JP2008218048A - 燃料電池セル及び燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力特性に優れた燃料電池セル及び燃料電池セルを備えた燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池セルは、燃料極と、空気極と、燃料極及び空気極間に挟持された電解質膜27と、を有した膜電極接合体3と、膜電極接合体に対向配置され、燃料極に燃料を供給する燃料供給部7と、板状に形成され、燃料極及び燃料供給部間に挟持され、燃料供給部側に設けられているとともに燃料供給部に向かって開放した凹部54と、凹部が形成された領域を含んで形成され膜電極接合体に燃料を通過させる複数の燃料通過孔と、を有した燃料極支持板6と、を備えている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、燃料電池セル及び燃料電池セルを備えた燃料電池に関し、特に、液体燃料を用いた燃料電池セル及び燃料電池に関する。
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯用電子機器の電源に、燃料電池を用いる試みがなされている。燃料電池は、携帯用電子機器を、充電なしで長時間使用可能とするものである。燃料電池は、燃料と空気を供給するだけで発電することができ、燃料のみを補充・交換すれば連続して発電できるという利点を有している。このため、小型化ができれば携帯電子機器の長時間の作動に極めて有利なシステムといえる。
特に、直接メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)は、小型化が可能であり、また燃料の取り扱いも水素ガス燃料に比べて容易なことから小型機器用電源として有望である。
DMFCの燃料の供給方法としては、液体燃料を気化してからブロア等で燃料電池内に送り込む気体供給型DMFCと、液体燃料をそのままポンプ等で燃料電池内に送り込む液体供給型DMFC、液体燃料をセル内で気化させる内部気化型DMFC等が知られている。このうち内部気化型DMFCは、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されている。
内部気化型DMFCでは、燃料浸透層中に保持された液体燃料のうち気化成分を燃料気化層(アノードガス拡散層)において拡散させ、拡散された気化燃料がアノード触媒層に供給され、カソード触媒層側からの空気と電解質膜において発電反応する。
なお、液体供給型DMFCでは、セルと燃料収容部とを流路を介して接続する技術が知られている(例えば、特許文献3乃至5参照)。液体燃料を、流路を介してセルに供給することによって、流路の形状や径等に基づいて液体燃料の供給量を調整することができる。
特許第3413111号公報 国際公開番号WO2006/057283号公報 特表2005−518646号公報 特開2006−85952号公報 米国特許公開第2006/0029851号公報
上記燃料電池において、液体燃料がセルに不均一に供給される場合がある。供給状態が不均一になると、発電に寄与するセルの割合が減少し、燃料電池の出力低下が生じる恐れがある。さらに、出力(発電量)が不安定になり、所望の出力を安定して得ることができない恐れがある。上記したことから、液体燃料の供給状態が不均一であると、燃料電池の性能が低下することになる。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、出力特性に優れた燃料電池セル及び燃料電池セルを備えた燃料電池を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の態様に係る燃料電池セルは、
燃料極と、空気極と、前記燃料極及び空気極間に挟持された電解質膜と、を有した膜電極接合体と、
前記膜電極接合体に対向配置され、前記燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、
板状に形成され、前記燃料極及び燃料供給部間に挟持され、前記燃料供給部側に設けられているとともに前記燃料供給部に向かって開放した凹部と、前記凹部が形成された領域を含んで形成され前記膜電極接合体に燃料を通過させる複数の燃料通過孔と、を有した燃料極支持板と、を備えている。
また、本発明の他の態様に係る燃料電池は、
燃料極と、空気極と、前記燃料極及び空気極に挟持された電解質膜と、を有した膜電極接合体と、前記膜電極接合体に対向配置され、前記燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、板状に形成され、前記燃料極及び燃料供給部間に挟持され、前記燃料供給部側に設けられているとともに前記燃料供給部に向かって開放した凹部と、前記凹部が形成された領域を含んで形成され前記膜電極接合体に燃料を通過させる複数の燃料通過孔と、を有した燃料極支持板と、を具備した燃料電池セルと、
燃料を収容するとともに燃料を前記燃料供給部に与える燃料供給源と、を備えている。
この発明によれば、出力特性に優れた燃料電池セル及び燃料電池セルを備えた燃料電池を提供することができる。
以下、図面を参照しながらこの発明の第1の実施の形態に係る燃料電池セル及び燃料電池について詳細に説明する。この実施の形態において、直接メタノール型の燃料電池について説明する。
図1に示すように、燃料電池は、燃料電池セル1と、燃料82を収容するとともに燃料を燃料電池セル1に与える燃料供給源2とを備えている。この実施の形態において、燃料電池の燃料供給方式はセミパッシブ方式と呼称される方式を適用している。
燃料電池セル1は、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)3と、集電体4と、燃料極支持板6と、燃料供給機構としての燃料供給部7と、フロントカバー15とを備えている。
図1及び図2に示すように、膜電極接合体3は、燃料極としてのアノード21と、アノード21に所定の隙間を置いて対向配置された空気極としてのカソード24と、アノード21及びカソード24間に挟持された電解質膜27とを有している。互いに重なったアノード21、カソード24及び電解質膜27は発電素子20を形成している。
この実施の形態において、膜電極接合体3は矩形状の発電領域R1を有している。発電領域R1は、発電に有効な4つの有効領域R2と、3つの非有効領域R3とを有している。これらの有効領域R2は、矩形状であり、長軸を有し、間隔を置いて位置している。非有効領域R3は、これら有効領域R2の間に位置している。この実施の形態において、発電領域R1は、幅W1が45mm、長さL1が80mmである。発電領域R1の面積は、膜電極接合体3の面積の72%である。なお、発電領域R1の面積は、ノギス又は光学顕微鏡で測定することにより求めることができる。
また、膜電極接合体3は4つの発電素子20を有している。発電素子20は、矩形状であり、長軸を有し、それぞれ有効領域R2に重なっている。4つの発電素子20は共通の電解質膜27で形成されている。
アノード21は、アノード触媒層22と、アノード触媒層22に積層されたアノードガス拡散層23とを有している。カソード24は、カソード触媒層25と、カソード触媒層25に積層されたカソードガス拡散層26とを有している。
アノード触媒層22は、アノードガス拡散層23を介して供給される燃料を酸化させ燃料から電子とプロトンとを取り出すものである。カソード触媒層25は、酸素を還元して、電子とアノード触媒層22において発生したプロトンとを反応させて水を生成するものである。
アノード触媒層22やカソード触媒層25に含有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層22には、メタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層25には、PtやPt−Ni等を用いることが好ましい。ただし、触媒はこれらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。触媒は炭素材料のような導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
電解質膜27はプロトン導電膜である。電解質膜27は、アノード触媒層22において発生したプロトンをカソード触媒層25に輸送するためのものである。電解質膜27は、電子伝導性を持たず、プロトンを輸送することが可能なプロトン伝導性の材料で形成されている。
電解質膜27を形成する材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし、プロトン伝導性の材料はこれらに限られるものではない。
アノードガス拡散層23は、アノード触媒層22に燃料を均一に供給する役割を果たし、アノード触媒層22の集電機能を有している。カソードガス拡散層26は、カソード触媒層25に酸化剤を均一に供給する役割を果たし、カソード触媒層25の集機能を有している。アノードガス拡散層23及びカソードガス拡散層26は多孔質基材で構成されている。
図1、図3、図4及び図5に示すように、集電体4は、導電層30、シール材38及びシール材39を備えている。導電層30は、例えば、金、ニッケル等の金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)又は箔体、あるいはステンレス鋼(SUS)などの導電性金属材料に金などの良導電性金属を被覆した複合材を材料に形成されている。導電層30は、アノード導電層31、カソード導電層34及び導電部材37を有している。
アノード導電層31は、第1乃至第4アノード導電層31a〜31dを有している。第1乃至第4アノード導電層31a〜31dは、それぞれアノードガス拡散層23の形状に合わせて形成されている。この実施の形態において、第1乃至第4アノード導電層31a〜31dは、矩形状に形成され、長軸を有し、互いに間隔を置いて位置している。第1乃至第4アノード導電層31a〜31dは、互いに電気的に絶縁されている。
第1乃至第4アノード導電層31a〜31dは、それぞれ複数の燃料通過孔32を有している。燃料通過孔32は、第1乃至第4アノード導電層31a〜31dの長軸に沿った方向に並んでいる。燃料通過孔32は、矩形状に形成されている。第1アノード導電層31aには端子33が形成されている。
カソード導電層34は、第1乃至第4カソード導電層34a〜34dを有している。第1乃至第4カソード導電層34a〜34dは、それぞれカソードガス拡散層26の形状に合わせて形成されている。この実施の形態において、第1乃至第4カソード導電層34a〜34dは、矩形状に形成され、長軸を有し、互いに間隔を置いて位置している。第1乃至第4カソード導電層34a〜34dは、互いに電気的に絶縁されている。
第1乃至第4カソード導電層34a〜34dは、それぞれ複数の通気孔35を有している。通気孔35は、第1乃至第4カソード導電層34a〜34dの長軸に沿った方向に並んでいる。通気孔35は、矩形状に形成されている。第4カソード導電層34dには端子36が形成されている。
第2アノード導電層31b及び第1カソード導電層34a、第3アノード導電層31c及び第2カソード導電層34b、並びに第4アノード導電層31d及び第3カソード導電層34cは、それぞれ導電部材37を介して電気的に接続されている。
シール材38及びシール材39は、絶縁材料として、例えばゴムで形成されている。シール材38は、アノード導電層31の外周を囲むよう枠状に形成され、アノード導電層31に予め接着又は形成されている。シール材39は、カソード導電層34の外周を囲むよう枠状に形成され、カソード導電層34に予め接着又は形成されている。
導電層30は二つ折りにされている。アノード導電層31及びカソード導電層34は、所定の間隔を置いて対向配置されている。膜電極接合体3は、導電層30の内部空間に収容され、アノード導電層31及びカソード導電層34により挟まれている。
第1乃至第4アノード導電層31a〜31dは、それぞれアノードガス拡散層23に重なっているとともに密着している。第1乃至第4カソード導電層34a〜34dは、それぞれカソードガス拡散層26に重なっているとともに密着している。4つの発電素子20は、導電層30により直列に接続されている。膜電極接合体3の周囲はシール材38及びシール材39により規定されるため、導電層30に対する膜電極接合体3の位置決めは容易になる。
上記したように、膜電極接合体3及び集電体4が組合されることで、燃料の気化成分は、燃料通過孔32を通ってアノードガス拡散層23及びアノード触媒層22に供給される。このため、燃料電池セル1は、燃料の気化成分をアノードガス拡散層23及びアノード触媒層22に供給するように形成されている。例えば、アノード導電層31と、燃料供給部7との間に、気化膜として図示しない気液分離膜14を設けることにより、燃料の気化成分をアノードガス拡散層23及びアノード触媒層22に供給することができる。
ここで、シール材38は、膜電極接合体3からの燃料の漏れを防止する機能を有している。
酸化剤としての空気は、通気孔35を通ってカソードガス拡散層26及びカソード触媒層25に供給される。ここで、シール材39は、膜電極接合体3からの酸化剤の漏れを防止する機能を有している。
図6、図7及び図8に示すように、燃料極支持板6は、板状に形成されている。燃料極支持板6は、矩形状の板部51を有している。板部51は、アノード21及び燃料供給部7間に挟持されている。より詳しくは、板部51は、アノード導電層31及び多孔体10間に挟持されている。後述するが、多孔体10は、矩形状であり、膜状に形成されている。
板部51は、矩形状の上壁52と、上壁52の周縁部に設けられた矩形枠状の周壁53とを有している。この実施の形態において、板部51は、幅W2が45mm、長さL2が85mmである。板部51(上壁52+周壁53)の厚みT2は2mmである。
板部51は、燃料供給部7側に設けられているとともに燃料供給部側(本実施の形態ではバックカバー9)に向かって開放した凹部54を有している。凹部54は、上壁52及び周壁53により形成されている。この実施の形態において、凹部54は、幅W3が35mm、長さL3が75mm、厚みT3が0.5mmである。凹部54の面積と、発電領域R1の面積との比は、0.88である。凹部54は発電領域R1に88%以上重なっている。
ここで、板部51は直方体である。このため、板部51を直方体と仮定し、外面より凹んだ空間を凹部54の空間体積とする。
板部51は、膜電極接合体3、より詳しくはアノード21に燃料を通過させる複数の燃料通過孔55を有している。燃料通過孔55は、マトリクス状に設けられている。燃料通過孔55は、凹部54が形成された領域を含んで形成されている。この実施の形態において、燃料通過孔55は、凹部54に重なった上壁52に形成されているとともに、凹部54の周縁を越えた周壁53の内側にも形成されている。
上述した燃料極支持板6には、燃料として液体燃料82の気化成分が供給される。燃料極支持板6は凹部54を有している。凹部54により燃料極支持板6内部に空間が形成されるため、液体燃料82の気化成分の面方向への拡散は促進される。これにより、液体燃料82の気化成分は燃料通過孔55を均一に通ってアノード21に均一に供給される。上記したことから、燃料電池の出力を向上でき、出力の安定性を高めることができる。
ここで、液体燃料82としては、液体のメタノール等のメタノール燃料、又はメタノール水溶液が挙げられる。液体燃料82の気化成分とは、液体燃料82として液体のメタノールを使用した場合、気化したメタノールを意味し、液体燃料82としてメタノール水溶液を使用した場合にはメタノールの気化成分と水の気化成分からなる混合ガスを意味する。
図1及び図9に示すように、燃料供給部7は、バックカバー9と、多孔体10と、シール材13とを備えている。この実施の形態において、燃料供給部7は燃料分配機構としての機能を有している。
バックカバー9は燃料供給板61を有している。この実施の形態において、燃料供給板61は燃料分配板として機能する。燃料供給板61は、膜電極接合体3に対向した燃料排出面61Sを有している。燃料供給板61には、少なくとも1つの燃料注入口63と、複数の燃料排出口64と、燃料注入口63及び燃料排出口64を繋いだ管部65とが形成されている。
燃料注入口63は、燃料供給板61の適所、例えば側面に1つ形成されている。液体燃料82は、燃料注入口63から注入される。管部65は、燃料注入口63及び燃料排出口64を連通させている。燃料排出口64は、燃料排出面61Sに形成されている。燃料排出口64からは、液体燃料82又はその気化成分が排出される。この実施の形態において、燃料電池セル1に上述した気液分離膜14が設けられているため、燃料排出口64からは液体燃料82が排出される。
ここで、気液分離膜14は、多数の細孔を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートからなり、液体燃料(メタノール液又はその水溶液)を遮断し、燃料ガス(メタノールガス)を透過させる性質を有するものである。
管部65は、液体燃料82の通路として機能する。管部65の一端に燃料注入口63が繋がっている。管部65は、途中で複数に分岐し、これら分岐した管部65の終端に燃料排出口64が繋がっている。管部65は、例えば内径が0.05乃至5mmであると好ましい。
燃料注入口63から燃料供給板61に注入された液体燃料82は、複数に分岐した管部65を介して複数の燃料排出口64にそれぞれ導かれる。上記したような燃料供給板61を用いることにより、燃料供給板61に注入された液体燃料82を方向や位置に拘わりなく、複数の燃料排出口64に均等に分配することができる。燃料排出面61Sから液体燃料82を均等に排出できるため、膜電極接合体3における発電反応の均一性を高めることができる。
すなわち、アノード21の面内における燃料の分布が平準化され、膜電極接合体3での発電反応に必要とされる燃料を全体的に過不足なく供給することができる。従って、燃料電池の大型化や複雑化等を招くことなく、膜電極接合体3で効率的に発電反応を生起させることができる。これによって、燃料電池の出力を向上させることが可能となる。言い換えると、燃料を循環させないパッシブ型燃料電池の利点を損なうことなく、出力やその安定性を高めることができる。
図1に示すように、多孔体10は、燃料極支持板6及び燃料供給板61間に挿入され、挟持されている。多孔体10は、発電領域R1に重なり、凹部54をほぼ全て覆っている。多孔体10は、各種樹脂を材料として形成され、多孔質状態の樹脂フィルム等を材料として形成されている。このような多孔体10を用いることによって、アノード21に対する燃料供給量をより一層平均化することができる。
すなわち、燃料供給板61の燃料排出口64から噴出した液体燃料82は、一旦多孔体10に吸収され、多孔体10の内部で面内方向に拡散される。この後、多孔体10からアノード21に燃料が供給されるため、燃料供給量をより一層平均化することが可能となる。
図1に示すように、シール材13は、絶縁材料として、例えばゴムで形成されている。シール材13は、多孔体10の外周を囲むよう枠状に形成されている。ここで、シール材13は、燃料極支持板6及び燃料供給板61間からの燃料の漏れを防止する機能を有している。
図1及び図10に示すように、フロントカバー15は、矩形状の板部71を有している。板部71はカソード導電層34上に設けられている。板部71は、膜電極接合体3、より詳しくはカソード24に酸化剤としての空気を取入れるための複数の通気孔72を有している。通気孔72は、マトリクス状に設けられている。
なお、図示しないが、フロントカバー15は、板部71の周縁から外側に延出した複数の延出部を有している。燃料電池セル1は、これら延出部がバックカバー9の外面にかしめ加工されることにより完成する。このため、膜電極接合体3、集電体4、燃料極支持板6及び多孔体10は、バックカバー9及びフロントカバー15で挟持されている。
ここで、カソード24及びフロントカバー15間に、図示しない保湿板や表面層を設けても良い。保湿板は、フロントカバー15の通気孔72を通って導入される空気の通過を阻害せず、かつ、外部からの埃や異物の混入、さらには接触などを防止するものである。
保湿板は、カソード触媒層25において生成された水の一部を吸収して水の蒸散を抑制し、かつ、カソードガス拡散層26に空気を均一に導入することによりカソード触媒層25への空気の均一拡散を促す機能を有している。保湿板には好ましくは気孔率が例えば20〜60%の多孔性フィルム等が用いられる。
表面層は空気の取入れ量を調整するものであり、空気の取入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口を有している。
上述した燃料電池セル1の厚みT1は、7.5mmである。なお、厚みT1は、バックカバー9の外面及びフロントカバー15の外面間の長さに等しい。このため、凹部54の空間体積と、燃料電池セルの厚みと、の比は、0.175(cc/mm)である。
図1に示すように、燃料供給源2は、燃料収容部81を備えている。燃料収容部81には液体燃料82が収容されている。液体燃料82としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。
燃料供給源2は、流路83及びポンプ84をさらに備えている。流路83はチューブ状に形成され、燃料収容部81及び燃料注入口63に接続されている。このため、燃料供給部7には燃料収容部81から流路83を介して液体燃料82が導入される。
ポンプ84は、流路83の途中に挿入されている。ポンプ84は燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料供給源2から燃料供給部7に液体燃料82を送液する燃料供給ポンプである。このようなポンプ84で必要時に液体燃料82を送液することによって、燃料供給量の制御性を高めることができる。
燃料供給部7から膜電極接合体3に供給された液体燃料82は発電反応に使用され、その後に循環して燃料供給源2に戻されることはない。この実施の形態の燃料電池は、燃料を循環しないことから、従来のアクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。また、燃料電池は、液体燃料82の供給にポンプ84を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なる。このため、燃料電池は、上述したようにセミパッシブ方式と呼称される方式を適用している。
ポンプ84の種類は特に限定されるものではないが、少量の液体燃料82を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーポンプ(ロータリーベーンポンプ)、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。
ロータリーポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。これらのうち、駆動電力や大きさ等の観点から、電気浸透流ポンプや圧電セラミックスを有するダイアフラムポンプを使用することがより好ましい。
燃料電池を搭載する主たる対象物が小型電子機器であることから、ポンプ84の送液量は、10μL/分〜1mL/分の範囲とすることが好ましい。送液量が1mL/分を超えると一度に送液される液体燃料82の量が多くなりすぎて、全運転期間に占めるポンプ84の停止時間が長くなる。このため、膜電極接合体3への燃料の供給量の変動が大きくなり、その結果として出力の変動が大きくなる。
これを防止するためのリザーバをポンプ84と燃料供給部7との間に設けてもよいが、そのような構成を適用しても燃料供給量の変動を十分に抑制することはできず、さらに装置サイズの大型化等を招いてしまう。
一方、ポンプ84の送液量が10μL/分未満であると、装置立ち上げ時のように燃料の消費量が増える際に供給能力不足を招く恐れがある。これによって、燃料電池の起動特性等が低下する。このような点から、10μL/分〜1mL/分の範囲の送液能力を有するポンプ84を使用することが好ましい。ポンプ84の送液量は10〜200μL/分の範囲とすることがより好ましい。このような送液量を安定して実現する上でも、ポンプ84には電気浸透流ポンプやダイアフラムポンプを適用することが好ましい。
ポンプ84は、必要時動作させて燃料供給源2から燃料供給部7に液体燃料82を供給する。このように、ポンプ84で燃料供給源2から燃料供給部7まで液体燃料82を送液する場合においても、燃料供給部7は有効に機能するため、膜電極接合体3に対する燃料供給量を均一化することが可能となる。
また、燃料供給部7から膜電極接合体3への燃料供給が行われる構成であればポンプ84に代えて燃料遮断バルブを配置する構成とすることも可能である。この場合には、燃料遮断バルブは、流路による液体燃料の供給を制御するために設けられるものである。
上記したように、燃料電池が形成されている。
次に、上記燃料電池による発電の仕組みについて説明する。
まず、ポンプ84を稼動させ、燃料収容部81から流路83を介して燃料供給部7に液体燃料82を導入させる。この液体燃料82は燃料供給部7から放出され、液体燃料82の気化成分が膜電極接合体3のアノード21に供給される。この実施の形態において、燃料極支持板6は凹部54を有しているため、燃料はアノード21に均一に供給される。
膜電極接合体3内において、燃料はアノードガス拡散層23にて拡散してアノード触媒層22に供給される。液体燃料82としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層22で式(1)に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層25で生成した水や電解質膜27中の水をメタノールと反応させて式(1)の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CHOH+HO → CO+6H+6e …(1)
この反応で生成した電子(e)は集電体4を経由して端子33から外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、端子36からカソード24に導かれる。また、式(1)の内部改質反応で生成したプロトン(H)は電解質膜27を経てカソード24に導かれる。カソード24には酸化剤として空気が供給される。カソード24に到達した電子(e)とプロトン(H)は、カソード触媒層25で空気中の酸素と式(2)にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e+6H+(3/2)O → 3HO …(2)
上記したように、燃料電池による発電が行われる。
ここで、本願発明者は、実施例1乃至4の燃料電池及び比較例1の燃料電池を評価するため、電圧偏差及び出力相対値を測定した。測定する際、燃料として純メタノール燃料を用い、燃料収容部81に収容された純メタノール燃料をポンプ84を用いて燃料排出口64まで液送し、一定電圧で発電を行った。また、燃料電池を、温度25℃、相対湿度50%の環境下に配置した。
まず、実施例1の燃料電池について説明する。実施例1の燃料電池は上述した実施の形態の燃料電池である。
図11に示すように、燃料極支持板6は凹部54を有している。凹部54の面積と、発電領域R1の面積との比は、0.88である。凹部54の空間体積と、燃料電池セル1の厚みとの比は、0.175(cc/mm)である。出力としての電圧のばらつきを示す電圧偏差は10mVであった。上記したことから、出力が安定していることが分かる。そして、出力の高い燃料電池を実現することができた。なお、この実施例1の燃料電池の出力相対値を100とした。
次に、比較例1の燃料電池について説明する。
図11に示すように、燃料極支持板6は凹部54を有していない。電圧偏差は100mVであった。上記したことから、出力が不安定であることが分かる。比較例1の燃料電池の出力相対値は75であった。上記したことから、出力の高い燃料電池を実現することができなかった。
次に、実施例2の燃料電池について説明する。実施例2の燃料電池は、凹部54のサイズを変えた以外、上記実施の形態の燃料電池と同様に形成されている。
図11に示すように、燃料極支持板6は凹部54を有している。凹部54の面積と、発電領域R1の面積との比は、0.65である。凹部54の空間体積と、燃料電池セル1の厚みとの比は、0.175(cc/mm)である。電圧偏差は50mVであった。上記したことから、実施例1に比較し出力が不安定であることが分かる。実施例2の燃料電池の出力相対値は83であった。上記したことから、比較例1に比較し優れてはいるが、実施例1に比較した場合には出力の高い燃料電池を実現することができなかった。
次に、実施例3の燃料電池について説明する。実施例3の燃料電池は、凹部54のサイズを変えた以外、上記実施の形態の燃料電池と同様に形成されている。
図11に示すように、燃料極支持板6は凹部54を有している。凹部54の面積と、発電領域R1の面積との比は、1.3である。凹部54の空間体積と、燃料電池セル1の厚みとの比は、0.175(cc/mm)である。電圧偏差は12mVであった。出力が安定していることが分かる。実施例3の燃料電池の出力相対値は85であった。上記したことから、比較例1に比較し優れてはいるが、実施例1に比較した場合には出力の高い燃料電池を実現することができなかった。
次に、実施例4の燃料電池について説明する。実施例4の燃料電池は、燃料電池セル1の厚みT1を5mm、凹部54の厚みT3を0.1mmに変えた以外、上記実施の形態の燃料電池と同様に形成されている。
図11に示すように、燃料極支持板6は凹部54を有している。凹部54の面積と、発電領域R1の面積との比は、0.88である。凹部54の空間体積と、燃料電池セル1の厚みとの比は、0.053(cc/mm)である。電圧偏差は80mVであった。実施例1に比較し出力が不安定であることが分かる。実施例4の燃料電池の出力相対値は80であった。上記したことから、比較例1に比較し優れてはいるが、実施例1に比較した場合には出力の高い燃料電池を実現することができなかった。
上記したように構成された燃料電池によれば、燃料電池セル1は、膜電極接合体3と、燃料極支持板6と、燃料供給部7とを備えている。燃料極支持板6は凹部54を有している。凹部54により燃料極支持板6内部に空間が形成されるため、液体燃料82の気化成分の面方向への拡散は促進される。これにより、燃料はアノード21に均一に供給される。上記したことから、燃料電池の出力を向上でき、出力の安定性を高めることができる。
凹部54の面積と、発電領域R1の面積との比は、0.88である。凹部54は発電領域R1に88%以上重なっている。このため、燃料をアノード21に一層均一に供給でき、燃料電池の出力及びその安定性を一層高めることができる。上記したことは、凹部54の面積と、発電領域R1の面積との比が0.7乃至1.2であり、凹部54が発電領域R1に70%以上重なっている場合、上記した効果を得ることができる。
凹部54の空間体積と、燃料電池セル1の厚みとの比は、0.175(cc/mm)である。さらに、厚さ10mmである。このため、燃料電池セル1を薄型化した場合であっても、燃料極支持板6に凹部54を形成することにより、燃料をアノード21に一層均一に供給できる。そして、燃料電池の出力及びその安定性を一層高めることができる。上記したことは、凹部54の空間体積と、燃料電池セル1の厚みとの比は、0.05(cc/mm)以上であり、厚さ50mm以下である場合、上記した効果を得ることができる。
バックカバー9において、燃料排出面61Sに形成された複数の燃料排出口64は、管部65により燃料注入口63と連通している。このため、燃料供給板61に注入された液体燃料82を方向や位置に拘わりなく、複数の燃料排出口64に均等に分配することができる。燃料排出面61Sから液体燃料82を均等に排出できるため、膜電極接合体3における発電反応の均一性を高めることができる。これにより、燃料電池の出力を向上させることができ、出力やその安定性を高めることができる。
上記したことから、出力特性に優れた燃料電池セル1及び燃料電池セル1を備えた燃料電池を得ることができる。
次に、この発明の第2の実施の形態に係る燃料電池セル及び燃料電池について詳細に説明する。この実施の形態において、直接メタノール型の燃料電池について説明する。この実施の形態において、他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図12及び図13に示すように、燃料電池は、燃料電池セル1と、燃料を収容するとともに燃料を燃料電池セル1に与える燃料供給源2とを備えている。この実施の形態において、燃料電池の燃料供給方式はパッシブ方式である。
燃料電池セル1は、膜電極接合体3と、集電体4と、燃料極支持板6と、燃料供給部7と、フロントカバー15とを備えている。燃料極支持板6は凹部54を有している。燃料供給部7は、バックカバー9と、シール材13と、気液分離膜14とを備えている。なお、多孔体10は設けられていない。
バックカバー9は、燃料供給板61を有している。この実施の形態において、燃料供給板61は燃料分配板として機能する。燃料供給板61は、燃料排出面61Sを有している。燃料供給板61には、少なくとも1つの燃料注入口63と、複数の燃料排出口64と、空隙部66とが形成されている。
燃料注入口63は、燃料供給板61の適所、例えば側面に1つ形成されている。液体燃料82は、燃料注入口63から注入される。空隙部66は、燃料供給板61内部に形成され、燃料注入口63及び燃料排出口64に繋がっている。空隙部66は液体燃料82の通路となる。
燃料排出口64は、燃料排出面61Sに形成されている。燃料排出口64は、空隙部66にそれぞれ直接接続されている。燃料排出口64からは、液体燃料82が排出される。液体燃料82を収容する空隙部66は、液溜めとして機能し、燃料供給部7によって周囲を規定される所定容量のスペースからなる。
燃料注入口63から燃料供給部7に導入された液体燃料82は空隙部66に入り、この燃料通路として機能する空隙部66を介して複数の燃料排出口64にそれぞれ導かれる。燃料排出面61S上には、液体燃料82の気化成分のみを透過し、液体成分は透過させない気液分離膜14が配置されていてもよい。
気液分離膜14は、燃料極支持板6及び燃料供給板61間に挿入され、挟持されている。気液分離膜14は、発電領域R1に重なり、凹部54を全て覆っている。シール材13は、気液分離膜14の外周を囲むよう枠状に形成されている。
これにより、膜電極接合体3のアノード21には液体燃料82の気化成分が供給される。従って、液体燃料82の気化成分は、複数の燃料排出口64からアノード21の複数個所に向けて排出される。燃料排出口64は、膜電極接合体3の全体に燃料を供給することが可能なように、燃料排出面61Sに複数設けられている。燃料排出口64の個数は2個以上であれば良い。
燃料供給部7の空隙部66はバッファとして機能するため、複数の燃料排出口64からそれぞれ規定濃度の燃料が排出される。燃料排出口64は膜電極接合体3の全面に燃料が供給されるように配置されているため、膜電極接合体3に対する燃料供給量を均一化することができる。
すなわち、アノード21の面内における燃料の分布が平準化され、膜電極接合体3での発電反応に必要とされる燃料を全体的に過不足なく供給することができる。従って、燃料電池の大型化や複雑化等を招くことなく、膜電極接合体3で効率的に発電反応を生起させることができる。これによって、燃料電池の出力を向上させることが可能となる。言い換えると、燃料を循環させないパッシブ型燃料電池の利点を損なうことなく、出力やその安定性を高めることができる。
上記実施の形態で用いた燃料供給部7は、その内部に設けられた空隙部66から燃料を複数の燃料排出口64に分配している。このため、厳密には燃料注入口63に近い側の温度が若干高く、奥に行くに従って温度が低下する現象が観察される。また、燃料電池セル1を傾斜させた場合には重力の影響等から傾斜方向によって温度分布が変化し、下側の部分の反応が高くなる傾向が観察される。実用上はこれでも十分な性能を得ることができるが、さらに優れた出力を得るためには、上述した第1の実施の形態の燃料電池のように、燃料注入口63と、燃料排出口64とを管部65で連通させた燃料供給部7を用いることが好ましい。
空隙部66の内部には、図示しない液体燃料含浸層が設けられている。空隙部66内の液体燃料82が減少した場合や燃料電池セル1が傾斜して載置され燃料供給が偏った場合においても、液体燃料含浸層は、気液分離膜14に均質に燃料供給する。その結果、アノード触媒層22に対して均質に気化された液体燃料を供給することが可能となる。
液体燃料含浸層として、例えば多孔質ポリエステル繊維、多孔質オレフィン系樹脂等多硬質繊維や、連続気泡多孔質体樹脂が好ましい。ポリエステル繊維以外にも、アクリル酸系の樹脂などの各種吸水性ポリマーにより液体燃料含浸層を形成しても良い。スポンジまたは繊維の集合体など液体の浸透性を利用して液体を保持することができる材料により液体燃料含浸層を形成する。このような液体燃料含浸層は本体の姿勢に関わらず適量の燃料を供給するのに有効である。
上記したように構成された燃料電池によれば、燃料電池セル1は、膜電極接合体3と、燃料極支持板6と、燃料供給部7とを備えている。燃料極支持板6は凹部54を有している。凹部54により燃料極支持板6内部に空間が形成されるため、液体燃料82の気化成分の面方向への拡散は促進される。これにより、燃料はアノード21に均一に供給される。上記したことから、燃料電池の出力を向上でき、出力の安定性を高めることができる。
上記したことから、出力特性に優れた燃料電池セル1及び燃料電池セル1を備えた燃料電池を得ることができる。
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、図9に示した燃料排出口64の位置を工夫し、膜電極接合体3の特定個所により多くの燃料を供給するよう燃料供給板61を設計しても良い。製品への燃料電池装着上の都合から燃料電池セル1の半分の部位の放熱がよくなってしまうような場合、従来では温度分布が生じてしまい、平均出力の低下が避けられない。これに対して、燃料排出口64及び管部65の形成パターンを調整し、予め放熱のよい部分に燃料排出口64を密に配置することによって、その部分での発電に伴う発熱を多くすることができる。これによって、面内の発電度合いを均一化することができ、出力低下を抑制することが可能となる。
液体燃料82を燃料収容部81から燃料供給部7まで送る機構は特に限定されるものではない。例えば、使用時の設置場所が固定される場合には、重力を利用して液体燃料82を燃料収容部81から燃料供給部7まで落下させて送液することができる。また、多孔体等を充填した流路83を用いることによって、毛細管現象で燃料収容部81から燃料供給部7まで送液することもできる。
集電体4は必要に応じて設けられていれば良い。
流路83は燃料供給部7や燃料収容部81と独立した配管に限られるものではない。例えば、燃料供給部7と燃料収容部81とを積層して一体化する場合、これらを繋ぐ液体燃料82の流路であってもよい。燃料供給部7は流路83を介して燃料収容部81と接続されていれば良い。
膜電極接合体3は複数の発電素子20を有し、発電素子20が直列に接続されているが、これに限られるものではない。膜電極接合体3は、アノード21、カソード24及び電解質膜27が重なった発電領域R1に形成された1つの発電素子20を有していても良い。
図1に示した燃料供給源2は、ポンプ84を制御する制御部を有していても良い。燃料供給用(送液用)のポンプ84の制御は、例えば燃料電池の出力を参照して行うことが好ましい。燃料電池の出力は制御部で検出され、この検出結果に基づいてポンプ84に制御信号が送られる。ポンプ84は制御部から送られる制御信号に基づいてオン/オフが制御される。ポンプ84の動作は燃料電池の出力に加えて、温度情報や電力供給先である電子機器の運転状態情報等に基づいて制御することで、より安定した運転が達成できる。
ポンプ84の具体的な動作制御方法としては、例えば燃料電池からの出力が所定の規定値より高くなった場合にポンプ84を停止または送液量を低下させ、出力が規定値より低くなった場合にポンプ84の運転を再開または送液量を増加させる方法が挙げられる。別の動作制御方法としては、燃料電池からの出力の変化率がプラスの場合にポンプ84の運転を停止または送液量を低下させ、出力の変化率がマイナスになった場合にポンプ84の運転を再開または送液量を増加させる方法が挙げられる。
燃料電池としての安定性や信頼性を高めるため、図1に示した燃料供給源2は、燃料遮断バルブを有していても良い。燃料遮断バルブは、ポンプ84と直列に配置することが好ましい。燃料遮断バルブは、例えばポンプ84と燃料供給部7との間の流路83に挿入されている。燃料遮断バルブは、ポンプ84と燃料収容部81との間に設置しても機能上の支障はない。
ただし、燃料遮断バルブをポンプ84と燃料収容部81との間の流路83に設置した場合、例えば長期保管時にポンプ84の燃料が蒸発すると、燃料収容部81からの液体燃料82の吸出し機能に支障が生じる恐れがある。このようなことから、燃料遮断バルブはポンプ84と燃料供給部7との間の流路83に設置し、長期保管時等におけるポンプ84からの液体燃料82の蒸発を防止することが好ましい。
このように、燃料収容部81と燃料供給部7との間に燃料遮断バルブを挿入することによって、燃料電池の未使用時にも不可避的に発生する微量な燃料の消費や上述したポンプ再運転時の吸い込み不良等を回避することができる。これらは燃料電池の実用上の利便性の向上に大きく貢献するものである。
さらに、燃料遮断バルブは、図12に示した燃料供給源2が有していても有効である。例えば、燃料供給部7と燃料収容部81とを接続する流路83に燃料遮断バルブを挿入する。このような構成を適用することによって、膜電極接合体3に対する燃料の供給を制御し、燃料電池の出力制御性を高めることができる。この場合の燃料遮断バルブの動作制御は、上述したポンプ84の動作制御と同様に実施することができる。
図1に示した燃料電池において、燃料収容部81や流路83に、燃料収容部81内の圧力を外気とバランスさせるバランスバルブを装着することが好ましい。バランスバルブは、例えば燃料収容部81に設置されている。図示しないが、バランスバルブは、バルブ可動片と、燃料収容部81内の圧力に応じてバルブ可動片を動作させるスプリングと、バルブ可動片をシールして閉状態とするシール部とを有している。
バランスバルブを燃料収容部81等に設置することによって、液体燃料82の供給に伴って発生する燃料収容部81の内圧低下に起因する送液量の変動を抑制することができる。すなわち、燃料収容部81内が減圧状態になると、ポンプ84による液体燃料82の吸い込みが不安定になり、送液量が変動しやすくなる。
このような送液量の変動をバランスバルブを設置することで解消することができる。従って、燃料電池の動作安定性を向上させることが可能となる。なお、バランスバルブを流路83に設置する場合には、バランスバルブを燃料収容部81とポンプ84との間に挿入することが好ましい。
この発明は、直接メタノール型の燃料電池に限定されるものではなく、他の燃料電池に適用可能である。そして、液体燃料82も、必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料82は、各種の液体燃料を使用した場合に効果を発揮し、液体燃料の種類や濃度は限定されるものではない。液体燃料82は、膜電極接合体3に対応していれば良い。液体燃料82は、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であっても良い。いずれにしても、燃料電池に応じた液体燃料が使用される。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
また、膜電極接合体へ供給される液体燃料においても、全て液体燃料の蒸気を供給してもよいが、一部が液体状態で供給される場合であっても本発明を適用することができる。
この発明の第1の実施の形態に係る燃料電池を示す断面図。 図1に示した膜電極接合体を示す平面図。 図1に示した導電層を展開して示す平面図。 上記導電層が二つ折りになっている状態を示す斜視図。 上記導電層が上記膜電極接合体を挟み込む様子を示す断面図。 図1に示した燃料極支持板を示す斜視図。 上記燃料極支持板を示す概略斜視図。 上記燃料極支持板を示す概略断面図。 図1に示したバックカバーを示す概略断面図。 図1に示したフロントカバーを示す概略斜視図。 上記燃料極支持板の凹部の有無と、凹部の面積と発電領域の面積との比と、凹部の空間体積と図1に示した燃料電池セルの厚みとの比と、に対する電圧偏差及び出力相対値の変化を表で示した図。 この発明の第2の実施の形態に係る燃料電池を示す断面図。 図12に示したバックカバーを示す概略斜視図。
符号の説明
1…燃料電池セル、2…燃料供給源、3…膜電極接合体、4…集電体、6…燃料極支持板、7…燃料供給部、9…バックカバー、10…多孔体、13…シール材、14…気液分離膜、15…フロントカバー、20…発電素子、21…アノード、22…アノード触媒層、23…アノードガス拡散層、24…カソード、25…カソード触媒層、26…カソードガス拡散層、27…電解質膜、30…導電層、31…アノード導電層、32…燃料通過孔、33…端子、34…カソード導電層、35…通気孔、36…端子、37…導電部材、38…シール材、39…シール材、51…板部、52…上壁、53…周壁、54…凹部、55…燃料通過孔、61…燃料供給板、61S…燃料排出面、63…燃料注入口、64…燃料排出口、65…管部、66…空隙部、71…板部、72…通気孔、81…燃料収容部、82…液体燃料、83…流路、84…ポンプ、R1…発電領域、R2…有効領域、R3…非有効領域。

Claims (5)

  1. 燃料極と、空気極と、前記燃料極及び空気極間に挟持された電解質膜と、を有した膜電極接合体と、
    前記膜電極接合体に対向配置され、前記燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、
    板状に形成され、前記燃料極及び燃料供給部間に挟持され、前記燃料供給部側に設けられているとともに前記燃料供給部に向かって開放した凹部と、前記凹部が形成された領域を含んで形成され前記膜電極接合体に燃料を通過させる複数の燃料通過孔と、を有した燃料極支持板と、を備えている燃料電池セル。
  2. 前記凹部の面積と、前記燃料極、空気極及び電解質膜が重なった発電領域の面積と、の比は、0.7乃至1.2であり、前記凹部は前記発電領域に70%以上重なっている請求項1に記載の燃料電池セル。
  3. 前記凹部の面積と、前記燃料極、空気極及び電解質膜が重なっているとともに互いに間隔を置いて位置した複数の有効領域、並びに前記有効領域の間に位置した非有効領域を含んだ発電領域の面積と、の比は、0.7乃至1.2であり、前記凹部は前記発電領域に70%以上重なっている請求項1に記載の燃料電池セル。
  4. 前記凹部の空間体積と、前記燃料電池セルの厚みと、の比は、0.05(cc/mm)以上であり、かつ前記燃料電池セルの厚みは50mm以下である請求項1に記載の燃料電池セル。
  5. 燃料極と、空気極と、前記燃料極及び空気極に挟持された電解質膜と、を有した膜電極接合体と、前記膜電極接合体に対向配置され、前記燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、板状に形成され、前記燃料極及び燃料供給部間に挟持され、前記燃料供給部側に設けられているとともに前記燃料供給部に向かって開放した凹部と、前記凹部が形成された領域を含んで形成され前記膜電極接合体に燃料を通過させる複数の燃料通過孔と、を有した燃料極支持板と、を具備した燃料電池セルと、
    燃料を収容するとともに燃料を前記燃料供給部に与える燃料供給源と、を備えている燃料電池。
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