本発明は、レーザ光源を用いる画像表示装置に関する。
画像表示装置として、スクリーン上に画像を映し出すプロジェクションディスプレイが普及している。このようなプロジェクションディスプレイには、一般に、ランプ光源が用いられているが、ランプ光源は寿命が短く、色再現領域が制限されると共に、光利用効率が低いという問題点がある。
これらの問題を解決するため、画像表示装置の光源としてレーザ光源を用いることが試みられている。レーザ光源は、ランプ光源に比べて寿命が長く、指向性が強いため光利用効率を高めやすい。また、レーザ光源は、単色性を示すため、色再現領域が大きく、鮮やかな画像の表示が可能である。
しかしながら、レーザ光源を用いたディスプレイ(以下、「レーザディスプレイ」と呼ぶ。)では、レーザ光の干渉性が高いことから生じるスペックルノイズが問題となる。スペックルノイズとは、レーザ光がスクリーン上で散乱される際、散乱光同士が干渉するために生じる、観察者の目で捉えられる微細な粒状のノイズである。スペックルノイズは、観察者の目のF(エフナンバー)とレーザ光源の波長で決まる大きさの粒がランダムに配置されるノイズであり、観察者がスクリーン上の画像を捉えるのを妨害し、深刻な画像劣化を引き起こす。
これまでスペックルノイズを低減する方法が数多く提案され、スクリーン(表示部)による対策としては、スクリーンを振動させることで時間的に異なるスペックルパターンを作成する方法が提案されている。特許文献1には、圧電素子によるスクリーン振動が提案されている。特許文献2には、表示部が2枚以上のスクリーンで構成され、少なくとも1枚を気流により振動させることを提案している。また、特許文献3には、拡散層を時間的に変化させることが、特許文献4には、拡散層を内部振動させることが提案されている。
しかしながら、スペックルノイズを低減させるためにスクリーンを振動させることは有効ではあるが、スクリーン振動による騒音、スクリーン振動による画像のボケなどの画像劣化と共に、スクリーン振動が視聴者に検知され、視聴者が違和感を覚えるという新たな問題が生じている。
また、スクリーンの大画面化に伴い、スクリーンの振動機構の大型化が要求され、振動機構の信頼性を保つことが困難となりつつある。
特開昭55−65940号公報
特開2005−107150号公報
特開2001−100316号公報
特開2001−100317号公報
本発明の目的は、スペックルノイズを除去しながら、視聴者に外光照明下でも自然で高品位の画像を表示することができる画像表示装置を提供することである。
本発明の一局面に従う画像表示装置は、視聴者による視認可能な画像を表示する画像表示部を有する画像表示装置であって、前記画像表示部は、レーザ光を拡散させる副拡散層と、前記副拡散層を振動させる振動部と、前記副拡散層により拡散されたレーザ光を拡散させる主拡散層と、前記視聴者側からの外光を遮光する遮光層とを備え、前記主拡散層及び遮光層は、前記副拡散層の前記視聴者側に配置される。
上記の画像表示装置では、振動部により振動が印加される副拡散層の視聴者側に主拡散層及び遮光層を配置し、遮光層により視聴側からの外光を遮光するので、副拡散層の振動を視聴者に検知されることなく、レーザ光の利用に起因するスペックルノイズを除去し、外光照明による画像劣化を抑えることができる。このため、自然で、色鮮やかで、コントラストが高い画像を表示することができる。
本発明の実施の形態1における画像表示装置の概略構成を示す模式図である。
画像表示部の構成を示す概略断面図である。
副拡散層のヘーズ値Hsとスペックル除去効果との関係を示す図表である。
図4Aは、副拡散層及び振動部の構成を示す概略正面図である。図4Bは、副拡散層及び振動部の構成を示す概略断面図である。
本発明の実施の形態2における画像表示装置の画像表示部の構成を示す概略断面図である。
本発明の実施の形態3における画像表示装置の画像表示部の構成を示す概略断面図である。
本発明の実施の形態4における画像表示装置の画像表示部の構成を示す概略断面図である。
本発明の実施の形態5における画像表示装置の概略構成を示す模式図である。
本発明の実施の形態6における画像表示装置の概略構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同一部分には同一符号を付し、図面で同一の符号が付いたものは、説明を省略する場合もある。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における画像表示装置100の概略構成を示す模式図である。本実施の形態における画像表示装置100は、例えば、レーザ光源を用いたリアプロジェクションディスプレイ(レーザディスプレイ)に係るものである。
図1において、本実施の形態における画像表示装置100は、レーザ光源1と、変調素子2と、投射光学系3と、背面ミラー31と、画像表示部4と、を備えている。レーザ光源1から出射された光は、図示しない照明光学系を経て、変調素子2を照明する。レーザ光源1からの出射光は変調素子2により変調された後、その変調された光は、投射光学系3から背面ミラー31を経て、画像表示部4上に拡大表示される。視聴者10は、図中右側より、画像表示部4上に表示される画像を観察することになる。
画像表示部4は、副拡散層5と、遮光層6と、主拡散層7と、を有しており、遮光層6及び主拡散層7は、副拡散層5の視聴者10側に配置されている。すなわち、副拡散層5の存在が視聴者10により直接視認されることがないように、副拡散層5、遮光層6及び主拡散層7の視聴者10に対する配置の順序が設定されている。
副拡散層5は、副拡散層5による散乱状態が時間的に変化するように、副拡散層5に印加される振動を制御する振動部51を有している。副拡散層5には振動部51により振動が印加され、それにより、副拡散層5から時間毎に異なる位相や角度の光が出射されることになる。副拡散層5から出射された光は主拡散層7で散乱され、視聴者10は主拡散層7により散乱された光により画像を観察する。すなわち、視聴者10は、副拡散層5により時間的に位相や角度の変化した散乱光を観察することとなる。スペックルノイズは、レーザ光が拡散体を通過及び反射するとき、ランダムに散乱され、視聴者10の網膜で散乱波が重なることで生じ、ぎらぎらと輝く斑点模様(スペックルパターン)のノイズである。本実施の形態では、画像表示部4から出射される散乱波の位相や角度を副拡散層5で時間的に変化させることで、スペックルパターンを変化させる。視聴者10は、変化したスペックルパターンを時間的に積算して知覚することとなり、スペックルノイズの斑点の明暗は平均化され、視聴者10はスペックルノイズを感知しなくなる。
遮光層6は、副拡散層5よりも視聴者10側に配置され、視聴者10側に配置された照明光などの外光が画像表示部4で反射拡散されて視聴者10に観察されて画像が劣化することを防止する。同時に、遮光層6は、副拡散層5に外光が達することを防いでいる。散乱状態が変化する副拡散層5に達した外光を視聴者10が観察すると、画像表示部4の散乱状態の時間的変化が検知され、視聴者10が新たな違和感を覚えてしまう。このため、遮光層6を設けることにより、視聴者10側からの外光が副拡散層5に入射することを防いでいる。このように、遮光層6の配置により、外光の映りこみやコントラストの劣化を抑えると共に、副拡散層5の振動による散乱状態の変化を視聴者10に検知されることを防止できる。
主拡散層7は、副拡散層5よりも視聴者10側に配置され、副拡散層5による時間的変化を持つ画像光を拡散する。このようにすることで、視聴者10に画像光の時間的変化が検知され難くすることができる。また、主拡散層7による外光の反射拡散は時間変化しないことにより、副拡散層5による散乱状態の変化による違和感を視聴者10に与えてしまうことを防止することができる。さらに、視聴者10に対しての画像表示は、視聴者10側に配置された主拡散層7により行われる。このため、副拡散層5が振動してもボケなどの画像劣化が生じず、主拡散層7による拡散により高品位の画像を視聴者10に表示することができる。
また、主拡散層7及び遮光層6は、副拡散層5の振動により生じる駆動音を遮音する効果も有している。副拡散層5の視聴者10側に配置された遮光層6及び主拡散層7は、上記の駆動音が画像表示部4から視聴者10に伝搬することを防止する。したがって、副拡散層5の振動により生じる駆動音は視聴者10により検知されることはなく、副拡散層5の振動が視聴者10による画像の観察の妨げとなることがない。
さらに、主拡散層7及び遮光層6は、視聴者10側から加えられる外的圧力や液体等の付着といった、副拡散層5の振動機構を阻害する外的要因から保護する効果も有している。画像表示部4の大型化に伴い、副拡散層5の軽量化は必須となって来ている。このため、副拡散層5の振動部51による副拡散層5の振動は、外的圧力や液体付着があった場合に不完全動作となり易い。振動する副拡散層5に直接、圧力が加わったり、液体や、ほこり、ごみが付着する場合はもちろんであるが、振動部51自体が圧力印加や液体等の付着を受けて、振動部51の駆動が妨げられてしまう場合もあり得る。そこで、本実施の形態では、副拡散層5の視聴者10側に主拡散層7及び遮光層6を配置することにより、上記の外的要因を主拡散層7及び遮光層6により抑え、副拡散層5の振動が阻害されることを防止する。
本実施の形態における画像表示装置100によれば、画像表示部4による散乱状態の時間的変化を視聴者10に検知されることなく、レーザ光源の利用により生じるスペックルノイズを除去することができる。このため、外光照明下でも画像劣化のない自然で、色鮮やかで、コントラストの高い画像を表示することができる。
次に、画像表示部4の具体的な構成について説明する。図2は、画像表示部4の構成を示す概略断面図である。図2に示すように、画像表示部4は、副拡散層5と、フレネルレンズ8と、レンチキュラーレンズ65と、遮光層61と、主拡散層7と、を有している。遮光層61には、レンチキュラーレンズ65の集光部に透過部が配置され、集光部以外に光吸収体の遮光部が配置されたパターンが形成されている。レンチキュラーレンズ65、遮光層61及び主拡散層7は接合により一体化されている。なお、図2では、簡略化のため、画像表示部4を固定する枠などは図示していない。画像表示部4のサイズとしては、例えば、対角52インチである。
副拡散層5は、拡散フィルム52と、振動部51と、を有している。拡散フィルム52の表面には凹凸パターンが形成され、拡散フィルム52の厚みは50μm、ヘーズ値は40%、同時に振動するフレーム部などを含めた重量は約150gであった。振動部51は、ボイスコイルモータからなり、拡散フィルム52を図2の上下方向に振動させて副拡散層5の散乱状態を時間的に変化させる。ボイスコイルモータの図2の上下方向のストローク(振幅)は500μm、振動周波数が15Hzであった。スペックルノイズを低減する上では、ボイスコイルモータによる振動の振幅は、拡散フィルム52の拡散体の大きさの数倍程度であることが好ましい。拡散体の大きさが50μm程度であれば100〜200μm程度の振幅が好ましく、拡散体の大きさが数μm程度であれば10μm程度の振幅が好ましい。また、振動周波数は少なくとも数Hz程度あることが好ましい。
フレネルレンズ8は、背面ミラー31からの画像の投射光を略平行光化し、画像表示部4の前方に光を配向させる。フレネルレンズ8は、拡散剤が混入された樹脂板と一体化されている。レンチキュラーレンズ65は、投射光に対して水平方向に並列した多数のシリンドリカルレンズからなり、水平方向に光を拡げて水平方向の視野角を向上させている。
主拡散層7は、基材に、その基材と屈折率の異なる拡散体が混入された樹脂板からなる。その樹脂版の厚みとしては2mmで、ヘーズ値は85%、重量は約1.8Kgであった。主拡散層7の視聴者10側の表面には、視聴者10による傷や指紋などを防止するハードコートを設けているが、その他に外光の反射や映りこみを防止するAR処理や拡散処理を表面に設けてもよい。このような主拡散層7の表面に対する処理により、視聴者10側からの外的要因が対処され、副拡散層5の保護が行われる。それにより、副拡散層5の外的要因に対する信頼性を低下させることなく、副拡散層5の軽量化を進めることができる。
遮光層61は、黒色の光吸収体からなる遮光部と、レンチキュラーレンズ65からの画像光を透過させる透過部と、が配置されたストライプパターンからなる。遮光部で視聴者10側からの外光を吸収する。遮光層61中の遮光部の体積比は70%であった。遮光層61は、画像光と異なる光(外光)を遮光部により吸収することにより画像表示部4における画像のコントラストなどの劣化を防ぎながら、画像光を透過部により透過させる。画像光の画像表示部4への入射角度条件にあわせて、画像光の透過部をパターン構造として持つことにより、外光のみ吸収する遮光層61とすることができる。図1及び図2の例では、投射光学系3、副拡散層5、フレネルレンズ8及びレンチキュラーレンズ65による画像光の入射角度条件によって、遮光層61の遮光部及び透過部のパターンを決めている。遮光層61中の遮光部の体積比は50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上である。遮光部の体積比を大きくすることにより、外光の吸収効果をより高めることができる。また、遮光部の体積比は90%以下であることが好ましい。90%よりも高めると、副拡散層5によって拡散された光を遮光部で吸収することとなり、画像光のロスとなるとともに、スペックルノイズの低減を阻害する。
画像表示部4は、視聴者10側から、主拡散層7、遮光層61、副拡散層5の順に配置されていることが好ましい。主拡散層7を経た画像光は大きな拡散角を持つため、主拡散層7の視聴者10側に遮光層61を設けると、画像光を外光とともに遮り、画像光のロスとなる。上記の配置とすることで、画像光のロスを防ぐことを可能とする。なお、図2のように、上記の層間にフレネルレンズ8やレンチキュラーレンズ65が挿入されてもよい。
主拡散層7のヘーズ値Hmと副拡散層5のヘーズ値Hsとは、次の関係にあることが好ましい。
10%<Hs<Hm
ヘーズ値は拡散度を表し、拡散透過率を全光線透過率で割った値である。この関係であれば、主拡散層7の拡散効果は副拡散層5よりも大きくなる。主拡散層7の拡散効果が副拡散層5よりも小さい場合、副拡散層5による画像光の散乱状態の時間的変化が視聴者10に検知されやすくなる。このため、上記の関係を満たすことにより、視聴者10による画像の時間的変化の検知を防ぐことができる。特に、図2のように遮光部と透過部を持つ遮光層61を用いた場合、副拡散層5の拡散効果を主拡散層7よりも大きく設計すると、遮光層61による画像光のロスが大きくなる。このため、主拡散層7の拡散効果を副拡散層5よりも大きくすることが好ましい。また、副拡散層5のヘーズ値が10%以下であると、副拡散層5を振動させても、スペックルノイズを低減するのに十分な拡散効果を得ることが難しい。より好ましくは、副拡散層5のヘーズ値Hsは20%以上である。20%以上であれば、視聴者10がほぼ検知できないレベルまでスペックルノイズを低減できる。
また、副拡散層5の拡散効果が主拡散層7よりも小さいことにより、副拡散層5の振動により生じる画像光の乱れを抑え、主表示面である主拡散層7の拡散が画像生成の主因となる。画像表示装置4の主表示面としての主拡散層7が機能することにより高品位の画像を表示させることができる。
図3は、副拡散層5のヘーズ値Hsとスペックル除去効果との関係を示す評価結果である。図3では、副拡散層5のヘーズ値Hsとして8%、18%、25%、40%、55%、70%及び85%を選択し、主拡散層7のヘーズ値Hmは85%である。この評価は、スペックルノイズによる画像輝度の揺らぎのσ(標準偏差)/X(輝度平均)を、仮想視覚カメラの測定により得られた結果である。副拡散層5のヘーズ値Hsが40%である場合における、副拡散層5の振動の有無の結果から、振動部51により副拡散層5に振動を印加することにより、スペックルノイズによる輝度揺らぎ(σ/X)が小さくなることが分かる。
一方、副拡散層5のヘーズ値Hsが10%未満の場合は、σ/Xが20%以上であり、視聴者10の目につく状態であった。副拡散層5のヘーズ値Hsを10%よりも大きくすることで、σ/Xは減少し、スペックルノイズは抑えられる。特に、副拡散層5のヘーズ値Hsを20%よりも大きくすることで、σ/Xは5%以下となり、視聴者10が気にならないレベルまでスペックルノイズを除去することができている。また、副拡散層5のヘーズ値Hsを主拡散層7と同じ85%としたとき、画像光乱れが見られ、画像劣化が生じると共に、副拡散層5の振動による画像の揺らぎが検知された。また、光量ロスが3割以上生じた。
副拡散層5の重量は、主拡散層7よりも軽いことが好ましい。副拡散層5の重量は、実際に振動する部分の重量である。図2では、拡散フィルム52と、拡散フィルム52と同時に振動する拡散フィルム52のフレーム部と、振動部51の一部と、を含めた重量である。主拡散層7の重量は、主拡散層7を構成する拡散板などの重量で、図2では、主拡散層7の重量に、遮光層61との接着層及び主拡散層7の表面のハードコート層を含んだ重量である。画像表示部4内の振動する副拡散層5の重量を主拡散層7より軽くすることにより、副拡散層5の振動が画像表示部4の外部に伝わっていくことを抑える。より好ましくは、副拡散層5の重量は、主拡散層7の重量の1/5以下である。1/5以下とすることで、より副拡散層5の振動を外部に伝えないようにすることができる。また、振動する副拡散層5よりも主拡散層7が重いことにより、主拡散層7は副拡散層5の振動により生じる駆動音を外部に伝わることを防ぐ効果を有する。
副拡散層5の厚みは、500μm未満であることが好ましい。図2では、副拡散層5である拡散フィルム52の厚みが50μmとなっている。副拡散層5を薄くすることにより、軽量化と振動部51の簡易化ができ、光軸方向(図2の左右方向)の振動なども可能となる。また、副拡散層5を500μm未満とすることで、副拡散層5の軽量化が達成されるので、画面表示部4が大画面化した場合であっても、振動部51の小型化及び長期信頼性も得ることができる。本実施の形態では、拡散フィルム52を50μmとして副拡散層5を軽量化したことにより、50インチ以上の大画面に対し、振動部51は1個の小型ボイスコイルモータにより実現可能となっている。
副拡散層5の振動部51の振動周波数は、20Hz未満であることが好ましい。振動部51による騒音を視聴者10に検知されないように、人の可聴域よりも低い周波数とする。また、低周波数で動作させることにより、振動部51の長期信頼性を得ることができる。また、副拡散層5は、その層全体が一体的に振動するため、副拡散層5の振動時に駆動周波数のスピーカとなってしまう。特に、大画面表示を行う大きな副拡散層5では、大きな音が生じるという問題がある。そこで、画像表示部4から20cm離れた距離の場所で駆動音を調べたところ、駆動周波数が100Hz以上では副拡散層5の振幅が10μm前後でも振動音が聞きとれた。一方。駆動周波数が20Hz未満であれば副拡散層5の振幅が100μm以上であっても、同じ場所で駆動音は聞き取れず、画像表示部4により表示された画像を問題なく視聴することができた。
図2の拡散フィルム52は、図の上下方向に振動部51により振動して、副拡散層5の散乱状態を時間的に変化させているが、副拡散層5の振動は図2の左右方向としてもよい。また、副拡散層5の振動振幅は、拡散フィルム52の拡散体の大きさの数倍程度でよく、拡散体の構成により100μm未満とすることもできる。なお、副拡散層5の振動部51は、副拡散層5の散乱状態を時間的に変化させることができればよく、副拡散層5内の拡散体自体を振動させてもよい。
図2では、副拡散層5、遮光層61、主拡散層7の他に、フレネルレンズ8やレンチキュラーレンズ65が挿入されているが、その他の画像光の配向特性を制御する層や、更に外光の影響を防止するコートや層を設けても良い。
主拡散層7は、拡散体が混入された基材のほか、表面に凹凸形状を設けた拡散層など、視聴者10にその拡散光で画像が観察できれば、どのような拡散効果を示す層でも構わない。
次に、副拡散層5及び振動部51の具体的な構成について説明する。図4Aは、副拡散層5及び振動部51の構成を示す概略正面図、図4Bは、副拡散層5及び振動部51の構成を示す概略断面図である。
図4A及びBに示すように、透明樹脂に凹凸パターンが形成された拡散フィルム52はフレーム部57により固定され、フレーム部57は振動部51の振動部分と接合している。また、フレーム部57は、取り付けバネ58により画像表示装置100の筐体150に取り付けられている。また、振動部51の固定部が画像表示装置100の筐体150に取付けられている。振動部51の振動部分は15Hzの正弦波で図の上下方向に動作するように制御され、取り付けバネ58のバネ定数と数は、15Hz付近で副拡散層5が共振するように設定されている。振動部51と取り付けバネ58により、拡散フィルム52とフレーム部57は15Hzで共振運動を行う。
図4A及びBに示す副拡散層5及び振動部51によれば、副拡散層5の軽量化と信頼性を得ることができる。副拡散層5として拡散フィルム52を用いることで、画像表示部4が大型化した場合でも、副拡散層5の軽量化を図ることができる。また、拡散フィルム52を用いることで、振動の応力による拡散フィルム52の耐久性や、拡散フィルム52に生じるしわによる偏りが問題となるが、樹脂フィルムをフレーム部57に固定し、同時に振動させることにより、それらの問題を解決することができる。また、副拡散層5を共振運動させることにより、低電力で振動部51を制御することができ、画像表示装置100の消費電力を低減できる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態は、上記の実施の形態1の画像表示部と異なる構成の画像表示部を備える画像表示装置に係るものである。図5は、本実施の形態に係る画像表示装置に用いられる画像表示部の構成を示す概略断面図である。
図5に示すように、本実施の形態における画像表示部41は、振動部51が設けられた副拡散層53と、レンチキュラーレンズ65と、遮光層61と、主拡散層7と、を有している。上記の実施の形態1と同様、遮光層61には、レンチキュラーレンズ65の集光部に透過部が配置され、集光部以外に光吸収体の遮光部が配置されたパターンが形成され、レンチキュラーレンズ65、遮光層61及び主拡散層7が一体化されている。レンチキュラーレンズ65、遮光層61及び主拡散層7は、上記の実施の形態1と同一の構成である。
副拡散層53は、視聴者10側の一方の面としてフレネルレンズが形成されたレンズ面を、他方の面として凹凸パターンを有する拡散面を、それぞれ有している。副拡散層53の厚みは200μm、ヘーズ値は60%、同時に振動するフレーム部を含め重量は約300gであった。副拡散層53は、振動部51により図の上下方向に200μm、15Hzの周波数で振動する。副拡散層53は、フレネルレンズ面で画像の投射光を略平行光化し、画像表示部41の前方に光を配向させると共に、拡散面と振動部51を有することで散乱状態を時間的に変化させる。
本実施の形態は、副拡散層53がフレネルレンズ効果も有する好ましい形態である。副拡散層53とレンズ効果を持つ層を一体化させることにより、上記の実施の形態1と同様の配向特性を持ちながら、画像光が通過する空気と画像表示部41の構成要素との間の界面数を減らし、表面反射による画像光のロスを低減することができる。
また、副拡散層53は、上記の実施の形態1の拡散フィルム52と同様、樹脂フィルムからなり、フレーム部で固定して、フレーム部と共に振動させることが好ましい。特に、フレネルレンズと一体化させた場合、振動部51によりフレネルレンズ面に反りなどが生じるとレンズによる配向角度が変化し、輝度ムラなどが発生する。このため、フレネルレンズ面に反りなどが発生しないように、フレーム部で固定してフレーム部と共に振動させることが好ましい。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態は、上記の実施の形態1及び2の画像表示部と異なる構成の画像表示部を備える画像表示装置に係るものである。図6は、本実施の形態に係る画像表示装置に用いられる画像表示部の構成を示す概略断面図である。
図6に示すように、本実施の形態における画像表示部42は、フレネルレンズ8と、振動部51が設けられた副拡散層54と、遮光層63と、主拡散層7と、を有している。
副拡散層54の一方の面にはレンチキュラーレンズが形成され、視聴者10側の他方の面には遮光層63が接合されている。すなわち、副拡散層54と遮光層63は一体化され、振動部51により一緒に振動する。主拡散層7は、上記の実施の形態1と同じものだが、上記の実施の形態2とは異なり、遮光層63とは接合されずに分離され、振動はせずに、画像表示装置筐体に固定されている。フレネルレンズ8は、上記の実施の形態1と同じものを用いている。
副拡散層54と遮光層63は一体化され、一体化された厚みは100μmで、同時に振動するフレーム部を含め重量は約200gであった。振動部51により副拡散層54と遮光層63は、図の上下方向にストローク200μm、15Hzの周波数で振動する。レンチキュラーレンズを一方の面に有する副拡散層54のヘーズ値は、30%であった。なお、副拡散層54のヘーズ値はレンチキュラーレンズの拡散効果も含めた値である。
遮光層63の透過部が副拡散層54と共に振動することで、主拡散層7への入射光路は大きく変化し、スペックルパターンの多様化が生じ、スペックルノイズは低減する。本実施の形態は、遮光層63と副拡散層54が振動して、スペックルノイズを更に低減させる好ましい形態である。
また、副拡散層54はレンチキュラーレンズを一方の面に有することで、遮光層63と共に振動した場合も、常に透過部を画像光が透過するようにできる、より好ましい形態である。副拡散層54がレンチキュラーレンズを一方の面に有することで、遮光層63の振動による画像光のロスを低減することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態は、上記の実施の形態1〜3の画像表示部と異なる構成の画像表示部を備える画像表示装置に係るものである。具体的には、上記の実施の形態1〜3では、副拡散層の振動を機械的な機構により行ったが、本実施の形態では、副拡散層の振動を電磁的な機構により行うものである。図7は、本実施の形態に係る画像表示装置に用いられる画像表示部の構成を示す概略断面図である。
図7に示すように、本実施の形態における画像表示部43は、フレネルレンズ8と、導電性副拡散層56と、レンチキュラーレンズ65aと、導電性遮光層62と、主拡散層7と、を有している。導電性副拡散層56及び導電性遮光層62は共に導電性を有しており、導電性副拡散層56の電極55若しくは導電性遮光層62の電極69の電圧印加により、互いの間に静電気力を生じさせる。導電性副拡散層56の電極55は電圧印加部551に接続され、導電性遮光層62の電極69は電圧印加部691に接続されている。レンチキュラーレンズ65a、導電性遮光層62及び主拡散層7は接合一体化され、画像表示装置筐体に固定されている。主拡散層7とフレネルレンズ8は、上記の実施の形態1と同様のものを用いている。
導電性副拡散層56は、導電性を利用して、電圧をかけたときの静電気力によって図の左右方向に電圧を制御することで振動させる。導電性副拡散層56は、厚み50μmで重量は約50gであった。導電性副拡散層56は、透明電極が樹脂フィルム表面にランダムな網目状に形成されており、この透明電極の凹凸パターンにより光を拡散させる。本実施の形態は、電極材料が拡散体となりながらフィルムに導電性を与える好ましい形態である。導電性副拡散層56のヘーズ値は40%であった。なお、導電性副拡散層56は、通常の拡散フィルムの一面を透明電極膜でコートしたものなど、導電性と拡散性をあわせ持つものであれば特に限定されない。本実施の形態は、副拡散層56に導電材料を含ませ導電性とさせることで、機械的なモータなどを用いずとも振動させられる好ましい形態である。
導電性遮光層62は、導電性を示すように遮光部が導電材料である黒色の炭素で形成され、画像表示部43の外周で遮光部が電気的に繋がるように電極69が形成されている。導電性遮光層62と導電性副拡散層56はレンチキュラーレンズ65aにより隔てられている。すなわち、レンチキュラーレンズ65aは導電性遮光層62と導電性副拡散層56との間のギャップ層の効果も有している。そして、導電性遮光層62と導電性副拡散層56の電圧を制御することで、両者間に静電気力を発生させ、導電性副拡散層56を図左右方向に振動させる。本実施の形態は、導電性遮光層62に導電材料を含ませ、導電性副拡散層56との間にギャップ層を設けることで、導電性遮光層62との間の静電気力を利用して導電性副拡散層56を振動させる好ましい形態である。なお、導電性遮光層62は、導電材料を含みながら外光を遮光する機能を有すればよく、上記の構成に限定されない。
レンチキュラーレンズ65aは、上述したように、導電性遮光層62と導電性副拡散層56との間のギャップ層を兼ねることから、絶縁体である樹脂レンズ板からなることが好ましい。導電性副拡散層56を静電気力で制御するとき、2つの導電層56及び62同士が引っ付いてしまわないように導電層56及び62間に絶縁体のギャップ層を設けることが好ましいが、これを画像光の配向制御を行うレンチキュラーレンズ65aで兼ねることで、振動機構を付加しても構造をシンプルにすることができる。
また、本実施の形態では、導電性副拡散層56または導電性遮光層62の通電状態により、導電部の劣化や切断がないか検知する機構を設けている。例えば、導電性副拡散層56及び導電性遮光層62に電圧を印加する電圧印加部551及び691は、電圧印加時に、通電状態の異常を検知する。このようにすることで、スクリーンが破損し、亀裂や穴が開いた場合、スクリーン全面に分布している導電部の一部が切断されることとなるが、これを速やかに検知することができる。スクリーンの破損を検知した場合、画像表示装置のレーザ光源の出力を停止し、視聴者10の目に画像光が画像表示部を介せずに直接到達することを防ぐ。副拡散層もしくは遮光層に導電性材料を用い、通電状態を検知する機能を設けることで、視聴者10の安全を確保することができる。スクリーンの破損を検知するためには、副拡散層と遮光層の両方を用いてもよいし、片方のみとしてもよい。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。上記の実施の形態1〜4における画像表示装置は、リアプロジェクションディスプレイに係るものであったが、本実施の形態における画像表示装置は、フロントプロジェクションディスプレイに係るものである。図8に、本実施の形態における画像表示装置200の概略構成を示す。
図8において、本実施の形態における画像表示装置200は、レーザ光源1と、投射光学系32と、画像表示部44と、を備えている。画像表示装置200は、画像表示部44に対して、視聴者10側から画像光を投射するレーザフロントプロジェクションディスプレイである。レーザ光源1からの出射光は、図示しない変調素子により変調され、その変調された光は、投射光学系32を経て、画像表示部44に表示される。
画像表示部44は、選択波長吸収遮光層64と、主拡散層71と、振動部51が設けられた反射型副拡散層59と、を有している。反射型副拡散層59の一方の面は反射面になっており、投射光学系32から出射された光はその反射面で視聴者10側に反射される。選択波長吸収遮光層64と主拡散層71は接合され一体化されている。
選択波長吸収遮光層64は、画像光であるレーザ光の波長帯域を透過し、それ以外の帯域の波長の光を選択的に吸収する層である。選択波長吸収遮光層64により、視聴者10側の外光は画像表示部44で拡散される前に吸収され、外光が引き起こす画像劣化を防ぐ。さらに、反射型副拡散層59に外光が達せず、反射型副拡散層59の振動が視聴者10に検知されることを防ぐ。本実施の形態では、非常にスペクトル幅が狭いレーザ光によって画像光をつくるため、画像光と一致しない波長範囲が広い。外光のほとんどの成分は、画像光のスペクトルと異なるため、選択的に吸収することでほとんどの外光を吸収することが可能となる。本実施の形態の選択波長吸収遮光層64は、レーザ光源を用いることで初めて有効となり、フロントプロジェクションタイプでも外光を除くことができる好ましい遮光層である。
主拡散層71は、基材に、その基材と屈折率の異なる拡散体が混入された樹脂板からなる。厚み1mmで、ヘーズ値70%、重量は約900gであった。
反射型副拡散層59は、視聴者10側と反対側の面にアルミ反射膜が蒸着され、視聴者10側の面に凹凸パターンからなる拡散面が形成されている。反射型副拡散層59の厚みは50μm、反射膜の蒸着前に測定したヘーズ値は40%であった。同時に振動するフレーム部などを含めた重量は約150gであった。振動部51は、反射型副拡散層59を図の上下方向にストローク500μm、振動周波数15Hzで振動させる。
なお、副拡散層と反射層は分離してもよく、反射層はアルミ以外でも画像光のみを選択的に反射する誘電体多層膜や白色拡散体を用いてもよい。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6について説明する。上記の実施の形態1〜4における画像表示装置はリアプロジェクションディスプレイに係り、上記の実施の形態5における画像表示装置はフロントプロジェクションディスプレイに係るものであったが、本実施の形態における画像表示装置は、液晶ディスプレイに係るものである。図9に、本実施の形態における画像表示装置300の概略構成を示す。
図9において、本実施の形態における画像表示装置300は、レーザ光源1と、導光板9と、画像表示部45と、を備えている。レーザ光源1を出射した光は、導光板9により面状に均一化され、画像表示部45へ出射される。画像表示部45は、主拡散層7と、偏光子遮光層66と、2次元空間変調素子21と、振動部51が設けられた副拡散層5と、を有している。主拡散層7、偏光子遮光層66及び2次元空間変調素子21は、接合され一体化されている。主拡散層7と副拡散層5は、上記の実施の形態1と同じものを用いている。2次元空間変調素子21は、レーザ光を画像信号により変調して、画像とする。
偏光子遮光層66は、一定方向の偏光方向の光のみ透過し、直交する偏光成分を吸収する遮光層である。偏光子遮光層66は、吸収する偏光成分の外光を吸収して、外光による画像劣化を防ぐと共に、変調された画像光のコントラストを高めることができる。さらに、副拡散層5に外光が達せず、副拡散層5の振動が視聴者10に検知されることを防ぐ。変調された画像光のコントラストを高めるためには、偏光子遮光層66と画像光の不要成分の偏光方向を合わせる必要がある。このとき、画像光を変調させる2次元空間変調素子21と偏光子遮光層66間に、振動する副拡散層5があると、偏光方向が乱れ、画像コントラストを向上させることが難しい。そこで、本実施の形態は、2次元空間変調素子21を振動する副拡散層5の出射側に設け、視聴者10側に偏光子遮光層66を設けることにより画像コントラストの向上をすることができる好ましい形態である。
主拡散層7も副拡散層5と同様に、2次元空間変調素子21と偏光子遮光層66間に設けず、本実施の形態のように偏光子遮光層66の視聴者10側に設けることが好ましい。
このように、本実施の形態は、投射光学系を用いずに、2次元空間変調素子の像を視聴者10が観察する場合に用いることができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態1〜6における画像表示装置よれば、スペックルノイズが除去され、高品位の画像を常に表示することができる。
上記の実施の形態1〜6において、振動する副拡散層は、視聴者が直接画像を観察する画像表示部全面に形成されて振動していれば、スペックルノイズを低減することができる。
また、上記の実施の形態1〜6において、画像表示部は、表示画像が視聴者に観察できればよく、平面状でなくとも、曲面状でもよく、形態も長方形などに限られない。
さらに、上記の実施の形態1〜6において、レーザ光源のレーザ光の変調は変調素子によるものに限定されず、レーザ光源の出力を変調してもよい。
また、上記の実施の形態1〜6において、画像表示装置のレーザ光源から画像表示部までの光学系なども特に上記で述べた構成に限定されない。
上記の各実施の形態から本発明について要約すると、以下のようになる。すなわち、本発明に係る画像表示装置は、視聴者による視認可能な画像を表示する画像表示部を有する画像表示装置であって、前記画像表示部は、レーザ光を拡散させる副拡散層と、前記副拡散層を振動させる振動部と、前記副拡散層により拡散されたレーザ光を拡散させる主拡散層と、前記視聴者側からの外光を遮光する遮光層とを備え、前記主拡散層及び遮光層は、前記副拡散層の前記視聴者側に配置される。
上記の画像表示装置では、振動部により振動が印加される副拡散層の視聴者側に主拡散層及び遮光層を配置し、遮光層により視聴側からの外光を遮光するので、副拡散層の振動を視聴者に検知されることなく、レーザ光の利用に起因するスペックルノイズを除去し、外光照明による画像劣化を抑えることができる。このため、自然で、色鮮やかで、コントラストが高い画像を表示することができる。
前記主拡散層は、前記遮光層の前記視聴者側に配置されることが好ましい。
この場合、主拡散層により拡散された光が視聴者側に直接到達するので、視聴者の目に届く光量を増やすことができる。
前記主拡散層のヘーズ値Hm及び副拡散層のヘーズ値Hsは、10%<Hs<Hmを満たすことが好ましい。
この場合、主拡散層による拡散効果が副拡散層より大きくなるので、主拡散層が主表示面となり、副拡散層の振動による光の変化が視聴者に検知されにくくなる。
前記副拡散層は、前記主拡散層より軽い重量を有することが好ましく、前記副拡散層の重量は、前記主拡散層の重量の5分の1以下であることが好ましい。
この場合、振動する副拡散層と視聴者との間に副拡散層よりも重量の重い主拡散層が配置されるので、副拡散層の振動及びその振動に起因する振動音が視聴者側に伝搬することが主拡散層により防止される。それにより、視聴者は副拡散層の振動に気づくことなく、画像表示部に表示される画像を違和感無く視聴することができる。
前記副拡散層の厚みは、500μm未満であることが好ましい。
この場合、副拡散層が軽量化され、副拡散層に振動を印加する振動部の構成を簡略化することができる。この結果、振動部の信頼性を低下させること無く、画像表示部の大型化が実現される。
前記副拡散層の振動周波数は、20Hz未満であることが好ましい。
この場合、振動部による騒音が低減されて視聴者による視聴を妨害することが無くなると共に、振動部の負荷が低減されて振動部に信頼性が向上する。
前記副拡散層は、前記レーザ光を拡散させる樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの周囲に配置され、前記樹脂フィルムを固定するフレーム部とを有し、前記振動部は、前記フレーム部を振動させることにより前記樹脂フィルムを振動させることが好ましい。
この場合、副拡散層の軽量化を図ると共に、耐久性を向上させることできる。このため、副拡散層の信頼性を低下させること無く、画像表示部の大型化が実現される。
前記副拡散層の一面は、フレネルレンズ面からなり、前記レーザ光は、前記フレネルレンズ面により略並行光化されることが好ましい。
この場合、レーザ光が通過する界面数を増加させること無く、レーザ光を効率良く視聴者側に集めることができる。
前記副拡散層は、導電材料を含み、静電気力に基づいて前記副拡散層を振動させることが好ましい。
この場合、副拡散層を機械的な駆動機構を用いることなく振動させることができるので、不要な騒音の発生は無くなる。
前記遮光層は、導電材料を含み、静電気力に基づいて前記副拡散層を振動させ、前記副拡散層と前記遮光層との間には、所定の厚みを持つギャップ層が配置されていることが好ましい。
この場合、ギャップ層により副拡散層と遮光層の接着を抑えつつ、両者間の引力及び斥力を用いて副拡散層を振動させることができる。
前記ギャップ層は、樹脂レンズ板からなることが好ましい。
この場合、ギャップ層を兼ねる樹脂レンズ板により副拡散層と遮光層の接着を防止するので、振動部の構成を簡略化することができる。
前記導電材料を含む副拡散層及び前記導電材料を含む遮光層のうちの少なくとも一方は、前記導電材料の電圧印加時での通電状態の変化に基づいて前記画像表示部の異常を検知することが好ましい。
この場合、画像表示装置の稼動時に常時、画像表示部の異常を監視することができる。このため、画像表示部に破損等が発生した場合でも、画像表示装置の停止を迅速に行うことができる。
前記副拡散層の導電材料は、前記レーザ光を拡散させる拡散材料であることが好ましい。
この場合、導電材料により副拡散層に拡散性と導電性を与えることができるので、副拡散層を簡単な構成で実現することができる。
前記遮光層は、前記レーザ光を透過させる複数の透過部と、前記視聴者側からの外光を吸収する複数の遮光部と、が交互に配置されたパターン構造を有することが好ましい。
この場合、遮光部により視聴者側からの外光を吸収しつつ、透過部によりレーザ光を視聴者側に透過させることができる。このため、視聴者側からの外光の画像表示部への入射を防止し、効率よくレーザ光を視聴者側に導くことができる。
前記副拡散層と前記遮光層とは、一体化されていることが好ましい。
この場合、遮光層の透過部を透過するレーザ光の主拡散層への入射光路を時間的に大きく変化させ、スペックルノイズをより低減することができる。
前記遮光層は、前記レーザ光を透過させ、前記視聴者側からの外光を吸収する選択波長吸収層からなることが好ましい。
この場合、視聴者側からレーザ光を画像表示部に投射する前方投射型の画像表示装置の場合でも、視聴者側からの外光の副拡散層への入射を防止し、副拡散層の振動による光の変化が視聴者に検知されにくくなる。
前記画像表示部はさらに、前記副拡散層と前記遮光層との間に配置され、前記レーザ光を変調させる2次元空間変調素子を有し、前記遮光層は、前記レーザ光を透過させ、前記視聴者側からの外光を吸収する偏光子層からなることが好ましい。
この場合、導光板からレーザ光を画像表示部の背面から入射する液晶式の画像表示装置の場合でも、視聴者側からの外光の副拡散層への入射を防止し、副拡散層の振動による光の変化が視聴者に検知されにくくなる。
本発明の画像表示装置は、動画や静止画などの画像表示装置として利用することができる。
本発明は、レーザ光源を用いる画像表示装置に関する。
画像表示装置として、スクリーン上に画像を映し出すプロジェクションディスプレイが普及している。このようなプロジェクションディスプレイには、一般に、ランプ光源が用いられているが、ランプ光源は寿命が短く、色再現領域が制限されると共に、光利用効率が低いという問題点がある。
これらの問題を解決するため、画像表示装置の光源としてレーザ光源を用いることが試みられている。レーザ光源は、ランプ光源に比べて寿命が長く、指向性が強いため光利用効率を高めやすい。また、レーザ光源は、単色性を示すため、色再現領域が大きく、鮮やかな画像の表示が可能である。
しかしながら、レーザ光源を用いたディスプレイ(以下、「レーザディスプレイ」と呼ぶ。)では、レーザ光の干渉性が高いことから生じるスペックルノイズが問題となる。スペックルノイズとは、レーザ光がスクリーン上で散乱される際、散乱光同士が干渉するために生じる、観察者の目で捉えられる微細な粒状のノイズである。スペックルノイズは、観察者の目のF(エフナンバー)とレーザ光源の波長で決まる大きさの粒がランダムに配置されるノイズであり、観察者がスクリーン上の画像を捉えるのを妨害し、深刻な画像劣化を引き起こす。
これまでスペックルノイズを低減する方法が数多く提案され、スクリーン(表示部)による対策としては、スクリーンを振動させることで時間的に異なるスペックルパターンを作成する方法が提案されている。特許文献1には、圧電素子によるスクリーン振動が提案されている。特許文献2には、表示部が2枚以上のスクリーンで構成され、少なくとも1枚を気流により振動させることを提案している。また、特許文献3には、拡散層を時間的に変化させることが、特許文献4には、拡散層を内部振動させることが提案されている。
特開昭55−65940号公報
特開2005−107150号公報
特開2001−100316号公報
特開2001−100317号公報
しかしながら、スペックルノイズを低減させるためにスクリーンを振動させることは有効ではあるが、スクリーン振動による騒音、スクリーン振動による画像のボケなどの画像劣化と共に、スクリーン振動が視聴者に検知され、視聴者が違和感を覚えるという新たな問題が生じている。
また、スクリーンの大画面化に伴い、スクリーンの振動機構の大型化が要求され、振動機構の信頼性を保つことが困難となりつつある。
本発明の目的は、スペックルノイズを除去しながら、視聴者に外光照明下でも自然で高品位の画像を表示することができる画像表示装置を提供することである。
本発明の一局面に従う画像表示装置は、視聴者による視認可能な画像を表示する画像表示部を有する画像表示装置であって、前記画像表示部は、レーザ光を拡散させる副拡散層と、前記副拡散層を振動させる振動部と、前記副拡散層により拡散されたレーザ光を拡散させる主拡散層と、前記視聴者側からの外光を遮光する遮光層とを備え、前記主拡散層及び遮光層は、前記副拡散層の前記視聴者側に配置される。
上記の画像表示装置では、振動部により振動が印加される副拡散層の視聴者側に主拡散層及び遮光層を配置し、遮光層により視聴側からの外光を遮光するので、副拡散層の振動を視聴者に検知されることなく、レーザ光の利用に起因するスペックルノイズを除去し、外光照明による画像劣化を抑えることができる。このため、自然で、色鮮やかで、コントラストが高い画像を表示することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同一部分には同一符号を付し、図面で同一の符号が付いたものは、説明を省略する場合もある。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における画像表示装置100の概略構成を示す模式図である。本実施の形態における画像表示装置100は、例えば、レーザ光源を用いたリアプロジェクションディスプレイ(レーザディスプレイ)に係るものである。
図1において、本実施の形態における画像表示装置100は、レーザ光源1と、変調素子2と、投射光学系3と、背面ミラー31と、画像表示部4と、を備えている。レーザ光源1から出射された光は、図示しない照明光学系を経て、変調素子2を照明する。レーザ光源1からの出射光は変調素子2により変調された後、その変調された光は、投射光学系3から背面ミラー31を経て、画像表示部4上に拡大表示される。視聴者10は、図中右側より、画像表示部4上に表示される画像を観察することになる。
画像表示部4は、副拡散層5と、遮光層6と、主拡散層7と、を有しており、遮光層6及び主拡散層7は、副拡散層5の視聴者10側に配置されている。すなわち、副拡散層5の存在が視聴者10により直接視認されることがないように、副拡散層5、遮光層6及び主拡散層7の視聴者10に対する配置の順序が設定されている。
副拡散層5は、副拡散層5による散乱状態が時間的に変化するように、副拡散層5に印加される振動を制御する振動部51を有している。副拡散層5には振動部51により振動が印加され、それにより、副拡散層5から時間毎に異なる位相や角度の光が出射されることになる。副拡散層5から出射された光は主拡散層7で散乱され、視聴者10は主拡散層7により散乱された光により画像を観察する。すなわち、視聴者10は、副拡散層5により時間的に位相や角度の変化した散乱光を観察することとなる。スペックルノイズは、レーザ光が拡散体を通過及び反射するとき、ランダムに散乱され、視聴者10の網膜で散乱波が重なることで生じ、ぎらぎらと輝く斑点模様(スペックルパターン)のノイズである。本実施の形態では、画像表示部4から出射される散乱波の位相や角度を副拡散層5で時間的に変化させることで、スペックルパターンを変化させる。視聴者10は、変化したスペックルパターンを時間的に積算して知覚することとなり、スペックルノイズの斑点の明暗は平均化され、視聴者10はスペックルノイズを感知しなくなる。
遮光層6は、副拡散層5よりも視聴者10側に配置され、視聴者10側に配置された照明光などの外光が画像表示部4で反射拡散されて視聴者10に観察されて画像が劣化することを防止する。同時に、遮光層6は、副拡散層5に外光が達することを防いでいる。散乱状態が変化する副拡散層5に達した外光を視聴者10が観察すると、画像表示部4の散乱状態の時間的変化が検知され、視聴者10が新たな違和感を覚えてしまう。このため、遮光層6を設けることにより、視聴者10側からの外光が副拡散層5に入射することを防いでいる。このように、遮光層6の配置により、外光の映りこみやコントラストの劣化を抑えると共に、副拡散層5の振動による散乱状態の変化を視聴者10に検知されることを防止できる。
主拡散層7は、副拡散層5よりも視聴者10側に配置され、副拡散層5による時間的変化を持つ画像光を拡散する。このようにすることで、視聴者10に画像光の時間的変化が検知され難くすることができる。また、主拡散層7による外光の反射拡散は時間変化しないことにより、副拡散層5による散乱状態の変化による違和感を視聴者10に与えてしまうことを防止することができる。さらに、視聴者10に対しての画像表示は、視聴者10側に配置された主拡散層7により行われる。このため、副拡散層5が振動してもボケなどの画像劣化が生じず、主拡散層7による拡散により高品位の画像を視聴者10に表示することができる。
また、主拡散層7及び遮光層6は、副拡散層5の振動により生じる駆動音を遮音する効果も有している。副拡散層5の視聴者10側に配置された遮光層6及び主拡散層7は、上記の駆動音が画像表示部4から視聴者10に伝搬することを防止する。したがって、副拡散層5の振動により生じる駆動音は視聴者10により検知されることはなく、副拡散層5の振動が視聴者10による画像の観察の妨げとなることがない。
さらに、主拡散層7及び遮光層6は、視聴者10側から加えられる外的圧力や液体等の付着といった、副拡散層5の振動機構を阻害する外的要因から保護する効果も有している。画像表示部4の大型化に伴い、副拡散層5の軽量化は必須となって来ている。このため、副拡散層5の振動部51による副拡散層5の振動は、外的圧力や液体付着があった場合に不完全動作となり易い。振動する副拡散層5に直接、圧力が加わったり、液体や、ほこり、ごみが付着する場合はもちろんであるが、振動部51自体が圧力印加や液体等の付着を受けて、振動部51の駆動が妨げられてしまう場合もあり得る。そこで、本実施の形態では、副拡散層5の視聴者10側に主拡散層7及び遮光層6を配置することにより、上記の外的要因を主拡散層7及び遮光層6により抑え、副拡散層5の振動が阻害されることを防止する。
本実施の形態における画像表示装置100によれば、画像表示部4による散乱状態の時間的変化を視聴者10に検知されることなく、レーザ光源の利用により生じるスペックルノイズを除去することができる。このため、外光照明下でも画像劣化のない自然で、色鮮やかで、コントラストの高い画像を表示することができる。
次に、画像表示部4の具体的な構成について説明する。図2は、画像表示部4の構成を示す概略断面図である。図2に示すように、画像表示部4は、副拡散層5と、フレネルレンズ8と、レンチキュラーレンズ65と、遮光層61と、主拡散層7と、を有している。遮光層61には、レンチキュラーレンズ65の集光部に透過部が配置され、集光部以外に光吸収体の遮光部が配置されたパターンが形成されている。レンチキュラーレンズ65、遮光層61及び主拡散層7は接合により一体化されている。なお、図2では、簡略化のため、画像表示部4を固定する枠などは図示していない。画像表示部4のサイズとしては、例えば、対角52インチである。
副拡散層5は、拡散フィルム52と、振動部51と、を有している。拡散フィルム52の表面には凹凸パターンが形成され、拡散フィルム52の厚みは50μm、ヘーズ値は40%、同時に振動するフレーム部などを含めた重量は約150gであった。振動部51は、ボイスコイルモータからなり、拡散フィルム52を図2の上下方向に振動させて副拡散層5の散乱状態を時間的に変化させる。ボイスコイルモータの図2の上下方向のストローク(振幅)は500μm、振動周波数が15Hzであった。スペックルノイズを低減する上では、ボイスコイルモータによる振動の振幅は、拡散フィルム52の拡散体の大きさの数倍程度であることが好ましい。拡散体の大きさが50μm程度であれば100〜200μm程度の振幅が好ましく、拡散体の大きさが数μm程度であれば10μm程度の振幅が好ましい。また、振動周波数は少なくとも数Hz程度あることが好ましい。
フレネルレンズ8は、背面ミラー31からの画像の投射光を略平行光化し、画像表示部4の前方に光を配向させる。フレネルレンズ8は、拡散剤が混入された樹脂板と一体化されている。レンチキュラーレンズ65は、投射光に対して水平方向に並列した多数のシリンドリカルレンズからなり、水平方向に光を拡げて水平方向の視野角を向上させている。
主拡散層7は、基材に、その基材と屈折率の異なる拡散体が混入された樹脂板からなる。その樹脂版の厚みとしては2mmで、ヘーズ値は85%、重量は約1.8Kgであった。主拡散層7の視聴者10側の表面には、視聴者10による傷や指紋などを防止するハードコートを設けているが、その他に外光の反射や映りこみを防止するAR処理や拡散処理を表面に設けてもよい。このような主拡散層7の表面に対する処理により、視聴者10側からの外的要因が対処され、副拡散層5の保護が行われる。それにより、副拡散層5の外的要因に対する信頼性を低下させることなく、副拡散層5の軽量化を進めることができる。
遮光層61は、黒色の光吸収体からなる遮光部と、レンチキュラーレンズ65からの画像光を透過させる透過部と、が配置されたストライプパターンからなる。遮光部で視聴者10側からの外光を吸収する。遮光層61中の遮光部の体積比は70%であった。遮光層61は、画像光と異なる光(外光)を遮光部により吸収することにより画像表示部4における画像のコントラストなどの劣化を防ぎながら、画像光を透過部により透過させる。画像光の画像表示部4への入射角度条件にあわせて、画像光の透過部をパターン構造として持つことにより、外光のみ吸収する遮光層61とすることができる。図1及び図2の例では、投射光学系3、副拡散層5、フレネルレンズ8及びレンチキュラーレンズ65による画像光の入射角度条件によって、遮光層61の遮光部及び透過部のパターンを決めている。遮光層61中の遮光部の体積比は50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上である。遮光部の体積比を大きくすることにより、外光の吸収効果をより高めることができる。また、遮光部の体積比は90%以下であることが好ましい。90%よりも高めると、副拡散層5によって拡散された光を遮光部で吸収することとなり、画像光のロスとなるとともに、スペックルノイズの低減を阻害する。
画像表示部4は、視聴者10側から、主拡散層7、遮光層61、副拡散層5の順に配置されていることが好ましい。主拡散層7を経た画像光は大きな拡散角を持つため、主拡散層7の視聴者10側に遮光層61を設けると、画像光を外光とともに遮り、画像光のロスとなる。上記の配置とすることで、画像光のロスを防ぐことを可能とする。なお、図2のように、上記の層間にフレネルレンズ8やレンチキュラーレンズ65が挿入されてもよい。
主拡散層7のヘーズ値Hmと副拡散層5のヘーズ値Hsとは、次の関係にあることが好ましい。
10%<Hs<Hm
ヘーズ値は拡散度を表し、拡散透過率を全光線透過率で割った値である。この関係であれば、主拡散層7の拡散効果は副拡散層5よりも大きくなる。主拡散層7の拡散効果が副拡散層5よりも小さい場合、副拡散層5による画像光の散乱状態の時間的変化が視聴者10に検知されやすくなる。このため、上記の関係を満たすことにより、視聴者10による画像の時間的変化の検知を防ぐことができる。特に、図2のように遮光部と透過部を持つ遮光層61を用いた場合、副拡散層5の拡散効果を主拡散層7よりも大きく設計すると、遮光層61による画像光のロスが大きくなる。このため、主拡散層7の拡散効果を副拡散層5よりも大きくすることが好ましい。また、副拡散層5のヘーズ値が10%以下であると、副拡散層5を振動させても、スペックルノイズを低減するのに十分な拡散効果を得ることが難しい。より好ましくは、副拡散層5のヘーズ値Hsは20%以上である。20%以上であれば、視聴者10がほぼ検知できないレベルまでスペックルノイズを低減できる。
また、副拡散層5の拡散効果が主拡散層7よりも小さいことにより、副拡散層5の振動により生じる画像光の乱れを抑え、主表示面である主拡散層7の拡散が画像生成の主因となる。画像表示装置4の主表示面としての主拡散層7が機能することにより高品位の画像を表示させることができる。
図3は、副拡散層5のヘーズ値Hsとスペックル除去効果との関係を示す評価結果である。図3では、副拡散層5のヘーズ値Hsとして8%、18%、25%、40%、55%、70%及び85%を選択し、主拡散層7のヘーズ値Hmは85%である。この評価は、スペックルノイズによる画像輝度の揺らぎのσ(標準偏差)/X(輝度平均)を、仮想視覚カメラの測定により得られた結果である。副拡散層5のヘーズ値Hsが40%である場合における、副拡散層5の振動の有無の結果から、振動部51により副拡散層5に振動を印加することにより、スペックルノイズによる輝度揺らぎ(σ/X)が小さくなることが分かる。
一方、副拡散層5のヘーズ値Hsが10%未満の場合は、σ/Xが20%以上であり、視聴者10の目につく状態であった。副拡散層5のヘーズ値Hsを10%よりも大きくすることで、σ/Xは減少し、スペックルノイズは抑えられる。特に、副拡散層5のヘーズ値Hsを20%よりも大きくすることで、σ/Xは5%以下となり、視聴者10が気にならないレベルまでスペックルノイズを除去することができている。また、副拡散層5のヘーズ値Hsを主拡散層7と同じ85%としたとき、画像光乱れが見られ、画像劣化が生じると共に、副拡散層5の振動による画像の揺らぎが検知された。また、光量ロスが3割以上生じた。
副拡散層5の重量は、主拡散層7よりも軽いことが好ましい。副拡散層5の重量は、実際に振動する部分の重量である。図2では、拡散フィルム52と、拡散フィルム52と同時に振動する拡散フィルム52のフレーム部と、振動部51の一部と、を含めた重量である。主拡散層7の重量は、主拡散層7を構成する拡散板などの重量で、図2では、主拡散層7の重量に、遮光層61との接着層及び主拡散層7の表面のハードコート層を含んだ重量である。画像表示部4内の振動する副拡散層5の重量を主拡散層7より軽くすることにより、副拡散層5の振動が画像表示部4の外部に伝わっていくことを抑える。より好ましくは、副拡散層5の重量は、主拡散層7の重量の1/5以下である。1/5以下とすることで、より副拡散層5の振動を外部に伝えないようにすることができる。また、振動する副拡散層5よりも主拡散層7が重いことにより、主拡散層7は副拡散層5の振動により生じる駆動音を外部に伝わることを防ぐ効果を有する。
副拡散層5の厚みは、500μm未満であることが好ましい。図2では、副拡散層5である拡散フィルム52の厚みが50μmとなっている。副拡散層5を薄くすることにより、軽量化と振動部51の簡易化ができ、光軸方向(図2の左右方向)の振動なども可能となる。また、副拡散層5を500μm未満とすることで、副拡散層5の軽量化が達成されるので、画面表示部4が大画面化した場合であっても、振動部51の小型化及び長期信頼性も得ることができる。本実施の形態では、拡散フィルム52を50μmとして副拡散層5を軽量化したことにより、50インチ以上の大画面に対し、振動部51は1個の小型ボイスコイルモータにより実現可能となっている。
副拡散層5の振動部51の振動周波数は、20Hz未満であることが好ましい。振動部51による騒音を視聴者10に検知されないように、人の可聴域よりも低い周波数とする。また、低周波数で動作させることにより、振動部51の長期信頼性を得ることができる。また、副拡散層5は、その層全体が一体的に振動するため、副拡散層5の振動時に駆動周波数のスピーカとなってしまう。特に、大画面表示を行う大きな副拡散層5では、大きな音が生じるという問題がある。そこで、画像表示部4から20cm離れた距離の場所で駆動音を調べたところ、駆動周波数が100Hz以上では副拡散層5の振幅が10μm前後でも振動音が聞きとれた。一方、駆動周波数が20Hz未満であれば副拡散層5の振幅が100μm以上であっても、同じ場所で駆動音は聞き取れず、画像表示部4により表示された画像を問題なく視聴することができた。
図2の拡散フィルム52は、図の上下方向に振動部51により振動して、副拡散層5の散乱状態を時間的に変化させているが、副拡散層5の振動は図2の左右方向としてもよい。また、副拡散層5の振動振幅は、拡散フィルム52の拡散体の大きさの数倍程度でよく、拡散体の構成により100μm未満とすることもできる。なお、副拡散層5の振動部51は、副拡散層5の散乱状態を時間的に変化させることができればよく、副拡散層5内の拡散体自体を振動させてもよい。
図2では、副拡散層5、遮光層61、主拡散層7の他に、フレネルレンズ8やレンチキュラーレンズ65が挿入されているが、その他の画像光の配向特性を制御する層や、更に外光の影響を防止するコートや層を設けても良い。
主拡散層7は、拡散体が混入された基材のほか、表面に凹凸形状を設けた拡散層など、視聴者10にその拡散光で画像が観察できれば、どのような拡散効果を示す層でも構わない。
次に、副拡散層5及び振動部51の具体的な構成について説明する。図4Aは、副拡散層5及び振動部51の構成を示す概略正面図、図4Bは、副拡散層5及び振動部51の構成を示す概略断面図である。
図4A及びBに示すように、透明樹脂に凹凸パターンが形成された拡散フィルム52はフレーム部57により固定され、フレーム部57は振動部51の振動部分と接合している。また、フレーム部57は、取り付けバネ58により画像表示装置100の筐体150に取り付けられている。また、振動部51の固定部が画像表示装置100の筐体150に取付けられている。振動部51の振動部分は15Hzの正弦波で図の上下方向に動作するように制御され、取り付けバネ58のバネ定数と数は、15Hz付近で副拡散層5が共振するように設定されている。振動部51と取り付けバネ58により、拡散フィルム52とフレーム部57は15Hzで共振運動を行う。
図4A及びBに示す副拡散層5及び振動部51によれば、副拡散層5の軽量化と信頼性を得ることができる。副拡散層5として拡散フィルム52を用いることで、画像表示部4が大型化した場合でも、副拡散層5の軽量化を図ることができる。また、拡散フィルム52を用いることで、振動の応力による拡散フィルム52の耐久性や、拡散フィルム52に生じるしわによる偏りが問題となるが、樹脂フィルムをフレーム部57に固定し、同時に振動させることにより、それらの問題を解決することができる。また、副拡散層5を共振運動させることにより、低電力で振動部51を制御することができ、画像表示装置100の消費電力を低減できる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態は、上記の実施の形態1の画像表示部と異なる構成の画像表示部を備える画像表示装置に係るものである。図5は、本実施の形態に係る画像表示装置に用いられる画像表示部の構成を示す概略断面図である。
図5に示すように、本実施の形態における画像表示部41は、振動部51が設けられた副拡散層53と、レンチキュラーレンズ65と、遮光層61と、主拡散層7と、を有している。上記の実施の形態1と同様、遮光層61には、レンチキュラーレンズ65の集光部に透過部が配置され、集光部以外に光吸収体の遮光部が配置されたパターンが形成され、レンチキュラーレンズ65、遮光層61及び主拡散層7が一体化されている。レンチキュラーレンズ65、遮光層61及び主拡散層7は、上記の実施の形態1と同一の構成である。
副拡散層53は、視聴者10側の一方の面としてフレネルレンズが形成されたレンズ面を、他方の面として凹凸パターンを有する拡散面を、それぞれ有している。副拡散層53の厚みは200μm、ヘーズ値は60%、同時に振動するフレーム部を含め重量は約300gであった。副拡散層53は、振動部51により図の上下方向に200μm、15Hzの周波数で振動する。副拡散層53は、フレネルレンズ面で画像の投射光を略平行光化し、画像表示部41の前方に光を配向させると共に、拡散面と振動部51を有することで散乱状態を時間的に変化させる。
本実施の形態は、副拡散層53がフレネルレンズ効果も有する好ましい形態である。副拡散層53とレンズ効果を持つ層を一体化させることにより、上記の実施の形態1と同様の配向特性を持ちながら、画像光が通過する空気と画像表示部41の構成要素との間の界面数を減らし、表面反射による画像光のロスを低減することができる。
また、副拡散層53は、上記の実施の形態1の拡散フィルム52と同様、樹脂フィルムからなり、フレーム部で固定して、フレーム部と共に振動させることが好ましい。特に、フレネルレンズと一体化させた場合、振動部51によりフレネルレンズ面に反りなどが生じるとレンズによる配向角度が変化し、輝度ムラなどが発生する。このため、フレネルレンズ面に反りなどが発生しないように、フレーム部で固定してフレーム部と共に振動させることが好ましい。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態は、上記の実施の形態1及び2の画像表示部と異なる構成の画像表示部を備える画像表示装置に係るものである。図6は、本実施の形態に係る画像表示装置に用いられる画像表示部の構成を示す概略断面図である。
図6に示すように、本実施の形態における画像表示部42は、フレネルレンズ8と、振動部51が設けられた副拡散層54と、遮光層63と、主拡散層7と、を有している。
副拡散層54の一方の面にはレンチキュラーレンズが形成され、視聴者10側の他方の面には遮光層63が接合されている。すなわち、副拡散層54と遮光層63は一体化され、振動部51により一緒に振動する。主拡散層7は、上記の実施の形態1と同じものだが、上記の実施の形態2とは異なり、遮光層63とは接合されずに分離され、振動はせずに、画像表示装置筐体に固定されている。フレネルレンズ8は、上記の実施の形態1と同じものを用いている。
副拡散層54と遮光層63は一体化され、一体化された厚みは100μmで、同時に振動するフレーム部を含め重量は約200gであった。振動部51により副拡散層54と遮光層63は、図の上下方向にストローク200μm、15Hzの周波数で振動する。レンチキュラーレンズを一方の面に有する副拡散層54のヘーズ値は、30%であった。なお、副拡散層54のヘーズ値はレンチキュラーレンズの拡散効果も含めた値である。
遮光層63の透過部が副拡散層54と共に振動することで、主拡散層7への入射光路は大きく変化し、スペックルパターンの多様化が生じ、スペックルノイズは低減する。本実施の形態は、遮光層63と副拡散層54が振動して、スペックルノイズを更に低減させる好ましい形態である。
また、副拡散層54はレンチキュラーレンズを一方の面に有することで、遮光層63と共に振動した場合も、常に透過部を画像光が透過するようにできる、より好ましい形態である。副拡散層54がレンチキュラーレンズを一方の面に有することで、遮光層63の振動による画像光のロスを低減することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態は、上記の実施の形態1〜3の画像表示部と異なる構成の画像表示部を備える画像表示装置に係るものである。具体的には、上記の実施の形態1〜3では、副拡散層の振動を機械的な機構により行ったが、本実施の形態では、副拡散層の振動を電磁的な機構により行うものである。図7は、本実施の形態に係る画像表示装置に用いられる画像表示部の構成を示す概略断面図である。
図7に示すように、本実施の形態における画像表示部43は、フレネルレンズ8と、導電性副拡散層56と、レンチキュラーレンズ65aと、導電性遮光層62と、主拡散層7と、を有している。導電性副拡散層56及び導電性遮光層62は共に導電性を有しており、導電性副拡散層56の電極55若しくは導電性遮光層62の電極69の電圧印加により、互いの間に静電気力を生じさせる。導電性副拡散層56の電極55は電圧印加部551に接続され、導電性遮光層62の電極69は電圧印加部691に接続されている。レンチキュラーレンズ65a、導電性遮光層62及び主拡散層7は接合一体化され、画像表示装置筐体に固定されている。主拡散層7とフレネルレンズ8は、上記の実施の形態1と同様のものを用いている。
導電性副拡散層56は、導電性を利用して、電圧をかけたときの静電気力によって図の左右方向に電圧を制御することで振動させる。導電性副拡散層56は、厚み50μmで重量は約50gであった。導電性副拡散層56は、透明電極が樹脂フィルム表面にランダムな網目状に形成されており、この透明電極の凹凸パターンにより光を拡散させる。本実施の形態は、電極材料が拡散体となりながらフィルムに導電性を与える好ましい形態である。導電性副拡散層56のヘーズ値は40%であった。なお、導電性副拡散層56は、通常の拡散フィルムの一面を透明電極膜でコートしたものなど、導電性と拡散性をあわせ持つものであれば特に限定されない。本実施の形態は、副拡散層56に導電材料を含ませ導電性とさせることで、機械的なモータなどを用いずとも振動させられる好ましい形態である。
導電性遮光層62は、導電性を示すように遮光部が導電材料である黒色の炭素で形成され、画像表示部43の外周で遮光部が電気的に繋がるように電極69が形成されている。導電性遮光層62と導電性副拡散層56はレンチキュラーレンズ65aにより隔てられている。すなわち、レンチキュラーレンズ65aは導電性遮光層62と導電性副拡散層56との間のギャップ層の効果も有している。そして、導電性遮光層62と導電性副拡散層56の電圧を制御することで、両者間に静電気力を発生させ、導電性副拡散層56を図左右方向に振動させる。本実施の形態は、導電性遮光層62に導電材料を含ませ、導電性副拡散層56との間にギャップ層を設けることで、導電性遮光層62との間の静電気力を利用して導電性副拡散層56を振動させる好ましい形態である。なお、導電性遮光層62は、導電材料を含みながら外光を遮光する機能を有すればよく、上記の構成に限定されない。
レンチキュラーレンズ65aは、上述したように、導電性遮光層62と導電性副拡散層56との間のギャップ層を兼ねることから、絶縁体である樹脂レンズ板からなることが好ましい。導電性副拡散層56を静電気力で制御するとき、2つの導電層56及び62同士が引っ付いてしまわないように導電層56及び62間に絶縁体のギャップ層を設けることが好ましいが、これを画像光の配向制御を行うレンチキュラーレンズ65aで兼ねることで、振動機構を付加しても構造をシンプルにすることができる。
また、本実施の形態では、導電性副拡散層56または導電性遮光層62の通電状態により、導電部の劣化や切断がないか検知する機構を設けている。例えば、導電性副拡散層56及び導電性遮光層62に電圧を印加する電圧印加部551及び691は、電圧印加時に、通電状態の異常を検知する。このようにすることで、スクリーンが破損し、亀裂や穴が開いた場合、スクリーン全面に分布している導電部の一部が切断されることとなるが、これを速やかに検知することができる。スクリーンの破損を検知した場合、画像表示装置のレーザ光源の出力を停止し、視聴者10の目に画像光が画像表示部を介せずに直接到達することを防ぐ。副拡散層もしくは遮光層に導電性材料を用い、通電状態を検知する機能を設けることで、視聴者10の安全を確保することができる。スクリーンの破損を検知するためには、副拡散層と遮光層の両方を用いてもよいし、片方のみとしてもよい。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。上記の実施の形態1〜4における画像表示装置は、リアプロジェクションディスプレイに係るものであったが、本実施の形態における画像表示装置は、フロントプロジェクションディスプレイに係るものである。図8に、本実施の形態における画像表示装置200の概略構成を示す。
図8において、本実施の形態における画像表示装置200は、レーザ光源1と、投射光学系32と、画像表示部44と、を備えている。画像表示装置200は、画像表示部44に対して、視聴者10側から画像光を投射するレーザフロントプロジェクションディスプレイである。レーザ光源1からの出射光は、図示しない変調素子により変調され、その変調された光は、投射光学系32を経て、画像表示部44に表示される。
画像表示部44は、選択波長吸収遮光層64と、主拡散層71と、振動部51が設けられた反射型副拡散層59と、を有している。反射型副拡散層59の一方の面は反射面になっており、投射光学系32から出射された光はその反射面で視聴者10側に反射される。選択波長吸収遮光層64と主拡散層71は接合され一体化されている。
選択波長吸収遮光層64は、画像光であるレーザ光の波長帯域を透過し、それ以外の帯域の波長の光を選択的に吸収する層である。選択波長吸収遮光層64により、視聴者10側の外光は画像表示部44で拡散される前に吸収され、外光が引き起こす画像劣化を防ぐ。さらに、反射型副拡散層59に外光が達せず、反射型副拡散層59の振動が視聴者10に検知されることを防ぐ。本実施の形態では、非常にスペクトル幅が狭いレーザ光によって画像光をつくるため、画像光と一致しない波長範囲が広い。外光のほとんどの成分は、画像光のスペクトルと異なるため、選択的に吸収することでほとんどの外光を吸収することが可能となる。本実施の形態の選択波長吸収遮光層64は、レーザ光源を用いることで初めて有効となり、フロントプロジェクションタイプでも外光を除くことができる好ましい遮光層である。
主拡散層71は、基材に、その基材と屈折率の異なる拡散体が混入された樹脂板からなる。厚み1mmで、ヘーズ値70%、重量は約900gであった。
反射型副拡散層59は、視聴者10側と反対側の面にアルミ反射膜が蒸着され、視聴者10側の面に凹凸パターンからなる拡散面が形成されている。反射型副拡散層59の厚みは50μm、反射膜の蒸着前に測定したヘーズ値は40%であった。同時に振動するフレーム部などを含めた重量は約150gであった。振動部51は、反射型副拡散層59を図の上下方向にストローク500μm、振動周波数15Hzで振動させる。
なお、副拡散層と反射層は分離してもよく、反射層はアルミ以外でも画像光のみを選択的に反射する誘電体多層膜や白色拡散体を用いてもよい。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6について説明する。上記の実施の形態1〜4における画像表示装置はリアプロジェクションディスプレイに係り、上記の実施の形態5における画像表示装置はフロントプロジェクションディスプレイに係るものであったが、本実施の形態における画像表示装置は、液晶ディスプレイに係るものである。図9に、本実施の形態における画像表示装置300の概略構成を示す。
図9において、本実施の形態における画像表示装置300は、レーザ光源1と、導光板9と、画像表示部45と、を備えている。レーザ光源1を出射した光は、導光板9により面状に均一化され、画像表示部45へ出射される。画像表示部45は、主拡散層7と、偏光子遮光層66と、2次元空間変調素子21と、振動部51が設けられた副拡散層5と、を有している。主拡散層7、偏光子遮光層66及び2次元空間変調素子21は、接合され一体化されている。主拡散層7と副拡散層5は、上記の実施の形態1と同じものを用いている。2次元空間変調素子21は、レーザ光を画像信号により変調して、画像とする。
偏光子遮光層66は、一定方向の偏光方向の光のみ透過し、直交する偏光成分を吸収する遮光層である。偏光子遮光層66は、吸収する偏光成分の外光を吸収して、外光による画像劣化を防ぐと共に、変調された画像光のコントラストを高めることができる。さらに、副拡散層5に外光が達せず、副拡散層5の振動が視聴者10に検知されることを防ぐ。変調された画像光のコントラストを高めるためには、偏光子遮光層66と画像光の不要成分の偏光方向を合わせる必要がある。このとき、画像光を変調させる2次元空間変調素子21と偏光子遮光層66間に、振動する副拡散層5があると、偏光方向が乱れ、画像コントラストを向上させることが難しい。そこで、本実施の形態は、2次元空間変調素子21を振動する副拡散層5の出射側に設け、視聴者10側に偏光子遮光層66を設けることにより画像コントラストの向上をすることができる好ましい形態である。
主拡散層7も副拡散層5と同様に、2次元空間変調素子21と偏光子遮光層66間に設けず、本実施の形態のように偏光子遮光層66の視聴者10側に設けることが好ましい。
このように、本実施の形態は、投射光学系を用いずに、2次元空間変調素子の像を視聴者10が観察する場合に用いることができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態1〜6における画像表示装置よれば、スペックルノイズが除去され、高品位の画像を常に表示することができる。
上記の実施の形態1〜6において、振動する副拡散層は、視聴者が直接画像を観察する画像表示部全面に形成されて振動していれば、スペックルノイズを低減することができる。
また、上記の実施の形態1〜6において、画像表示部は、表示画像が視聴者に観察できればよく、平面状でなくとも、曲面状でもよく、形態も長方形などに限られない。
さらに、上記の実施の形態1〜6において、レーザ光源のレーザ光の変調は変調素子によるものに限定されず、レーザ光源の出力を変調してもよい。
また、上記の実施の形態1〜6において、画像表示装置のレーザ光源から画像表示部までの光学系なども特に上記で述べた構成に限定されない。
上記の各実施の形態から本発明について要約すると、以下のようになる。すなわち、本発明に係る画像表示装置は、視聴者による視認可能な画像を表示する画像表示部を有する画像表示装置であって、前記画像表示部は、レーザ光を拡散させる副拡散層と、前記副拡散層を振動させる振動部と、前記副拡散層により拡散されたレーザ光を拡散させる主拡散層と、前記視聴者側からの外光を遮光する遮光層とを備え、前記主拡散層及び遮光層は、前記副拡散層の前記視聴者側に配置される。
上記の画像表示装置では、振動部により振動が印加される副拡散層の視聴者側に主拡散層及び遮光層を配置し、遮光層により視聴側からの外光を遮光するので、副拡散層の振動を視聴者に検知されることなく、レーザ光の利用に起因するスペックルノイズを除去し、外光照明による画像劣化を抑えることができる。このため、自然で、色鮮やかで、コントラストが高い画像を表示することができる。
前記主拡散層は、前記遮光層の前記視聴者側に配置されることが好ましい。
この場合、主拡散層により拡散された光が視聴者側に直接到達するので、視聴者の目に届く光量を増やすことができる。
前記主拡散層のヘーズ値Hm及び副拡散層のヘーズ値Hsは、10%<Hs<Hmを満たすことが好ましい。
この場合、主拡散層による拡散効果が副拡散層より大きくなるので、主拡散層が主表示面となり、副拡散層の振動による光の変化が視聴者に検知されにくくなる。
前記副拡散層は、前記主拡散層より軽い重量を有することが好ましく、前記副拡散層の重量は、前記主拡散層の重量の5分の1以下であることが好ましい。
この場合、振動する副拡散層と視聴者との間に副拡散層よりも重量の重い主拡散層が配置されるので、副拡散層の振動及びその振動に起因する振動音が視聴者側に伝搬することが主拡散層により防止される。それにより、視聴者は副拡散層の振動に気づくことなく、画像表示部に表示される画像を違和感無く視聴することができる。
前記副拡散層の厚みは、500μm未満であることが好ましい。
この場合、副拡散層が軽量化され、副拡散層に振動を印加する振動部の構成を簡略化することができる。この結果、振動部の信頼性を低下させること無く、画像表示部の大型化が実現される。
前記副拡散層の振動周波数は、20Hz未満であることが好ましい。
この場合、振動部による騒音が低減されて視聴者による視聴を妨害することが無くなると共に、振動部の負荷が低減されて振動部に信頼性が向上する。
前記副拡散層は、前記レーザ光を拡散させる樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの周囲に配置され、前記樹脂フィルムを固定するフレーム部とを有し、前記振動部は、前記フレーム部を振動させることにより前記樹脂フィルムを振動させることが好ましい。
この場合、副拡散層の軽量化を図ると共に、耐久性を向上させることできる。このため、副拡散層の信頼性を低下させること無く、画像表示部の大型化が実現される。
前記副拡散層の一面は、フレネルレンズ面からなり、前記レーザ光は、前記フレネルレンズ面により略並行光化されることが好ましい。
この場合、レーザ光が通過する界面数を増加させること無く、レーザ光を効率良く視聴者側に集めることができる。
前記副拡散層は、導電材料を含み、静電気力に基づいて前記副拡散層を振動させることが好ましい。
この場合、副拡散層を機械的な駆動機構を用いることなく振動させることができるので、不要な騒音の発生は無くなる。
前記遮光層は、導電材料を含み、静電気力に基づいて前記副拡散層を振動させ、前記副拡散層と前記遮光層との間には、所定の厚みを持つギャップ層が配置されていることが好ましい。
この場合、ギャップ層により副拡散層と遮光層の接着を抑えつつ、両者間の引力及び斥力を用いて副拡散層を振動させることができる。
前記ギャップ層は、樹脂レンズ板からなることが好ましい。
この場合、ギャップ層を兼ねる樹脂レンズ板により副拡散層と遮光層の接着を防止するので、振動部の構成を簡略化することができる。
前記導電材料を含む副拡散層及び前記導電材料を含む遮光層のうちの少なくとも一方は、前記導電材料の電圧印加時での通電状態の変化に基づいて前記画像表示部の異常を検知することが好ましい。
この場合、画像表示装置の稼動時に常時、画像表示部の異常を監視することができる。このため、画像表示部に破損等が発生した場合でも、画像表示装置の停止を迅速に行うことができる。
前記副拡散層の導電材料は、前記レーザ光を拡散させる拡散材料であることが好ましい。
この場合、導電材料により副拡散層に拡散性と導電性を与えることができるので、副拡散層を簡単な構成で実現することができる。
前記遮光層は、前記レーザ光を透過させる複数の透過部と、前記視聴者側からの外光を吸収する複数の遮光部と、が交互に配置されたパターン構造を有することが好ましい。
この場合、遮光部により視聴者側からの外光を吸収しつつ、透過部によりレーザ光を視聴者側に透過させることができる。このため、視聴者側からの外光の画像表示部への入射を防止し、効率よくレーザ光を視聴者側に導くことができる。
前記副拡散層と前記遮光層とは、一体化されていることが好ましい。
この場合、遮光層の透過部を透過するレーザ光の主拡散層への入射光路を時間的に大きく変化させ、スペックルノイズをより低減することができる。
前記遮光層は、前記レーザ光を透過させ、前記視聴者側からの外光を吸収する選択波長吸収層からなることが好ましい。
この場合、視聴者側からレーザ光を画像表示部に投射する前方投射型の画像表示装置の場合でも、視聴者側からの外光の副拡散層への入射を防止し、副拡散層の振動による光の変化が視聴者に検知されにくくなる。
前記画像表示部はさらに、前記副拡散層と前記遮光層との間に配置され、前記レーザ光を変調させる2次元空間変調素子を有し、前記遮光層は、前記レーザ光を透過させ、前記視聴者側からの外光を吸収する偏光子層からなることが好ましい。
この場合、導光板からレーザ光を画像表示部の背面から入射する液晶式の画像表示装置の場合でも、視聴者側からの外光の副拡散層への入射を防止し、副拡散層の振動による光の変化が視聴者に検知されにくくなる。
本発明の画像表示装置は、動画や静止画などの画像表示装置として利用することができる。
本発明の実施の形態1における画像表示装置の概略構成を示す模式図である。
画像表示部の構成を示す概略断面図である。
副拡散層のヘーズ値Hsとスペックル除去効果との関係を示す図表である。
図4Aは、副拡散層及び振動部の構成を示す概略正面図である。図4Bは、副拡散層及び振動部の構成を示す概略断面図である。
本発明の実施の形態2における画像表示装置の画像表示部の構成を示す概略断面図である。
本発明の実施の形態3における画像表示装置の画像表示部の構成を示す概略断面図である。
本発明の実施の形態4における画像表示装置の画像表示部の構成を示す概略断面図である。
本発明の実施の形態5における画像表示装置の概略構成を示す模式図である。
本発明の実施の形態6における画像表示装置の概略構成を示す模式図である。