JPWO2008023578A1 - 光学素子、光学素子の製造方法及び光ヘッド - Google Patents

光学素子、光学素子の製造方法及び光ヘッド Download PDF

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Abstract

本発明は、精度が良く軽量で量産性の良い光学素子を提供する。このため、記録媒体の上を移動するスライダに搭載される光学素子において、光源から導いた光を透過する樹脂を材料として前記光学素子の反転形状を有する金型を用いた射出成形により形成され、一方の端は開放され他方の端は閉じられている溝及び前記溝の前記他方の端から入射する前記光を偏向する偏向面とを有し、前記偏向面でない面を形成する前記金型の面に前記樹脂が注入されるゲートを備えた前記金型を用いて成形されることを特徴とする。

Description

本発明は、光学素子、光学素子の製造方法及び光ヘッドに関する。
磁気記録方式では、記録密度が高くなると磁気ビットが外部温度等の影響を顕著に受けるようになる。このため高い保磁力を有する記録媒体が必要になるが、そのような記録媒体を使用すると記録時に必要な磁界も大きくなる。記録ヘッドによって発生する磁界は飽和磁束密度によって上限が決まるが、その値は材料限界に近づいており飛躍的な増大は望めない。そこで、記録時に局所的に加熱して磁気軟化を生じさせ、保磁力が小さくなった状態で記録し、その後に加熱を止めて自然冷却することにより、記録した磁気ビットの安定性を保証する方式が提案されている。この方式は熱アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
熱アシスト磁気記録方式では、記録媒体の加熱を瞬間的に行うことが望ましい。また、加熱する機構と記録媒体とが接触することは許されない。このため、加熱は光の吸収を利用して行われるのが一般的であり、加熱に光を用いる方式は光アシスト式と呼ばれている。
光アシスト式で超高密度記録を行う場合、必要なスポット径は20nm程度になるが、通常の光学系では回折限界があるため、光をそこまで集光することはできない。
そのため、入射光波長以下のサイズの光学的開口から発生する近視野光を利用する近視野光ヘッドが利用されている。
近視野光ヘッドの例として、ミラー基板、開口基板と、光ファイバーから成る近視野光ヘッドがある。ミラー基板はSi基板上に異方性エッチングによって形成された斜面にAlを蒸着したミラー面を持つ。ミラー基板にはV溝がエッチングによって形成されており、そこに光ファイバーが固定接着されている。開口基板はSiO2から成り、上面に直径0.2mmのマイクロレンズが形成されている。開口基板の底面には空気浮上のためのスライダと、その間に略直方体の近視野光発生微小構造が形成されている。光ファイバーからの出射光はミラー面で反射され、マイクロレンズで集光されて、近視野光発生微小構造に照射される(特許文献1参照)。
また、上記の例のマイクロレンズに代わり光導波路と光ファイバーとが光学的及び機械的に接続する例として、光導波路と光学的に結合すべき光ファイバーの位置を決める為のV字状の溝を設けた、透明な熱硬化性又は熱可塑性のプラスチックから成るV溝部材であって、金型に設けたV字状の溝を転写することにより成形したものと、転写したV字状の溝に接着し固定した光ファイバーと、その上に接着固定した透明な板状部材とから成り、かつ前記光導波路を有する光導波路基板と接続する為の突合端面とを有する光ファイバー整列部品がある(特許文献2参照)。
特開2003−6913号公報 特開平9−152522号公報
しかしながら、特許文献1によれば、ミラー基板はSi基板上に異方性エッチングにより斜面が形成されAlを蒸着することでミラー面とし、また、光ファイバーを固定接着するV溝がやはりエッチングにより形成されている。従って、光ファイバーが固定接着されるV溝と光ファイバーからの光を偏向するミラー面とが一体として形成されているが、その形成工程は、複雑であり、また得られたミラー基板は、Siを材料としていることからプラスチックに比較して2倍程度重いため、空気浮上させる上で有利とならない。
また、特許文献2によれば、多芯の光ファイバーを一括して光導波路基板と接続する光ファイバー整列部品としてV字状の溝を、微細なV字状の溝を有する金型をプラスチックに転写する方法で、形状が単純で、本質的には平板の表面に微細なV字状の溝が形成されたものであり、熱収縮も比較的均一で且つ残留歪みも少ないので、成形精度が高いV溝部材を得ることができると記載されているが、成形精度を高くする具体的な内容が記載されていない。
また、近年、例えばHDD(HARD DISK DRIVE)の様な記録装置の高密度情報記録が進むに伴い、再生記録を行うヘッドの小型化、ヘッドを構成するスライダの小型化が望まれている。スライダのサイズは、国際ディスクドライブ協会(IDEMA、INTERNATIONAL DISK DRIVE EQUIPMENT AND MATERIALS ASSOCIATION)スタンダードとして標準化されている。サイズの大きい順からミニ・スライダ、マイクロ・スライダ、ナノ・スライダ、ピコ・スライダ、フェムト・スライダと命名されている。これらのスライダの中で、大きさの観点から現在注目されているスライダは、ナノ・スライダ、ピコ・スライダ、フェムト・スライダである。これらのスライダの大きさ(サイズ)と質量を表1に示す。
高密度情報記録においては、上記のスライダの大きさから分かるように1枚のディスク上の情報の高密度化は勿論であり、更にディスクを多層配置する、又はできるだけ小型の筐体に収納することで空間的に高密度化することも必要である。例えば、多層のディスク配置を想定した場合、ディスク同士の間隔はできるだけ小さいことが要望され、表1で示したスライダの厚みを含めた光ヘッドの厚みは、1.5mm程度以下とすることが望まれている。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、精度が良く軽量で製造が容易な光学素子、光学素子の製造方法及びこの光学素子を用いた光ヘッドを提供することである。
上記の課題は、以下の構成により解決される。
1. 記録媒体の上を移動するスライダに搭載される光学素子において、
光源から導いた光を透過する樹脂を材料として前記光学素子の反転形状を有する金型を用いた射出成形により形成され、一方の端は開放され他方の端は閉じられている溝及び前記溝の前記他方の端から入射する前記光を偏向する偏向面とを有し、
前記偏向面でない面を形成する前記金型の面に前記樹脂が注入されるゲートを備えた前記金型を用いて成形されることを特徴とする光学素子。
2. 前記偏向面に加えて、前記溝が開口している面、前記溝が開口している面の反対側の面の何れでもない面を形成する前記金型の面に前記樹脂が注入されるゲートを備えた前記金型を用いて成形されることを特徴とする1に記載の光学素子。
3. 前記偏向面、前記溝が開口している面、前記溝が開口している面の反対側の面に加えて、前記溝が開放されている面の何れでもない面を形成する前記金型の面に前記樹脂が注入されるゲートを備えた前記金型を用いて成形されることを特徴とする2に記載の光学素子。
4. 前記溝の底を成す前記樹脂の厚みが前記一方の端側より前記他方の端側が厚いことを特徴とする1乃至3の何れか一に記載の光学素子。
5. 前記溝の深さが前記一方の端側より前記他方の端側が浅いことを特徴とする1乃至4の何れか一に記載の光学素子。
6. 前記光学素子の厚みが0.1mm以上1mm以下であり、且つ以下の条件式を満たす大きさであることを特徴とする1乃至5の何れか一に記載の光学素子。
b < L ≦ k×b
c < W ≦ k×c
但し、
k=2:係数
b:光学素子を載せるスライダの、スライダが移動する方向と同じ方向の長さ
c:光学素子を載せるスライダの、スライダが移動する方向に垂直な方向の幅
L:bと同じ方向の光学素子の長さ
W:cと同じ方向の光学素子の幅
7. 前記溝には、前記光源から導いた光を集光する集光素子が固定されていることを特徴とする1乃至6の何れか一に記載の光学素子。
8. 前記集光素子は、前記溝の底に固定されることを特徴とする7に記載の光学素子。
9. 前記集光素子は、前記光源から光を導光する線状導光体に結合される屈折率分布型レンズであることを特徴とする7又は8に記載の光学素子。
10. 7乃至9の何れか一に記載の光学素子と、該光学素子を保持する前記スライダと、を有することを特徴とする光ヘッド。
11. 前記スライダは、前記光学素子の前記溝の開口がある面に固定され、前記溝の開口がある面の反対の面に前記光学素子を支持するサスペンションが固定されることを特徴とする10に記載の光ヘッド。
12. 記録媒体の上を移動するスライダに搭載される光学素子の製造方法において、
光源から導いた光を透過する樹脂を材料とする、一方の端は開放され他方の端は閉じられている溝及び前記溝の前記他方の端から入射する前記光を偏向する偏向面を有する前記光学素子の反転形状を有する金型に、前記偏向面でない面を形成する前記金型の面に備えたゲートから前記樹脂を注入して射出成形する工程と、
前記射出成形する工程の後、前記金型から成形された前記光学素子を離型する工程と、を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
13. 前記ゲートは、前記偏向面に加えて、前記溝が開口している面、前記溝が開口している面の反対側の面の何れでもない面を形成する前記金型の面に備えていることを特徴とする12に記載の光学素子の製造方法。
14. 前記ゲートは、前記偏向面、前記溝が開口している面、前記溝が開口している面の反対側の面に加えて、前記溝が開放されている面の何れでもない面を形成する前記金型の面に備えていることを特徴とする13に記載の光学素子の製造方法。
15. 前記溝の底を成す前記樹脂の厚みが前記一方の端側より前記他方の端側が厚いことを特徴とする12乃至14の何れか一に記載の光学素子の製造方法。
16. 前記溝の深さが前記一方の端側より前記他方の端側が浅いことを特徴とする12乃至15の何れか一に記載の光学素子の製造方法。
17. 前記光学素子の厚みが0.1mm以上1mm以下であり、且つ以下の条件式を満たす大きさであることを特徴とする12乃至16の何れか一に記載の光学素子の製造方法。
b < L ≦ k×b
c < W ≦ k×c
但し、
k=2:係数
b:光学素子を載せるスライダの、スライダが移動する方向と同じ方向の長さ
c:光学素子を載せるスライダの、スライダが移動する方向に垂直な方向の幅
L:bと同じ方向の光学素子の長さ
W:cと同じ方向の光学素子の幅
本発明によれば、光学素子は、樹脂を材料として金型を用いた射出成形により形成され、形成された光学素子には一方の端が開放され他方の端が閉じられている溝を備え、更に他方の端から入射する光を偏向する偏向面を備えている。この光学素子を成形する金型において、金型に樹脂を注入するゲートは光学素子の偏向面でない面を形成する金型面に備えてある。
よって、光学素子の偏向面を形成する金型面に樹脂を注入するゲートがないため偏向面を良好に形成でき、偏向面に入射する光を良好に偏向できる。
また、上記の光学素子は、集光素子を固定することができる溝を有しているため、この溝に集光素子、例えば、屈折率分布型レンズを容易に精度良く固定することができる。
よって、上記の効果を備えた光学素子を用いた光ヘッドを構成することができる。
従って、精度が良く軽量で量産性の良い光学素子、光学素子の製造方法及びこの光学素子を用いた光ヘッドを提供することができる。
光記録装置の例を示す図である。 光ヘッドに磁気記録素子を有する光アシスト式磁気記録ヘッドの一例を示す断面図である。 光ヘッドが有する光学素子の例を示す斜視図である。 光ヘッドの構成の一例を示す断面図である。 光ヘッドが有する光学素子の例を示す斜視図である。 光ヘッドの構成の一例を示す断面図である。 光ヘッドが有する光学素子の例を示す斜視図である。 光学素子を成形する金型が閉じた状態での樹脂が充填される空間と樹脂が充填されるゲートとを示す斜視図である。 光導波路の例を示す図である。 プラズモンプローブの例を示す図である。 光学素子を成形する金型が閉じた状態での樹脂が充填される空間と樹脂が充填されるゲートとを示す斜視図である。 光学素子をスライダに取り付ける様子を模式的に示す図である。 光学素子を成形する金型が閉じた状態での樹脂が充填される空間と樹脂が充填されるゲートとを示す斜視図である。 光学素子を成形する金型が閉じた状態での樹脂が充填される空間と樹脂が充填されるゲートとを示す斜視図である。 光学素子のV溝が開口している面を示す図である。 光学素子を成形する金型が閉じた状態での樹脂が充填される空間と樹脂が充填されるゲートとを示す斜視図である。 光学素子を成形する金型が閉じた状態での樹脂が充填される空間と樹脂が充填されるゲートとを示す斜視図である。 光学素子を成形する金型が閉じた状態での樹脂が充填される空間と樹脂が充填されるゲートとを示す斜視図である。 光学素子を成形する金型を示す斜視図である。
符号の説明
2 ディスク
3 光ヘッド
4 サスペンション
11 光ファイバー(線状導光体)
12、13 屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)
14 光学素子
14a 偏向面
14b V溝
15 スライダ
16 光アシスト部(光導波路)
17 磁気記録部
18 磁気再生部
f0 仮想光源
f1 面1
f2 面2
f3 面3
f4 面4
以下、本発明を図示の実施の形態である光ヘッドに磁気記録素子を有する光アシスト式磁気記録ヘッドとそれを備えた光記録装置に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。尚、各実施の形態の相互で同一の部分や相当する部分には同一の符号を付して重複の説明を適宜省略する。
図1に光アシスト式磁気記録ヘッド(以下、光ヘッドと称する。)を搭載した光記録装置(例えばハードディスク装置)の概略構成例を示す。この光記録装置1Aは、記録用のディスク(磁気記録媒体)2と、支軸5を支点として矢印Aの方向(トラッキング方向)に回転可能に設けられたサスペンション4と、サスペンション4に取り付けられたトラッキング用アクチュエータ6と、サスペンション4の先端に取り付けられた光ヘッド3と、ディスク2を矢印Bの方向に回転させるモータ(図示しない)と、を筐体1の中に備えており、光ヘッド3がディスク2の上で浮上しながら相対的に移動しうるように構成されている。
図2は、光ヘッド3の一例を断面図で示している。光ヘッド3は、ディスク2に対する情報記録に光を利用する光ヘッドであって、光ヘッド3に光を導光する線状導光体である光ファイバー11と、ディスク2の被記録部分を近赤外レーザー光でスポット加熱するための光アシスト部(光導波路)16と、光ファイバー11から出射する近赤外レーザー光を光アシスト部16に導く集光素子である屈折率分布型レンズ12、13及び光路偏向手段である偏向面14aを有する光学素子14と、先の光導波路16、ディスク2の被記録部分に対して磁気情報の書き込みを行う磁気記録部17及びディスク2に記録されている磁気情報の読み取りを行う磁気再生部18を有するスライダ15を備えている。
光学素子14は、光ファイバー11及び集光素子である屈折率分布型レンズ12、13を固定接着するためのV字状の溝(以降、V溝と称する。)が設けられている。V溝は、その底を成す樹脂の厚みが、V溝の開放されている側より閉じている側が厚い構成としている。図3は、光学素子14を斜視図で示し、14bはV溝、14aは偏向面を示している。
なお、図2ではディスク2の記録領域の進入側から退出側(図の→方向)にかけて、磁気再生部18、光導波路16、磁気記録部17の順に配置されているが、配置順はこれに限らない。光導波路16の退出側直後に磁気記録部17が位置すればよいので、例えば、導波路16、磁気記録部17、磁気再生部18の順に配置してもよい。
光ファイバー11により導光される光は、例えば、半導体レーザーより出射される光であり、その光の波長は1.2μm以上の近赤外波長(近赤外帯域としては、0.8μmから2μm程度であり、具体的なレーザー光の波長としては、1310nm、1550nm等が挙げられる。)が好ましい。光ファイバー11の端面から出射した近赤外レーザー光は、集光素子である屈折率分布型レンズ12、13、偏向面14aを有する光学素子14によって、スライダ15に設けられた光導波路16の上面に集光され、この光アシスト部を成す光導波路16を導波して光ヘッド3からディスク2に向けて出射する。
スライダ15は浮上しながら磁気記録媒体であるディスク2に対して相対的に移動するが、媒体に付着したごみや、媒体に欠陥がある場合には接触する可能性がある。その場合に発生する摩耗を低減するため、スライダの材質には耐摩耗性の高い硬質の材料を用いることが望ましい。例えば、Al23を含むセラミック材料、例えばAlTiCやジルコニア、TiNなどを用いれば良い。また、摩耗防止処理として、スライダ15のディスク2側の面に耐摩耗性を増すために表面処理を行っても良い。例えば、DLC(DIAMOND LIKE CARBON)被膜を用いると、近赤外光の透過率も高く、ダイヤモンドに次ぐHv=3000以上の硬度が得られる。
また、スライダ15のディスク2と対峙する面には、浮上特性向上のための空気ベアリング面(ABS(AIR BEARING SURFACE)面とも称する。)を有している。スライダ15の浮上はディスク2に近接した状態で安定させる必要があり、スライダ15に浮上力を抑える圧力を適宜加える必要がある。このため、光学素子14の上に固定されるサスペンション4は、光ヘッド3のトラッキングを行う機能の他、スライダ15の浮上力を抑える圧力を適宜加える機能を有している。
光ヘッド3から出射した近赤外レーザー光が微小なスポットとしてディスク2に照射されると、ディスク2の照射された部分の温度が一時的に上昇してディスク2の保持力が低下する。その保持力の低下した状態の照射された部分に対して、磁気記録部17により磁気情報が書き込まれる。この光ヘッド3に関して以下に説明する。
まず、集光素子を構成する屈折率分布型レンズ12,13に関して説明する。屈折率分布型レンズ(GRADED INDEX LENS、以下、「GRINレンズ」と略す。)は、屈折率が一様でない(中心に近いほど屈折率が大きい)媒質を用いたレンズで、屈折率が連続的に変化することでレンズ作用をする円柱形状のレンズである。具体的なGRINレンズは、例えば、SiGRIN(登録商標)(シリカグリン、東洋ガラス(株))がある。GRINレンズの半径方向の屈折率分布n(r)は、次式(1)で表される。
n(r)=N0+NR2×r2 (1)
但し、
n(r):中心からの距離rの位置の屈折率
N0:中心部の屈折率
NR2:GRINレンズの集光能力を表す定数
GRINレンズは、半径方向に屈折率分布を持っていることから光軸を合わせることが容易であるという特徴を持っている。このため、光ファイバー11とGRINレンズ12とGRINレンズ13との光軸を容易に合わせることができる。また、光ファイバー11が石英からなる場合、GRINレンズ12とGRINレンズ13を成す材料も光ファイバー11と同様であることから、これらを溶融処理により接合して一体化することができる。この接合により、取り扱いが容易となると同時に、光ファイバー11、GRINレンズ12、GRINレンズ13それぞれが接する面での光損失が抑えられ光ファイバー11により導光された光を効率良くGRINレンズ13より出射することができる。
GRINレンズ12及びGRINレンズ13で構成する集光素子は、光ファイバー11により導光された光をGRINレンズ13の光出射面より離れた位置に収束して光スポットを形成する構成としている。GRINレンズ12及びGRINレンズ13それぞれのNA(NUMERICAL APERTURE)は異なっており、GRINレンズ12及びGRINレンズ13を選択し、また、組み合わせ、それぞれの長さを適宜決めることで、光学素子が占める長さ、光学素子の光出射面から光スポット位置までの距離を決めることができる。
GRINレンズ12及びGRINレンズ13の直径と光ファイバー11の直径とが±10%程度にほぼ同じことが好ましく、同じであることがより好ましい。上記の通り光ファイバー11とGRINレンズ12とGRINレンズ13は、溶融処理により接合することができるため、それぞれがほぼ同じ直径とすると直径の中心を合わせて接合する作業を容易とすることができる。
光ファイバー11とGRINレンズ12とGRINレンズ13を接合して一体化(以下、結合集光素子と称する。)すると、ファイバー11により光源から導かれて光をGRINレンズ13の出射端面から離れた位置に光スポットを効率良く形成することができる。この結合集光素子を図3に示す光学素子14に設けてあるV溝14bの底に沿って、またGRINレンズ13の端面をV溝の閉じた端部に密着した状態で接着固定されている。V溝14bは、固定される結合集光素子の径、結合集光素子からの光の出射位置、偏向面14aまでの距離及び集光素子からの光の入射角度等を考慮されて設けられている。従って、上記の様にV溝14bに沿って結合集光素子を固定できるようにすることで容易に精度良く組み立てることができ、またファイバー11により光源から導かれた光を集光素子GRINレンズ12とGRINレンズ13により収束光とし、更に偏向面14aにより光束を偏向し、光学素子14の下面に光スポットを効率良く形成することができる。
また、上記の様に光ヘッドを光ファイバー11と偏向面14aとの間にGRINレンズ12、13からなる集光素子を設ける構成とすることで、例えば、偏向面14aにおける偏向角度を90°とすると、上記の結合集光素子を光ヘッド3が浮上走行する方向と概平行に設けることができ、光ヘッドの高さ方向に集光素子を配置する必要がなくなるため、光ヘッドを薄くする構成とすることができ光ヘッドを小型化することができる。
光学素子14は、熱可塑性樹脂を材料として射出成形法により形成する。例えば、微細加工を得意とするSiをフォトリソグラフィ−処理及びエッチング処理により加工して光学素子14と同じ形状を得ることもできるが、半導体製造プロセスと同じであることから製造プロセスが複雑で、また、樹脂と比較して質量が重い。
Siに代わり熱可塑性樹脂を材料とすることで、量産性の良い射出成形法を用いて軽い光学素子14を得ることができる。また、樹脂成形を用いることでフォトリソグラフィ−処理及びエッチング処理によるSi加工と比較して形状の自由度が高く、V溝の形状、溝の傾き、反射面の角度等を適宜設定して容易に加工して得ることができる。このような射出成形が可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、ZEONEX(登録商標)480R(屈折率1.525、日本ゼオン(株))、PMMA(ポリメチルメタクリレート、例えば、スミペックス(登録商標)MGSS、屈折率1.49、住友化学(株))、PC(ポリカーボネート、例えば、パンライト(登録商標)AD5503、屈折率1.585、帝人化成(株))等が挙げられる。
上記の例で挙げた熱可塑性樹脂で射出成形法により、光学素子14を製造する場合、特に光学的に精度が必要な面は偏向面14aである。この偏向面14aの面に、例えば面歪みやうねり等の変形が生じた場合、この偏向面14aに入射し偏向される光束は一様に揃った収束状態とならない。このため光学素子14の下面に設ける光導波路16の入射面に入射効率のよい光スポットを形成することができない。発明者らは、面形状が光学的に良好となる上記のような微小な光学素子14に関して精力的に検討した結果、偏向面14aが良好な光学素子を得ることができた。これに関して以下に説明する。
樹脂を材料とする射出成形により光学素子14を成形する際、成形に用いる金型における樹脂注入口であるゲートを、偏向面14aでない面を形成する金型面に設ける。この例として光学素子14を成形する金型が閉じた状態での樹脂が充填される空間(キャビティ)と樹脂を充填するゲートとを斜視図で図8に示す。
図8に示す光学素子14の反転形状の空間(キャビティ)と樹脂充填用のゲートを備えた金型の例を図19に示す。M1は第1の金型、M2は第2の近型を示し、この2つの金型を閉じた状態で、ゲートG1から樹脂を注入することで、光学素子14が成形される。第1の金型M1において、M1−1は偏向面14aを成形する面、M1−2及びM1−3はそれぞれ面14f−2,面14f−3を、M1−4は面14eを、M1−5は面14cを成形する面である。また、第2の金型M2において、M2−1はV溝14bを、M2−2は面14dを成形する面である。
光学素子14は、その大きさが、例えば、1mm×1mm、厚みが0.5mm程度と微小なものである。また、光学素子14を成形する金型のゲートが偏向面14aでない面を形成する金型面に設けてあり、図8と異なる例を図13、図14に示す。
図8では、光学素子14の偏向面14a、V溝14bが開口している面14d、V溝14bが開口している面14dの反対側の面14e及びV溝14bが開放されている面14cの何れでもない面14f−1を形成する金型面にゲート14gを備えている。図13では、光学素子14の偏向面14a、V溝14bが開口している面14d、V溝14bが開口している面14dの反対側の面14eの何れでもない面であるV溝14bが開放されている面14cを形成する金型の面にゲート14gを備えている。図14では、光学素子14の偏向面14aでない面であるV溝14bが開口している面14dの反対側の面14eを形成する金型の面にゲート14gを備えている。
射出成形によって形成される部材は、ゲート付近において形状変形や内部応力が大きい。なぜなら、樹脂がゲートを通り金型内部のキャビティに入る際に、流入面積が急激に変化することにより、流入する樹脂の圧力分布が急激に変わるためである。このため、形成された部材のゲート付近は光束に乱れを起こす面歪みや複屈折が生じてしまう。
上記の内部応力が生じる特性は樹脂成形においては不可避であることから、光学素子14を射出成形する場合においては、偏向面14aでない面を形成する金型面にゲート14gを設ける。図8、図13、図14において、光学素子14を形成する金型のゲート14gが設けてある面はいずれも偏向面14aでない面を形成する金型面としているため、光学面である偏向面14a付近で、大きな面歪みや複屈折が発生することはなく、良好な光学性能を有した光学素子14を得ることができる。
ゲート14gを備える金型面が、上記の偏向面14aに加えて、V溝14bが開口している面14d、V溝14bが開口している面14dの反対側の面14eの何れでもない面を形成する面であることが好ましい。図8、図13に示す光学素子14を成形する金型のゲート14gの位置がこれに該当する。図8に示す光学素子14を例にすると、V溝が開口している面14dを成形する面にゲート14gを備える場合、ゲート14gを設けることが出来る場所はV溝を挟んで対向するV溝対向部と偏向面14aで偏向された光が通過する光通過部とがある。光学素子14のV溝が開口している面の様子を図15に示す。図15において、110はV溝対向部、120は光通過部を示す。
光通過部120は、結合集光素子から出射する光が集光する光学面であることから、上記偏向面14aの場合と同じく、面歪みや複屈折があると好ましくない。また、V溝対向部110はスライダ15と接着する面である。通常ゲート部分は成形後切断されるが、ゲート付近の面と同じ高さとなるようにフラットに切断することが困難なため、ゲート部分は成形・切断後大きく(周辺より高くなる)なり、高精度にスライダと接着することが困難となる。よって、V溝14bが開口している面14dでない面を形成する金型面にゲートを備えるのが好ましい。
また、V溝14bが開口している面14dの反対側の面14eを成形する金型面にゲートを備える場合、金型内に流入した樹脂が2つ以上の樹脂の流れに別れ、再び合流することで生じる、所謂ウエルドラインが発生してしまう場合がある。ウエルドラインはその近辺で、ゲート付近ほどではないにせよ、歪みや内部応力による複屈折が発生するので、光学素子としては、偏向面等の重要部分にウエルドラインが生じないようにするのが好ましい。偏向面や集光面付近にウエルドラインが発生しないように、面14eでない面を成形する金型面にゲート14gを備えるのが好ましい。面14eを成形する金型面にゲートがある場合、サスペンションとの結合においても、上述と同様の理由で、ゲートによりフラットにするのが容易でなく接着に対して良好な面が作り難いので、この点からも面14eでない面を成形する金型面にゲート14gを備えるのが好ましい。
更に、ゲート14gを備える金型面が、上記の偏向面14a、V溝14bが開口している面14d、V溝14bが開口している面14dの反対側の面14eに加えて、V溝14bが開放されている面14cの何れでもない面を形成する面であることがより好ましい。V溝14bが開放されている面14cを形成する金型面にゲート14gがある場合、上記の場合より程度が軽いと予測されるウエルドラインが偏向面14a付近に発生してしまう場合がある。
従って、図8に示す、偏向面14a、V溝14bが開口している面14d、V溝14bが開口している面14dの反対側の面14e及びV溝14bが開放されている面14cの何れでもない面14f−1を形成する金型の面にゲートを備えるのはより好ましい場合である。尚、面14f−1を面14f−2としても同じくより好ましい場合である。
図8、図13、図14で示した光学素子14と異なるV溝で構成する光学素子の例として図16、図17、図18にそれぞれ光学素子74、84、94を示す。これらの光学素子74、84、94にはそれぞれ一方の端は開放され他方の端は閉じて、集光素子である屈折率分布型レンズを固定するV溝74b、84b、94bを備えている。また、各V溝74b、84b、94bの閉じた端面から入射した光を偏向する偏向面74a、84a、94aをそれぞれ備えている。図16に示す光学素子74のV溝74bはV溝の底の厚みが一定のものである。図17に示す光学素子84のV溝84bは、スライダを取り付ける面と反対面にV溝が開口しており、V溝の底の厚みは一定となっている。また、図18に示す光学素子94のV溝94bは、スライダを取り付ける面と反対面にV溝が開口しており、V溝の底の厚みは、溝の開放端が厚く他方の端が薄くなっている。
これらの光学素子74、84、94のいずれも射出成形にて製造する場合に使用する金型において、樹脂を注入するゲートは、偏向面74a、84a、94aでない面を成形する金型面に備えている。また、偏向面74a、84a、94a、溝が開口している面74d、84e、94e、溝が開口している面の反対側の面74e、84d、94dの何れでもない面を成形する金型面が好ましい。更に偏向面74a、84a、94a、溝が開口している面74d、84e、94e、溝が開口している面の反対側の面74e、84d、94d、溝が開放されている面74c、84c、94cの何れでもない面を成形する金型面とするのがより好ましい。図16,図17、図18は、光学素子74、84、94を成形する金型のゲート74g、84g、84gが、上記で説明したより好ましい位置である面74f−1、84f−1、94f−1にあることを示している。このようにすることで、光学素子14と同様に光学面、特に偏向面74a、84a、94aが良好に形成される。
図17、図18それぞれで示す光学素子84、94のV溝の位置とサスペンションとスライダを設ける位置との関係がこれまで説明した図8で示す光学素子14における位置の関係と逆となっている。しかし、ウエルドラインが生じることとゲート部分が成形・切断後大きくなることには位置関係が逆であっても変わりがないため、光学素子84、94の場合も上記の説明と同様に考えることができる。
次に、上記の例で上げた熱可塑性樹脂を用いて、図3に示す反射面14aとV溝14bを有する光学素子14を成形する場合、図3に示す様に、結合光学素子を固定するV溝14bの底の厚みが、V溝14bの開放されている側より閉じている側が厚いことが好ましい。図3に示す様に光学素子14の上面が平坦な場合、V溝14bの深さが、V溝14bの開放されている側より閉じている側が浅い構成となる。
一般に射出成形法による樹脂成形では上記で説明したゲート付近やウエルドラインといった充填された樹脂の歪みや内部応力を抑えることに加えて、金型が成す空間の隅々に間隙を生じることなく樹脂を十分に充填させることが重要である。しかしが、金型が成す空間(キャビティ)が小さくなる程、樹脂が流れることができる断面積が小さくなり間隙を生じることなく樹脂を充填させることが難しくなってくる。
本発明に係わる光学素子14は、既に説明した通り、その大きさが、例えば、1mm×1mm、厚みが0.5mm程度と微小である。発明者らは、樹脂が未充填状態である個所がなく面形状が光学的に良好となる上記のような微小な光学素子の構成を精力的に検討した結果、偏向面14aが良好で樹脂の充填不良が生じない光学素子を得ることができた。
具体的には、図3で示す様に、V溝14bの底を成す樹脂の厚みが、V溝14bの開放されている側より閉じている側を厚くする。このように構成することで、V溝14bに沿ったV溝14bの底部の断面において、V溝14bの開放されている側より閉じている側の断面積を大きくすることができ、断面積が大きいことで樹脂が流動する上での抵抗が小さくなり樹脂が流動しやすい状態となる。
樹脂の厚みが薄くなる部分は樹脂の充填不足や樹脂が注入される際の圧力不足が生じやすく、その結果、光学的に複屈折を生じる歪みが大きくなったり、面精度が不十分といった問題が生じる。樹脂の厚みが最も薄い部分付近に問題が集中する傾向があるので、精度の観点から、高精度を必要とする個所が樹脂の厚みが最も薄い部分に近く成らないように配慮することが必要である。従って、光学素子14におけるV溝14bの開放されている側より閉じている側が厚くなるようにして、光学素子14を成形する際のV溝の閉じている側に位置する偏向面14aの周辺部の樹脂の流動性を十分確保する様にして、光学特性の良好な光学素子14を得ることができる。
V溝の底を成す樹脂の厚みが、V溝の開放されている側より閉じている側が厚くする構成の例として、上記で示した図3の様に、光学素子14の上面が平坦な場合、V溝14bを傾ける構成とする他、例えば、図4に示す光ヘッド40(図5に光学素子44の斜視図を示す。)ように、V溝44bの深さを一定として光学素子44の上面をV溝44bが閉じている側が高くなるようにする、図6に示す光ヘッド60(図7に光学素子64の斜視図を示す。)ように、V溝64bの深さを一定として光学素子64の上面をV溝64bが閉じている側が一段高くなるようにする又は、上記のV溝64bを傾けて、且つ光学素子64の上面を傾ける或いは段差を設けるとする組み合わせとすることもできる。
また、図2に示す様に、光学素子の上面をディスク2の上面とほぼ平行とする場合、結合集光素子を固定するV溝を斜めに設けるため、偏向面14aへの入射角度を大きくすることが出来る。光学素子14を成す樹脂は、1.7程度の高屈折率を持つ光学ガラスに比較して1.5程度の低屈折率なので、偏向面14aでの全反射角度が大きくなる。例えば、光学素子を成す樹脂を屈折率1.525であるZEONEX(登録商標)とする場合、全反射角度は、約42度となる。偏向面14aによる光偏向角度を90°(偏向面への入射角度45°)の場合、±3度以内の収束する光束が入射すれば全反射するが、それ以上の入射角度幅を持つ光束の場合、反射しないで偏向面14aを透過して外部へ漏れる光が生じるため反射効率が低下することになる。従って、結合集光素子を固定するV溝を斜めにすることで偏向面14aへの入射角度を大きくすることができ、全反射を容易とする構成とすることができる。例えば、図2に示す様に、V溝を10°傾けると、偏向面14aへの入射角度は50°となるので、全反射が生じる42°までは8°の余裕があることから、入射する光のより広い光束幅に対して全反射とすることができ、反射効率を大きくすることができる。
また、光学素子14を成す樹脂の屈折率を大きくすると光学素子14より出射する光をより効率的に光導波路16に導くことができる。結合集光素子から出射した光が樹脂からなる光学素子に入射し、偏向面により偏向され光学素子の下面に光スポットを形成する。この光スポットを形成する光束の入射全角をθとすると、光スポットを形成する出射のNAは次式(2)で示される。
NA=nsinθ (2)
但し、
n:光学素子を成す樹脂の屈折率
θ:光スポットを形成する光束の入射全角
である。上記の式(2)が示す通り、NAは、光スポットを形成する光束が通る媒質が空気である場合と比較して約n(屈折率)を乗ずるだけ大きくなるため、形成される光スポット径を小さくすることができる。従って、光導波路16に光学素子14より出射する光をより効率的に光導波路16に導くことができる。
図2で示すように、結合集光素子を固定するV溝14bは光学素子14の下面側に開口しV溝14bの底となる上側に結合集光素子を固定する構成とするのが好ましい。光ヘッド3はこれをディスク2の上に保持する、例えば、サスペンション4と結合する必要がある。このサスペンション4と結合する場所を光ヘッド3に確保する必要がある。光ヘッド3を下側から保持する構成は、ディスク2の上を浮上して相対移動する浮上機構を有したスライダ15が必要であるため困難である。また、光学素子14とスライダ15との間に挟む様にサスペンション4を設ける構成は、結合集光素子を保持するためのV溝14bがあるために、このV溝14bの開口を避ける必要がある。また、光導波路16に集光する光束も避ける必要がある。このため、例えば、サスペンション4を記録面の上を相対移動する方向で且つ光学素子14の中央部で固定しようとする場合、サスペンション4を固定する個所をV溝14bに沿った光学素子14の中央とすることが出来ないので、バランスの良い保持とすることが困難となる。
従って、結合集光素子を光学素子14の上側から保持する構成とすると、光学素子14の上面をサスペンション4を固定する位置とするができる。光学素子14の上面は、V溝等の凹凸がない平面状態であり、サスペンション4を取り付ける上での自由度が大きく、光ヘッド3をディスク2の上に安定して浮上させることができるようにサスペンション4を光学素子14にバランス良く固定することができる。また、平面状態を利用して、例えば、光学素子14の上面に組み立てを容易とするサスペンション4との結合用の位置決めマーク等を設けることもできる。また、サスペンション4と光源から光を導く光ファイバー11とが近い状態となるため、光ファイバー11をサスペンション4に沿わせて固定することが容易にできる。
光学素子14の厚みは、0.1mm以上1mm以下とするのが好ましい。厚みをこの範囲にすることで、樹脂を金型に十分に充填することが可能で、V溝の底の厚みを開放されている端側より閉じられている端側を厚くすることによる良好な成形を可能とする効果を得ることができる。また、光学素子14の厚み方向に垂直な方向の大きさ(長さL、幅W)は、表1で示した光学素子が搭載されるスライダの大きさ(長さb、幅c)に対して、条件式(3a)、(3b)を満足することが好ましい。
b < L ≦ < k×b (3a)
c < W ≦ k×c (3b)
但し、
k=2:係数
b:光学素子を載せるスライダの、スライダが移動する方向と同じ方向の長さ
c:光学素子を載せるスライダの、スライダが移動する方向とに垂直な方向の幅
L:bと同じ方向の光学素子の長さ
W:cと同じ方向の光学素子の幅
である。
図8で示している様に光学素子14の面14f−1、14f−2を成形する金型の面にゲートを設けると、成形された光学素子14を金型から取り外すためのイジェクトピンを面14e側に設ける場合がある。この場合、イジェクトピンを設ける位置は、通常ゲートと垂直となる位置に設けることと、光学素子14のV溝がある位置によっている。
また、光学素子14の金型からの離型方法としては、イジェクトピンに代わり、金型の形状部分(コア)を押すことで実施するコア押しと呼ばれる方法もある。コア押しにしてもイジェクトピン方式にしても、金型の成形面に可動部分があるので非常に僅かではあるが可動部分に隙間がある。この金型の隙間に樹脂が入り込む場合があり、この隙間に入った樹脂はバリと呼ばれる形状として光学素子に転写される。
このような金型構成により光学素子14を成形すると、光学素子14の下面の周囲にバリが発生する場合がある。光学素子14の下面にバリが発生すると、光学素子14をスライダ15に取り付け際の取り付け面に突起がある状態となってしまう。光学素子14をスライダ15に取りける面の大きさがスライダ15の取り付け面と同じ或いは小さい場合、光学素子14とスライダ15との接着面が浮いたり、傾いたりする。
この様子を図12に示す。20は、バリを示している。図12(a)は、光学素子14の幅W1がスライダ15の幅cより大きい場合を示している。この場合、光学素子14をスライダ15に良好に取り付けることができる。図12(b)、(c)は、光学素子14の幅W2がスライダ15の幅cより小さい場合を示している。この場合、光学素子14とスライダ15とが浮いたり、傾いた状態で取り付けられることになる。よって、光学素子14の大きさをスライダ15の大きさより大きくすると、バリを取り除くことなく精度良くスライダ15を光学素子14の下面に取り付けることができるので好ましい。
また、光学素子14を樹脂で成形することで軽くすることができるが、Siの比重が約2.4で、樹脂の比重が約1(例えば、ZEONEX(登録商標)480R(日本ゼオン(株))の比重は、1.04(カタログ値)である。)であることことから、光学素子14の厚みにもよるが、大きくしすぎるとSiで形成される光学素子14と同等の機能を有するSiからなる光学素子の質量と比較し軽量とならなくなってしまう。例えば、厚みが同じとするSiからなる光学素子と同じ質量となるZEONEX(登録商標)480Rからなる光学素子の大きさ(正方形とする。)は、Siからなる光学素子を1とするとZEONEX(登録商標)480Rからなる光学素子は約1.4となる。よって、大きさの上限を規定する条件式(3a)及び(3b)における係数kは、2とし、好ましくは1.5、より好ましくは1.2とする。
従って、光学素子14の厚み方向に垂直な方向の大きさ(長さL、幅W)が、条件式(3a)及び(3b)を満足することで、軽量で精度良く組み立てが容易な光学素子とすることができる。
GRINレンズ12、13からなる集光素子により光スポットが形成される位置をスライダ15の上面とし、その直下に光導波路16を設けることが好ましい。光導波路16を設けることで、スライダ15の上面に収束する光スポットを、そのスポット径を損なうことなく、且つ効率良くスライダ15の下面に導くことができる。光導波路16に収束する光の方向は、光導波路15の入射面に対してほぼ垂直であることが好ましい。垂直方向から傾くにつれて光導波路16で導波する効率が悪くなり、30°程度傾くとほとんど導波しなくなり、±10°程度のほぼ垂直とするとことで効率よく光を導波することができる。
また、角度を持った収束光をスライダ15の内部に通す必要がなくなるため、磁気記録面が相対的に移動する方向の光導波路16の前後の近い位置に磁気記録部17及び磁気再生部18を容易に設けることができる。
また、光導波路16に後述の光スポットサイズ変換機能を持たせることで、光導波路16の入射面に形成された光スポットの径を、光導波路16の入射面での径に対して出射面で小さくすることができる。よって、より小さい光スポット径を記録媒体面に形成することができ、高記録密度化に対応することができる。
光スポットサイズ変換機能を持つ光導波路の例として図9を示す。図9(A)、(B)は、光導波路の部分を光ヘッドが相対的に移動する方向から見た様子を示し、図9(C)は移動方向に対して垂直方向で且つ磁気記録面に対して平行方向から見た様子を模式的に示している。図9に示す光導波路は、コア16a(例えばSi)、サブコア16b(例えばSiON)及びクラッド16c(例えばSiO2)からなっている。その光導波路の光射出位置又はその近傍には、図9(C)に示す様に、近接場光発生用のプラズモンプローブ16fが配置されている。そのプラズモンプローブ16fの具体例を図10に示す。
図10において、(A)は三角形の平板状金属薄膜(材料例:アルミニウム、金、銀等)からなるプラズモンプローブ16f、(B)はボウタイ型の平板状金属薄膜(材料例:アルミニウム、金、銀等)からなるプラズモンプローブ16fであり、何れも曲率半径20nm以下の頂点Pを有するアンテナからなっている。また、(C)は開口を有する平板状金属薄膜(材料例:アルミニウム、金、銀等)からなるプラズモンプローブ16fであり、曲率半径20nm以下の頂点Pを有するアンテナからなっている。これらのプラズモンプローブ16fに光が作用すると、その頂点P近辺に近接場光が発生して、非常に小さいスポットサイズの光を用いた記録又は再生を行うことが可能となる。つまり、光導波路の光射出位置又はその近傍にプラズモンプローブ16fを設けることにより局所プラズモンを発生させれば、光導波路で形成された光スポットのサイズを小さくすることができ、高密度記録に有利となる。なおコア16aの中央にプラズモンプローブ16fの頂点Pが位置することが好ましい。
光アシスト式で超高密度記録を行う場合に必要なスポット径が20nm程度であり、光の利用効率を考えると、プラズモンプローブ16fにおけるモードフィールド(MFD)は0.3μm程度が望ましい。このMFDの大きさでは光の入射が困難であるため、スポット径を5μm程度から数100nmまで小さくするスポットサイズ変換を行う必要がある。
図9において、コア16aの幅は、図9(C)が示す断面では光入力側から光出力側にかけて一定になっているが、図9(A)に示す断面ではサブコア16b内において光入力側から光出力側にかけて徐々に広くなるように変化している。この光導波路径の滑らかな変化によりモードフィールド径が変換される。つまり、光導波路のコア16aの幅は、図9(A)に示すように、光入力側で0.1μm以下、光出力側で0.3μmとなっているが、図9(B)に示すように、光入力側ではサブコア16bによりMFDが5μm程度の光導波路が構成され、その後徐々にコア16aに光結合してモードフィールド径が小さくすることができる。このように、光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、光導波路径を滑らかに変化させることによりモードフィールド径を変換して、D>dを満たすようにすることが好ましい。
これまで説明した光ヘッドは、ディスク2に対する情報記録に光を利用する光アシスト式磁気記録ヘッドであるが、記録媒体に対する情報記録に光を利用する光ヘッドであって、磁気再生部17と磁気記録部18を有しない、例えば、近接場光記録、相変化記録等の記録を行う光ヘッドとすることができ、また、前述したプラズモンプローブ16fを光導波路16の光出射位置又はその近傍に配置してもよい。
以下に、本発明に係わる実施例に関して説明する。
以下に示す実施例1から5において共通の条件等を以下に示す。
使用波長:1.31μm
GRINレンズの屈折率を示す式(1)を再度以下に示す。
n(r)=N0+NR2×r2 (1)
但し、
r:中心からの距離(中心からの径方向の距離)
である。
以下の実施例1から5に使用している屈折率分布型レンズであるGRINレンズA及びGRINレンズBにおける屈折率を上記の式(1)で表すために必要な定数を以下に示す。
GRINレンズA
NA=0.166(実施例1から4)、0.156(実施例5)
N0=1.479606
NR2=−2.380952
GRINレンズB
NA=0.395(実施例1から4)、0.372(実施例5)
N0=1.540737
NR2=−12.47619
GRINレンズA及びGRINレンズBの直径:85μm(実施例1、2、4)、125μm(実施例3)、80μm(実施例5)
スライダ15:AlTiCからなり、長さ(移動方向)0.85mm、厚さ(浮上方向)0.23mm、幅(奥行き)0.7mmである。
光ファイバーの直径:85μm(実施例1、2、4)、125μm(実施例3)、80μm(実施例5)
尚、以下の実施例では、磁気記録部、磁気再生部、プラズモンプローブを設けていないが、光アシスト式磁気記録ヘッドとする場合、または、超高密度記録を行う場合、これらを設けることができるのは勿論である。
図2及び図6の光路上の接合面及び最終端面には、f0から始まりf1、f2、・・・とする符号を付加している。これらは、以下の実施例で説明する図に対応する表に示す面の項目の仮想光源、面1、面2、・・・にそれぞれ対応している。
(実施例1)
図2において、3は光ヘッド、11は光ファイバー、12はGRINレンズ(GRINレンズA)、13はGRINレンズ(GRINレンズB)、14は10°傾斜しているV溝14bと偏向面14aとが一体化している光学素子、15はスライダ、16は光導波路である。光学素子14の斜視図を図3に示す。光学素子14は、溶融状態の樹脂(後述)を、光学素子14の反転形状を有する金型(後述)に、偏向面でない面を形成する金型の面に備えたゲートから注入して射出成形する工程と、射出成形する工程の後、金型から成形された光学素子を離型する工程を経た後、ゲート跡を除去して得た。
図2において、スライダ15の上にV溝14bが設けてある光学素子14を接着固定する。光学素子14は、長さ(移動方向)1.25mm、厚さ(浮上方向)0.5mm、幅(奥行き)1mm、偏向面14aの角度50°である。V溝14bの頂角は80°として、偏向面14aに向かって俯角10°としている。V溝14bの開放端での厚みは0.16mm、閉じた端部の厚みは0.32mmとして、V溝14bの開放されている側より閉じている側の断面積を大きくしている。図8に示す光学素子14の反転形状の空間(キャビティ)と樹脂充填用のゲートを備えた図19に示す射出成形用金型を用いて、光学素子14を成形した。使用した樹脂は、熱可塑性樹脂であるZEONEX(登録商標)480R(日本ゼオン(株)、屈折率1.525)である。
光学素子14のV溝14bには、光ファイバー11とGRINレンズ12とGRINレンズ13の3つが溶融処理により接合され一体として、GRINレンズ13の端面を光学素子14のV溝14bの閉じている端面に押し当てて面の間に空気層を挟まないように接着固定している。
直径が85μmの光ファイバー11から出た光束は、長さ0.595mmのGRINレンズ12により平行光束と成り、長さ0.085mmのGRINレンズ13を経て、平行光を収束光として、偏向面14aを50°とする光学素子14へ入射する。
従って、偏向面14aへの入射角は50°となる。偏向面14aで略100°に偏向された光束は光導波路16の入射端面にほぼ垂直に集光され良好な光スポットを形成し、光結合される。偏向面により光束を偏向する角度を100°とすることで、屈折率の小さいZEONEX(登録商標)480R製の光学素子の偏向面14aでの反射状態をより全反射に近い状態にすることができ、更に、V溝14bを10°傾けていることで、光導波路16の入射面に対し垂直方向に光が入射するため、光効率が良好である。光ファイバー11のモードフィールド径が約10μmで、光導波路16のモードフィールド径も約10μmとしている。GRINレンズ12とGRINレンズ13とを組み合わせることで、光ファイバー11から出射する光を光導波路16のモードフィールド径に対応できる光スポットを形成することができ、この光学系の倍率は1:1とすることができる。
GRINレンズ12(GRINレンズA)、13(GRINレンズB)及び光学素子14に関する数値を表2に示す。
(実施例2)
図6の60は光ヘッド、11は光ファイバー、12はGRINレンズ(GRINレンズA)、13はGRINレンズ(GRINレンズB)、64はV溝64bと偏向面64aとが一体化している光学素子、15はスライダ、16は光導波路である。図7は、光学素子64の斜視図である。光学素子64は、溶融状態の樹脂(後述)を、光学素子64の反転形状を有する金型(後述)に、偏向面でない面を形成する金型の面に備えたゲートから注入して射出成形する工程と、射出成形する工程の後、金型から成形された光学素子を離型する工程を経た後、ゲート跡を除去して得た。
光学素子64を成形する金型が閉じた状態で樹脂が充填される空間(キャビティ)と樹脂が充填されるゲートとを斜視図で図11に示す。
射出成形法による樹脂成形により光学素子64を成形する金型における樹脂注入口であるゲート64gを、図11に示す様に、偏向面64a、V溝64bが開口している面64d、V溝64bが開口している面64dの反対側の面64e及びV溝64bが開放されている面64cの何れでもない面64f−1、64f−2の内、面64f−1に備えている。
図6において、実施例1と同じスライダ15上に光学素子64を接着固定する。光学素子64は、長さ(移動方向)1.25mm、厚さ(浮上方向)0.5mm(低い段の厚さ0.34mm)、幅(奥行き)1mm、偏向面64aの角度45°である。V溝64bは頂角を80°として、光学素子64の下面と概平行である。V溝64bの開放端での厚みは0.16mm、閉じた端部の厚みは段差分だけ厚くして0.32mm(長さ0.35mm、幅(奥行き)1mm)として、V溝64bの開放されている側より閉じている側の断面積を大きくしている。図11に示す光学素子64の反転形状の空間(キャビティ)と樹脂充填用のゲートを備えた射出成形用金型を用いて、光学素子64を成形した。使用した樹脂は、熱可塑性樹脂であるZEONEX(登録商標)480R(日本ゼオン(株)、屈折率1.525)である。
光学素子64のV溝64bには、光ファイバー11とGRINレンズ12とGRINレンズ13の3つが溶融処理により接合され一体として、GRINレンズ13の端面を光学素子64のV溝64bの閉じている端面に押し当てて面の間に空気層を挟まないように接着固定している。
直径が85μmの光ファイバー11から出た光束は、長さ0.595mmのGRINレンズ12により平行光束と成り、長さ0.085mmのGRINレンズ13を経て、平行光を収束光として、偏向面を45°とする光学素子64へ入射する。
従って、偏向面64aへの入射角は45°となる。偏向面64aで略90°に偏向された光束は光導波路16の入射端面にほぼ垂直に集光され良好な光スポットを形成し、光結合される。光ファイバー11のモードフィールド径が約10μmで、光導波路16のモードフィールド径も約10μmとしている。GRINレンズ12とGRINレンズ13とを組み合わせることで、光ファイバー11から出射する光を光導波路16のモードフィールド径に対応できる光スポットを形成することができ、この光学系の倍率は1:1とすることができる。
GRINレンズ12(GRINレンズA)、13(GRINレンズB)及び光学素子64に関する数値は表2と同じである。
(実施例3)
実施例2より、光ファイバー11、GRINレンズ12及びGRINレンズ13の直径を85μmから125μmに変更した。
図6において、光学素子64のV溝64bには、何れの直径も125μmとする光ファイバー11とGRINレンズ12とGRINレンズ13の3つが溶融処理により接合され一体として、GRINレンズ13の端面を光学素子64のV溝64bの閉じている端面に押し当てて面の間に空気層を挟まないように接着固定している。
GRINレンズ12及びGRINレンズ13の直径が85μmから125μmに大きくなったため、GRINレンズ13から出射する光の位置が少しスライダ15側にずれ、これにより集光位置がずれるため、光学素子64とスライダ15と接着固定の位置を実施例2の位置より少しずらした以外は、実施例2と同じである。
(実施例4)
光学素子64の大きさを以下にした以外は実施例2と同じである。
図6において、スライダ15上に光学素子64を接着固定する。光学素子64は、長さ(移動方向)0.9mm、厚さ(浮上方向)0.5mm(低い段の厚さ0.34mm)、幅(奥行き)0.8mm、偏向面64aの角度45°である。V溝64bは頂角を80°として、光学素子64の下面と概平行である。V溝64bの開放端での厚みは0.16mm、閉じた端部の厚みは段差分だけ厚くして0.32mm(長さ0.35mm、幅(奥行き)1mm)として、V溝64bの開放されている側より閉じている側の断面積を大きくしている。図11に示す光学素子64の反転形状の空間(キャビティ)と樹脂充填用のゲートを備えた射出成形用金型を用いて、光学素子64を成形した。
スライダ15と光学素子64との大きさの差は、長さ0.05mm、幅0.1mmであるが、光学素子64のスライダ15を固定する面に成型時に発生するバリの影響もなく良好に接着固定することができる。
(実施例5)
図2において、3は光ヘッド、11は光ファイバー、12はGRINレンズ(GRINレンズA)、13はGRINレンズ(GRINレンズB)、14は2°傾斜しているV溝14bと偏向面14aとが一体化している光学素子、15はスライダ、16は光導波路である。光学素子14の斜視図を図3に示す。光学素子14は、溶融状態の樹脂(後述)を、光学素子14の反転形状を有する金型(後述)に、偏向面でない面を形成する金型の面に備えたゲートから注入して射出成形する工程と、射出成形する工程の後、金型から成形された光学素子を離型する工程を経た後、ゲート跡を除去して得た。
図2において、スライダ15の上にV溝14bが設けてある光学素子14を接着固定する。光学素子14は、長さ(移動方向)0.85mm、厚さ(浮上方向)0.2mm、幅(奥行き)0.7mm、偏向面14aの角度46°である。V溝14bの頂角は88°として、偏向面14aに向かって俯角2°としている。V溝14bの開放端での厚みは0.1mm、閉じた端部の厚みは0.12mmとして、V溝14bの開放されている側より閉じている側の断面積を大きくしている。図8に示す光学素子14の反転形状の空間(キャビティ)と樹脂充填用のゲートを備えた図19に示す射出成形用金型を用いて、光学素子14を成形した。使用した樹脂は、熱可塑性樹脂であるZEONEX(登録商標)480R(日本ゼオン(株)、屈折率1.525)である。
光学素子14のV溝14bには、光ファイバー11とGRINレンズ12とGRINレンズ13の3つが溶融処理により接合され一体として、GRINレンズ13の端面を光学素子14のV溝14bの閉じている端面に押し当てて面の間に空気層を挟まないように接着固定している。
直径が80μmの光ファイバー11から出た光束は、長さ0.595mmのGRINレンズ12により平行光束と成り、長さ0.085mmのGRINレンズ13を経て、平行光を収束光として、偏向面14aを46°とする光学素子14へ入射する。
従って、偏向面14aへの入射角は46°となる。偏向面14aで略92°に偏向された光束は光導波路16の入射端面にほぼ垂直に集光され良好な光スポットを形成し、光結合される。光ファイバー11のモードフィールド径が約10μmで、光導波路16のモードフィールド径も約10μmとしている。GRINレンズ12とGRINレンズ13とを組み合わせることで、光ファイバー11から出射する光を光導波路16のモードフィールド径に対応できる光スポットを形成することができ、この光学系の倍率は1:1とすることができる。
GRINレンズ12(GRINレンズA)、13(GRINレンズB)及び光学素子14に関する数値は表2と同じである。

Claims (17)

  1. 記録媒体の上を移動するスライダに搭載される光学素子において、
    光源から導いた光を透過する樹脂を材料として前記光学素子の反転形状を有する金型を用いた射出成形により形成され、一方の端は開放され他方の端は閉じられている溝及び前記溝の前記他方の端から入射する前記光を偏向する偏向面とを有し、
    前記偏向面でない面を形成する前記金型の面に前記樹脂が注入されるゲートを備えた前記金型を用いて成形されることを特徴とする光学素子。
  2. 前記偏向面に加えて、前記溝が開口している面、前記溝が開口している面の反対側の面の何れでもない面を形成する前記金型の面に前記樹脂が注入されるゲートを備えた前記金型を用いて成形されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光学素子。
  3. 前記偏向面、前記溝が開口している面、前記溝が開口している面の反対側の面に加えて、前記溝が開放されている面の何れでもない面を形成する前記金型の面に前記樹脂が注入されるゲートを備えた前記金型を用いて成形されることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の光学素子。
  4. 前記溝の底を成す前記樹脂の厚みが前記一方の端側より前記他方の端側が厚いことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項の何れか一項に記載の光学素子。
  5. 前記溝の深さが前記一方の端側より前記他方の端側が浅いことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第4項の何れか一項に記載の光学素子。
  6. 前記光学素子の厚みが0.1mm以上1mm以下であり、且つ以下の条件式を満たす大きさであることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第5項の何れか一項に記載の光学素子。
    b < L ≦ k×b
    c < W ≦ k×c
    但し、
    k=2:係数
    b:光学素子を載せるスライダの、スライダが移動する方向と同じ方向の長さ
    c:光学素子を載せるスライダの、スライダが移動する方向に垂直な方向の幅
    L:bと同じ方向の光学素子の長さ
    W:cと同じ方向の光学素子の幅
  7. 前記溝には、前記光源から導いた光を集光する集光素子が固定されていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第6項の何れか一項に記載の光学素子。
  8. 前記集光素子は、前記溝の底に固定されることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の光学素子。
  9. 前記集光素子は、前記光源から光を導光する線状導光体に結合される屈折率分布型レンズであることを特徴とする請求の範囲第7項又は第8項に記載の光学素子。
  10. 請求の範囲第7項乃至第9項の何れか一項に記載の光学素子と、該光学素子を保持する前記スライダと、を有することを特徴とする光ヘッド。
  11. 前記スライダは、前記光学素子の前記溝の開口がある面に固定され、前記溝の開口がある面の反対の面に前記光学素子を支持するサスペンションが固定されることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の光ヘッド。
  12. 記録媒体の上を移動するスライダに搭載される光学素子の製造方法において、
    光源から導いた光を透過する樹脂を材料とする、一方の端は開放され他方の端は閉じられている溝及び前記溝の前記他方の端から入射する前記光を偏向する偏向面を有する前記光学素子の反転形状を有する金型に、前記偏向面でない面を形成する前記金型の面に備えたゲートから前記樹脂を注入して射出成形する工程と、
    前記射出成形する工程の後、前記金型から成形された前記光学素子を離型する工程と、を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  13. 前記ゲートは、前記偏向面に加えて、前記溝が開口している面、前記溝が開口している面の反対側の面の何れでもない面を形成する前記金型の面に備えていることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の光学素子の製造方法。
  14. 前記ゲートは、前記偏向面、前記溝が開口している面、前記溝が開口している面の反対側の面に加えて、前記溝が開放されている面の何れでもない面を形成する前記金型の面に備えていることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の光学素子の製造方法。
  15. 前記溝の底を成す前記樹脂の厚みが前記一方の端側より前記他方の端側が厚いことを特徴とする請求の範囲第12項乃至第14項の何れか一項に記載の光学素子の製造方法。
  16. 前記溝の深さが前記一方の端側より前記他方の端側が浅いことを特徴とする請求の範囲第12項乃至第15項の何れか一項に記載の光学素子の製造方法。
  17. 前記光学素子の厚みが0.1mm以上1mm以下であり、且つ以下の条件式を満たす大きさであることを特徴とする請求の範囲第12項乃至第16項の何れか一項に記載の光学素子の製造方法。
    b < L ≦ k×b
    c < W ≦ k×c
    但し、
    k=2:係数
    b:光学素子を載せるスライダの、スライダが移動する方向と同じ方向の長さ
    c:光学素子を載せるスライダの、スライダが移動する方向に垂直な方向の幅
    L:bと同じ方向の光学素子の長さ
    W:cと同じ方向の光学素子の幅
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