JP2009283361A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】出力を向上することが可能であるとともに燃費を向上することが可能であり、しかも、良好な発電特性を長期に亘って安定して得ることが可能な燃料電池を提供すること。
【解決手段】アノード触媒層11を含むアノード13と、カソード触媒層14を含むカソード16と、アノード触媒層とカソード触媒層との間に挟持された電解質膜17と、を有する膜電極接合体2と、
電解質膜を囲む枠状に形成され、アノードとカソードとの間に接合された枠状膜FFと、
膜電極接合体のアノードに燃料を供給する燃料供給機構3と、を備え、
枠状膜は、電解質膜よりも燃料の透過率が低い材料によって形成されたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】アノード触媒層11を含むアノード13と、カソード触媒層14を含むカソード16と、アノード触媒層とカソード触媒層との間に挟持された電解質膜17と、を有する膜電極接合体2と、
電解質膜を囲む枠状に形成され、アノードとカソードとの間に接合された枠状膜FFと、
膜電極接合体のアノードに燃料を供給する燃料供給機構3と、を備え、
枠状膜は、電解質膜よりも燃料の透過率が低い材料によって形成されたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、液体燃料を用いた燃料電池に関する。
近年、ノートパソコンや携帯電話等の各種携帯用電子機器を長時間充電なしで使用可能とするために、これら携帯用電子機器の電源に燃料電池を用いる試みがなされている。燃料電池は、燃料と空気を供給するだけで発電することができ、燃料を補給すれば連続して長時間発電することが可能であるという特徴を有している。このため、燃料電池を小型化できれば、携帯用電子機器の電源として極めて有利なシステムといえる。
例えば、メタノールを燃料として用いた直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)は小型化が可能であり、さらに燃料の取り扱いも容易であるため、携帯用電子機器の電源として有望視されている。DMFCにおける液体燃料の供給方式としては、気体供給型や液体供給型等のアクティブ方式、また、燃料収容部内の液体燃料を電池内部で気化させてアノードに供給する内部気化型等のパッシブ方式などが知られている。
DMFCは、アノードとカソードとの間に電解質膜を挟持させた構造の膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を備えている。アノード及びカソードは、それぞれガス拡散層及び触媒層を有しており、それぞれの触媒層で電解質膜に接している。また、アノード及びカソードの各触媒層は、例えば白金(Pt)等の触媒を多孔質性の担持体に担持させてなる触媒粒子を、プロトン伝導性を有する高分子バインダーにより一体化することにより形成されている。
このようなDMFCでは、アノードに燃料としてのメタノールを導入すると、メタノールはガス拡散層を介して触媒層に達する。このアノードの触媒層では、その触媒作用によりプロトン、電子および二酸化炭素が生成される。プロトンは、プロトン伝導性を有する高分子バインダーの作用により触媒層から電解質膜に移動し、さらに、カソード側の触媒層へと移動する。一方、カソードに空気を導入すると、空気はガス拡散層を介して触媒層に達する。そして、このカソードの触媒層では、空気中の酸素とアノード側から移動してきたプロトンとアノードから外部回路を通じて供給される電子とが反応して水を生成するとともに、外部回路を通る電子によって電力が供給される。
従来、電解質膜を構成するプロトン伝導性を有する高分子電解質材料としては、スルホン酸基を有するフッ素系高分子化合物、例えばデュポン社製のナフィオン(商品名)等が、プロトン伝導性に優れることから広く用いられている。
このような電解質膜は、触媒層との接合性に乏しい場合が多く、触媒層との界面で剥離するおそれがある。界面剥離が生ずると、プロトンの電解質膜への移動性が損なわれ、出力低下の要因となる。また、耐久性の低下も招く。この問題を解決するため、プロトン伝導性を有する高分子化合物を有機溶媒に溶解して塗布することにより、電解質膜と触媒層との界面を連続化させることが検討されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特開2002−216801号公報
特開2002−246040号公報
特開2005−108770号公報
上述したような膜電極接合体において、電解質膜は、通常、電極よりも大きなサイズに形成され、触媒層に接する部分以外に、電極とシール材との間にも存在している。また、高出力を得るために、同一平面上に複数の単セルを所定間隔で隣接して配置して、これらを直接に接続する構成においては、単セルの間にも電解質膜が存在している。
電解質膜が高分子電解質材料などによって形成されている場合、メタノールなどの液体燃料が電解質膜を透過してカソード側に至るクロスオーバー現象を生じることがある。特に、同一電解質膜に複数の単セルを配置した構成では、単セル間の面積が大きく、電解質膜のうち触媒層に接していない部分からの液体燃料の透過が無視できなくなる。このように電解質膜を透過する燃料は、発電反応に寄与しないため、燃料の利用効率を低下させる要因となり得る。
この発明の目的は、燃費を向上することが可能な燃料電池を提供することにある。また、この発明の目的は、燃費向上に加えて、出力を向上することが可能であるとともに良好な発電特性を長期に亘って安定して得ることが可能な燃料電池を提供することにある。
この発明の態様による燃料電池は、
アノード触媒層を含むアノードと、カソード触媒層を含むカソードと、前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に挟持された電解質膜と、を有する膜電極接合体と、
前記電解質膜を囲む枠状に形成され、前記アノードと前記カソードとの間に接合された枠状膜と、
前記膜電極接合体の前記アノードに燃料を供給する燃料供給機構と、を備え、
前記枠状膜は、前記電解質膜よりも燃料の透過率が低い材料によって形成されたことを特徴とする。
アノード触媒層を含むアノードと、カソード触媒層を含むカソードと、前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に挟持された電解質膜と、を有する膜電極接合体と、
前記電解質膜を囲む枠状に形成され、前記アノードと前記カソードとの間に接合された枠状膜と、
前記膜電極接合体の前記アノードに燃料を供給する燃料供給機構と、を備え、
前記枠状膜は、前記電解質膜よりも燃料の透過率が低い材料によって形成されたことを特徴とする。
また、上記態様の燃料電池において、電解質膜は、アノード触媒層及びカソード触媒層の少なくとも一方に侵入していることを特徴とする。
この発明によれば、燃費を向上することが可能な燃料電池を提供することができる。
すなわち、電解質膜を囲む枠状膜は、電解質膜よりも燃料の透過率が低い材料によって形成されている。このため、燃料供給機構から膜電極接合体に向けて供給される燃料について、膜電極接合体周辺の枠状膜からの透過を抑制することが可能となる。つまり、発電反応に寄与することなくアノード側からカソード側に透過する燃料を低減することが可能となる。このため、燃料供給機構から供給された燃料が効率的にアノードから電解質膜に至って発電反応に寄与する。したがって、燃料の利用効率(燃費)を向上することが可能となる。
また、この発明によれば、燃費向上に加えて、出力を向上することが可能であるとともに良好な発電特性を長期に亘って安定して得ることが可能な燃料電池を提供することができる。
すなわち、枠状膜は、電解質膜とは別体である。このため、枠状膜を形成するための材料の選択性が向上する。つまり、枠状膜として適当な特性を有する材料の選択が可能である。
例えば、枠状膜は電解質膜よりも燃料の透過率が低い材料によって形成される一方で、電解質膜はアノード触媒層及びカソード触媒層の少なくとも一方に侵入している。このような電解質膜は、例えば触媒層上に高分子電解質の有機溶剤溶液を塗布して乾燥させることにより形成可能である。
このような構成によれば、燃費向上の効果に加えて、電解質膜と触媒層との密着性が向上し、あるいは電解質膜と触媒層との接合性が良好であって、且つ、プロトン伝導性にも優れるため、出力を向上することが可能となる。また、電解質膜と触媒層との剥離が抑制されるため、長期にわたって良好な発電特性を安定して得ることが可能となる。
以下、この発明の一実施の形態に係る燃料電池について図面を参照して説明する。
図1は、この実施の形態に係る燃料電池1の構造を概略的に示す断面図である。
燃料電池1は、起電部を構成する膜電極接合体(MEA)2と、膜電極接合体2に燃料を供給する燃料供給機構3と、から主として構成されている。
すなわち、燃料電池1において、膜電極接合体2は、アノード触媒層11とアノードガス拡散層12とを有するアノード(燃料極)13と、カソード触媒層14とカソードガス拡散層15とを有するカソード(空気極/酸化剤極)16と、アノード触媒層11とカソード触媒層14とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜17とを備えて構成されている。
アノード触媒層11及びカソード触媒層14は、それぞれ、触媒と、触媒同士の電子伝導パスとして機能する導電物質と、触媒と電解質膜17との間のプロトン伝導性パスとして機能するプロトン伝導体とから構成されている。
アノード触媒層11及びカソード触媒層14に含有される触媒としては、例えば白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)等の白金族元素の単体、これらの白金族元素を含有する合金等が挙げられる。
アノード触媒層11には、メタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有する触媒を用いることが好ましい。ここでは、アノード触媒層11の触媒としては、白金(Pt)や、白金(Pt)−モリブデン(Mo)等の白金合金を用いることが好ましく、特に、白金(Pt)−ルテニウム(Ru)を用いることがより好ましい。カソード触媒層14には、触媒として、白金(Pt)や白金(Pt)−ニッケル(Ni)等の白金合金を用いることが好ましい。ただし、アノード触媒層11及びカソード触媒層14に用いられる触媒は、上述した例に限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。
また、導電物質としては、例えば、導電性カーボンブラック、活性炭、黒鉛等の粒子状または繊維状の炭素材料が挙げられる。前記した触媒は、このような炭素材料に担持させて含有させるようにしてもよい。
さらに、プロトン伝導体としては、(a)炭化水素系プロトン伝導体、(b)フッ素系プロトン伝導体等が挙げられる。プロトン伝導体及びその好ましい例としては、電解質膜17の材料と同様のものが挙げられる。
電解質膜17は、アノード触媒層11及びカソード触媒層14に接するため、プロトン導電性が高いことが特に望まれ、それに応じてある程度のメタノール透過性も許容される。さらに、電解質膜17は、アノード触媒層11及びカソード触媒層14との間で剥離が起きないように高い接合性が求められている。
電解質膜17を形成する電解質材料としては、(a)炭化水素系プロトン伝導体、(b)フッ素系プロトン伝導体等の有機系材料の他に、タングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料も挙げられる。
(a)の炭化水素系プロトン伝導体およびその好ましい例としては、主鎖が炭化水素からなる高分子にプロトン伝導性を付与するためにスルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基等のイオン交換基を導入したものが挙げられる。ここで、「高分子にイオン交換基を導入した」とは、「高分子骨格にイオン交換基を化学結合を介して導入した」ことを意味する。また、主鎖は、酸素原子等のヘテロ原子で中断されていてもよい。これらの中でも、主鎖に芳香環を有し、かつ、イオン交換基として、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものが好ましい。
(a)の炭化水素系プロトン伝導体の好ましい具体例としては、例えばポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレン・エーテル)、ポリフォスファゼン、ポリイミド、ポリ(4-フェノキシベンゾイル-1,4-フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン等の単独重合体のそれぞれにスルホン酸基が導入されたもの、アリールスルホン化ポリベンズイミダゾール、アルキルスルホン化ポリベンズイミダゾール、アルキルホスホン化ポリベンズイミダゾール、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)等が挙げられる。
また、(b)のフッ素系プロトン伝導体としては、主鎖が、フッ素で置換された炭化水素からなる高分子にプロトン伝導性を付与するためにスルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基等のイオン交換基を導入したものが挙げられる。ここでも、「高分子にイオン交換基を導入した」とは、「高分子骨格にイオン交換基を化学結合を介して導入した」ことを意味する。
(b)フッ素系プロトン伝導体の具体例としては、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸、ホスホン酸基を有するパーフルオロアルキルポリマー、ポリトリフルオロスチレンスルホン酸、ポリトリフルオロスチレンホスホン酸等が挙げられ、なかでも、パーフルオロカーボンスルホン酸が好ましい。パーフルオロカーボンスルホン酸の市販品を例示すると、例えばナフィオン(デュポン社製 商品名)、フレミオン(旭硝子社製 商品名)等が挙げられる。
ただし、プロトン伝導性の電解質膜17は、これらに限られるものではない。
電解質膜17は、フィルム状で供給される。このような電解質膜17と触媒層との接合方法としては、フィルム状の電解質膜17の場合には、電解質膜17を挟んで熱圧着プレスする方法が適用可能である。また、電解質膜17は、有機溶媒で溶解したプロトン伝導性を有する高分子化合物(高分子電解質)を触媒層の上に塗布した後に乾燥させて膜状に形成しても良い。このとき、プロトン伝導性を有する高分子化合物は、膜材料を形成するもので有機溶媒に溶解するものであれば良い。特に、パーフルオロカーボンスルホン酸の有機溶媒(1-プロパノール、水、エタノール)溶液が好ましい。
特に、塗布して形成した電解質膜17の場合には、電解質膜17が触媒層に侵入しており、触媒層との界面を連続化させることで接合性(あるいは密着性)を大幅に向上することができる。アノード触媒層11の上に塗布して形成された電解質膜17はアノード触媒層11に侵入し、また、カソード触媒層14の上に塗布して形成された電解質膜17はカソード触媒層14に侵入している。一方の触媒層の上に塗布した後に他方の触媒層を重ね合わせた状態で乾燥させた場合には、形成された電解質膜17は、アノード触媒層11及びカソード触媒層14の両者に侵入している。
このような構造によれば、フィルム状の電解質膜を接合した場合と比較して、プロトン伝導性に優れるため、出力を向上することが可能となる。また、長期にわたって電解質膜と触媒層との剥離が抑制されるため、安定して良好な発電特性を得ることが可能となる。
アノード触媒層11に積層されるアノードガス拡散層12は、アノード触媒層11に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層11で生成された電子を効率よく外部へ伝達する集電体としての機能を有するものである。カソード触媒層14に積層されるカソードガス拡散層15は、カソード触媒層14に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、外部から供給される電子を効率よくカソード触媒層14へ伝達する集電体としての機能を有するものである。
アノードガス拡散層12及びカソードガス拡散層15は、いずれも導電性を有する多孔質基材によって構成されている。
多孔質基材としては、例えばカーボンファイバ等で形成されるカーボンクロスやカーボンペーパー等のように、導電性繊維をシート状に加工したものを使用することが好ましく、具体的には、例えば繊維径1μm程度以上のカーボンファイバで作られた気孔率50%以上のカーボンペーパーあるいはカーボンクロスを使用することができ、また、導電性高分子などの繊維からなるペーパー、不織布、織布、編物や、導電性の多孔質膜などを使用することもできる。
また、多孔質基材は、焼結体であってもよく、金属あるいは金属酸化物(すず酸化物、チタン酸化物等)を焼結したものを使用することができる。ただし、アノードガス拡散層12及びカソードガス拡散層15に含まれるプロトン伝導体は、一般に強酸性材料であるため、金属材料を使用する場合には耐酸性の高い材料を選択することが好ましい。
アノードガス拡散層12及びカソードガス拡散層15上に、それぞれアノード触媒層11及びカソード触媒層14を形成する際には、アノードガス拡散層12及びカソードガス拡散層15を形成する各多孔質基材に、触媒及び導電物質(または予め導電物質に担持させた触媒)とプロトン伝導体とを溶媒に分散させて得た触媒ペーストを、コーターやスプレー等により1回ないし複数回に分けて塗付し乾燥させることにより形成することができる。
上述したような構成の膜電極接合体2を備えた燃料電池は、図2及び図3に示すように、電解質膜17を囲む枠状に形成された枠状膜FFを備えている。すなわち、この枠状膜FFは、電解質膜17とは別体であり、電解質膜17とは異なる特性を有する材料によって形成可能である。このような枠状膜FFは、アノード13とカソード16との間に接合されている。これにより、膜電極接合体2と枠状膜FFとが一体化されている。
また、図4乃至図6に示した例においては、膜電極接合体2は、電解質膜17を介して配置されたアノード13及びカソード16によって構成された単セルCをなし、単セルCのそれぞれが枠状膜FFによって平面内で分離して配置された構造のものを示している。なお、ここに示した例では、単セルCが4個の場合に対応するが、燃料電池の構造は、この例に限らず他の構造であっても良い。
上述したような複数の膜電極接合体2(単セルC)は、集電体18により電気的に直列に接続されている。
このような集電体18は、アノード集電体18A及びカソード集電体18Cを有している。アノード集電体18Aは、アノードガス拡散層12に積層されている。また、カソード集電体18Cは、カソードガス拡散層15に積層されている。アノード集電体18A及びカソード集電体18Cとしては、例えば金(Au)、ニッケル(Ni)などの金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)または箔体、あるいはステンレス鋼(SUS)などの導電性金属材料に金などの良導電性金属を被覆した複合材などをそれぞれ使用することができる。
膜電極接合体2は、枠状膜FFのアノード側及びカソード側にそれぞれ配置されたゴム製のOリング等のシール部材19によってシールされており、これにより、膜電極接合体2からの燃料漏れや酸化剤漏れが防止されている。
膜電極接合体2のカソード16側には、絶縁材料によって形成された板状体20が配置されている。図1に示した例では、板状体20は、カソード集電体18Cの上に配置されている。
この板状体20は、主に保湿層として機能する。すなわち、この板状体20は、カソード触媒層14で生成された水の一部が含浸されて水の蒸散を抑制するとともに、カソード触媒層14への空気の取入れ量を調整し且つ空気の均一拡散を促進するものである。この板状体20は、たとえば多孔質構造の部材で構成され、具体的な構成材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンの多孔質体などが挙げられる。
上述した膜電極接合体2は、燃料供給機構3とカバープレート21との間に配置されている。カバープレート21は、外観が略矩形状のものであり、例えばステンレス鋼(SUS)によって形成されている。また、カバープレート21は、酸化剤である空気を取入れるための複数の開口部(空気導入孔)21Aを有している。
燃料供給機構3は、膜電極接合体2のアノード13に対して燃料を供給するように構成されているが、特に、特定の構成に限定されるものではない。燃料供給機構3の一例について説明する。
燃料供給機構3は、例えば、箱状に形成された容器30を備えている。この燃料供給機構3は、液体燃料を収容する燃料収容部4と流路5を介して接続されている。容器30は、燃料導入口30Aを有しており、この燃料導入口30Aと流路5とが接続されている。この容器30は、例えば樹脂製容器によって構成される。容器30を形成する材料としては、液体燃料に対する耐性を有している材料が選択される。
燃料供給機構3は、膜電極接合体2のアノード13の面方向に燃料を分散並びに拡散させつつ供給する燃料供給部31を備えている。ここでは、特に、燃料供給部31が燃料分配板31Aを備えた構成について説明するが、燃料供給部31は他の構成であっても良い。
すなわち、燃料分配板31Aは、1つの燃料注入口32と、複数の燃料排出口33とを有しており、細管34のような燃料通路を介して燃料注入口32と燃料排出口33とを接続した構成である。燃料通路は、燃料分配板31A内に形成した細管34に代えて燃料流通溝等で構成してもよい。この場合、燃料流通溝を有する流路板を複数の燃料排出口を有する拡散板で覆うことによって、燃料分配板31Aを構成することも可能である。
細管34の一端(始端部)には、燃料注入口32が設けられている。細管34は、途中で複数に分岐しており、これらの分岐した細管34の各終端部に燃料排出口33がそれぞれ設けられている。燃料注入口32は、容器30の燃料導入口30Aと連通している。これにより、燃料分配板31Aの燃料注入口32が流路5を介して燃料収容部4に接続される。燃料排出口33は、例えば128箇所にあり、液体燃料もしくはその気化成分を排出する。
燃料注入口32から注入された液体燃料は、複数に分岐した細管34を介して複数の燃料排出口33にそれぞれ導かれる。このような燃料分配板31Aを使用することによって、燃料注入口32から注入された液体燃料を方向や位置に係わりなく、複数の燃料排出口33に均等に分配することができる。従って、膜電極接合体2の面内における発電反応の均一性をより一層高めることが可能となる。
さらに、細管34で燃料注入口32と複数の燃料排出口33とを接続することによって、燃料電池の特定箇所により多くの燃料を供給するような設計も可能となる。これは、膜電極接合体2の発電度合いの均一性の向上等に寄与する。
膜電極接合体2は、そのアノード13が上述したような燃料分配板31Aの燃料排出口33に対向するように配置されている。カバープレート21は、燃料供給機構3との間に膜電極接合体2を保持した状態で容器30に対してカシメあるいはネジ止めなどの手法により固定されている。これにより、燃料電池(DMFC)1の発電ユニットが構成されている。
燃料供給部31は、燃料分配板31Aと膜電極接合体2との間に燃料拡散室31Bとして機能する空間を形成するような構成であることが望ましい。この燃料拡散室31Bは、燃料排出口33から液体燃料が排出されたとしても気化を促進するとともに、面方向への拡散を促進する機能を有している。
膜電極接合体2と燃料供給部31との間には、膜電極接合体2をアノード13側から支持する支持部材を配置しても良い。特に、図1に示したような構成においては、支持部材を適用することにより以下のような効果が得られる。すなわち、膜電極接合体2と燃料供給部31との間に支持部材を配置したことにより、燃料排出口33から膜電極接合体2までの距離を確保することができる。このため、燃料排出口33から供給された液体燃料の気化を促進するのに十分な容量を確保することができ、気体の状態の燃料を広範囲にわたって拡散させることが可能である。
これにより、アノード13の面内における燃料の分布を平準化することが可能となり、膜電極接合体2での発電反応に必要とされる燃料を全体的に過不足なく供給することができる。したがって、燃料電池1の大型化や複雑化等を招くことなく、膜電極接合体2で効率的に発電反応を生起させることができる。これによって、燃料電池1の出力を向上させることが可能となる。言い換えると、燃料を循環させない燃料電池1の利点を損なうことなく、出力やその安定性を高めることができる。
また、支持部材により膜電極接合体2を支持するとともに、支持部材とカバープレート21との間で膜電極接合体2を保持するため、膜電極接合体2の撓みなどの変形を抑制することができ、膜電極接合体2と集電体との密着性を高めて出力の低下を抑制することが可能となる。
膜電極接合体2と燃料供給部31との間には、少なくとも1つの多孔体を配置しても良い。多孔体の構成材料としては、各種樹脂が使用され、多孔質状態の樹脂フィルム等が多孔体として用いられる。このような多孔体は、複数の多孔膜を積層して配置してもよい。すなわち、主にある一方向への拡散性が高い多孔体と、これに交差する(あるいは直交する)方向への拡散性が高い多孔体とを組み合わせて適用しても良い。
特に、図1に示したような構成においては、多孔体を適用することにより以下のような効果が得られる。すなわち、多孔体を配置することによって、アノード13に対する燃料供給量をより一層平均化することができる。すなわち、燃料供給部31の燃料排出口33から供給された液体燃料は一旦多孔体に吸収され、多孔体の内部で面内方向に拡散する。この後、多孔体からアノード13に燃料が供給されるため、燃料供給量をより一層平均化することが可能となる。
燃料収容部4には、膜電極接合体2に応じた液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。なお、液体燃料は、必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料は、例えば、エタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料収容部4には、膜電極接合体2に応じた液体燃料が収容される。
さらに、流路5には、ポンプ6が介在していても良い。ポンプ6は、燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料収容部4から燃料供給部31に液体燃料を送液する燃料供給ポンプである。燃料供給部31から膜電極接合体2に供給された燃料は、発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部4に戻されることはない。
この実施の形態の燃料電池1は、燃料を循環しないことから、従来のアクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。また、液体燃料の供給にポンプ6を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なる。図1に示す燃料電池1は、例えばセミパッシブ型と呼称される方式を適用したものである。
ポンプ6の種類は、特に限定されるものではないが、少量の液体燃料を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーベーンポンプ、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。
ロータリーベーンポンプは、モータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは、電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは、電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは、柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。これらのうち、駆動電力や大きさ等の観点から、電気浸透流ポンプや圧電セラミックスを有するダイアフラムポンプを使用することがより好ましい。
なお、ポンプ6と燃料供給部31との間にリザーバを設けてもよい。
また、燃料電池1の安定性や信頼性を高めるために、ポンプ6と直列に燃料遮断バルブを配置してもよい。燃料遮断バルブには、電磁石、モータ、形状記憶合金、圧電セラミックス、バイメタル等をアクチュエータとして、開閉動作を電気信号で制御することが可能な電気駆動バルブが適用される。燃料遮断バルブは、状態保持機能を有するラッチタイプのバルブであることが好ましい。
また、燃料収容部4や流路5には、燃料収容部4内の圧力を外気とバランスさせるバランスバルブを装着してもよい。燃料収容部4から燃料供給機構3で膜電極接合体2に燃料を供給する場合、ポンプ6に代えて燃料遮断バルブのみを配置した構成とすることも可能である。この際の燃料遮断バルブは、流路5による液体燃料の供給を制御するために設けられるものである。
この実施の形態の燃料電池1においては、ポンプ6を用いて燃料収容部4から燃料供給部31に液体燃料が間欠的に送液される。ポンプ6で送液された液体燃料は、燃料供給部31を経て膜電極接合体2のアノード13の全面に対して均一に供給される。
すなわち、複数の単セルCの各アノード13の平面方向に対して均一に燃料が供給され、これにより発電反応が生起される。燃料供給用(送液用)のポンプ6の運転動作は、燃料電池1の出力、温度情報、電力供給先である電子機器の運転情報等に基づいて制御することが好ましい。
このように構成された燃料電池においては、燃料供給部31から放出された燃料は、膜電極接合体2のアノード13に供給される。膜電極接合体2内において、燃料は、アノードガス拡散層12を拡散してアノード触媒層11に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層11で下記の(1)式に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層14で生成した水や電解質膜17中の水をメタノールと反応させて(1)式の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
この反応で生成した電子(e-)は、集電体18を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、集電体18を経由してカソード16に導かれる。(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は、電解質膜17を経てカソード16に導かれる。カソード16には、酸化剤として空気(酸素)が供給される。カソード16に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層14で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
この反応で生成した電子(e-)は、集電体18を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、集電体18を経由してカソード16に導かれる。(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は、電解質膜17を経てカソード16に導かれる。カソード16には、酸化剤として空気(酸素)が供給される。カソード16に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層14で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e-+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
上述した燃料電池1の発電反応において、発電する電力を増大させるためには触媒反応を円滑に行わせるとともに、膜電極接合体2の電極全体をより有効に発電に寄与させることが重要となる。
上述した燃料電池1の発電反応において、発電する電力を増大させるためには触媒反応を円滑に行わせるとともに、膜電極接合体2の電極全体をより有効に発電に寄与させることが重要となる。
アノード触媒層11と電解質膜17との間、及び、電解質膜17とカソード触媒層14との間の密着性あるいは接合性が不良であると、触媒反応で発生したプロトンのアノード触媒層11からカソード触媒層14への移動性が低下し、出力が低下する。また、アノード触媒層11と電解質膜17との間及び電解質膜17とカソード触媒層14との間で界面剥離が生じ、耐久性が低下する。
一方で、膜電極接合体2の周辺、あるいは、図4などに示したような複数の膜電極接合体2の間などに配置される枠状膜FFが燃料を透過してしまうと、燃費が低下する。このように、電解質膜17と枠状膜FFとでは、要求される特性が異なっている。
そこで、この実施の形態においては、電解質膜17と枠状膜FFとは別体として構成し、それぞれ必要な特性を有する材料によって形成されている。具体的には、枠状膜FFは、電解質膜17よりも燃料の透過率が低い材料によって形成されている。
このため、膜電極接合体2の周辺の枠状膜FFからの燃料の透過を抑制することが可能となる。つまり、発電反応に寄与することなくアノード側からカソード側に透過する燃料を低減することが可能となる。このため、燃料供給機構3から供給された燃料が効率的にアノード13から電解質膜17に至って発電反応に寄与する。したがって、燃料の利用効率(燃費)を向上することが可能となる。
また、枠状膜FFとしては、上記した燃料の透過率に加えて、電気抵抗が高い、機械的強度が高い、液体含浸による変形が少ないなどの特性を考慮して材料を選択しても良い。
上述した枠状膜FFによって規定される開口寸法は、図7に示すように、アノード13及びカソード16の電極寸法よりも小さく形成されることが望ましい。例えば、アノード13及びカソード16が長方形状に形成されている場合には、枠状膜FFの開口APも長方形状に形成されている。そして、開口APの長辺及び短辺の長さは、それぞれ電極の長辺及び短辺の長さよりも短い。
そして、このような形状の枠状膜FFは、アノード13及びカソード16の全周にわたって重畳していることが望ましい。すなわち、枠状膜FFの内側の部分がアノード13及びカソード16の電極と接していないと燃料が透過してしまうなどの問題がある。このため、枠状膜FFと電極とが接触するいわゆる“のりしろ”が全周にわたって存在することが望ましい。
枠状膜FFと膜電極接合体2とを接合するための接合面の強度を上げるためには、のりしろの面積(あるいは枠状膜FFと電極との重畳幅)を増やす必要があるが、その場合に枠状膜FFが非プロトン伝導性材料であれば実質的な発電に使用される面積が削られてしまう。一方で、発電部分の面積を十分に確保するためには、のりしろの面積(あるいは枠状膜FFと電極との重畳幅)を減らす必要があるが、その場合には接合面の強度の低下を招く。
そこで、重畳幅は、0.1mm〜2.0mmの範囲が好ましく、特に0.3mm〜1.0mmの範囲が望ましい。
なお、枠状膜FFがプロトン伝導材料によって形成されていれば、実質的な発電部分の面積を低減することなくのりしろの面積を拡大でき、接合強度を確保できる。一方、のりしろ面積を小さくすれば、発電部分の面積減少を考慮しなくて良いので、枠状膜FFの材料として、非プロトン伝導性材料を使用することが出来る。
プロトン伝導材料としては、電解質膜17の材料として説明したような、炭素系プロトン伝導体やフッ素系プロトン伝導体などの材料を使用することができる。
非プロトン伝導材料としては、膜を形成することができ、膜電極接合体2に供給される燃料例えばメタノールの透過性が低い材料であれば良く、(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、(B)主鎖が、フッ素で置換された脂肪族炭化水素からなる高分子として、パーフルオロカーボン、パーフルオロアルキルポリマー、(C)主鎖が芳香環を有する高分子として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリ(アリーレン・エーテル)、ポリイミド、ポリ(4-フェノキシベンゾイル-1,4-フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン、アリールポリベンズイミダゾール、アルキルポリベンズイミダゾール、アルキルポリベンズイミダゾール、ポリ(フェニレンエーテル)、(D)主鎖に実質的に炭素原子を含まないポリシロキサン、ポリフォスファゼン、(E)(A)〜(D)の高分子を構成する繰り返し単位から選ばれるいずれか2種以上の繰り返し単位からなる共重合体などが挙げられる。
図8に示すように、アノードガス拡散層12上にアノード触媒層11が形成されたアノード13と、カソードガス拡散層15上にカソード触媒層14が形成されたカソード16とを、電解質膜17と枠状膜FFとの両面にアノード触媒層11とカソード触媒層15とが接するように重ね合わせ、加熱プレスすることにより、枠状膜FFに接合された膜電極接合体2が形成される。
このとき、枠状膜FFの周縁部は、図9に示すように、アノード触媒層11とカソード触媒層14との間に挟持されている。なお、電解質膜17と枠状膜FFとは必ずしも接していなくても良い。ここに示した例では、加熱プレスによってアノード触媒層11及びカソード触媒層14が変形し、枠状膜FFが食い込んでいる。
または、枠状膜FFの周縁部は、図10に示すように、電解質膜17とアノード触媒層11との間に挟持されている。ここに示した例では、加熱プレスによってアノード触媒層11及び電解質膜17が変形し、枠状膜FFが食い込んでいる。
または、枠状膜FFの周縁部は、図11に示すように、電解質膜17とカソード触媒層14との間に挟持されている。ここに示した例では、加熱プレスによってカソード触媒層14及び電解質膜17が変形し、枠状膜FFが食い込んでいる。
(実施例1)
撥水処理したカーボンペーパーからなる多孔質基材(厚み200μm、面積12cm2、気孔率70体積%)の片面に、PtRu触媒とパーフルオロカーボンスルホン酸溶液を混合したスラリーを塗布し乾燥させてアノード触媒層11を形成してアノード13とした。同様に、Pt触媒とパーフルオロカーボンスルホン酸溶液を混合したスラリーを塗布し乾燥させてカソード触媒層14を形成してカソード16とした。
撥水処理したカーボンペーパーからなる多孔質基材(厚み200μm、面積12cm2、気孔率70体積%)の片面に、PtRu触媒とパーフルオロカーボンスルホン酸溶液を混合したスラリーを塗布し乾燥させてアノード触媒層11を形成してアノード13とした。同様に、Pt触媒とパーフルオロカーボンスルホン酸溶液を混合したスラリーを塗布し乾燥させてカソード触媒層14を形成してカソード16とした。
これらの電極の大きさと同様の大きさに切断した電解質膜(パーフルオロカーボンスルホン酸、厚み50μm)17と、電極形状に対応して真ん中をくり抜いた枠状膜(ポリエチレン、厚み30μm)FFを各辺0.5mmずつ重なるように配置して、アノード13及びカソード16により挟み込んで150℃、4MPaで5分間加熱プレスして膜電極接合体2と枠状膜FFとを接合し、さらにこれを用いて燃料電池を製造した。
(実施例2)
実施例1のアノード触媒層上の全面にパーフルオロカーボンスルホン酸の有機溶媒溶液を塗布し乾燥させて電解質膜17とした。乾燥後の膜厚さは25μmであった。そこに枠状膜(ポリエチレン、厚み30μm)FFを各辺0.5mmずつ重なるように配置して、アノード13及びカソード16により挟み込んで150℃、4MPaで5分間加熱プレスして膜電極接合体2と枠状膜FFとを接合し、さらにこれを用いて燃料電池を製造した。
実施例1のアノード触媒層上の全面にパーフルオロカーボンスルホン酸の有機溶媒溶液を塗布し乾燥させて電解質膜17とした。乾燥後の膜厚さは25μmであった。そこに枠状膜(ポリエチレン、厚み30μm)FFを各辺0.5mmずつ重なるように配置して、アノード13及びカソード16により挟み込んで150℃、4MPaで5分間加熱プレスして膜電極接合体2と枠状膜FFとを接合し、さらにこれを用いて燃料電池を製造した。
(比較例1)
実施例1などの電極のよりも一回り大きく切断した電解質膜(パーフルオロカーボンスルホン酸、50μm)17をアノード13及びカソード16により挟み込んで150℃、4MPaで5分間加熱プレスして膜電極接合体を作製し、さらにこれを用いて燃料電池を製造した。
実施例1などの電極のよりも一回り大きく切断した電解質膜(パーフルオロカーボンスルホン酸、50μm)17をアノード13及びカソード16により挟み込んで150℃、4MPaで5分間加熱プレスして膜電極接合体を作製し、さらにこれを用いて燃料電池を製造した。
(比較例2)
比較例1と同様に作製した膜電極接合体において、電解質膜(パーフルオロカーボンスルホン酸)17の電極に接していない部分にカプトンテープ(厚さ50μm)を貼り付け、さらにこれを用いて燃料電池を製造した。
比較例1と同様に作製した膜電極接合体において、電解質膜(パーフルオロカーボンスルホン酸)17の電極に接していない部分にカプトンテープ(厚さ50μm)を貼り付け、さらにこれを用いて燃料電池を製造した。
これらの燃料電池をそれぞれ運転し、燃費(Wh/g)及び出力密度(mW/cm2)を測定した。測定結果を図12に示す。
図12に示すように、比較例1においては、電極に接しない電解質膜部分からメタノールが徐々に抜けて、燃料が無駄に消費されてしまい、燃費が低下した。さらに、メタノールのクロスオーバーにより電圧が低下し、出力が下がった。しかし、実施例1及び実施例2においては、電極に接していない部分(枠状膜)からのメタノール透過が抑制されることで燃費が向上し、クロスオーバーが抑えられることで出力が向上した。比較例2においては、比較例1よりもクロスオーバーが抑制されているものの、貼り付けの隙間などから一部メタノールが抜けることで、実施例よりも燃費や出力が低かった。
長期試験(5000時間運転後)における燃費や出力は、実施例2の塗布型電解質膜はアノード触媒層と電解質膜との剥離が発生しないために、非常に高い出力を維持出来た。一方、比較例2では電極間の電解質膜が運転中に膨潤収縮を繰り返すことで劣化し、強度が低下したり変形が起きたりしてメタノールが抜け易くなり、燃費や出力が低下した。
以上説明したように、この実施の形態によれば、燃費を向上することが可能な燃料電池を提供することができる。また、燃費向上に加えて、出力を向上することが可能であるとともに良好な発電特性を長期に亘って安定して得ることが可能な燃料電池を提供することができる。
なお、上述した各実施形態の燃料電池1は、各種の液体燃料を使用した場合に効果を発揮し、液体燃料の種類や濃度は限定されるものではない。ただし、燃料を面方向に分散させつつ供給する燃料供給部31は、特に燃料濃度が濃い場合に有効である。このため、各実施形態の燃料電池1は、濃度が80wt%以上のメタノールを液体燃料として用いた場合に、その性能や効果を特に発揮することができる。したがって、各実施形態は、メタノール濃度が80wt%以上のメタノール水溶液や純メタノールを液体燃料として用いた燃料電池1に好適である。
さらに、上述した各実施形態は、本発明をセミパッシブ型の燃料電池1に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、内部気化型の純パッシブ型の燃料電池に対しても適用可能である。
なお、本発明は液体燃料を使用した各種の燃料電池に適用することができる。また、燃料電池の具体的な構成や燃料の供給状態等も特に限定されるものではなく、MEAに供給される燃料の全てが液体燃料の蒸気、全てが液体燃料、または一部が液体状態で供給される液体燃料の蒸気等、種々形態に本発明を適用することができる。実施段階では本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。さらに、上記実施形態に示される複数の構成要素を適宜に組み合わせたり、また実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除したりする等、種々の変形が可能である。本発明の実施形態は本発明の技術的思想の範囲内で拡張もしくは変更することができ、この拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1…燃料電池 2…膜電極接合体 3…燃料供給機構 4…燃料収容部
11…アノード触媒層 12…アノードガス拡散層 13…アノード
14…カソード触媒層 15…カソードガス拡散層 16…カソード
17…電解質膜 FF…枠状膜
11…アノード触媒層 12…アノードガス拡散層 13…アノード
14…カソード触媒層 15…カソードガス拡散層 16…カソード
17…電解質膜 FF…枠状膜
Claims (8)
- アノード触媒層を含むアノードと、カソード触媒層を含むカソードと、前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に挟持された電解質膜と、を有する膜電極接合体と、
前記電解質膜を囲む枠状に形成され、前記アノードと前記カソードとの間に接合された枠状膜と、
前記膜電極接合体の前記アノードに燃料を供給する燃料供給機構と、を備え、
前記枠状膜は、前記電解質膜よりも燃料の透過率が低い材料によって形成されたことを特徴とする燃料電池。 - 前記枠状膜によって規定される開口寸法は、前記アノード及び前記カソードの電極寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記枠状膜は、前記アノード及び前記カソードの全周にわたって重畳していることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池。
- 前記枠状膜と、前記アノード及び前記カソードとの重畳幅は、0.1mm〜2.0mmであることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池。
- 前記枠状膜の周縁部は、前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間、または、前記電解質膜と前記アノード触媒層との間、または、前記電解質膜と前記カソード触媒層との間に挟持されたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記電解質膜は、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の少なくとも一方に侵入していることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記電解質膜を介して配置された前記アノードと前記カソードとで構成される前記膜電極接合体を複数有し、前記膜電極接合体のそれぞれは、前記枠状膜によって平面内に分離して配置されたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記膜電極接合体に供給される燃料は、メタノール濃度が80wt%以上のメタノール水溶液または純メタノールであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008135759A JP2009283361A (ja) | 2008-05-23 | 2008-05-23 | 燃料電池 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5890561B1 (ja) * | 2015-05-01 | 2016-03-22 | 株式会社ギャラキシー | 電解槽及び電池 |
-
2008
- 2008-05-23 JP JP2008135759A patent/JP2009283361A/ja not_active Withdrawn
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