JP5187608B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関し、更に詳しくは、燃料電池セルが平面スタック構造で配設されている燃料電池システムに関する。
電解質膜をアノードとカソードとで挟持した構造の電極−電解質膜接合体(Membrane and electrode assembly、以下、MEAという)を備えた燃料電池が知られている。液体燃料を直接アノードに供給するタイプの燃料電池は、直接型燃料電池と呼ばれる。その直接型燃料電池の発電メカニズムは、供給された液体燃料がアノードに担持された触媒上で分解してプロトン、電子及び中間生成物を生成し、生成した陽イオンが電解質膜を透過してカソード側に移動し、生成した電子が外部負荷を経てカソード側に移動し、そしてプロトンと電子がカソードで空気中の酸素と反応して反応生成物を生じることによって発電するというものである。例えば、液体燃料としてメタノール水溶液をそのまま使用するダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFCという)では、下式1で表される反応がアノードで起こり、下式2で表される反応がカソードで起こる。
(反応式1);CHOH + HO →CO + 6H + 6e
(反応式2);6H + 6e + 3/2O → 3H
液体燃料を使用した固体高分子型燃料電池は、小型、軽量化が容易であるために、今日では携帯機器をはじめとした種々の電子機器用電源としての研究開発が活発に進められている。例えば、PCのような電子機器電源として用いるためには、単一のMEAでは出力が小さいため、複数の燃料電池セルを連結することが必要となる(以下、スタックを構成する最小ユニットを燃料電池セルと呼ぶ)。複数の燃料電池セルで構成された燃料電池システムとしては、複数の燃料電池セルがセルの厚み方向に積層したバイポーラ型と、複数の燃料電池セルが平面的に並ぶ平面スタック型とが知られている。
ノート型PCなどのように、携帯することを念頭においた機器においては、厚さに対する制約があるため、携帯機器に内蔵する燃料電池としては平面タック型の方が向いている。平面スタック型において、複数の燃料電池セルに燃料を供給する方式としては、各燃料電池セルに燃料を直列で供給する直流流路型と、分岐流路を備えた中央流路から各燃料電池セルに燃料を分配する並列流路型に大分できる。直流流路型においては、上流部で発電に使われた燃料が、そのまま下流部において使用されるため、下流部では燃料濃度が薄く、かつ温度が高くなる。そのため、上流側と下流側のMEAでは発電条件が大きく異なる。しかし、直流流路型では、このように条件が異なるにも関わらず、同一の電流で発電を継続することになるため、下流側に位置するMEAは苛酷な発電環境下になることもあり、劣化も早くなる。これに対し、並列流路型では、同一の燃料を唐音で各燃料電池セルに供給できる為、均一に燃料を分配する観点から有利である。
しかし、並列流路型では、供給流路と戻り流路において、燃料の分岐及び合流が必要となるが、この分岐点及び合流点において流路内圧が変化していくため、各燃料電池セルへ均等に燃料を分配することは困難である。よって、並列流路型において、流路ない圧が変化しない技術の提供が望まれる。
また、発電によって発生したCOが燃料電池セル内部および供給流路に混入することによって、燃料循環系などが気液混合系となるため、圧力分布に局所的な偏りが生じてしまい、各燃料電池セルへの供給バランスが崩れることもある。よって、COが燃料電池セル内部や供給流路に混入することにより、圧力分布に局所的な偏りが生じない技術の提供が望まれる。
燃料電池セルを複数備えたDMFCにおいて、燃料を均一に分配する方法としては各種提案が成されている。例えば、特許文献1に記載の燃料電池では、セパレータに溝や孔を形成させ、その流路を通じて液体燃料を供給する方法が開示されている。
また、特許文献2に記載の燃料電池では、燃料電池セル内部にCO排出溝を設け、供給燃料と排出されるCOを分断する方法を提案している。
更に、特許文献3は、電解質に触媒部を備えた燃料極及び酸化剤を配してなるセルを有した燃料電池であって、電解質と触媒部の境界部分において、電解質又は触媒部表面に液体燃料供給用の流路溝が形成されている事を特徴とする燃料電池、を開示している。
特許文献4は、液体燃料電池であって、酸化される水溶液燃料が供給されるアノードと、ガス状酸化剤が供給されるカソードと、アノードとカソードとの間に置かれる固体高分子電解質膜と、アノードに液体燃料を送る液体燃料流路と、液体燃料流路に水を送る水の流路と、液体燃料流路内で水と混合され水性液体燃料となる高濃度液体燃料ラインと、カソードに組み込まれ、あるいは、カソードと流体連結しているカソードウィッキング構造体であって、水の吸い上げ、放出が可能なカソードウィッキング材料を備え、カソードウィッキング材料は、カソードウィッキング材料最長寸法及びカソードウィッキング材料最長寸法の2分の一より大きい自由上昇ウィック高さを有するカソードウィッキング構造体と、カソードウィッキング構造体から水の流路へ水を取り出す水取りだし手段と、を備える液体燃料電池、を開示している。
特許文献5は、固体高分子電解質膜の両面に触媒層と電極とガス流路を備えたセパレータを配置して構成され、燃料電極に対向するガス流路に燃料ガスを流通し、酸化剤電極に対向するガス流路に酸化剤ガスを流通して使用される燃料電池セルを複数個積層した電池スタックを備える固体高分子型燃料電池において、上記の燃料ガスと酸化剤ガスの少なくともいずれか一方が、燃料電池スタックの積層方向の端部近傍に挟まれた複数の中央部燃料電池セルを並列に流通した後、これらの端部燃料電池セルに挟まれた複数の中央部燃料電池セルを並列に流通するように構成されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池、を開示している。
特許文献6は、電解質膜と、電解質膜の第1の面に設けられる多数のアノード電極、及び前記第1の面とは反対側である電解質膜の第2の面に前記アノード電極の各々に対応して設けられる多数のカソード電極による多数の単位セルを形成する膜電極アセンブリ(MEA)と、前記アノード電極への供給燃料を内部に貯蔵し、その内部の燃料が通過する多数の燃料供給ホールが形成された燃料供給板付き燃料供給室と、前記燃料供給板と前記MEAとの間の燃料供給路状に設けられ、燃料供給板を介して供給される燃料を拡散させて前記MEAのアノード電極に供給するウィッキングシートと、を備える空気呼吸型の直接メタノール燃料電池セルパック、を開示している。
特開2003−203647号 公報 特開2002−175817号 公報 特開2002−56856号 公報 特開2003−36866号 公報 特開2003−157887号 公報 特開2003−317745号 公報
本発明の目的は、同一濃度の燃料を等温で各燃料電池セルに供給でき、且つ、均一な発電状況を得ることのできる、燃料電池セル又は燃料電池システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、燃料循環系の圧力分布に局所的な偏りが生じず、且つ、COが燃料電池セル内部又は燃料供給流路に混入しない燃料電池セル又は燃料電池システムを提供することにある。
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数の形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
本発明に係る燃料電池セル(11)は、
上部に開口(121)を有し、燃料を蓄える燃料タンク部(12)と、
開口(121)の上に設けられたアノード(32)と、
アノード(32)の上に設けられた電解質膜(33)と、
電解質膜(33)の上に設けられたカソード(31)と、
燃料タンク部(12)に設けられ、アノード(32)に供給されなかった燃料タンク部(12)内の燃料を排出するための燃料アウトレット部(24)と、
燃料タンク部(12)に設けられ、燃料タンク部(12)に燃料を供給する為の燃料インレット部(23)と、
燃料タンク部(12)に挿入され、燃料を保持するウィッキング材(60)と、
を備え、
ウィッキング材(60)は、燃料インレット部(23)から燃料アウトレット部(24)を覆うことなく燃料アウトレット部(24)方向へ伸びるように設けられている。
燃料インレット部(23)部分をウィッキング材(60)で被覆することで、燃料インレット部(23)近傍では燃料が燃料タンク部(12)側へ流れるように整流される。また、アノード(32)で発生したCOが燃料タンク部(12)から燃料供給側へ逆流することが防止される。一方、燃料アウトレット部(23)部分を被覆しないことにより、COは燃料アウトレット部(23)を介して燃料戻り流路(22)へ排出され易くなる。したがって、COが燃料電池セル(11)内部に蓄積したり、燃料インレット部(23)から逆流することが防止される。
本発明に係る燃料電池システム(1)は、
燃料電池セル(11)を複数個有する燃料電池システム(1)であって、
複数の燃料電池セル(11)の各々に接続し、消費されなかった燃料を排出するための燃料戻り流路(22)
を備え、
燃料戻り流路(22)は、各燃料電池セル(11)に直接に接続された各流路が合流するように形成され、
燃料戻り流路(22)は、下流側の断面積が、上流側の夫々よりも大きくなるような合流部分(50)を少なくとも一つ有している。
燃料戻り流路(22)の断面積が、合流部分(50)の下流側で、上流側の夫々よりも大きくなっているので、各燃料電池セル(11)から排出された燃料が合流した際にも、燃料戻り流路(22)内部の内圧が上昇しない。燃料戻り流路(22)内部の内圧が上昇しないので、燃料の循環において局所的な圧力の偏りが生じない。
本発明に係る燃料電池システム(1)において、
複数の燃料電池セル(11)は、板状のフレーム(10)の上に重ならないように配置されている。
板状のフレーム(10)の上に複数の燃料電池セル(11)が重ならないように配置されていることにより、同一濃度の燃料を等温で各燃料電池セル(11)に供給できる。
本発明に係る燃料電池システム(1)は、
更に、
複数の燃料電池セル(11)の各々に燃料を供給するための燃料供給流路(21)
を備え、
燃料供給流路(21)は、分岐しながら各燃料電池セル(11)に燃料を供給する。
一の燃料電池セル(11)を通過した燃料が、他の燃料電池セル(11)に供給されるような直列型ではなく、分岐しながら燃料を供給する並列流路型であるために、同一濃度の燃料が等温で各燃料電池セル(11)に供給される。
本発明に係る燃料電池システム(1)は、
アノード(32)と、カソード(31)と、アノード(32)及びカソード(31)に挟まれた電解質膜(34)と、を有する複数の燃料電池セル(11)と、
複数の燃料電池セル(11)の各々に接続し、使用されなかった燃料を排出するための燃料戻り流路(22)と、
を備え、
燃料戻り流路(22)は、各燃料電池セル(11)に直接接続された各流路が合流するように形成され、
燃料戻り流路(22)は、下流側の断面積が、上流側の夫々よりも大きくなるような合流部分(50)を少なくとも一つ有している。
燃料戻り流路(22)の断面積が、合流部分(50)の下流側で、上流側の夫々よりも大きくなっていることは、各燃料電池セル(11)から排出された燃料が合流した際に、燃料戻り流路(22)内部の内圧の上昇を抑制する。燃料戻り流路(22)内部の内圧が上昇しないので、燃料の循環において局所的な圧力の偏りが生じない。
本発明に係る燃料電池システム(1)において、
複数の燃料電池セル(11)は、板状のフレーム(10)の上に重ならないように配置されている。
板状のフレーム(10)の上に複数の燃料電池セル(11)が重ならないように配置されていることにより、同一濃度の燃料を等温で各燃料電池セル(11)に供給できる。
本発明に係る燃料電池システム(1)は、
更に、
複数の燃料電池セル(11)の各々に燃料を供給するための燃料供給流路(21)
を備え、
燃料供給流路(21)は、分岐しながら各燃料電池セル(11)に燃料を供給する。
一の燃料電池セル(11)を通過した燃料が、他の燃料電池セル(11)に供給されるような直列型ではなく、分岐しながら燃料を供給する並列流路型であるために、同一濃度の燃料が等温で各燃料電池セル(11)に供給される。
本発明によれば、同一濃度の燃料を等温で各燃料電池セルに供給でき、且つ、均一な発電状況を得ることのできる、燃料電池セル又は燃料電池システムが提供される。
更に、本発明に依れば、燃料循環系の圧力分布に局所的な偏りが生じず、且つ、COが燃料電池セル内部又は燃料供給流路に混入しない燃料電池セル又は燃料電池システムが提供される。
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態に係る燃料電池システム1の概略構成を示す図である。図1に示されるように、燃料電池システム1は、板状のフレーム10の上に、複数の燃料電池セル11が重ならないように配置されている。また、フレーム10中には、各燃料電池セル11へ外部から燃料を供給できるように、燃料供給流路21が形成されている。更には、各燃料電池セル11において消費されなかった燃料を排出するための燃料戻り流路22も形成されている。尚、燃料供給流路21及び燃料戻り流路22は、フレーム10の内部に設けられているので、実際には外からは見えないが、図1においては示している。また、燃料タンク部12の構造も実際には見えないが、図1においては示している。本実施の形態に係る燃料電池システム1に用いられる燃料としては、メタノールなどの液体燃料が挙げられる。
(燃料電池セルの構成)
図2は、図1の線分B−B’による燃料電池セルシステム1断面図を示している。即ち燃料電池セル11の断面構成を示している。燃料電池セル11は、上部に開口121を有し、燃料供給流路21から供給された燃料を蓄える燃料タンク部12と、燃料タンク部12の上に配置されたアノード32と、アノード上に配置された電解質膜33と、電解質膜33の上に配置されたカソード31と、を備えている。電解質膜33は、アノード32とカソード31とで挟まれており、MEA13を構成している。また、アノード32の下側には枠状のアノード集電体42がアノード32に接して配置されている。更に、カソード31の上にはアノード集電体42と同様に枠状のカソード集電体41が配置されている。
このような構成を有する燃料電池セル11は、複数のシール部材43を用いることによって外部からシールされている。即ち、アノード集電体42の下には枠状のシール部材43Aが、アノード32の周縁部にはシール部材43Bが、カソード31の周縁部にはシール部材43Cが、それぞれ配置されている。尚、アノード集電体42がフレーム10と密着している場合には、シール部材43Aは配置されない場合もある。
燃料タンク部12はフレーム10に設けられた凹部であり、即ち上部に開口121を有している。燃料タンク部12には、燃料インレット部23と燃料アウトレット部24が設けられている。燃料インレット部23は、燃料供給流路21と燃料タンク部12とを接続する開口である。図2において、燃料インレット部23は底面に設けられているが、側面に設けられていてもよい。一方、燃料アウトレット部24は燃料戻り流路22と燃料タンク部12とを接続する開口である。図2において、燃料アウトレット部24は、燃料タンク部12の側面に設けられているが、底面に設けられていてもよい。このような構成を有する燃料タンク部12に、ウィッキング材60が挿入されている。ウィッキング材60の配置に関して、以下に詳述する。
ウィッキング材60は、燃料インレット部23から燃料アウトレット部24を覆うことなく燃料アウトレット部24方向へ伸びるように設けられている。即ち、ウィッキング材60は、燃料インレット部23を被覆し、燃料アウトレット部24を被覆しないように挿入されている。これにより、ウィッキング材60と燃料アウトレット部24との間に空間が形成される。以下、この空間をCO排出空間611と記す。ウィッキング材60の形状は、燃料インレット部23を被覆し、燃料アウトレット部24を被覆せずにCO排出空間611が形成されるものであれば特に限定されないが、例えば図3(a)〜(d)に示されるような形状が挙げられる。
図3(a)〜(d)は、ウィッキング材60の配置を図2の矢印S方向から燃料タンク部を見て説明する図である。図3中の矢印は燃料が流れる方向を示す。図3(a)及び(b)に示される例では、燃料タンク部12の燃料供給流路21側の側面A中央部に燃料インレット部23が設けられ、燃料戻り流路22側の側面B中央部に燃料アウトレット部24が設けられている。図3(a)においては、ウィッキング材60は、幅(紙面の上下方向)が燃料タンク部12と同じであり、長さ(紙面の左右方向)が燃料タンク部12より少し短い形状をしている。ウィッキング材60は、燃料インレット部23側を被覆するように配置されており、燃料アウトレット部24側にはCO排出空間611が設けられている。一方、図3(b)に示される例では、ウィッキング材60は燃料タンク部12の形状に対して側面B側中央部が欠けた形状をしており、図3(a)と同様にCO排出空間611が形成されている。
図3(c)に示される例では、燃料インレット部23が側面Aの下流側(紙面下側)に、燃料アウトレット部24が側面Bの下流側(紙面上側)に設けられている。ウィッキング材60は、燃料タンク部12の形状に対して、側面Bの下流側が欠けた形状で挿入されている。これにより、燃料アウトレット部24の周囲にはCO排出空間が形成されている。
図3(d)に示される例では、燃料インレット部23が側面Aの中央部に設けられている。一方、燃料アウトレット部24は2箇所に設けられ、夫々が側面Bの異なる位置に設けられている。ウィッキング材60には、燃料アウトレット部に対応する側面B側の二箇所に切り込みが設けられている。これにより、二箇所の燃料アウトレット部24に対応して、二箇所にCO排出空間611が設けられている。
再び、図2を参照して、MEA13の構成を説明する。MEA13は、電解質膜33をカソード31とアノード32とで挟持した構造からなるものである。電解質膜33としては、プロトンの伝導性が高く、かつ、電子伝導性をもたない高分子膜が好適に使用される。電解質膜33の構成材料としては、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン基、ホスフィン基等の強酸基や、カルボキシル基等の弱酸基等の極性基を有するイオン交換樹脂が好ましく、その具体例としては、パーフルオロスルホン酸系樹脂、スルホン化ポリエーテルスルホン酸系樹脂、スルホン化ポリイミド系樹脂等が挙げられる。より具体的には、例えば、スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリイミド、アルキルスルホン化ポリベンゾイミダゾール等の芳香族系高分子からなる固体高分子電解質膜を挙げることができる。電解質膜33の膜厚は、その材質や燃料電池の用途等に応じて、10〜300μm程度の範囲内で適宜選定可能である。
カソード31は、下式3に示すように、酸素を還元して水にする電極であり、例えば、触媒をカーボン等の担体に担持させた粒子(粉末を含む)又は担体を有さない触媒単体と、プロトン伝導体との触媒層をカーボンペーパー等の基材上に塗布等で形成することにより得ることができる。
(反応式3);6H + 6e +3/2O → 3H
触媒としては、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム、金、銀、ニッケル、コバルト、モリブデン、ランタン、ストロンチウム、イットリウム等が挙げられる。触媒は、1種のみでも、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。触媒を担持する粒子としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素系材料が例示される。粒子の大きさは、例えば炭素系材料が粒状物であるときには、0.01〜0.1μm程度の範囲内、好ましくは0.02〜0.06μm程度の範囲内で適宜選定される。粒子に触媒を担持させるには、例えば含浸法を適用することができる。
触媒層が形成される基材としては、固体高分子電解質膜を用いることもできるし、カーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属等、導電性を有する多孔性物質を用いることもできる。カーボンペーパー等の基材を用いた場合には、基材上に触媒層を形成してカソード31を得た後に、ホットプレス等の方法によって、触媒層が固体高分子電解質膜33と接する向きでカソード31を固体高分子電解質膜33に接合することが好ましい。カソード31の単位面積当たりの触媒量は、触媒の種類や大きさ等に応じて、0.1mg/cm2 〜20mg/cm2 程度の範囲内で適宜選定可能である。
アノード32は、下式4に示すように、メタノール水溶液と水から水素イオンとCO2と電子を生成する電極であり、上記のカソード31と同様にして構成される。
(反応式4);CHOH + HO → CO + 6H + 6e
アノード32を構成する触媒層や基材は、カソード31を構成する触媒層や基材と同じであってもよいし異なっていてもよい。アノード32の単位面積当たりの触媒量も、カソードの場合と同様、触媒の種類や大きさ等に応じて、0.1mg/cm2 〜20mg/cm2 程度の範囲内で適宜選定可能である。
カソード集電体41及びアノード集電体42は、カソード31及びアノード32上にそれぞれ接して配され、電子の取出効率及び電子の供給効率を高めるように作用する。これらの集電体41,42は、図2に示すように、本実施の形態においてはMEA13の周縁部に接する枠形状であるが、メッシュ状等のものであってもよい。これらの集電体41,42の材料としては、例えば、ステンレス鋼、焼結金属、発泡金属等、又はこれらの金属に高導電性金属材料をメッキ処理したものやカーボン材料などの導電体等を用いることができる。
本発明の燃料電池セル11には、シール機能を有するシール部材が複数設けられている。例えば、図2に示されるように、電解質膜33とカソード集電体41との間には、カソード31の厚さとほぼ同じ厚さからなるシール部材43Cがカソード31の周縁に枠状に設けられており、カソード31の側部を外部から遮断している。電解質膜33とアノード集電体42との間には、アノード32の厚さとほぼ同じ厚さからなるシール部材43Bがアノード32周縁に枠状に設けられており、アノード32の側部を外部から遮断している。更に、アノード集電体42とフレーム10との間には、任意の厚みをもつシール部材43Cが設けられて、燃料が外部へ漏れ出さないようにシールしている。アノード集電体42がフレーム10と密着し、燃料タンク部12とアノード32とで形成される空間が外部から遮断される場合には、シール部材43Aは必ずしも必要ではない場合もある。これらの各シール部材は、必要に応じて、シール性、絶縁性及び弾性を有するものが好ましく、通常はシール機能を有するゴムやプラスチックで形成されており、詳しくは、PTFE(polytetrafluoroethylene)、PET(polyethylene terephthalate)、PEEK(poly ether ether ketone)、塩化ビニル等のプラスチック素材や、フッ素樹脂、シリコンゴム、ブチルゴム等のゴム素材で形成することができる。
(動作)
発電時における燃料電池システム1内の燃料の流れについて説明する。図1中、矢印(IN)方向から、燃料が燃料供給流路21に供給される。図2を参照して、燃料供給流路21に供給された燃料は、燃料インレット部23を介して各燃料電池セル11の燃料タンク部12に供給される。燃料タンク部12へ供給された燃料は毛細管現象によりウィッキング材60に浸透する。ウィッキング材60からは、燃料が染み出す。染み出した燃料は、アノード32に供給される。アノード32は、燃料の供給を受けて下式5で示される反応が起こり、更に、カソード31において下式6で示される反応が起こり、発電する。
(反応式5);6H + 6e +3/2O → 3H
(反応式6);CHOH + HO → CO + 6H + 6e
アノード32及びカソード31で発生した電力は、アノード集電体42及びカソード集電体43により取り出され、利用される。一方、アノード32へ供給されなかったか、又は消費されなかった燃料は、燃料アウトレット部24を介して燃料戻り流路22へ流れる。燃料戻り流路22へ流れた燃料は、図1中、矢印(OUT)方向からフレーム10外へ排出される。
(作用・効果)
本実施の形態に依れば、次のような効果を奏する。
ウィッキング材60が燃料アウトレット部24を被覆せず、CO排出空間611が形成されていることにより、アノード32で発生したCOが、CO排出空間611を介して燃料戻り流路22に移動しやすくなる。即ち、アノード32で発生したCOの排出が促進される。
また、CO排出量が増大する高負荷時においては、COの排出が促進されることによって、燃料タンク部12と燃料戻り流路22との間で圧力差が発生する。この圧力差により燃料の流れが燃料タンク部12から燃料戻り流路22方向へと、更に促進される。燃料タンク部12から燃料戻り流路に向かって引圧が働くようになるため、各燃料タンク部12に燃料供給流路21から燃料が吸引される力も発生する。この現象は、各燃料電池セル11で均等に起こるため、発電条件も均等化する。発電条件が均等化されると、燃料供給に関してもより均一化される。
(第2の実施形態)
(構成)
本実施の形態に係る燃料電池システム1は、第1の実施形態に加えて、燃料戻り流路22の形状が更に工夫されている。燃料電池セル11の構成は、第1の実施形態と同じであるので、説明は省略される。本実施の形態においては、複数の燃料電池セルが8個であり、複数の燃料電池セルの各々は、説明の便宜上、(a、a’、b、b’、c、c’、d、d’)と符号を付して区別する。尚、本発明は、これらの図面及び以下で説明する実施形態に限定されるものではなく、燃料電池セル11の数なども8個に限定されるものではない。また、本実施の形態では、燃料電池システム1で使用される燃料として、メタノールを使用した場合について説明する。
図4は本実施の形態における燃料電池システム1の流路の構成を説明する図である。図4中の矢印は、燃料の流れる方向を示す。燃料供給流路21は、燃料供給中央流路210と、燃料供給中央流路210から分岐して各燃料電池セル11に接続する複数の燃料供給分岐流路211(a〜d’)と、を有している。尚、燃料供給分岐流路211に付された符号は、接続する燃料電池セル11の符号に対応させている。一の分岐において、燃料供給中央流路210から左右に一本づつ燃料供給分岐流路211が分岐して、夫々が各燃料電池セル11に接続する構造となっている。また、上流側の分岐から分岐した順に、(211a、a’)、(211b、b’)、(211c、c’)、(211d、d’)、と区別している。即ち、燃料の供給中央流路210を流れる燃料の一部は、最も上流側の分岐において燃料供給分岐流路211a又は211a’に分岐し、燃料電池セル11a又はa’に供給される。燃料供給分岐流路211a又は211a’に流れなかった燃料は、燃料供給中央流路210を更に下流側へ流れ、燃料供給分岐流路211(b〜d’)のいずれかを介して、他の燃料電池セル(b〜d’)のいずれかへ供給される。
フレーム10には、燃料電池セル11で消費されなかった燃料をフレーム10外へ排出するための2本の燃料戻り流路22(A、Bを付して区別)が設けられている。燃料戻り流路22Aは、燃料電池セル11(a、b、c、d)に接続され、燃料戻り流路22Bは、燃料電池セル11(a’、b’、c’、d’)に接続されている。燃料戻り流路22Aは一の燃料戻り中央流路221Aと、各燃料電池セル11(a〜d)に直接接続してる4本の燃料戻り分岐流路222(a〜d)と、から形成されている。4本の燃料戻り分岐流路は、四つの合流部50(a〜d)において、燃料戻り中央流路221Aに接続している。なお、燃料戻り分岐流路222に付された符号は、接続する燃料電池セル11の符号に対応している。合流部50に付した符号も、その合流部50で合流する燃料分岐流路222が反対側にて接続する燃料電池セル11の符号に対応させている。燃料戻り流路22Bも、22Aと同様に、一の燃料戻り中央流路221Bと、4つの燃料戻り分岐流路221(a’〜d’)と、4つの合流部50(a’〜d’)を有している。
本実施の形態においては、燃料戻り流路22の断面積の大きさが工夫されている。燃料戻り流路22Aは複数の合流部50(a〜d)を有しているが、複数の合流部50(a〜d)のうちの少なくとも一は、合流の上流側の夫々の流路の断面積よりも、下流側の流路の断面積の方が大きくなっている。本実施の形態において、燃料戻り中央流路221Aの断面積は、合流部50c、合流部50b、合流部50a、と下流側になるに従い、順次大きくなっている。また、各合流部50に接続する燃料戻り分岐流路221の断面積よりも、その合流部50の下流側の燃料戻り中央流路221Aの断面積の方が大きい。即ち、合流部50c、b、dにおいては、下流側の断面積が、上流側の夫々の流路よりも大きくなっている。尚、合流部50dでは、下流側の断面積が大きくなっていてもよいし、同じであってもよい。燃料戻り中央流路221Aと同様に、燃料戻り中央流路221Bも、下流側の断面積が、上流側よりも大きくなっている合流部(50a’〜d’)を有している。
(動作)
発電時における燃料電池システム1内の燃料の流れについて説明する。図4中、矢印(IN)方向から、燃料が燃料供給流路21に供給される。図2を参照して、燃料供給流路21に供給された燃料は、燃料インレット部23を介して各燃料電池セル11の燃料タンク部12に供給される。燃料タンク部12へ供給された燃料は毛細管現象によりウィッキング材60に浸透する。ウィッキング材60からは、燃料が染み出す。染み出した燃料は、アノード32に供給される。アノード32は、燃料の供給を受けて下式7で示される反応が起こり、更に、カソード31において下式8で示される反応が起こり、発電する。
(反応式7);6H + 6e +3/2O → 3H
(反応式8);CHOH + HO → CO + 6H + 6e
アノード32及びカソード31で発生した電力は、アノード集電体42及びカソード集電体43により取り出され、利用される。一方、アノード32へ供給されなかったか、又は消費されなかった燃料は、燃料アウトレット部24を介して燃料戻り流路22へ流れる。燃料戻り流路22へ流れた燃料は、図1中、矢印(OUT)方向からフレーム10外へ排出される。
(作用・効果)
本実施の形態に依れば、燃料戻り流路22の断面積が、燃料が合流するにつれて順次大きくなっているので、合流部50の下流側の圧力が上流側よりも高くならない。よって、燃料電池セル11から燃料戻り流路22方向への燃料の流れが妨げられない。
また、燃料電池セル11から燃料戻り流路22方向への燃料の流れが促進されるので、アノード32で発生したCOも燃料タンク部12に滞ることなく燃料戻り流路22へ排出される。よって、COが燃料タンク部12に滞ることに起因する燃料循環障害が解消される。
燃料循環障害が解消されるので、各燃料電池セル11への燃料の供給も均等に行われる。よって、各燃料電池セル11間での発電状況が均等化される。
燃料戻り流路22の断面積の構造と、ウィッキング材60の構造を併用することによって、燃料タンク部12から燃料戻り流路22方向への燃料の流れ、及びCO排出の効果は増大する。このようにな構造にすることによって、燃料循環系統における燃料の滞りが更に解消され、各燃料電池セル11への燃料供給も更に均等化される。各燃料電池セル11における発電状況も更に均等化される。
以下、実施例を示すことにより、本発明の燃料電池システムを具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1で用いた燃料電池セルの構造について以下に説明する。まず、炭素粒子(ライオン社製のケッチェンブラックEC600JD)に粒子径が3〜5nmの範囲内にある白金微粒子を重量比で50%担持させた触媒担持炭素微粒子を用意し、この触媒担持炭素微粒子1gにデュポン社製の5重量%ナフィオン溶液(商品名;DE521、「ナフィオン」はデュポン社の登録商標)を加え、攪拌して、カソード形成用の触媒ペーストを得た。この触媒ペーストを基材としてのカーボンペーパー(東レ社製のTGP−H−120)上に1〜8mg/cm2の塗工量で塗布し、乾燥させて、4cm×4cmのカソード31を作製した。一方、白金微粒子に代えて粒子径が3〜5nmの範囲内にある白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金微粒子(Ruの割合は50at%)を用いた以外は上記カソード形成用の触媒ペーストを得る条件と同じにしてアノード形成用の触媒ペーストを得た。この触媒ペーストを用いた以外は上記カソードの作製条件と同じ条件で、アノード32を作製した。
次に、デュポン社製のナフィオン117(数平均分子量は250000)からなる8cm×8cm×厚さ180μmの膜を電解質膜33として用い、この膜の厚さ方向の一方の面に上記カソード31をカーボンペーパーが外側となる向きで配置し、他の面に上記アノード32をカーボンペーパーが外側となる向きで配置して、各カーボンペーパーの外側からホットプレスした。これによりカソード31及びアノード32が電解質膜33に接合して、MEA13が得られた。
次に、カソード31とアノード32の上に、ステンレス鋼(SUS316)からなる外寸法6cm×6cm、厚さ1mm、幅11mmの矩形枠状の枠板からなる集電体41,42を配置した。なお、電解質膜33とアノード集電体42との間に、シリコンゴム製の外寸法6×6cm、厚さ0.3mm、幅10mmの矩形枠状の枠板からなるシール部材43を配置した。また、電解質33とカソード集電体41との間、その他のシール部材としても、シリコンゴム製の外寸法6cm×6cm、厚さ0.3mm、幅10mmの矩形枠状の枠板からなるシール部材43を配置した。
燃料電池システム1を構成するフレーム10としては、15cm×30cm×厚さ1cmのPP(ポリプロピレン)製のものを用い、そのフレーム10内部には、図5に示されるように、燃料電池セル11を2列×4行でならべられるように、8個の燃料タンク部12を形成させている。尚、図5では二つのフレーム10が示されている。フレーム10の中央には、燃料供給流路21を設け、各燃料タンク部12とは燃料供給分岐流路211で連結させている。燃料タンク部12は、内寸4×4cm、深さ3mmの容器であり、その底面には、燃料供給のための燃料インレット部23が設けられ、燃料供給分岐流路211から燃料が供給されるようにし、その内部には、燃料保持材として、ウレタン素材からなるウィッキング材60を挿入した。ウィッキング材60の形状は、外寸4×3.8cmの長方形であり、長方形の長辺方向を燃料供給流路21と平行にし、燃料インレット部23はウィッキング材60で被覆し、かつ燃料アウトレット部24はウィッキング材60で被覆されないように配置することによって、燃料タンク部12内部において、燃料アウトレット部24側に相当する部分にCO排出空間611が設けられている。
燃料タンク部12は、燃料戻り分岐流路222を介して、フレーム10の外側に設けた2本の燃料戻り中央流路221と連結されている。燃料戻り中央流路221において、合流部50c〜50b間が15mm、50b〜50a間が20mm、50aの下流側は25mmと、合流部50の下流側が大きなっている。ただし、50d〜50c間の断面積は10mmである。
MEA13、カソード集電体41、アノード集電体42、シール部材43を所定数のネジによりネジ止めして一体化し、実施例1に係る燃料電池セル11を得た。
こうして作製した燃料電池セル11を8個準備し、図5に示す燃料流路構造をもつフレーム10に並べて固定した。このように8個の燃料電池セル11を有するフレーム10を、二つ準備し、電気的には、隣接するセルを全て集電体により直列接続した。また、図8に示した図中の番号でいうところの、「5」に位置する燃料電池セルからマイナスの端子、「12」に位置する燃料電池セルからプラスの端子を取り出した。
(比較例1)
比較例1で用いた燃料電池セル11の構造について以下に説明する。MEA13の作成方法及び構造は実施例1と同様である。流路構造として、図6に示すように、燃料供給中央流路210から各燃料電池セル11に分岐させ、各燃料電池セル11から排出された燃料は、両端の燃料戻り流路22へと流す構成である。ウィッキング材60の配置に関しては、燃料タンク部12の全面を覆うように配置し、CO排出空間611は存在しない。燃料戻り中央流路221の断面積は20mmで一定とした。その他の構成は実施例1と同様である。電気的には、隣接するセルを全て集電体により直列接続し、図6に示した図中の番号で言うところの、「5」に位置する燃料電池セルからマイナスの端子、「12」に位置する燃料電池セルからプラスの端子を取り出した。
(実験結果)
実施例1および比較例1について、10vol%メタノール水溶液500mlを10ml/minの流側で循環供給し、25℃、50%の大気環境にて、50mA/cm及び100mA/cmの2条件の電流密度に相当する電流値で30分間発電試験を行った。図7、8は、四つの燃料戻り流路からサンプリングした戻り燃料の単位時間の流量である。図7が実施例1、図8が比較例1の結果を示している。図9及び図10は、100mA/cmにおける測定結果であり、図5、6中で示した番号の燃料電池セルの番号に対応させてV及びTに番号を付して測定結果を示している。更に、各燃料戻り流路22(L1、L2、R1、R2)後との電圧VおよびTの標準偏差、燃料電池セル「1」〜「12」全体の電圧V及びTの標準偏差、についての結果も示している。図9が実施例1についての測定結果であり、図10が比較例1についての測定結果である。
図8より、比較例1では、低負荷時(50mA/cm)であっても、高負荷(100mA/cm)であっても、各列の燃料戻り流量、即ちL1とL2間、R1とR2間、にはばらつきが見られ、特に一のフレーム10内での流量差がみられる。これに対し、図7に示されるように、実施例1では、低負荷時においてはそれほどの効果は見られないが、高負荷時においては、各列の燃料戻り流量がほぼ均一となっている。
また、図9及び10より、各燃料電池セル11の電圧及びカソード31表面温度の標準偏差を比較すると、実施例1の方が電圧の標準偏差σv(total)が5.8であり、σ(total)が2.6と、実施例1の方が小さい値となっている。即ち、一のフレーム10内における流量の分配の違いのみならず、各燃料電池セル11単位でも、流量バランスが改善されていることが確認された。
このように、実施例1の燃料電池システムは、燃料戻り方向への燃料及びCO排出が促進される。よって、並列燃料供給構造で問題となっていた燃料供給流路21、燃料戻り流路22及び燃料タンク部12それぞれにおける圧力バランスが崩れることによる燃料循環の不均等、が改善される。その結果、各燃料電池セル11の発電状況が均等になり、長時間安定な高負荷発電が可能となる。
第1の実施形態に係る燃料電池システムの平面図である。 図1のBB’断面による燃料電池セル構造の断面図である。 第1の実施形態におけるウィッキング材の配置例を示す図である。 第2の実施形態に係る燃料電池システムの平面図である。 実施例1の燃料電池システムの構成を示す図である。 比較例1の燃料電池システムの構成を示す図である。 実施例1の燃料戻り流路から戻る燃料の流量の測定結果である。 比較例1の燃料戻り流路から戻る燃料の流量の測定結果である。 実施例1における、各燃料電池セルの電圧、カソードの表面温度、更にはそれらの値の標準偏差の結果である。 比較例1における、各燃料電池セルの電圧、カソードの表面温度、更にはそれらの値の標準偏差の結果である。
符号の説明
1 燃料電池システム
10 フレーム
11 燃料電池セル
12 燃料タンク部
121 開口
13 MEA
21 燃料供給流路
210 燃料供給中央流路
211 燃料供給分岐流路
22 燃料戻り流路
22A 燃料戻り流路
22B 燃料戻り流路
221 燃料戻り中央流路
222 燃料戻り分岐流路
23 燃料インレット部
24 燃料アウトレット部
31 カソード
32 アノード
33 電解質膜
41 カソード集電体
42 アノード集電体
43 シール部材
50 合流部
60 ウィッキング材
611 CO排出空間

Claims (6)

  1. 上部に開口を有し、燃料を蓄える燃料タンク部と、
    前記開口の上に設けられたアノードと、
    前記アノードの上に設けられた電解質膜と、
    前記電解質膜の上に設けられたカソードと、
    前記燃料タンク部に設けられ、前記燃料タンク部に燃料を供給するための燃料インレット部と、
    前記燃料タンク部に設けられ、消費されなかった燃料を排出するための燃料アウトレット部と、
    前記燃料タンク部に挿入され、燃料を保持するウィッキング材と、
    を具備し、
    前記ウィッキング材前記燃料インレット部の間には空間が形成されず、
    前記ウィッキング材と前記燃料アウトレット部の間に空間が形成されている、
    燃料電池セル。
  2. 請求項1に記載された燃料電池セルを複数個有する燃料電池システムであって、
    前記複数の燃料電池セルの各々に接続し、消費されなかった燃料を排出するための燃料戻り流路
    を具備し、
    前記燃料戻り流路は、前記各燃料電池セルに直接に接続された各流路が合流するように形成され、
    前記燃料戻り流路は、下流側の断面積が、上流側の夫々よりも大きくなるような合流部分を少なくとも一つ有している
    燃料電池システム。
  3. 請求項に記載された燃料電池システムであって、
    前記複数の燃料電池セルは、他の燃料電池セルとは重ならないように、板状のフレームの上に配置されている
    燃料電池システム。
  4. 請求項2又は3に記載された燃料電池システムであって、
    更に、
    前記複数の燃料電池セルの各々に燃料を供給するための燃料供給流路
    を具備し、
    前記燃料供給流路は、分岐しながら前記各燃料電池セルに燃料を供給する
    燃料電池システム。
  5. フレームと、
    前記フレーム上に、互いに重ならないように配置された、複数の燃料電池セルと、
    を具備し、
    前記複数の燃料電池セルの各々は、
    前記フレームに設けられた凹部であり、燃料を蓄える燃料タンク部と、
    前記燃料タンク部上に配置された、アノードと、
    前記アノード上に配置された電解質膜と、
    前記電解質膜上に配置されたカソードとを備え、
    前記フレームには、前記燃料タンク部に燃料を供給するための燃料供給流路と、消費されなかった燃料を前記燃料タンク部から排出するための燃料戻り流路とが設けられており、
    前記燃料タンク部は、
    前記燃料供給流路と前記燃料タンク部とを接続する開口である、燃料インレット部と、
    前記燃料戻り流路と前記燃料タンク部とを接続する開口である、燃料アウトレット部とを有しており、
    前記燃料タンク部内には、ウィッキング材が配置されており、
    前記ウィッキング材は、前記ウィッキング材と前記燃料インレット部との間に空間が形成されず、前記ウィッキング材と前記燃料アウトレット部との間に空間が形成されるように、配置されている
    燃料電池システム。
  6. 請求項5に記載された燃料電池システムであって、
    前記フレームは板状であり、
    前記燃料供給流路は、分岐しながら前記各燃料電池セルの前記燃料タンク部に燃料を供給し、
    前記燃料戻り流路は、前記各燃料電池セルの前記燃料タンク部に直接に接続された各流路が合流するように形成され、
    前記燃料戻り流路は、下流側の断面積が上流側の夫々よりも大きくなるような合流部分を少なくとも一つ有している
    燃料電池システム。
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