JPH09209213A - ポリアミドモノフィラメント - Google Patents

ポリアミドモノフィラメント

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JPH09209213A
JPH09209213A JP1670296A JP1670296A JPH09209213A JP H09209213 A JPH09209213 A JP H09209213A JP 1670296 A JP1670296 A JP 1670296A JP 1670296 A JP1670296 A JP 1670296A JP H09209213 A JPH09209213 A JP H09209213A
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JP
Japan
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core
filler
polyamide
composite monofilament
weight
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Application number
JP1670296A
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English (en)
Inventor
Mitsuru Ito
満 伊藤
Satoshi Hashimoto
智 橋本
Seiichi Ohira
清一 大平
Takeya Mizuno
斌也 水野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 柔軟でしなやかながら、伸びが少なくあたり
の感度が良好である、といった優れた特性を合せもつ複
合フィラメント、特に釣糸としてさらに糸癖がつき難く
強度特性に優れた複合モノフィラメントを提供する。 【構成】 本発明に係る複合フィラメントは、芯鞘構造
を有し、(1)芯層及び鞘層ともにポリアミド系樹脂から
なり、(2)芯層が体積分率10〜70%であり、(3)芯層
に平均粒径が0.5〜60μmで、かつアスペクト比が
10以上の板状フィラーが芯層及び/又は鞘層を構成す
るポリアミド系樹脂100重量部に対し0.3〜10重
量部が配合されており、(4)ラクタムが、芯層及び/又
は鞘層を構成するポリアミド系樹脂100重量部に対し
0.1〜10重量部が配合されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柔軟で伸びが少ないた
め、しなやかで、糸癖がつき難くあたりの感度が良好で
あるといった優れた特性をあわせ持った複合モノフィラ
メント、特に釣糸としてさらに、強度特性に優れた複合
モノフィラメントに関する。
【0002】
【従来の技術】最近の釣の方法の種類が、スポーツ性、
ファッション性に富む傾向にあり、ルアーフィッシング
や、キャストフィッシングが注目を集めている。特にこ
のような釣方法にとっては、釣糸の持つべき特性として
あたりの感度を上げるべく伸びが少ないもの、また、
使用されるリールとしては糸癖のつきやすいスピニン
グタイプが主流であることから、柔軟で糸癖がつき難い
もの、さらには、3強度特性特に糸を結んだ時の結節強
伸度が高いものが望まれる。
【0003】従来柔軟性を上げるために柔軟剤としてε
カプロラクタムの配合が用いられてきた。しかしこの場
合、伸びが必要以上に大きくなりあたりの感度が低下す
るという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者は以上
の要望に鑑み、最近の釣方法の傾向に望まれる特性すな
わち、伸びが少なくあたりが良好で、かつ柔軟性があ
り、糸癖がつきにくい等の特性、および強度特性、特に
高結節強伸度をともに満たす釣糸を得ることを目的とし
て鋭意研究し、特定の材料に基づき特定の構造を有し、
かつ特定の添加剤を用いることにより上記目的が達成で
きることを見出し、本発明に到達した。
【0005】すなわち、本発明は、ポリアミド系の樹脂
を材料とし、さらに鞘部と芯部とよりなる芯鞘ニ層の構
造を有する複合モノフィラメントであり、また特定のフ
ィラーと、ラクタムを添加されたものである。
【0006】より具体的には、本発明は、芯鞘構造を有
する複合モノフィラメントであって、(1)芯層及び鞘層
ともにポリアミド系樹脂からなり、(2)芯層が体積分率
10〜70%であり、(3)芯層にフィラーが芯層を構成
するポリアミド系樹脂100重量部に対し0.3〜10
重量部が配合されており、(4)ラクタムが、芯層及び/
又は鞘層を構成するポリアミド系樹脂100重量部に対
し1〜10重量部が配合されてなる複合モノフィラメン
トを提供するものである。
【0007】さらに、本発明は、芯鞘構造を有する複合
モノフィラメントであって、(1)芯層及び鞘層ともにポ
リアミド系樹脂からなり、(2)芯層が体積分率10〜7
0%であり、(3)芯層に平均粒径が0.5〜60μm
で、かつアスペクト比が10以上の板状フィラーが芯層
を構成するポリアミド系樹脂100重量部に対し0.3
〜10重量部が配合されており、(4)ラクタムが、芯層
及び/又は鞘層を構成するポリアミド系樹脂100重量
部に対し1〜10重量部が配合されてなる複合モノフィ
ラメントを提供するものである。
【0008】さらには本発明は、上記の複合モノフィラ
メントであって、さらに引張り伸度が27%以下、曲げ
弾性率が100kg/mm2以下である複合モノフィラ
メントにかかるものである。
【0009】また本発明は、上記の複合モノフィラメン
トであって、さらに引張り強度が75kg/mm2
上、かつ結節強度が60kg/mm2以上、結節伸度が
15%以上である複合モノフィラメントを提供するもの
である。
【0010】さらに、本発明は、上記記載の複合モノフ
ィラメントであって、前記樹脂がカプロラクタムの単独
重合体(ナイロン6)、ラクタムからなる成分が70%
重量以上である共重合体、又はこれらの重合体を70重
量%以上含有した混合物のいづれかである複合モノフィ
ラメントを提供するものである。
【0011】また、本発明は、上記記載の複合モノフィ
ラメントを用いた釣糸を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため、該フィラメントを釣糸として使用する場
合特にいわゆるあたりを良好とするためには、該糸の引
張り伸度がある程度以下であることが好ましいことを見
出した。例えば本発明の実施例で説明した評価方法にお
いて約27%以下のものが好ましい。さらには、該糸が
十分な柔軟性を有することも望まれるが、この特性は、
本発明の実施例で説明される評価方法において、曲げ弾
性率がある程度低いことを意味する。例えば100kg
/mm2以下が好ましいものである。またこの特性は該
糸のいわゆる糸癖がつきにくいという特性をも付加する
ものである。また、該糸が釣上げ時の糸切れ等の問題
は、引張り強度及び結節強伸度がある程度以上であるこ
とが必要で、引張り強度が75kg/mm2以上、結節強伸度
が60kg/mm2以上であることが好ましい。
【0013】本発明に基づく複合フィラメントは、上記
の諸特性を満たすべく、その基本となる樹脂としてポリ
アミド系樹脂を選択し、さらに、特定の芯鞘という2層
構成にすることとし、また、必要な添加剤としてラクタ
ムを所定量加え、さらに特定フィラーを添加してなるも
のである。
【0014】釣糸としての基本的な特性を有するポリア
ミド系樹脂ではあるが、一方望ましい引張り伸度および
曲げ弾性率において十分ではない。従って、これらの特
性を上記説明した好ましい範囲にするには、(1)曲げ弾
性率を下げるには適当な添加物を適当な量付加するこ
と、(2)引張り伸度を調節するには適当なフィラーを適
当量付加することで可能となる。しかしながら、これら
の添加剤は、それぞれ他の特性にも影響し、効果を打ち
消すように作用する場合があり、該添加剤およびフィラ
ーの種類、量については、最適化する必要がある。ま
た、上記の特性を満たしつつ、(3)釣糸としての必要な
強度、(4)視認性、(5)製糸のしやすさ等をさらに満たす
ことも必要である。
【0015】上記の特性を満たすべく、本発明者は、芯
鞘両部からなる二層構造で構成し、芯部にのみフィラー
を添加し、さらに、ラクタムをポリアミド樹脂に添加し
た。この構成により、これに基づく釣糸はいわゆる良い
あたりを示すものであり、糸表面は滑らかで、引っ掛か
り欠陥に基づく糸切れも発生せず、いわゆる糸癖もな
く、しなやかであり、さらに十分な強度を有し優れたも
のとなる。さらにフィラーを添加することにより薄暗い
条件下、激しく動く釣糸に対し微光下でもその光を強く
反射させ、その反射が釣糸の動きに伴い不規則にきらき
らすることにより高い視認性を生じさせることがわかっ
た。また、表面がフィラー無添加層であるため、ノズル
汚れも発生せず、延伸操作時においても糸切れの問題も
発生しない。
【0016】以下にさらに本発明に係る複合フィラメン
トおよび釣糸の好ましい実施形態について説明する。
【0017】
【発明の実施の形態】
(ポリアミド系樹脂)本発明に係る複合モノフィラメン
トの芯部及び鞘部を構成する樹脂については、通常の釣
糸には実質的に透明なポリアミド系樹脂が使用可能であ
る。本発明に係る複合モノフィラメントは芯鞘の二重層
構成を有するものであるが、その製造方法については、
従来公知の種々の製造方法が使用可能であり、該製造に
好適に使用可能なポリアミド系樹脂を適宜選択すること
ができる。この選択においては、該複合モノフィラメン
トの用途に基づき付加されるべき特性、例えば比重、直
径、表面形状等においては、それら用途に応じて、種々
の最適のポリアミド系樹脂を選択することは、当業者に
とって容易である。
【0018】本発明において特に好適に使用可能なポリ
アミド系樹脂としては、脂肪族ポリアミド、特にポリカ
プラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレナジパミド
(ナイロン66)またはそれらに近似する構造を有する
ポリアミド系樹脂である。さらには、カプロラクタムか
らなる成分が70重量%以上である共重合体またはこれ
らの重合体が70重量%以上含有した混合物のいずれか
である。
【0019】(芯部鞘部の構成)本発明においては、芯
部および鞘部の樹脂の量比、または直径比等についても
特に制限されるものではない。従って、用途に応じて種
々の直径または直径比のものが製造可能である。これら
の選択については、当業者が容易に選択できるものであ
る。例えば、本発明の1つの好ましい実施の形態では、
本発明に係る フィラーの粒径との関係上、本発明に係
る複合モノフィラメントの直径は少なくとも0.1mm
以上であることが好ましい。すなわち、0.1mm以下
になると該フィラーの粒径が相対的に大きくなりすぎて
延伸の操作時に糸の破断が生じる傾向が大きい。
【0020】さらに、本発明においては、フィラーの最
適な混合量比等に基づく芯部の必要な最小径等について
も通常の最適化に基づき当業者が、用途に応じて適時選
択可能である。本発明においては特に好ましいのは、芯
部と鞘部の体積比が芯部が少なくとも10%以上であ
り、また70%以下のものである。より好ましくは、2
0%以上60%以下であり、さらに好ましくは20%以
上40以下である。この場合芯部が10%以下の場合に
おいては引張り伸度の低下が十分でなくまた色調等が低
下し、視認性が損なわれる。また、70%以上となると
結節時強伸度が低下し、釣糸としての充分な強度特性を
示すことができなくなる傾向がある。
【0021】ここで上記体積比は、複合モノフィラメン
ト全体に対する芯部または鞘部の体積の比を意味する。
言い換えれば、該フィラメント全体および鞘部または芯
部の断面がほぼ均一であれば、該フィラメント全体の断
面積に対する芯部または鞘部それぞれの断面積の比で表
されるものである。例えば芯部の体積分率10%とは、
複合モノフィラメント全体の体積に占める芯部の体積が
10%ということであり、断面積でいえば、該複合モノ
フィラメント全体の断面積に占める芯部の断面積が10
%ということを意味するものである。
【0022】(二層構造の複合モノフィラメントの製造
方法)本発明に係る、複合モノフィラメントの製造方法
は、通常の公知の方法を用いて、製造可能である。当業
者は、用途に応じた特性、形状等にするべく、適当な製
造方法を選択することは容易である。例えば、本発明の
複合モノフィラメントは、二機またはそれ以上の押出機
を用いて、芯材・鞘材それぞれの樹脂を溶融し、芯/鞘
構造を有する複合紡糸口金に導き、公知の複合紡糸法に
より紡糸することにより製造することが可能である。さ
らに必要な場合には、所定の条件で延伸処理することに
より製造することが可能である。例えば、本発明に係る
複合フィラメントを製造するに際して、例えば引張り強
度を左右する因子としては一段目の延伸条件が重要とな
る。少なくとも75kg/mm2以上に維持するためには、最
初3.2〜3.8倍に比較的狭い延伸倍率の範囲内で行う必要
がある。3.2倍より低い延伸倍率では、十分な引張り強
度が得られず、逆に3.8倍を越える倍率では、延伸バス
外にネッキング点がでてしまう。またその際の延伸とし
ては、温水バス内で行い、延伸温度も80〜95℃の比較的
狭い温度範囲内で行う必要がある。それより低い温度で
は、十分な引張り強度が得られない。これは添加したフ
ィラーと樹脂との界面剥離が不安定になるためと推定さ
れる。また逆に95℃より高くなると、引張り強度・伸度
共に低下してしまう。これはフィラー添加により樹脂の
結晶化が速くなるためと推定される。この一段目の延伸
処理の後、更に熱風にて2.0倍以下の倍率で延伸処理を
施す事により、本発明の複合モノフィラメントが得られ
る。本発明の実施例にその具体的方法の例示がされてい
る。
【0023】さらに、本発明に係る複合モノフィラメン
トは、その製糸性においても極めて優れているものであ
る。すなわち、本発明に係る複合フィラメントの構成に
おいては、特に延伸時操作時において糸が破断すること
が起こりにくいものである。
【0024】従って、良好な製糸性を与えることも本発
明に係る複合フィラメントの構成に基づく有利な効果の
1つである。
【0025】(フィラー)本発明において、添加するフ
ィラーについては、種々のタイプの上記目的を達成可能
なものを選択使用可能である。本発明においては、特
に、強伸度特性の点からは、塊状形状または球状形状の
フィラーよりは、板状形状のものが好ましく使用可能で
ある。また、本発明に係るフィラーの粒径についても、
本発明に係る釣糸の用途または望ましい特性に基づき、
当業者により容易に適当な粒径または粒径分布を有する
フィラーを選択可能である。例えば、本発明においては
特に該フィラーの平均粒径としては0.5〜60μmの
ものが好ましく、より好ましくは1〜30μmのもので
ある。平均粒径が0.5μm以下となると伸度の低下が
十分でなくなる。逆に60μm以上になると釣糸として
の充分な特性(例えば結節強度)が得られにくくなる。
さらに、該フィラーの板状形状については、これを以下
に示すような意味でのアスペクト比で表現して10以上
のものが好ましい。すなわち、アスペクト比が10以下
の例えば塊状(アスペクト比が1〜3)、球状(アスペ
クト比が1)のものを使用すると、延伸操作時に該フィ
ラーと樹脂との間に剥離がおこり、ボイドと呼ばれる空
隙が生じ、このため強度低下をおこすものと推定され
る。しかし、アスペクト比が10以上の板状フィラーを
用いた場合には、ノズルから吐出し紡糸される際、フィ
ラーが引取方向に並べられ配向しているため、生じたボ
イドがつぶされボイド自体が減少し、このため強度低下
がほとんど起こらないものと考えられる。さらには、該
フィラーが特定方向に並んでいるため、該フィラーによ
るきらきらする反射がさらに多重的に反射し、光沢が増
加し、視認性が向上するものと考えられる。
【0026】本発明に係るフィラーの添加可能な量につ
いても、用途に応じて、該フィラーの種類、樹脂の種類
と特性(透明性、相溶性など)に基づき最適化すること
は当業者にとって容易に実施可能である。特に本発明に
おいては、フィラーの添加量として芯部樹脂についての
重量%で表現して0.3〜10%の範囲であることが好
ましい。より好ましくは0.5〜5%の範囲である。
0.3%未満では伸度の低下が十分でなく、また10%
以上では種々の強度等の点で充分な特性を持たせること
が難しくなる。
【0027】本発明において使用可能な前記板状のフィ
ラー (顔料)の種類は、本発明の目的を達成可能なも
のは好適に使用され得る。特に強伸度特性及び視認性の
点からは、使用可能な該フィラーの選択に際しては主
に、粒径、アスペクト比等が所定の範囲にあることが望
ましく、充分な強度及び光反射による視認性を得ること
が可能となる。フィラーの材料については、上記目的を
達成可能であれば有機系、無機系のいづれのフィラーで
もよく、天然物でも人工物でもよく、さらにこれらの混
合物でもよい。本発明においては、特に、天然貝粉、フ
レーク状雲母、セリサイト、板状ガラス、金属箔、金属
酸化物被覆雲母等が好適に使用可能である。より好まし
くは、フレーク状雲母であり、二酸化チタンや酸化鉄等
の酸化物で被覆したものがさらに好ましく使用され得
る。
【0028】該フィラーの平均粒径は、種々の測定方法
(遠心沈降式、レーザー回折法など)で評価可能であ
り、それぞれの評価法に基づき得られる平均粒径値の相
関も容易に得ることができる。本発明においては、特
に、レーザー回折法(例えばMalvern Instrument Ltd社
製、MastersizerX)で平均(D(Differential)50%)
の値で好ましく評価され得るものである。この評価方法
によれば、市販のフィラーは平均粒径として0.5μm
〜1mm程度のものが入手可能である。測定方法は、該
測定装置の通常の使用方法に準じて実施可能である。
【0029】該フィラーのアスペクト比(R)は、(平
均粒径/平均厚さ)で表現するものであり、平均粒径は
上記の方法に基づいて得られる値であり、平均厚さは、
種々の測定方法(間接的、直接的に)で評価して得られ
る値である。異なる測定方法により得られるそれぞれの
Rとの相関もまた容易に得ることができる。本発明にお
いては、該平均厚さを評価する方法としては、水面単粒
子法に基づく方法(西野等、材料、27巻、696頁(1
978))に準じた方法や、顕微鏡観察に基づく直接的方法
で評価可能である。前者の方法によれば、フィラーとし
ての雲母の水面上での最密充填単粒子膜面積sを測定
し、 d=w/ρ(1−r)s から平均厚さdが算出され得る。
【0030】ここで、wはフィラーの重量であり、ρは
フィラーの比重、rはフィラーが水面上で最密充填状態
をとった場合の空隙率を表すものである。
【0031】市販のフィラーは種々の前記アスペクト比
のものが入手可能であり、必要なアスペクト比のフィラ
ーを選択することは当業者にとって容易である。
【0032】すなわち、該平均粒径および、該アスペク
ト比が種々の値を有するフィラーの選択が可能である。
【0033】また後者の方法、すなわち、顕微鏡による
直接観察によれば、試料フィラメントから抽出されたフ
ィラーまたは、試料中のフィラーを必要な数測定し、該
厚さの平均値を算出することが可能である。
【0034】(ラクタム)本発明において添加可能なラ
クタムについては特に制限はないが、例えば、β−プロ
ピオラクタム、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタ
ム、ε−カプロラクタムが挙げられる。この中でも特
に、εカプロラクタムが最も好ましい。また、添加量に
ついてもカプロラクタムの種類、目的等に基づき種々の
変更が可能であるが、本発明においては特に、ポリアミ
ド樹脂に対して1〜10%の範囲が好ましく、より好ま
しくは2〜5%の範囲である。1%未満では柔軟性改良
効果が不十分であり、逆に10%を越えるとフィラメン
トが軟らかくなりすぎて張りがなくなるとともに強度が
低下して更には混練不良を起こし安定した紡糸ができな
くなる。
【0035】(釣糸の製造方法)以上、本発明に係る複
合モノフィラメントを用いた、種々の目的に使用可能な
釣糸の製造方法については、前記複合モノフィラメント
を主に用いたもの、またはさらに他の特性を持たせるた
めに適宜他の成分を加えて釣糸を製造することが可能で
ある。さらに、釣糸としての形状、長さ等についても目
的により、公知の手段を用いて製造可能である。
【0036】
【実施例】以下実施例に基づき本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施
例に限定されることはない。
【0037】実施例に使用した、フィラー(顔料)、樹
脂、評価方法、試料作製の方法についてまとめた。 さ
らに得られた結果を表1にまとめた。
【0038】(I)フィラー(顔料) (株)マールコーポレイション製、MAGNA PEA
RL3000(雲母系顔料)、平均粒径=5μm、アス
ペクト比=20 (II)樹脂 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ノバミ
ッド2430A(6/66共重合ポリアミド) (III)評価項目および評価条件 (1)引張強伸度 試料をつかみ間隔を300mmとして、速度300mm
/分で引張り、破断時の強度を測定した。なお、その際
の測定には、(株)オリエンティック製テンシロンUT
M−III型引張り試験機を使用し、測定数5回の平均
値で表した。
【0039】(2)結節強伸度 試料の中間に結節を作り、つかみ間隔300mm、速度
300mm/分で引張り、破断時の強度を測定した。な
お、その際の測定には(株)オリエンティック製テンシ
ロンUTM−III型引張り試験機を使用し、測定数5
回の平均値で表した。
【0040】(3)曲げ弾性率 試料を、5mmの間隔があいた治具に渡し、その中央を
速度5mm/分で引張り、測定開始点−最大荷重点間の
傾きから弾性率を求めて、曲げ弾性率とした。なお測定
には、上記と同様の測定機を用いし試料数5回の平均値
で示した。
【0041】(4)糸癖 中央に300mmの間隔で印をつけた長さ600mmの
試料を、直径13mmのステンレス製の丸棒に5回巻
き、その試料の両端に5kgの重しをつけて24時間室
温にて放置した。放置後、棒から重りおよび試料を外
し、試料を一端からぶら下げ標点間の距離を測定し、そ
の値を初期値の300で割った値を%で表し、糸癖の指
標とした。
【0042】(IV)フィラー(顔料)入りペレット作
製条件 押出機:φ30mm二軸混練押出機 ノズル:φ4mmx2ホール 押出し温度:190〜220℃実施例 (実施例1)鞘材として上記のポリアミド樹脂に何も添
加せず、φ40mm押出し機により250℃の温度で押
出した。また芯材として同様のポリアミド樹脂に上記フ
ィラー顔料を5phr配合し上記条件(IV)の条件で
押出混合によりペレット化したものにεカプロラクタム
を3phr配合したものをφ35mm押出し機により同
様の温度で押出した。これらを、吐出孔径φ2.0mm
の同芯芯鞘ノズルより、芯部の占める体積が40%にな
るように共押出しした。
【0043】これを、6℃の水中に投入して冷却し、連
続して85℃の温水中で3.5倍に延伸し、ついで18
0℃の熱風中で1.6倍に延伸し、更に、160℃の熱
風中で5%緩和熱処理して直径290μmのモノフィラ
メントを得た。
【0044】この結果得られたモノフィラメントは、表
1に示すように低い伸び(引張り強度)と柔軟性を兼備
し、更に糸癖もつき難く、また製糸性にも優れたもので
あった。
【0045】(実施例2)鞘材として上記のポリアミド
樹脂にεカプロラクタムを3phr配合したものを使用
し、また芯材として同様のポリアミド樹脂に上記フィラ
ー顔料を5phr配合した他は実施例1と同様の条件に
て行った。この結果得られたモノフィラメントは、低い
伸びと高い結節強伸度および柔軟性を兼備し更に糸癖も
つき難くまた製糸性にも優れたものであった。結果を表
1にまとめた。
【0046】(実施例3)鞘材として上記のポリアミド
樹脂にεカプロラクタムを3phr配合し、また芯材と
して同様のポリアミド樹脂にフィラー5phrおよびε
カプロラクタムを3phr配合した他は実施例1と同様
の条件にて行った。この結果得られたモノフィラメント
は、低い伸びと高い結節強伸度および柔軟性を兼備し更
に糸癖もつき難くまた製糸性にも優れたものであった。
結果を表1にまとめた。
【0047】(実施例4〜9)芯鞘比率、フィラー配合
量、εカプロラクタム配合量を変化させた以外は実施例
1と同様の条件で行った。この結果得られたモノフィラ
メントは、低い伸びと高い結節強伸度および柔軟性を兼
備し更に糸癖もつき難くまた製糸性にも優れたものであ
った。結果を表1にまとめた。
【0048】比較例 (比較例1、2)上記ポリアミド樹脂にフィラーおよび
εカプロラクタムを全く添加しない場合(比較例1)、
またフィラーのみ5phr配合した場合(比較例2)に
ついて、φ40mm押出し機1台を使用し、単層にて実
施例1と同様にモノフィラメントを作製した。その得ら
れたモノフィラメントは、硬く糸癖のつき易いものであ
った。 結果は表2にまとめた。
【0049】(比較例3)上記ポリアミド樹脂にεカプ
ロラクタムのみを配合し、φ40mm押出し機1台を使
用し、単層にて実施例1と同様にモノフィラメントを作
製した。その得られたモノフィラメントは、柔軟である
ものの、釣糸として使用する場合には引張り伸度が大き
過ぎるため、あたりが明確でないものであった。結果は
表2にまとめた。
【0050】(比較例4)上記ポリアミド樹脂に上記フ
ィラー顔料を5phrとεカプロラクタムを3phr配
合し、φ40mm押出し機1台を使用し、単層にて実施
例1と同様の条件でモノフィラメントを得た。その結果
得られたモノフィラメントは、柔軟であるものの、結節
時の強伸度が低く実用的には十分でないものであった。
さらに延伸操作時に糸の破断も発生した。結果を表2に
まとめた。
【0051】(比較例5、7)上記のポリアミド樹脂に
上記フィラーを5phr配合(上記(IV))で押出し混合
によりペレット化した樹脂を芯材として用い(比較例
5)、または鞘材として用い(比較例7)、その他は何
も配合せずに実施例1と同様の条件にて複合モノフィラ
メントを得た。その結果得られたモノフィラメントは、
硬く糸癖のつき易いものであった。結果を表2にまとめ
た。
【0052】(比較例6、8)上記のポリアミド樹脂に
εカプロラクタムを3phr芯部に配合(比較例6)、
また鞘部に配合(比較例8)した他は何も配合せずに実
施例1と同様の条件にて複合モノフィラメントを得た。
その結果得られたモノフィラメントは、柔軟であるもの
の引張り強伸度が大きすぎあたりが明確にでないもので
あった。結果を表2にまとめた。
【0053】(比較例9〜12)上記のポリアミド樹脂
にフィラー及び/又はεカプロラクタムを表4の条件で
配合し、実施例1と同様の条件にて複合モノフィラメン
トを得た。その結果得られたモノフィラメントは、柔軟
であるものの結節時の強伸度が低く釣糸として実用には
十分でないものであった。
【0054】なお、得られたモノフィラメントの表面を
観察したところ、糸表面に配合されたフィラーによる凹
凸があり、これが結節時にひっかかり欠陥となって、十
分な強度特性を示さなかったものと推定される。さらに
延伸時に糸の破断も発生した。結果を表3にまとめた。
【0055】(比較例13〜18)表3に示すように、
芯鞘比率、又はフィラー・εカプロラクタムの配合量を
変化させた以外は実施例3と同様の条件にて複合モノフ
ィラメントを得た。その結果得られたモノフィラメント
は、伸度が大きすぎ、あたりが明瞭でないもの(比較例
13、15、18)、硬く糸癖のつき易いもの(比較例
14、16、17)等、釣糸の特性としてはバランスの
とれていないものであった。
【0056】なお、εカプロラクタムを15phr配合
したものは押出し時吐出変動をおこし押出し性が悪いも
のであった。結果を表3にまとめた。
【0057】
【表1】
【表2】
【表3】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯鞘構造を有する複合モノフィラメント
    であって、(1)芯層及び鞘層ともにポリアミド系樹脂か
    らなり、(2)芯層が体積分率10〜70%であり、(3)芯
    層にフィラーが芯層を構成するポリアミド系樹脂100
    重量部に対し0.3〜10重量部が配合されており、
    (4)ラクタムが、芯層及び/又は鞘層を構成するポリア
    ミド系樹脂100重量部に対し1〜10重量部が配合さ
    れてなる複合モノフィラメント。
  2. 【請求項2】 芯鞘構造を有する複合モノフィラメント
    であって、(1)芯層及び鞘層ともにポリアミド系樹脂か
    らなり、(2)芯層が体積分率10〜70%であり、(3)芯
    層に平均粒径が0.5〜60μmで、かつアスペクト比
    が10以上の板状フィラーが芯層を構成するポリアミド
    系樹脂100重量部に対し0.3〜10重量部が配合さ
    れており、(4)ラクタムが、芯層及び/又は鞘層を構成
    するポリアミド系樹脂100重量部に対し1〜10重量
    部が配合されてなる複合モノフィラメント。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のいずれかの複
    合モノフィラメントであって、さらに引張り伸度が27
    %以下、曲げ弾性率が100kg/mm2以下である複
    合モノフィラメント。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の複合モノフィラメント
    であって、さらに引張り強度が75kg/mm2以上、
    結節強度が60kg/mm2以上、かつ結節伸度が15
    %以上である複合モノフィラメント。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の複合モ
    ノフィラメントであって、前記樹脂がカプロラクタムの
    単独重合体(ナイロン6)、カプロラクタムからなる成
    分が70%重量以上である共重合体、又はこれらの重合
    体を70重量%以上含有した混合物のいづれかである複
    合モノフィラメント。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいづれかに記載の複合モ
    ノフィラメントを用いた釣糸。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010240514A (ja) * 2009-04-01 2010-10-28 Ksk:Kk 配管清掃機及び配管清掃方法

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