JPWO2007105458A1 - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

本発明は、燃料電池セルの湿度不足を解消し、複数の燃料電池セル間で温湿度環境の均質化された燃料電池システムを提供するものである。本発明の燃料電池システムは、複数の燃料電池セルが同一平面上に配置された燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックの少なくとも片面側を空気流空間を介して被覆する筐体と、前記燃料電池スタックと前記筐体との間に設けられ、水分を保持する機能を有し、メッシュ状である結露水保持材と、を具備する。

Description

本発明は、燃料電池システムに関し、特に、複数の燃料電池セルが平面状に配置された平面スタック型燃料電池システムに関する。
固体高分子型の燃料電池システムは、固体高分子電解質膜をアノードとカソードとで挟持した構造の電極−電解質膜接合体(Membrane and Electrode Assembly。以下、MEAという。)を備えている。液体燃料を直接アノードに供給するタイプの燃料電池は、直接型燃料電池と呼ばれる。その発電時には、まず燃料がアノードに供給される。供給された燃料は、アノードに担持された触媒上で分解してプロトン、電子及び中間生成物を生成する。生成した陽イオンは固体高分子電解質膜を透過してカソード側に移動し、生成した電子は外部負荷を経てカソード側に移動する。そしてプロトンと電子がカソードで空気中の酸素と反応して反応生成物を生じることによって発電するというものである。
例えば、液体燃料としてメタノール水溶液をそのまま使用するダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFCという。)では、下式(化学式1)で表される反応がアノードで起こり、下式(化学式2)で表される反応がカソードで起こる。
(化学式1);CHOH + HO →CO + 6H + 6e
(化学式2);6H + 6e + 3/2O → 3H
液体燃料を使用した燃料電池システムは、小型、軽量化が容易であるために、今日では携帯機器をはじめとした種々の電子機器用電源としての研究開発が活発に進められている。ここで、パーソナルコンピュータ(PC)のような電子機器の電源として用いる場合、単一のMEAでは出力が小さく、必要とする電圧を得られないことがある。このため、複数の燃料電池セルを電気的に接続して使用することになる(以下、燃料電池システムの発電における最小ユニットを燃料電池セルと記載し、その燃料電池セルの集合体を燃料電池スタックと記載する)。
燃料電池スタックは、筐体に納められて使用されることがある。燃料電池システムを筐体に納めた場合、化学式2で示されるようにカソードで発生した水分が、筐体と燃料電池システムとの間の狭い空間で結露することがある。結露した水が、カソード面を覆い尽くすと、出力を低下させるほどのフラッディングが起こる場合もある。フラッディングが起きた燃料電池セルでは、酸化剤ガス(空気)が不十分な状態で強制的に電流が流されるので、MEAの破損に繋がる。一方で、MEAが乾燥しすぎた場合には、イオン伝導性が失われて発電効率が落ちる場合がある。よって、燃料電池システムにおいて、結露する水を管理し、適切な湿度に保つ技術の提供が望まれる。
ところで、このような複数の燃料電池セルで構成された燃料電池システムとしては、複数の燃料電池セルが厚み方向に積層したバイポーラ型と、複数の燃料電池セルが平面的に並ぶ平面スタック型とが知られている。
バイポーラ型の場合における結露する水の管理に関しては、いくつかの報告がある。フラッディングを防止するための技術として、例えば、特開2004−185935号公報には、酸化剤ガスを燃料電池セルに分配する供給マニホールド内に、ガス流路全体を覆うことのできる大きさの仕切り板を設け、その仕切り板の下方に、仕切り板で結露した水を受けるドレイン受けを設けることが記載されている。
また、特開平5−283094号公報には、アノードとカソードとが水分通路で連結され、少なくとも通路の水分発生極に接する部分が水分浸透性を有する物質よりなることを特徴とする燃料電池が記載されている。
また、特開2005−322595号公報には、電極に積層されるセパレータに設けられた供給用ガス流路と排出用ガス流路とが非連通である場合に、その供給用ガス流路とその排出用ガス流路との間を形成するそのセパレータの部材が多孔質であることが記載されている。
また、特開2000−164229号公報には、カソードの乾燥を防ぐための技術が記載されている。この特開2000−164229号公報には、固体高分子膜を電解質とする固体高分子型燃料電池スタックと、電池反応部を通過した既反応ガスと電池反応部を通過する未反応ガスを、保水性の多孔質体を介して接触させることにより、温度及び湿度交換を行う温湿度交換手段とを備え、その酸化剤ガスの少なくとも一方は、その多孔質体と接するように設けられた少なくとも一層のメッシュ状のガス供給経路内を流通するように構成したことを特徴とする固体高分子型燃料電池システム、が記載されている。
また、特開2004−241367号公報は、MEAとセパレータとを有し、セパレータのMEA対向面に反応ガス流路が形成されている燃料電池であって、そのセパレータの少なくとも一部に多孔質部を形成し、その多孔質部の反応ガス流路背面に冷却用ガス流路を形成した燃料電池、を開示している。
上記の各文献に記載された技術はバイポーラ型に関するものである。バイポーラ型に対して、ノート型PCのように携帯することを念頭に置いた機器においた場合は、厚さに対する制約から平面スタック型の方が向いている。
平面スタック型の燃料電池システムとしては、例えば特開2004−14149号公報に記載のものが挙げられる。即ち、特開2004−14149号公報は、酸素を還元する正極と、水素吸蔵材料を備えた負極と、その正極とその負極との間に設けられた電解質層を備えるとともに、金属水素化物を溶解させた液体燃料と、その液体燃料を貯蔵する液体燃料貯蔵部とを備えた液体燃料電池であって、その正極とその負極と、その電解質層とが電極・電解質一体化物を構成し、その電極・電解質一体化物が同一平面上に複数個配置され、各電極・電解質一体化物が電気的に直列に接続され、その液体燃料貯蔵部がその電極・電解質一体化物毎に隔壁により分離されていることを特徴とする液体燃料電池、を開示している。
平面スタック型においては、複数の燃料電池セルが同一平面上に配置され、隣接した燃料電池セルを集電体などで電気的に接続することによって、高い電圧および出力を得ることができる。平面スタック型を用いる場合、燃料電池システム全体が携帯機器のフットプリントに納まる程度に小型であることが望ましい。そのためには、カソードに酸素を供給するために燃料電池スタックを筐体内部に搭載させ、燃料電池スタックと筐体との間の空間に、小型ファンを用いて空気を強制的に供給するか、カソード面を大気開放して自然吸気させるなど、常にカソードに酸素を供給し続ける必要がある。
ただし、カソード面を大気開放する自然吸気型の構造は、カソード面を被覆させると発電できないため、燃料電池システム自身を携帯機器内部に収納するような構造にすることが難しい。また、燃料電池を収めることだけを目的とした筐体を別個に設けたとしても、その筐体に設けられた通気孔を塞がないようにする必要がある。
それに対し、燃料電池システム自体を筐体などに収め、小型ファンなどで空気を強制送風させる方式では、吸気部分および排気部分を塞がない限りは安定して発電することができるため、携帯機器の電源として有利である。
このような、ファンを用いて送風する平面スタック型の燃料電池システムにおいて、副生成物を処理するための技術が特開2005−129261号公報に記載されている。即ち、特開2005−129261号公報には、平面スタック型の燃料電池システムにおいて、空気極(カソード)室の出口部分に電池からの副生成物を吸着するための吸着フィルター若しくは副生成物を分解するための分解処理フィルターを設けることが記載されている。
しかしながら、上記の何れの文献においても、平面スタック型の燃料電池システムにおいて、結露する水を管理する方法についての記載はない。
携帯機器に用いることを念頭とした場合、既述のようにバイポーラ型よりも平面スタック型の方が向いている。平面スタック型の燃料電池スタックを筐体に納めて、ファンなどで強制的にカソードに酸化剤ガスを送る構成とした場合、薄型化の要求からは、燃料電池セルのカソード電極と、それに対面する筐体の内側との距離は可能な限り近いことが好ましい。
一方で、空気供給の観点からは、燃料電池スタックと筐体との間の空間、即ちカソード上の空間はある程度広くした方が安定した空気供給に適している。また、消費電力が大きくなる場合、発熱量も大きくなる。よって、カソード上にセパレータを配置して、一部のカソード上の空間を区切るような構造にすると、空気供給及び放熱の点で不利である。
従って、燃料電池スタックと筐体との距離は可能な限り近く、且つ、カソード上の空間、即ち燃料電池スタックの片面(カソード面を含む面)上に設けられた空気流空間は、平面方向には区切られていない構造が好ましい。このような構成の燃料電池システムでは、空気流空間に一方向の空気流を形成させて、カソードに空気が供給される。
しかし、消費電力の大きな燃料電池システムにおいて、空気流空間を流れる空気は、吸気部分から排気部分に至るまでの間に、いくつもの燃料電池セル上を通過することになる。そのため、吸気部分に近い側(上流側)では、常に新鮮な空気に晒されて比較的低湿度、且つ、低温になるのに対し、排気部分に近い側(下流側)では、いくつものカソードから発せられた熱や水分が送られてくるため、温度及び湿度が高くなる傾向がある。このような状況下では、同じ燃料電池スタックにありながら、その発電環境が低温・低湿度の部位と、高温・高湿度の部位とが共存することになり、安定した発電が行われ難くなる。
高温、高湿度となる下流側では水分が結露し易く、フラッディングが懸念される。これに対して、低温、低湿度となる上流側では、乾燥によるイオン伝導性の低下が懸念される。これは、MEAの発電において、電解質膜及び触媒層におけるプロトン伝導が重要な役割を果たし、そのプロトン伝導においては水が必要となるのであるが、MEAの含水量が少ない状況では、MEAの出力が低下するからである。この状況において発電を継続させると、無理に電流が掃引されてしまい、MEAの劣化が進行する。
よって、何らかの形で、空気流の上流部分にあたる燃料電池セルではカソード面の湿度を高め、できる限り複数の燃料電池セルの湿度環境を均質化することが望まれる。しかしながら、携帯機器に用いられることを念頭においた平面スタック型燃料電池において、カソードのフラッディングと乾燥の2つの課題を一度に解決することは難しい。携帯機器内部に加湿機構などの湿度調整機構を導入することは、スペース上の制約があるために、結露水対策としての根本的な解決策とはなり得ない。
本発明は、上述したような課題を解決するために提案されたものである。即ち、本発明の目的は、平面スタック型燃料電池のように複数の燃料電池セルを持つ燃料電池システムにおいて、結露した水が発電に支障を及ぼすフラッディングが抑制された燃料電池システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、燃料電池セルの湿度不足を解消し、複数の燃料電池セル間で温湿度環境の均質化された燃料電池システムを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、携帯機器に求められる省スペース化を達成した上で、フラッディングの抑制、湿度不足の解消がなされた燃料電池システムを提供することにある。
本発明にかかる燃料電池システムは、複数の燃料電池セルが同一平面上に配置された燃料電池スタックと、燃料電池スタックの少なくとも片面側を、空気流空間を介して被覆する筐体と、燃料電池スタックと前記筐体との間の少なくとも一部に設けられ、水分を保持する機能を有し、メッシュ状である結露水保持材と、を具備する。
上述の構成によれば、燃料電池セルで発生した水分は、結露したとしても結露水保持材により筐体との間で保持される。燃料電池セル上ではなく、結露水保持材により捕捉されるので、フラッディングが解消される。また、結露水保持材がメッシュ状であるので、捕捉された水は、結露水保持材をを伝い、湿度の高い部位から低い部位へと広がっていく。これにより、湿度の低くなり易い部分を加湿し、燃料電池セル上の空気流空間における湿度を均一にすることができる。
また、このとき、結露水保持材は、40〜200メッシュであることがより好ましい。40メッシュより小さいと、結露した水が燃料電池セル側へ落ちてしまうことがある。一方、200メッシュより大きいと、水分が筐体側で結露しにくくなることがある。
さらに、結露水保持材は、碁盤目状に編み上げたメッシュ状であり、結露水保持材の碁盤目の横糸と縦糸とは、酸化剤ガスが流れる方向に対して平行方向と直交方向とになるように、編み上げられていることが好ましい。
また、結露水保持材は、金属製であることが好ましい。結露水保持材が金属製であると、発熱する燃料電池セルに対して結露水保持材と筐体との間が低温となり易い。燃料電池セルで発生した水分は、燃料電池セル側よりも低温である筐体側で結露し易くなり、フラッディングの発生がより確実に低減される。また、燃料電池スタック内において、低温となり易い部分に熱が伝わり易くなり、燃料電池スタック内での温度分布が均一化される。
また、他の観点において、結露水保持材は、高分子素材であることが好ましい。
また、上記の燃料電池システムは、筐体における、結露水保持材の位置に対応する部分が、金属製であることが好ましい。筐体を金属製とすることで、発熱する燃料電池セル側に対して、筐体側の方が低温となり易い。燃料電池セルで発生した水分は、筐体側で結露し易くなる。ここで、結露水保持材が、金属製の部分に対応する位置に設けられていることで、筐体側で結露した水が結露水保持材によってより確実に保持される。よって、フラッディングの発生がより確実に低減される。また、燃料電池スタック内において、低温となり易い部分に熱が伝わり易くなり、燃料電池スタック内での温度分布が均一化される。
また、結露水保持材は、燃料電池スタックの片面と対向する筐体の内側全面に貼り付けられていることが好ましい。結露水保持材を、筐体の内側全面に貼り付けることで、結露水保持材に捕捉された水分は、平面方向の全方向へ向かうことができる。水分の広がりが妨げられないので、フラッディングがより確実に抑制される。
本発明に係る燃料電池システムにおいて、空気流空間内では、酸化剤ガスが一方向に向かって流れる。結露水保持材は、その酸化剤ガスが流れる方向で隣接する燃料電池セル上では共通であり、その酸化剤ガスが流れる方向に直交する方向で隣接する燃料電池セル間では分割されていることが好ましい。
このように、結露水保持材を、酸化剤ガスの流れに対して平行方向では分割せず、直交方向で分割することによって、捕捉した水分は酸化剤ガスの流れ方向へ選択的に広がり易くなる。従って、水分の結露し易い下流側において捕捉された水分は、乾燥し易い上流側へと広がっていきやすい。よって、上流側の燃料電池セルが保湿される。よって、燃料電池スタックの湿度環境がより均一化される。
上記の燃料電池システムにおいて、結露水保持材の少なくとも一部は、外部に剥き出しとなっていることが好ましい。
本発明に依れば、平面スタック型燃料電池のように複数の燃料電池セルを持つ燃料電池システムにおいて、結露した水が発電に支障を及ぼすフラッディングが抑制された燃料電池システムが提供される。
本発明に依れば、更に、燃料電池セルの湿度不足を解消し、複数の燃料電池セル間で温湿度環境が均質化された燃料電池システムが提供される。
本発明に依れば、更に、携帯機器に求められる省スペース化を達成した上で、フラッディングの抑制、湿度不足の解消がなされた燃料電池システムが提供される。
図1は、燃料電池スタックの上面図、及びAA’に沿った断面図である。 図2は、燃料電池スタックを筐体に入れた状態での様子を示す上面図およびB−B’沿った断面図である。 図3は、本発明の燃料電池スタックを筐体に入れた状態での様子を示す上面図、およびCC’に沿った断面図である。 図4は、本発明の燃料電池スタックを筐体に入れた状態での様子を示す上面図、およびDD’に沿った断面図である。 図5は、燃料電池スタックの上面図である。 図6は、図5のEE’に沿った燃料電池スタックの断面図である。 図7は、本発明の燃料電池スタックを筐体に入れた状態での様子を示す上面図、およびF−F’並びにG−G’に沿った断面図である。 図8は、本発明に関する実験結果をまとめた表である。
本発明に係る燃料電池システム1について説明する。燃料電池システム1は、燃料電池スタック15と、燃料電池スタック15を収納する筐体14と、空気(酸化剤ガス)を供給するための送風機と、燃料をためておくための燃料マザータンクと、燃料を流すためのポンプと、電気エネルギーを取り出すための配線と、を備えている。筐体14の内側には、結露した水を一時的に保持するための結露保持材として、メッシュ71が貼り付けられている。尚、送風機、燃料マザータンク、ポンプ、配線は、貼付の図面では図示が省略されている。燃料電池スタック15は、PCなどの比較的消費電力が大きな携帯機器に用いる場合、単一で用いるのみならず、2つ以上の燃料電池スタック15を並べ、電気的に接続して必要となる電圧および出力を得る場合がある。燃料電池システム11を携帯機器に搭載する場合、燃料電池スタック15は筐体14に収納される。
以下に、図1を参照して、筐体14に燃料電池スタック15が収納された状態での構造について説明する。尚、説明を分かり易くする為に、図1において、本実施の形態での工夫である結露保持材(メッシュ71)の図示は省略されている。
図1は、筐体14に収納された状態の燃料電池スタック15の構成を示す上面図及び断面図である。尚、図1の上面図において、燃料電池セル11などの構成は筐体14に覆われていて実際には見えないが、説明の便宜上透視させて示している。
図1の断面図に示されるように、筐体14は、筐体本体140と蓋70とを有している。筐体本体140は、長方形状の底面と、その底面の対向する2辺から上方向へ立ちあがる側面と、を有している。即ち、筐体本体140は直方体状であり、上面と、4つの側面のうちで対向する2面(図1の断面図において、紙面の垂直方向に位置する2面)が開放された形状となっている。
蓋70は、上面の開放部に対応した形状(長方形状)であり、燃料電池スタック15が筐体本体140に収納された状態で、上面に被せられる。ここで、燃料電池スタック15と蓋70との間には、僅かに空間(符号27)が形成されている。この空間は、カソードに対して酸化剤ガス(空気)を供給する為の空間であり、以下、空気流空間27と記載する。空気流空間27は、燃料電池スタック15全体に渉り設けられている。即ち、空気流空間27は、仕切りなどで分割されてはおらず、複数の燃料電池セル11上で連続している。
開放された2つの側面は、それぞれ、空気流空間27に空気を供給するためのスタック吸気開放部24と、空気流空間27から空気を排出するためのスタック排気開放部25となっている。
燃料電池スタック15は、複数(本実施の形態では6個)の燃料電池セル11を有している。複数の燃料電池セル11は、同一平面上に配置されている。燃料電池セル11の構造については後述するが、全ての燃料電池セル11は、カソード31を上向きとして配置されている。各燃料電池セル11のカソード31上には、枠状のカソード集電体41が設けられている。カソード31の上面中央部は空気流空間27に接しており、これにより、空気流空間27を流れる空気が酸化剤ガスとしてカソード31へ供給されるようになっている。
上述のような構成を有する燃料電池システム1において、図示しない送風手段によって、スタック吸気開放部24から空気流空間27内へ空気が供給される。空気流空間27へ供給された空気は、各燃料電池セル11のカソード31上を通ってスタック排気開放部25から外部へ排出される。空気流空間27を流れる際に、酸化剤ガスとして各燃料電池セル11のカソード31にも空気が供給される。
その送風手段としては、特に限定されないが、例えば、シロッコファン、軸流ファン、クロスフローファン、及びターボファンが挙げられる。携帯機器に搭載することを考慮した場合は、薄型径流ファンなどの消費電力の小さなものが好ましい。
ファンによる送風手段に関しては、ファンを、スタック吸気開放部24側に配置し、燃料電池スタック15に正圧で送風する、もしくは、スタック排気開放部25側に配置し、燃料電池スタック15を負圧として送風する、という2通りの方法が主に考えられる。燃料電池システム11の大きさに制約がない場合には、ファンを燃料電池スタックと離して配置させることができるため、どちらの配置でも大きな違いは無い。しかし、燃料電池スタック15に正圧で送風するためには、燃料電池スタック15と送風手段となるファンとの距離を離すか、もしくは、スタック吸気開放部24の開放部分に均等に送風できるような大きさのファンが必要となる。そのような場合、燃料電池システム11の小型化に制限ができてしまうため、大きさ制限があるような携帯機器などに用いる場合には、負圧で送風させる方が好ましい。
また、ファンは、必ずしも燃料電池スタック15と同一平面上に設置する必要は無い。例えば、フットプリントに制約があるものの、垂直方向には制約が無いような場合には、ファンを燃料電池スタック15の上部もしくは下部に設置し、円弧状の導風板などを通じて、スタック吸気開放部24もしくはスタック排気開放部25を、ファンの排気口もしくは吸気口と連結させることで空気流空間27に送風し、発電させることも可能である。この場合、導風板内部にメッシュを貼ることによって、導風板内部の整流効果を向上することが可能である。ただし、ここで送風方法について述べた方法は一例であり、送風方法を限定するものではない。
続いて、図2を参照して、本実施の形態における工夫の成された部分であるメッシュ71(結露水保持材)について説明する。結露水保持材は、水分を保持する機能を有している。メッシュ71は、蓋70の内側の全面に貼り付けられている。図2の断面図に示されるように、蓋70は、メッシュ71を介して筐体本体140の上に載置されている。従って、メッシュ71の側部には筐体14は配置されておらず、外部に剥き出しとなっている。このようにメッシュ71を設けることにより、以下に述べるような作用を奏することができる。
発電時において、空気流空間27における下流側(スタック排気開放部25側)では空気中に含まれる水分の量が多くなる。これは、上流側の燃料電池セル11で発電反応により生成したカソード生成水が、空気流によって下流部側へ運ばれるためである。このため、下流部、即ちスタック排気開放部25に近い部位に位置する燃料電池セル11上では、水が結露し易い。結露が起こると、蓋70とカソード31との間に水柱が生じ、更に結露が進むとフラッディングが起こることが有る。フラッディングしたままで発電を継続させると、その燃料電池セル11の電圧低下のみならず、隣接する燃料電池セル11との間で水を介したショートが起こる危険性もある。
また、携帯機器用に用いる場合には、小型化の要求から、蓋70と燃料電池スタック15との間の距離はできるだけ近い方が望ましい。しかし、蓋70と燃料電池スタック15との距離を近づけると、僅かな結露で空気流空間27を流れる空気の流れが妨げられてしまう。空気の流れが妨げられると、十分な量の空気がカソード31に供給されず、発電効率が低下する。
これに対して、本実施の形態では、メッシュ71を設けているので、カソード31面上でカソード生成水が水滴となったとしても、その水滴はメッシュ71に吸い上げられ保持される。従って、発電に影響が及ぶようなフラッディングが防止される。また、筐体14の内側に結露した水は、毛細管現象によって、メッシュ71と蓋70との間を平面方向へ広がっていくことになる。これにより、結露した水が空気流空間27の空気の流れを妨げることも防止できる。そのため、カソード上面の空間(空気流空間27の厚み)をより狭くすることができ、燃料電池システム1をより小型化させることができる。
また、メッシュ71の側部が外部に剥き出しとなっていることで、メッシュ71により保持された結露水は、メッシュ71の側部から外部へ放出される。従って、空気流空間27の湿度が必要以上に高くなることも防止される。
空気流空間27の下流側では水分が結露し易い一方で、上流側は常に乾燥した空気が送り込まれてくるために、乾燥し易い。燃料電池セル11が乾燥すると、イオン伝導性が失われ、十分な起電力を得ることができなくなる。
本実施の形態では、メッシュ71を蓋70の内側に貼付することで、下流側で保持された水が、メッシュ71に保持された状態で上流側へ広がっていく。よって、上流側では、下流側から送りこまれてきた水分により加湿された状態となり、イオン伝導性が失われることが防止される。
尚、メッシュ71の配置は、図3や図4のようにしてもよい。図3に示される例では、メッシュ71が、筐体本体140の上面開放部に埋めこまれるように配置されている。即ち、メッシュ71の側部は、筐体本体140の側面内側に接触しており、図2のように外部に剥き出しとなってはいない。これにより、メッシュ71が捕捉した水分は、外部へ排出されずに保持され続ける。これにより、結露した水がより広がり易くなり、上流側の加湿効果をより高めることができる。
また、図4に示される例では、メッシュ71が、空気流の流れ方向(スタック吸気開放部24からスタック排気開放部25方向)に沿って2つに分割されている。メッシュ71は、空気流の流れ方向に直交する方向で隣接する燃料電池セル11間で、不連続になっている。このようにメッシュ71を、空気流方向に沿って分割することによって、下流側で結露して保持された水分は、空気流方向に沿った方向に選択的に広がっていく。即ち、下流側で結露して保持された水が、上流側へ選択的に広がり、上流側の加湿効果を高めることができる。
このように、図2〜4のように、メッシュ71の形状を考慮することで、用途に併せて機能化することができる。また、図2及び図3の構造を組み合わせてもよい。例えば、上流側では、図2のようにメッシュ71の側部を外部に剥き出しとし、下流側では図3のようにメッシュ71を筐体により被覆すれば、乾燥し易い上流側において結露した水を逃さずに加湿効果を得て、フラッディングの起こり易い下流側ではメッシュ71の側部から余分な水分を外部へ放出させる事ができる。
続いて、メッシュ71の材質について説明する。メッシュの材質としては、ステンレスなどの耐食性のある金属、ポリエチレン・ポリプロピレン・PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのプラスチック(高分子素材)、紙などの絶縁性素材を挙げることができる。
このような材質の中で、温度の均一化させる観点からは、熱伝導性の高い金属製の素材が好ましい。燃料電池スタック15は、発電時に発熱するために、温度が上昇する。上流側の燃料電池セル11では、外部からの比較的温度の低い新鮮な空気に曝されて冷却されるが、下流側では上流側で暖められた空気が供給されるので、上流側ほどには冷却されない。よって、上流側と下流側との燃料電池セル11間では温度差が生じてしまう。メッシュ71を金属製とすることで、下流側の熱が上流側へと伝わり、下流側と上流側との間での温度が均一化される。
また、メッシュ71を金属製にすると、メッシュ71の熱伝導性が高くなる。これにより、メッシュ71側において熱が放出されるので、メッシュ71側のほうが燃料電池セル11(カソード31側)よりも低温になり易い。従って、水は、燃料電池セル11側よりも蓋70側(メッシュ71側)で結露し易くなり、メッシュ71が水分をより捕捉し易くなる。すなわち、メッシュ71を金属製とすることにより、空気流空間27内の水分をメッシュ71側で結露させ、メッシュ71に捕捉させやすくする事ができる。
一方、絶縁性の観点からは、メッシュ71としてプラスチック製のものを用いる事が好ましい。メッシュ71は、カソード31上方で、隣接した燃料電池セル11をまたがって被覆させるので、メッシュ71が導電性であると結露した水分などを伝いショートする懸念が有る。絶縁性のものとしては、例えば紙を用いることもできるが、水分によって形状変化しやすいと、カソード31面にメッシュごと垂れ下がる可能性が生じる。よって、吸水しても変形が少ない点では、紙よりもプラスチックの方が優れている。
また、上記の例では、結露保持材としてメッシュ71を挙げて説明したが、結露保持材として発泡性の金属やウレタン素材などの吸水性の材料を使うこともできる。尚、紙や布などのように、素材自体が高い吸水性をもつ場合には、水が広がるよりも、局所的にたまりやすい傾向がある。よって、長時間の安定性を考慮した用途においては、あまり適当ではない。但し、頻繁に交換できるような状況であるならば、結露保持材として用いることも可能である。
尚、メッシュ71を用いた場合のメッシュ形状としては、例えば、直線状の細線を織った格子状のメッシュが挙げられる。また、直線状ではない繊維を絡み合わせたものを用いることもできる。ただし、蓋70とメッシュ71の間に結露水を一時的に保持するためには、碁盤目状に編み上げたメッシュを用いることが好ましい。さらには碁盤目の縦糸および横糸が、空気流に対して、それぞれ、平行および垂直になることが好ましい。メッシュの目は、40〜200メッシュの範囲内にあることが望ましい。
続いて、蓋70の形状・素材について説明する。蓋70の内側面(空気流空間27に面する面)は、空気流を妨げないように滑らかであることが望ましい。
また、蓋70は、金属製材料等の高熱伝導性の素材を母体として形成されていることが好ましい。このような材料としては、ステンレスやアルミなどの金属が挙げられる。また、隣接する燃料電池セル11間でのショートを防止するために、金属製材料を母体として、その金属性材料がビニルシート等の絶縁性シートで被覆されたものを用いてもよい。
蓋70として高熱伝導性の素材を用いることによって、複数の燃料電池セル11間での温度分布を均一化することができる。蓋70として高熱伝導性の素材を用いることで、下流側の熱が上流側へ伝わり、燃料電池スタック15の温度分布が均一化される。発電温度が均一化されるので、より燃料電池スタック15の発電をより安定化させることができる。
また、蓋70が高熱伝導性の素材であることによって、蓋70の熱が外部へも放熱される。蓋70は放熱により冷却されるので、カソード31と比較して低温となり易い。これにより、発熱するカソード31と放熱する蓋70との間に温度差が生じることになる。水分が結露する際には、低温側である蓋70側で結露し易くなり、カソード31側では結露しにくい。よって、結露した水がメッシュ71に保持され易くなり、フラッディングがより確実に防止される。
メッシュ71は、僅かな隙間を介して蓋70に貼り付けられていることが好ましい。例えば、接着剤や両面テープなどの粘着テープを全面ではなくて一部に用いてメッシュ71を貼りつければ、メッシュ71と蓋70との間に、粘着テープの厚み分の隙間が形成される。このようにすると、隙間部分に結露した水が保持され、平面方向へ広がっていく。またこのときに、空気流の流れる方向に対して平行に接着部位が形成される様にすれば、空気の流れを接着部分が妨げる事が防止され、好ましい。
続いて、燃料電池セル11と、燃料の供給経路に関して、図5、6を参照して説明する。図5、6は燃料電池スタック15の一例を示す概略図である。図5は、上面から見た図(上面図)であり、図6は、図5のEE’に沿った断面図である。図6の断面図には、各部材の詳細が描かれている。図5における矢印は、燃料の流れる方向を示している。
図5に示されるように、燃料電池スタック15は、複数(図示は6個)の燃料電池セル11を有している。複数の燃料電池セル11は、フレーム10上に2列×3行で配置されている。ここで、全ての燃料電池セル11は、カソード31側を上向きとして配置されている。また、複数の燃料電池セル11は、図示されない配線を介して電気的に接続されている。各燃料電池セル11で発生した電力は、電力取り出し用端子411、421を介して燃料電池スタック15の外部へ取り出されるようになっている。
フレーム10には、1つのスタック燃料インレット21と、2つのスタック燃料アウトレット22、及び燃料経路23が設けられている。スタック燃料インレット21と各燃料電池セル11とは、燃料経路23によって連結されている。また、各燃料電池セル11は、2つのスタック燃料アウトレット22のいずれかと、排出用の燃料経路23を介して連結されている。
各燃料電池セル11に供給される燃料は、燃料マザータンク(図示されていない)からスタック燃料インレット21を介してフレーム10内に導入される。スタック燃料インレット21から導入された燃料は、中央の燃料経路23を介して分岐しながら各燃料電池セル11に供給され、消費される。燃料電池セル11で消費されなかった燃料は、両脇に設けられた燃料経路23に排出され、順次合流しながらスタック燃料アウトレット22を介して燃料マザータンクへと戻される。
尚、液体燃料の供給方法は、この方法に限られず、例えば各燃料電池セル11を燃料経路で直流につなぐような構造でもよく、その形態は説明文中に例示した構造に限定されるわけではない。
図6を参照して、燃料電池セル11の構造について説明する。図6では、液体燃料を直接に燃料電池セル11に供給するタイプのダイレクトメタノール型燃料電池セルの一例を示している。尚、以下に述べる本実施形態では、液体燃料を直接アノードに供給する直液方式を例として説明するが、あくまで一例であり、以下に述べる手法、構造に限定されるものではない。例えば、PTFEなどの気液分離膜を介して燃料を気化させて供給させてもよい。
図6に示されるように、各燃料電池セル11は、固体高分子電解質膜33と、カソード31と、アノード32と、カソード集電体41と、アノード集電体42と、燃料タンク部12と、シール部材43とを有している。固体高分子電解質膜33、カソード31、及びアノード32でMEA13を形成している。
燃料タンク部12は、フレーム10に設けられた凹部である。燃料タンク部12には、燃料を取り込む為のインレットと、排出する為のアウトレットとが設けられている。このインレット及びアウトレットは、夫々燃料経路23に接続されている。従って、スタック燃料インレット21から供給された燃料は、燃料経路23を介して燃料タンク部12に保持される。また、燃料タンク部12で余った燃料は、燃料経路23を介してスタック燃料アウトレット22へ送出される。
燃料タンク部12内部には、いわゆるウィッキング材60と呼ばれる燃料保持材が挿入されている。ウィッキング材60は、主に毛細管現象により燃料(メタノール水溶液)を吸収、保持し、安定的にMEAに供給することを目的として配置されている。燃料タンク部12に供給された液体燃料は、ウィッキング材60に一次的に吸収される分もあるが、その多くはMEA13のアノード32に供給され、発電反応に消費される。燃料タンク部12に供給されながら、発電に使われなかった燃料は、再び燃料容器に戻ったり、一時的にウィッキング材60に吸収されたりする。ただし、燃料経路の下流部に相当する位置にある燃料電池セル11でも十分に発電が可能となる燃料濃度であり、燃料供給が不安定となる事がない場合、ウィッキング材60は、必ずしも必須の構成ではなく、省略してもよい。
MEA13は、燃料タンク部12の上部を覆うようにして配置されている。固体高分子電解質膜33の一方の面上にはカソード31が接して配置され、他方の面上にはアノード32が接して配置されている。即ち、MEA13は、アノード32とカソード31によって、固体高分子電解質膜33が挟持されて構成されている。MEA13は、アノード32を燃料タンク部12側として配置されており、燃料タンク部12に導入された燃料がアノード32に供給されるようになっている。
一方、カソード31の上側は、空間(空気流空間27)となっている。既述のように、この空気流空間27から、カソード31に酸化剤ガス(空気)が供給される。
このように、燃料タンク部12からアノード31に液体燃料が供給され、空気流空間27からカソード31に空気が供給されることで、MEA13が発電する。
アノード集電体42及びカソード集電体41は、各MEA13で発生した電力を集電して取り出す為のものである。アノード集電体42及びカソード集電体41は、MEA13の上下に配置されている。アノード集電体42及びカソード集電体41は、枠状であり、アノード32及びカソード31の周縁部を上下方向から挟むようにして配置されている。
シール部材43は、MEA13、アノード集電体42、及びカソード集電体41の間で生じた隙間を埋めて外部への燃料漏れを防止するために配置される。本実施の形態において、シール部材43は枠状であり、集電体の周縁部に配置されている。
上述した構成の燃料電池セル11は、その周縁部を貫通するように複数のネジ(図示せず)でフレーム10に固定される。尚、燃料電池セル11をフレーム10に固定する手段としては、ネジ止めに限らず、接着剤を使った手法などでもよく、燃料電池セル11から液体燃料が漏れないような構造であればよい。
続いて、燃料電池セル11を構成する各部材の素材について説明する。
固体高分子電解質膜33としては、プロトンの伝導性が高く、かつ、電子伝導性をもたない高分子膜が好適に使用される。固体高分子電解質膜33の構成材料としては、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン基、ホスフィン基等の強酸基や、カルボキシル基等の弱酸基等の極性基を有するイオン交換樹脂が好ましく、その具体例としては、パーフルオロスルホン酸系樹脂、スルホン化ポリエーテルスルホン酸系樹脂、スルホン化ポリイミド系樹脂等が挙げられる。より具体的には、例えば、スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリイミド、アルキルスルホン化ポリベンゾイミダゾール等の芳香族系高分子からなる固体高分子電解質膜を挙げることができる。固体高分子電解質膜の膜厚は、その材質や燃料電池の用途等に応じて、10〜300μm程度の範囲内で適宜選定可能である。
カソード31は、下記式3に示すように、酸素を還元して水にする電極である。
(化学式3);6H + 6e + 3/2O → 3H
カソード31は、例えば、触媒をカーボン等の担体に担持させた粒子(粉末を含む)又は担体を有さない触媒単体と、プロトン伝導体との触媒層をカーボンペーパー等の基材上に塗布等で形成することにより得ることができる。触媒としては、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム、金、銀、ニッケル、コバルト、モリブデン、ランタン、ストロンチウム、イットリウム等が挙げられる。触媒は、1種のみでも、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。触媒を担持する粒子としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素系材料が例示される。粒子の大きさは、例えば炭素系材料が粒状物であるときには、0.01〜0.1μm程度の範囲内、好ましくは0.02〜0.06μm程度の範囲内で適宜選定される。粒子に触媒を担持させるには、例えば含浸法を適用することができる。
触媒層が形成される基材としては、固体高分子電解質膜を用いることもできるし、カーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属等、導電性を有する多孔性物質を用いることもできる。カーボンペーパー等の基材を用いた場合には、基材上に触媒層を形成してカソード31を得た後に、ホットプレス等の方法によって、触媒層が固体高分子電解質膜33と接する向きでカソード31を固体高分子電解質膜33に接合させることが好ましい。カソード31の単位面積当たりの触媒量は、触媒の種類や大きさ等に応じて、0.1mg/cm〜20mg/cm程度の範囲内で適宜選定可能である。
アノード32は、下記式4に示すように、メタノール水溶液と水から水素イオンとCOと電子を生成する電極であり、カソード31と同様にして形成される。
(化学式4);CHOH + HO →CO + 6H + 6e
アノード32を構成する触媒層や基材は、カソード31を構成する触媒層や基材と同じであってもよいし異なっていてもよい。アノード32の単位面積当たりの触媒量も、カソードの場合と同様、触媒の種類や大きさ等に応じて、0.1mg/cm〜20mg/cm程度の範囲内で適宜選定可能である。
カソード集電体41及びアノード集電体42は、カソード31及びアノード32上にそれぞれ接して配され、電子の取出効率及び電子の供給効率を高めるように作用する。これらの集電体41,42は、MEAの周縁部に接する枠形状のものであってもよいし、MEAの全面に接する平板状又はメッシュ状等のものであってもよい。平板状の場合、燃料および空気が入り込めるような貫通孔を規則的もしくは不規則的に設け、貫通孔をあけていない部分で電極と接触させ、集電を行う。本発明の説明においては、カソード集電体41及びアノード集電体42として枠形状の集電体を示したが、これらは一例にすぎず、本発明を限定するものではない。集電体41,42の材料としては、例えば、ステンレス鋼、焼結金属、発泡金属等、又はこれらの金属に高導電性金属材料をメッキ処理したものやカーボン材料などの導電体等を用いることができる。
本発明の燃料電池セル11には、シール機能を有するシール部材が複数設けられている例えば、図6に示すように、(a)固体高分子電解質膜33とカソード集電体41との間には、カソード31の厚さとほぼ同じ厚さからなるシール部材43がセル構造の周縁に枠状に設けられている。(b)固体高分子電解質膜33とアノード集電体42との間には、アノード32の厚さとほぼ同じ厚さからなるシール部材43がセル構造の周縁に枠状に設けられている。(c)アノード集電体42とフレーム10との間には、任意の厚みをもつシール部材43が設けられている。なお、これらの各シール部材は、シール性、絶縁性及び弾性を有するものが好ましく、通常はシール機能を有するゴムやプラスチックで形成されていることが好ましい。具体的には、PTFE、PET、PEEK、塩化ビニル等のプラスチック素材や、フッ素製樹脂ゴム、シリコンゴム、ブチルゴム等のゴム素材を用いることが好ましい。
ウィッキング材60としては、例えば、織布、不織布、繊維マット、繊維ウェブ、発泡プラスチック等を用いることができる。特に、親水性ウレタン発泡材や親水性ガラス繊維等の親水性材料を用いることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態に係る燃料電池システム1に依れば、結露水保持材(メッシュ71)が設けられているので、空気流の下流側で結露した水が蓋70側で保持され、フラッディングの発生が防止される。また、下流側で保持された水分は、メッシュ71を介して乾燥し易い上流側へと広がり、上流側の湿度を上げることができる。これにより、上流側における水分不足によるイオン伝導性の低下が抑制される。
電圧を機器に合わせて高くする必要があり、消費電力が大きいノート型PCなどの電源として燃料電池システム1を用いる場合、所望の電力を得るために燃料電池セル11の数を増やす必要がある。燃料電池セル11が増えると、空気流の最下流での湿度も高くなる。本実施の形態に係る燃料電池システム1は、このような状況下でも、空気流の最下流に位置する燃料電池セル11のフラッディングが防止されるので、消費電力が大きい機器に使用する場合に特に好適である。
また、平面スタック型燃料電池の場合、複数の燃料電池セル11が電気的に直列に接続される。この時、省スペース化のために複数の燃料電池セル11は通常、碁盤目状に並べられる。このように燃料電池システム11を配置させた場合、電気的にはいくつかの燃料電池セル11を間に介しているのに、空間的には隣接する燃料電池セル11同士ができてしまう。このように隣接した燃料電池セル11間では、カソード31間で大きな電位差が生じる。フラッディングによって、その空間的に隣接する2つのカソード31間がショートすることがある。これに対して本実施の形態では、メッシュ71を蓋70の裏に貼り付けているので、結露した水を、隣接する燃料電池セル11間が接続される前に吸い上げ、ショートの可能性を低減させることができる。
尚、本実施の形態では、複数の燃料電池セル11の全てにおいて、カソード31が上面を向いて配置されている場合について説明したが、必ずしも全てのカソード31が上向きである必要はない。少なくとも一の燃料電池セル11において、カソード31が上向きとなっていればよく、アノード32が上向きになっている燃料電池セル11が存在していてもよい。上向きにしたアノード32への燃料供給は、流路構造を工夫することで行うことができる。少なくとも一の燃料電池セルでカソード31が上向きとなっている燃料電池スタック15であれば、メッシュ71を設けることにより結露水が保持され、その燃料電池セルにおけるフラッディング発生を抑制できる。
以下、実施例を示すことにより、本発明の燃料電池システムを具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1で用いた燃料電池セルの構造について以下に説明する。本実施例では、図2に示される構造の燃料電池システム1を作成した。
先ず、炭素粒子(ライオン社製のケッチェンブラックEC600JD)に粒子径が3〜5nmの範囲内にある白金微粒子を重量比で50%担持させた触媒担持炭素微粒子を用意した。この触媒担持炭素微粒子1gにデュポン社製の5重量%ナフィオン溶液(商品名;DE521、「ナフィオン」はデュポン社の登録商標)を加え、攪拌して、カソード形成用の触媒ペーストを得た。この触媒ペーストを基材としてのカーボンペーパー(東レ社製のTGP−H−120)上に1〜8mg/cmの塗工量で塗布し、乾燥させて、4cm×4cmのカソード31を作製した。一方、白金微粒子に代えて粒子径が3〜5nmの範囲内にある白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金微粒子(Ruの割合は50at%)を用いた以外は上記カソード形成用の触媒ペーストを得る条件と同じにして、アノード形成用の触媒ペーストを得た。この触媒ペーストを用いた以外は上記カソードの作製条件と同じ条件で、アノード32を作製した。
次に、デュポン社製のナフィオン117(数平均分子量は250000)からなる8cm×8cm×厚さ180μmの膜を固体高分子電解質膜33として用い、この膜の厚さ方向の一方の面に上記カソード31をカーボンペーパーが外側となる向きで配置し、他の面に上記アノード32をカーボンペーパーが外側となる向きで配置して、各カーボンペーパーの外側からホットプレスした。これによりカソード31及びアノード32が固体高分子電解質膜33に接合して、MEA(電極−電解質膜接合体)13が得られた。
次に、カソード31とアノード32の上に、ステンレス鋼(SUS316)からなる外寸法6×6cm、厚さ1mm、幅11mmの矩形枠状の枠板からなる集電体41,42を配置した。なお、固体高分子電解質膜33とアノード集電体42との間に、シリコンゴム製の外寸法6×6cm、厚さ0.3mm、幅10mmの矩形枠状の枠板からなるシール部材43を配置した。また、固体高分子電解質33とカソード集電体41との間、その他のシール部材としても、シリコンゴム製の外寸法6×6cm、厚さ0.3mm、幅10mmの矩形枠状の枠板からなるシール部材43を配置した。集電体41,42の外にはみ出した固体高分子電解質膜33は切断した。
燃料電池システム1を構成するフレーム10としては、外寸19.5cm×14.5cm×厚さ1cmのフッ素樹脂製のものを用いた。フレーム10内部には、燃料電池セル11を2列×3行で並べられるように、6個の燃料電池タンク部12を形成させた。燃料は、スタック燃料インレット21から供給し、図2の断面図に示したように、燃料電池セル12間に設けた燃料経路23を通じて各燃料電池セルに供給させ、燃料電池スタック15の両脇に設けた燃料経路23に排出された燃料が、スタック燃料アウトレット22から排出させるような流路構造とした。各燃料タンク部12は、内寸法4×4cm、深さ5mmの容器であり、燃料タンク部12の内部には、燃料保持材として、ウレタン素材からなるウィッキング材60を挿入した。
MEA13、カソード集電体41、アノード集電体42、シール部材43を、上記の燃料タンク部12上に配置し、所定数のネジによりネジ止めして一体化し、実施例1に係る燃料電池セル11および燃料電池セル12の集合体である燃料電池スタック15を得た。
電気的には、隣接する燃料電池セル11の集電体同士を介して直列接続した。図2において、左下に位置する燃料電池セル11からマイナスの端子421、右下に位置する燃料電池セル11からプラスの端子411を取り出した。
上記のようにして形成した燃料電池スタック15を収納する筐体14について説明する。筐体本体140は、厚さ1mm×奥行き20cm×幅15cmのアクリル板を底面とし、アクリル板の長辺側の両脇にのみ、厚さ1mm×奥行き20cm×高さ1cmのアクリル板を衝立として配置した。即ち、図2の断面図において、紙面に対して垂直方向の上下側は、開放部(スタック吸気開放部24、スタック排気開放部25)となっている。燃料電池スタック15を筐体本体140に導入し、燃料電池スタックの上面には、図2のように、100メッシュのプラスチック製のメッシュ71を貼ったアクリル製の蓋70を被せた。蓋70の寸法は、厚さ1mm×長辺20cm×短辺15cmとし、メッシュ71の大きさは蓋70と同様に、長辺20cm×短辺15cmとした。実施例1においては、衝立と蓋70の間にメッシュ71が挟まれた構造になっている。
発電にあたっては、スタック吸気開放部24から空気を導入し、スタック排気開放部25から排出することによって、燃料電池セル11のカソード31面上に空気流を形成させた。空気の送風に関しては、小型のファンを用いて行い、発電に十分な空気を供給した。
(実施例2)
実施例2で用いた燃料電池セルの構造について以下に説明する。MEAの作製方法および構造は実施例1と同様であり、燃料電池スタック15の構造も実施例1と同様である。その他の条件も、後述で触れない限り同様である。
実施例2に関しては、図3に示される燃料電池システム1を作成した。即ち、実施例1におけるメッシュ71の配置のみが変更されている。メッシュ71の大きさは、長辺20cm×短辺14.5cmとし、筐体本体140の両脇に設けた衝立と蓋70の間には、メッシュ71が挟まれないようにした。
(実施例3)
実施例3で用いた燃料電池セルの構造について以下に説明する。MEAの作製方法および構造は実施例1と同様であり、燃料電池スタック15の構造も実施例1と同様である。その他の条件も、後述で触れない限り同様である。
実施例3に関しては、図4に示される燃料電池システムを作成した。すなわち、実施例1におけるメッシュの形状を変更した。メッシュの大きさは、長辺20cm×短辺14.5cmとし筐体本体140の両脇に設けた衝立と蓋70の間には、メッシュ71が挟まれないようにした。さらに、2列に並んだ燃料電池セル11の列間では、メッシュ71を0.5cmの隙間をあけて分割させた。
(実施例4)
実施例4で用いた燃料電池セルの構造について以下に説明する。MEAの作製方法および構造は実施例1と同様であり、燃料電池スタック15の構造も実施例1と同様である。その他の条件も、後述で触れない限り同様である。
実施例4に関しては、実施例1におけるメッシュの形状を変えた。メッシュ71の大きさは、6cm×7cmである。図7に示されるように、メッシュ71は、各燃料電池セル11に対応する位置に貼り付けられ、隣接した燃料電池セル11間で分割されている。即ち、6個の燃料電池セル11に対応させて、6個のメッシュ71を配置した。
(比較例1)
比較例1で用いた燃料電池セルの構造について以下に説明する。比較例1では、メッシュ71を設けずに、図1に示されるような燃料電池システム1を用いた。MEAの作製方法および構造は実施例1と同様であり、燃料電池スタック15の構造も実施例1と同様である。その他の条件も、後述で触れない限り同様である。比較例1に関しては、蓋70の裏にメッシュ71を貼り付けていないこと以外は実施例1と同様である。
(実験結果)
実施例1〜4および比較例1について、以下のような発電試験を行った。10vol%メタノール水溶液1000mLを10mL/minの流速で各燃料電池スタック15に循環供給させ、25℃、50%の大気環境にて、100mA/cmの電流密度に相当する電流値で3時間発電試験を行い、そのときの電圧の変化を0.5、1、2、3時間ごとにモニターした。図8は、各条件における結果を示している。
比較例1において、1時間までは安定して発電していたものの、2時間くらいで電圧低下の兆候がみられ、3時間では電圧がかなり低下した。発電後に蓋70を開けたところ、カソード31はフラッディングにより濡れていた。特に、空気流の下流に位置するカソード31において、フラッディングが顕著に見られた。
実施例1では、0.5時間までは比較例1と変わらぬ電圧であった。また、2時間以上でも発電は安定しており、3時間後でもフラッディングの兆候はみられなかった。実験後に蓋70をあけてみると、空気流の下流部に位置するメッシュ71と蓋70の間にやや結露が見られたものの、カソード31のフラッディングは起こっていなかった。
実施例2では、実施例1と同様に安定した発電を継続できた。実施例1と実施例2を比較すると、実施例2の方が電圧は高かった。これは、実施例2では、メッシュ71がスタック吸気開放部24およびスタック排気開放部25のみが開放しているのに対し、実施例1では、蓋70と筐体13の衝立の間にメッシュ70が挟まれているため、実施例1の方が温度および湿度が高くなった為と考えられる。実施例2の測定のあとに蓋70を開けると、メッシュ71と蓋70には結露水がみられたが、カソード31にはフラッディングはみられなかった。また、メッシュ71と蓋70の間の結露水の広がりは、空気流の下流側ほど大きく、その一部はより空気流の上流に位置するカソード31の上にまで広がっていた。
実施例3では、ほぼ実施例2と同じ電圧の推移であった。実施例3の測定終了後に、蓋70を開けたところ、カソード31にフラッディングはみられず、メッシュ71と蓋70の間には結露水がみられた。実施例3の結露水の広がりは、実施例2の場合よりも、より空気流の上流側までみられた。メッシュ71を通じて空気流のより上流側のカソード31面上まで結露水が広がることによって、その周辺の湿度は高くなり、比較的低湿度になりやすい空気流の上流側の湿度環境をよくする効果が得やすくなっていることが確認できた。
実施例4では、比較例1と比較すると高い起電力を維持した。但し、メッシュ71によってフラッディングは防止できたものの、隣接した燃料電池セル11の上までメッシュを介して結露水が広がることができなかったため、測定終了後に蓋71を開けたところ、空気流の最下流に位置するカソード31において、ややフラッディングの傾向が見られた。
このように、実施例1〜4に示した本発明の方法を用いると、カソード31におけるフラッディングが解消され、さらにはより均質な発電環境を実現することができ、より安定した発電を継続することが可能となる個とが確認できた。この手法は、平面スタック型燃料電池のように、高い消費電力を必要とする燃料電池スタックにおいて有効であり、PCなどの比較的高出力を必要とする携帯機器への燃料電池搭載も可能とする。

Claims (9)

  1. 複数の燃料電池セルが同一平面上に配置された燃料電池スタックと、
    前記燃料電池スタックの少なくとも片面側を、前記複数の燃料電池セルの各々に酸化剤ガスを供給するための空気流空間を介して被覆する筐体と、
    前記燃料電池スタックと前記筐体との間の少なくとも一部に設けられ、水分を保持する機能を有し、メッシュ状である結露水保持材と、
    を具備する
    燃料電池システム。
  2. 請求の範囲1に記載された燃料電池システムであって、
    前記結露水保持材は、40〜200メッシュである
    燃料電池システム。
  3. 請求の範囲1又は2に記載された燃料電池システムであって、
    前記結露水保持材は、碁盤目状に編み上げたメッシュ状であり、
    前記結露水保持材の碁盤目の横糸と縦糸とは、それぞれ、前記酸化剤ガスが流れる方向に対して平行方向と直交方向とになるように配置されている
    燃料電池システム。
  4. 請求の範囲1乃至3のいずれかに記載された燃料電池システムであって、
    前記結露水保持材は、金属製である
    燃料電池システム。
  5. 請求の範囲1乃至3のいずれかに記載された燃料電池システムであって、
    前記結露水保持材は、高分子素材により形成されている
    燃料電池システム。
  6. 請求の範囲1乃至5のいずれかに記載された燃料電池システムであって、
    前記筐体において、前記結露水保持材が設けられた位置に対応する部分は、金属製である
    燃料電池システム。
  7. 請求の範囲1乃至6のいずれかに記載された燃料電池システムであって、
    前記結露水保持材は、前記燃料電池スタックの片面と対向する前記筐体の内側全面に貼り付けられている
    燃料電池システム。
  8. 請求の範囲1乃至6のいずれかに記載された燃料電池システムであって、
    発電時において、前記空気流空間内では、酸化剤ガスが一方向に向かって流れ、
    前記結露水保持材は、前記酸化剤ガスが流れる方向で隣接する前記燃料電池セル上では共通であり、前記酸化剤ガスが流れる方向に直交する方向で隣接する前記燃料電池セル間では分割されている
    燃料電池システム。
  9. 請求の範囲1乃至8のいずれかに記載された燃料電池システムであって、
    前記結露水保持材の少なくとも一部は、外部に剥き出しとなっている
    燃料電池システム。
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