JP5579311B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は液体燃料を用いた燃料電池に関する。
近年、ノートパソコンや携帯電話等の各種携帯用電子機器を長時間充電なしで使用可能とするために、これら携帯用電子機器の電源に燃料電池を用いる試みがなされている。燃料電池は燃料と空気を供給するだけで発電することができ、燃料を補給すれば連続して長時間発電することが可能であるという特徴を有している。このため、燃料電池を小型化できれば、携帯用電子機器の電源として極めて有利なシステムといえる。
直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)は小型化が可能であり、さらに燃料の取り扱いも容易であるため、携帯用電子機器の電源として有望視されている。DMFCにおける液体燃料の供給方式としては、気体供給型や液体供給型等のアクティブ方式、また燃料収容部内の液体燃料を電池内部で気化させて燃料極に供給する内部気化型等のパッシブ方式が知られている。
これらのうち、内部気化型等のパッシブ方式はDMFCの小型化に対して特に有利である。パッシブ型DMFCにおいては、例えば燃料極、電解質膜および空気極を有する膜電極接合体(燃料電池セル)を、樹脂製の箱状容器からなる燃料収容部上に配置した構造が提案されている(例えば特許文献1参照)。燃料収容部から気化した燃料を直接燃料電池セルに供給する場合、燃料電池の出力の制御性を高めることが重要となるが、現状のパッシブ型DMFCでは必ずしも十分な出力制御性は得られていない。
一方、DMFCの燃料電池セルと燃料収容部とを流路を介して接続することが検討されている(特許文献2〜4参照)。燃料収容部から供給された液体燃料を燃料電池セルに流路を介して供給することで、流路の形状や径等に基づいて液体燃料の供給量を調整することができる。ただし、流路からの液体燃料の供給構造によっては、燃料電池セルに対する燃料の供給状態が不均一になり、燃料電池の出力が低下するおそれがある。例えば、流路の形状や流路からの燃料の供給方式によっては、流路を液体燃料が流れるにつれて順次燃料が消費されていくため、流路の終端側では燃料濃度が減少する。このため、燃料電池セルの流路終端に近い部分では発電反応が低下し、その結果として出力の低下を招く。
特許文献3には燃料収容部から流路にポンプで液体燃料を供給することが記載されている。特許文献3にはポンプに代えて、流路に電気浸透流を形成する電界形成手段を用いることも記載されている。特許文献4には電気浸透流ポンプを用いて液体燃料等を供給することが記載されている。燃料循環構造を適用した燃料電池はポンプが有効であるものの、パッシブ型DMFCのように燃料を循環させない場合には単にポンプを適用しても燃料消費量が増大するだけで、燃料電池セル全体での均一な発電反応を生起することは難しい。
国際公開第2005/112172号パンフレット 特表2005−518646号公報 特開2006−085952号公報 米国特許公開第2006/0029851号公報
本発明の目的は、燃料電池の小型化等を損なうことなく、燃料電池セルに対する燃料の供給状態を均一化することによって、発電反応の効率化を図って出力を向上させることを可能にした燃料電池を提供することにある。
本発明の一態様に係る燃料電池は、燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極とに挟持された電解質膜とを有する膜電極接合体と、前記膜電極接合体の前記燃料極側に配置され、前記燃料極の複数個所に対して燃料を供給する燃料分配機構と、液体燃料を収容すると共に、前記燃料分配機構と流路を介して接続された燃料収容部とを具備する。前記燃料分配機構は、前記液体燃料が前記流路を介して流入する燃料注入口と、前記燃料注入口と燃料通路を介して接続された複数の燃料排出口とを有する燃料分配板を備える。前記燃料分配板は、その内部に、前記燃料通路として、前記燃料注入口と前記複数の燃料排出口とを接続する細管を有する。前記細管は分岐部を有し、前記燃料注入口から前記複数の燃料排出口に向けて前記分岐部で順に分岐されている。前記分岐部における分岐前の前記細管の断面積をA、分岐後の前記細管の断面積の合計をBとしたとき、前記分岐部はA≧Bを満足する。
本発明の態様に係る燃料電池は、燃料収容部から流路を介して燃料分配機構に液体燃料を供給し、燃料分配機構で燃料極の複数個所に対して燃料を供給するため、膜電極接合体全体で効率的に発電反応を生起することができる。これによって、燃料電池の小型化等を損なうことなく、出力の向上を図ることが可能となる。
本発明の第1の実施形態による燃料電池の構成を示す断面図である。 図1に示す燃料電池で使用した燃料分配機構の構成を示す斜視図である。 図1に示す燃料電池の一変形例を示す断面図である。 図3に示す燃料電池で使用した燃料分配機構の構成を示す平面図である。 図4に示す燃料分配機構における細管の分岐構造を説明する図である。 図5に示す燃料分配機構における細管の第1の分岐部を示す図である。 図5に示す燃料分配機構における細管の第2の分岐部を示す図である。 図1に示す燃料電池の他の変形例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態による燃料電池の構成を示す断面図である。 図9に示す燃料電池に出力制御回路を設置した状態を示す図である。 図9に示す燃料電池に燃料遮断バルブを設置した状態を示す図である。 図9に示す燃料電池におけるポンプの運転動作を示す図である。 図9に示す燃料電池に適用する燃料遮断バルブの構成例(閉状態)を示す断面図である。 図13Aに示す燃料遮断バルブの開状態を示す断面図である。 図13に示す燃料遮断バルブの運転動作方法を示す図である。 図9に示す燃料電池にバランスバルブを設置した状態を示す図である。 図15に示す燃料電池における燃料電池セルにガス抜き孔を設けた状態を示す図である。 本発明の実施例による燃料電池の時間−出力密度特性を示す図である。 本発明の第3の実施形態による燃料電池の構成を示す断面図である。 図18に示す燃料電池における燃料分配機構の構成を一部破断して示す図である。 本発明の実施例による燃料電池の時間−出力密度特性を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形態による燃料電池の構成を示す断面図である。図1に示す燃料電池1は、起電部を構成する燃料電池セル2と、この燃料電池セル2に燃料を供給する燃料分配機構3と、液体燃料を収容する燃料収容部4と、これら燃料分配機構3と燃料収容部4とを接続する流路5とから主として構成されている。
燃料電池セル2は、アノード触媒層11とアノードガス拡散層12とを有するアノード(燃料極)13と、カソード触媒層14とカソードガス拡散層15とを有するカソード(空気極/酸化剤極)16と、アノード触媒層11とカソード触媒層14とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜17とから構成される膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を有している。
アノード触媒層11やカソード触媒層14に含有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層11にはメタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層14にはPtやPt−Ni等を用いることが好ましい。ただし、触媒はこれらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。触媒は炭素材料のような導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
電解質膜17を構成するプロトン伝導性材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし、プロトン伝導性の電解質膜17はこれらに限られるものではない。
アノード触媒層11に積層されるアノードガス拡散層12は、アノード触媒層11に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層11の集電体も兼ねている。カソード触媒層14に積層されるカソードガス拡散層15は、カソード触媒層14に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層14の集電体も兼ねている。アノードガス拡散層12およびカソードガス拡散層15は、例えばカーボンペーパーのような導電性を有する多孔質基材で構成されている。
アノードガス拡散層12やカソードガス拡散層15には、必要に応じて導電層が積層される。これら導電層としては、例えばAuのような導電性金属材料からなるメッシュ、多孔質膜、薄膜等が用いられる。電解質膜17と燃料分配機構3およびカバープレート18との間には、それぞれゴム製のOリング19が介在されており、これらによって燃料電池セル(MEA)2からの燃料漏れや酸化剤漏れを防止している。
図示を省略したが、カバープレート18は酸化剤である空気を取入れるための開口を有している。カバープレート18とカソード16との間には、必要に応じて保湿層や表面層が配置される。保湿層はカソード触媒層14で生成された水の一部が含浸されて、水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層14への空気の均一拡散を促進するものである。表面層は空気の取入れ量を調整するものであり、空気の取入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口を有している。
燃料収容部4には、燃料電池セル2に対応した液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料は、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料収容部4には燃料電池セル2に応じた液体燃料が収容される。
燃料電池セル2のアノード(燃料極)13側には、燃料分配機構3が配置されている。燃料分配機構3は配管のような液体燃料の流路5を介して燃料収容部4と接続されている。燃料分配機構3には燃料収容部4から流路5を介して液体燃料が導入される。流路5は燃料分配機構3や燃料収容部4と独立した配管に限られるものではない。例えば、燃料分配機構3と燃料収容部4とを積層して一体化する場合、これらを繋ぐ液体燃料の流路であってもよい。燃料分配機構3は流路5を介して燃料収容部4と接続されていればよい。
燃料分配機構3は図2に示すように、液体燃料が流路5を介して流入する少なくとも1個の燃料注入口21と、液体燃料やその気化成分を排出する複数個の燃料排出口22とを有する燃料分配板23を備えている。燃料分配板23の内部には図1に示すように、燃料注入口21から導かれた液体燃料の通路となる空隙部24が設けられている。複数の燃料排出口22は燃料通路として機能する空隙部24にそれぞれ直接接続されている。
燃料注入口21から燃料分配機構3に導入された液体燃料は空隙部24に入り、この燃料通路として機能する空隙部24を介して複数の燃料排出口22にそれぞれ導かれる。複数の燃料排出口22には、例えば液体燃料の気化成分のみを透過し、液体成分は透過させない気液分離体(図示せず)を配置してもよい。これによって、燃料電池セル2のアノード(燃料極)13には液体燃料の気化成分が供給される。なお、気液分離体は燃料分配機構3とアノード13との間に気液分離膜等として設置してもよい。液体燃料の気化成分は複数の燃料排出口22からアノード13の複数個所に向けて排出される。
燃料排出口22は燃料電池セル2の全体に燃料を供給することが可能なように、燃料分配板23のアノード13と接する面に複数設けられている。燃料排出口22の個数は2個以上であればよいが、燃料電池セル2の面内における燃料供給量を均一化する上で、0.1〜10個/cmの燃料排出口22が存在するように形成することが好ましい。燃料排出口22の個数が0.1個/cm未満であると、燃料電池セル2に対する燃料供給量を十分に均一化することができない。燃料排出口22の個数を10個/cmを超えて形成しても、それ以上の効果が得られない。
燃料分配機構3から放出された燃料は、上述したように燃料電池セル2のアノード(燃料極)13に供給される。燃料電池セル2内において、燃料はアノードガス拡散層12を拡散してアノード触媒層11に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層11で下記の(1)式に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層14で生成した水や電解質膜17中の水をメタノールと反応させて(1)式の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CHOH+HO → CO+6H+6e …(1)
この反応で生成した電子(e)は集電体を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後に、カソード(空気極)16に導かれる。また、(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H)は電解質膜17を経てカソード16に導かれる。カソード16には酸化剤として空気が供給される。カソード16に到達した電子(e)とプロトン(H)は、カソード触媒層14で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e+6H+(3/2)O → 3HO …(2)
上述した燃料電池2の発電反応において、発電する電力を増大させるためには触媒反応を円滑に行わせると共に、燃料電池セル2の電極全体をより有効に発電に寄与させることが重要となる。このような点に対して、燃料電池セル2に対して燃料を供給する燃料排出口が1箇所の場合には、燃料排出口近傍の燃料濃度は発電に十分な濃度となるものの、燃料排出口から離れるにつれて燃料濃度が急速に低下する。このため、燃料電池全体で見た場合の平均出力は、燃料の供給が少ない部分の影響を受けて低い値に留まってしまう。
燃料濃度を高めるための手段としては、液体燃料の供給量を増加させることが考えられる。しかし、単に液体燃料の供給量を増加させた場合、燃料排出口近傍の燃料濃度が上がりすぎて、燃料が反応することなく空気極へ流れてしまう現象(いわゆるクロスオーバーと呼ばれている現象)が発生する。クロスオーバーは燃費の低下、空気極での燃料の直接反応に伴う電圧低下、それによる出力低下等の原因となる。さらに、従来の燃料電池においては循環ポンプで燃料を循環させることも行われているが、この場合には燃料を貯蔵するリザーバータンクや濃度調整機構等が必要となるために装置の大型化が避けられない。
この実施形態の燃料電池1においては、上述したように複数の燃料排出口22を有する燃料分配機構3を適用している。燃料分配機構3に導入された液体燃料は空隙部24を介して複数の燃料排出口22に導かれる。燃料分配機構3の空隙部24はバッファとして機能するため、複数の燃料排出口22からそれぞれ規定濃度の燃料が排出される。そして、複数の燃料排出口22は燃料電池セル2の全面に燃料が供給されるように配置されているため、燃料電池セル2に対する燃料供給量を均一化することができる。
すなわち、アノード(燃料極)13の面内における燃料の分布が平準化され、燃料電池セル2での発電反応に必要とされる燃料を全体的に過不足なく供給することができる。従って、燃料電池1の大型化や複雑化等を招くことなく、燃料電池セル2で効率的に発電反応を生起させることができる。これによって、燃料電池1の出力を向上させることが可能となる。言い換えると、燃料を循環させない燃料電池1の利点を損なうことなく、出力やその安定性を高めることができる。
第1の実施形態の具体例(参考例1)として、5mmメッシュで燃料排出口22を形成した燃料分配機構3を有する燃料電池1を作製した。MEA2の形状は40×80mmとし、また液体燃料としては90%濃度のメタノールを使用した。参考例1の燃料電池では、平均20mW/cmの出力が得られた。一方、燃料排出口をMEAの中心部に1箇所だけとする以外は、参考例1と同一構成の燃料電池(比較例1)を作製した。比較例1の燃料電池では、平均5mW/cmの出力しか得られなかった。
この現象を解明するために、サーモビューワで空気極面の温度分布を調べた。その結果、比較例1では燃料排出口近傍の温度は55〜60℃となり、十分な発電が行われているものの、周辺部では30℃と室温(25℃)と比較して発熱が非常に少なくなっている。温度は発電に伴って発生する熱に起因する。このため、温度が低いということはその部分では発電が進んでいないことを意味する。比較例1では燃料排出口近傍でこそ発電がなされているものの、周辺部では発電が進んでいないことが示唆される。燃料分配機構3を設けた参考例1では全体に温度が45〜50℃になっており、MEA全体が発電に寄与し、その結果として平均発電出力が高くなったものと推定される。
参考例1で用いた燃料分配機構3はその内部に設けられた空隙部24から燃料を複数の燃料排出口22に分配している。このため、厳密には燃料注入口21に近い側の温度が若干高く、奥に行くに従って温度が低下する現象が観察される。また、燃料電池1を傾斜させた場合には重力の影響等から傾斜方向によって温度分布が変化し、下側の部分の反応が高くなる傾向が観察される。実用上はこれでも十分な性能を得ることができるが、さらに出力を改善するためには、図3および図4に示すように、燃料注入口21と複数の燃料排出口22とを細管25で接続した燃料分配機構3を用いることが好ましい。
図3および図4に示す燃料分配機構3は、液体燃料が流入する少なくとも1個の燃料注入口21と、液体燃料もしくはその気化成分を排出する複数個の燃料排出口22とを有する燃料分配板23Aを備えている。燃料分配板23Aの内部には、液体燃料の通路として機能する細管25が形成されている。細管25の一端(始端部)には燃料注入口21が設けられている。細管25は途中で複数に分岐しており、これら分岐した細管25の各終端部に燃料排出口22がそれぞれ設けられている。細管25は例えば内径が0.05〜5mmの貫通孔であることが好ましい。燃料排出口22の断面積(開口面積)はそれらの合計が燃料分配板23Aの面積の5%以下となるように設定することが好ましい。
燃料注入口21から燃料分配板23Aに導入された液体燃料は、複数に分岐した細管25を介して複数の燃料排出口22にそれぞれ導かれる。図3および図4に示す燃料分配機構3(燃料分配板23A)は、その内部の燃料通路として細管25を用いる以外は図1に示した燃料分配機構3と同様な構成を有している。このような構造の燃料分配機構3を使用することによって、燃料注入口21から燃料分配機構3内に注入された液体燃料を方向や位置に係わりなく、複数の燃料排出口22に均等に分配することができる。従って、燃料電池セル2の面内における発電反応の均一性を一層高めることが可能となる。
さらに、細管25で燃料注入口21と複数の燃料排出口22とを接続した構造によれば、燃料電池1の特定箇所により多くの燃料を供給するような設計が可能となる。例えば、装置装着上の都合から燃料電池1の半分の放熱がよくなってしまうような場合、従来では温度分布が生じてしまい、平均出力の低下が避けられなかった。これに対して、細管25の形成パターンを調整し、予め放熱のよい部分に燃料排出口22を密に配置することによって、その部分での発電に伴う発熱を多くすることができる。これによって、面内の発電度合いを均一化することができ、出力低下を抑制することが可能となる。
燃料分配板23Aの内部に設けられた細管25は上述したように分岐部を有し、燃料注入口21から複数の燃料排出口22に向けて分岐部で順に分岐されている。細管25の分岐部は圧力損失を抑制するように、分岐後の細管断面積が分岐前の細管断面積以下となるように設定することが好ましい。図5ないし図7に示す細管25は、燃料注入口21に接続された細管25Aを第1の分岐部26aで4つの細管25B1、25B2、25B3、25B4に分岐させ、さらに分岐後の細管25Bを第2の分岐部26bで4つの細管25C1、25C2、25C3、25C4にそれぞれ分岐させ、各細管25C1、25C2、25C3、25C4の終端部にそれぞれ燃料排出口22を設けている。
図5ないし図7に示す分岐構造を適用した場合、第1の分岐部26aの分岐前の細管25Aの断面積をAとし、分岐後の各細管25B1、25B2、25B3、25B4の断面積をB1、B2、B3、B4、これらの合計断面積をB(=B1+B2+B3+B4)としたとき、第1の分岐部26AはA≧Bを満足するように各細管25の断面積を設定することが好ましい。同様に、第2の分岐部26bは分岐前の細管25Bの断面積Bに対し、分岐後の各細管25C1、25C2、25C3、25C4の合計断面積C(=C1+C+C3+C4)がB≧Cを満足するように各細管25の断面積を設定することが好ましい。
上述したように、分岐部26における分岐後の細管25の合計断面積を、分岐前の細管25の断面積と同等もしくはそれより小さくすることによって、分岐部26における圧力損失を低減することができる。このような分岐条件は細管25の分岐回数に限らず、各分岐部26に対して適用することが好ましい。分岐部26での圧力損失を低減することによって、複数の燃料排出口22からの燃料排出量をより均一化することができる。さらに、燃料排出口22の断面積(開口面積)はそれに接続された細管25の断面積と同等もしくはそれより大きいことが好ましい。これらによって、燃料電池セル2の面内における発電反応の均一性をより一層高めることが可能となる。
第1の実施形態の実施例1として、図3および図4に示した燃料分配機構3を適用した燃料電池1を作製した。内径が約0.1mmの細管25を有する燃料分配機構3を使用する以外は、参考例1と同一構成とした。実施例1の燃料電池では、平均23mW/cmの出力が得られ、温度分布も位置や方向に依存しないことが観察された。このように、燃料分配機構3内の燃料通路を複数に分岐した細管25とすることによって、燃料供給量をさらに均一化することができ、これにより出力の向上を図ることが可能となる。
燃料分配機構3とアノード(燃料極)13との間には、図8に示すように多孔体27を挿入することが有効である。多孔体27の構成材料としては各種樹脂が使用され、多孔質樹脂シート(発泡ポリエチレンシートや発泡ポリウレタンシート等)、樹脂不織布、樹脂織布等が多孔体26として用いられる。多孔体27を配置することで、燃料極13に対する燃料供給量をより一層平均化することができる。燃料分配機構3の燃料排出口22から噴出した液体燃料は一旦多孔体27に吸収され、多孔体27の内部で面内方向に拡散する。この後、多孔体27から燃料極13に燃料が供給されるため、燃料供給量をより一層平均化することが可能となる。多孔体27は複数の多孔膜を積層して配置してもよい。
第1の実施形態の実施例2として、図8に示した多孔体27を適用した燃料電池1を作製した。多孔体27としては厚さ1mmのポリエチレン製多孔体を使用した。多孔体27を配置する以外は、実施例1と同一構成とした。実施例2の燃料電池に90%濃度のメチタノールを供給したところ、平均出力が実施例1よりさらに2mW/cm高い25mW/cmまで上昇した。また、同時に行ったサーモビューワによる温度観察によれば、温度分布が48〜50℃と参考例1よりさらに平均化が進んでいることが確認された。
上述した第1の実施形態において、液体燃料を燃料収容部4から燃料分配機構3まで送る機構は特に限定されるものではない。例えば、使用時の設置場所が固定される場合には、重力を利用して液体燃料を燃料収容部4から燃料分配機構3まで落下させて送液することができる。また、多孔体等を充填した流路5を用いることによって、毛細管現象で燃料収容部4から燃料分配機構3まで送液することができる。さらに、燃料収容部4から燃料分配機構3への送液はポンプで実施してもよい。
次に、本発明の第2の実施形態として燃料収容部4と燃料分配機構3との間にポンプを挿入した燃料電池について、図9ないし図18を参照して説明する。図9に示す燃料電池30は、図8に示す燃料電池1の流路5の途中にポンプ31を挿入したものであり、それ以外の構成は図8に示す燃料電池1と同様とされている。すなわち、ポンプ31は燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料収容部4から燃料分配機構3に液体燃料を送液する燃料供給ポンプである。このようなポンプ31で必要時に液体燃料を送液することによって、燃料供給量の制御性を高めることができる。
図9に示す燃料電池30において、燃料分配機構3から燃料電池セル2に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部4に戻されることはない。図9に示す燃料電池30は燃料を循環しないことから、従来のアクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。また、液体燃料の供給にポンプ31を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なる。図9に示す燃料電池30は、例えばセミパッシブ型と呼称される方式を適用したものである。
ポンプ31の種類は特に限定されるものではないが、少量の液体燃料を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーベーンポンプ、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。ロータリーベーンポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。これらのうち、駆動電力や大きさ等の観点から、電気浸透流ポンプや圧電セラミックスを有するダイアフラムポンプを使用することがより好ましい。
ポンプ31の送液能力は燃料電池1の主たる対象物が小型電子機器であることから、10μL/分〜1mL/分の範囲であることが好ましい。送液能力が1mL/分を超えると一度に送液される液体燃料の量が多くなりすぎて、全運転期間に占めるポンプ31の停止時間が長くなる。このため、燃料電池セル(MEA)2への燃料の供給量の変動が大きくなり、その結果として出力の変動が大きくなる。これを防止するためのリザーバをポンプ31と燃料分配機構3との間に設けてもよいが、そのような構成を適用しても燃料供給量の変動を十分に抑制することはできず、さらに装置サイズの大型化等を招いてしまう。
一方、ポンプ31の送液能力が10μL/分未満であると、装置立ち上げ時のように燃料の消費量が増える際に供給能力不足を招くおそれがある。これによって、燃料電池30の起動特性等が低下する。このような点から、10μL/分〜1mL/分の範囲の送液能力を有するポンプ31を使用することが好ましい。ポンプ31の送液能力は10〜200μL/分の範囲であることがより好ましい。このような送液量を安定して実現する上でも、ポンプ31には電気浸透流ポンプやダイアフラムポンプを適用することが好ましい。
図9に示す燃料電池30においては、必要時にポンプ31を動作させて燃料収容部4から燃料分配機構3に液体燃料を供給する。燃料分配機構3に導入された液体燃料は、前述した第1の実施形態と同様に、複数の燃料排出口22にそれぞれ導かれる。そして、複数の燃料排出口22から燃料電池セル2の全面に対して燃料が供給されて発電反応が生起される。このように、ポンプ31で燃料収容部4から燃料分配機構3まで液体燃料を送液する場合においても、燃料分配機構3は有効に機能する。従って、燃料電池セル2に対する燃料供給量を均一化することが可能となる。
燃料供給用(送液用)のポンプ31の制御は、例えば図10に示すように、燃料電池30の出力を参照して行うことが好ましい。図10において、燃料電池30の出力は制御回路32で検出され、この検出結果に基づいてポンプ31に制御信号が送られる。ポンプ31は制御回路32から送られる制御信号に基づいてオン/オフが制御される。ポンプ31の動作は燃料電池30の出力に加えて、温度情報や電力供給先である電子機器の運転情報等に基づいて制御することで、より安定した運転を達成することが可能となる。
ポンプ31の具体的な動作制御方法としては、例えば燃料電池30からの出力が所定の規定値より高くなった場合にポンプ31を停止または送液量を低下させ、出力が規定値より低くなった場合にポンプ31の運転を再開または送液量を増加させる方法が挙げられる。別の動作制御方法としては、燃料電池30からの出力の変化率がプラスの場合にポンプ31の運転を停止または送液量を低下させ、出力の変化率がマイナスになった場合にポンプ31の運転を再開または送液量を増加させる方法が挙げられる。
さらに、燃料電池30の安定性や信頼性を高めるために、図11に示すようにポンプ31と直列に燃料遮断バルブ33を配置することが好ましい。図11ではポンプ31と燃料分配機構3との間の流路5に燃料遮断バルブ33を挿入した構造を示している。燃料遮断バルブ33はポンプ31と燃料収容部4との間に設置しても機能上の支障はない。
ただし、燃料遮断バルブ33をポンプ31と燃料収容部4との間の流路5に設置した場合、例えば長期保管時にポンプ31の燃料が蒸発すると、燃料収容部4からの液体燃料の吸出し機能に支障が生じるおそれがある。このようなことから、燃料遮断バルブ33はポンプ31と燃料分配機構3との間の流路5に設置し、長期保管時等におけるポンプ31からの液体燃料の蒸発を防止することが好ましい。
このように、燃料収容部4と燃料分配機構3との間に燃料遮断バルブ33を挿入することによって、燃料電池30の未使用時にも不可避的に発生する微量な燃料の消費や上述したポンプ再運転時の吸い込み不良等を回避することができる。これらは燃料電池30の実用上の利便性の向上に大きく貢献するものである。
燃料遮断バルブ33の動作タイミングは、ポンプ31の駆動と同一としても実用上の支障はないが、例えば図12に示すように、ポンプ31の運転直前にバルブ33を開き、ポンプ31の運転停止後にバルブ33を閉じることが好ましい。これとは逆に、ポンプ運転と同時または運転後にバルブ33を開き、ポンプ停止前にバルブ33を閉じると、ポンプ33の内圧が上昇したり、ポンプ33の吸い込み不良等が発生する。
燃料遮断バルブ33としては、電磁石、モータ、形状記憶合金、圧電セラミックス、バイメタル等をアクチュエータとして、開閉動作を電気信号で制御することが可能な電気駆動バルブが使用される。燃料遮断バルブ33にはその大きさや駆動電力等の観点から、電磁石や圧電セラミックスを用いた電気駆動バルブを使用することが好ましい。さらに、燃料遮断バルブ33には状態保持機能を有するラッチタイプのバルブを使用することが好ましい。図13に電磁石と永久磁石とを組み合わせたラッチバルブ34の一例を示す。図13Aはラッチバルブ34の閉状態を、また図13Bはラッチバルブ34の閉状態を示している。図14はラッチバルブ34の動作タイミングを示している。
ラッチバルブ34では、コイル35に状態保持用磁石36と反発する磁極が発生する向きに電流を流すことによって、可動鉄心37が状態保持磁石36と反発してバルブを閉状態とする方向(図中左方向)に移動する。コイル35の電気を遮断した後においても、ラッチバルブ34の閉止状態はスプリング38で維持される。ラッチバルブ34を開く場合には、コイル35に閉止動作の際と逆方向に電流を流すことによって、可動鉄心37が状態保持用磁石36に引き付けられてバルブを開状態とする方向(図中右方向)に移動する。コイル35の電気を遮断した後においても、可動鉄心37は状態保持用磁石36に引き付けられているため、ラッチバルブ34の開放状態が維持される。
上述したような開閉状態の状態変化時のみに駆動電力が印加される状態保持機構付きバルブ(例えばラッチバルブ34)を燃料遮断バルブ33に適用することによって、バルブ動作に必要とされる電力損失を免れると共に、動作異常等で電力供給が絶たれた場合であっても、燃料遮断バルブ33の状態を維持することできるという利点を有する。燃料遮断バルブ33は、燃料電池30の未使用時に発生する微量な燃料消費、ポンプ再運転時の吸い込み不良等の回避に加えて、ポンプ31の停止時における微量な液体燃料の通液を遮断し、燃料電池30の出力制御性をより一層高める効果を有する。
さらに、燃料遮断バルブ33は前述した第1の実施形態の燃料電池1に対しても有効である。例えば、図1、図3、図5に示した燃料電池1において、燃料分配機構3と燃料収容部4とを接続する流路5に燃料遮断バルブ33を挿入する。このような構成を適用することによって、燃料電池セル2に対する燃料の供給を制御し、燃料電池1の出力制御性を高めることができる。この場合の燃料遮断バルブ33の動作制御は、上述したポンプ31の動作制御と同様に実施することができる。
第2の実施形態の燃料電池30においては、燃料収容部4や流路5に燃料収容部4内の圧力を外気とバランスさせるバランスバルブを装着することが好ましい。図15は燃料収容部4にバランスバルブ39を設置した状態を示している。バランスバルブ39は、燃料収容部4内の圧力に応じてバルブ可動片40を動作させるスプリング41と、バルブ可動片40をシールして閉状態とするシール部42とを有している。
燃料収容部4から液体燃料が燃料分配機構3に供給され、燃料収容部4の内圧が減圧状態になると、バランスバルブ39のバルブ可動片40が外圧を受け、スプリング41の反発力に打ち勝ってシール部42が開放される。このバランスバルブ39の開放状態に基づいて、外気が内外圧力差を減少するように導入される。内外の圧力差が解消されると、再度バルブ可動片40が移動してシール部42が密閉される。
このように動作するバランスバルブ39を燃料収容部4等に設置することによって、液体燃料の供給に伴って発生する燃料収容部4の内圧低下に起因する送液量の変動を抑制することができる。すなわち、燃料収容部4内が減圧状態になると、ポンプ31による液体燃料の吸い込みが不安定になり、送液量が変動しやすくなる。このような送液量の変動をバランスバルブ39を設置することで解消することができる。従って、燃料電池30の動作安定性を向上させることが可能となる。なお、バランスバルブ39を流路5に設置する場合には、燃料収容部4とポンプ31との間に挿入することが好ましい。
さらに、第2の実施形態の燃料電池30のようにポンプ31を設ける場合については、燃料収容部4等にバランスバルブ39を設けると共に、図16に示すように燃料電池セル2に例えばその積層方向に貫通するガス抜き孔2Aを設けることが好ましい。
上記したようにバランスバルブ39を燃料収容部4または流路5に設置することによって、液体燃料の供給に伴い発生する燃料収容部4の内圧低下を抑制でき、ポンプ31における液体燃料の吸い込みを安定させることができる。しかしながら、燃料電池セル2のアノード13側では例えば上記(1)式に示されるようにメタノールの内部改質反応によって二酸化炭素や水蒸気等のガス成分が発生することから、燃料分配機構3の内圧、具体的には燃料分配板23Aの細管25等の内圧が上昇し、ポンプ31による液体燃料の送液が困難となることがある。
このためガス抜き孔2Aを燃料電池セル2に設けることによって、発生したガス成分を燃料電池セル2のアノード13側からカソード16側へと排出し、さらには燃料電池30の外部へと排出することができ、結果として燃料分配機構3の内圧を低減させ、ポンプ31による液体燃料の送液を容易にすることができる。すなわち、燃料収容部4等にバランスバルブ39を設けると共に燃料電池セル2にガス抜き孔2Aを設けることで、ポンプ31における液体燃料の吸い込みと押し出しとの両方を容易にすることができる。
ガス抜き孔2Aとしては、例えば燃料電池セル2の全体を積層方向に貫通する貫通孔が挙げられるが、例えばアノード13やカソード16が多孔質体であってガス成分を有効に透過させることができるものである場合には、実質的にガス成分を透過させない部分である電解質膜17のみを貫通する貫通孔であってもよい。
ガス抜き孔2Aの形状、大きさは必ずしも限定されるものではないものの、例えば直径0.05mm以上1.0mm以下の円形状の孔部が好ましいものとして挙げられる。直径が0.05mm未満であるとガス成分をアノード13側からカソード16側へと十分に排出できないおそれがあり、1.0mmを超えると燃料の直接透過を発生しやすく、また発電に寄与する有効面積も減少することから、出力が低下するおそれがある。
ガス抜き孔2Aの個数は、ガス抜き孔2Aの形状、大きさ、あるいは燃料電池セル2の平面形状等にもよるが、例えば燃料電池セル2の面積1cm以上15cm以下につき1個程度となるようにすることが好ましい。ガス抜き孔2Aの個数が1cm未満につき1個程度であると、面積あたりのガス抜き孔2Aの個数が多すぎることとなり、燃料の直接透過や発電に寄与する有効面積の減少により出力が低下するおそれがあり、15cmを超える面積につき1個程度であると、面積あたりのガス抜き孔2Aの個数が少なすぎることとなり、ガス成分がアノード13側からカソード16側へと十分に排出されないおそれがある。
このようにポンプ31が設けられると共に、燃料収容部4等にバランスバルブ39が設けられ、さらに燃料電池セル2にガス抜き孔2Aが設けられた燃料電池30については、ポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力が5kPa以上となっていることが好ましい。ポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力が5kPa未満であると、燃料分配機構3、すなわち燃料分配板23Aの各細管25や各燃料排出口22に液体燃料が均一に供給されず、燃料電池セル2における発電反応が不均一となり、発電効率が低下するおそれがある。また、ポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力が5kPa未満であると、液体燃料の送液量(供給量)自体も低下することから、出力が大幅に低下するおそれがある。
ポンプ31から燃料分配機構3へのより好ましい送液圧力は、液体燃料を均一かつ十分に燃料分配機構3、すなわち燃料分配板23Aの各細管25や各燃料排出口22に供給する観点から10kPa以上である。なお、ポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力の上限は必ずしも制限されるものではないものの、この種のものに用いられるポンプ31の送液圧力が一般に100kPa程度までであることから、通常は100kPa程度である。
ここで、ポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力は、ポンプ31の燃料分配機構3側近傍において測定されるものであり、例えばポンプ31の燃料分配機構3側に接続される流路5中に流量計を配置し、この流量計により測定された流量から求めることができる。なお、上記したようにポンプ31は必要に応じて運転と停止が繰り返し行われるが、このような場合については、実際にポンプ31が運転されているときのポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力が上記したように5kPa以上となっていればよい。
ポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力を5kPa以上とするには、上記したような燃料電池セル2におけるガス抜き孔2Aの形状、大きさ、個数等の調整の他、燃料分配機構3を構成する燃料分配板23Aの各細管25や各燃料排出口22の孔径等の調整、燃料収容部4等に設けられるバランスバルブ39の開放時期(開放圧力)の調整、ポンプ31の送液能力の調整等により行うことができる。
バランスバルブ39の開放時期の調整は、そのバルブ可動片40をシール部42へと押圧しているスプリング41の反発力を調整することで行うことができ、例えば燃料収容部4等における外圧と内圧との差が10Pa以上となったときにバルブ可動片40がシール部42から離れるような反発力に調整される。また、ポンプ31としては、それ自体の送液圧力が5kPa以上となるような送液能力を有するものである必要がある。
次に、第2の実施形態に関し、ポンプ31とバランスバルブ39とを設けると共に、燃料電池セル2にガス抜き孔2Aを設け、ポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力を5kPa以上としたもの(実施例3)と、ポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力を5kPa未満とした以外は実施例3と同様なもの(比較例2)とについて発電試験を行ったため説明する。
実施例3の燃料電池30としては、以下のようなものを作製した。アノードガス拡散層12としてのカーボンペーパー上にアノード触媒層11としてのPt−Ru系触媒層を塗布して10mm×80mmのアノード13を得ると共に、カソードガス拡散層15としてのカーボンペーパー上にカソード触媒層14としてのPtブラック触媒層を塗布して10mm×80mmのカソード16とし、これら一対の単セルを合計4組作製した。
そして、電解質膜17としてのパーフルオロスルホン酸膜の一方の主面に各単セルのアノード13をそのアノード触媒層11が電解質膜17に接触するように配置すると共に、パーフルオロスルホン酸膜の他方の主面に各単セルのカソード16をそのカソード触媒層14が接触するように配置した。そして、これらのものを120℃で5分間、100kg/cmの圧力でホットプレス接合することにより、40mm×80mmの接合体を得た。さらに、この接合体における各セルの面方向の中心部分にガス抜き孔2Aとして孔径0.2mmの積層方向に貫通する貫通孔を1個ずつ形成して図16に示されるものと略同様な燃料電池セル2を製造した。
燃料電池セル2以外の燃料電池30の構成も基本的に図16に示されるようなものとし、バランスバルブ39を有する燃料収容部4と燃料分配機構3とがポンプ31を有する流路5を介して接続され、また燃料分配機構3の上に燃料電池セル2等を配置したものとした。なお、燃料分配機構3のみ、細管25を有する燃料分配板23Aの代わりに、図1に示されるような空隙部24を有する燃料分配板23とした。燃料分配板23における燃料排出口22の配列は図2に示されるようなものとし、それらの孔径は0.5mmとした。また、ポンプ31としては、このような構成の燃料電池30において、ポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力が5kPa以上となるようなものを用いた。
そして、燃料収容部4に液体燃料として90%濃度のメタノールを注入し、ポンプ31を間欠的に運転させて燃料収容部4から燃料分配機構3へとメタノールを供給して発電を行わせた。なお、ポンプ31を運転させているときのポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力は5kPa以上(平均30kPa)であった。実施例3の燃料電池30の発電試験の結果(発電時間と出力密度との関係)を図17に示す。
一方、比較例2の燃料電池30としては、ポンプ31として、このポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力が5kPa未満となるようなものを用いた以外は実施例3の燃料電池30と同様なものを製造した。そして、実施例3の燃料電池30と同様、ポンプ31を間欠的に運転させて燃料収容部4から燃料分配機構3へとメタノールを供給して発電を行わせた。なお、ポンプ31を運転させているときのポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力は5kPa未満(平均3kPa)であった。比較例2の燃料電池30の発電試験の結果(発電時間と出力密度との関係)を図17に合わせて示す。
図17から明らかなように、実施例3の燃料電池30については、ポンプ31の間欠運転によりわずかな周期的変動が見られるものの、出力密度はほぼ一定に保たれていることが認められる。一方、比較例2の燃料電池30については、実施例3の燃料電池30に比べて出力密度が全体的に低く、また一時的に大幅に低下することが認められる。
比較例2の燃料電池30については、ポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力が5kPa未満と低いために、燃料分配機構3、すなわち燃料分配板23の燃料排出口22にメタノールが均一に供給されず、結果として燃料電池セル2における発電反応が不均一となり、出力密度が全体的に低下したものと推測される。また、比較例2の燃料電池30については、送液圧力が低いためにメタノールの供給量自体が不十分となり、出力密度が一時的に大幅に低下したものと推測される。
次に、本発明の第3の実施形態による燃料電池について、図18および図19を参照して説明する。図18に示す燃料電池50は、燃料流通溝を有する流路板と複数の燃料排出口を有する拡散板とで構成された燃料分配機構3を具備している。燃料電池セル2は、例えば複数の単セルを直列に接続したものであり、さらに燃料極側で生成する炭酸ガスや水蒸気等のガス成分をリリースするガス抜き孔を有していてもよい。
なお、図18では燃料電池セル(MEA)2の構成を省略して図示しているが、燃料電池セル2の具体的な構成は前述した第1および第2の実施形態と同様である。また、図18では燃料収容部、流路、燃料供給ポンプ等の図示を省略したが、第3の実施形態の燃料電池50はこれら各要素を具備しており、各要素の具体的な構成は前述した第1および第2の実施形態の燃料電池1、30と同様である。
第3の実施形態による燃料分配機構3について詳述する。燃料分配機構3を構成する流路板51は、燃料通路として機能する燃料流通溝52を有している。燃料流通溝52の始端部は燃料注入口21とされている。燃料流通溝52に設けられた燃料注入口21は、前述した第1および第2の実施形態と同様に、図示を省略した流路を介して燃料収容部と接続されている。また、流路には第1および第2の実施形態と同様に、必要に応じて燃料供給ポンプや燃料遮断バルブ等が設けられる。
燃料流通溝52は少量の液体燃料を速やかに展開することが可能なように、燃料注入口21の近傍で複数に分岐されている。分岐後の燃料流通溝52は燃料分配機構3の面方向全体に液体燃料を展開するように形成されている。燃料流通溝52を有する流路板51上には、燃料流通溝52の開口部を覆うように拡散板53が配置されている。拡散板53は燃料流通溝52と接続するように開口された複数の燃料排出口22を有している。燃料排出口22は燃料電池セル2の面方向に対して燃料を均一に供給し得るように形成されている。燃料排出口22の個数等は前述した実施形態と同等とすることが好ましい。
燃料電池セル2と燃料分配機構3との間にはOリング54等のシール部材が配置されており、これにより燃料の漏洩等を防止すると共に、燃料電池セル2と燃料分配機構3との間に燃料拡散空間55が形成されている。燃料拡散空間55は燃料排出口22から放出される燃料の拡散性を高めるものである。さらに、拡散板53上に燃料を面方向に展開させるシート状の多孔体56を配置することで、燃料排出口22から放出される燃料を平面的に均一拡散させることができる。多孔体56の構成は前述した実施形態で述べた通りである。燃料拡散空間55は前述した第1および第2の実施形態に対しても有効である。
流路板51と拡散板53とで構成された燃料分配機構3には、前述した実施形態と同様に、燃料収容部から流路やポンプを介して発電に必要な量の液体燃料が間欠的に送液される。燃料注入口21から導入された液体燃料は、燃料流通溝52内を通って流路板51の面方向に速やかに展開される。そして、燃料流通溝52内を展開した液体燃料は、拡散板53に設けられた複数の燃料排出口22を通して均一に拡散される。燃料の拡散状態はさらに燃料拡散空間55や多孔体56で均一化される。従って、燃料電池セル2の面方向に対して燃料を均一に供給することができるため、燃料電池セル2の面内における発電反応の均一性を高めることが可能となる。
図18および図19では流路板51と拡散板53とで構成された燃料分配機構3を示したが、流路板51は省いてもよい。すなわち、燃料電池セル2が配置される容器の底面側に、容器との間に空隙が形成されるように拡散板53を配置し、これらによって燃料分配機構3を構成することも可能である。この場合、容器と拡散板53との間に導入された液体燃料は、空隙内を展開した後に拡散板53に設けられた複数の燃料排出口22から燃料極に向けて放出される。ただし、この場合には液体燃料の面方向への拡散に濃度分布が生じる傾向がある。このため、燃料の展開方向(拡散方向)を流路板51で方向付けして、燃料の均一拡散性を高めることが好ましい。
第3の実施形態の具体例(参考例2)として、図18および図19に構成を示した燃料電池50を作製した。まず、カーボンペーパー上にPt−Ru系触媒層(10mm×60mm)を塗布して形成した燃料極と、カーボンペーパー上にPtブラック触媒層(10mm×60mm)を塗布して形成した酸化剤極とで単セルを構成した。4組の単セルの触媒層が電解質膜と接するように、パーフルオロスルホン酸膜からなる電解質膜を挟持した。これらを120℃×5分間の条件下で、100kg/cmの圧力でホットプレス接合してMEAを作製した。さらに、各セルの中央部に孔径0.2mmの貫通孔を形成した。
上記したMEA2を図18および図19に示したように、流路板51と拡散板53とで構成された燃料分配機構3と組合せて容器内に組み込み、さらにシール部を介して発電ユニットを作製した。拡散板53には厚さ0.1mmのカプトンフィルムを用い、図19に示したような配列で孔径1mmの燃料排出口22を形成した。流路板51には燃料注入方向からセルの長手方向に沿って深さ1mmの燃料流通溝52を形成した。さらに、拡散板53上に厚さ0.1mm、孔径0.1μmのPTFE製多孔質シート56を配置した。発電ユニットと燃料収容部とを燃料供給ポンプを介して接続することによって、反応面積が24cmの燃料電池を作製した。この燃料電池に液体燃料としてメタノールをポンプで間欠的に供給して発電を行った。酸化剤ガスは自発的に取り込む空気を使用した。
第3の実施形態の第2の具体例(参考例3)として、流路板51と多孔質シート56を使用しない以外は参考例2と同様な構成を有し、かつ反応面積が24cmの燃料電池を作製した。すなわち、拡散板53を容器の底部側に配置し、拡散板53と容器との間に燃料拡散室を設けたものである。この燃料電池に液体燃料としてメタノールをポンプで間欠的に供給して発電を行った。酸化剤ガスは自発的に取り込む空気を使用した。
また、第2の実施形態の具体例(実施例4)として、図3および図4に示した燃料分配板23Aを燃料分配機構3として用いる以外は参考例2と同様な構成を有し、かつ反応面積が24cmの燃料電池を作製した。燃料分配板23Aは燃料注入口22と複数の燃料排出口23とが細管25で接続されている。MEA2と燃料分配板23Aとの間には図18と同様に燃料拡散空間を設けた。この燃料電池に液体燃料としてメタノールをポンプで間欠的に供給して発電を行った。酸化剤ガスは自発的に取り込む空気を使用した。
さらに、本発明との比較例(比較例3)として、拡散板53に代えてシリコーンゴムシートを用いる以外は参考例3と同様な構成を有し、かつ反応面積が24cmの燃料電池を作製した。拡散板53に代えて用いたシリコーンゴムシートは、それ自体のメタノール透過性に基づいて燃料を拡散させるものである。この燃料電池に液体燃料としてメタノールをポンプで間欠的に供給して発電を行った。酸化剤ガスは自発的に取り込む空気を使用した。
上述した参考例2、3、実施例4および比較例3による各燃料電池の時間−出力密度特性を図20に示す。図20から明らかなように、参考例3ではポンプの間欠運転による出力密度の周期的な変動が見られるが、出力のレベルはほぼ一定に保たれている。流路構造を導入した参考例2は燃料拡散の均質性に優れるため、出力密度の周期的変動も小さく、経時的に安定な出力特性が得られている。実施例4はさらに出力自体も向上している。一方、比較例3では燃料が供給される空間に、発電に伴って発生する水蒸気の透過が生じ、燃料濃度が低下するために徐々に出力密度が低下し、安定した経時特性が得られていない。
上述した各実施形態の燃料電池1、30、50は各種の液体燃料を使用した場合に効果を発揮し、液体燃料の種類や濃度は限定されるものではない。複数の燃料排出口22を有する燃料分配機構3の特徴がより顕在化するのは燃料濃度が濃い場合である。このため、各実施形態の燃料電池1、30、50は、濃度が80%以上のメタノールを液体燃料として用いた場合に性能や効果が特に発揮される。従って、各実施形態は濃度が80%以上のメタノールを液体燃料として用いた燃料電池に適用することが好ましい。
なお、本発明は液体燃料を使用した各種の燃料電池に適用することができる。燃料電池の具体的な構成や燃料の供給形態等も特に限定されるものではなく、MEAに供給される燃料の全てが液体燃料の蒸気、全てが液体燃料、または一部が液体状態で供給される液体燃料の蒸気等、種々形態に本発明を適用することができる。実施段階では本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。さらに、上記実施形態に示される複数の構成要素を適宜に組合せたり、また実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除する等、種々の変形が可能である。本発明の実施形態は本発明の技術的思想の範囲内で拡張もしくは変更することができ、この拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1,30,50…燃料電池、2…燃料電池セル(MEA)、2A…ガス抜き孔、3…燃料分配機構、4…燃料収容部、5…流路、11…アノード触媒層、12…アノードガス拡散層、13…アノード(燃料極)、14…カソード触媒層、15…カソードガス拡散層、16…カソード(空気極)、17…電解質膜、21…燃料注入口、22…燃料排出口、23,23A…燃料分配板、24…空隙部、25…細管、26…分岐部、27,56…多孔体、31…ポンプ、32…制御回路、33…燃料遮断バルブ、34…ラッチバルブ、39…バランスバルブ、51…流路板、52…燃料流通溝、53…拡散板、55…燃料拡散空間

Claims (7)

  1. 燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極とに挟持された電解質膜とを有する膜電極接合体と、
    前記膜電極接合体の前記燃料極側に配置され、前記燃料極の複数個所に対して燃料を供給する燃料分配機構と、
    液体燃料を収容すると共に、前記燃料分配機構と流路を介して接続された燃料収容部と
    を具備し、
    前記燃料分配機構は、前記液体燃料が前記流路を介して流入する燃料注入口と、前記燃料注入口と燃料通路を介して接続された複数の燃料排出口とを有する燃料分配板を備え、
    前記燃料分配板は、その内部に、前記燃料通路として、前記燃料注入口と前記複数の燃料排出口とを接続する細管を有し、
    前記細管は分岐部を有し、前記燃料注入口から前記複数の燃料排出口に向けて前記分岐部で順に分岐され、
    前記分岐部における分岐前の前記細管の断面積をA、分岐後の前記細管の断面積の合計をBとしたとき、前記分岐部はA≧Bを満足することを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、
    前記複数の燃料排出口は、前記燃料分配板の前記燃料極と接する面に0.1〜10個/cmの個数となるように形成されていることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1または請求項記載の燃料電池において、
    前記燃料排出口の断面積はそれに接続された前記細管の断面積と同等もしくはそれより大きいことを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれか1項記載の燃料電池において、
    前記燃料極と前記燃料分配機構との間に前記燃料を拡散させる燃料拡散空間が設けられていることを特徴とする燃料電池。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか1項記載の燃料電池において、
    さらに、前記燃料極と前記燃料分配機構との間に配置された少なくとも1つの多孔体を具備することを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項記載の燃料電池において、
    前記多孔体は多孔質樹脂シート、樹脂不織布および樹脂織布から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とする燃料電池。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項記載の燃料電池において、
    前記液体燃料は、メタノール濃度が80%以上のメタノール水溶液または純メタノールからなるメタノール燃料であることを特徴とする燃料電池。
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