JPWO2007094062A1 - マルチフィラメント及びその製造方法、並びに糸及びその製造方法 - Google Patents

マルチフィラメント及びその製造方法、並びに糸及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本願発明は、釣り糸を含めた各種の糸において、糸の真円度を確保しつつ、結節強度を向上させることを課題とする。このような課題を解決するために、本願発明は、方向の異なる2つの撚りが掛けられたマルチフィラメントと、当該マルチフィラメントの表面を被覆する被覆樹脂とを備え、上記マルチフィラメントが、一方向に第1の撚りが掛けられ、他の糸を合糸することなく、当該第1の撚りの方向と逆方向に第2の撚りが掛けられた糸を提供する。

Description

本願発明は、糸及びその製造方法に関するものである。
特開平11−103737号公報
例えば、釣り糸に要求される特性として、軽量であり、高強力であること、及びこの特性が長く維持されることが挙げられる。
釣り糸として、従来より広く使われているナイロンモノフィラメントの弱点である、上記の高強力について、これを満足する目的で、芯糸に鞘糸を巻きつけるカバリング糸が種々提案されている。
例えば、このような高強力を満足させた上で、生産性を低下させず、また、釣り糸の耐磨耗性能も低下させないものを安価に提供するという目的で、特許文献1に見られる釣り糸が提案されている。
この釣り糸は、芯糸に合成繊維マルチフィラメント糸条を配し、その周りに鞘糸として合成繊維マルチフィラメント撚糸を巻きつけてなるカバリング糸であって、芯糸と鞘糸の成す角度と鞘糸の撚り角度との差を25°以下としたものである。
このような構成を採ることによって、この発明は、破断強度及び結節強度に優れ、低破断伸度であるといった機械的特性に優れ、且つ、耐磨耗性にも優れた釣り糸を提供し得たとしている。
しかし、マルチフィラメント(撚糸)を用いて高強力を得ることと引き換えに、このような撚りを掛けた糸を用いた釣りに際して、糸が旋回し、釣竿のガイドに絡むといった事態を頻発するものとなっている。
本願の発明者の一人(山本 恭久)は、このような特許文献1に示された釣り糸の上記の課題を解決を図るべく、また、更にその引張強度の向上を図るべく、新たな発明を創作した(特願2005−56927号)。この発明は、複数のマルチフィラメント糸を有し、下撚りと上撚りとの撚数の比の2倍の数値を、撚り合わせるマルチフィラメント糸の数で除した値が、1.2以上2.5以下となるように、上記のマルチフィラメント糸を諸撚りした釣り糸を提供するものである。このような発明によって、マルチフィラメント糸(撚糸)を採用する釣り糸を用いて釣りを行うに際し、糸の旋回を抑制して、釣竿のガイドへ絡むといった使い辛さを大幅に低減した。
その一方で、本願発明者は、糸の結節強度を、更に、向上することができないか、上記の発明の提案以降も、日々研究を重ねてきた。
このような結節強度の向上を図ることができれば、その恩恵は、釣り糸のみならず、糸製品全般についても、例えば、テニスのガット、刺繍糸、縫製糸、ロープ、カールコード状の携帯ストラップの芯に用いられる糸や、魚網、安全ネットを形成するのに用いられる糸についても、大きなものである。
特に釣り糸においては、結節強度が向上しても、真円度が低下(扁平率が上昇)してまうのであれば(糸の断面が扁平なものになってしまうのであれば)、不自然な反射光を放ち魚に警戒感を持たせるものともなる。また、真円度の低下により、結節強度が向上できても、引張強度(結節強力)が低下するということにもなりかねない。更に、このような真円度の低下によって、上記の釣竿のガイドに絡むなどのライントラブルも生じやすくなってしまう。
本願発明は、上記問題点を鑑み、撚り糸における発想の大きな転換によって、糸の上記結節強度の向上を図ることを課題とし、また、糸の結節強度の向上と共に糸の真円度を損なわないものとすることを課題とする。
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、以下の糸を提供する。
即ち、この糸は、方向の異なる2つの撚りが掛けられたマルチフィラメントと、当該マルチフィラメントの表面を被覆する被覆樹脂とを備える。上記マルチフィラメントは、一方向に第1の撚りが掛けられ、他の糸を合糸することなく、更に当該第1の撚りの方向と逆方向に第2の撚りが掛けられたものである。
尚、ここでいう糸は、最終製品としての糸は勿論、半製品である糸も含む。例えば半製品として、目的用途の糸として完成のために更に樹脂を被覆するものも含む。
また、本願の請求項2に記載の発明では、本願の上記第1の発明にあって、上記の被覆樹脂について、上記第1の撚りを掛ける前に、上記マルチフィラメントの表面に又は当該マルチフィラメントを構成する単糸間へ、付着又は含浸させたものであることを特徴とする糸を提供する。
本願第3の発明では、本願の上記第1の発明にあって、上記の被覆樹脂について、上記第1の撚りを掛けた後、上記第2の撚りを掛ける前に、上記マルチフィラメントの表面に付着させたものであることを特徴とする糸を提供する。
本願第4の発明では、本願の上記第1乃至第3の何れかの発明にあって、次の糸を提供する。即ち、上記マルチフィラメントは、超高分子ポリエチレン又はポリアリレートを主成分とするものであり、上記第1の撚りと第2の撚りの撚り数の比を1.05以上2.5以下とし、第1の撚りの撚り数を180〜1000T/Mとするものである。また、上記被覆用樹脂は、熱可塑性樹脂であり、上記被覆樹脂の付着量は、当該フィラメント100重量部に対して、15〜50重量部である。
尚、T/Mとは、1m当りの巻き回数を示す。即ち、上記の第1の撚りの撚り数は、1m当り180回以上1000回以下とするものである。
また、上記の撚り数の比は、第2の撚りの撚り数を1としたときの、第1の撚りの撚り数をいう。
本願第5の発明では、本願の上記第1乃至第4の何れかの発明にあって、扁平率が1以上1.25以下である糸を提供する。
尚、ここでいう扁平率とは、糸断面の輪郭である円の、短軸に対する長軸の倍率であり、1に近いほど真円度が高いことを示す。
本願第6の発明は、マルチフィラメントの表面を樹脂で被覆するものであって、当該マルチフィラメントを一方向に第1の撚りを掛け、更に、他の糸を合糸することなく、当該第1の撚りと逆方向に第2の撚りを掛けるものであることを特徴とする糸の製造方法を提供する。
表4の滑性(速度)の測定の方法を示す説明図である。
以下、本願発明の好ましい実施の形態について説明する。
本願発明は、糸製品全般において実施できるものであり、例えば、釣り糸、テニスのガット、刺繍糸、縫製糸、ロープ、カールコード状の携帯ストラップの芯(魚網、安全ネット)に実施することができる。本願発明に係る糸は、とりわけ釣り糸に適する。
周知の紡績技術においては、諸撚り(双撚り)という、糸1本又は2本以上引き揃えて撚りを加え(下撚り)、これを2本以上引き揃えて更に撚り(上撚り)を掛けるものがある(諸撚り糸とは、2本以上の糸を引き揃えて、下撚りと反対方向に撚り合わせた糸をいう。/JIS用語)。
前記の通り、本願発明は、従来の発想を大きく転換して、上記の諸撚りと異なり、第1の撚り(以下下撚りと呼ぶ。)と第2の撚り(以下上撚りと呼ぶ。)という方向の異なる撚りを、2本以上の糸を以って行うのではなく、上記の通り、樹脂を用いて、1本のマルチフィラメント(以下必要に応じて単にフィラメントと呼ぶ。)に対して、行うものである(本願発明の説明において、下撚りとは、フィラメントに対して先に施した撚りをいい、上撚りとは、当該下撚りの後のフィラメントに施した下撚りと逆方向の撚りをいう)。
そして、少なくとも、上記上撚りを行う前に、当該フィラメントを熱可塑性樹脂で被覆しておくのである。これは、製造過程において、少なくとも、上撚りを行う間、未硬化の樹脂の作用により、下撚りと上撚りとの双方をかけた効果を共存することができると考えられるからである。これに加えて、より戻りを遅らせる効果が得られるからである。
上記の上撚りと下撚りの撚り数の比を1.05以上2.5以下とし、上撚りの撚り数を180〜1000T/Mとするというのは、製造の際の撚りを掛ける時点において、このような範囲で下撚り及び上撚りを掛けるということである(完成後の各撚り数及び撚り比を指すものではない)。
樹脂にて被覆されているため、完成後のフィラメントの状態は、確認し難いが、下撚りを掛けた後、上撚りを掛けることにより、撚り戻りが生じるものであり、完成品の撚り数や撚り比については、往々にして上記と異なる。但し、このようなより戻りが生じていても、各撚りを上記の範囲で掛けることにて、結節強度は大きく向上する。
また、撚り戻りが生じるのであれば、当初より、片撚りとすることも考えられるが、片撚りとした場合、扁平となり、同様の結節強度を確保することができるとしても、上記の範囲における真円度(扁平率)の糸を得ることはできない。従って、仮に撚り戻りにより、下撚りに対して掛けた上撚り分の戻りが生じたとしても(上撚り分100%の撚りが戻るとしても、)全く上撚りを掛けない即ち当初より片撚りとする場合に比して、高い真円度(低い扁平率)を確保することができる。
上記の被覆用樹脂には、熱可塑性樹脂を採用することが可能である。このような熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/ スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ ブタジエン/ スチレン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリカーボネイト(PC)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)を掲げることができる。被覆樹脂として、一般に合成樹脂接着剤と呼ばれるものを採用することが可能である。
特に、上記の被覆樹脂として、ウレタン樹脂(特にポリウレタン樹脂)、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、スチレン樹脂、フッ素系樹脂や軟質PVC(塩化ビニル)の何れかを主成分とするものを採用するのが好ましい。
以下、当該糸の、第1〜第4の4つの好ましい製造方法について、順に説明する。
先ず、第1の製造方法について説明すると、この方法は、被覆工程と、下撚り工程と、上撚り工程と、乾燥工程とをこの順で行うものである。
上記の被覆工程において、超高分子ポリエチレン又はポリアリレートでできた周知のマルチフィラメントに、先ず樹脂を付ける。即ち、当該マルチフィラメントの表面及び当該マルチフィラメントを構成する単糸間へ樹脂を含浸させ又これらの部位を当該樹脂にて被覆する。そして、下撚り工程において、上記の樹脂が完全に硬化してしまう前に、当該樹脂被覆したマルチフィラメントに撚り(下撚り)を掛ける。即ち、当該被覆されたフィラメントに対して周知の手段にて一方向に撚りを掛ける。当該一方向へ撚りを掛けた後、上撚り工程において、直ちに(被覆樹脂が完全に硬化する前に)、当該一方向と逆方向に撚り(上撚り)を掛ける。この逆方向への撚りを掛けた後、乾燥工程において、フィラメントに対して、焼付けを行い、樹脂を乾燥させる。上撚り工程と乾燥工程との間に、表面処理工程を行うものとし、逆方向へ撚りを掛けた後、上記の焼付け前に、表面処理を行うのが好ましい。この表面処理とは、フィラメントの表面を滑らかにする処理である。
この第1の製造方法について、更に具体的に説明する。
原糸には、上記の通り、超高分子ポリエチレン又はポリアリレートでできたマルチフィラメントを採用する。
上記被覆工程において、ディップコーティング(樹脂に対する糸の浸漬による被覆)により、ポリエステル樹脂を被覆樹脂として、原糸となるマルチフィラメントを被覆する。ポリエステル樹脂には市販のものを採用することができる。例えば、このようなポリエステル樹脂には、ポリエステル60〜55重量部、スチレン40〜45重量部(合計100重量部)の組成のものを採用することができる。被覆樹脂については、上記のポリエステル樹脂70重量部、溶剤30重量部(合計100重量部)とする樹脂液を用いることができる。この溶剤としては、トルエン、イソプロピルアルコール、酢酸エチルを含有するものを採用することができる。特に、この樹脂液(ポリエステル樹脂+溶剤)100重量量部とグリセリン3重量部(合計103重量部)とを成分とするものを被覆用樹脂液とし、当該被覆用樹脂液を用いて、上記マルチフィラメントをディップコーティングするのが好ましい。
上記のディップコーティングについては、被覆樹脂を収容した樹脂槽の液面にローラを配置し、当該ローラにより糸(フィラメント)を樹脂内に潜らせるものとすればよい。
上記被覆樹脂の付着量は、後述の乾燥工程を行って、溶剤成分或いは水を除去した後、当該フィラメント100重量部に対して、15〜50重量部となるように、上記被覆工程にて、樹脂をフィラメントに付ける。糸完成後(乾燥工程後)の、樹脂の付着量が、上記の15重量部より小さいと、接着性が悪く、単糸のバラケが生じる。従って、特に、釣り糸に使用する場合、問題となる。また、逆に、糸完成後(乾燥工程後)の、樹脂の付着量が、上記の50重量より大きいと、経済性が悪く(コストが高くなる)、また、柔軟性や耐磨耗性といった、フィラメント素材の特性が発揮できない。特に、この乾燥工程後の樹脂の付着量については、当該被覆用樹脂液の重量を上記被覆前のマルチフィラメントの重量の20〜40%とするのが好ましい(被覆・乾燥後の糸の重量は、被覆前の糸の100〜200%となる)。
そして、上記の下撚り工程により、従来周知の装置(撚り機)を用いて、上記にて樹脂被覆されたフィラメントに対して、被覆樹脂が硬化する前に、下撚りを掛ける。
この下撚り工程において、フィラメントに対して、撚り数を180〜1000T/Mとするように、撚りが掛けられる。撚り数が1000T/Mより多くなると、弾性低下が著しく、問題となる。具体的には、撚糸加工時に断糸のトラブルが発生し、加工後、物性低下の問題が生じる。また、撚り数が180T/Mより少ないと、引き揃え状態となり単糸バラケといった問題が生じる。このように、下撚り数180T/M以上とすれば実用上このような単糸バラケの問題はなくなるが、単糸バラケの問題をより確実に払拭するには、下撚りの撚り数を450T/M以上とするのが好ましい。
下撚り後、上樹脂が硬化する前に、上記の上撚り工程により、当該マルチフィラメントに下撚り工程と逆方向の撚りを掛ける。例えば、下撚り工程にて、S撚りを掛けた場合、この上撚り工程において、Z撚りを掛けるものとする。逆に、下撚り工程において、Z撚りを掛けた場合、上撚り工程ではS撚りを掛けるものとする。
詳しくは、上撚り工程において、撚り数150T/M以上で、上記の下撚りと逆方向の撚りを掛ける。このとき、上記の下撚りと上撚りの撚り数の比(上撚り数1に対する下撚り数)が1.05以上2.5以下となるように、上撚りを掛ける。この撚り数の比が1.05より小さくなった場合、逆に、この撚り数の比が、2.5より大きくなった場合、結節強度は向上するものの、何れも、当該フィラメント1mの両端を掴み、中央を下方に垂らして、掴んだ両端を近づけ合うと、糸が1回以上(360度以上の角度)回転する。このようなフィラメントを例えば釣り糸として用いた場合、釣竿のガイドに絡むなどのライントラブルが生じ易く、実用に耐えない。前述の通り、このような上記下撚り及び上撚りの撚り数と両者の撚り比は、製造時におけるものであり、最終製品がこのような範囲にあることを意味するものではない(後述する第2〜第4の製造方法においても、同様である)。
上記の下撚り及び上撚りの双方の撚りを掛けることにより、扁平率が1以上1.25以下のフィラメントを得ることができる。
上記の表面処理工程において、フィラメントの表面を滑らかにするために、フィラメント表面に仕上剤が付けられる。この仕上剤としては、油を同量(重量)の溶剤にて溶かしたものを採用するのが好ましい。尚、この表面処理工程における仕上げ剤の塗布についても、ディップコーティングによるのが好ましい。
また、前述の樹脂の付着量が多い場合は、この表面処理工程において、上記仕上剤を付ける前に、溶剤で、不要な樹脂を除去して、樹脂量を調整することもできる。
上記の乾燥工程において行われる、焼付けは、80℃〜330℃の乾熱で樹脂を焼き付けるものである。特に、上記の樹脂及び仕上剤を採用した場合、焼付けは、特に、270℃の乾熱で行うのが好ましい。また、このような乾熱処理(被覆樹脂の焼付けによる処理)によらずに、例えば熱風による乾燥処理としても、実施可能である。
前述の通り、乾燥工程を経た後は、当該乾燥工程における上記焼付けによって、上記の溶剤(液状成分)は、全て除去され、固形分(ポリエステル)のみ、フィラメントに付着していることになる。
上記の各工程が終了して完成した糸は、糸を周知の引取機へ通した後、巻取機にて巻き取る。
上記において、乾燥工程以外の各工程は、常温にて行われる。また、上記において、被覆樹脂は、ポリエステル樹脂を用いるものを示したが、この他、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂を採用することができる。
次に、第2の製造方法について、説明する。この方法は、被覆工程と、下撚り工程と、樹脂付加工程と、上撚り工程と、乾燥工程とをこの順で行うものである。
上記と同様、先ず、被覆工程において、超高分子ポリエチレン又はポリアリレートでできた周知のマルチフィラメント(原糸)に、樹脂を付けて被覆する。下撚り工程において、樹脂が完全に硬化してしまう前に、当該樹脂被覆したマルチフィラメントについて一方向に撚り(下撚り)を掛ける。ここでは、上記第1の方法と異なり、上記下撚り後、樹脂付加工程によって、上撚りを行う前に、更に樹脂をフィラメント表面に付けて被覆する。その後、上撚り工程において、当該フィラメントに対して、上記一方向と逆方向に撚り(上撚り)を掛ける。そして乾燥工程によって、焼付けを行い、樹脂を乾燥させる。この方法において、上記乾燥工程後、表面処理工程と、副乾燥工程とを行うものとするのが好ましい。表面処理工程については、上記第1の製造方法における表面処理工程と同様の処理を行うものである。又副乾燥工程において、表面処理後のフィラメントに対して、焼付けを行い、樹脂を乾燥させる。
第2の製造方法について、更に具体的に説明する。
原糸には、第1の製造の方法と同じ、超高分子ポリエチレン又はポリアリレートでできたマルチフィラメントを採用する。
上記の被覆工程において、超高分子ポリエチレン又はポリアリレートでできた周知のマルチフィラメント(原糸)を上記第1の製造方法と同様、ディップコーティングにより、ウレタン樹脂で被覆する。ウレタン樹脂には、市販のポリウレタン樹脂を採用することができる。例えば、このような市販のポリウレタン樹脂には、ポリウレタン70〜45重量部、溶剤30〜55重量部(合計100重量部)の組成のものを採用することができる。
上記にて被覆に用いる樹脂液は、上記のポリウレタン樹脂100重量部、溶剤10重量部(合計110重量部)とする。
樹脂の付着量については、下撚りが掛けられたフィラメントに対して、乾燥工程(副乾燥工程を遂行する場合は、当該副乾燥工程)終了後、溶剤成分が除去された状態で、当該フィラメントの100重量部に対して、被覆樹脂(固形分)が10〜20重量部%となるように、被覆工程において、上記の樹脂液を付着させるものである。
下撚り工程において、被覆工程で付けられた樹脂が完全に硬化してしまう前に、当該樹脂被覆したマルチフィラメントに撚り(下撚り)を掛ける。即ち、当該被覆されたフィラメントに対して周知の手段にて一方向に撚りを掛ける。この第2の製造方法の下撚り工程においても、上記第1の製造方法と同様の条件で下撚りを行う。即ち、下撚りの撚り数を180〜1000T/Mとする。
この下撚り工程後のフィラメントに対して、上記の樹脂付加工程によって、更に樹脂を被覆する。この樹脂付加工程において、市販のPPプライマーといった変性ポリプロピレン(以下HV)を被覆樹脂として採用することができる。例えば、このようなHV樹脂には、塩素化ポリプロピレン30重量部、トルエン70重量部(合計100重量部)の組成のものを採用することができる。
この樹脂付加工程において、被覆に用いる樹脂液は、上記HV50重量部、溶剤50重量部(合計100重量部)とするものを用いることができる。このような樹脂液にて、上記の通り、フィラメントを更にディップコーティングする。樹脂付加工程における樹脂の付着量について、後の乾燥工程(副乾燥工程を遂行する場合は、当該副乾燥工程)後において、即ち、溶剤成分を除去した状態において、原糸(被覆工程前のフィラメント)100重量部に対して、10〜20重量部の樹脂(固形分)が、フィラメントを被覆するように、上記樹脂液を付着させる。
従って、後の乾燥工程または副乾燥工程を経た後のフィラメントは、被覆工程における樹脂の被覆と、当該樹脂付加工程における樹脂の被覆とによって、原糸100重量部に対して、20〜40重量部の樹脂が付くことになる(完成後のフィラメント全体として120〜140重量部となる)。
この樹脂付加工程によって、更に被覆されたフィラメントに対して、上記上撚り工程によって、上記下撚りと逆方向に、上撚りを掛ける。
この第2の製造方法における上撚りについても、上記第1の製造方法と同様の条件で行う。即ち、上記下撚りと上撚りの撚り数の比を1.05以上2.5以下とし、上撚りの撚り数を150T/M以上とする。
そして上記乾燥工程によって、第1の製造方法におけるのと同様、乾熱処理にて、フィラメントを被覆している樹脂を焼き付ける。この処理は、110℃〜220℃の乾熱で行うのが好ましく、120℃〜200℃の乾熱で行うのがより好ましい。特に180℃の乾熱で焼付けを行うのが好ましい。
上記の表面処理工程は、第1の製造方法におけるものと同様である。即ち、フィラメント表面に、仕上剤がディップコーティングにより、付けられる。
表面処理工程後、上記の副乾燥工程において、表面処理後のフィラメントに対して、更に焼付けを行い、糸を完成させるのが好ましい。この副乾燥工程において、乾熱処理より、110℃〜220℃の乾熱にて焼避けを行うのが好ましく、120℃〜200℃の乾熱にて焼付けを行うのがより好ましい。特に150℃の乾熱にて、焼付けを行うのが好ましい。
乾燥工程及び上記副乾燥工程とにより、樹脂の溶剤は除去され、前述の通り、原糸の20〜40重量%の樹脂固形分がフィラメントを被覆することとなる。
更に、第3の製造方法について説明する。この方法は、被覆工程と、下撚り工程と、樹脂付加工程と、上撚り工程と、副樹脂付加工程と、乾燥工程とをこの順に行うものである。
この方法における上記被覆工程乃至上撚り工程の各工程については、上記の第2の製造方法と同様である。そして、副樹脂付加工程は、上撚り工程を経た後のフィラメントに更に樹脂を付ける工程である。そして、この副樹脂付加工程後に施される乾燥工程は、上記第1及び第2の製造方法と同様、乾熱処理にて樹脂を焼付ける工程である。
この第3の製造方法について、更に具体的に説明する。
原糸には、第1の製造の方法と同じ、超高分子ポリエチレン又はポリアリレートでできたマルチフィラメントを採用する。
第3の製造方法における被覆工程では、マルチフィラメント(原糸)に対して、HV樹脂を用いて、被覆を行う。被覆については、このHV樹脂90重量部、ポリエステル樹脂10重量部を組成とする樹脂液を採用し、当該樹脂液(HV+ポリエステル樹脂)50重量部に対して、50重量部の溶剤を含有する(合計100重量部)被覆用樹脂液を用いて、ディップコーティングを行う。
この被覆工程における樹脂の被覆については、乾燥工程後、樹脂(固形分)の付着量が、フィラメント(原糸)100重量部に対して、10〜20重量部となるように行う。
被覆工程後、上記の下撚り工程を行う。この第3の製造方法における下撚りの数も、前述の第1の製造方法の下撚りと同じである。
そして、この下撚り工程後、樹脂付加工程により、下撚りが掛けられたフィラメントを更に樹脂で被覆する。この第3の製造方法における樹脂付加工程では、この第3の製造方法の上記被覆工程と同様(同じ成分・配合比率)の被覆用樹脂液にて、ディップコーティングを行うものである。また、付着量についても、同様である。
この樹脂付加工程における樹脂の被覆についても、乾燥工程後、付着量が、フィラメント(原糸)100重量部に対して、10〜20重量部となるように、行う。
上記の樹脂付加工程の後、上記上撚り工程が行われる。この上撚り工程及における上撚りの撚り数及び、下撚りと上撚りの撚り数の比率は、前述の第1の製造方法におけるものと同じである。
そして、上撚り工程後、上記の副樹脂付加工程が行われる。この樹脂付加工程において、市販のHV樹脂を用いることができる。例えば上記のHVを、フィラメントへディップコーティングにて付加する。この副樹脂付加工程では、このHVを成分調整なしで用いることができる。
この副樹脂付着工程において、被覆樹脂の付着量も、後の乾燥工程後、原糸100重量部に対して、10〜20重量部となる量とする。但し、第3の製造方法における、被覆工程、樹脂付加工程及び上記副樹脂付加工程にて、フィラメントに付けられた樹脂は、乾燥工程後の総重量比率が、原糸100重量部に対して、樹脂(固形分)20〜40重量部の範囲を超えないものとするのが好ましい。前述の通り、樹脂の付着量が多過ぎると経済性が悪く、柔軟性や耐磨耗性といった、フィラメントの素材の特性が発揮できず、少なすぎると、接着性が悪く、単糸のバラケが生じるからである。
この副樹脂付着工程後、上記乾燥工程が行われる。この乾燥工程によって、乾熱処理にて、フィラメントを被覆している樹脂を焼き付ける。この処理は、110℃〜220℃の乾熱で行うのが好ましく、120℃〜200℃の乾熱で行うのがより好ましい。特に150℃の乾熱で焼付けを行うのが好ましい。
次に第4の製造方法について説明する。この方法は、下撚り工程と、被覆工程と、上撚り工程と、樹脂付加工程と、乾燥工程とをこの順で行うものである。
上記の下撚り工程において、樹脂の被覆前に、先ず、超高分子ポリエチレン又はポリアリレートでできたマルチフィラメント原糸に対して、一方向に撚り(下撚り)を掛ける。そして、当該下撚り後、被覆工程において、当該マルチフィラメントの表面を樹脂で被覆する。樹脂の被覆後、上撚り工程において、上記下撚り工程にて撚りを掛けられたフィラメントに対して、当該下撚り工程における撚りと逆方向の撚りを掛ける。そして、樹脂付加工程において、更にフィラメントを樹脂で被覆する。
尚、上記乾燥工程後、表面処理工程と、副乾燥工程とを行うのが好ましい。
この表面処理工程は、第1及び第2の製造方法における表面処理工程と、同様の工程である。また、副乾燥工程は、この第4の製造方法と乾燥工程と同様である。
この第4の製造方法について、更に具体的に説明する。
原糸には、第1の製造の方法と同じ、超高分子ポリエチレン又はポリアリレートでできたマルチフィラメントを採用する。
上記の下撚り工程においても、従来周知の装置にて、原糸に、第1の製造方法における下撚り工程と同じ撚り数の下撚りを掛ける。そして、上記の被覆工程にて、下撚りを掛けたフィラメントを、ウレタン樹脂を用いて被覆する。このウレタン樹脂には、市販のポリウレタン樹脂を採用することができる。
上記にて被覆に用いる樹脂液は、上記のポリウレタン樹脂(50重量部、エステル50重量部(合計100重量部)の組成のものを用い、当該樹脂液(ポリウレタン樹脂+エステル)100重量部、グリセリン10重量部(合計110重量部)とする被覆用樹脂液にて、下撚りが掛けられたフィラメントをディップコーティングする。樹脂の付着量は、乾燥工程(副乾燥工程を施す場合は、当該副乾燥工程)後、原糸100重量部に対して、樹脂(固形分)10〜20重量部となる量とする。
そして、上記の上撚り工程にて、先の下撚りと逆の方向に上撚りを掛ける。この上撚りの撚り数及び下撚りと上撚りとの撚り数の比率は、前述の第1の方法におけるものと同様である。
上撚り工程後、樹脂付加工程により、更にフィラメントを樹脂で被覆する。この樹脂には、ウレタン樹脂30重量部、アクリル樹脂70重量部(合計100重量部)の組成の樹脂液を採用し、ディップコーティングにより、フィラメントに付加する。ウレタン樹脂には、市販のポリウレタン樹脂を採用することができる。このような樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂70〜45重量部、溶剤30〜55重量部(合計100重量部)の組成のものを採用することができる。また、アクリル樹脂についても、市販のものを採用することができる。このような樹脂としては、例えば、アクリル樹脂60〜40重量部、溶剤40〜60重量部(合計100重量部)の組成のものを採用することができる。
上記の樹脂(ウレタン樹脂+アクリル樹脂)の付着量は、乾燥工程(副乾燥工程を遂行する場合は、当該副乾燥工程)後において、原糸100重量部に対して、樹脂(固形分)10〜20重量部となる量とする。
従って、後の乾燥工程により溶剤が除去された後において、上記の被覆工程で付着した樹脂と、当該樹脂付加工程で付着した樹脂の総量は、原糸100重量部に対して20〜40重量部となる(樹脂付着後のフィラメントの総重量は120〜140重量部となる)。
上記の樹脂付加工程後、乾燥工程にて、110℃〜220℃の乾熱にて、上記のフィラメントに付けられた樹脂を焼き付ける。特に、120℃〜220℃の乾熱で上記の焼き付けを行うのがより好ましく、180℃の乾熱で上記の焼き付けを行うのが最も好ましい。
この乾燥工程後、上記の表面処理工程を行う。この表面処理工程は、第1及び第2の製造方法における表面処理工程と同じ処理を施す工程である。
上記の表面処理工程後、副乾燥工程により、更に、乾熱処理を行う。この副乾燥工程においても、100℃〜220℃の乾熱で焼き付けを行う。特に、120℃〜220℃の乾熱で上記の焼き付けを行うのがより好ましく、150℃の乾熱で上記の焼き付けを行うのが最も好ましい。
上記の第1〜第4の製造方法にて、本願発明の糸を製造することが可能である。特に、上記第1〜第4の製造方法の採用により、下撚り数を1m当たり500回以上1000回以下とし、引張強度27g/d以上、引張伸度7%以下とし、結節強度11g/d以上、結節伸度2.7%以下、扁平率1〜1.17とする糸を提供することができる。
尚、上記の第1〜第4の製造方法において、乾燥工程(或いは副乾燥工程)後に、フィラメントを被覆する樹脂の固形分が、夫々上述の付着量の範囲にあればよく、第1〜第4の製造方法において示した、フィラメントへの付着時の樹脂と溶剤の配合比率については、夫々、他の比率に変更可能である。
上記第1〜4の製造方法において、上記の通り、被覆樹脂として、ウレタン樹脂(特にポリウレタン樹脂)、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、スチレン樹脂、フッ素系樹脂や軟質PVC(塩化ビニル)の何れかを主成分とするものを採用するのが好ましい。
また、上記のウレタン樹脂には、ポリウレタン樹脂エマルジョンが含まれる。また、上記のスチレン樹脂には、スチレン/アクリルエマルジョンが含まれる。このようなスチレン/アクリルエマルジョンとしては、樹脂固形分45重量%(全体100重量%)とするものを採用することができる。
また、仕上剤には、シリコンレジンなどの市販の油や、他の、シリコーンオイルや、流動パラフィン、その他の鉱物油や植物油を採用することができる。
上記において、第1の製造方法では、被覆樹脂に、ポリエステル樹脂を採用したが、第1の製造方法において、ポリエステル樹脂に代え、既述の、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、上記スチレン樹脂、フッ素系樹脂又は軟質PVC(塩化ビニル)を採用することができる。
上記第2の製造方法では、被覆工程において、ウレタン樹脂を採用し、樹脂付着工程において、塩素化ポリプロピレン樹脂(HV)を採用するものとしたが、第2の製造方法において、このようなウレタン樹脂や、塩素化ポリプロピレン樹脂に代え、既述の、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素系樹脂又は軟質PVC(塩化ビニル)を採用することができる。また、ウレタン樹脂を採用する場合も、例えば、ポリウレタン樹脂エマルジョンを採用することができ、このようなポリウレタン樹脂エマルジョンには、例えば、固形分39重量%(全体100重量%)のものを採用することができる。
上記第3の製造方法では、被覆工程において塩素化ポリプロピレン樹脂(HV)を主成分とするもの(HV+ポリエステル)を採用し、樹脂付加工程に及び副樹脂付加工程において更に塩素化ポリプロピレン樹脂(HV)を採用するものとしたが、この第3の製造方法においても、これらの樹脂に代え、既述の、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素系樹脂又は軟質PVC(塩化ビニル)を採用することができる。
また、上記第4の製造方法において、被覆工程にてウレタン樹脂を採用し、樹脂付加工程にてウレタン樹脂及びアクリル樹脂を採用したが、これらの樹脂に代え、既述の、ポリエステル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、スチレン樹脂、フッ素系樹脂又は軟質PVC(塩化ビニル)を採用することができる。
上記の各製造方法において、超高分子ポリエチレンのマルチフィラメントとして例えばダイニーマSK60(ダイニーマ/登録商標)を、また、ポリアリレートのマルチフィラメントとして、例えばベクトランHT220 40(ベクトラン/登録商標)を採用することができる。
また、上記の各製造方法において、被覆工程における被覆樹脂として、例えば以下のものを例示することができる。
即ち、上記のポリエステル樹脂として、FH−123(商品名/株式会社ソーラー)、また、上記のポリエチレン樹脂として、ナルコートJW PE301(商品名/成瀬化学)を採用することができる。また、上記のポリウレタン樹脂として、ハイドランAP−60(ハイドラン/登録商標)、ハイドランHW−140(ハイドラン/登録商標)、ハイレジンPU−9500(商品名/高松油脂)、ネオステッカー700(ネオステッカー/登録商標)、パーマリンUA−310(パーマリン/登録商標)、ニッポラン5210(ニッポラン/登録商標)、ポリウレックス サンディングシーラー X−222E(商品名/和信化学工業株式会社)を採用することができる。上記の変性ポリプロピレン樹脂(塩素化ポリプロピレン樹脂)として、PPコートHV(商品名/久保孝ペイント株式会社)を採用することができる。アクリルウレタン樹脂として、ポリオートクリア(商品名/久保孝ペイント株式会社)を採用することができる。
また、アクリル樹脂として、水溶性・艶出しニス(商品名/和信ペイント株式会社)を採用することができる。
上記のポリウレタン樹脂用の溶剤として、また、ポリエステル樹脂用の溶剤として、ダイレジューサーPA No. 20(ダイレジューサー/登録商標)を採用することができる。
また、例えば、樹脂付加工程におけるHV樹脂の樹脂液として、上記のPPコートHVと、その溶剤として上記のダイレジューサーPA No. 20とを含むものを採用することができる。副樹脂付加工程におけるHV樹脂として、上記のPPコートHVを採用することができる。
上記の仕上剤としては、シリコンレジン(シリコン系表面処理剤)を採用するのが好ましい。この仕上剤について、溶剤を用いる場合、キシレンを採用することができる。上記仕上剤として用いる油には、この他、シリコーンオイルや、流動パラフィン、シリコーンゴム、鉱物油、植物油を用いることができる。また、上記のダイレジューサーPA No. 20は、仕上剤をつける前に不要な樹脂を落とすために用いることができる。溶剤としては、上記以外の、トルエン、イソプロピルアルコール、酢酸エチルを採用することができる。
また、上記のポリウレタン樹脂エマルジョンとして、パーマリンUA−310(商品名/三洋化成工業株式会社)を採用することができる。
上記のスチレン樹脂における、スチレン/アクリルエマルジョンとして、モビニール975N(商品名/ニチゴー・モビニール株式会社)を採用することができる。
上記のポリエチレン樹脂エマルジョンとして、ナルコートJW PE301(商品名/成瀬化学)を採用することができる。また、ホットメルトのポリアミドエマルジョン(ポリアミド共重合)として、Grirltex 1500A(商品名/EMS)を採用することができる。また、上記の軟質PVCとして、エチレンアクリル酸共重合物ナトリウム塩(エチレンアクリル酸共重合物中和塩)を用いることができ、例えば、ザイクセン−N(登録商標/住友精化株式会社)を採用することができる。
前述にて、例えば第1の製造方法の乾燥工程において、80℃〜330℃の乾熱で樹脂を焼き付けるものとし、また、第2の製造方法の乾燥工程において、110℃〜220℃の乾熱で、より好ましくは120℃〜200℃の乾熱で焼付けを行うのが適当であるとした。この点について、より詳しくは、超高分子ポリエチレンのマルチフィラメントとして、上記のダイニーマSK60を用いる場合、融点が120℃〜130℃であることから、上記の各製造方法の乾燥工程において、90℃〜150℃の乾熱で焼付けるのが好ましく、ポリアリレートのマルチフィラメントとして、ベクトランHT220 40を用いる場合、融点が200℃以上であることから、各製造方法の乾燥工程において、90℃〜330℃の乾熱で焼付けるのが好ましい。
また、上記第1の製造方法において、上記のポリエチレン樹脂エマルジョンをとして、ナルコートJW PE301を示した。このナルコートJW PE301を含め、ポリエチレン樹脂として、エマルジョン・タイプのものを採用する場合、接着力を強化するために、上記の下撚り工程後、上撚り工程前に、仮焼工程を行うのが好ましい。この仮焼工程は、樹脂付着後下撚りが施されたフィラメントに、65℃〜95℃の乾熱で、被覆樹脂を焼付ける工程である。この仮焼工程において、70℃〜90℃の乾熱で樹脂の焼付けを行うのが好ましく、80℃の乾熱で樹脂の焼付けを行うのがより好ましい。一方、ポリエチレン樹脂として、エマルジョン・タイプでないものを採用する場合、上記の仮焼工程は行わない。
以下、本願発明の実施例及び比較例について説明する。
これらの糸は、何れも、釣り糸である。
Figure 2007094062
表1に、糸1〜19の19の糸のデータを示す。
表1に示す試験において、引張強力、引張伸度、結節強力及び結節伸度の測定方法は、JIS L 1013−1981に基く。
具体的には、引張強力、引張伸度、引張強度について、インストロン型試験機の一種である島津オートグラフS−500Dを用い、各フィラメントに一定の引張強度で荷重を加えて切断するまでの応力を測定し、切断時の荷重を引張強力(kg)、その時の伸び率を引張伸度(%)、また、切断時の荷重を糸の断面積(d:デニール)で除した値を引張強度(g/d )とした。
結節強力、結節伸度、結節強度について、各釣糸をまむすびで一回強く結節した後、上記と同様に島津オートグラフS−500Dを用いて各サンプルに一定の引張速度で荷重を加え、切断時の荷重を結節強力(kg)、伸び率を結節伸度(%)、切断時の荷重を糸の断面積で除した値を結節強度(g/d )とした。
表1に示す回転は、1mの糸の両端を掴んで、当該糸の中央を下方に垂れた状態とし、掴んだ両端を近づけ合った際に、1回転以上即ち360度以上の回転が生じるか否かを示している。即ち、1回転以上回ったものは×で、1回転未満のものは、○とした。
そして、このような回転の有無に加えて、シックネスゲージにより計測して扁平率が1以上1.25以下の範囲にあること、更に、目視により、単糸バラケが生じていないこと、断糸が生じていないことを確認し、これらを全て満たすものを、判定の欄において○とし、満たさないものを×とした。
この糸1〜11は、超高分子ポリエチレンを原糸として加工を施したものである。また、糸12〜19は、ポリアリレートを原糸として加工を施したものである。超高分子ポリエチレンのマルチフィラメントとして、前述のダイニーマを採用した。ポリアリレートのマルチフィラメントとしては、前述のベクトランを採用した。
糸1、2,7及び12、更に、糸8〜11及び糸13〜16は400デニールの原糸を、糸3は300デニールの原糸を、糸4は250デニールの原糸を、糸5は200デニールの原糸を、糸6は150デニールの原糸を、糸17〜19は250デニールの原糸を用いた。
糸1〜16は、前記第3の製造方法によって、製造したものであり、被覆工程において、PPコートHV(HV)を90重量部、FH−123(ポリエステル樹脂)を10重量部(合計100重量部)を組成とする樹脂液を用い、当該樹脂液(HV+ポリエステル樹脂)50重量部に対して、ダイレジューサーPA No. 20(溶剤)を50重量部(合計100重量部)配合した被覆用樹脂液を用いて、ディップコーティングを行った。また、樹脂付加工程においても、上記被覆工程と同様の被覆用樹脂液にて、ディップコーティグを行った。更に、副樹脂付加工程において、PPコートHV(HV)のみにてディップコーティングを行った。乾燥工程では、150℃の乾熱で樹脂被覆後のフィラメントの焼き付けを行った。当該焼き付け後のフィラメントを被覆している樹脂の総量は、被覆前のフィラメント(原糸)100重量部に対して、40重量部とした。
また、糸17〜19は、前記第1の製造方法によって、製造したものである。具体的には、糸17は、被覆工程において、FH−123(ポリエステル樹脂)を70重量部、ダイレジューサーPA No. 20(溶剤)を30重量部(合計100重量部)とする樹脂液を用い、この樹脂液(ポリエステル樹脂+溶剤)100重量量部とグリセリン3重量部(合計103重量部)とを成分とする被覆用樹脂液で、フィラメントをディップコーティングしたものである。
また、糸18は、被覆工程において、パーマリンUA−310(ポリウレタン樹脂エマルジョン)を被覆用樹脂液とし、無調整で、フィラメントをディップコーティングしたものである。
更に、糸19は、被覆工程において、モビニール975N(スチレン/アクリル エマルジョン)を被覆用樹脂液として、無調整で、フィラメントをディップコーティングしたものである。
糸17〜19の夫々については、表面処理工程において、仕上剤には、市販のシリコンレジン(油)とキシレン(当該油の溶剤)とを1:1(重量比)とするものを採用した。
また、糸17〜19の夫々については、乾燥工程において、270℃の乾熱で樹脂被覆後のフィラメントの焼き付けを行った。当該焼き付け後のフィラメントを被覆している樹脂の総量は、被覆前のフィラメント(原糸)100重量部に対して、30重量部とした。
以下、表1の各糸について説明する。
先ず、原糸に、超高分子ポリエチレンを用いた、糸1〜11について、説明する。この超高分子ポリエチレンのマルチフィラントとして、ダイニーマSK40を採用した。
糸1は、下撚り数855T/M、上撚り数726T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.18である。その結果、引張強力11.83Kg、引張強度29.58g/d(グラム/デニール、以下同じ。)、引張伸度6.14%、結節強力5.75Kg、結節強度14.38g/d、結節伸度2.60%、真円度(扁平率。以下同じ。)1.15であった。
糸2は、下撚り数726T/M、上撚り数619T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.17である。その結果、引張強力12.09Kg、引張強度30.23g/d、引張伸度5.21%、結節強力5.63Kg、結節強度14.08g/d、結節伸度2.47%、真円度1.08であった。
糸3は、下撚り数855T/M、上撚り数726T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.18である。その結果、引張強力8.68Kg、引張強度28.77g/d、引張伸度5.18%、結節強力4.06Kg、結節強度13.53g/d、結節伸度2.35%、真円度1.11であった。
糸4は、下撚り数855T/M、上撚り数726T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.18である。その結果、引張強力7.09Kg、引張強度28.35g/d、引張伸度5.27%、結節強力2.97Kg、結節強度11.88g/d、結節伸度2.47%、真円度1.09であった。
糸5は、下撚り数855T/M、上撚り数726T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.18である。その結果、引張強力6.12Kg、引張強度30.60g/d、引張伸度5.05%、結節強力2.91Kg、結節強度14.54g/d、結節伸度2.26%、真円度1.12であった。
糸6は、下撚り数855T/M、上撚り数726T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.18である。その結果、引張強力4.65Kg、引張強度31.00g/d、引張伸度5.05%、結節強力2.50Kg、結節強度16.65g/d、結節伸度2.35%、真円度1.10であった。
糸7は、下撚り数938T/M、上撚り数790T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.19である。その結果、引張強力10.21Kg、引張強度25.53g/d、引張伸度4.97%、結節強力4.56Kg、結節強度11.40g/d、結節伸度1.79%、真円度1.09であった。
糸8は、下撚り数176T/M、上撚り数148T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.19である。その結果、引張強力11.52Kg、引張強度28.80g/d、引張伸度5.21%、結節強力5.32Kg、結節強度13.30g/d、結節伸度2.41%、真円度1.29であった。
糸9は、下撚り数726T/M、上撚り数280T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は2.59である。その結果、引張強力11.43Kg、引張強度28.58g/d、引張伸度4.76%、結節強力5.58Kg、結節強度13.95g/d、結節伸度1.81%、真円度1.20であった。
糸10は、下撚り数726T/M、上撚り数715T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.02である。その結果、引張強力11.02Kg、引張強度27.55g/d、引張伸度4.89%、結節強力4.69Kg、結節強度11.73g/d、結節伸度1.77%、真円度1.24であった。
糸11では、撚り数1018T/Mで下撚りを掛けたが、上撚り中、断糸が生じた。
次に、原糸にポリアリレートを用いた、糸12〜19について、説明する。このポリアリレートとしてのマルチフィラメントとしてベクトラン HT220T 40を採用した。
糸12は、下撚り数855T/M、上撚り数726T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.18である。その結果、引張強力11.49Kg、引張強度28.73g/d、引張伸度4.06%、結節強力4.88Kg、結節強度12.20g/d、結節伸度1.73%、真円度1.13であった。
糸16では、撚り数1018T/Mで下撚りを掛けたが、上撚り中、断糸が生じた。
糸17は、下撚り数726T/M、上撚り数507T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.43である。その結果、引張強力6.95Kg、引張強度27.80g/d、引張伸度3.57%、結節強力3.43Kg、結節強度13.72g/d、結節伸度1.92%、真円度1.06であった。
糸18は、下撚り数726T/M、上撚り数507T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.43である。その結果、引張強力7.39Kg、引張強度29.56g/d、引張伸度3.51%、結節強力3.87Kg、結節強度15.48g/d、結節伸度2.01%、真円度1.07であった。
糸19は、下撚り数726T/M、上撚り数507T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.43である。その結果、引張強力7.24Kg、引張強度28.96g/d、引張伸度3.48%、結節強力3.90Kg、結節強度15.60g/d、結節伸度1.98%、真円度1.06であった。
糸13は、下撚り数176T/M、上撚り数148T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.19である。その結果、引張強力11.26Kg、引張強度28.15g/d、引張伸度4.21%、結節強力4.74Kg、結節強度11.85g/d、結節伸度1.75%、真円度1.26であった。
糸14は、下撚り数726T/M、上撚り数280T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は2.59である。その結果、引張強力11.03Kg、引張強度27.58g/d、引張伸度4.12%、結節強力4.96Kg、結節強度12.40g/d、結節伸度1.77%、真円度1.21であった。
糸15は、下撚り数726T/M、上撚り数715T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.02である。その結果、引張強力11.54Kg、引張強度28.85g/d、引張伸度4.08%、結節強力3.90Kg、結節強度9.75g/d、結節伸度1.91%、真円度1.25であった。
Figure 2007094062
表2に示す糸20〜25は、特願2005−56927号公報の実施例1〜6であり、本願発明の実施例に対する比較例である。即ち、同一の素材でできた2本のマルチフィラメント糸を、諸撚りしたものであり、より戻りについて良好な結果を示したものである。糸20〜25において、諸撚りする糸には、何れも、500デニールの、ポリアリレート(ベクトラン HT220T 40)を採用した。そして、下撚り(の方向)をS撚りとし、上撚り(の方向)をZ撚りとした。
糸20〜24について、コーティングする樹脂にはPP(塩素化ポリプロピレン)プライマーを採用し、被覆方法はディップコーティングとし、釣り糸100重量部に対して25重量部の樹脂で被覆した。乾燥処理は、120℃の熱風乾燥による。糸25については、コーティングする樹脂に水性ポリウレタン樹脂(ハイドランHW−333/ハイドランは登録商標)を採用し、釣り糸100重量部に対して12重量部の樹脂で被覆した。
引張強力、引張伸度、結節強力及び結節伸度の測定方法は、JIS L 1013−1981に基く。
表2へ示す通り、糸20は結節強度、7.8g/d、糸21は結節強度、7.5g/d、糸22は結節強度、7.8g/d、糸23は結節強度、7.7g/d、糸24は結節強度、7.6g/d、糸25は結節強度、7.9g/dを示している。即ち、糸20〜25において、何れも結節強度は、7g/d台である。
これに対して、表1に示す本願の実施例である糸1〜19では、結節強度は、概ね10g/dか、10g/dを超えるものである。結節強度について、一桁(7〜8g/d)の糸20〜25(比較例)に対して、糸1〜19(実施例)は、概ね二桁(10〜16g/d)と、比較的良い結果を示している。これは、後述する他の実施例でも同様である。このようなことから、本願発明において、結節強度の著しい向上が確認できる。
個々の実施例について見ると、特に、糸1〜7、糸12、糸17〜19では、何れも、真円度が1以上1.25以下の範囲に収まっており、回転も○で、単糸バラケもなかった。これに対して、表1に示す糸8は、上下の撚り数の比は、1.19と、1.05〜2.5の範囲に収まっているが、下撚りの撚り数が176T/Mと、180M/Tを下回っており、単糸バラケが確認され、真円度も、1.25を上回る1.29であった。
また、糸9は、撚り数の比が2.59と、2.5を上回っており、1回転以上の回転が生じた。
更に、糸10は、撚り数の比が1.02と、1.05を下回っており、1回転以上の回転が生じた。
糸11及び糸16は、下撚りの巻き数が1000T/Mを超える、1018T/Mであり、下撚りの際に、断糸が生じ、その後の工程を行うことができなかった。
また、糸13は、下撚りの撚り数が176T/Mと、180T/Mを下回っており、単糸バラケが生じ、真円度も1.26と、上記1.25を上回るものであった。
更に、糸14は、撚り数の比が2.59と、上記の2.5を上回っており、1回転以上の回転が生じた。
また更に、糸15は、より数の比が1.02と、上記の1.05を下回っており、1回転以上の回転が生じた。
従って、糸8〜11及び糸13〜16について、結節強度の向上は見られるが、真円度や回転の面で、糸1〜7、糸12及び糸17〜19のほうが、製品である釣り糸としての取り扱いの面で優れる。
また、断糸の発生確率を抑制し、歩留まりを向上させるために、下撚りの撚り数を1000T/Mとするのが、好ましいことが糸11及び糸16のデータから解かる。
Figure 2007094062
Figure 2007094062
次に、前記第1の製造方法で形成した糸について説明する。原糸のデニール数、上下の撚り数及び撚り比、及び真円度について、主として本願の第4の発明(特許請求の範囲の請求項4に対する発明)の条件を満たすものを用いて、被覆樹脂の付着の条件を変えて試験を行った。
その試験結果として、表3及び表4に、糸26〜38の13の糸のデータを示す。表3,4中、原糸の欄の、VCはポリアリレート(ベクトラン HT220T 40)を、PEは、超高分子ポリエチレン(ダイニーマSK40)を夫々示している。即ち、糸26〜38は、原糸にポリアリレート(ベクトラン HT220T40)を用い、糸32及び糸33は、原糸に超高分子ポリエチレン(ダイニーマSK40)を用いた。特に明示しない事項については、上記の表1の第1の製造方法によるもの(糸17〜18)と同様である。
表3へ示す通り、真円度を除いて、表1に示すのと同じ試験をこれらの糸26〜糸38について行った。表3へ示す通り、何れも250デニールのフィラメント(原糸)を採用した。また、表3に示す各糸について、下撚りの撚り数を726T/Mとし、上撚りの撚り数を507T/Mとした(何れも撚り数の比は、1.43)。
表3へ示す通り、回転についても、表3の上記各糸(糸26、糸27、糸29、糸30、糸32、糸34、糸36〜38)において、1回転未満の良好な結果を得ている。
表4に示す表面滑性(速度)について説明する。
図1に示す通り、(釣り)糸100(実施例及び比較例)の一端を固定(固定端1a)し、他端1bに錘2を付け、糸100が水平面に対して10度の角度(仰角θ)を有するように滑車3で錘2を吊るした。錘2の重さは、糸1デニール当たり1gのテンションが掛かるように設定した。また、固定端1aから滑車3までの釣り糸100の長さw0を300cm(3m)とした。このような釣り糸100に、環状の滑走用の錘4を通して、滑車3のある位置から、釣り糸100の固定端1aまで滑らせて、その時間(秒)を計った。滑走用錘4は、金属製の0.4gのものであり、具体的には、紙を固定するゼムクリップ(コクヨ製ゼムクリップ小)を用いた。上記の計測時間が短いほど、表面滑性が良好(糸の表面が滑らか)なことを示している。
表4の評価は、接着性について良好なものを○とした。具体的には、実施例及び比較例の糸を、夫々、S方向、Z方向交互に撚り玉ができる程度(250デニールの糸を10回/cm)で撚る。このような撚りを5回繰り返した後、目視にて、糸割れ、毛羽がないものを○とした。
また、表4中に示す通り、樹脂固形分の付着量を計った。この樹脂固形分の付着量については、常温下(22℃〜24℃、相対湿度63〜67%)樹脂付着前のフィラメントの所定長さの重量(デニール数)を計量しておき、樹脂を付着させて乾燥させた後(全工程を終了した後)、24時間放置して、(樹脂付着乾燥後)の糸の重量(デニール数)を計測した。計測は、電子天秤に計測するフィラメントを90cm乗せて行った。9000mで1gの糸が1デニールとなるので、上記にて計測した値を、9000mに換算して、計測重量とした。
以下、表3及び表4に示す実施例について具体的に説明する。
糸26は、PPコートHV(HV)を90重量部、FH−123(ポリエステル樹脂)を10重量部(合計100重量部)とする樹脂液と、当該樹脂液と同重量のダイレジューサーPA No. 20(溶剤)とを含む溶液を被覆用樹脂液として用いた。その樹脂固形分(乾燥後の樹脂重量比)は、上記被覆用樹脂液1に対して、HV0.135、ポリエステル樹脂0.030(合計0.165)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を40重量部(合計140重量部/付着量対糸重量比40%)とした。
この糸26は、引張強力7.23Kg、引張強度28.29g/d(グラム/デニール、以下同じ。)、引張伸度3.42%、結節強力3.26Kg、結節強度13.04g/d、結節伸度1.97%であった。
糸27は、PPコートHV(HV)を70重量部、FH−123(ポリエステル樹脂)を30重量部(合計100重量部)とする樹脂液と、当該樹脂液と同重量のダイレジューサーPA No. 20(溶剤)とを含む溶液を被覆用樹脂液として用いた。その樹脂固形分は、被覆用樹脂液1に対して、HV0.105、ポリエステル樹脂0.09(合計0.195)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を45重量部(合計145重量部/付着量対糸重量比45%)とした。
この糸27は、引張強力7.19Kg、引張強度28.76g/d(グラム/デニール、以下同じ。)、引張伸度3.59%、結節強力3.42Kg、結節強度13.68g/d、結節伸度2.23%であった。
糸29は、PPコートHV(HV)を90重量部、FH−123(ポリエステル樹脂)を10重量部(合計100重量部)とする樹脂液30重量部と、ダイレジューサーPA No. 20(溶剤)70重量部(合計100重量部)とを含む溶液を被覆用樹脂液として用いた。その樹脂固形分は、上記被覆用樹脂液1に対して、HV0.081、ポリエステル樹脂0.018(合計0.099)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を20重量部(合計120重量部/付着量対糸重量比20%)とした。
糸29は、引張強力7.24Kg、引張強度28.96g/d、引張伸度3.47%、結節強力3.22Kg、結節強度12.88g/d、結節伸度2.11%であった。
糸30は、PPコートHV(HV)を90重量部、FH−123(ポリエステル樹脂)を10重量部(合計100重量部)とする樹脂液20重量部と、ダイレジューサーPA No. 20(溶剤)80重量部(合計100重量部)とを含む溶液を被覆用樹脂液として用いた。その樹脂固形分は、上記被覆用樹脂液1に対して、HV0.054、ポリエステル樹脂0.012(合計0.066)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を15重量部(合計115重量部/付着量対糸重量比15%)とした。
この糸30は、引張強力7.27Kg、引張強度29.08g/d、引張伸度3.39%、結節強力3.16Kg、結節強度12.64g/d、結節伸度2.19%であった。
糸34は、FH−123(ポリエステル樹脂)を70重量部、ダイレジューサーPA No. 20(溶剤)を30重量部(合計100重量部)とする樹脂液100重量部と、グリセリン3重量部(合計103重量部)とを含む溶液を被覆用樹脂液として用いた。その樹脂固形分は、上記被覆用樹脂液1に対して、0.42(ポリエステル樹脂)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を40重量部(合計140重量部/付着量対糸重量比40%)とした。
この糸34は、引張強力7.06Kg、引張強度28.24g/d、引張伸度3.52%、結節強力3.54Kg、結節強度14.16g/d、結節伸度2.09%であった。
糸36は、FH−123(ポリエステル樹脂)を70重量部、ダイレジューサーPA No. 20(溶剤)を30重量部(合計100重量部)とする樹脂液100重量部と、流動パラフィン3重量部(合計103重量部)とを含む溶液を被覆用樹脂液として用いた。その樹脂固形分は、上記被覆用樹脂液1に対して、0.42(ポリエステル樹脂)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を42重量部(合計142重量部/付着量対糸重量比42%)とした。
この糸36は、引張強力7.31Kg、引張強度29.24g/d、引張伸度3.54%、結節強力3.88Kg、結節強度15.52g/d、結節伸度2.00%であった。
糸37は、パーマリンUA−310(ポリウレタン樹脂エマルジョン)のみを被覆用樹脂液として用いた(当該ポリウレタン樹脂エマルジョン100%とした)。その樹脂固形分は、上記被覆用樹脂液1に対して、0.39(ポリウレタン樹脂)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を40重量部(合計140重量部/付着量対糸重量比40%)とした。
この糸37は、引張強力7.39Kg、引張強度29.56g/d、引張伸度3.51%、結節強力3.87Kg、結節強度15.48g/d、結節伸度2.01%であった。
糸38は、モビニール975N(スチレン/アクリル エマルジョン)のみを被覆用樹脂液として用いた(当該スチレン/アクリル エマルジョン100%とした)。その樹脂固形分は、当該被覆用樹脂液1に対して、0.45である(スチレン樹脂+アクリル樹脂)。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を40重量部(合計140重量部/付着量対糸重量比40%)とした。
この糸38は、引張強力7.24Kg、引張強度28.96g/d、引張伸度3.48%、結節強力3.90Kg、結節強度15.60g/d、結節伸度1.98%であった。
糸28は、PPコートHV(HV)を50重量部、FH−123(ポリエステル樹脂)を50重量部(合計100重量部)とする樹脂液と、当該樹脂液と同重量のダイレジューサーPA No. 20(溶剤)とを含む溶液を被覆用樹脂液として用いた。その樹脂固形分は、上記の被覆用樹脂液1に対して、HV0.075、ポリエステル樹脂0.15重量部(合計0.225)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を53重量部(合計153重量部/付着量対糸重量比53%)とした。
糸31は、PPコートHV(HV)を90重量部、FH−123(ポリエステル樹脂)を10重量部(合計100重量部)とする樹脂液70重量部と、ダイレジューサーPA No. 20(溶剤)30重量部(合計100重量部)とを含む溶液を被覆用樹脂液として用いた。その樹脂固形分は、上記の被覆用樹脂液1に対して、HV0.189、ポリエステル樹脂0.042重量部(合計0.231)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を55重量部(合計155重量部/付着量対糸重量比55%)とした。
糸32は、PPコートHV(HV)を90重量部、FH−123(ポリエステル樹脂)を10重量部(合計100重量部)とする樹脂液20重量部と、ダイレジューサーPA No. 20(溶剤)80重量部(合計100重量部)とを含む溶液を被覆用樹脂液として用いた。その樹脂固形分は、上記の被覆用樹脂液1に対して、HV0.054、ポリエステル樹脂0.012重量部(合計0.066)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を13重量部(合計113重量部/付着量対糸重量比13%)とした。
糸32は、引張強力7.29Kg、引張強度29.16g/d、引張伸度5.11%、結節強力3.43Kg、結節強度13.72g/d、結節伸度2.25%であった。
糸33は、PPコートHV(HV)を90重量部、FH−123(ポリエステル樹脂)を10重量部(合計100重量部)とする樹脂液70重量部と、ダイレジューサーPA No. 20(溶剤)30重量部(合計100重量部)とする溶液を被覆用樹脂液として用いた。その樹脂固形分は、上記の被覆用樹脂液1に対して、HV0.189、ポリエステル樹脂0.042重量部(合計0.231)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を55重量部(合計155重量部/付着量対糸重量比55%)とした。
糸35は、FH−123(ポリエステル樹脂)を100重量部、グリセリン3重量部(合計103重量部とする溶液を被覆用樹脂液として用いた。樹脂固形分は、上記の被覆用樹脂液1に対して、0.6(ポリエステル樹脂)である。また、原糸100重量部に対して、樹脂固形分の付着量を55重量部(合計155重量部/付着量対糸重量比55%)とした。
上記の糸28は、原糸100重量部に対する樹脂の付着量(固形分)が、50重量部を上回る53重量部であり、下撚りを掛けると、断糸が生じた。同様に、上記の糸31、糸33及び糸35は、原糸100重量部に対する樹脂の付着量(固形分)が、上記50重量部を上回る55重量部であり、下撚りを掛けると、断糸が生じた。
上記の糸32は、原糸100重量部に対する樹脂の付着量(固形分)が、15重量部を上回る13重量部であり、複数の糸割れが確認され、接着性がやや劣るものであった。
これに対して、特に、糸26、糸27、糸29、糸30、糸34、糸36〜38の何れも、原糸100重量部に対する樹脂の付着量(固形分)が、15〜50重量部の範囲に収まるものであり、接着性も良好で、糸割れや毛羽が見当たらなかった。このように、S方向、Z方向交互に撚り玉ができる程度で撚ることを5回繰り返した後、目視にて、糸割れ、毛羽がないことを確認した糸26、糸27、糸29、糸30、糸34、糸36〜38について、当該よりを200回繰り返しても、糸割れや毛羽が見当たらなかった。
従って、原糸100重量部に対する付着量(固形分)を15〜50重量部の範囲とする量の樹脂にて被覆された上記各糸は、他の糸に比らべ、樹脂の接着性において極めて優れたものであることが確認できる。
尚、上記において、断糸が生じた糸における、樹脂の固形分のデータについては、断糸により、焼き付けによる乾燥が施せないので、自然乾燥させて得たものである。
又、表には示さないが、真円度について、考察するために、樹脂で被覆し、一方向にのみ撚りを掛けた比較例(糸40)と、他の条件をこの一方向のみ撚りを掛けた糸と同じとして更に異なる方向に上撚りを掛けた実施例(糸39)とについて、実験し、検討した。
この実験の意義は、本願発明に係る製造方法にて、製造時フィラメントに対し一方向に撚りを掛け、更に当該方向と異なる方向に撚りを掛けていても、時間の経過により撚り戻りが生じ、最終製品において下撚りと上撚りの差分しか撚りが掛かっていないものとなっている場合があるが、このような糸(糸39)について、最初から原糸に当該差分数一方向のみへ撚りを掛けた場合と比較して、真円度について、優位性があるかを確認することにある。
この糸39と、糸40とは、何れも、原糸に、250デニールのポリアリレートのマルチフィラメント、具体的には、ベクトランHT220 40を採用した。そして、上記第1の製造方法による加工を行った。
糸39については、製造後、断面を顕微鏡を通じて観察し、撚り戻りにより、上撚りが殆ど定着していない(無くなっている)ことを確認している。
糸39は、下撚りの撚り数を726T/M、上撚りの撚り数を507T/Mとし、上下の撚り数の比は1.43である。その結果、糸39は、真円度が1.12であった。
一方糸40は、(下撚りの)撚り数を210T/M(≒726T/M−507T/M)とした。その結果、この糸40は、真円度は1.35であった。
この糸39及び糸40においても、特に明示していない製造条件については、上記の表3及び表4の糸26〜38と同様である。
上記の通り、糸40を見ると、真円度については、1.35と、1.25を大きく上回っている。これは、表面について極めて扁平であることを示している。従って、このような釣り糸を用いるとライントラブルが発生する危惧がある。一方、より戻りが生じて、殆ど下撚りしか残っていない糸39であるが、真円度は1.12と、良好な結果を示している。このことから、最終製品において、下撚り及び上撚りにより戻りが生じていても、製造時において、所定の2方向への撚り(下撚り及び上撚り)を掛けておくことによって、最終製品の真円度を確保できることが分かる。
従って、最終製品について、同じ条件であっても、片撚りの場合に比して、製造過程において異なる方向に撚りを掛けた糸39のほうが、糸40よりも釣り糸として取扱いに優れたものであることが確認できる。
また、上記と同様、表中には示していないが、上記第2の製造方法で製造した釣り糸を糸41として、また、上記第4の製造方法で製造した釣り糸を糸42として示す。
糸41は、原糸にダイニーマを採用し、被覆工程において、被覆樹脂にウレタン樹脂(ポリウレックス サンディングシーラー X−222E)100重量部、溶剤(ダイレジューサーPA No. 20)10重量部(合計110重量部)とする樹脂を被覆用樹脂として用いた。糸41において、乾燥後の当該樹脂の付着量を原糸100重量部に対して20重量部とした。また、糸41の樹脂付加工程において、被覆樹脂にHV(PPコートHV)30重量部、溶剤(ダイレジューサーPA No. 20)70重量部(合計100重量部)とする樹脂を、更に被覆用樹脂として用いた。そして、糸41の乾燥後の当該樹脂の付着量を原糸100重量部に対して20重量部とした。従って、糸41において、被覆工程及び樹脂付着工程による樹脂の乾燥後の総付着量は、原糸100重量部に対して、40重量部である。糸41の乾燥工程において180℃の乾熱で焼き付けを行い、副乾燥工程において150℃の乾熱で焼き付けを行った。
この糸41は、下撚りの撚り数を720T/M、上撚りの撚り数を501T/Mとし、上下の撚り数の比を1.44とする。この糸41は、引張強力7.05Kg、引張強度28.30g/d、引張伸度4.99%、結節強力3.67Kg、結節強度14.56g/d、結節伸度1.83%、真円度1.11であった。特に明示していない製造条件については、上記の表3及び表4に示す糸と同様である。
糸42は、原糸にダイニーマを採用し、被覆工程において、被覆樹脂にウレタン樹脂(ポリウレックス サンディングシーラー X−222E)50重量部、エステル(FH−123)50重量部(合計100重量部)とする樹脂を被覆用樹脂として用いた。乾燥後の当該樹脂の付着量を原糸100重量部に対して20重量部とした。また、樹脂付加工程において、被覆樹脂にウレタン樹脂(ポリウレックス サンディングシーラー X−222E)30重量部、アクリル樹脂(ポリオートクリア)70重量部(合計100重量部)とする樹脂を、更に被覆用樹脂として用いた。乾燥後の当該樹脂の付着量を原糸100重量部に対して20重量部とした。従って、被覆工程及び趣旨付着工程による樹脂の乾燥後の総付着量は、原糸100重量部に対して、40重量部である。乾燥工程において180℃の乾熱で焼き付けを行い、副乾燥工程において150℃の乾熱で焼き付けを行った。
この糸42は、下撚りの撚り数を729T/M、上撚りの撚り数を510T/Mとし、上下の撚り数の比を1.43とする。この糸42は、引張強力7.06Kg、引張強度28.22g/d、引張伸度4.50%、結節強力3.77Kg、結節強度14.51g/d、結節伸度1.81%、真円度1.13であった。この糸42においても、特に明示していない製造条件については、上記の表3及び表4に示す糸と同様である。
この糸41及び糸42から、上記製造方法2及び上記製造方法4によって、製造した釣り糸においても、表2に示す比較例(糸20〜25)に比して著しく結節強度が向上していること、更に、真円度について、良好な結果を得ていることが分かる。
更に、表5に、前記第1の製造方法で形成され、且つ、原糸のデニール数、上下の撚り数及び撚り比、及び真円度について、被覆樹脂を変えて試験を行ったものを示す。
Figure 2007094062
この表5に示す糸43〜45は、何れも、超高分子ポリエチレンのマルチフィラメントとして、原糸にダイニーマSK40を採用した。糸43〜45の、当該マルチフィラメントは、250デニールのものを採用した。
この糸43〜45は、何れも、下撚りの撚り数を545T/M、上撚りの撚り数を380T/Mとし、上下の撚り数の比を1.43とする。
糸43は、被覆樹脂として、ポリエチレン エマルジョンを含むものを採用した。具体的には、糸43は、前述のナルコートJW PE301を用いた。
表5へ示す通り、この糸43は、引張強力7.31Kg、引張強度29.24g/d、引張伸度4.88%、結節強力3.63Kg、結節強度14.52g/d、結節伸度2.01%であった。
糸44は、被覆樹脂として、ホットメルト ポリアミドエマルジョンを含むものを採用した。具体的には、糸44は、Grirltex 1500Aを用いた。
表5へ示す通り、糸44は、引張強力7.19Kg、引張強度28.76g/d、引張伸度4.39%、結節強力3.77Kg、結節強度15.08g/d、結節伸度1.95%であった。
糸45は、被覆樹脂として、エチレンアクリル酸共重合物ナトリウム塩を含むものを採用した。具体的には、この糸45は、ザイクセン−Nを採用した。
表5へ示す通り、糸45は、引張強力7.23Kg、引張強度28.92g/d、引張伸度4.33%、結節強力3.62Kg、結節強度14.48g/d、結節伸度1.99%であった。
表5から分かるように、上記糸43〜45は、何れも、表1におけるものと同様の前述の手法で、回転について調べたところ、良好な結果を得ている。即ち糸43〜45は、釣り糸として使用した場合、ライントラブルの少ないものであることが分かる。尚、この糸43〜45において、特に明示していない製造条件については、上記の上記表3及び表4に示す糸と同様である。
上記の糸43では、ナルコートJW PE301を採用したので、下撚り工程後、上撚り工程前に、仮焼工程を行った。この糸43では、仮焼工程にて、80℃の乾熱で焼付けを行った。
前述の表4における、接着性の評価を、糸43について行ったところ、S方向、Z方向交互に撚り玉ができる程度で撚ることを200回繰り返しても、糸割れや毛羽が見当たらなかった。
尚、表中示さないが、糸46として、仮焼工程を行わないものについて、検討した。この糸46は、仮焼工程を施さないこと以外、糸43と条件を同じにした。即ち、糸46では、製造方法1を採用し、原糸に250デニールのダイニーマSK40を用を採用し、被覆樹脂として、ナルコートJW PE301を用いた。この糸46は、下撚り数545T/M、上撚り数380T/Mとした。下撚りと上撚りの撚り数の比は1.43である。その結果、この糸46において、引張強力7.18Kg、引張強度28.72g/d、引張伸度4.38%、結節強力3.60Kg、結節強度14.38g/d、結節伸度2.00%であった。
しかし、糸43と同様の上記接着性について、S方向、Z方向交互に撚り玉ができる程度で撚ることを100回繰り返したところ、糸割れや毛羽が確認された。
また、ナルコートJW PE301に対して、60℃といった65℃以下の温度での仮焼工程を行っても(他の条件は、糸43と同じ)、上記接着性について、S方向、Z方向交互に撚り玉ができる程度で撚ることを100回繰り返したところ、糸割れや毛羽が確認された。
上述の通り、本願発明の各実施例となる糸について、個々の特性に相違点があるものの、比較例となる糸に比して、全般に、結節強度について、大きな向上が認められる。
本願の各発明によって、マルチフィラメントを用いた糸において、結節強度を向上した。また、糸に高い真円度を確保する(扁平率を低下させる)ことが可能となった。本願発明は、釣り糸、テニスのガット、刺繍糸、縫製糸、ロープ、カールコード状の携帯ストラップの芯(魚網、安全ネット)といった、糸製品全般において上記の効果を奏するものであり、特に、釣り糸において、上記の通り、結節強度に優れ、また、釣竿のガイドに絡むなどのライントラブルが少ないものを提供し得た。
即ち、本願発明は、釣り糸を含めた各種の糸において、糸の結節強度を向上させた。また、本願発明によって、糸の実用的な真円度の確保を可能とした。
本願第5の発明では、本願の上記第1乃至第4の何れかの発明にあって、扁平率が1以上1.25以下である糸を提供する。
尚、ここでいう扁平率とは、糸断面の輪郭である円の、短軸に対する長軸の倍率であり、1に近いほど真円度が高いことを示す。
本願第6の発明は、マルチフィラメントの表面を樹脂で被覆するものであって、当該マルチフィラメントに対して、一方向に第1の撚りを掛け、更に、他の糸を合糸することなく、当該第1の撚りと逆方向に第2の撚りを掛けるものであることを特徴とする糸の製造方法を提供する。
本願第7の発明は、方向の異なる2つの撚りが掛けられたマルチフィラメントであって 、表面を被覆する被覆樹脂を備え、一方向に第1の撚りが掛けられ、他の糸を合糸するこ となく、更に、当該第1の撚りの方向と逆方向に第2の撚りが掛けられたものであること を特徴とするマルチフィラメントを提供する。
本願第8の発明は、フィラメントの表面を樹脂で被覆するものであって、当該フィラメ ントに対し、一方向に第1の撚りを掛け、更に、他の糸を合糸することなく、当該第1の 撚りと逆方向に第2の撚りを掛けるものであることを特徴とするマルチフィラメントの製 造方法を提供する。

Claims (6)

  1. 方向の異なる2つの撚りが掛けられたマルチフィラメントと、当該マルチフィラメントの表面を被覆する被覆樹脂とを備え、
    上記マルチフィラメントは、一方向に第1の撚りが掛けられ、他の糸を合糸することなく、更に、当該第1の撚りの方向と逆方向に第2の撚りが掛けられたものであることを特徴とする糸。
  2. 上記の被覆樹脂は、上記第1の撚りを掛ける前に、上記マルチフィラメントの表面又は当該マルチフィラメントを構成する単糸間に、付着又は含浸させたものであることを特徴とする請求項1記載の糸。
  3. 上記の被覆樹脂は、上記第1の撚りを掛けた後、上記第2の撚りを掛ける前に、上記マルチフィラメントの表面に付着させたものであることを特徴とする請求項1記載の糸。
  4. 上記マルチフィラメントは、超高分子ポリエチレン又はポリアリレートを主成分とするものであり、第1の撚りと第2の撚りの撚り数の比を1.05以上2.5以下とし、第1撚りの撚り数を180〜1000T/Mとするものであり、上記被覆用樹脂は、熱可塑性樹脂であり、上記被覆樹脂の付着量は、当該フィラメント100重量部に対して、15〜50重量部であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の糸。
  5. 扁平率が1以上1.25以下であることを特徴とする請求項1乃至4記載の糸。
  6. マルチフィラメントの表面を樹脂で被覆するものであって、当該マルチフィラメントを一方向に第1の撚りを掛け、更に、他の糸を合糸することなく、当該第1の撚りと逆方向に第2の撚りを掛けるものであることを特徴とする糸の製造方法。
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