JPWO2008032852A1 - 硬化油風味付与剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、バニリン及び/又はエチルバニリンを含有する硬化油風味付与剤及びそれを用いてなる硬化油風味油脂を開示する。

Description

本発明は硬化油風味付与剤及びそれを用いてなる硬化油風味油脂に関する。
硬化油は、通常、原料である大豆油、菜種油、パーム油、ヤシ油、パーム核油などの植物性油脂、あるいは鯨油、魚油、牛脂、豚脂などの動物性油脂に、約160〜約180℃の温度で、ニッケル触媒の存在下に水素添加する方法などにより製造される、常温で固形の食用加工油脂である。硬化油は、安価な油脂原料を用いて製造され且つ品質が安定していることから、大量かつ広い応用範囲で使用されている。特に、その融点が高い特性を生かし、油脂の融点調整、食品へのサクサクとした食感の付与又は改良、揚げ油として使用した際のからっとした状態の付与などに広く利用されている。油脂は、ゴマ油、大豆油、菜種油、ラードなどのように原料自身がもつ風味を生かして食品製造に使用される場合もあるが、食品によってはこうした風味が反対に邪魔になる場合もある。硬化油は、原料である植物性油脂または動物性油脂の異味・異臭が除去され、香気、香味に癖がないとされ、マーガリンやショートニング、バタークリームなどの油脂食品;ドーナッツ、ケーキ、チョコレートなどの菓子類;その他の食品の揚げ油などに利用されている。最近では、硬化油を使用した揚げ物などの食品のサクサク感、からっとした揚げたてのような状態が電子レンジ食品の品質の向上に貢献している。
通常、硬化油の欠点として、「水添臭」、「水添戻り臭」、「戻り臭」、「硬化臭」、「硬化油臭」などと呼ばれる異臭(以下、これを「硬化異臭」と呼ぶ)があり、食品製造時あるいは製造後に、この異臭が食品の風味を損ない問題となることがある。上記の臭いの原因は、6−ノネナールを始めとするアルデヒド類、ケトン類であり、油脂中に存在する脂肪酸が光、熱などの影響で生成するとされている(「食品油脂のにおいの成分」、油化学17(1)、2〜18(1968);「油脂のにおい成分について(第2報) 水添臭の検索」、油化学19(9)、883〜887(1970)参照)。
これに対し、実際の使用者あるいは開発者の間で、硬化油を使用して製造される食品の香気を表現する用語として、「硬化臭」、「硬化油臭」が用いられる場合がある。このような場合には、製品の品質にプラスに働く香気を表す表現として使用されている(以下、これを「硬化油風味」と呼ぶ)。「硬化油風味」は、具体的には、硬化油を含む食品に加熱などの食品加工が加えられる結果醸成されるねっとりとした上品な甘さのことを指し、例えば、ドーナッツの揚げ油として硬化油を含む油脂を使用した場合、でき上がったドーナッツに何とも言えない上品な甘い調理感を付与し、消費者の購買意欲を惹起し、飲食時に十分な満足感を与える効果がある。この「硬化油風味」は、製品そのものの重要な価値を産み出しており、これに匹敵する香気・香味を与える硬化油以外の代替油脂は開発されていない。また、ドーナッツに香辛料、香料などを添加して風味付けを行うことも一般的に行われているが、添加した香辛料、香料の風味が強すぎて、添加量を調整しても基材の風味が損なわれ、上記の「硬化油風味」を得ることはできない。
硬化油の水添臭などの香気・香味を改良したものとして、硬化油製造時に限界まで二重結合を水素添加した極度硬化油があるが、完全に水添臭がなくなるわけではなく、また、香気改善のために、硬化油に香辛料、香料などを添加することも行われるが、硬化油に添加し、食品加工後に、食品に「硬化油風味」を付与することができる添加剤は知られていない。さらに、パーム油に液体植物油、極度硬化油、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加した、油じみがなく水添油臭のないフライ用油脂(特開平9−322708号公報参照)、パーム系油脂にハイエルシン菜種極度硬化油をエステル交換し、融点25℃以上の油脂を含有するようにした酸化防止効果および硬化臭を低減したフライ用油脂組成物(特開平11−155483号公報参照)、パーム油系油脂にハイエルシン菜種極度硬化油をエステル交換し、融点25℃以上の油脂を含有するようにした酸化防止効果および硬化臭を低減したスプレー用油脂組成物(特開平11−262358号公報参照)、エステル交換油脂と油脂を混合し、構成脂肪酸中の二重結合を2以上とすることにより風味の劣化、水添臭の生成を抑えたフライ用油脂(特開2000−270770号公報参照)、フレーバーを添加した食用硬化油を微粒子化してなる水添戻り臭の極めて少ないフレーバー添加食用油脂(特開平6−327403号公報参照)、乳製品粉末および還元糖の加熱反応由来の油溶成分を含有する、旨さ、コク味を付与すると共に硬化臭が低減した風味油(特開平7−46961号公報参照)、香料をゲル形成能を有する化合物の存在下に乳化し、噴霧乾燥することにより加熱を伴う食品の風味改善がなされたコーティング粉末香料(特許第2811242号公報参照)、植物性硬化油でラーメンを油揚げする際に還元糖又はアミノ酸を添加し、硬化油のアルデヒド由来の臭いを麺に移行させる方法(特表2002−536972号公報参照)などが提案されている。
しかしながら、これらの提案は、硬化油を使用する際の硬化油特有の水添戻り臭の改善、あるいは油揚げ麺の風味の維持を目的とするものであり、上記文献には、加熱などの食品加工が加えられる結果醸成されるねっとりとした上品な甘さを意味する「硬化油風味」の付与、増強については勿論のこと、これらの香気の存在それ自体に関しても、何ら記載も示唆もされていない。また、最近、トランス脂肪酸が動脈硬化などの原因となる可能性があるとしてその表示指針が米国連邦政府より発表された結果、トランス脂肪酸を多く含む硬化油の使用が嫌われるケースも増えており、代替油脂の開発などの有効な解決法の出現が強く望まれている。
本発明の目的は、油脂に添加し揚げ油として用いて食品を加熱調理するか、または食品に直接添加して加熱加工などを行うことにより、食品に「硬化油風味」と呼ばれる醸成されたねっとりとした上品な甘さを付与することのできる硬化油風味付与剤及びそれを用いてなる硬化油風味油脂を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、今回、驚くべきことに、液状油脂にバニリン又はエチルバニリンを特定の濃度で添加したところ、油脂に「硬化油風味」が付与され、それを用いて調理された食品に対しても「硬化油風味」と呼ばれる良質な香気・香味を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、バニリン及びエチルバニリンから選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とする硬化油風味付与剤を提供するものである。
本発明は、さらに、バニリン及びエチルバニリンから選ばれる少なくとも1種の成分を1〜10000ppmの範囲内の濃度で含有することを特徴とする硬化油風味油脂を提供するものである。
本発明によれば、硬化油風味付与剤を油脂に添加し揚げ油として用いて食品を加熱調理するか、または食品に直接添加して加熱加工を行うなどにより、食品に「硬化油風味」と呼ばれる良質な香気・香味を付与することができる。
以下、本発明の硬化油風味付与剤又は硬化油風味油脂についてさらに詳細に説明する。
本発明の硬化油風味付与剤において使用されるバニリン及び/又はエチルバニリンとしては、例えば、天然より抽出されたもの及び合成品のいずれであってもよく、市販バニリンとしては、例えば、Rhovanil(ローディア社製、商品名)、EuroVanillin Supreme(ボレガード社製、商品名)などが挙げられ、また、市販エチルバニリンとしては、例えば、Rhodiarome Extra−Pure(ローディア社製、商品名)、Euro Vanillin Aromatic(ボレガード社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の硬化油風味付与剤は、上記バニリン及び/又はエチルバニリンを、該付与剤の重量を基準にして、一般に0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは5〜20重量%の範囲内の濃度で含有することができ、また、実質的に上記バニリン及び/又はエチルバニリンのみからなることもできる。
本発明の硬化油風味付与剤には、必要に応じて、香料化合物、特に、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン、2−エチル−3−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、3−メチル−1,2−シクロペンタンジオン、3−エチル−1,2−シクロペンタンジオン、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノン、2−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−3(2H)−フラノン、3,4−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオン及びラクトン類から選ばれる少なくとも1種の香料化合物を含有せしめることができ、それによって、調理された食品に、「硬化油風味」に極めて類似した、醸成されたねっとりとした上品な甘さを付与することができる。
これらの香料化合物は、天然より抽出されたもの及び合成品のいずれであってもよく、市販品としては、例えば、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン(Aldrich社製)、2−エチル−3−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン(Penta社製)、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン(Firmenich社製)、3−メチル−1,2−シクロペンタンジオン(曽田香料社製)、3−エチル−1,2−シクロペンタンジオン(Aldrich社製)、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド(Berje社製)、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン(曽田香料社製)、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノン(Givaudan社製)、2−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−3(2H)−フラノン(Givaudan社製)、3,4−ジメチ−1,2−シクロペンタンジオン(Givaudan社製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、ラクトン類としては、一般に炭素数が8〜12の範囲内のもの、例えば、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の硬化油風味付与剤は、上記香料化合物を、該付与剤の重量を基準にして、一般に0.001〜50重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲内の濃度で含有することができる。
本発明の硬化油風味付与剤には、さらに必要に応じて、脂肪酸、特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸を含有せしめることができ、これにより食品に、「硬化油風味」に極めて類似した、醸成されたねっとりとした上品な甘さを付与することができる。これらの脂肪酸は天然より抽出されたもの及び合成品のいずれであってもよい。
本発明の硬化油風味付与剤は、上記脂肪酸を、該付与剤の重量を基準にして、一般に0.1〜95重量%、好ましくは1〜60重量%、より好ましくは5〜30重量%の範囲内の濃度で含有することができる。
さらに、本発明の硬化油風味付与剤には、例えば、MCT、グリセリンなどの溶剤成分;ビタミンEなどの抗酸化剤;香料、香辛料抽出物などの食品に使用可能な油溶性成分を適宜配合することができる。
以上に述べた本発明の硬化油風味付与剤は、食品、例えば、ドーナッツ、パン類又はこれらのプレミックス;ケーキ、パイ、チョコレートなどの菓子類に直接添加して加熱加工することにより、該食品に「硬化油風味」を付与することができ、また、油脂に添加して本発明の硬化油風味油脂とすることができる。
本発明の硬化油風味付与剤を添加して硬化油風味油脂を調製するために使用し得る原料油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、サフラワー油(ベニバナ油)、コーン油、ひまわり油、綿実油、米油、オリーブオイル、パーム油、ヤシ油、ごま油、牛脂、豚脂、魚油、硬化油、中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、MCTと略す)などの任意の食用油脂、あるいはこれらに分別、水素添加、エステル交換などの処理を施した加工油脂などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これら原料油脂それ自体は、香気が全くないか、ほとんどない程度に高度に精製されたものであることが望ましい。
本発明の硬化油風味付与剤は、原料油脂に対して、得られる硬化油風味油脂が、バリン及び/又はエチルバリンを、該硬化油風味油脂の重量を基準にして、一般に1〜10000ppm、好ましくは50〜2000ppm、より好ましくは100〜400ppmの範囲内の濃度で含有するような量で添加することができる。
また、本発明の硬化油風味油脂は、必要に応じて、前述した香料化合物を、硬化油風味油脂の重量を基準にして、一般に0.01〜5000ppm、好ましくは10〜500ppm、より好ましくは25〜100ppmの範囲内の濃度で含有することができ、さらに、必要に応じて、前述した脂肪酸を、硬化油風味油脂の重量を基準にして、一般に1〜12000ppm、好ましくは50〜2500ppm、より好ましくは125〜450ppmの範囲内の濃度で含有することができる。
しかして、本発明の硬化油風味油脂の一実施態様を例示すれば次のとおりである:
バニリン、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン、ステアリン酸及びMCTの混合物を40℃で攪拌溶解して硬化油風味付与剤を得、次いで、それをパーム油に少量添加して溶解させることにより硬化油風味油脂とすることができる。また、所望により、それに香辛料、香料または調味料、あるいはビタミンEなどの抗酸化剤を添加することもできる。さらに、得られる硬化油風味油脂は、所望により、適宜な手段を用い、乳化物、粉末などの形態にすることもできる。かくして得られる硬化油風味油脂を、揚げ油として使用する場合には、数回繰り返し使用することができ、その間、食品に硬化油風味を安定的かつ経済的に付与することができる。
さらに、本発明の硬化油風味油脂の調製に際して、原料油脂中に硬化油を一部配合することができ、それによって、硬化油風味油脂に、香気としての「硬化油風味」だけでなく、味やコク(香味)としての「硬化油風味」をも付与することができ、さらに、バニリン及び/又はエチルバニリンや必要に応じて添加される前述の香料化合物及び/又は脂肪酸の含有量を減らしても、油脂又は食品に「硬化油風味」を十分に付与することができるなどの効果が得られる。
原料油脂に配合する硬化油の量は、原料油脂や添加する硬化油の種類などにより異なるが、原料油脂100重量部あたり、通常1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部の範囲内が適当である。
原料油脂中に硬化油を一部配合した硬化油風味油脂は、バニリン及び/又はエチルバニリンを、硬化油風味油脂の重量を基準にして、通常8〜80ppm、特に24〜60ppmの範囲内の濃度で含有することができる。
また、原料油脂中に硬化油を一部配合した硬化油風味油脂は、必要に応じて、前述の如き香料化合物を、硬化油風味油脂の重量を基準にして、通常2〜20ppm、特に5〜15ppmの範囲内の濃度で含有することができ、さらに、必要に応じて、前述の如き脂肪酸を、硬化油風味油脂の重量を基準にして、通常5〜50ppm、特に10〜40ppmの範囲内の濃度で含有することができる。
本発明の硬化油風味油脂に使用される原料油脂としては、硬化油1〜20重量%、特に2〜10重量%と非硬化油80〜99重量%、特に90〜98重量%から本質的になるものが好ましく、これにより、加熱調理に用いた際の「水添臭」が低減し、且つ、トランス脂肪酸含量を低減させても、良好な香気・香味としての「硬化油風味」を油脂に付与することができる。硬化油風味油脂中の硬化油の含有量が多すぎると、加熱調理に用いた際に、不快な「水添臭」が感じられ、少なすぎると、良好な「硬化油風味」を十分に付与することができない。
上記硬化油としては、例えば、大豆油、菜種油、パーム油、ヤシ油、パーム核油などの植物油脂、あるいは魚油、牛脂、豚脂などの動物油脂を原料とし、それをニッケル触媒の存在下に約120〜約200℃の温度で水素添加する方法などにより得られるものを挙げることができるが、良好な「硬化油風味」得るためには、硬化油の原料は液体油であることが好ましく、例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、カポック油、ゴマ油、月見草油などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記硬化油としては、融点が10〜40℃、特に20〜35℃の範囲内にある硬化油を使用することが好ましく、そうすることにより、得られる硬化油風味油脂を加熱調理に用いた際に、良好な香気・香味である「硬化油風味」を食品に付与することができる。なお、融点が10℃未満の硬化油を用いると、加熱調理に用いた際の「硬化油風味」付与効果が弱くなり、反対に、融点が40℃を越える硬化油を用いると、「硬化油風味」付与効果がなくなり、不快な「水添臭」が生じる可能性がある。
さらに、上記硬化油として菜種硬化油を使用することが特に好ましく、硬化油風味油脂中に菜種硬化油を一部配合することにより、加熱調理に用いた際に、「水添臭」がなく、より良好な香気・香味である「硬化油風味」を食品に付与することができる。
他方、上記非硬化油としては、特に制限はなく、例えば、大豆油、菜種油、サフラワー油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、米油、オリーブオイル、パーム油、ヤシ油、ごま油、牛脂、豚脂、魚油、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの任意の食用油、あるいはこれらに分別、エステル交換などの処理を施した加工油脂などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化油風味油脂の調製に使用することができる油脂には、特に制限はないが、硬化油風味油脂中のトランス脂肪酸含量が3重量%以下となるように選択することが好ましい。トランス脂肪酸は自然界において、例えば、乳脂肪中には5重量%前後含まれており、その程度のトランス脂肪酸の摂取による健康への影響は小さいと考えられているが、本発明に従えば、前述したとおり、健康上心配のあるトランス脂肪酸含量を低減させながら、「硬化油風味」が付与された硬化油風味油脂を得ることができる。
なお、油脂中のトランス脂肪酸含量は、AOCS Official Method Ce 1f−96(Revised 2002)に準じて決定することができる。
また、本発明の硬化油風味油脂は、上記非硬化油の少なくとも一部として、パーム由来の油脂を含有することが好ましく、パーム由来の油脂の使用により、硬化油風味油脂の熱安定性が向上し、プレーンなパーム油風味をベースに良好な「硬化油風味」を付与することができる。パーム由来の非硬化油脂の含有量は厳密に制限されるものではなく、硬化油風味油脂の用途などにより広い範囲にわたり変えることができるが、硬化油風味油脂の重量を基準にして、一般に少なくとも50重量%、特に少なくとも60重量%、さらに特に少なくとも80重量%であることが好ましい。
上記パーム由来の油脂としては、例えば、パーム油、パームオレインなどが挙げられる。特に、パーム油を配合した硬化油風味油脂をドーナッツの加熱調理に用いると、ドーナッツのべたつきを抑えることができる。
本発明の硬化油風味油脂には、さらに必要に応じて、乳化剤、抗酸化剤、消泡剤、着色剤などの添加剤を配合することもできる。
本発明の硬化油風味油脂は、例えば、ドーナッツ、パン類の揚げ油として用い加熱加工などの加工を行うことにより、あるいは本発明の硬化油風味付与剤又は硬化油風味油脂をドーナッツ、パン類又はこれらのプレミックス;ケーキ、パイ、チョコレートなどの菓子類に直接配合し加熱調理などを行うことにより、これら食品に良好な「硬化油風味」を付与し及び/又は増強することができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
実施例1
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油(不二製油社製)に0.2%添加して溶解し、硬化油風味油脂を得た。
これとは別に、原料として無塩バター40g、砂糖40g、小麦粉(薄力粉)200g、塩1つまみ、ベーキングパウダー小さじ2、ベーキングソーダ小さじ1/2、卵1個、牛乳50cc及びグラニュー糖適量を、常法に従い、混合および捏ね合わせドーナッツのドウを調製した。
上記硬化油風味油脂を揚げ油として使用し、温度180℃にてドーナッツを揚げた(本発明品1)。
実施例2
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)及びMCT(日清製油社製)900gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油(不二製油社製)に0.2%添加して溶解し、硬化油風味油脂を得た。得られる硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品2)。
実施例3
バニリン(宇部興産社製)80g、MCT(日清製油社製)920gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油(不二製油社製)に0.2%添加して溶解し、硬化油風味油脂を得た。得られる硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品3)。
実施例4
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解しし、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油(不二製油社製)とひまわり油(不二製油社製)を50対50の割合で配合した油脂に0.2%添加して溶解し硬化油風味油脂を得た。得られる硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品4)。
比較例1
揚げ油としてパーム油を使用する以外は、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(比較品1)。
比較例2
揚げ油としてパーム硬化油を使用する以外は、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(比較品2)。
官能評価:
上記実施例及び比較例で得た本発明品1〜4及び比較品1、2の揚げドーナッツの風味について、よく訓練された10名のパネラーによる官能評価試験を行った。パネラーは次の評価基準により得点付けを行い、得点合計を表1に示す。また、パネラー全員で総合的な官能表現をまとめた。その結果も表1に示す。
評価基準
ねっとりとした上品な甘さが硬化油と同様の強さである・・・・・3点
ねっとりとした上品な甘さが硬化油よりやや劣る・・・・・・・・・・・・2点
ねっとりとした上品な甘さが感じられない・・・・・・・・・・・・・・・・・・1点
Figure 2008032852
表1に示すとおり、揚げ油としてパーム油を使用した場合には、植物油由来の香気が感じられるものの甘さはまったく感じられなかった(比較品1)。また、揚げ油として硬化油を使用した場合には、ねっとりとした甘さ、いわゆる硬化油風味が感じられるが、一方で、不快な水添臭も感じられた(比較品2)。これに対し、揚げ油として硬化油風味油脂を使用した本発明品1〜4は、不快な水添臭がなく、ねっとりとした甘さ、すなわち硬化油風味が感じられ、良好な香気・香味が得られた。
実施例5
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油と菜種硬化油(融点35℃)を90対10の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量4.4重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品5)。
実施例6
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それを大豆油(不二製油株式会社製)と菜種硬化油(融点35℃)を98対2の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量1.9重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品6)。
実施例7
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それを大豆油とパーム油と菜種硬化油(融点35℃)を20対78対2の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量1.5重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品7)。
実施例8
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油と綿実硬化油(融点35℃)を97対3の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量1.6重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用しは、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品8)。
実施例9
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油と大豆硬化油(融点35℃)を98対2の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量1.3重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品9)。
実施例10
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油と菜種硬化油(融点22℃)を97対3の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量1.5重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品10)。
実施例11
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパームオレイン(不二製油株式会社製)と菜種硬化油(融点35℃)を98対2の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量1.3重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品11)。
実施例12
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油と菜種硬化油(融点35℃)を98対2の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量1.4重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品12)。
実施例13
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油と菜種硬化油(融点35℃)を95対5の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量2.6重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品13)。
実施例14
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油と菜種硬化油(融点10℃)を95対5の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量0.7重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品14)。
実施例15
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)、ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油と菜種極度硬化油(融点61℃)を97対3の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量0.7重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品15)。
実施例16
バニリン(宇部興産社製)80g、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン20g(Aldrich社製)ステアリン酸(日本油脂社製)50g及びMCT(日清製油社製)850gの混合物を40℃で攪拌溶解し、硬化油風味付与剤を調製した。それをパーム油と綿実硬化油(融点35℃)を70対30の割合で配合した油脂に0.05%添加して溶解し、硬化油風味油脂(トランス脂肪酸含量9.5重量%)を得た。得られた硬化油風味油脂を使用し、実施例1と同様にしてドーナッツを揚げた(本発明品16)。
官能評価:
上記実施例で得た硬化油風味油脂を用いて揚げた本発明品5〜16のドーナッツの風味について、をよく訓練された10名のパネラーによる官能評価試験を行った。パネラーは次の評価基準により得点付けを行った。
評価基準
甘さとコクが感じられ良好・・・・・・・3点
甘さとコクが感じられるがやや薄い・・・2点
甘さとコクが感じられない・・・・・・・1点
また、「硬化油風味」の香気・香味について、次の基準により評価した。
評価基準
非常に良好・・・・・・・◎
良好・・・・・・・・・・○
あまり感じられない・・・△
感じられない・・・・・・×
さらに、パネラー全員で総合的な官能表現をまとめた。これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 2008032852
本発明の硬化油風味付与剤及び硬化油風味油脂を油脂に添加し揚げ油として用いて加熱調理を行うか、あるいは食品に直接添加して加熱加工などを行うことにより、食品に「硬化油風味」と呼ばれる醸成されたねっとりとした上品な甘さを付与することができる。

Claims (14)

  1. バニリン及び/又はエチルバニリンを有効成分として含有することを特徴とする硬化油風味付与剤。
  2. バニリン及び/又はエチルバニリンを0.1〜95重量%の範囲内の濃度で含有する請求の範囲第1項に記載の硬化油風味付与剤。
  3. 3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン、2−エチル−3−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、3−メチル−1,2−シクロペンタンジオン、3−エチル−1,2−シクロペンタンジオン、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノン、2−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−3(2H)−フラノン、3,4−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオン及びラクトン類から選ばれる少なくとも1種の香料化合物を0.001〜50重量%の範囲内の濃度でさらに含有する請求の範囲第1又は2項に記載の硬化油風味付与剤。
  4. ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸を0.1〜95重量%の範囲内の濃度でさらに含有する請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載の硬化油風味付与剤。
  5. バニリン及び/又はエチルバニリンを1〜10000ppmの範囲内の濃度で含有することを特徴とする硬化油風味油脂。
  6. 3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン、2−エチル−3−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、3−メチル−1,2−シクロペンタンジオン、3−エチル−1,2−シクロペンタンジオン、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノン、2−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−3(2H)−フラノン、3,4−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオン及びラクトン類から選ばれる少なくとも1種の香料化合物を0.01〜5000ppmの範囲内の濃度でさらに含有する請求の範囲第5項に記載の硬化油風味油脂。
  7. ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸を1〜12000ppmの範囲内の濃度でさらに含有する請求の範囲第5又は6項に記載の硬化油風味油脂。
  8. 油脂が融点10〜40℃の硬化油1〜20重量%及び非硬化油80〜99重量%からなる請求の範囲第5〜7項のいずれか記載の硬化油風味油脂。
  9. 硬化油が菜種硬化油である請求の範囲第8項に記載の硬化油風味油脂。
  10. トランス脂肪酸含量が3重量%以下である請求の範囲第8項に記載の硬化油風味油脂。
  11. 非硬化油がパーム由来の油脂を少なくとも50重量%含有する請求の範囲第8項に記載の硬化油風味油脂。
  12. パーム由来の油脂がパーム油又はパームオレインである請求の範囲第11項に記載の硬化油風味油脂。
  13. ドーナッツフライ油である請求の範囲第4〜12項のいずれかに記載の硬化油風味油脂。
  14. 請求の範囲第4〜12項のいずれかに記載の硬化油風味油脂で揚げたドーナッツ。
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