JP2008192506A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】携帯機器を動作させるために十分に高い出力特性を得ることができる燃料電池を提供する。
【解決手段】カソード導電層は、カソードガス拡散層に接触して電気的に導通し、膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のカソード電極部と、複数のカソード電極部を位置決め保持するカソード絶縁シール枠と、を有する。アノード導電層は、アノードガス拡散層に接触して電気的に導通し、膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のアノード電極部と、複数のアノード電極部を位置決め保持するアノード絶縁シール枠と、を有する。さらに、カソード電極部とアノード電極部とを直列に接続する電極部間導電部材を有する。
【選択図】 図6
【解決手段】カソード導電層は、カソードガス拡散層に接触して電気的に導通し、膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のカソード電極部と、複数のカソード電極部を位置決め保持するカソード絶縁シール枠と、を有する。アノード導電層は、アノードガス拡散層に接触して電気的に導通し、膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のアノード電極部と、複数のアノード電極部を位置決め保持するアノード絶縁シール枠と、を有する。さらに、カソード電極部とアノード電極部とを直列に接続する電極部間導電部材を有する。
【選択図】 図6
Description
本発明は、携帯機器の動作に有効な平面配置の燃料電池に関する。
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の各種電子機器は、半導体技術の発達と共に小型化され、燃料電池をこれらの小型機器用の電源に用いることが試みられている。燃料電池は、燃料と酸化剤を供給するだけで発電することができ、燃料のみを補充・交換すれば連続して発電できるという利点を有している。このため、小型化ができれば携帯電子機器の作動に極めて有利なシステムといえる。特に直接メタノール燃料電池(DMFC;Direct Methanol Fuel Cell)は、エネルギー密度の高いメタノールを燃料に用い、メタノールから電極触媒上で直接電流を取り出せるため、小型化が可能であり、また燃料の取り扱いも水素ガス燃料に比べて容易なことから小型機器用電源として有望であることから、ノートパソコン、携帯電話、携帯オーディオ、携帯ゲーム機などのコードレス携帯機器に最適な電源としてその実用化が期待されている。
DMFCの燃料の供給方法としては、液体燃料を気化してからブロア等で燃料電池内に送り込む気体供給型DMFCと、液体燃料をそのままポンプ等で燃料電池内に送り込む液体供給型DMFC、液体燃料をセル内で気化させる内部気化型DMFC等が知られている。このうち内部気化型DMFCは、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されている。内部気化型DMFCでは、燃料浸透層中に保持された液体燃料のうち気化成分を燃料気化層(アノードガス拡散層)において拡散させ、拡散された気化燃料がアノード触媒層に供給され、カソード触媒層側からの酸化剤と電解質膜において発電反応する。
特許第3413111号公報
国際公開番号WO2006/057283号公報
しかし、特許文献1及び2の内部気化型DMFCにおいては、携帯機器を動作させるために十分に高い出力特性を得ることが難しい。特許文献1及び2の燃料電池では、液体燃料としてメタノールと水が1:1のモル比で混合されたメタノール水溶液が使用され、メタノールと水の双方を気化ガスの形で燃料極に供給しているが、水はメタノールに比べて蒸気圧が低く、水の気化速度はメタノールの気化速度に比べて遅いため、メタノールも水も気化によって燃料極に供給しようとすると、メタノール供給量に対する水の相対的な供給量が不足し、その結果、メタノールを内部改質する反応の反応抵抗が高くなるからである。
また、DMFCは、単位セル当たりの動作電圧が0.3〜0.5V程度と低いため、複数の単位セルを直列に接続して機器に組み込む必要があり、特にノートパソコン、携帯電話、携帯オーディオ、携帯ゲーム機などの小型携帯機器に組み込む際には、複数の単位セルを同一平面に配置する必要がある。
また、DMFCでは、内部のシールが不完全であると、反応に寄与する燃料の割合が減少して、燃料利用効率が低下するため、燃料電池性能を低下させる。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、携帯機器を動作させるために十分に高い出力特性を得ることができる燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池は、カソード触媒層とアノード触媒層との間に電解質膜を配置した膜電極接合体と、前記膜電極接合体のカソード触媒層側に配置されたカソード導電層と、前記カソード触媒層と前記カソード導電層との間に設けられたカソードガス拡散層と、前記膜電極接合体のアノード触媒層側に配置されたアノード導電層と、前記アノード触媒層と前記アノード導電層との間に設けられたアノードガス拡散層と、を具備する燃料電池であって、
前記カソード導電層は、前記カソードガス拡散層に接触して電気的に導通し、前記膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のカソード電極部を有し、
前記アノード導電層は、前記アノードガス拡散層に接触して電気的に導通し、かつ、前記カソード電極部と電気的に接続されて直列の回路を形成し、前記膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のアノード電極部を有し、
前記複数のカソード電極部および前記複数のアノード電極部の少なくともいずれか一方は、前記複数のカソード電極部を位置決めするカソード絶縁シール枠あるいは前記複数のアノード電極部を位置決めするアノード絶縁シール枠を有し、
前記カソード電極部と前記アノード電極部とを直列に接続する電極部間導電部材をさらに有することを特徴とする。
前記カソード導電層は、前記カソードガス拡散層に接触して電気的に導通し、前記膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のカソード電極部を有し、
前記アノード導電層は、前記アノードガス拡散層に接触して電気的に導通し、かつ、前記カソード電極部と電気的に接続されて直列の回路を形成し、前記膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のアノード電極部を有し、
前記複数のカソード電極部および前記複数のアノード電極部の少なくともいずれか一方は、前記複数のカソード電極部を位置決めするカソード絶縁シール枠あるいは前記複数のアノード電極部を位置決めするアノード絶縁シール枠を有し、
前記カソード電極部と前記アノード電極部とを直列に接続する電極部間導電部材をさらに有することを特徴とする。
本発明によれば、複数の単位セルを平面配置させる燃料電池における配線の取り回しを簡素化できることにより、燃料電池の小型化に寄与し、燃料電池セルの体積エネルギー密度を向上させることが可能になり、ノートパソコン、携帯電話、携帯オーディオ、携帯ゲーム機などのコードレス携帯機器を動作させるために十分に高い出力特性を得ることができる。
本発明の燃料電池において、カソード導電層は、カソードガス拡散層に接触して電気的に導通し、前記膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のカソード電極部を有し、アノード導電層は、アノードガス拡散層に接触して電気的に導通し、前記膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のアノード電極部を有し、前記複数のカソード電極部および前記複数のアノード電極部の少なくともいずれか一方は、前記複数のカソード電極部を位置決めするカソード絶縁シール枠あるいは前記複数のアノード電極部を位置決めするアノード絶縁シール枠を有し、前記カソード電極部と前記アノード電極部とを直列に接続する電極部間導電部材をさらに有する。
この場合に、カソード電極部の相互間隔W2およびアノード電極部の相互間隔W4を、それぞれ0.3mm以上1.5mm以下とすることが望ましい。電極部の相互間隔W2,W4が0.3mm未満であると、電極部間絶縁シール部の絶縁性能にもよるが、短絡を生じるおそれがあるからである。一方、電極部の相互間隔W2,W4が1.5mmを超えると、燃料電池が大型化し、携帯機器用の電源として不適合なものになるからである。
前記カソード導電層およびアノード導電層は電極部間導電部材により接続された状態で二つ折りにされ、その二つ折りにされた内側に前記膜電極接合体が挟み込まれる構造とすることができる。この場合に、前記電極部間導電部材が二つ折りにされる前の面内における前記カソード導電層から前記アノード導電層までの離間距離W5が、前記膜電極接合体を含む前記カソードガス拡散層から前記アノードガス拡散層までの厚さtに対して1.5t≦W5≦4tの関係を満たすことが望ましい。
前記カソード導電層および前記アノード導電層には、ステンレス鋼(SUS304,SUS316等)、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金などの金属を使用し、耐食性など得られない場合には、Auなどの導電性の高い耐食メッキを施す必要がある。
前記カソード導電層から前記アノード導電層に金属板を用いる場合には、離間距離W5が厚さtの1.5倍未満であると、十分な曲率半径をもって180°曲げることが困難になるからであり、たとえ曲げることができたとしても曲げ部が鋭角的に変形して塑性硬化し、曲げ部が脆くなって破損しやすくなるからである。一方、離間距離W5が厚さtの4倍を超えると、対向するアノード導電層からカソード導電層までの相互間隔が大きくなりすぎ、燃料電池が大型化するからである。この場合に、前記膜電極接合体を含むカソードガス拡散層からアノードガス拡散層までの厚さtを500μm以上900μm以下とし、離間距離W5を0.75mm以上3.6mm以下とすることが望ましい。前記カソード導電層から前記アノード導電層を金属板で構成する場合、導電層の厚さt1は50μm〜200μmが好ましい。導電層の厚さが50μm以下であると所望の強度が不足して破損しやすくなるからである。一方、厚さt1が200μmを超えると、剛性が増大して曲げに要する力が過大になり、曲げ難くなる。また、離間距離W5が0.75mm未満になると、曲げに要する力が過大になり、曲げ難くなるとともに、曲げ部が鋭角的になり破損しやすくなる。一方、離間距離W5が3.6mmを超えると、対向するアノード導電層からカソード導電層までの相互間隔が大きくなりすぎ、燃料電池が大型化するからである。
本発明では、カソード絶縁シール枠およびアノード絶縁シール枠を各電極部にそれぞれ取り付けることが望ましいが、これらのうちいずれか一方のみを電極部に取り付けるようにすることも可能である。カソード電極部またはアノード電極部のいずれか一方が位置決めされていれば、他方の電極部を汎用のオーリング等で押え付けて位置決めするのは比較的容易だからである。
カソード絶縁シール枠またはアノード絶縁シール枠は、燃料に対する透過量が9×107g/m3・24hr・atm以下で、体積固有抵抗が1011〜1015Ω・cmのゴム系材料からなることが望ましい。透過量が多いと発電に寄与する燃料の量が少なくなり燃料電池性能を低下させ、シート抵抗が低いと絶縁破壊して短絡を生じやすくなるからである。ゴム系材料には、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、フッ素系ゴム、シリコン系ゴムなどを用いることができる。
端子間接続部は、各電極で生成された電子を外部回路へ取り出すための導電部であり、断面積が大きくなるほど抵抗は低減されるが、導電部の厚さを厚くし断面積が大きくすると曲げるのが困難になり、導電部の幅を広くすると、他の端子に接触する可能性が大きくなるため、導電部の厚さは50μm〜200μmが好ましく、端子間導電部の幅W6は、他の端子との距離を0.4mm以上であり、曲げ可能な幅であればよい。
また、カソード電極部の幅W1および前記アノード電極部の幅W3は、それぞれ1mm以上であることが好ましい。なお、それぞれの電極部の幅とは、各電極が平面に配置された場合の配列方向の幅であり、電極が略長方形である場合には短手方向の長さとなる。電極が略長方形の場合には、長手方向と短手方向の比(アスペクト比)は、10対1以下が好ましい。
以下、添付の図面を参照して本発明を実施するための種々の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
先ず、図1を参照して燃料電池の全体の概要について説明する。燃料電池1は、全体が外装ケース(カバープレート)21および燃料分配機構11等で覆われ、内部に複数の単位セルを備えている。これら複数の単位セルは、実質的に同一平面上に横並びに配置され、かつ、両極の導電層(集電体)7a,7b及び図示しないリード配線により直列に接続されている。
先ず、図1を参照して燃料電池の全体の概要について説明する。燃料電池1は、全体が外装ケース(カバープレート)21および燃料分配機構11等で覆われ、内部に複数の単位セルを備えている。これら複数の単位セルは、実質的に同一平面上に横並びに配置され、かつ、両極の導電層(集電体)7a,7b及び図示しないリード配線により直列に接続されている。
燃料電池1は、例えばカバープレート21の端部21aを燃料分配機構11の外面にかしめ加工することにより、複数の単位セルを一体化した1つのユニットとして構成されている。なお、カバープレート21と燃料分配機構11とをボルトとナット(図示せず)で締め付けることにより、これらを一体化形成するようにしてもよい。
燃料電池1内の単位セルは、絶縁性のシール枠76a,76bによって液密にシールされている。これらの絶縁シール枠76a,76bによって燃料電池1の内部に種々のスペースや間隙が形成されている。それらのスペースや間隙のうち、例えばアノード側のスペースは空隙部(液溜め)40として用いられ、カソード側のスペースは保湿板19が収納された空気供給部として用いられる。
アノード導電層7bには複数の燃料供給孔18が開口し、燃料分配機構11から燃料の気化成分が孔18を通ってガス拡散層5及びアノード触媒層3に供給されるようになっている。
アノード導電層7bと燃料分配機構11との間には気化膜としての気液分離膜9が設けられている。気液分離膜9の周縁部は燃料分配機構11のフランジとアノード導電層7bとの間に挟まれている。気液分離膜9は、多数の細孔を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートからなり、液体燃料(メタノール液又はその水溶液)を遮断し、燃料ガス(メタノールガス)を透過させる性質を有するものである。
空隙部(液溜め)40は、燃料分配機構11によって周囲を規定される所定容量のスペースからなり、このスペースの適所(例えば燃料分配機構11の側面)において燃料注入口12が開口している(図9参照)。
空隙部(液溜め)40の内部には図示しない液体燃料含浸層が設けられている。液体燃料含浸層は、空隙部(液溜め)40内の液体燃料が減少した場合や燃料電池本体が傾斜して載置され燃料供給が偏った場合においても、気液分離膜9に均質に燃料供給され、その結果、アノード触媒層3に対して均質に気化された液体燃料を供給することが可能となる。液体燃料含浸層として、例えば多孔質ポリエステル繊維、多孔質オレフィン系樹脂等多硬質繊維や、連続気泡多孔質体樹脂が好ましい。ポリエステル繊維以外にも、アクリル酸系の樹脂などの各種吸水性ポリマーにより構成してもよく、スポンジまたは繊維の集合体など液体の浸透性を利用して液体を保持することができる材料により構成する。このような液体燃料含浸部は本体の姿勢に関わらず適量の燃料を供給するのに有効である。
カソード導電層7aには複数のガス通流孔18が開口し、外装ケース21の通気孔22から導入された空気が保湿板19を経由した後に孔18を通ってガス拡散層4及びカソード触媒層2に供給されるようになっている。なお、ガス通流孔18の中心軸は、外装ケース21に形成された通気孔22の中心軸と略一致するように配置されている。
外装ケース21は、セル構造体20を含むスタックを加圧してその密着性を高める役割も果たしているため、例えば、SUS304のような金属板により形成される。保湿板19は、外装ケース21の通気孔22を通って導入される空気の通過を阻害せず、かつ、外部からの埃や異物の混入、さらには接触などを防止するものである。保湿板19は、カソード触媒層2において生成した水の蒸散を防止する役割を果たすと共に、カソードガス拡散層4に酸化剤を均一に導入することによりカソード触媒層2への酸化剤の均一拡散を促す補助拡散層としての役割も果たしている。この保湿板19には好ましくは気孔率が例えば20〜60%の多孔性フィルムなどが用いられる。
燃料電池の単位セルは、プロトン伝導性を有する固体電解質膜6、アノード触媒層3およびカソード触媒層2を備えている。アノード触媒層3およびカソード触媒層2は電解質膜6を間に挟んで一体化された膜電極接合体を構成している。アノード触媒層3にはアノードガス拡散層5が貼り付けられている。アノード触媒層3は、ガス拡散層5を介して供給される燃料を酸化して燃料から電子とプロトンとを取り出すものである。アノード触媒層3は、例えば、触媒を含む炭素粉末により構成されている。触媒には、例えば、白金(Pt)の微粒子、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)あるいはモリブデン(Mo)などの遷移金属あるいはその酸化物あるいはそれらの合金などの微粒子が用いられる。一酸化炭素(CO)の吸着による触媒の不活性化を防止することができることから、アノード触媒には、メタノールや一酸化炭素に対する耐性の強いPt−Ru、カソード触媒には、白金を用いることが望ましい。しかし、これのみに触媒は限定されるものではない。また、炭素材料のような導電性担持体を使用する担持触媒を使用しても、あるいは無担持触媒を使用しても良い。
また、アノード触媒層3は、固体電解質膜6に用いられる樹脂の微粒子を含むほうがさらに望ましい。発生させたプロトンの移動を容易とするためである。アノードガス拡散層5は、例えば多孔質の炭素材料よりなる薄膜で構成され、具体的にはカーボンペーパーまたは炭素繊維などで構成されている。
カソードはカソード触媒層2とカソードガス拡散層4を有する。カソード触媒層2は、酸素を還元して、電子とアノード触媒層3において発生したプロトンとを反応させて水を生成するものであり、例えば上述のアノード触媒層3及びガス拡散層4と同様に構成されている。すなわち、カソードは、電解質膜6の側から順に触媒を含む炭素粉末よりなるカソード触媒層2と多孔質の炭素材料よりなるカソードガス拡散層4(ガス透過層)とが積み重ねられた積層構造をなしている。カソード触媒層2に用いられる触媒はアノード触媒層3のそれと同様であり、アノード触媒層2が固体電解質膜6に用いられる樹脂の微粒子を含む場合があることもアノード触媒層2と同様である。
電解質膜6は、アノード触媒層3において発生したプロトンをカソード触媒層2に輸送するためのものであり、電子伝導性を持たず、プロトンを輸送することが可能な材料により構成されている。例えば、ポリパーフルオロスルホン酸系の樹脂膜、具体的には、デュポン社製のナフィオン膜、旭硝子社製のフレミオン膜、あるいは旭化成工業社製のアシプレックス膜などにより構成されている。なお、ポリパーフルオロスルホン酸系の樹脂膜以外にも、トリフルオロスチレン誘導体の共重合膜、リン酸を含浸させたポリベンズイミダゾール膜、芳香族ポリエーテルケトンスルホン酸膜、あるいは脂肪族炭化水素系樹脂獏などプロトンを輸送可能な電解質膜6を構成するようにしてもよい。
カソードガス拡散層4はカソード触媒層2の上面側に積層され、かつアノードガス拡散層5はアノード触媒層3の下面側に積層されている。カソードガス拡散層4はカソード触媒層2に酸化剤を均一に供給する役割を担うものであるが、カソード触媒層2の集電体も兼ねている。一方、アノードガス拡散層5はアノード触媒層3に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層3の集電体も兼ねている。カソード導電層7a及びアノード導電層7bは、それぞれ、カソードガス拡散層4及びアノードガス拡散層5と接している。カソード導電層7a及びアノード導電層7bを構成する材料としては、例えば、金などの金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)または箔体をそれぞれ使用することができる。
セル構造体20の下方に燃料分配機構11が設けられている。燃料分配機構11の本体は、一面が複数の燃料供給口14を有する箱状である。空隙部(液溜め)40内には、液体のメタノール等の液体燃料あるいはメタノール水溶液が収容されている。ここで、液体燃料の気化成分とは、液体燃料として液体のメタノールを使用した場合、気化したメタノールを意味し、液体燃料としてメタノール水溶液を使用した場合にはメタノールの気化成分と水の気化成分からなる混合ガスを意味する。
次に、図2〜図5を参照して上記燃料電池のセル構造体について説明する。
本実施形態ではセル構造体20を二つ折り構造としている。セル構造体20において、集電体アッセンブリ7Aを構成するカソード導電層7aおよびアノード導電層7b(導電層70)は金属板で形成されており、二つ折りにされた内側空間に膜電極接合体10が収容されている。すなわち、カソード触媒層2にカソードガス拡散層4が当接し、アノード触媒層3にアノードガス拡散層5が当接するように、二つ折りされた導電層70により膜電極接合体10は両面を挟み込まれている。カソード導電層7aおよびアノード導電層7bには、カソード触媒層2に空気を供給するための複数の空気流通孔18およびアノード触媒層3に燃料を供給するための複数の燃料供給孔18がそれぞれ穿設されている。
このようなセル構造体20は次のようにして形成される。
短冊状の両電極部71,73を同一平面上に並べ、両極端子77,78に金属板を用いた場合について説明する。図4(シール枠の図示を省略)に示すように、各端子77,78を有する電極部71,73を互いに最も離れた位置(多極配列の一方側の端部と他方側の端部と)に配置する。端子を有していないカソード電極部71とアノード電極部73とは電極部間導電部材75により接続されている。すなわち、無端子のカソード電極部71とアノード電極部73とは、1列ずれたところに配置された電極部同士が電極部間導電部材75によって1対1に接続されている。短絡を防ぐために、電極部間導電部材75と電極部71,73との最短距離L1(図4)は0.4mm以上とする必要がある。但し、最短距離L1を過大にした配列では燃料電池が大型化するため、最短距離L1を3.0mm以下に設定することが望ましい。なお、図4には示していないが、各電極部71,73は図示しないシール枠によってそれぞれ位置決めされた状態で支持されている。
発電部23の電解質膜部にカソード絶縁シール枠76a及びアノード絶縁シール枠76bを設置し、4直列の場合、5枚の導電層を複数の電極に対して図5(シール枠の図示を省略)のように折り返し、図1のように所定の位置に設置する。
なお、図2に示すように、導電層70において、一方のシール枠76aをカソード導電層7a(カソード電極部71の両端)に、他方のシール枠76bをアノード導電層7b(アノード電極部73の両端)にそれぞれ予め接着あるいは形成している。シール枠76a,76bにより膜電極接合体10の周囲が規定されるため、導電層70に対する膜電極接合体10の位置決めが容易になるからである。
実施形態における集電体アッセンブリ7Aの各部サイズを次に示す。
1)カソード電極部の幅W1; 6mm
2)カソード電極部間絶縁シール部の幅W2; 1.2mm
3)アノード電極部の幅W3; 6mm
4)アノード電極部間絶縁シール部の幅W4; 1.2mm
5)平面展開したときの両電極部間の離間距離W5; 2.8mm
6)電極部間導電部材の幅W6; 1.2mm
7)電極部間導電部材から電極部までの最短距離L1; 0.4mm
8)孔d1,d2の径; φ4mm
本実施形態では、多直列接続のカソード導電層7aおよびアノード導電層7bをコンパクトに作製できるので、携帯機器を動作させるために十分に高い出力特性を得ることができる。
2)カソード電極部間絶縁シール部の幅W2; 1.2mm
3)アノード電極部の幅W3; 6mm
4)アノード電極部間絶縁シール部の幅W4; 1.2mm
5)平面展開したときの両電極部間の離間距離W5; 2.8mm
6)電極部間導電部材の幅W6; 1.2mm
7)電極部間導電部材から電極部までの最短距離L1; 0.4mm
8)孔d1,d2の径; φ4mm
本実施形態では、多直列接続のカソード導電層7aおよびアノード導電層7bをコンパクトに作製できるので、携帯機器を動作させるために十分に高い出力特性を得ることができる。
(第2の実施の形態)
図6を用いて第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態が上記第1及び第2の実施の形態と重複する部分の説明は省略する。
図6を用いて第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態が上記第1及び第2の実施の形態と重複する部分の説明は省略する。
本実施形態の集電体アッセンブリ7Cは、図6に示すように、カソード電極部71およびアノード電極部73をそれぞれ高シール性のシール枠76により周囲を取り囲んでいる。シール枠76にはEPDM(エチレンプロピレンゴム)を用いることができる。
本実施形態における集電体アッセンブリ7Cの各部サイズを次に示す。
1)カソード電極部の幅W1; 6.9mm
2)カソード電極部間絶縁シール部の幅W2; 1.2mm
3)アノード電極部の幅W3; 6.9mm
4)アノード電極部間絶縁シール部の幅W4; 1.2mm
5)平面展開したときの両電極部間の離間距離W5; 2.4mm
6)電極部間導電部材の幅W6; 1.2mm
7)電極部間導電部材から電極部までの最短距離L1; 0.4mm
8)孔d1,d2の径; φ4mm
本実施形態によれば、外周シール部の位置決めが容易になり組み立て性能を大幅に向上することができる。
2)カソード電極部間絶縁シール部の幅W2; 1.2mm
3)アノード電極部の幅W3; 6.9mm
4)アノード電極部間絶縁シール部の幅W4; 1.2mm
5)平面展開したときの両電極部間の離間距離W5; 2.4mm
6)電極部間導電部材の幅W6; 1.2mm
7)電極部間導電部材から電極部までの最短距離L1; 0.4mm
8)孔d1,d2の径; φ4mm
本実施形態によれば、外周シール部の位置決めが容易になり組み立て性能を大幅に向上することができる。
(第3の実施の形態)
図7を用いて第3の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態が上記第1及び第2の実施の形態と重複する部分の説明は省略する。
図7を用いて第3の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態が上記第1及び第2の実施の形態と重複する部分の説明は省略する。
本実施形態の集電体アッセンブリ7Dは、図7に示すように、カソード絶縁シール部72Bおよびアノード絶縁シール部74Bにそれぞれ高抵抗のゴム系材料を設けている。本実施形態ではゴム系材料としてEPDM(エチレンプロピレンゴム)を用いた。
本実施形態における集電体アッセンブリ7Bの各部サイズを次に示す。
1)カソード導電部71の幅W1; 6.0mm
2)絶縁シール部72Bの幅W2; 1.0mm
3)アノード導電部73の幅W3; 6.0mm
4)絶縁シール部74Bの幅W4; 1.0mm
5)平面展開したときの両電極部間の離間距離W5; 2.4mm
6)電極部間導電部材の幅W6; 1.2mm
7)電極部間導電部材から電極部までの最短距離L1; 0.4mm
8)孔d1,d2の径; φ4.0mm
本実施形態によれば、さらに絶縁性能が向上し、短絡を確実に防止できる。
2)絶縁シール部72Bの幅W2; 1.0mm
3)アノード導電部73の幅W3; 6.0mm
4)絶縁シール部74Bの幅W4; 1.0mm
5)平面展開したときの両電極部間の離間距離W5; 2.4mm
6)電極部間導電部材の幅W6; 1.2mm
7)電極部間導電部材から電極部までの最短距離L1; 0.4mm
8)孔d1,d2の径; φ4.0mm
本実施形態によれば、さらに絶縁性能が向上し、短絡を確実に防止できる。
(第4の実施の形態)
図8を用いて第4の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態が上記第1及び第2の実施の形態と重複する部分の説明は省略する。
図8を用いて第4の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態が上記第1及び第2の実施の形態と重複する部分の説明は省略する。
本実施形態の集電体アッセンブリ7Eは、第2の実施形態(図6)と電極部間導電部材の幅W6が異なり、電極部間導電部材の幅W6が2.7mmとなっている。(図8)なお、本実施形態において他のサイズは第2の実施形態と同じである。
本実施形態によれば、接続部の幅が広くなることにより抵抗を低減することができる。
次に、本発明を適用可能な種々の燃料供給方式の燃料電池について図9〜図20を参照してそれぞれ説明する。
先ず図9に示す方式の燃料電池1Aは、セル構造体20と、セル構造体20に燃料を供給する燃料分配機構11と、液体燃料を収容する空隙部(液溜め)40と、これら燃料分配機構11と燃料供給源50とを接続する流路51とを備えている。
セル構造体20は、アノード触媒層3およびアノードガス拡散層5を含むアノード(燃料極)と、カソード触媒層2およびカソードガス拡散層4を含むカソード(空気極/酸化剤極)と、アノード触媒層3とカソード触媒層2との間に挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の固体電解質膜6とを備えている。通常、固体電解質膜6とアノード触媒層3とカソード触媒層2とは熱プレス法により一体に接合され、いわゆる膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)10を形成している。
アノード触媒層3およびカソード触媒層2に含ませる触媒として、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層3にはメタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層2にはPtやPt−Ni等を用いることが好ましい。ただし、触媒はこれらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。触媒は炭素材料のような導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
電解質膜6を構成するプロトン伝導性材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし、プロトン伝導性の電解質膜6はこれらに限られるものではない。
アノードガス拡散層5は、ほぼ全面がアノード触媒層3に密着し、アノード触媒層3に燃料を均一に供給する機能を有するとともに、アノード触媒層3の集電体の機能も兼ね備えている。カソードガス拡散層4は、ほぼ全面がカソード触媒層3に密着し、カソード触媒層3に酸化剤を均一に供給する機能を有するとともに、カソード触媒層3の集電体の機能も兼ね備えている。これらのアノードガス拡散層5およびカソードガス拡散層4は、カーボンペーパーのような多孔質シートからなる。
アノードガス拡散層5やカソードガス拡散層4には、必要に応じて導電層が積層される。これら導電層としては、例えばAuのような導電性金属材料からなるメッシュ、多孔質膜、薄膜等が用いられる。外装ケース21と電解質膜6との間にはカソード絶縁シール枠(シール枠)76aが設けられている。同様に、燃料分配機構11と電解質膜6との間にはアノード絶縁シール枠(シール枠)76bが設けられている。これらのシール枠76a,76bは、体積固有抵抗が1011〜1015Ω・cmのゴム材料からなり、これらのシール部材によって発電部23からの燃料漏れや酸化剤漏れが防止されている。
外装ケース21は酸化剤としての空気を取入れるための複数の通気孔22を有している。外装ケース21とカソードとの間には保湿板19や表面層(図示せず)が設けられる。保湿板19は、カソード触媒層2で生成された水の一部を吸収して水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層2への空気の均一拡散を促進するものである。表面層は空気の取入れ量を調整するものであり、空気の取入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口(図示せず)を有している。
燃料供給源50には、セル構造体20に対応した液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料は、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。
セル構造体20のアノード(燃料極)側には、燃料分配機構11が配置されている。燃料分配機構11はチューブ状の流路51により燃料供給源50に接続されている。燃料分配機構11には燃料供給源50から流路51を介して液体燃料が導入される。流路51は燃料分配機構11や燃料供給源50と独立した配管に限られるものではない。例えば、燃料分配機構11と燃料供給源50とを積層して一体化する場合、これらを繋ぐ液体燃料の流路であってもよい。燃料分配機構11は流路51を介して燃料供給源50と接続されていればよい。
燃料分配機構11は、図10に示すように、液体燃料が流路51を介して流入する少なくとも1個の燃料注入口12と、液体燃料やその気化成分を排出する複数個の燃料供給口14とを有する燃料分配板13を備えている。燃料分配板13の内部には図1に示すように、燃料注入口12から導かれた液体燃料の通路となる空隙部40が設けられている。複数の燃料供給口14は燃料通路として機能する空隙部40にそれぞれ直接接続されている。
燃料注入口12から燃料分配機構11に導入された液体燃料は空隙部40に入り、この燃料通路として機能する空隙部40を介して複数の燃料供給口14にそれぞれ導かれる。複数の燃料供給口14には、例えば液体燃料の気化成分のみを透過し、液体成分は透過させない気液分離膜(図示せず)が配置されており、これによりセル構造体20のアノード(燃料極)には液体燃料の気化成分が供給される。従って、液体燃料の気化成分は複数の燃料供給口14からアノードの複数個所に向けて排出される。
燃料供給口14はセル構造体20の全体に燃料を供給することが可能なように、燃料分配板13のアノードと接する面に複数設けられている。燃料供給口14の個数は2個以上であればよいが、セル構造体20の面内における燃料供給量を均一化する上で、0.1〜10個/cm2の燃料供給口14が存在するように形成することが好ましい。燃料供給口14の個数が0.1個/cm2未満であると、セル構造体20に対する燃料供給量を十分に均一化することができない。燃料供給口14の個数を10個/cm2を超えて形成しても、それ以上の効果が得られない。
燃料分配機構11から放出された燃料は、上述したようにセル構造体20のアノード(燃料極)に供給される。セル構造体20内において、燃料はアノードガス拡散層5にて拡散してアノード触媒層3に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層3で下式(1)に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層2で生成した水や電解質膜6中の水をメタノールと反応させて下式(1)の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
この反応で生成した電子(e-)は集電体を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、カソード(空気極)に導かれる。また、式(1)の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は電解質膜6を経てカソードに導かれる。カソードには酸化剤として空気が供給される。カソードに到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層2で空気中の酸素と下式(2)にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
この反応で生成した電子(e-)は集電体を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、カソード(空気極)に導かれる。また、式(1)の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は電解質膜6を経てカソードに導かれる。カソードには酸化剤として空気が供給される。カソードに到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層2で空気中の酸素と下式(2)にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e-+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
上述した燃料電池の発電反応において、発電する電力を増大させるためには触媒反応を円滑に行わせると共に、セル構造体20の電極全体をより有効に発電に寄与させることが重要となる。このような点に対して、セル構造体20に対して燃料を供給する燃料供給口14が1箇所の場合には、燃料排出口近傍の燃料濃度は発電に十分な濃度となるものの、燃料供給口14から離れるにつれて燃料濃度が急速に低下する。このため、燃料電池全体で見た場合の平均出力は、燃料の供給が少ない部分の影響を受けて低い値に留まってしまう。
上述した燃料電池の発電反応において、発電する電力を増大させるためには触媒反応を円滑に行わせると共に、セル構造体20の電極全体をより有効に発電に寄与させることが重要となる。このような点に対して、セル構造体20に対して燃料を供給する燃料供給口14が1箇所の場合には、燃料排出口近傍の燃料濃度は発電に十分な濃度となるものの、燃料供給口14から離れるにつれて燃料濃度が急速に低下する。このため、燃料電池全体で見た場合の平均出力は、燃料の供給が少ない部分の影響を受けて低い値に留まってしまう。
燃料濃度を高めるための手段としては、液体燃料の供給量を増加させることが考えられる。しかし、単に液体燃料の供給量を増加させた場合、燃料排出口近傍の燃料濃度が上がりすぎて、燃料が反応することなく空気極へ流れてしまうクロスオーバーと呼ばれる現象が発生する。クロスオーバーは燃費の低下、空気極での燃料の直接反応に伴う電圧低下、それによる出力低下等の原因となる。
また、燃料極に接する面に液体燃料が流れる溝を形成し、その部分に液体燃料を流すことも試みられており、大型の燃料電池では実用化されている。しかし、この手法では溝を液体燃料が流れるにつれて、反応により燃料が順次消費されるため、燃料濃度が減少して出力の低下を十分に抑制することができない。さらに、従来は燃料を流すために循環ポンプが使用されているため、装置の大型化が避けられない。
この実施形態の燃料電池1Aにおいては、上述したように複数の燃料供給口14を有する燃料分配機構11を適用している。燃料分配機構11に導入された液体燃料は空隙部40を介して複数の燃料供給口14に導かれる。燃料分配機構11の空隙部40はバッファとして機能するため、複数の燃料供給口14からそれぞれ規定濃度の燃料が排出される。そして、複数の燃料供給口14はセル構造体20の全面に燃料が供給されるように配置されているため、セル構造体20に対する燃料供給量を均一化することができる。
すなわち、アノード(燃料極)の面内における燃料の分布が平準化され、セル構造体20での発電反応に必要とされる燃料を全体的に過不足なく供給することができる。従って、燃料電池1の大型化や複雑化等を招くことなく、セル構造体20で効率的に発電反応を生起させることができる。これによって、燃料電池1の出力を向上させることが可能となる。言い換えると、燃料を循環させないパッシブ型燃料電池1Aの利点を損なうことなく、出力やその安定性を高めることができる。
上記実施の形態で用いた燃料分配機構11はその内部に設けられた空隙部40から燃料を複数の燃料供給口14に分配している。このため、厳密には燃料注入口12に近い側の温度が若干高く、奥に行くに従って温度が低下する現象が観察される。また、燃料電池1Aを傾斜させた場合には重力の影響等から傾斜方向によって温度分布が変化し、下側の部分の反応が高くなる傾向が観察される。実用上はこれでも十分な性能を得ることができるが、さらに出力を改善するためには、図11および図12に示すように、燃料注入口12と複数の燃料供給口14とを液溜め41で連通させた燃料分配機構11Aを用いることが好ましい。
図11および図12に示す燃料分配機構11Aは、液体燃料が流入する少なくとも1つの燃料注入口12と、液体燃料またはその気化成分をセル構造体20に供給する複数の燃料供給口14とを有する燃料分配板13Aを備えている。燃料分配板13Aの内部には、液体燃料の通路として機能する液溜め41が形成されている。液溜め41の一端(始端部)には燃料注入口12が設けられている。液溜め41は途中で複数に分岐しており、これら分岐した液溜め41の各終端部に燃料供給口14がそれぞれ設けられている。液溜め41は例えば内径が0.05〜5mmの貫通孔であることが好ましい。
燃料注入口12から燃料分配機構11に導入された液体燃料は、複数に分岐した液溜め41を介して複数の燃料供給口14にそれぞれ導かれる。なお、図11および図12に示す燃料分配機構11Aは、その内部の燃料通路として液溜め41を用いる以外は図10に示した燃料分配機構11と同様な構成を有している。このような構造の燃料分配機構11Aを使用することによって、燃料注入口12から燃料分配機構11内に注入された液体燃料を方向や位置に拘わりなく、複数の燃料供給口14に均等に分配することができる。従って、セル構造体20の面内における発電反応の均一性をより一層高めることが可能となる。
さらに、液溜め41で燃料注入口12と複数の燃料供給口14とを接続することによって、燃料電池1の特定箇所により多くの燃料を供給するような設計が可能となる。例えば、装置装着上の都合から燃料電池1Bの半分の部位の放熱がよくなってしまうような場合、従来では温度分布が生じてしまい、平均出力の低下が避けられない。これに対して、液溜め41の形成パターンを調整し、予め放熱のよい部分に燃料供給口14を密に配置することによって、その部分での発電に伴う発熱を多くすることができる。これによって、面内の発電度合いを均一化することができ、出力低下を抑制することが可能となる。
さらに、燃料分配機構11とアノード(燃料極)13との間には、図13に示すように多孔体26を挿入することが有効である。多孔体26の構成材料としては各種樹脂が使用され、多孔質状態の樹脂フィルム等が多孔体26として用いられる。このような多孔体26を配置することによって、アノードに対する燃料供給量をより一層平均化することができる。すなわち、燃料分配機構11Aの燃料供給口14から噴出した液体燃料は一旦多孔体26に吸収され、多孔体26の内部で面内方向に拡散する。この後、多孔体26からアノードに燃料が供給されるため、燃料供給量をより一層平均化することが可能となる。
上述した第1の実施形態において、液体燃料を燃料供給源50から燃料分配機構11,11Aまで送る機構は特に限定されるものではない。例えば、使用時の設置場所が固定される場合には、重力を利用して液体燃料を燃料供給源50から燃料分配機構11,11Aまで落下させて送液することができる。また、多孔体等を充填した流路51を用いることによって、毛細管現象で燃料供給源50から燃料分配機構11,11Aまで送液することができる。
次に、本発明の第2の実施形態として燃料供給源50と燃料分配機構11との間にポンプ31を挿入した燃料電池について、図14〜図20を参照して説明する。図14に示す燃料電池1Dは、パッシブ方式を適用した図12に示す燃料電池1Bの流路51の途中にポンプ31を挿入したものであり、それ以外の構成は図12に示す燃料電池1Bと実質的に同じである。すなわち、ポンプ31は燃料を循環される循環ポンプではなく、あくまでも燃料供給源50から燃料分配機構11に液体燃料を送液する燃料供給ポンプである。このようなポンプ31で必要時に液体燃料を送液することによって、燃料供給量の制御性を高めることができる。
図14に示す燃料電池1Dにおいて、燃料分配機構11Aからセル構造体20に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料供給源50に戻されることはない。図14に示す燃料電池1Dは燃料を循環しないことから、従来のアクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。また、液体燃料の供給にポンプ31を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なるため、図14に示す燃料電池1Dは例えばセミパッシブ型と呼称される方式を適用したものである。
ポンプ31の種類は特に限定されるものではないが、少量の液体燃料を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーポンプ(ロータリーベーンポンプ)、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。ロータリーポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。これらのうち、駆動電力や大きさ等の観点から、電気浸透流ポンプや圧電セラミックスを有するダイアフラムポンプを使用することがより好ましい。
ポンプ31の送液量は燃料電池1の主たる対象物が小型電子機器であることから、10μL/分〜1mL/分の範囲とすることが好ましい。送液量が1mL/分を超えると一度に送液される液体燃料の量が多くなりすぎて、全運転期間に占めるポンプ31の停止時間が長くなる。このため、セル構造体20への燃料の供給量の変動が大きくなり、その結果として出力の変動が大きくなる。これを防止するためのリザーバをポンプ31と燃料分配機構11との間に設けてもよいが、そのような構成を適用しても燃料供給量の変動を十分に抑制することはできず、さらに装置サイズの大型化等を招いてしまう。
一方、ポンプ31の送液量が10μL/分未満であると、装置立ち上げ時のように燃料の消費量が増える際に供給能力不足を招くおそれがある。これによって、燃料電池31の起動特性等が低下する。このような点から、10μL/分〜1mL/分の範囲の送液能力を有するポンプ31を使用することが好ましい。ポンプ31の送液量は10〜200μL/分の範囲とすることがより好ましい。このような送液量を安定して実現する上でも、ポンプ31には電気浸透流ポンプやダイアフラムポンプを適用することが好ましい。
図14に示す燃料電池1Dにおいては、必要時にポンプ31を動作させて燃料供給源50から燃料分配機構11Aに液体燃料を供給する。燃料分配機構11に導入された液体燃料は、前述した第1の実施形態と同様に、複数の燃料供給口14にそれぞれ導かれる。そして、複数の燃料供給口14からセル構造体20の全面に対して燃料が供給されて発電反応が生起される。このように、ポンプ31で燃料供給源50から燃料分配機構11まで液体燃料を送液する場合においても、燃料分配機構11Aは有効に機能するため、セル構造体20に対する燃料供給量を均一化することが可能となる。
燃料供給用(送液用)のポンプ31の制御は、例えば図15に示すように、燃料電池1Eの出力を参照して行うことが好ましい。図15において、燃料電池1Eの出力は制御回路32で検出され、この検出結果に基づいてポンプ31に制御信号が送られる。ポンプ31は制御回路32から送られる制御信号に基づいてオン/オフが制御される。ポンプ31の動作は燃料電池1の出力に加えて、温度情報や電力供給先である電子機器の運転状態情報等に基づいて制御することで、より安定した運転が達成できる。
ポンプ31の具体的な動作制御方法としては、例えば燃料電池1Eからの出力が所定の規定値より高くなった場合にポンプ31を停止または送液量を低下させ、出力が規定値より低くなった場合にポンプ31の運転を再開または送液量を増加させる方法が挙げられる。別の動作制御方法としては、燃料電池1からの出力の変化率がプラスの場合にポンプ31の運転を停止または送液量を低下させ、出力の変化率がマイナスになった場合にポンプ31の運転を再開または送液量を増加させる方法が挙げられる。
さらに、燃料電池としての安定性や信頼性を高めるために、図16に示すようにポンプ31と直列に燃料遮断バルブ33を配置することが好ましい。図16ではポンプ31と燃料分配機構11との間の流路51に燃料遮断バルブ33を挿入した構造を示している。燃料遮断バルブ33はポンプ31と燃料供給源50との間に設置しても機能上の支障はない。
ただし、燃料遮断バルブ33をポンプ31と燃料供給源50との間の流路51に設置した場合、例えば長期保管時にポンプ31の燃料が蒸発すると、燃料供給源50からの液体燃料の吸出し機能に支障が生じるおそれがある。このようなことから、燃料遮断バルブ33はポンプ31と燃料分配機構11との間の流路51に設置し、長期保管時等におけるポンプ31からの液体燃料の蒸発を防止することが好ましい。
このように、燃料供給源50と燃料分配機構11との間に燃料遮断バルブ33を挿入することによって、燃料電池1の未使用時にも不可避的に発生する微量な燃料の消費や上述したポンプ再運転時の吸い込み不良等を回避することができる。これらは燃料電池1の実用上の利便性の向上に大きく貢献するものである。
さらに、燃料遮断バルブ33は前述した第1の実施形態の燃料電池1に対しても有効である。例えば、図1、図3、図5に示した燃料電池1において、燃料分配機構11と燃料供給源50とを接続する流路5に燃料遮断バルブ33を挿入する。このような構成を適用することによって、セル構造体20に対する燃料の供給を制御し、燃料電池1の出力制御性を高めることができる。この場合の燃料遮断バルブ33の動作制御は、上述したポンプ31の動作制御と同様に実施することができる。
第2の実施形態の燃料電池1Fにおいては、燃料供給源50や流路51に燃料供給源50内の圧力を外気とバランスさせるバランスバルブを装着することが好ましい。燃料供給源50にバランスバルブ60を設置した燃料電池1Gを図17に示す。バランスバルブ60は、燃料供給源50内の圧力に応じてバルブ可動片61を動作させるスプリング62と、バルブ可動片61をシールして閉状態とするシール部63とを有している。
燃料供給源50から液体燃料が燃料分配機構11に供給され、燃料供給源50の内圧が減圧状態になると、バランスバルブ60のバルブ可動片61が外圧を受け、スプリング62の反発力に打ち勝ってシール部63が開放される。このバランスバルブ60の開放状態に基づいて、外気が内外圧力差を減少するよう導入される。内外の圧力差が解消されると、再度バルブ可動片61が移動して、シール部63が密閉される。
このように動作するバランスバルブ60を燃料供給源50等に設置することによって、液体燃料の供給に伴って発生する燃料供給源50の内圧低下に起因する送液量の変動を抑制することができる。すなわち、燃料供給源50内が減圧状態になると、ポンプ31による液体燃料の吸い込みが不安定になり、送液量が変動しやすくなる。このような送液量の変動をバランスバルブ60を設置することで解消することができる。従って、燃料電池1Gの動作安定性を向上させることが可能となる。なお、バランスバルブ60を流路51に設置する場合には、燃料供給源50とポンプ31との間に挿入することが好ましい。
上述した各実施形態の液体燃料49は、各種の液体燃料を使用した場合に効果を発揮し、液体燃料の種類や濃度は限定されるものではない。ただし、複数の燃料供給口14を有する燃料分配機構11の特徴がより顕在化するのは燃料濃度が濃い場合である。このため、各実施形態の燃料電池49は、濃度が80%以上のメタノールを液体燃料として用いた場合に、その性能や効果を特に発揮することができる、従って、各実施形態は濃度が80%以上のメタノールを液体燃料として用いた燃料電池に適用することが好ましい。
以上、種々の実施の形態を挙げて説明したが、本発明は上記各実施の形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。上記各実施の形態は、燃料を供給する燃料分配機構を有する燃料電池について説明したが、燃料分配機構を有さない方式の燃料電池であっても本発明を適用することは可能である。その電極部が同一の平面上に配列されたものであればその方式を限定されるものではない。
さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。MEAへ供給される液体燃料の蒸気においても、全て液体燃料の蒸気を供給してもよいが、一部が液体状態で供給される場合であっても本発明を適用することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
<アノード極の作製>
アノード用触媒(Pt:Ru=1:1)担持カーボンブラックにパーフルオロカーボンスルホン酸溶液と水及びメトキシプロパノールを添加し、前記触媒担持カーボンブラックを分散させてペーストを調製した。得られたペーストをアノードガス拡散層5としての多孔質カーボンペーパーに塗布することにより厚さが450μmのアノード触媒層3を有するアノード極を作製した。
<アノード極の作製>
アノード用触媒(Pt:Ru=1:1)担持カーボンブラックにパーフルオロカーボンスルホン酸溶液と水及びメトキシプロパノールを添加し、前記触媒担持カーボンブラックを分散させてペーストを調製した。得られたペーストをアノードガス拡散層5としての多孔質カーボンペーパーに塗布することにより厚さが450μmのアノード触媒層3を有するアノード極を作製した。
<カソード極の作製>
カソード用触媒(Pt)担持カーボンブラックにパーフルオロカーボンスルホン酸溶液と水及びメトキシプロパノールを加え、前記触媒担持カーボンブラックを分散させてペーストを調製した。得られたペーストをカソードガス拡散層4としての多孔質カーボンペーパに塗布することにより厚さが400μmのカソード触媒層2を有するカソード極を作製した。
カソード用触媒(Pt)担持カーボンブラックにパーフルオロカーボンスルホン酸溶液と水及びメトキシプロパノールを加え、前記触媒担持カーボンブラックを分散させてペーストを調製した。得られたペーストをカソードガス拡散層4としての多孔質カーボンペーパに塗布することにより厚さが400μmのカソード触媒層2を有するカソード極を作製した。
アノード触媒層3とカソード触媒層2との間に、プロトン伝導性電解質膜として厚さが30μmで、含水率が10〜20重量%のパーフルオロカーボンスルホン酸膜6(nafion膜、デュポン社製)を配置し、これらにホットプレスを施すことにより膜電極接合体(MEA)10を得た。
<集電体アッセンブリの作製>
集電体アッセンブリを第1の実施形態から第4の実施形態のようにそれぞれ作製した。本発明の各実施形態に示すように複数の導電層とカソード絶縁シール枠76a、アノード絶縁シール枠76bを一体化することにより、導電層とシール材の位置が決まり、セル構造体の作製時間を大幅に削減することができた。また折り曲げた際に位置が決まるように、シール材外周に位置決め用のピンを設けた。第3第4の実施形態も同様である。
集電体アッセンブリを第1の実施形態から第4の実施形態のようにそれぞれ作製した。本発明の各実施形態に示すように複数の導電層とカソード絶縁シール枠76a、アノード絶縁シール枠76bを一体化することにより、導電層とシール材の位置が決まり、セル構造体の作製時間を大幅に削減することができた。また折り曲げた際に位置が決まるように、シール材外周に位置決め用のピンを設けた。第3第4の実施形態も同様である。
第1の実施形態から第2、第3の実施形態にすることにより、セル構造体の作製時間を大幅に作製することが可能になり、第2から第4の実施形態にすることにより抵抗が50mΩ低減することができ出力特性を向上することができた。
なお、複数のカソード電極部を位置決めするカソード絶縁シール枠および複数のアノード電極部を位置決めするアノード絶縁シール枠を有さない場合には、各電極部の位置が決まらず所定の電極ではなく他の電極に対して導電層が接触してしまうことがあった。また、シール材も導電層の存在する部分に外装カバーおよび燃料収容室構造体による圧力がかかりやすくなり、導電層の存在しない部分からの燃料リークの可能性があった。
1,1A〜1G…燃料電池、
2…カソード触媒層、
3…アノード触媒層、
4…カソードガス拡散層、
5…アノードガス拡散層、
6…電解質膜(プロトン伝導膜)、
7a…カソード導電層(正極集電体)、7b…アノード導電層(負極集電体)、
7A,7B,7C,7D,7E…集電体アッセンブリ、70…導電層、
71…カソード電極部、
72,72C,72D,72E…カソード電極部間絶縁シール部(ゴム部)、
73…アノード電極部、
74,74C,74D,74E…アノード電極部間絶縁シール部(ゴム部)、
75…電極部間導電部材、
76a…カソード絶縁シール枠(シール枠)、
76b…アノード絶縁シール枠(シール枠)、
77,78…端子、
9…気液分離膜、
10…膜電極接合体(MEA)、
11,11A…燃料分配機構、
12…燃料注入口、13A…燃料分配板、14,14a…燃料供給口(開口)、
18…ガス通流孔、
19…空気供給部(保湿板)、
20…セル構造体、
21…外装ケース(カバープレート)、
22…通気孔、
23…発電部、
26…多孔体、
31…ポンプ、32…制御回路、
33,33A…燃料遮断弁(ラッチバルブ)、
40,41…空隙部(液溜め)、49…液体燃料、
50…燃料供給源、
60…バランスバルブ、
W1,W3…電極部の幅、
W2,W4…電極部間の離間距離、
W5…平面展開したときの両電極部間の離間距離、
W6…電極部間導電部材の幅、
L1…電極部間導電部材から電極部までの最短距離(近接距離)。
2…カソード触媒層、
3…アノード触媒層、
4…カソードガス拡散層、
5…アノードガス拡散層、
6…電解質膜(プロトン伝導膜)、
7a…カソード導電層(正極集電体)、7b…アノード導電層(負極集電体)、
7A,7B,7C,7D,7E…集電体アッセンブリ、70…導電層、
71…カソード電極部、
72,72C,72D,72E…カソード電極部間絶縁シール部(ゴム部)、
73…アノード電極部、
74,74C,74D,74E…アノード電極部間絶縁シール部(ゴム部)、
75…電極部間導電部材、
76a…カソード絶縁シール枠(シール枠)、
76b…アノード絶縁シール枠(シール枠)、
77,78…端子、
9…気液分離膜、
10…膜電極接合体(MEA)、
11,11A…燃料分配機構、
12…燃料注入口、13A…燃料分配板、14,14a…燃料供給口(開口)、
18…ガス通流孔、
19…空気供給部(保湿板)、
20…セル構造体、
21…外装ケース(カバープレート)、
22…通気孔、
23…発電部、
26…多孔体、
31…ポンプ、32…制御回路、
33,33A…燃料遮断弁(ラッチバルブ)、
40,41…空隙部(液溜め)、49…液体燃料、
50…燃料供給源、
60…バランスバルブ、
W1,W3…電極部の幅、
W2,W4…電極部間の離間距離、
W5…平面展開したときの両電極部間の離間距離、
W6…電極部間導電部材の幅、
L1…電極部間導電部材から電極部までの最短距離(近接距離)。
Claims (12)
- カソード触媒層とアノード触媒層との間に電解質膜を配置した膜電極接合体と、前記膜電極接合体のカソード触媒層側に配置されたカソード導電層と、前記カソード触媒層と前記カソード導電層との間に設けられたカソードガス拡散層と、前記膜電極接合体のアノード触媒層側に配置されたアノード導電層と、前記アノード触媒層と前記アノード導電層との間に設けられたアノードガス拡散層と、を具備する燃料電池であって、
前記カソード導電層は、
前記カソードガス拡散層に接触して電気的に導通し、前記膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のカソード電極部を有し、
前記アノード導電層は、
前記アノードガス拡散層に接触して電気的に導通し、かつ、前記カソード電極部と電気的に接続されて直列の回路を形成し、前記膜電極接合体に燃料を通過させるための孔を有し、実質的に同一の平面に配列される複数のアノード電極部を有し、
前記複数のカソード電極部および前記複数のアノード電極部の少なくともいずれか一方は、前記複数のカソード電極部を位置決めするカソード絶縁シール枠あるいは前記複数のアノード電極部を位置決めするアノード絶縁シール枠を有し、
前記カソード電極部と前記アノード電極部とを直列に接続する電極部間導電部材をさらに有することを特徴とする燃料電池。 - 前記カソード電極部の相互間隔W2および前記アノード電極部の相互間隔W4を、それぞれ0.3mm以上1.5mm以下とすることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 前記電極部間導電部材は可撓性を有する帯状の金属箔からなり、前記電極部間導電部材の折り曲げにより形成される内側空間に前記膜電極接合体が収容されており、前記電極部間導電部材が折り曲げられる前の面内における前記カソード導電層から前記アノード導電層までの離間距離W5が、前記膜電極接合体を含む前記カソードガス拡散層から前記アノードガス拡散層までの厚さtに対して1.5t≦W5≦4tの関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載の燃料電池。
- 前記膜電極接合体を含む前記カソードガス拡散層から前記アノードガス拡散層までの厚さtを500μm以上900μm以下とし、前記離間距離W5を0.75mm以上3.6mm以下とすることを特徴とする請求項3記載の燃料電池。
- 前記電極部間導電部材の幅W6が1mm以上で、かつ他の導電層との距離L1が0.4mm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の燃料電池。
- 前記カソード電極部の相互間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記カソード電極部を絶縁するとともに、前記燃料の通過を遮断して前記燃料の漏れ出しを防ぐカソード電極部間絶縁シール部と、
前記アノード電極部の相互間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記アノード電極部を絶縁するとともに、前記燃料の通過を遮断して前記燃料の漏れ出しを防ぐアノード電極部間絶縁シール部と、
を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の燃料電池。 - 前記カソード絶縁シール枠、アノード絶縁シール枠、カソード電極部間絶縁シール部およびアノード電極部間絶縁シール部は、体積固有抵抗が1011〜1015Ω・cmのゴム系材料からなることを特徴とする請求項1、2、3、6のいずれか1項記載の燃料電池。
- 前記カソード電極部間絶縁シール部は、前記カソード絶縁シール枠に連結され、
前記アノード電極部間絶縁シール部は、前記アノード絶縁シール枠に連結されていることを特徴とする請求項7記載の燃料電池。 - 前記カソード電極部の幅W1および前記アノード電極部の幅W3がそれぞれ1mm以上であることを特徴とする請求項3記載の燃料電池。
- 前記アノード導電層および前記カソード導電層は、それぞれ厚さが5μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項9記載の燃料電池。
- 前記アノード導電層およびカソード導電層は、耐食性を有する導電材料で被覆されていることを特徴とする請求項9又は10のいずれか1項記載の燃料電池。
- 前記カソード導電層は空気を前記カソード触媒層に供給するための複数のガス通流孔を有し、前記ガス通流孔の中心軸が外装ケースに形成された通気孔の中心軸と略一致するように配置されていることを特徴とする請求項9記載の燃料電池。
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