により置換してもよい。
本発明はまた、上記の鋼組成を有する継目無鋼管を製管する工程と、鋼管を所定の寸法にするために仕上げ冷間加工する工程とを含み、焼入れ・焼戻しのための熱処理工程を含まない、エアバッグアキュムレータ用継目無鋼管の製造方法であって、前記仕上げ冷間加工工程の前に、鋼管をAc変態点〜1000℃の範囲内の温度に加熱した後に空冷することによる焼ならし熱処理工程を含むことを特徴とする方法である。
エアバッグアキュムレータ用鋼管に所定の寸法精度と良好な表面性状を付与するには、最終的に冷間抽伸加工といった冷間加工を実施すればよい。しかし、この冷間加工により靭性が低下し、良好な耐バースト性を得ることができない。このため、従来は冷間加工の前か後に焼入れ・焼戻しを実施し、鋼の金属組織を焼戻しマルテンサイトもしくは焼戻しベイナイトにするのが一般的であった。しかし、焼入れ・焼戻し熱処理は、それ自体が高温かつ長時間を要する上、焼入れ後の曲がり除去等の追加工程が必要となり、生産性の低下と製造コストの高騰を生ずる。
そこで、冷間加工前の鋼管に、焼入れ・焼戻しの代わりとなる熱処理を検討した結果、鋼組成における個々の元素の含有量およびC当量の調整と、焼ならしとを組み合わせて、金属組織をフェライト+ベイナイトの2相組織に調整することにより、高強度で優れた耐バースト性能を確保できることが判明した。
特に、最近ではアキュムレータの軽量化のためにアキュムレータ用鋼管の薄肉化が試みられている。そのため、焼入れ・焼き戻しの際の寸法変化がより大きく現れる傾向にあり、このことが大きな技術課題となっている。今日ではアキュムレータ用鋼管は2.5〜2.0 mmまで薄肉化が進み、それに伴って850 MPa以上の引張強度が求められている。
本発明によれば、850 MPa以上の高い引張強度を有し、しかも−20℃でのバースト試験において亀裂が進展しない高い耐バースト性能を有する鋼管が、寸法精度確保のための最終冷間加工の前か後に焼入れ・焼戻しの熱処理を行わずに得られる。従って、アキュムレータ圧力の高圧化、鋼管の薄肉化に十分対応できるエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管を安価且つ高能率で生産し、提供することができる。
本発明に従った化学組成を有する鋼材のC当量との引張強度との関係を従来材と対比して示すグラフである。
(A) 鋼管の化学組成および金属組織
本発明において鋼の化学組成を上述のように規定した理由は次の通りである。本明細書においては、特にことわりがない限り、「%」はいずれも「質量%」である。
C:0.08〜0.20%
Cは、安価に鋼の強度を高めるのに有効な元素である。その含有量が0.08%未満では、焼入れ・焼戻し熱処理を施さずに、所望の850 MPa以上の引張強度とすることが困難である。一方、C含有量が0.20%を超えると、加工性及び溶接性が低下する。C含有量の好ましい範囲は、0.08〜0.16%、より好ましい範囲は0.09〜0.13%である。
Si:0.1〜1.0%
Siは、脱酸作用を有するほか、鋼の焼入れ性を高めて強度を向上させる元素であり、そのために0.1%以上の含有量が必要である。しかし、その含有量が1.0%を超えると靱性が低下する。Si含有量の好ましい範囲は0.2〜0.5%である。
Mn:0.6〜2.0%
Mnは焼きならし後の空冷で、フェライト+ベイナイト2相組織を得やすくし、それにより鋼の強度と靱性を向上させるのに有効である。Mn含有量が0.6%未満では十分な強度と靱性が得られず、2.0%を越えると溶接性が悪化する。Mn含有量の好ましい範囲は0.8〜1.8%、より好ましい範囲は1.0〜1.6%である。
P:0.025%以下
Pは、粒界偏析に起因する鋼の靱性低下をもたらし、特にその含有量が0.025%を超えると靱性の低下が著しくなる。Pの含有量は好ましくは0.020%以下であり、より好ましくは0.015%以下である。
S:0.010%以下
Sは、特に鋼管の周方向(T方向)の靱性を低下させ、その含有量が0.010%を超えると靱性低下が著しくなる。S含有量は好ましくは0.005%以下であり、より好ましくは0.003%以下である。
Cr:0.05〜1.0%
Crは、焼入れ・焼戻し熱処理を施さずに、鋼の強度と靱性を高めるのに有効な元素であり、そのためには0.05%以上が必要である。しかし、その含有量が1.0%を超えると、逆に靱性の低下を招く。Cr含有量の好ましい範囲は0.2〜0.8%、より好ましい範囲は0.4〜0.7%である。
Mo:0.05〜1.0%
Moは、焼入れ・焼戻し熱処理を施さずに、鋼の強度と靱性を高めるのに有効な元素であり、そのために0.05%以上の量で含有させる。しかし、その含有量が1.0%を超えると逆に靱性の低下を招く。Mo含有量の好ましい範囲は0.1〜1.0%、より好ましい範囲は0.15〜0.70%である。
Al:0.002〜0.10%
Alは、脱酸作用を有し、鋼の靱性及び加工性を高めるのに有効な元素である。Al含有量が0.002%未満では脱酸が不十分で、鋼の清浄度が損なわれ、靭性が低下する。しかし、0.10%を超えてAlを含有させると、かえって靭性が低下する。Al含有量の好ましい範囲は0.005〜0.08%、より好ましい範囲は0.01〜0.06%である。本発明に云うAl含有量とは、酸可溶Al(所謂「sol. Al」)の含有量を指す。
Ca、Mg、REMの1種または2種以上:それぞれ0.0003〜0.01%
Ca、Mg及びREM(希土類元素、即ち、Ce、La、Y、Ndなど)は、いずれも鋼中のSと結合し、硫化物としてSを固定する作用を有し、この作用によって鋼の靱性の異方性を改善し、耐バースト性を高める効果がある。したがって、焼入れ・焼戻しによる靭性改善に頼らない本発明では、Ca、Mgおよび/またはREMによる靭性の異方性改善は必要不可欠である。その効果を得るために、Ca、Mg、REMから選ばれた少なくとも1種の元素を0.0003%以上の量で含有させる。なお、REMは、Ce、La、Y、Ndなどのそれぞれ単独元素での添加でも、ミッシュメタルのような希土類元素混合物の添加でもよい。しかし、いずれの元素についても、0.01%を超えて含有させると、介在物がクラスター状になって、かえって鋼の靭性が低下する。添加量の好ましい範囲はいずれの元素についても、0.0005〜0.005%である。
NbおよびTiの1種または2種:それぞれ0.002〜0.1%
NbおよびTiは、焼ならし熱処理の加熱時に炭窒化物を形成して、オーステナイト粒径を微細化し、ひいては空冷時の相変態で生ずるフェライト+ベイナイトの細粒化を促し、靱性を向上させる。この作用はNbとTiのいずれでも同様に得られるので、いずれか一方を0.002%以上の量で含有させればよい。しかし、より顕著に上記作用を得るために、NbおよびTiをそれぞれ0.002%以上含有させることが好ましい。しかし、それぞれの含有量が0.1%を超えるとかえって靱性が低下する。NbとTiのそれぞれの含有量はより好ましくは0.003〜0.1%であり、さらにより好ましくは0.005〜0.08%である。
NbとTiの2種とも添加する場合、それらの合計量が0.003%以上、0.1%以下であることが好ましく、0.005〜0.08%の範囲内であることがより好ましい。この場合、NbとTiのそれぞれの含有量が0.005〜0.05%の範囲内であることが特に好ましい。
Ceq:0.45〜0.63
焼入れ・焼戻し熱処理の代わりに焼ならし熱処理によって、エアバッグアキュムレータ用の鋼管としての強度と耐バースト性能を鋼管に付与するためには、焼きならしによって、フェライト+ベイナイト2相組織を得る必要がある。そのため、C、Si、Mn、Cr、Mo、Cu、Niの含有量は適正なバランスとすることが肝要であり、その適正なバランスとは下記式(1)で定義されるCeqが0.45から0.63までの範囲に収まるようにすることである。Ceqが0.45未満では、焼きなまし後の金属組織がフェライト+パーライト2相組織になってしまい、高強度と低温靭性の両立が困難である。一方、Ceqが0.63を超えると、かえって低温靭性が低下してしまう。好ましいCeqの範囲は0.47から0.62の間であり、さらに好ましいCeqの範囲は0.50から0.60の間である。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+(Cr+Mo)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・ 式(1)
式中の元素記号は、その元素の質量%で表した含有量の数値である。CuおよびNiは任意添加元素であるため、これらを添加しない場合は、式(1)の対応する元素記号の項に0を代入する。
本発明にかかる鋼は、その組成に下記の任意添加元素から選ばれた少なくとも1種さらに含有してもよい。
Ni:0.05〜1.5%
Niは、焼ならし後の空冷でフェライト+ベイナイト2相組織を得やすくすると共に、鋼の靱性を高める作用がある。これらのNiの作用は不純物レベルの含有量であっても得られるが、より顕著にその効果を得るには、Niを0.05%以上の含有量で添加することが好ましい。しかし、Niは高価な元素であり、特にその含有量が1.5%を超えるとコスト上昇が著しくなる。したがって、添加する場合のNiの含有量は0.05〜1.5%とするのがよい。より好ましいNiの含有量は0.1〜1.0%である。
Cu:0.05〜0.5%
Cuは、焼ならし後の空冷でフェライト+ベイナイト2相組織を得やすくすると共に、鋼の靱性を高める作用がある。その効果を得るには、Cuは0.05%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Cuは0.5%を超えて添加すると、鋼の熱間加工性を低下させる。したがって、添加する場合のCuの含有量は0.1〜0.4%とするのがよい。
金属組織:フェライト+ベイナイトの2相組織
本発明では、鋼管がフェライト+ベイナイトの2相組織を有することにより、焼入れ・焼戻しを行わずに強度と低温靭性を両立して確保することができる。
本発明におけるフェライト+ベイナイトの2相組織とは、フェライトとベイナイトを主体とする組織を意味する。金属組織がパーライト等の第3相を含有する場合であっても、「フェライトとベイナイト」以外の相が面積率で10%未満であれば、強度及び靭性に顕著な影響を与えない。従って、フェライト+ベイナイトの2相組織は、面積率で10%未満の他の相を含有する組織も包含する。また、フェライト+ベイナイトの2相組織は、面積率で少なくとも10%のベイナイトを含有する。これは、ベイナイトの面積率が10%未満ではフェライト単層組織と実質的に同じ結果となり、強度と低温靱性の両立が困難となるからである。従って、フェライトとベイナイト以外の相が面積率で10%未満であっても、ベイナイトの面積率が10%未満であるものは、本発明で意味するフェライト+ベイナイトの2相組織には該当しない。
本発明にかかる継目無鋼管の製造方法は、基本的には、通常の継目無鋼管の製造方法と同様に、製管、熱処理、仕上げ冷間加工の各工程を経る。本発明の方法の特徴として、焼入れ・焼き戻しの熱処理は行わない。
(B) 製管
上記のように化学組成を調整した鋼を素材として、継目無鋼管を製造する。継目無鋼管の製管法としては特に限定されないが、例えば、マンネスマン−マンドレルミル方式により穿孔と延伸圧延を行い、得られた素管をサイザーまたはレデューーサーにより縮径圧延することを含む、熱間圧延による継目無鋼管の製造方法が例示される。
(C) 焼ならし熱処理
製管された継目無鋼管に焼ならし熱処理を施す。焼ならしの加熱温度は1000℃を越えるとオーステナイト粒の粗大化を招き、ひいては空冷時の相変態で生じるフェライト粒径を粗大化させてしまう。一方、焼ならし加熱温度がAc変態点を下回ると、加熱したとしても製管時に析出した炭化物が固溶せずに不均一に粗大化してしまい、靭性が低下する。したがって、焼ならしの加熱温度はAc変態点以上で1000℃以下の範囲とする。この焼ならし後の空冷中に、鋼の金属組織はフェライト+ベイナイトの2相組織となる。焼ならし熱処理の後、必要に応じて、酸洗等により脱スケール処理を行うことができる。
仕上げの冷間加工の負担を軽減するために、焼ならしの前に、粗加工として冷間加工を継目無鋼管に施してもよい。その際に発生した材質異方性は、その後に行う焼ならしによって解消されるので、問題とならない。この粗加工の冷間加工における減面率は50%以下とすることが好ましい。
(D) 仕上げ冷間加工
上記のように製管および熱処理された継目無鋼管は、所定の寸法精度、表面性状が得られる条件下で冷間加工される。冷間加工は、所定の寸法精度と表面性状が得られさえすればよいので、冷間加工方法や加工度は特に規定されない。冷間加工方法は、例えば、冷間抽伸、冷間圧延等でよく、2種以上を組合わせてもよい。冷間加工の加工度は減面率で3%以上とするのが好ましい。
(E) 応力除去焼鈍
仕上げの冷間加工を施した鋼管には、残留応力が生じているので、応力除去焼鈍を施すのが好ましい。応力除去焼鈍の温度は450℃から650℃の範囲内が、強度と靭性の両立の点で好ましい。
以上のような製造工程の後、必要に応じて、孔型ロールを組み合わせて構成するストレートナーによる曲がり矯正を施して、製品とされる。
以下の実施例により本発明を例証するが、本発明は実施例により何ら制限されるものではない。
本例では、異なる化学組成を有する多数の鋼材について、引張強度、低温靱性および金属組織を調査するため、板材を用いて試験を行った。
表1に示す化学組成を有する鋼塊50 kgを真空溶解にて調製した。表1における鋼No. 1から10は、化学組成中の各成分の含有量およびCeqが本発明で規定する条件を満たす鋼である。一方、鋼No. 11から15は、化学組成中のいずれかの元素またはCeqが本発明で規定する条件からはずれた比較用の鋼である。これらの鋼種はいずれも、Ac変態点が710℃から770℃の範囲内、Ac変態点が820℃から880℃の範囲内であった。
前記鋼塊を1250℃に加熱した後、熱間圧延により厚さ10 mmの板材を作成した。この熱間圧延板材に表2に示すような条件で熱処理および冷間圧延を施して、性能評価用の板材を作成した。すなわち、熱間圧延板材を900℃に加熱し、この温度で10分間均熱した後に空冷する焼ならし熱処理を施した。なお、この時の空冷は800℃から500℃間の平均冷却速度で2〜3℃/秒であった。次に、焼ならしを施した板材に冷間圧延を施して、肉厚6 mmに仕上げた後、応力除去焼鈍のために、450℃から600℃の間の範囲のある温度に加熱して20分間均熱して空冷する熱処理を施した。このようにして作成された板材に対して、引張試験、シャルピー衝撃試験および金属組織観察を行った。試験結果も表2に併せて示す。
引張試験は、板材の圧延方向に直交した方向から採取された直径4 mm、平行部長さ34 mmの丸棒試験片を用いて、JIS Z2241に規定の金属材料引張試験方法に準じて実施した。
シャルピー衝撃試験は、板材の圧延方向に直交した方向から採取された長さ55 mm、幅4 mm、厚さ10 mmの直方体の長さの中心にノッチ角度45°、ノッチ深さ2 mm、ノッチ底半径0.25 mmのV型ノッチを厚さ方向に付与して作成されたサブサイズ試験片を用いて、JIS Z2242 01に規定の金属材料のシャルピー衝撃試験方法に準じて各種温度で実施して、破面率が100%延性である下限試験温度(vTr 100)を求めた。
金属組織観察では、板材の縦断面を観察面として10 mm角の立方体を採取し、これを樹脂に埋込んで研磨した後、ナイタル腐食液にて観察面を腐食し、腐食面を光学顕微鏡によって観察した。金属組織は、以下のように判定した。
(1) フェライトが主体であり、面積率でベイナイト組織が10%以上、パーライトが10%未満の場合:フェライト+ベイナイト2相
(2) フェライトが主体であり、面積率でパーライト組織が10%以上、ベイナイトが10%未満の場合:フェライト+パーライト2相組織
表1に示した供試鋼の範囲では、上記(1)、(2)以外の形態は観察されなかった。
引張試験およびシャルピー衝撃試験の結果は、エアバッグアキュムレータ用鋼管の材料に適合するように次のように評価した。即ち、引張試験については引張強度が850 MPa以上の場合を合格、850 MPa未満の場合を不合格とした。シャルピー衝撃試験については、破面率が100%延性である試験温度の下限温度(vTr 100)が−20℃以下である場合を合格、−20℃超の場合を不合格とした。
Figure 2008050628
Figure 2008050628
表2に示すように、本発明で規定する化学組成を有する鋼No. 1〜10については、金属組織がフェライト+ベイナイト2相組織であり、引張強度およびシャルピー衝撃試験の結果が両方とも合格であった。従って、これらはエアバッグアキュムレータ用鋼管用材料として好適な強度と靱性を有していた。
一方、鋼No. 11では、Ceqが範囲より低いため、引張強度が低すぎた。鋼No. 12では、Ceqが範囲より高かったため、引張強度は合格であるが、シャルピー衝撃試験による低温靱性が不合格である。鋼No. 13では、Ti、Nbが何れも添加されていないため、低温靱性が不合格であった。鋼No. 14では、Ceqは範囲内であったが、Mn含有量が低すぎたため、金属組織がフェライト+パーライトとなって低温靭性が不合格であった。鋼No. 15では、Ceqは範囲内であったが、Ca、Mg、REMのいずれもが添加されていなかったため、低温靭性が不合格であった。
表3に示す化学組成を有する鋼素材(鋼No. 16、17)を用いて、マンネスマン−マンドレル方式の継目無鋼管製造設備を用いて、外径31.8 mm、肉厚2.7 mmの継目無鋼管を製管した。いずれの鋼も本発明の範囲内の化学組成を有する。
鋼No. 16の継目無鋼管には、通常の方法での冷間抽伸により、外径を25.0 mm、肉厚を2.25 mmにする粗加工(減面率35%)を施した。その後、この鋼管を900℃に加熱して5分間均熱した後で空冷することにより焼ならし熱処理を施した。この鋼管を粗加工と同じ方法での冷間抽伸によって外径20.0 mm、肉厚1.85 mmに仕上げた後(減面率34%)、500℃に加熱して20分間均熱した後に空冷する応力除去焼鈍を行って、製品鋼管を得た。
鋼No. 14の継目無鋼管には、粗加工を行わずに、900℃に加熱して5分間均熱した後で空冷する焼ならし熱処理を施した。その後、通常の方法での冷間抽伸によって、外径25.0 mm、肉厚2.0 mmに仕上げた後(減面率41%)、470℃に加熱して20分間均熱した後に空冷する応力除去焼鈍を行って、製品鋼管を得た。
上記2種類の製品鋼管を用いて、以下のようにして強度、靭性、耐バースト性能の評価を行った。試験結果も表3に併せて示す。
引張強度は、鋼管の長手方向から採取したJIS Z2201に規定の11号試験片を用いて、JIS Z2241に規定の金属材料引張試験方法に準じて試験した。
靭性の評価は、室温で展開した鋼管から周方向(T方向)が長さ方向となるように長さ55 mm、幅1.85 mm、厚さ10 mmの直方体を採取し、この直方体の長さの中心に、ノッチ角度45°、ノッチ深さ2 mm、ノッチ底半径0.25 mmのV型ノッチを厚さ方向に付与して作成したサブサイズ試験片を用いて、JIS Z2242 01に規定の金属材料のシャルピー衝撃試験方法に準じて実施した。
バースト試験は、製品鋼管から250 mm長さの鋼管を3本切り出し、両端に蓋体を溶接して鋼管を密閉し、−20℃に保持された密閉鋼管内に一方の蓋体を貫通する導入口から液体(エタノール)を充填して管内の内圧を高めることによって鋼管をバースト(破裂)させることにより行った。耐バースト性は-20℃でのバースト時の亀裂の進展度合いを観察することにより実施した。
Figure 2008050628
表3に示すように、鋼No. 16および17のいずれの継目無鋼管も、引張強度、靭性、耐バースト性能がいずれも良好であった。この結果から、本発明の継目無鋼管がエアバッグアキュムレータ用途としての性能を満足することが確認された。すなわち、冷間加工が焼ならし熱処理前の粗加工とこの熱処理後の仕上げ加工の2段階で行った場合 (鋼No. 16) のみならず、粗加工を行わずに仕上げ加工だけで製品化した場合 (鋼No. 17) であっても、焼入れ・焼戻しを行わずに、焼ならしという簡易な熱処理だけで、エアバッグアキュムレータに求められる性能を具備した継目無鋼管を製造することができた。
図1は、C当量と引張強度との相関関係を、本発明に係る鋼(表1の鋼No. 1 - 10およびNo.16、17)と、特許文献5、6の実施例に示される鋼とについて比較して示すグラフである。これからも分かるように、本発明の場合、かなり強度レベルの高い材質が得られる。本発明に係る鋼はさらに低温靱性にも優れており、実際の耐バースト性能においてもその優位性が検証されており、エアバッグアキュムレータ用に優れた材料である。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.08〜0.20%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.010%以下、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、Al:0.002〜0.10%を含み、さらにCa:0.0003〜0.01%、Mg:0.0003〜0.01%、およびREM(希土類元素):0.0003〜0.01%から選ばれた少なくとも1種と、Ti:0.002〜0.1%およびNb:0.002〜0.1%から選ばれた少なくとも1種とを含み、下記の式(1)で定義されるCeqが0.45〜0.63の範囲であり、残部Feおよび不純物から本質的になる鋼組成を有し、金属組織が、ベイナイト面積率が10%以上のフェライト+ベイナイトの混合組織であることを特徴とするエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管:
    Ceq=C+Si/24+Mn/6+(Cr+Mo)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・ 式(1)
    式(1)中の元素記号はその元素の質量%での含有量の数値を意味する。
  2. 上記鋼組成において、Feの一部がCu:0.05〜0.5%およびNi:0.05〜1.5%から選ばれた1種または2種により置換されている、請求項1記載のエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管。
  3. 請求項1または2に記載の鋼組成を有する継目無鋼管を製管する工程と、鋼管を所定の寸法にするために仕上げ冷間加工する工程とを含むエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管の製造方法であって、前記仕上げ冷間加工工程の前に、鋼管をAc変態点〜1000℃の範囲内の温度に加熱した後に空冷することによる焼ならし熱処理工程を含むことを特徴とする方法。
  4. 前記仕上げ冷間加工工程を冷間抽伸加工により行う、請求項3に記載のエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管の製造方法。
  5. 前記仕上げ冷間加工工程の後に、鋼管に450〜650℃の温度で応力除去焼鈍を施す工程をさらに含む、請求項3に記載のエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管の製造方法。
  6. 前記焼ならし熱処理工程の前に、鋼管を冷間加工により粗加工する工程をさらに含む、請求項3に記載のエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管の製造方法。
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