JP3607396B2 - 複合モノフィラメント - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、鮮明に着色され視認性が高く、特に薄暗い条件でも良く見え、優れた強度特性を有した、特に釣糸として適した複合モノフィラメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の釣の方法の種類が、スポーツ性、ファッション性に富む傾向にあり、ルアーフィッシングや、キャストフィッシングが注目を集めている、。従って、このような釣方法にとっては、釣糸の持つべき特性として、特に視認性のよさが望まれる。
【0003】
さらに、高強度のものが望まれている。
【0004】
従来の釣糸の視認性を高めるものとしては、1つは蛍光顔料を含ませるものが知られている。特に無機系蛍光顔料としては、重金属塩の結晶粉末であって、例えばZnS(+Cu)(緑色)、CaS(+Bi)(紫青色)などが挙げられ、有機系蛍光顔料としては、有機顔料型のLumogenColor、蛍光色素染色プラスチック型のローダミンBとアクリル重合体の組合せ等が挙げられる。しかしながら、魚が最も活発に活動し、最も釣れるのは、夜明けや夕暮れの薄暗い時が多く、この条件では前記の蛍光顔料を配合使用した釣糸でも、太陽光線が弱く釣糸が見えにくくなるという欠点があった。
【0005】
さらに、視認性向上の目的で、前記顔料等を大量に使用することも考えられるが、この場合、釣糸として要求される特性を損なう恐れもあるという問題点があった。
【0006】
視認性、特に薄暗い条件での高い視認性、またはルアーフィッシングに要求されるような激しく動かされる釣糸の動きを的確に認識可能とするためには、前記蛍光顔料や、通常の着色顔料の使用では限界があり、他の手段による視認性の飛躍的向上が要求される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者は以上の問題点に鑑み、最近の釣方法の傾向に望まれる特性すなわち、特に薄暗い条件、または激しく動かされる釣糸の動きに対する視認性のよさと高強度である釣糸を得ることを目的として鋭意研究し、特定の構造を有し、かつ特定の視認性物質を用いることにより上記目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、鞘部と芯部とよりなる芯鞘ニ層構造を有する複合モノフィラメントであって、前記芯部が、体積分率10〜70%であり、さらに前記芯部に、平均粒径が0.5〜60μmで、かつアスペクト比が10以上の板状フィラー顔料が、前記複合フィラメントの芯部に、芯部を構成する樹脂に対して0.3〜10重量%含有されてなる複合モノフィラメントを提供する。
【0009】
また、本発明は、板状フィラー顔料として、パール光沢性を有することを特徴とする複合モノフィラメントを提供する。
【0010】
さらに、本発明は、板状フィラー顔料が、金属酸化物被覆フレーク状雲母であることを特徴とする複合モノフィラメントを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、さらに引張り強度が75kg/mm2 以上、かつ結節強度が60kg/mm2 以上である複合モノフィラメントを提供するものである。
【0012】
また、本発明は、上記の複合モノフィラメントであって、さらに前記芯部または鞘部が、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、またはポリオレフィンのいずれかからなる複合モノフィラメントを提供するものである。
【0013】
さらには、本発明は、特に前記樹脂が、カプロラクタムの単独重合体(ナイロン6)、カプロラクタムからなる成分が70重量%以上である共重合体またはこれらの重合体が70重量%以上含有した混合物のいずれかである複合モノフィラメントを提供するものである。
【0014】
また本発明はこれらの複合モノフィラメントを用いた釣糸に関するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため、特に薄暗い条件または激しく動く釣糸に対し、高い視認性を得るためには、通常使用の顔料、蛍光色素を使用することは充分でなく、むしろ微光に対し強くその光を反射させ、その反射が、釣糸の動きに伴い不規則にきらきらすることにより、高い視認性を生じさせるということを見出した。さらに、この効果を効率的にもたらすために有用な光反射性顔料をフィラーとして選択した。これは特定の形状を有する板状無機性の顔料(フィラー)であり、例えば雲母系顔料である。
【0016】
従来、このような顔料は、視認性向上のためというよりは美的効果を持たせた繊維の開発のために使用されており、特にパール調光沢を持たせた繊維についての技術が知られている(例えば、特昭58−12370、特開昭59−47415、特開昭63−112722)。
【0017】
さらに通常、無機性顔料は、その含まれている材料ポリマーとはなじみにくく、混合しただけでは、さらに紡糸操作等において、種々の問題が生じる。例えば塊状のものやガラスビーズの様な球状のものを使用すると引張り強度が下がり、釣糸として不充分となる。この理由は、紡糸する際に延伸操作時にフィラー顔料と樹脂との間に剥離が起こり、ボイドと呼ばれる空隙が生じ、このため強度の低下を起こすものと考えられる。図5および図6には、塊状フィラー(金属酸化物粉末、ケミテック(株)社製ケミテックピカリコCP−04)および球状フィラー(球状ガラスビーズ、ユニオン(株)社製ユニビーズUBS−0010EA)を使用した場合のボイドの発生が示されている。この場合、通常のフィラー形状では上記のボイド発生による強度低下は避けられず、釣糸としての強度(例えば、引張り強度が少なくとも75kg/mm2 以上)が充分確保できないこともある。
【0018】
従って、きらきらする光反射による視認性をを向上し、さらに、できるだけ強度を減少させないフィラーとして、特定粒径範囲の、しかも板状の形状の光反射型の無機物質が該当する。すなわち、上記紡糸する際に延伸操作時にフィラー顔料と樹脂との間に剥離が起こるが、形状が板状であるため生じるボイドがつぶされ、ボイド自体が減少し、このために強度の低下を防ぐものと考えられる。図3および図4においては、板状フィラーを使用した場合のボイドの生成が抑制されることを示している。
【0019】
また、上記板状のフィラーであって、アスペクト比が特定の範囲にある場合においては、該フィラメントの延伸操作の際に、フィラーが特定の方向に並べられる傾向を有し、そのために該フィラーによる、きらきらする反射がさらに多重的に反射し、光沢が増加することになる。従って、視認性との両立を図るためには、前記視認性を増加するフィラーに制限があることを見出した。
本発明者は、さらに、前記フィラーを単層フィラメントに使用することで、望ましい視認性を得ることが可能となるが、この場合、その他の必要な特性(結節強度等)が低下する。すなわち、特定のフィラーを添加した場合、一般的に引張り強度は保持され得るが、釣糸としての最も重要な特性である結節時の強度が充分でなくなる場合が生じる。この原因としては、添加フィラーが糸の表面に露出する部分があり、これがために表面が凸凹し、この表面の凸凹に基づき、結節時にひっかかり欠陥となり、上記の強度を低下させることとなる。さらには、該釣糸を製造する際の延伸操作時においての糸切れの原因ともなる。
【0020】
上記の問題点を、視認性を保持しつつ解決する手段として、本発明者は、芯鞘両部からなる二層構造で構成することにより解決できることを見出した。芯部にのみ前記視認性向上のためのフィラーを添加し、鞘部には添加しない構造である。従って、糸表面は滑らかであり、引っ掛かり欠陥に基づく結節強度の問題も発生しない。さらに、釣糸としてのしなやかさも充分保持される。さらに、表面がフィラー無添加層であるため、ノズル汚れも発生せず、延伸操作時においても糸切れの問題も発生しない。
【0021】
本発明は以上の構成を有する釣糸に関するものであり、通常の製造工程を使用可能であり、しかも、得られる釣糸は従来以上に視認性が向上し、さらに釣糸としての強度を充分保持するものである。以下にさらに本発明に係る釣糸の好ましい実施形態について説明する。
【0022】
【発明の実施の形態】
(使用樹脂)
本発明に係る複合モノフィラメントの芯部及び鞘部を構成する樹脂については、通常の釣糸には実質的に透明な樹脂が使用可能である。本発明に係る複合モノフィラメントは芯鞘の二重層構成を有するものであるが、その製造方法については、従来公知の種々の製造方法が使用可能であり、該製造に好適に使用可能な樹脂を適宜選択することができる。この選択においては、該複合モノフィラメントの用途に基づき付加されるべき特性、例えば比重、直径、表面形状等においては、それら用途に応じて、種々の最適の樹脂を選択することは、当業者にとって容易である。
【0023】
本発明において好適に使用可能な樹脂としては、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、およびポリオレフィン等がある。好ましい樹脂としては、脂肪族ポリアミドが挙げられ、特に好ましくは、カプロラクタムの単独重合体(ナイロン6)、カプロラクタムからなる成分が70重量%以上である共重合体、例えばカプロラクタムからなる成分が70重量%以上のナイロン6−66およびこれらの重合体が70重量%以上含有した混合物、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
【0024】
また、本発明において使用可能な、上記樹脂に添加するフィラー以外の添加剤として、可塑剤、安定化剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、溌水剤、結晶核剤等がある。さらに、芯部または鞘部に他の顔料(有機、無機)、染料等、本発明の効果を損なわないものであれば使用可能である。
【0025】
(芯部鞘部の構成)
本発明においては、芯部および鞘部の樹脂の量比、または直径比等についても特に制限されるものではない。従って、用途に応じて種々の直径または直径比のものが製造可能である。これらの選択については、当業者が容易に選択できるものである。例えば、本発明の1つの好ましい実施の形態では、本発明に係るフィラーの粒径との関係上、本発明に係る複合モノフィラメントの直径は少なくとも0.1mm以上であることが好ましい。すなわち、0.1mm以下になると該フィラーの粒径が相対的に大きくなりすぎて延伸の操作時に糸の破断が生じる傾向が大きい。
【0026】
さらに、本発明においては、フィラーの最適な混合量比等に基づく芯部の必要な最小径等についても通常の最適化に基づき当業者が、用途に応じて適時選択可能である。本発明においては特に好ましいのは、芯部と鞘部の体積比が芯部が少なくとも10%以上であり、また70%以下のものである。より好ましくは、20%以上60%以下であり、さらに好ましくは20%以上40以下である。この場合芯部が10%以下の場合においては色調等が低下し、視認性が損なわれる。また、70%以上となると結節時強度が低下し、釣糸としての充分な特性を示すことができなくなる傾向がある。
ここで上記体積比は、複合モノフィラメント全体に対する芯部または鞘部の体積の比を意味する。言い換えれば、該フィラメント全体および鞘部または芯部の断面がほぼ均一であれば、該フィラメント全体の断面積に対する芯部または鞘部それぞれの断面積の比で表されるものである。例えば芯部の体積分率10%とは、複合モノフィラメント全体の体積に占める芯部の体積が10%ということであり、断面積でいえば、該複合モノフィラメント全体の断面積に占める芯部の断面積が10%ということを意味するものである。
【0027】
(二層構造の複合モノフィラメントの製造方法)
本発明に係る、複合モノフィラメントの製造方法は、通常の公知の方法を用いて、製造可能である。当業者は、用途に応じた特性、形状等にするべく、適当な製造方法を選択することは容易である。例えば、本発明の複合モノフィラメントは、二機またはそれ以上の押出機を用いて、芯材・ 鞘材それぞれの樹脂を溶融し、芯/鞘構造を有する複合紡糸口金に導き、公知の複合紡糸法により紡糸することにより製造することが可能である。さらに必要な場合には、所定の条件で延伸処理することにより製造することが可能である。例えば、本発明に係る複合フィラメントを製造するに際して、例えば引張り強度を左右する因子としては一段目の延伸条件が重要となる。少なくとも75kg/mm 2 以上に維持するためには、最初3.2 〜3.8 倍に比較的狭い延伸倍率の範囲内で行う必要がある。3.2 倍より低い延伸倍率では、十分な引張り強度が得られず、逆に3.8 倍を越える倍率では、延伸バス外にネッキング点がでてしまう。またその際の延伸としては、温水バス内で行い、延伸温度も80〜95℃の比較的狭い温度範囲内で行う必要がある。それより低い温度では、十分な引張り強度が得られない。これは添加したフィラーと樹脂との界面剥離が不安定になるためと推定される。また逆に95℃より高くなると、引張り強度・ 伸度共に低下してしまう。これはフィラー添加により樹脂の結晶化が速くなるためと推定される。この一段目の延伸処理の後、更に熱風にて2.0 倍以下の倍率で延伸処理を施す事により、本発明の複合モノフィラメントが得られる。本発明の実施例にその具体的方法の例示がされている。
【0028】
さらに、本発明に係る複合モノフィラメントは、その製糸性においても極めて優れているものである。すなわち、本発明に係る複合フィラメントの構成においては、特に延伸時操作時において糸が破断することが起こりにくいものである。
【0029】
従って、良好な製糸性を与えることも本発明に係る複合フィラメントの構成に基づく有利な効果の1つである。
【0030】
(視認性向上用フィラー)
本発明において、芯部に添加する上記目的を有するフィラーについては、種々のタイプの上記目的を達成可能なものを選択使用可能である。本発明においては、特に、既に説明したように、塊状形状または球状形状のフィラーよりは、板状形状のものが好ましく使用可能である。また、本発明に係るフィラーの粒径についても、本発明に係る釣糸の用途または望ましい特性に基づき、当業者により容易に適当な粒径または粒径分布を有するフィラーを選択可能である。例えば、本発明においては特に該フィラーの平均粒径としては0.5〜60μmのものが好ましく、より好ましくは1〜30μmのものである。平均粒径が0.5μm以下となると充分な視認性が得られなくなり、また60μm以上になると釣糸としての充分な特性(例えば結節強度)が得られにくくなる。さらに、該フィラーの板状形状については、これを以下に示すような意味でのアスペクト比で表現して10以上のものが好ましい。すなわち、この値以下では、充分な視認性が得られない。
【0031】
本発明に係るフィラーの添加可能な量についても、用途に応じて、該フィラーの種類、樹脂の種類と特性(透明性、相溶性など)に基づき最適化することは当業者にとって容易に実施可能である。特に本発明においては、フィラーの添加量として芯部樹脂についての重量%で表現して0.3〜10%の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.5〜5%の範囲である。0.3%以下では充分な光沢に基づく視認性が得られず、また10%以上では種々の強度等の点で充分な特性を持たせることが難しくなる。
【0032】
本発明において使用可能な前記板状のフィラー(顔料)の種類は、本発明の目的を達成可能なものは好適に使用され得る。使用可能な該フィラーの選択に際しては主に、粒径、アスペクト比等が所定の範囲にあることが望ましく、充分な光反射による視認性を得ることが可能となる。フィラーの材料については、上記目的を達成可能であれば有機系、無機系のいづれのフィラーでもよく、天然物でも人工物でもよく、さらにこれらの混合物でもよい。本発明においては、特に、天然貝粉、フレーク状雲母、セリサイト、板状ガラス、金属箔、金属酸化物被覆雲母等が好適に使用可能である。より好ましくは、フレーク状雲母であり、二酸化チタンや酸化鉄等の酸化物で被覆したものがさらに好ましく使用され得る。
【0033】
該フィラーの平均粒径は、種々の測定方法(遠心沈降式、レーザー回折法など)で評価可能であり、それぞれの評価法に基づき得られる平均粒径値の相関も容易に得ることができる。本発明においては、特に、レーザー回折法(例えばMalvern Instrument Ltd社製、MastersizerX)で平均(D(Differential)50%)の値で好ましく評価され得るものである。この評価方法によれば、市販のフィラーは平均粒径として0.5μm〜1mm程度のものが入手可能である。測定方法は、該測定装置の通常の使用方法に準じて実施可能である。
【0034】
該フィラーのアスペクト比(R)は、(平均粒径/平均厚さ)で表現するものであり、平均粒径は上記の方法に基づいて得られる値であり、平均厚さは、種々の測定方法(間接的、直接的に)で評価して得られる値である。異なる測定方法により得られるそれぞれのRとの相関もまた容易に得ることができる。本発明においては、該平均厚さを評価する方法としては、水面単粒子法に基づく方法(西野等、材料、27巻、696頁(1978))に準じた方法や、顕微鏡観察に基づく直接的方法で評価可能である。前者の方法によれば、フィラーとしての雲母の水面上での最密充填単粒子膜面積sを測定し、
d=w/ρ( 1−r) s
から平均厚さdが算出され得る。
【0035】
ここで、wはフィラーの重量であり、ρはフィラーの比重、rはフィラーが水面上で最密充填状態をとった場合の空隙率を表すものである。
【0036】
市販のフィラーは種々の前記アスペクト比のものが入手可能であり、必要なアスペクト比のフィラーを選択することは当業者にとって容易である。
【0037】
すなわち、実施例で具体的に示したように、該平均粒径および、該アスペクト比が種々の値を有するフィラーの選択が可能である。実質的に球形形状のフィラーとしては該アスペクト比が1から1.5のものが、本発明では比較例として使用されているものである。
【0038】
また後者の方法、すなわち、顕微鏡による直接観察によれば、試料フィラメントから抽出されたフィラーまたは、試料中のフィラーを必要な数測定し、該厚さの平均値を算出することが可能である。
【0039】
(釣糸の製造方法)
以上、本発明に係る複合モノフィラメントを用いた、種々の目的に使用可能な釣糸の製造方法については、前記複合モノフィラメントを主に用いたもの、またはさらに他の特性を持たせるために適宜他の成分を加えて釣糸を製造することが可能である。さらに、釣糸としての形状、長さ等についても目的により、公知の手段を用いて製造可能である。
【0040】
【実施例】
以下実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されることはない。
【0041】
実施例に使用した、フィラー(顔料)、樹脂、評価方法、試料作製の方法についてまとめた。
【0042】
(I)フィラー(顔料)
(表1)
▲1▼(株)マールコーポレイション製、MAGNA PEARL3000(雲母系顔料)、平均粒径=5μm、アスペクト比=20
▲2▼(株)マールコーポレイション製、SUPER RED−RUSSET(雲母系顔料)、平均粒径=18μm、アスペクト比=60
▲3▼(株)マールコーポレイション製、MAYAN GOLD(雲母系顔料)、平均粒径=20μm、アスペクト比=70
▲4▼(株)マールコーポレイション製、HI−LITE SUPER GOLD (雲母系顔料)、平均粒径=25μm、アスペクト比=80
▲6▼(株)マールコーポレイション製、SUPER SPARKLE(雲母系顔料)、平均粒径=77μm、アスペクト比=150
▲7▼(株)ケミテック製、ケミテックピカリコCP−04(金属酸化粉末)、平均粒径=10μm、アスペクト比=1.5
▲8▼(株)ユニオン製、ユニビーズUBS−0010EA(球状ガラスビーズ)、平均粒径=10μm、アスペクト比=1.0
(II)樹脂
(表2)
▲1▼三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ノバミッド2430A(6/66共重合ポリアミド)
▲2▼東レ(株)製、アミランCM6241−M(6/66共重合ポリアミド)。
【0043】
(III)評価項目および評価条件
(1)視認性
屋外において、芝生を背景にモニター5人によるブラインド試験を行い、距離2mの地点から次に示す6段階の規準で評価した。なお、評価時の明るさは、以下に示す3条件で行い、またその際の照度測定には、(株)カスタム製デジタル照度計XL−1330を用いた。
【0044】
評価規準
(表3)
▲1▼評価5、鮮明に視認可能。
▲2▼評価4、ほぼ鮮明に視認可能。
▲3▼評価3、視認可能(標準)。
▲4▼評価2、やや視認し難い。
▲5▼評価1、非常に視認し難い。
▲6▼評価0、視認不可能。
【0045】
評価条件
(表4)
イ、晴天時日中 照度20000ルクス以上
ロ、曇天時夕暮れ前 照度2800ルクス
ハ、日没直後 照度3ルクス
(2)引張強度
試料をつかみ間隔を300mmとして、速度300mm/分で引張り、破断時の強度を測定した。なお、その際の測定には、(株)オリエンティック製テンシロンUTM−III型引張り試験機を使用し、測定数5回の平均値で表した。
【0046】
(3)結節強度
試料の中間に結節を作り、つかみ間隔300mm、速度300mm/分で引張り、破断時の強度を測定した。なお、その際の測定には(株)オリエンティック製テンシロンUTM−III型引張り試験機を使用し、測定数5回の平均値で表した。
【0047】
(IV)フィラー(顔料)入りペレット作製条件
(表5)
押出機:φ30mm二軸混練押出機
ノズル:φ4mmx 2ホール
押出し温度:190〜220℃
(実施例1)
鞘部材として表2に示すポリアミド樹脂▲1▼をφ40mm押出し機により、芯部材としてのポリアミド樹脂に表1に示したフィラー顔料▲1▼を4phr配合し表5の条件で混合押出しペレット化したものをφ35mm短軸押出し機により押出し温度250℃、吐出孔径φ2.0mmの同芯芯鞘ノズルを用いて、芯部の占める体積が10%になるように共押出しした。
【0048】
これを、6℃の水中に投入して冷却し、連続して85℃の温水中で3.5倍に延伸し、ついで180℃の熱風中で1.6倍に延伸し、更に、160℃の熱風中で5%緩和熱処理して直径290μmのモノフィラメントを得た。
【0049】
この結果得られたモノフィラメントは、表7に示すように優れた視認性と高い引張り、結節強度を有するものであった。
【0050】
(実施例2〜15)
芯/鞘複合比率、顔料種類配合量等を変えた以外は実施例1と同様に行い、その結果を表にまとめた。
【0051】
さらに、以下に本発明における実施例に対する比較例を行った。
【0052】
(比較例1、2)
呉羽化学(株)から市販されているナイロン釣糸2種類について表3および4に示した条件で視認性のテストを行った。その結果蛍光イエローカラーのものでも、特に日没直後の薄暗い時間帯では、非常に視認しにくいことがわかる。
【0053】
(比較例3)
表2に示したポリアミド樹脂▲1▼に顔料を一切添加せず、φ40mm押出し機1台を使用し、単層にて実施例1と同様に表6に示した条件でモノフィラメントを作製した。この結果得られた無色透明のモノフィラメントは、引張り結節強度が充分高いものの、視認性が非常に悪いものであった。
【0054】
(比較例4、11、13)
表2に示したポリアミド樹脂▲1▼に表1に示したフィラー(▲1▼、▲4▼)を配合し、φ40mm押出し機を使用し、単層にて実施例1と同様に表6に示した条件でモノフィラメントを作製した。この結果得られるモノフィラメントは、視認性および引張り強度には優れているものの、釣糸として重要な特性である結節時の強度が低く実用には充分ではなかった。さらに延伸操作時に糸の破断が発生した。
【0055】
(比較例5、21、22、23)
上記の例とは逆に鞘部にのみ顔料を配合した他は、実施例1と同様な方法でモノフィラメントを作製した。その結果、得られたモノフィラメントは結節強度が極めて低いものであった。またその他の特性についても実用には充分ではないことが明かとなった。なお、得られたモノフィラメントの表面および断面を電子顕微鏡にて観察したところ、糸表面に配合されたフィラー顔料が露出していることがわかり、これが該糸の結節時にひっかかり欠陥となって、充分な特性を示さない理由と推定される。さらに延伸時に糸の破断も発生することがわかった。
【0056】
(比較例6)
上記比較例において、芯部にも顔料を配合したモノフィラメントを実施例1に記載の方法に準じて作製した。得られたモノフィラメントは、結節時の強度が低く実用には適さないものであった。
【0057】
(比較例7、24、25)
平均粒径が77μmの顔料▲6▼を使用した以外は実施例1と同様の方法にてモノフィラメントを作製した。その結果延伸操作時に糸の破断が多く製造上実用に適し難いものであった。特に、比較例7と比較例25は延伸時の破断が多発し、強度測定を行えるモノフィラメントを得ることができなかった。
【0058】
(比較例8)
芯部にフィラー▲4▼を20phr添加し、実施例1と同様の方法でモノフィラメントを作製した。その結果延伸操作時に糸の破断が多く製造上実用に適し難いものであった。このように、延伸時の破断が多発し、強度測定を行えるモノフィラメントを得ることができなかった。
【0059】
(比較例9、26、27)
表1に示す塊状のフィラー顔料▲7▼を使用し、実施例1と同様の方法でモノフィラメントを作製した。その結果得られたモノフィラメントは、引張り、結節強度とも非常に低いものであった。なお、得られたモノフィラメントの断面を電子顕微鏡で観察した結果、図5に見られるように塊状の顔料の前後に大きな空隙が見られこれが強度を低下させる原因と推定された。特に、比較例27は延伸時の破断が多発し、強度測定を行えるモノフィラメントを得ることができなかった。
【0060】
(比較例10、28、29)
比較例9と同様に球状フィラー▲8▼を使用し実施例1と同様の方法でモノフィラメントを作製した。その結果得られたモノフィラメントは、引張り、結節強度とも非常に低いものであった。なお、得られたモノフィラメントの断面を電子顕微鏡で観察した結果、図6に見られるように球状の顔料の前後に大きな空隙が見られこれが強度を低下させる原因と推定された。
【0061】
(比較例12、14)
芯鞘比率を変化させた以外は実施例1と同様の方法によりモノフィラメントを作製した。その結果得られたモノフィラメントは、引張り、結節強度とも充分ではなく、延伸時に糸の破断が多く製造上実用には難しいものである。
【0062】
(比較例15、17、19)
芯部にフィラー▲1▼を15phr添加し、芯鞘比率を変化させた場合のモノフィラメントをそれぞれ実施例1と同様の方法で作製した。
【0063】
その結果得られたモノフィラメントは、引張り強度、結節強度とも充分ではなく、更に、延伸時に破断が多発することが明かとなり、製造上実用には難しいものであった。特に比較例19は延伸時の破断が多発し、強度測定を行えるモノフィラメントを得る事ができなかった。
【0064】
(比較例16、18、20)
芯部にフィラー▲1▼を0.1phr添加し、芯鞘比率を変化させた場合のモノフィラメントをそれぞれ実施例1と同様の方法で作製した。
【0065】
その結果、得られたモノフィラメントは、着色が薄く光の反射が不十分であり、視認性が悪いものであった。
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【図1】芯鞘複合モノフィラメントの鞘部にフィラーを添加した場合、表面がフィラーのため凸凹する様子を示す電子顕微鏡写真である。
【図2】図1の芯鞘複合モノフィラメントの断面を示す電子顕微鏡写真である。
【図3】板状フィラーを使用したモノフィラメントの未延伸糸を示し、該フィラーにより空隙(ボイド)がほとんど形成されていないことを示す電子顕微鏡写真である。
【図4】板状フィラーを使用したモノフィラメント(図3)の延伸糸を示し、該操作後でも該フィラーにより空隙(ボイド)がほとんど形成されていないことを示す電子顕微鏡写真である。
【図5】塊状フィラーを使用したモノフィラメントを作製した結果生じる、塊状フィラー周りの大きな空隙(ボイド)を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】球状ガラスビーズを使用したモノフィラメントを作製した結果生じる、球状フィラー周りの大きな空隙(ボイド)を示す電子顕微鏡写真である。
Claims (8)
- 鞘部と芯部とよりなる芯鞘ニ層構造を有する複合モノフィラメントであって、
(1) 前記芯部が、体積分率10〜70%であり、さらに
(2) 前記芯部に、
平均粒径が0.5〜60μmで、かつアスペクト比が10以上の板状フィラー顔料を、前記複合フィラメントの芯部に、芯部を構成する樹脂に対して0.3〜10重量%含有してなる複合モノフィラメント。 - 請求項1に記載の複合モノフィラメントであって、
前記板状フィラー顔料が、パール光沢性を有することを特徴とする複合モノフィラメント。 - 請求項1に記載の複合モノフィラメントであって、
前記板状フィラー顔料が、金属酸化物被覆フレーク状雲母であることを特徴とする複合モノフィラメント。 - 請求項1に記載の複合モノフィラメントであって、
さらに引張り強度が75kg/mm2 以上、かつ結節強度が60kg/mm2 以上である複合モノフィラメント。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の複合モノフィラメントであって、
前記芯部または鞘部が、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、またはポリオレフィンのいずれかからなる複合モノフィラメント。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の複合モノフィラメントであって、
前記樹脂が、脂肪族ポリアミドからなる複合モノフィラメント。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の複合モノフィラメントであって、
前記樹脂が、カプロラクタムの単独重合体(ナイロン6)、カプロラクタムからなる成分が70重量%以上である共重合体またはこれらの重合体が70重量%以上含有した混合物のいずれかである複合モノフィラメント。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の複合モノフィラメントを用いた釣糸。
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