JP6906365B2 - 釣り糸およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、高強力低伸度釣り糸およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは高強力繊維を使用した芯糸の表面にカバーリングを施し溶融することにより、カバーリング糸としてモノフィラメントが有する扱いやすさの特性と芯糸が有する高強力低伸度特性を併せ持たせ、かつ、全体としても高比重、耐摩耗性等を併せ持たせることが可能な釣り糸とその製造方法に関するものである。
従来から釣り糸としては、モノフィラメントからなる釣り糸と、製紐糸からなる釣り糸に大別される。近年、釣り方の変化、釣り道具の高機能化などにより高強力低伸度の高密度ポリエチレンマルチフィラメントを製紐した釣り糸の使用が増えてきている。製紐糸はその構造により釣り糸の表面が凹凸を有する形状になることから、釣り糸を巻き取る時に釣竿のガイドとの擦れにより音を発するという問題、表面の凹凸に海水や海底の砂が持ち込まれやすいという問題、低比重の素材からできていることによりキャスト時に風に吹かれてしまい狙ったポイントに正確にキャストすることが難しいという問題があり、改善要請が高まっている。
製紐糸の表面を滑らかにする方法としては、一般的に原糸の太さを細くして組本数を増やし、表面の凹凸を小さくする方法が知られているが、この方法では製紐ピッチを細かくする必要があり高コストになってしまう。また、原糸の太さを細くするのには限界があり、比較的太い糸しか提供できないという問題もある。また、別の方法として、複数本のフィラメントをホットメルト接着剤で一体化する方法が提案されているが(例えば特許文献1参照)、この方法ではホットメルト接着剤を含浸させたのち硬化させるために、釣り糸の円周方向の被膜の厚さが不均一なりやすいことから加工性、耐摩耗性に問題があり、釣り糸としては不十分なものであった。
一方、釣り糸の見かけ比重を上げる方法としては、高密度ポリエチレン繊維に他の高比重繊維を含ませる方法が提案されているが(例えば特許文献2参照)、高比重繊維を混ぜることにより強度低下してしまうばかりか、高比重にするために金属線やタングステン粒子を入れた場合表面がさらに凸凹になってしまうことから釣り糸としては不十分なものであった。
また、本発明に近似した釣り糸の製造方法として、例えば特許文献3が提案されている。この提案は、製紐される前の原糸にカバーリングを施した後に製紐することにより、高伸度、染色性の向上を目的としたものであり、表面の凹凸については何ら改善されるものではなく、釣り糸としては不十分なものであり、製造方法も本発明とは明確に異なるものであった。
特開2003―116431号公報 特開2007―330264号公報 特開2016―69742号公報
本発明は、上記のような従来技術における問題点の解消を課題として検討した結果達成されたものである。したがって、本発明の課題は、釣り糸表面の凹凸を少なくして、モノフィラメントが有する扱いやすさの特性と、高強力繊維が有する高強力低伸度の特性はそのまま活かしつつ、全体として高比重で、優れた耐摩耗性を発現可能な釣り糸とその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る釣り糸は、引張強度18cN/dtex以上の高強力繊維を引き揃えた原糸または撚糸、あるいは製紐した製紐糸の少なくともいずれかを使用して芯糸が形成されており、該芯糸に、該芯糸の融点もしくは分解温度よりも融点が低い合成繊維を少なくとも一部に使用してカバーリングが施されており、カバーリング糸の少なくとも一部が溶融固化されていることを特徴とするものからなる。
このような本発明に係る釣り糸においては、芯糸が引張強度18cN/dtex以上の高強力繊維により構成されるので、釣り糸として望ましい高強力低伸度特性が発現され、その芯糸に対し、該芯糸の融点もしくは分解温度よりも融点が低い合成繊維でカバーリングが施されるとともに、カバーリング糸の少なくとも一部が溶融固化されて釣り糸が構成されているので、表面の凹凸がなく、適度な腰(硬さ)、適度な比重があり、水切れが良いといった扱いやすさを備えたカバーリング糸としてモノフィラメントの特性が活かされる。その結果、カバーリング糸はモノフィラメントの扱いやすさの特性と、芯糸の高強力低伸度の特性を実質的にそのまま活かしつつ、優れた耐摩耗性を有し望ましい高比重の釣り糸を得ることが可能になる。
上記本発明に係る釣り糸においては、前記カバーリング糸に融点が異なる2種類以上の合成繊維が使用されており、一方の低融点カバーリング糸のみが少なくとも一部溶融固化されている形態を採用することができる。
また、前記カバーリング糸が融点の異なる2種類以上のポリマーからなる複合糸からなる形態を採用することもできる。
前記芯糸の繊維種としては、特に限定されないが、液晶ポリエステル繊維、アラミド繊維、炭素繊維の中から選ばれた少なくとも1種が使用されていることが好ましい。
また、前記カバーリング糸の繊維種としても、特に限定されないが、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、フッ素系繊維、ポリオレフィン系繊維の中から選ばれた少なくとも1種が使用されていることが好ましい。
また、前記カバーリング糸の割合については、釣り糸全体の5〜70重量%の範囲にあることが好ましい。
なお、上記のような本発明に係る釣り糸は、次のような方法により製造される。すなわち、本発明に係る釣り糸の製造方法は、上記のような本発明に係る釣り糸を製造する方法であって、引張強度18cN/dtex以上の高強力繊維を引き揃えた原糸または撚糸、あるいは製紐した製紐糸の少なくともいずれかを使用して芯糸を形成した後、該芯糸の融点もしくは分解温度よりも融点が低い合成繊維を少なくとも一部に使用してカバーリングを施し、しかる後に、カバーリング糸の融点〜融点+100℃の範囲内の温度でカバーリング糸の少なくとも一部を溶融させた後、固化させることを特徴とする方法からなる。
本発明によれば、引張強度18cN/dtex以上の高比重の高強力低伸度繊維の原糸、撚糸からなる、あるいはそれを製紐した芯糸の表面にカバーリングを施し、カバーリング糸の少なくとも一部を溶融固化することにより、モノフィラメントの扱いやすさと、芯糸の高強力低伸度の特性を活かしつつ、高比重で優れた耐摩耗性を有する釣り糸を実現することができる。
以下に、本発明の釣り糸およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明の釣り糸は引張強度18cN/dtex以上の高強力繊維を引き揃えた原糸または撚糸、あるいは製紐した製紐糸の少なくともいずれかを使用して芯糸が形成され、該芯糸に、該芯糸の融点もしくは分解温度よりも融点が低い合成繊維を少なくとも一部に使用してカバーリングが施されており、カバーリングを施された後、カバーリング糸の一部もしくは全部が溶融され固化されていることが重要である。
ここで芯糸を構成する高強力繊維の引張強度は、18cN/dtex以上であり、好ましくは20cN/dtex以上である。高強力繊維の引張強度が18cN/dtex未満であると、出来上がった釣り糸全体の強度が低くなってしまい好ましくない。
また、本発明の釣り糸は芯糸の融点もしくは分解温度より融点が低い合成繊維を少なくとも一部に使用し、カバーリングを施した後、カバーリング糸の一部もしくは全部を溶融してあることがもう一つの重要な要件である。
カバーリング糸を溶融していない場合は、カバーリング糸の凹凸が表面に出てしまい、釣り糸の平滑性が損なわれるばかりか、釣り糸表面が擦れた場合カバーリング糸が切れてしまい耐摩耗性に弱い糸になってしまうことから好ましくない。
ここで芯糸に使用する高強力繊維としては、特に限定するものではないが、カバーリング糸を溶融することから好ましくは液晶ポリエステル繊維、アラミド繊維、炭素繊維など高温に耐えられる繊維を使用することが好ましい。
上記液晶ポリエステル繊維、アラミド繊維、炭素繊維は公知またはそれに準ずる方法で製造できるが、例えば株式会社クラレ製「商品名:ベクトラン」、東レ・デュポン株式会社製「商品名:ケブラー」、東レ株式会社製「商品名:トレカ」など市販品を用いることもできる。
また、上記芯糸にはカバーリングで使う合成繊維を合糸することによりカバーリング糸を溶融させる時に同時に芯糸の一部を溶融させ芯糸と鞘糸の接着を強固にさせることも有効な手段として挙げられる。
カバーリング用合成繊維としては、特に限定するものではないが、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維、フッ素系繊維、ポリオレフィン系繊維から選ばれた少なくとも1種を使用することが好ましい条件として挙げられるが、中でもポリアミド系繊維は融点の範囲も広く、比較的耐摩耗性にも優れることから好ましく使用される。
なお、本発明の釣り糸に使用するカバーリング糸には、必要に応じて、例えば顔料、染料、耐候剤、耐光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱剤、蛍光増白剤、結晶化抑制剤、可塑剤、末端基封鎖剤、タングステン粉末、硫酸バリュウムなどの各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で、その原料の重合工程や重合後、あるいは紡糸直前に添加することができる。また、本発明の釣り糸に使用するカバーリング糸には、必要に応じて撥水性油剤、親水性油剤、シリコーンなどを本発明の目的を阻害しない範囲で塗布して使用することができる。
さらに、本発明の釣り糸に使用するカバーリング糸の断面形状は、略円形のほか、三角形、四角形、五角形などの多角形、クローバー形、花びら形、星型など異型断面、トラック形、長方形や異型断面を繋ぎ合わせた扁平形状など、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択することができる。
本発明の釣り糸のカバーリング糸の割合については釣り糸全体の5%〜70%の範囲が好ましく、より好ましくは10%〜50%の範囲である。カバーリング糸の割合が5%を下回る場合はカバーリングが薄くなりすぎて芯糸の表面の凹凸をカバーしきれなくなりモノフィラメントの扱いやすさが薄れてしまい、70%を超えると釣り糸の強度が低くなり好ましくない。
本発明の釣り糸を得る方法としては、原糸、撚糸からなる、あるいは製紐糸からなる芯糸に既存の製紐機または、カバーリング機あるいは撚糸機を使い芯糸に鞘糸をカバーリングした後、低融点側のカバーリング糸の融点〜融点+100℃の範囲でカバーリング糸を溶かすことにより製造できる。
ここでカバーリング糸を溶融させる処理条件としては、処理速度、処理層の長さ、使用される素材により適選設定できるが、低融点側のカバーリング糸の融点〜融点+100℃の範囲、好ましくは融点+20℃〜融点+80℃の範囲で処理することにより効率よく溶融させることができる。
かくして得られる本発明の釣り糸は、モノフィラメントのような平滑な表面による扱いやすさと、例えば高密度ポリエチレン釣り糸の高強力低伸度はそのまま活かし、高比重で、耐摩耗性に優れた釣り糸の提供が可能となり、より快適に釣りを楽しむことができる。
以下に、本発明のブレード釣り糸を実施例に基づいてさらに詳しく説明する。なお、実施例における釣り糸の測定、評価は以下の方法で行った。
[繊度]
JIS L1013:2010の定義によった。すなわち、綛状に取った試料を20℃、65%RHの温湿度調整室に24時間放置した後、長さ100cmの試料20本をとりそのときの質量を測定し、次式により算出した。
繊度=試料の質量/試料の長さ×1000
[直径]
デジタルマイクロメーター(MITUTOMO社製)でモノフィラメントの直径をランダムに5点測定しその平均値で表示した。
[引張強度および結節強度]
JIS L1013の規定に準じて測定した。すなわち、釣り糸を20℃、65%RHの温湿度調整室で24時間放置後、(株)オリエンテック社製「テンシロンUTM−4−100型」引張試験機を使用して、試長250mm、引張速度300mm/分の条件で引張破断強力および結節破断強力を1サンプルに対して5回測定し、その平均を求め強度を算出した。
[屈曲摩耗試験]
JIS L―1095―7.10.2Bの規定に準じて測定した。すなわち、固定されたφ3.0mmの摩擦子(硬質鋼線(SWP−SF))の上に接触させたモノフィラメントを、前記摩擦子の左右各55度の角度で斜め下に設けたフリーローラー2個(ローラー間距離:70mm)の下に掛け、別の1個のフリーローラーの上を介してモノフィラメントの一端に0.2g/dの荷重をかけてセットする。モノフィラメント試料を往復回数:105回/分、往復ストローク:25mmの条件で摩擦子に接触往復させて、同一試料につき各10本のモノフィラメントについて夫々切断するまでの往復曲げ回数を室温にて測定して平均値を求めた。この平均値が大きいほど耐屈曲摩耗性が良好なことを表す。
[見かけ比重]
JIS Z―8807の規定に準じて測定した。すなわち、ピクノメーターの重量:Wa、ピクノメーター+試料の重量:Wb、ピクノメーター+試料+標線までの溶液重量:Wc、ピクノメーター+標線までの溶液重量:Wdをそれぞれ測定して下式にて算出した。
式=(Wb−Wa)/(Wb−Wa−Wc+Wd)×溶液の密度
[実用評価]
実際に10人の釣り人に本発明の釣り糸を使用して240gのジグを使い実際に釣りをしてもらった時の評価結果を下記の基準で判定した。
○:従来の高密度ポリエチレン釣り糸に比べキャスティング時の糸ふけが少なく、狙ったポイントにジグを落とすことができ、巻き上げ時のガイドとの擦過音も少なく魚を掛けた時の摩擦にも耐え一日快適に釣りができた。
×:従来の高密度ポリエチレン釣り糸に比べキャスティング時の糸ふけが少なく、狙ったポイントにジグを落とすことができたが、巻き上げ時のガイドとの擦過音が大きく、魚を掛けた時ガイドとの擦過で糸が切れてしまい釣り糸としては使用できなかった。
[実施例1]
株式会社クラレ製液晶ポリエステル繊維「商品名:ベクトラン」56T×8本を製紐した芯糸に、繊維表面にナイロンマルチフィラメントとして東レ株式会社製ナイロン6(N6)繊維「商品名:アミラン」44T×8本でカバーするように上からカバーリングを施した後、処理温度240℃、処理時間80秒で表面のナイロン繊維を溶融させて本発明の釣り糸を作成した。作成した釣り糸の製造条件、評価結果を表1に示す。
[実施例2]
芯糸の液晶ポリエステル繊維を「商品名:ベクトラン」110Tマルチフィラメント4本で製紐した後、東レ株式会社製ナイロン6繊維「商品名:アミラン」56T×4本、ナイロン66(N66)繊維「商品名:プロミラン」78T×4本の合計8本でカバーリングした後、処理温度240℃、処理時間80秒で処理して融点の低いナイロン6のみを溶かした半溶融釣り糸を作成した。作成した釣り糸の製造条件、評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例2の芯糸の組本数を8本にした以外は同様の条件で釣り糸を作成した。作成した釣り糸の製造条件、評価結果を表1に示す。
[実施例4]
東レ・デュポン株式会社製アラミド繊維「商品名:ケブラー」220T×4本を製紐した芯糸に、ナイロンマルチフィラメントとして東レ株式会社製「商品名:アミラン」235T×4本でカバーリングした後、処理温度260℃、処理時間80秒で表面のナイロン繊維を溶融させて本発明の釣り糸を作成した。作成した釣り糸の製造条件、評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例2の芯糸にカバーリングで使う「商品名:アミラン」44T×2本を同時に製紐した後、ナイロンマルチフィラメントとして東レ株式会社製ナイロン6繊維「商品名:アミラン」44T×8本でカバーリングを施した後、処理温度240℃、処理時間80秒で表面のナイロン繊維を溶融させて本発明の釣り糸を作成した。作成した釣り糸の製造条件、評価結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例5のカバーリング糸の加工方法をブレードからカバーリング機を使い巻き付けに替えた以外は同様の条件で釣り糸を作成した。作成した釣り糸の製造条件、評価結果を表1に示す。
[実施例7]
東レ株式会社製炭素繊維「商品名:トレカ」110T×4本を製紐した芯糸に、公知の製法で作成したPVDF(ポリフッ化ビニリデン)製モノフィラメント46T×8本を公知のリング撚糸機を使い巻き付けたのち、処理温度200℃、処理時間60秒で表面のPVDF繊維を溶融させて本発明の釣り糸を作成した。作成した釣り糸の製造条件、評価結果を表1に示す。
[比較例1]
表面のカバーリング糸を溶融する工程を省いた以外は実施例1と同様の方法で釣り糸を作成した。作成した釣り糸の製造条件、評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例4で作成した芯糸をそのまま釣り糸として評価した。釣り糸としての製造条件、評価結果を表1に示す。
[比較例3]
東レ・デュポン株式会社製アラミド繊維「商品名:ケブラー」220T×8本を製紐した芯糸に、東レファインケミカル株式会社製PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)繊維「トヨフロン」220T×2本をカバーリング機で巻き付けたものを釣り糸として評価した。釣り糸としての製造条件、評価結果を表1に示す。
[比較例4]
芯糸の素材を東レ株式会社製ナイロン66繊維「商品名:プロミラン」235T×4本を製紐した芯糸に、公知の製法で作成したPVDF製モノフィラメント46T×8本をカバーリング機で巻き付けたのち、処理温度200℃、処理時間60秒で表面のPVDF繊維を溶融させて釣り糸を作成した。作成した釣り糸の製造条件、評価結果を表1に示す。
Figure 0006906365
表1の結果から明らかなように、本発明の条件を満たした釣り糸(実施例1〜7)は、いずれもモノフィラメントの扱いやすさと、製紐糸の高強力低伸度とを残したまま高比重の釣り糸を得ることができ、極めて実用性の高い釣り糸であることがわかる。
一方、本発明の条件を満たさない釣り糸(比較例1〜4)は、釣り糸としての効果を十分に発揮することができないものばかりであった。
例えば、カバーリング糸を溶融していない比較例1は、高強力、低伸度、高比重の特徴は発現できるものの、釣竿のガイドとの擦過によりカバーリング糸の単糸が徐々に切れてしまい糸表面に毛羽ができるとともに耐摩耗性が低くなり魚を掛けた時のガイドとの擦過により釣り糸が切れてしまい実用性に欠けるものであった。また、カバーリングを施していない比較例2は、耐摩耗性が低くなり魚を掛けた時のガイドとの擦過により釣り糸が切れてしまい実用性に欠けるものであった。さらに、溶融できないPTFE繊維をカバーリング糸に使用した比較例3は、比較例1同様カバーリング糸の単糸が徐々に切れてしまい糸表面に毛羽ができるとともに耐摩耗性が低くなり魚を掛けた時のガイドとの擦過により釣り糸が切れてしまい実用性に欠けるものであった。芯糸の素材にポリアミド繊維を使用した比較例4は、強度が低くなるとともに、糸の伸びが大きくなってしまうことからジグ(疑似餌)の動きが悪くなることから実用テストすらしてもらえなかった。
本発明の釣り糸は、釣り糸表面の凹凸を少なくしてモノフィラメントの扱いやすさと高強力低伸度の特性はそのまま活かしつつ、高比重、耐摩耗性に優れたものであることから、釣り糸としての高い実用性が大いに期待される。

Claims (7)

  1. 引張強度18cN/dtex以上の高強力繊維を引き揃えた原糸または撚糸、あるいは製紐した製紐糸の少なくともいずれかを使用して芯糸が形成されており、該芯糸に、該芯糸の融点もしくは分解温度よりも融点が低い合成繊維を少なくとも一部に使用してカバーリングが施されており、カバーリング糸の少なくとも一部が溶融固化されていることを特徴とする釣り糸。
  2. 前記カバーリング糸に融点が異なる2種類以上の合成繊維が使用されており、一方の低融点カバーリング糸のみが少なくとも一部溶融固化されている、請求項1に記載の釣り糸。
  3. 前記カバーリング糸が融点の異なる2種類以上のポリマーの複合糸からなる、請求項1または2に記載の釣り糸。
  4. 前記芯糸に液晶ポリエステル繊維、アラミド繊維、炭素繊維の中から選ばれた少なくとも1種が使用されている、請求項1〜3のいずれかに記載の釣り糸。
  5. 前記カバーリング糸にポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、フッ素系繊維、ポリオレフィン系繊維の中から選ばれた少なくとも1種が使用されている、請求項1〜4のいずれかに記載の釣り糸。
  6. 前記カバーリング糸の割合が釣り糸全体の5%〜70%の範囲にある、請求項1〜5のいずれかに記載の釣り糸。
  7. 引張強度18cN/dtex以上の高強力繊維を引き揃えた原糸または撚糸、あるいは製紐した製紐糸の少なくともいずれかを使用して芯糸を形成した後、該芯糸の融点もしくは分解温度よりも融点が低い合成繊維を少なくとも一部に使用してカバーリングを施し、しかる後に、カバーリング糸の融点〜融点+100℃の範囲内の温度でカバーリング糸の少なくとも一部を溶融させた後、固化させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の釣り糸の製造方法。
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