JP2004288400A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高分子電解質型燃料電池のおいて電池内の水を電池外に安定して、安価でかつ長期間にわたって排出でき、高出力条件下で作動させても出力や効率の低下が少ない燃料電池を可能とする優れた生成水の排出技術を提供すること。
【解決手段】高分子電解質膜とその両側に配置される電極を含む燃料電池部が、さらに該燃料電池部に接触して配置される熱可塑性樹脂製多孔質膜層を含んで構成されている燃料電池、およびそれに使用可能な熱可塑性樹脂製多孔質膜。
親水化処理もしくは撥水化処理された熱可塑性樹脂製多孔質膜は、熱可塑性樹脂製多孔質膜の好ましい態様である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子電解質膜とその両側に配置される電極を含む燃料電池に関する。さらに詳しくは、本発明は高分子電解質膜、電極および熱可塑性樹脂製多孔質膜を含む燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題の点から新エネルギー蓄電あるいは発電素子が社会で強く求められてきている。燃料電池もその1つとして注目されており、低公害、高効率という特徴から最も期待される発電素子である。燃料電池とは、水素やメタノールなどの燃料を酸素または空気を用いて電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに変換して取り出すものである。他のエネルギー機関と比較して、電気エネルギーへの変換効率が高く,しかも,炭酸ガスや窒素酸化物等の大気汚染物質の排出量が少ないことから、いわゆるクリーン・エネルギー源として期待されている。
【0003】
このような燃料電池は、用いる電解質の種類によってりん酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型および高分子電解質型に分類される。りん酸型燃料電池は、すでに電力用に実用化されている。しかし、りん酸型燃料電池は高温(200℃前後)で作動させる必要があり、そのため起動時間が長い、システムの小型化が困難であること、また、りん酸のイオン伝導度が低いために大きな電流を取り出せないという欠点を有していた。
【0004】
これに対して、高分子電解質型燃料電池は操作温度が最高で約80〜100℃程度という低温で作動させることができる。また、用いる電解質膜を薄くすることによって燃料電池内の内部抵抗を低減できるため高電流で操作でき、そのために小型化が可能である。このような利点から高分子電解質型燃料電池の研究が盛んになってきている。
【0005】
高分子電解質型燃料電池には、燃料として、ボンベ、配管などから供給される純水素を用いるタイプのほか、改質器によりガソリンやメタノールから水素を発生させて用いるタイプなどがある。また、燃料としてメタノール水溶液を用いて直接発電を行う直接メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)も開発されている。
【0006】
水素・酸素燃料電池は、その反応生成物が原理的に水のみであり、地球環境への悪影響のほとんどない発電システムとして注目されている。その中でも、高分子電解質膜を有する固体高分子型燃料電池は、小型軽量化が容易であることから、電気自動車などの移動車両や、小型コジェネレーションシステムの電源などとしての実用化が期待されている。
【0007】
高分子電解質型燃料電池は、イオン伝導性を有する高分子電解質膜とこの両側に接触して配置される正極および負極から構成される。燃料の水素あるいはメタノールは負極において電気化学的に酸化されてプロトンと電子を生成する。このプロトンは高分子電解質膜内を、酸素が供給される正極に移動する。一方、負極で生成した電子は電池に接続された負荷を通り、正極に流れ、正極においてプロトンと電子が反応して水を生成する。
【0008】
この高分子電解質型燃料電池は、作動温度が80℃程度と比較的低いため電池反応により正極で生成する水が凝縮し易い。このように電極が生成水で濡れ易くなると、電極が生成水で覆われたり、電極の触媒層や当該触媒層にガスを供給するためのガス拡散層の細孔が生成水により閉塞される現象(フラッディング)が発生したりして、燃料ガスが触媒層中の反応サイトに到達できずに電池電圧が大きく落ち込む。そのため、作動中の電池内の水、特に正極で生成する水を電池外部に安定して排出することが可能な電池の開発が望まれている。
【0009】
また、高分子電解質型燃料電池おいては、作動中における電気伝導性イオン膜の導電性を保つために加湿することが行われる。そのために供給する燃料ガスが水蒸気を含んで加湿された状態で供給されると、加湿されたガスの水分の凝縮によっても電池内に水を生成することになる。この点からも電池内の水、特に正極で生成する水を電池外部に安定して排出できる技術の開発が必要となっている。
【0010】
電極で生成する水を除去する方法として、カーボンペーパー、カーボンクロスなどからなる電極基材の触媒層に接する面にポリテトラフルオロエチレンなどの溶媒不溶性フッ素樹脂層を溶媒分散体によって形成したり、カーボンブラックを分散させた溶媒可溶性のフッ素樹脂溶液を塗布して撥水性カーボン層を形成する方法が提案されている(例えば特開2002−260686号公報)。しかしながら、樹脂が高価である上に、層形成の工程が複雑であり、その条件が制限されるためにコストがかかる方法であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、高分子電解質型燃料電池において電池内の水、特に正極で生成する水を電池外部に安定して、安価でかつ長期間にわたって排出できる技術の開発に鋭意取り組んだ結果、本発明に到達したものである。
【0012】
本発明は、高出力条件下で作動させても出力や効率の低下が少ない燃料電池を可能とする優れた生成水の排出技術を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高分子電解質膜とその両側に配置される電極を含む燃料電池部が、さらに該燃料電池部に接触して配置される熱可塑性樹脂製多孔質膜層を含んで構成されている燃料電池を提供する。
【0014】
前記電極が電極材料および触媒を含む触媒層と電導性多孔質層から構成され、前記熱可塑性樹脂製多孔質膜層が、少なくとも正極側の電導性多孔質層の少なくとも片面に接触して配置されている燃料電池は本発明の好ましい態様である。
【0015】
前記熱可塑性樹脂製多孔質膜が、親水化処理されている燃料電池は本発明の好ましい態様である。。
【0016】
前記熱可塑性樹脂製多孔質膜が、撥水化処理されている燃料電池は本発明の好ましい態様である。。
【0017】
前記熱可塑性樹脂製多孔質膜が、ポリオレフィン系樹脂からなる多孔質膜である燃料電池は本発明の好ましい態様である。
【0018】
本発明はさらに、燃料電池内の生成水の排出用に使用できる熱可塑性樹脂製多孔質膜を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
燃料電池は通常イオン伝導性を有する高分子電解質膜とこの両側に接触して配置される正極および負極からなる電極からなる燃料電池部を含んで構成されている。
【0020】
電極は、通常電極材料と、水素の酸化反応や酸素の還元反応を促進する触媒を含み、さらに導電材料や結着剤などとともに成形して形成されるが、電極は触媒や結着剤などからなる触媒層と、導電性多孔質層の形状をとるカーボンシートやカーボンクロスなどの導電材料が密着した形状であってもいいし、また導電性多孔質層に触媒や結着剤などが含浸された形状であってもいい。正極と負極の間に固体電解質膜を配置し、いわゆる膜−電極接合体(MEA)とすることもできる。
【0021】
前記導電性多孔質層は、触媒層を支持する電極基材として働くと共に反応ガス(燃料ガスと酸化剤ガス)の供給および排出を行い、しかも集電体としての機能も有する多孔質層である。
【0022】
本発明は、熱可塑性多孔質膜を燃料電池部に接触させて配置することにより継続して安定的に水を排除できる燃料電池を提供する。
【0023】
本発明の熱可塑性多孔質膜を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、、ポリスルホン、ポリアクリルニトリル、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)などを挙げることができる。中でもポリオレフィン系樹脂が好ましく使用される。
【0024】
ポリオレフィン系樹脂樹脂としては、ポリエチレンと呼ばれるエチレンの単独重合体またはこれと他のα−オレフィンとの共重合体、ポリプロピレンと呼ばれるプロピレンの単独重合体またはこれと他のα−オレフィンとの共重合体などを挙げることができる。
【0025】
とりわけポリエチレンが好ましく、中でも中低圧法ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、重量平均分子量(Mw)が10〜5×10程度の高分子量ポリエチレンが、耐久性、耐熱性の観点からより好ましい。
【0026】
本発明の樹脂からなり水を排除することができる多孔質膜は、ガスを通過させる程度の多孔質であれば、空孔率には特に制限はないが、好ましくは空孔率として30%程度以上、より好ましくは50〜70%程度のものが好適に使用される。
【0027】
本発明の多孔性樹脂膜の製造法としては、特に制限がなく従来公知の種々の膜製造技術やそれらの組合せを使用することができる。例えば、延伸による空孔発生を利用した延伸製膜法や、圧延時に空孔を発生させる圧延法やカレンダー成形法、発泡剤を使用する発泡法、空孔含有粒子を使用する方法、溶剤抽出法、混合成分を溶解抽出する方法などが挙げられる。
【0028】
本発明の熱可塑性樹脂製多孔質膜が水を排除する機能を発揮するためには、適度の親水性または撥水性を有していることが好ましい。
本発明において、親水性を有する熱可塑性樹脂製多孔質膜としては、熱可塑性樹脂が親水性を有するものであれば、それから得られる多孔質膜が好適に使用できるし、親水性を持たない熱可塑性樹脂の場合には、親水性付与するために熱可塑性樹脂またはそれから得られる多孔質膜に親水化処理を施すことが好ましい。
【0029】
親水化処理の例として、熱可塑性樹脂をアクリル酸などの親水基含有不飽和化合物によって変性する方法が挙げられる。
また他の親水化処理の例として、熱可塑性樹脂製多孔質膜にコロナ放電などのプラズマ放電処理を施す方法を挙げることができる。
【0030】
さらに他の親水化処理の例として、親水化剤を配合した熱可塑性樹脂を用いて多孔質膜を調製する方法、または熱可塑性樹脂製多孔質膜を親水化剤で処理する方法を挙げることができる。親水化処理剤としては、炭素数4〜40程度の炭化水素基を有するスルホン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、炭素数4〜30程度の炭化水素基を有するアルキルベタインやアルキルスルホベタイン、炭素数4〜40程度の炭化水素基を少なくとも1つ有するアンモニウム化合物、グリセライド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル及びスルホン酸金属塩化合物、ポリオキシエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリアルキレンオキサイド鎖を有する基がポリアルキレンポリアミン系骨格に結合した化合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0031】
この際、親水化助剤として、炭素数4〜40程度の高級脂肪酸のアミド化合物や高級アルコールを挙げることができ、その具体例として、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、N−エチルステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ラウロイルモノエタノールアミド、ステアロイルモノエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルアルコール、ステアリルアルコールなどを適宜用いてもよい。
【0032】
さらに他の親水化処理の例として、熱可塑性樹脂製多孔質膜の表面にセルロース、親水性を有する合成パルプ、親水化不織布などの親水性材料からなる層を形成させる方法を挙げることができる。これらの材料からなる層をラミネート、ヒートエンボスなどの方法によって熱可塑性樹脂製多孔質膜の表面に貼りつけることによって、熱可塑性樹脂製多孔質膜に親水性が付与される。
【0033】
合成パルプとしては、ポリオレフィン系樹脂などの樹脂を溶融紡糸した繊維を短く切った後に叩解する方法や、溶融フラッシュもしくはエマルジョンフラッシュを行った後に叩解処理する方法で得られるものを使用することができる。中でも、ポリビニルアルコール(PVA)を親水化剤として用いるエマルジョンフラッシュ法によって得られるものが好適に利用できる。
【0034】
親水化不織布としては、親水化剤を混練したポリオレフィン系樹脂などの合成樹脂の繊維から短繊維(ステープルファイバー)を得て、次いでローラーカード方式で得た不織布や、合成樹脂の溶融紡糸しスパンボンド法、メルトブロー法、バーストファイバー法で得た糸を短くカットし、分散・ウェブ化・交絡工程を経て得る不織布などを採用することができる。
【0035】
本発明の親水性を有する熱可塑性樹脂製多孔質膜としては、「Japan TAPPI No.51−87」により測定される液体吸収容積が7.5ml/m以上の範囲にあることが好ましい。
【0036】
親水性を有する熱可塑性樹脂製多孔質膜は、水を積極的に吸収しそれを、多孔質膜を通じて排出する道筋となるので、速やかに電池内の水を排出することができる。また本発明の熱可塑性樹脂製多孔質膜は大量の水を吸収しても防潤などによって寸法変化が起るようなことがない安定な膜であるので、燃料電池用には好適に使用することができる。
【0037】
本発明において、撥水性を有する熱可塑性樹脂製多孔質膜としては、熱可塑性樹脂が撥水性を有するものであれば、それから得られる多孔質膜が好適に使用できるし、撥水性を持たない熱可塑性樹脂の場合には、撥水性を付与するために熱可塑性樹脂またはそれから得られる多孔質膜に撥水化処理を施すことが好ましい。
【0038】
撥水化処理の例として、熱可塑性樹脂製多孔質膜を撥水剤で処理する方法を挙げることができる。撥水化剤としては、ポリヒドロメチルシロキサンやフルオロシリコーン、非イオン型またはアニオン型フッ素樹脂系水性撥水剤などを挙げることができる。これらの水分散液を熱可塑性樹脂製多孔質膜に含浸又は塗布するなどの方法で撥水化処理することができる。
【0039】
また他の撥水化処理の例として、熱可塑性樹脂製多孔質膜の表面に撥水化セルロース、撥水化不織布などの撥水性材料からなる層を形成させる方法を挙げることができる。これらの材料からなる層をラミネート、ヒートエンボスなどの方法によって熱可塑性樹脂製多孔質膜の表面に貼りつけることによって、熱可塑性樹脂製多孔質膜に撥水性が付与される。
【0040】
本発明の撥水性を有する熱可塑性樹脂製多孔質膜としては、撥水性の尺度である撥水等級が6級であるものを好ましく使用することができる。
【0041】
撥水性を有する熱可塑性樹脂製多孔質膜は、水を微細な粒子とし多孔質膜内に滞留させることなく排出するので、電池内の水を速やかに排出することができる特徴を有するものである。
【0042】
本発明において、特に好ましい熱可塑性樹脂製多孔質膜としては、親水化処理された高分子量ポリエチレン製多孔質膜および撥水化処理された高分子量ポリエチレン製多孔質膜を挙げることができる。
【0043】
本発明の燃料電池は、高分子電解質膜とその両側に配置される電極を含む燃料電池部が、さらに該燃料電池部に接触して配置される熱可塑性樹脂製多孔質膜層を含んで構成されている燃料電池である。
【0044】
この燃料電池において、電極が電極材料および触媒を含む触媒層と電導性多孔質層から構成され、熱可塑性樹脂製多孔質膜層が、少なくとも正極側の導電性多孔質層の少なくとも片面に接触して配置されている燃料電池は、本発明の好ましい態様の一つである。
【0045】
本発明の実施態様を、以下に図を用いてさらに詳細に説明する。
図1は本発明の実施態様の一つを示す燃料電池の断面図である。図1は、固体高分子電解質膜1、触媒を含む正極側触媒層2および負極側触媒層2’並びにカーボンペーパーからなる正極側導電性多孔質層3および負極側導電性多孔質層3’から構成される燃料電池部と、正極側導電性多孔質層3の外側にそれに接触して熱可塑性樹脂製多孔質膜層4が配置されて燃料電池が構成されており、燃料電池をセバレーター5、5’が挟むように配置されている状態を示している。セパレータ5には、酸素または空気の供給口6および水の排出口7が設けられ、またセパレータ5’には加湿メタノールの供給口8および炭酸ガスの排出口9が設けられている。
【0046】
図1においては、正極側で触媒層2の導電性多孔質層3との境界表面に水が生成するのと同時に、8から供給されるメタノールに含まれている加湿用の水分が固体高分子電解質膜1で吸収されずに到達し凝縮して水を生ずる、生成水は導電性多孔質層3を通じて熱可塑性樹脂製多孔質膜層4に達し、図1で使用されている熱可塑性樹脂製多孔質膜層4に沿って7から排出されるので、触媒層2の表面が生成水で覆われたり、導電性多孔質層3の細孔が生成水により閉塞されてガスが触媒層中の反応サイトに到達できずに電池電圧が大きく落ち込むことなく、高出力条件で安定して作動させることができる。
【0047】
セパレータ5,5’は共に、ガスを透過せず,かつ、良好な熱伝導性と良好な電気伝導性を備え、しかも、生成水を汚損させることのない材料(例えば、炭素系の材料または金属材料)を用いて製作されている。セパレータ5,5’の燃料電池に面する側には、反応ガスを通流させると共に,未消費のガスや生成ガスを排出するために、間隔を設けて凹状の溝(ガス通流用の溝)と隔壁が交互に形成されている。
【0048】
負極側電極でも、燃料ガス(メタノール)の加湿用に供給される水が凝縮するので、図2に示すように本発明の熱可塑性樹脂製多孔質膜層を、負極側の正極側導電性多孔質層3’の外側にもそれに接触して熱可塑性樹脂製多孔質膜層4’が配置されている燃料電池は本発明の好ましい態様である。
【0049】
図3には、図1に示した燃料電池の熱可塑性樹脂製多孔質膜層4が、高分子量ポリエチレン製多孔質膜4−1の表面に親水性不織布層4−2が形成された親水化処理ポリエチレン製多孔質膜層である燃料電池の断面図が示されている。
【0050】
図3では、高分子量ポリエチレン製多孔質膜4−1の表面に親水性不織布層4−2が形成されている。電池内の水は親水性層4−2に積極的に吸収され、それをを通じて排出されるので、速やかに電池外に排出される。
【0051】
図4は、本発明の実施態様の一つを示す燃料電池の断面図である。固体高分子電解質膜11、電極材料、触媒および導電性材料が一体に成形された正極12および負極12’からなる燃料電池部と、正極12の外側にそれに接触して熱可塑性樹脂製多孔質膜層13が配置されて燃料電池が構成されており、燃料電池をセバレーター5、5’が燃料電池を挟むように配置されている状態を示している。
【0052】
図5は本発明の他の実施態様を示す燃料電池の断面図である。図5では、図1に示された燃料電池において、正極側触媒層2と正極側導電性多孔質層3の間にも両者に接触して熱可塑性樹脂製多孔質膜層4が配置された燃料電池が示されている。触媒層と導電性多孔質層の間には、導電性が確保されている必要があるので、熱可塑性樹脂製多孔質膜層4は、導電性材料を混練することによって正極側触媒層2と正極側導電性多孔質層3の間の導電性が確保されている。
【0053】
触媒層と導電性多孔質層の間には導電性が確保されている必要があるので、触媒層と導電性多孔質層の間に両者に接触して本発明の熱可塑性樹脂製多孔質膜層を配置するために、導電性フィラーを材料に混練させて伝導性を付与させる方法や、パンチングなどの物理的加工によって部分的に接触を持たせる方法などによって導電性を確保することができる。
【0054】
導電性多孔質層の触媒層面とその反対面の両方に本発明の熱可塑性樹脂製多孔質膜層を配置する態様もまた本発明の実施態様の一つである。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、高分子電解質型燃料電池において電池内の水を電池外部に安定して、安価でかつ長期間にわたって排出できる燃料電池が提供される。
本発明は、高出力条件下で作動させても出力や効率の低下が少ない燃料電池を可能とする優れた生成水の排出技術が提供される。
本発明によれば、燃料電池内に生成する水を安定して効率よく排出できる熱可塑性樹脂製多孔質膜が提供される。
本発明によって提供される燃料電池は、高出力条件下で安定して作動させることができる燃料電池である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池の実施態様例を示す断面図である。
【図2】本発明の燃料電池の他の実施態様例を示す断面図である。
【図3】本発明の燃料電池の他の実施態様例を示す断面図である。
【図4】本発明の燃料電池の他の実施態様例を示す断面図である。
【図5】本発明の燃料電池の他の実施態様例を示す断面図である。
【符号の説明】
1.固体高分子電解質膜
2、2’.触媒層
3、3’.電導性多孔質層
4、4’.熱可塑性樹脂製多孔質膜層
4−1.熱可塑性樹脂製多孔質膜
4−2.親水性不織布層
5、5’.セパレーター
6.酸素または空気供給口
7.水排出口
8.加湿メタノール供給口
9.炭酸ガス排出口
11.固体高分子電解液膜
12.正極
12’.負極
13.熱可塑性樹脂製多孔質膜層

Claims (10)

  1. 高分子電解質膜とその両側に配置される電極を含む燃料電池部が、さらに該燃料電池部に接触して配置される熱可塑性樹脂製多孔質膜層を含んで構成されていることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記電極が電極材料および触媒を含む触媒層と電導性多孔質層から構成され、前記熱可塑性樹脂製多孔質膜層が、少なくとも正極側の電導性多孔質層の少なくとも片面に接触して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記熱可塑性樹脂製多孔質膜が、親水化処理されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池。
  4. 前記熱可塑性樹脂製多孔質膜が、撥水化処理されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池。
  5. 前記熱可塑性樹脂製多孔質膜が、ポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池。
  6. 前記ポリオレフィン系樹脂が、高分子量ポリエチレンであることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池。
  7. 燃料電池内の生成水の排出用に使用できる熱可塑性樹脂製多孔質膜。
  8. 前記熱可塑性樹脂製多孔質膜が、親水化処理された多孔質膜である請求項7に記載の熱可塑性樹脂製多孔質膜。
  9. 前記熱可塑性樹脂製多孔質膜が、撥水化処理された多孔質膜である請求項7に記載の熱可塑性樹脂製多孔質膜。
  10. 前記熱可塑性樹脂が高分子量ポリエチレンであることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂製多孔質膜
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