以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るスクリーンと入射光の関係を示す模式図である。図2は、第2層の移動の範囲を示す模式図である。図3は、第2層の移動状態におけるスクリーンの面上に発生するスペックルパターンの関係を示す模式図である。図1〜図3を参照して、スクリーン10の構成および動作を説明する。
図1に示すように、本実施形態でのスクリーン10は、視野角を拡大する視野角制御手段を有する第1層と、入射する光束の入射角度を略同方向に変換する角度変換手段を有する第2層とを有して構成されており、どちらか一方の層に、入射する光束を拡散する拡散機能を有している形態となっている。なお、第1層と第2層の移動に関しては、拡散機能を有する一方の層が移動手段を有して、他方の層に対して移動することになる。
詳細には、本実施形態でのスクリーン10は、視野角を拡大する視野角制御手段を有する第1層としてのレンチキュラーレンズ11、入射する光束の入射角度を略同方向に変換する角度変換手段を有する第2層としてのフレネルレンズ12とで構成される。そして、本実施形態では、フレネルレンズ12が、入射する光束を拡散する拡散機能を有している。詳細には、フレネルレンズ12の本体内部に略均一に光拡散材が添加され拡散機能を有している。なお、レンチキュラーレンズ11には拡散機能を有していない。また、本実施形態では、フレネルレンズ12が移動手段を有して、レンチキュラーレンズ11に対して移動する形態としている。
また、図1に示すように、本実施形態のスクリーン10は、光源70から射出された光が、投射レンズ80を介して投射され、その光がフレネルレンズ12に入射光として入射されている。なお入射光は図1中、二点鎖線の矢印で模式的に示している。
このような構成のスクリーン10により、フレネルレンズ12に入射した入射光は、フレネルレンズ12内の光拡散材により、位相がずれて乱れた散乱波となり、フレネルレンズ12から射出して、レンチキュラーレンズ11に入射する。レンチキュラーレンズ11に入射した光は、特に水平方向に配光され、レンチキュラーレンズ11から射出される。そして、レンチキュラーレンズ11から射出(スクリーン10から射出)された射出光(散乱波)は干渉し合い、フレネルレンズ12に拡散機能を有さない場合に比較して、スペックルの発生が増えることにより、輝度が均一化されることになる。
なお、フレネルレンズ12は、上述したように、移動手段を有しており、拡散機能を有するフレネルレンズ12を、相対するレンチキュラーレンズ11の層に対して略平行となる方向に移動する(図1に、太線矢印で示す)。このような移動を行なわせることにより、レンチキュラーレンズ11とフレネルレンズ12との間に隙間が拡がることを抑制している。本実施形態では、レンチキュラーレンズ11は固定されて移動は行なわない。
また、フレネルレンズ12は、1方向の往復移動ではなく、少なくとも画像表示時は所定値以上の線速度を有するように移動が行なわれる。そして、フレネルレンズ12の線速度をVとし、フレネルレンズ12のレンズピッチをPとした場合、線速度Vを算出する計算式は、式(1)で表わすことができる。
V≧P×50(mm/sec) ・・・(1)
なお、式(1)は、人間の目の周波数応答性(残像時間)やフレネルレンズ12のレンズピッチPによるスペックルパターンの変化特性を考慮した式となっている。
人間の目の周波数応答性として、一般的に、50Hz以上の速さで変化するものに対しては、そのものが変化したことを認識しづらく(殆んど認識できなく)なる。そのため、フレネルレンズ12から射出した後のスペックルパターンが、50Hz以上の速さで変化すれば、観測者はそれをギラツキとして認識しづらくなり、その結果、スペックルをスペックルとして認識しづらくなる。また、フレネルレンズ12を移動した場合、移動によるスペックルパターンは、フレネルレンズ12の有するレンズ角度AがレンズピッチPに応じて微妙に変化することにより、フレネルレンズ12のレンズピッチPが変化する毎に変化する。例えば、1点を見つめた場合、フレネルレンズ12の1ピッチ間の移動中はスペックルパターンが変化せず、このピッチから次のピッチに移動した瞬間にスペックルパターンは変化する。
従って、この1ピッチを通り過ぎる時間を50Hz(20msec)とすることにより、スペックルを認識しづらくさせることができる。
なお、本実施形態では、フレネルレンズ12のレンズピッチPは、0.1mmであり、このレンズピッチP(P=0.1mm)の距離を20msecで移動すればよいことになる。そのため、式(1)より、本実施形態の線速度Vは、V=0.1×50=5mm/secとしている。例えば、スクリーン10に画像が表示されている間は、常に線速度Vが5mm/sec以上を保つようにフレネルレンズ12を移動する。
なお、レンズピッチPは、使用するフレネルレンズにより異なるため、使用するフレネルレンズのレンズピッチPで線速度を計算することになる。
次に、図2を参照して、第1層(本実施形態では、フレネルレンズ12)が移動する際の移動の範囲を説明する。
本実施形態では、前述したように、光源70からの光が投射レンズ80を介して投射されている。詳細には、本スクリーン10は、リアプロジェクタに用いられており、光源70からの光は、例えば、リアプロジェクタ500(図5参照)の制御ユニット530(図5参照)から出力された画像信号に基づいて、光変調装置522(図5参照)により、光学像を形成する。
なお、光変調装置522は、例えば、ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子として用いたものであり、複数の画素を有して構成され、入射する光束を画像情報に応じて変調して光学像として射出する。
このように変調されて形成された光学像を、投射レンズ80を介して、拡大してスクリーン10に投射した場合、スクリーン10には、図2に一部を示すように、拡大された略矩形状の複数の画素Gが投射され、その画素Gの内部には、画素Gに対応した光学像が映し出されることになる。
図2に示すように、スクリーン10に投射された画素Gおいて、ある1つの画素を第1画素G1(画素をグレーで示す)とした場合、本実施形態でのフレネルレンズ12が移動する際の第1画素G1の移動の範囲は、この第1画素G1に隣接して取り囲むように位置している第2画素G2(画素を斜線で示す)によって形成される範囲(図中太実線で囲まれる範囲)以内としている。言い換えれば、フレネルレンズ12は、スクリーン10上に投射される画素Gが1画素以内の移動範囲となるような移動が許容されている。
ここで、一般的なリアプロジェクタにおいて、リアプロジェクタ内部に設置されるスクリーンの歪曲の規格として、1画素以内の歪を許容している。すなわち、1画素以内の差異については、人間の目ではその差が視認しにくいと言うことである。同じことは、画素Gの移動量についても言え、画素Gが1画素以内で移動したとしても、人間の眼では視認しにくいということになる。従って、本実施形態では、フレネルレンズ12の移動量として、投射される画素Gが1画素以内の移動範囲となるような移動量を許容している。
また、図3に示すのは、上述したようにフレネルレンズ12の移動状態における、スクリーン10の面上の空間や人間の網膜上などに発生するスペックルパターンの関係を模式的に示している。詳細には、フレネルレンズ12A(図3中、実線で示す)がフレネルレンズ12B(図3中、二点鎖線で示す)の位置に移動した状態のとき、発生するスペックル13(13A)もフレネルレンズ12の移動に合わせて、スペックル13Bの位置に移動することを示す図である。
図3に示すように、スペックル13は、時間軸において入射光の波長パターンが略同じであることから、波長の干渉によるスペックル13も略同じ位置に発生するため、静的な干渉パターン(スペックルパターン)としてとらえることができる。そして、フレネルレンズ12が移動することにより、スペックルパターンも同様に移動することで、静的なスペックルパターンとして視認されるのを抑制すると同時に、見かけ上、スペックル13が増えたことになり、前述した拡散機能によるスペックル13の増加に加えて、スペックル13が更に増加し、輝度が均一化される。
上述した、第1実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)本実施形態のスクリーン10は、視野角を拡大する視野角制御手段を有する第1層としてのレンチキュラーレンズ11と、入射する光束の入射角度を略同方向に変換する角度変換手段を有する第2層としてのフレネルレンズ12を有している。またフレネルレンズ12には拡散機能を有している。これにより、位相の乱れた散乱波を重ね合わせ、スペックル13の発生する干渉を増やすことにより輝度の均一化を図ることができる。また、フレネルレンズ12は移動手段により、レンチキュラーレンズ11に対して移動させている。これにより、静的干渉パターン(スペックルパターン)を移動させることにより、静的なスペックルパターンとして視認されるのを抑制すると同時に、見かけ上、スペックル13が増えたことになり、拡散機能によるスペックル13の増加に加えて、スペックル13が更に増加し、輝度が均一化される。従って、観測者に対して、スペックル13を視認しづらくさせることができる(ギラツキとして感じることを低減できる)。また、移動に際して、フレネルレンズ12は、レンチキュラーレンズ11に対して、略平行となる方向に移動させている。このような移動を行なわせることにより、お互いの層の間に隙間が拡がることを抑制するため、移動に伴う画像のボケなどの画質低下を低減することができる。
(2)本実施形態において、スクリーン10は、視野角を拡大する視野角制御手段を有する第1層としてのレンチキュラーレンズ11と、入射する光束の入射角度を略同方向に変換する角度変換手段を有する第2層としてのフレネルレンズ12とで構成されている。この構成により、一般的なスクリーン、例えば、現在のリアプロジェクタなどに採用されているスクリーンと同様の構成部材となるため、移動手段を追加することにより、容易に本発明を適用することが可能となる。
(3)なお、本実施形態のスクリーン10をリアプロジェクタに採用した場合、スクリーン10は、一般的に、第1層としてのレンチキュラーレンズ11がリアプロジェクタの外観面側に配置され、第2層としてのフレネルレンズ12が第1層(レンチキュラーレンズ11)の背面側(リアプロジェクタの内部側)に配置されることになる。従って、第1層としてのレンチキュラーレンズ11が観測者と直接相対する部材となるため、移動手段を第2層としてのフレネルレンズ12に有することは、フレネルレンズ12を移動させても、観測者は、直接フレネルレンズ12に接触できないことにより、フレネルレンズ12に触れることを防止でき、観測者に対する安全性を向上することができる。また、スペックル13の低減を図れるスクリーン10としての信頼性を向上することができる。また、フレネルレンズ12の移動を観測者が視認できないことなどにより、観測者がスクリーン10に投射される映像を視認し続ける場合の疲労感を低減させることにおいても有効となる。
(4)本実施形態において、フレネルレンズ12の移動における線速度Vを、P×50(mm/sec)以上(本実施形態では、V=5mm/sec)とすることにより、人間の目の周波数応答性やフレネルレンズ12のレンズピッチPによるスペックルパターンの変化特性を考慮することができ、スペックル13を認識しづらくさせることができる。
(5)本実施形態において、スクリーン10に投射された画素Gに対して、ある1つの画素を第1画素G1とした場合、この第1画素G1の移動が、第1画素G1に隣接して取り囲むように位置している第2画素G2によって形成される範囲以内となるように、フレネルレンズ12の移動範囲を設定している。これにより、フレネルレンズ12が移動しても、投射された映像がズレた映像として認識され難くすることができる。
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係るスクリーンと入射光の関係を示す模式図である。図4を参照して、スクリーン20の構成および動作を説明する。
図4に示すように、スクリーン20は、第1実施形態でのスクリーン10の構成と略同様であり、異なるのは、第1実施形態では、第2層に拡散機能を有し、第2層は、拡散機能を有さない第1層に対して移動しているが、第2実施形態では、第1層と第2層との双方に拡散機能を有していることである。なお、第1層と第2層の移動に関しては、少なくともどちらか一方の層が他方の層に対して移動することになる。
詳細には、本実施形態では、視野角を拡大する視野角制御手段を有する第1層としてのレンチキュラーレンズ21、入射する光束の入射角度を略同方向に変換する角度変換手段を有する第2層としてのフレネルレンズ22とを有して構成される。そして、レンチキュラーレンズ21とフレネルレンズ22との双方に拡散機能を有している。なお、拡散機能は、第1実施形態と同様の光拡散材が、レンチキュラーレンズ21とフレネルレンズ22との各本体内部に略均一に添加されることで実現されている。
また、本実施形態では、フレネルレンズ22が移動手段を有して、レンチキュラーレンズ21に対して移動する形態としている。また、移動は、第1実施形態と同様に、フレネルレンズ22をレンチキュラーレンズ21に対して、略平行となる方向に移動させている。このような移動を行なわせることにより、お互いの層の間に隙間が拡がることを抑制している。
このような構成のスクリーン20により、フレネルレンズ22に入射した入射光は、フレネルレンズ22内の光拡散材により、位相がずれて乱れた散乱波となり、フレネルレンズ22から射出して、レンチキュラーレンズ21に入射する。レンチキュラーレンズ21に入射した光は、レンチキュラーレンズ21内部の光拡散材により、更に位相がずれて乱れた散乱波となり、レンチキュラーレンズ21から射出する。なお、レンチキュラーレンズ21により、特に水平方向に配光され射出される。そして、レンチキュラーレンズ21から射出(スクリーン20から射出)された射出光(散乱波)は干渉し合う。このような動作により、どちらか一方の層にのみ拡散機能を有する場合に比較して、スペックルの発生が更に増えることにより、更に輝度が均一化されることになる。
また、フレネルレンズ22は、上述したように、移動手段を有しており、拡散機能を有するフレネルレンズ22を、相対するレンチキュラーレンズ21の層に対して略平行となる方向に移動する(図4に、太線矢印で示す)。このような移動を行なわせることにより、レンチキュラーレンズ21とフレネルレンズ22との間に隙間が拡がることを抑制している。本実施形態では、レンチキュラーレンズ21は固定されて移動は行なわない。
フレネルレンズ22の移動により、スペックルパターンも同様に移動することで、静的なスペックルパターンとして視認されるのを抑制すると同時に、見かけ上、スペックルが増えたこととなり、前述した拡散機能によるスペックルの増加に加えて、スペックルが更に増加し、輝度が均一化される。
なお、発生するスペックルパターンは、フレネルレンズ22、レンチキュラーレンズ21の各々のスペックルパターンの組み合わせになる。そして、移動手段によるフレネルレンズ22の移動量は、拡散材の粒子径程度の移動で良いため、微小な移動量としている。
また、フレネルレンズ22の移動は、第1実施形態と同様に、1方向の往復移動ではなく、線速度を有する移動を行なう。そして、フレネルレンズ22の線速度をVとし、フレネルレンズ22のレンズピッチをPとした場合、本実施形態での線速度Vを算出する計算式は、式(2)で表わすことができる。
0<V≦P×50(mm/sec) ・・・(2)
なお、式(2)は、人間の目の周波数応答性(残像時間)やフレネルレンズ22のレンズピッチPによるスペックルパターンの変化特性を考慮した式となっている。
ここで、本実施形態でのフレネルレンズ22のレンズピッチPは、0.1mmであるため、線速度Vは、式(2)より、0<V≦5mm/secの範囲であればよい。本実施形態では、線速度Vは、V=1mm/secとしている。
なお、本実施形態のように、レンチキュラーレンズ21とフレネルレンズ22とに拡散機能を有している場合には、フレネルレンズ22のレンズピッチ間の移動によるスペックルパターンの変化量よりも拡散機能の重ね合わせ(スペックルパターンの組み合わせ)によるスペックルパターンの変化量の方が大きくなる。そのため、本実施形態では、レンチキュラーレンズ21とフレネルレンズ22とに有する拡散機能の重ね合わせに加えて、上記のわずかな線速度V(V=1mm/sec)でフレネルレンズ22を移動させることにより、スペックルパターンを効果的に低減させている。
上述した、第2実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)本実施形態のスクリーン20は、視野角を拡大する視野角制御手段を有する第1層としてのレンチキュラーレンズ21と、入射する光束の入射角度を略同方向に変換する角度変換手段を有する第2層としてのフレネルレンズ22を有している。また、レンチキュラーレンズ21とフレネルレンズ22との双方に、拡散機能を有している。これにより、位相の乱れた散乱波を重ね合わせ、スペックルの発生する干渉を、第1実施形態に対して、更に増やすことになり、輝度の均一化を図ることができる。また、フレネルレンズ22を移動手段により、レンチキュラーレンズ21に対して移動させることで、静的なスペックルパターンを移動させることができる。スペックルパターンを移動させることにより、静的なスペックルパターンとして視認されるのを抑制すると同時に、見かけ上、スペックルが増えたことになり、拡散機能によるスペックルの増加に加えて、スペックルが更に増加し、輝度が均一化される。従って、観測者に対して、スペックルを視認しづらくさせることができる(ギラツキとして感じることを低減できる)。また、移動に際して、フレネルレンズ22は、レンチキュラーレンズ21に対して、略平行となる方向に移動させている。このような移動を行なわせることにより、お互いの層の間に隙間が拡がることを抑制するため、移動に伴う画像のボケなどの画質低下を低減することができる。
(2)本実施形態のスクリーン20は、レンチキュラーレンズ21とフレネルレンズ22との双方に拡散機能を有したため、第1実施形態での移動手段による移動量に比較して、少ない移動量で、静的なスペックルパターンを、観測者に対して、視認しづらくさせることができる。
(3)本実施形態において、スクリーン20は、視野角を拡大する視野角制御手段を有する第1層としてのレンチキュラーレンズ21と、入射する光束の入射角度を略同方向に変換する角度変換手段を有する第2層としてのフレネルレンズ22とで構成されている。この構成により、一般的なスクリーン、例えば、現在のリアプロジェクタなどに採用されているスクリーンと同様の構成部材となるため、移動手段を追加することにより、容易に本発明を適用することが可能となる。
(4)なお、本実施形態のスクリーン20をリアプロジェクタに採用した場合、スクリーン20は、一般的に、第1層としてのレンチキュラーレンズ21がリアプロジェクタの外観面側に配置され、第2層としてのフレネルレンズ22が第1層(レンチキュラーレンズ21)の背面側(リアプロジェクタの内部側)に配置されることになる。従って、第1層としてのレンチキュラーレンズ21が観測者と直接相対する部材となるため、移動手段を第2層としてのフレネルレンズ22に有することは、フレネルレンズ22を移動させても、観測者は、直接フレネルレンズ22に接触できないことにより、フレネルレンズ22に触れることを防止でき、観測者に対する安全性を向上することができる。また、スペックルの低減を図れるスクリーン20としての信頼性を向上することができる。また、フレネルレンズ22の移動を観測者が視認できないことなどにより、観測者がスクリーン20に投射される映像を視認し続ける場合の疲労感を低減させることにおいても有効となる。
(5)本実施形態では、レンチキュラーレンズ21とフレネルレンズ22との双方に拡散機能を有しているため、拡散機能の重ね合わせ(スペックルパターンの組み合わせ)によりスペックルの発生する干渉を第1実施形態に比較して更に増やすことができ、輝度の均一化を図れる。そのため、第1実施形態での、フレネルレンズ12の線速度Vよりも小さい線速度となる、0<V≦5mm/secの範囲で移動させる(本実施形態では、V=1mm/sec)ことにより、静的なスペックルパターンとして視認されることを抑制できる。
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係るスクリーンをリアプロジェクタに適用したときの側面からの概略断面図である。また、図6は、移動手段を有するスクリーンの概略構成図である。
図5を参照して、プロジェクタとしてのリアプロジェクタ500の構成および動作を概略説明する。
図5に示すように、リアプロジェクタ500は、外装筺体としてのキャビネット510と、画像投射装置としてのプロジェクタユニット520と、制御ユニット530と、反射ミラー540と、透過型のスクリーン30と、移動手段を構成する制御回路部110、駆動部120とにより概略構成されている。
キャビネット510は、図5に示すように、背面側(図5中、右側)が傾斜した箱形に構成され、内部にプロジェクタユニット520、制御ユニット530、および反射ミラー540を収納配置する。なお、具体的な図示は省略するが、キャビネット510内部には、プロジェクタユニット520、制御ユニット530、および反射ミラー540の他、リアプロジェクタ500の各構成部材に電力を供給する電源ユニット、および、リアプロジェクタ500内部を冷却する冷却ユニット、音声を出力する音声出力部などが設置される。また、このキャビネット510の前面側(図5中、左側)には、平面視矩形形状の開口部511が形成され、開口部511周縁に透過型のスクリーン30が支持固定される。
プロジェクタユニット520は、図5に示すように、キャビネット510内の底面に設置され、制御ユニット530から出力された画像信号に基づいて画像光(光学像)Lを形成して反射ミラー540に向けて拡大投射する。このプロジェクタユニット520は、例えば、光源521と、光源521から射出された光束を画像信号に基づいて変調して画像光Lを形成する光変調装置522(例えば、液晶パネルなど)と、画像光Lを拡大投射する投射レンズ523などを備えて構成されている。
制御ユニット530は、具体的な図示は省略するが、例えば、チューナ、IF回路、音声検波回路、映像検波回路、増幅回路、およびCPUなどを備えて構成され、プロジェクタユニット520を統括的に制御する。また、制御ユニット530は、例えば、リモートコントローラ(図示略)の操作によって選択されたチャンネルに対応する周波数の放送信号を抽出して、画像信号をプロジェクタユニット520に出力するとともに音声信号を音声出力部(図示略)に出力する。
反射ミラー540は、図5に示すように、キャビネット510内の上部の背面側に設置され、プロジェクタユニット520によって投射された画像光Lを透過型のスクリーン30の背面側に反射する。
スクリーン30は、平面視矩形形状を有し、キャビネット510の開口部511周縁に支持固定される。このスクリーン30は、背面側に設置されるフレネルレンズ32と、前面側に設置されるレンチキュラーレンズ31とにより構成されている。レンチキュラーレンズ31およびフレネルレンズ32は、ともにシート状の部材で形成されている。また、レンチキュラーレンズ31とフレネルレンズ32との双方に、拡散機能を有している。そして、スクリーン30は、反射ミラー540を介して入射した画像光Lをフレネルレンズ32で平行光に変換し、また、画像光Lを画像として結像させ、前記平行光をレンチキュラーレンズ31で拡散光に変換して、画像光Lを背面側から前面側に投影して投影画像を表示する。
図6を参照して、移動手段の構成および動作を概略説明する。
本実施形態では、スクリーン30を移動させる移動手段として、電磁部材および磁性部材を有している。そして、電磁部材が駆動し、磁性部材を引きつけ又は引きつけ停止を行なうことにより、第1層としてのレンチキュラーレンズ31に対して第2層としてのフレネルレンズ32を移動する構成となっている。
また、スクリーン30は、上述したように、キャビネット510の開口部511周縁に支持固定される。詳細には、レンチキュラーレンズ31は、開口部511周縁に支持固定され、フレネルレンズ32は、スクリーン30を支持する支持部を構成すると同時に移動手段を構成する移動支持部130としての弾性部材、詳細には、ばね部材131を介して開口部511周縁に支持固定される。それにより、フレネルレンズ32は、レンチキュラーレンズ31に対して移動できる形態で支持され固定される。なお、レンチキュラーレンズ31とフレネルレンズ32は、密着して支持されている。また、ばね部材131は、本実施形態では、2本のばね部材131A,131Bが、フレネルレンズ32の底辺側に所定の間隔で設置される。
移動手段は、フレネルレンズ32の下側に設置され、制御回路部110と駆動部120と移動支持部130とを有して構成されている。そして、駆動部120は、上述した電磁部材としての電磁石122と、磁性部材としての磁性体123と、電磁石122を駆動する接点回路部121とを有して構成される。移動支持部130は、上述した弾性部材としてのばね部材131を有している。
なお、本実施形態では、2つの電磁石122A,122Bが、フレネルレンズ32の底辺側に相対する位置に設置される。また、磁性体123は、本実施形態では、鉄板を使用している。そして、2つの磁性体123A,123Bが、電磁石122に略相対する位置で、フレネルレンズ32の底辺側に設置される。なお磁性体123は、鉄板の他、磁性を有する部材であれば使用することができる。
なお、本実施形態では、電磁石122の位置と磁性体123の位置を若干ずらして設置している。これは、フレネルレンズ32の移動を一様な移動とせずに、複雑な移動を行なわせるためである。
移動手段の動作を説明する。
制御回路部110は、フレネルレンズ32を移動させるための制御信号を出力する回路である。そして、駆動部120の接点回路部121は、制御回路部110から出力された信号に基づいて、接点121A,121BをON/OFF動作させる。それにより、電磁石122を駆動させる。
ここで、接点121AがON/OFFする場合の動作を説明する。
接点121AがONとなると、電磁石122Aに電流が流れ、電磁石122Aの周囲に磁界が発生する。その磁界に対してフレネルレンズ32に設置されている磁性体123Aが引きつけられる。その際、フレネルレンズ32に設置されるばね部材131Aをフレネルレンズ32が押圧して、ばね部材131Aを圧縮させながら磁性体123Aは引きつけられる。
ここで、接点121AがOFFとなると、電磁石122Aへの電流は遮断され、磁界も遮断される。これにより、磁性体123Aは今まで電磁石122Aに引きつけられていた状態から、ばね部材131Aの圧縮力により、元に戻ろうとする。
なお、接点121BをON/OFFさせることでも上述したと同様の動作を行なわせることができる。
上述したように、接点121A,121BをON/OFF動作させることにより、電磁石122A,122Bを駆動させ、磁性体123A,123Bの引きつけ及びばね部材131A,131Bの圧縮力による戻りなどが相互に作用して、フレネルレンズ32は、静止状態から移動を行なうことができる。なお、接点121A,121BのON/OFF動作のさせ方(制御回路部110の制御の仕方)、電磁石122の磁力の強さ、ばね部材131の強さ、磁性体123の電磁石122に対する位置ずれ量などにより、フレネルレンズ32は、複雑な移動(例えば、図6中の自由曲線の矢印A)を行なうことができる。
なお、移動に際して、フレネルレンズ32は、レンチキュラーレンズ31に対して、略平行となる方向に移動させている。このような移動を行なわせることにより、お互いの層の間に隙間が拡がる移動を抑制するため、移動に伴う画像のボケなどの画質低下を低減することができる。また、制御回路部110は、プロジェクタユニット520から画像光Lが投射される間、常にフレネルレンズ32を移動させる制御を行ない、画像光Lの投射中において、フレネルレンズ32を静止状態とさせない制御を行なっている。
なお、スクリーン30の面上の空間や人間の網膜上などに発生するスペックルパターンは、フレネルレンズ32、レンチキュラーレンズ31の各々のスペックルパターンの組み合わせになるため、移動手段によるフレネルレンズ32の移動量は、光拡散材の粒子径程度の移動で良いため、微小な移動量としている。
上述した、第3実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)本実施形態の移動手段により、スクリーン30を構成するフレネルレンズ32が複雑な移動を行なう。これにより、スクリーン30の面上の空間や人間の網膜上などに発生する静的なスペックルパターンを移動させることができる。スペックルパターンを移動させることにより、静的なスペックルパターンとして視認されるのを抑制すると同時に、見かけ上、スペックルが増えたこととなり、拡散機能によるスペックルの増加に加えて、スペックルが更に増加し、輝度が均一化される。従って、観測者に対して、スペックルを視認しづらくさせることができる(ギラツキとして感じることを低減できる)。
(2)本実施形態のフレネルレンズ32は、電磁石122や磁性体123などを有した移動手段により、非接触の移動を行なう。このような構成により、フレネルレンズ32を含むスクリーン30の耐久性が向上する。また、フレネルレンズ32の振動音も低減される。また、このようなスクリーン30を備えるリアプロジェクタ500も、スクリーン30の耐久性が向上し、フレネルレンズ32の振動音も低減される。
(3)本実施形態の移動手段によるフレネルレンズ32の移動量は、微小で良いため、駆動部120の電磁石122の強さや、移動支持部130のばね部材131の強さなどを小さくすることができ、移動手段の小型化を図ることや、省エネルギー化を図ることができる。
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態に係る移動手段を有するスクリーンの概略構成図である。図7を参照して、移動手段を有するスクリーンの構成および動作を説明する。
本実施形態では、スクリーン40を移動させる移動手段として、電流変化により伸縮する金属部材222を有している。そして、電流変化を金属部材222に与えることにより、金属部材222を伸縮し、第1層としてのレンチキュラーレンズ(図示略)に対して第2層としてのフレネルレンズ42を移動する構成となっている。
伸縮する金属部材222(以降、伸縮金属部材222という)は、フレネルレンズ42の底辺側とその下側となる開口部511周縁とに、所定の間隔で2箇所設置されている。また、移動手段として、第3実施形態と同様のばね部材231が、フレネルレンズ42の上辺側とその上側となる開口部511周縁とに、所定の間隔で2箇所設置されている。なお、この2つの伸縮金属部材222は、所定の張力を有して、フレネルレンズ42を開口部511周縁に支持固定している。なお、本実施形態での電流変化により伸縮する伸縮金属部材222として、詳細には、バイオメタル(登録商標)を使用している。
移動手段は、第3実施形態と同様であり、制御回路部210と駆動部220と移動支持部230とを有して構成されている。そして、駆動部220は、上述した、電流変化により伸縮する伸縮金属部材222と、伸縮金属部材222を駆動する接点回路部221とを有して構成される。移動支持部230は、上述したように、ばね部材231と伸縮金属部材222により構成され、フレネルレンズ42の移動を支持している。
なお、上述したように、移動支持部230を構成するばね部材231は、フレネルレンズ42の上辺側の2箇所に設置され、移動支持部230および駆動部220を構成する伸縮金属部材222は、フレネルレンズ42の底辺側の2箇所に設置される。詳細には、上辺側に設置されるばね部材231は、ばね部材231A,231Bを有し、底辺側に設置される伸縮金属部材222は、伸縮金属部材222A,222Bを有している。また、接点回路部221は、伸縮金属部材222A,222Bに対応して、伸縮金属部材222を駆動するための接点221A,221Bが備えられている。
移動手段の動作を説明する。
制御回路部210は、フレネルレンズ42を移動させるための制御信号を出力する回路である。そして、駆動部220の接点回路部221は、制御回路部210から出力された信号に基づいて、接点221A,221BをON/OFF動作させる。それにより、対応する伸縮金属部材222A,222Bを駆動させる。
ここで、接点221AがON/OFFする場合の動作を説明する。
接点221AがONとなると、伸縮金属部材222Aに所定の電流が流れ、それにより、伸縮金属部材222Aが所定量縮む。これにより、フレネルレンズ42は、図7中、左下がりの移動を行なう。なお、この場合、ばね部材231Aは伸縮金属部材222Aが縮むことにより、フレネルレンズ42を介して伸びることになる。
ここで、接点221AがOFFとなると、伸縮金属部材222Aへの電流は遮断される。これにより、伸縮金属部材222Aは、今まで縮んでいた状態から、元に戻ろうとする。なお、接点221BをON/OFFさせる場合には、伸縮金属部材222Bの伸縮に連動してばね部材231Bが逆の動作を行なう。
上述したように、接点221A,221BをON/OFF動作させることにより、対応する伸縮金属部材222A,222Bを駆動させ、伸縮金属部材222とばね部材231との伸縮により、フレネルレンズ42は、静止状態から移動を行なうことができる。なお、接点221A,221BのON/OFF動作のさせ方(制御回路部210の制御の仕方)、伸縮金属部材222の伸縮の強さなどにより、フレネルレンズ42は、複雑な移動(例えば、図7中の自由曲線の矢印B)を行なうことができる。
なお、移動に際して、フレネルレンズ42は、レンチキュラーレンズに対して、略平行となる方向に移動させている。このような移動を行なわせることにより、お互いの層の間に隙間が拡がる移動を抑制するため、移動に伴う画像のボケなどの画質低下を低減することができる。また、制御回路部210は、第3実施形態と同様に、画像光Lの投射中において、フレネルレンズ42を静止状態とさせない制御を行なっている。
なお、スクリーン40の面上の空間や人間の網膜上などに発生するスペックルパターンは、フレネルレンズ42、レンチキュラーレンズの各々のスペックルパターンの組み合わせになるため、移動手段によるフレネルレンズ42の移動量は、光拡散材の粒子径程度の移動で良いため、微小な移動量としている。
上述した、第4実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)本実施形態の移動手段により、スクリーン40を構成するフレネルレンズ42が複雑な移動を行なう。これにより、スクリーン40の面上の空間や人間の網膜上などに発生する静的なスペックルパターンを移動させることができる。スペックルパターンを移動させることにより、静的なスペックルパターンとして視認されるのを抑制すると同時に、見かけ上、スペックルが増えたこととなり、拡散機能によるスペックルの増加に加えて、スペックルが更に増加し、輝度が均一化される。従って、観測者に対して、スペックルを視認しづらくさせることができる(ギラツキとして感じることを低減できる)。
(2)本実施形態のフレネルレンズ42は、伸縮金属部材222などを有した移動手段を採用している。一般的に、電流変化により伸縮する金属部材は、力は出るものの、伸縮時間が長く、一般的な駆動源として用いられることは少なかった。しかし、本実施形態のように伸縮金属部材222としてバイオメタル(登録商標)を用いることで、伸縮時間(移動時間)は長くても問題なく有効な移動手段として利用することができる。
(3)本実施形態の移動手段によるフレネルレンズ42の移動量は、微小で良いため、駆動部220の伸縮金属部材222の伸縮力などを小さくすることができ、移動手段の小型化を図ることや、省エネルギー化を図ることができる。また、フレネルレンズ42の振動音も低減される。
(第5実施形態)
図8は、本発明の第5実施形態に係るスクリーンの概略構成図である。図8を参照して、スクリーンの構成および動作を説明する。
本実施形態では、スクリーン50において、第1層と第2層との間に、第1層と第2層とを保護する保護部材が設置される構成となっている。具体的には、図8に示すように、第1層としてのレンチキュラーレンズ51と第2層としてのフレネルレンズ52との間に、シート状の保護部材53が設置されている。また、レンチキュラーレンズ51と保護部材53とフレネルレンズ52とは、隙間なく密着されている。
第1層としてのレンチキュラーレンズ51および第2層としてのフレネルレンズ52は、相対する面部に各々凹凸部を有して形成されて、各々密着して構成される。それにより、どちらか一方の層が他方の層に対して移動を行なうと、移動の状態、例えば、前後方向のがたつきなどがある場合、凹凸部に擦れが生じ、凹凸部の変形が起こる場合がある。変形した場合には、各々の層の持つ視野角制御機能や角度変換機能に対して機能低下が起こることになる。なお、図8中、レンチキュラーレンズ51の凹凸部は51Aで示し、フレネルレンズ52の凹凸部は52Aで示している。
そこで、レンチキュラーレンズ51とフレネルレンズ52との凹凸面に、保護部材53を設置することで、移動時の擦れなどによる凹凸部の変形を防止する。なお、保護部材53は、レンチキュラーレンズ51およびフレネルレンズ52に対して摩擦係数が小さく摺動性(すべり易さ)が良好な平滑な面部を有している。また、保護部材53は、フレネルレンズ52からの出射光をレンチキュラーレンズ51に伝達するために、透過率が高い部材を使用しても良い。また、保護部材53は、拡散機能を付加した部材であっても良い。また、伸縮性の良い材料を用いても良い。いずれも、レンチキュラーレンズ51から出射される出射光の光量や画質などにより、適宜決定することで良い。
上述した、第5実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)本実施形態の保護部材53により、レンチキュラーレンズ51およびフレネルレンズ52の凹凸部の擦れによる凹凸部の変形を防止することができ、各々の機能低下を低減できる。
(2)保護部材53を設置することにより、レンチキュラーレンズ51やフレネルレンズ52の移動がスムースになる。従って、このようなスクリーン50を使用することにより、移動手段の省エネルギー化を更に図ることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)前記実施形態において、スクリーンの構成として、第1層としてレンチキュラーレンズ、第2層としてフレネルレンズを例として説明しているが、これに限られるものではなく、第1層は、視野角を拡大する視野角制御手段を有し、第2層は、入射する光束の入射角度を略同方向に変換する角度変換手段を有していれば良い。例えば、第1層として、マイクロレンズアレイを用いた部材や拡散部材であっても良い。また、第2層として、ホログラムを利用したものであっても良い。
(変形例2)前記実施形態において、第1層または第2層に拡散機能を持たせる方法として、層の本体内部に略均一に光拡散材を添加している。しかし、これに限らず、各層の面部に化学的手段または機械的手段などを使用して微小または微細な凹凸を有する加工を施し、シボ面または梨地面などを形成することで、拡散機能を持たせることでも、同様の効果を奏することができる。また、各層の面部に印刷手段などを使用して、拡散機能を持たせることでも、同様の効果を奏することができる。
(変形例3)前記第1実施形態では、第2層としてのフレネルレンズ12に拡散機能を有しているが、フレネルレンズ12ではなく、第1層としてのレンチキュラーレンズ11に拡散機能を有しても良く、その場合には、レンチキュラーレンズ11をフレネルレンズ12に対して略平行となる方向に移動することでも良い。なお、レンチキュラーレンズ11を移動させる形態とするスクリーン10を、リアプロジェクタに採用する場合には、レンチキュラーレンズ11を外部からの接触などから保護するための板部材などを追加することが良い。
(変形例4)前記第1実施形態では、フレネルレンズ12の線速度Vを5mm/secで移動させているが、これに限らず、5mm/secより大きい線速度で移動させても良い。その場合には、更にスペックルを視認しづらくさせることができる。
(変形例5)前記第1実施形態では、フレネルレンズ12のレンズピッチPは略均一(等間隔)なレンズピッチP(P=0.1mm)を有している。しかし、これに限らず、フレネルレンズが均一でないレンズピッチPを有していても良い。その場合、例えば、最短となるレンズピッチPに合わせて線速度Vを決めた場合には、そのフレネルレンズのレンズピッチPに相対するスクリーンの領域におけるスペックルを視認しづらくさせることができる。なお、それ以上のレンズピッチPを有している領域においても程度は下がるがスペックルを視認しづらくさせることができる。また、例えば、最長となるレンズピッチPに合わせて線速度Vを決めた場合には、スクリーンの全領域でスペックルを視認しづらくさせることができる。
(変形例6)前記第2実施形態において、第2層としてのフレネルレンズ22を第1層としてのレンチキュラーレンズ21に対して移動したが、レンチキュラーレンズ21をフレネルレンズ22に対して略平行となる方向に移動させる形態としても、同様の効果を奏することができる。
(変形例7)前記第2実施形態において、第2層としてのフレネルレンズ22を第1層としてのレンチキュラーレンズ21に対して移動手段により移動したが、レンチキュラーレンズ21とフレネルレンズ22との双方が各々の相対する層に対して略平行となる方向に移動させる形態としても、同様の効果を奏することができる。特に、このような動作を行なわせると、移動手段により移動させる移動量が、一方のみを移動させる形態に比較して、更に少なくすることができる。また、一方のみを移動させる形態での移動量と同様の移動量で、双方が移動する場合には、静的なスペックルパターンを、観測者に対して、更に視認しづらくさせることができる。
(変形例8)前記第3、第4実施形態において、移動手段を第2層としてのフレネルレンズ32,42に有したが、第1層としてのレンチキュラーレンズに有しても良く、同様の効果を奏する。なお、スクリーン30,40をリアプロジェクタ500に適用した場合、外面となるレンチキュラーレンズを移動させるため、レンチキュラーレンズを外部からの接触などから保護するための板部材などを追加することが良い。
(変形例9)前記第3、第4実施形態において、移動手段を第2層としてのフレネルレンズ32,42に有したが、第1層としてのレンチキュラーレンズにも有して、双方が各々の相対する層に対して略平行となる方向に移動させることでも良い。その場合、観測者に対して、更にスペックルを視認しづらくさせることができる。
(変形例10)前記第3実施形態において、移動手段の駆動部120は、電磁部材としての電磁石122と、磁性部材としての磁性体123とを有し、電磁石122を駆動することで、フレネルレンズ32を複雑に移動させている。これに限らず、ソレノイドやクランク機構を有して往復運動をさせることにより、フレネルレンズ32を移動させても良い。また、モータの回転運動を直接フレネルレンズ32の回転運動に利用したり、偏心軸、カム、リンク等の機構部品を利用して、フレネルレンズ32を移動させても良い。
(変形例11)前記第4実施形態において、移動手段は、電流変化により伸縮する金属部材222として、バイオメタル(登録商標)を使用している。しかし、これに限らず、熱変化を利用した形状記憶合金などを使用することもできる。
(変形例12)前記第3、第4実施形態において、移動手段は、磁気を利用したもの、および材料の物性を利用したものを使用しているが、これに限らず、圧電効果を利用したもの、空気圧を利用したもの、音波を利用したもの、熱を利用したものを使用することができる。
(変形例13)前記実施形態において、移動手段による層の移動方向は、相対する層の面に対して、略平行となる方向に移動させている。そして、その移動は複雑な移動となるように構成されている。しかし、これに限らず、相対する層の面に対して、略平行となる方向であって、単軸方向に沿った移動であっても良い。また、略平行となる方向であって、複軸方向に沿った移動、例えば、円形状の軌跡やその他複雑な軌跡を描く移動であっても良い。
(変形例14)前記実施形態において、移動手段の駆動の仕方は、時間的に不規則な駆動を行なっているが、これに限らず、周期的な駆動など、規則性のある駆動を行なうことでも良い。また、投射する画像によるスペックルの発生状況の解析や、スクリーンの特性などによるスペックルの発生状況の解析などを行ない、投射画像やスクリーンに合せた駆動方法を採用することでも良い。
(変形例15)前記第3実施形態において、移動手段を構成する駆動部120の磁性体123は、フレネルレンズ32の底辺側に2箇所設置されている。また、第4実施形態において、移動手段を構成する駆動部220の伸縮金属部材222は、フレネルレンズ42の底辺側の2箇所に設置されている。しかし、駆動部の設置位置や設置数量はこれに限らず、適宜設定することができる。
(変形例16)前記実施形態において、スクリーンを移動させるために、1つの移動手段を有しているが、これに限らず、複数の移動手段を有していても良い。
(変形例17)前記実施形態において、第1層と第2層とは、密着させているが、これに限らず、画像のボケなどが観測者に認識できない範囲で、第1層と第2層とは隙間を有していても良い。
(変形例18)前記実施形態において、第1層と第2層からなるスクリーンとして本発明を実施しているが、これに限らず、拡散手段を有する別の層(これを第3層とする)をスクリーンを構成する層として追加しても良い。追加する場合には、例えば、第3層・第1層・第2層の順、第1層・第3層・第2層の順、第1層・第2層・第3層の順、のいずれかの順番に設置することができる。また、追加する場合には、スクリーンから射出する光量や、画質など考慮して拡散具合を設定することが大切である。
(変形例19)前記実施形態において、スクリーンは透過型のスクリーンとして説明したが、これに限らず、反射型のスクリーンとしても適用でき、同様の効果を奏する。
(変形例20)前記実施形態でのスクリーンを採用するプロジェクタの光変調装置として、透過型液晶方式や、反射型液晶方式(LCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式)の液晶パネルを使用することができる。
(変形例21)前記実施形態でのスクリーンを採用するプロジェクタの光変調装置として液晶パネルを用いている。しかし、これに限らず、一般に、入射光を画像情報に応じて変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置などを用いても良い。なお、マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を用いることができる。
(変形例22)前記実施形態でのスクリーンを採用するプロジェクタの光源は、放電式ランプ、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)などを用いることができる。そして、光源にLDを用いた場合には、射出するレーザー光の波長が略均一となり、スペックルが発生し易くなるため、本発明のスクリーンを適用することが特に有効となる。
本発明を実施するための最良の形態を、上記記載で開示しているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して図示し、かつ、説明しているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、上述した実施形態に対し、詳細な構成部材や、構成部材の形状・材質・数量などにおいて、当業者が様々な変形(変更ならびに改良)を加えることができるものである。従って、詳細な構成部材や、構成部材の形状・材質・数量などにおいて、当業者が様々な変形を加えることにより実施する場合も本発明に含まれるものである。