JP4837584B2 - 中空糸 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維横断面形状において2つ以上の中空部を有し、浮力に優れ、釣糸に好適な中空糸に関するものである。
従来、軽量化や浮力を持たせることを目的とした中空糸が提案されている。特に釣糸の分野では、その釣り場の状況や目的に応じて様々な特性の糸が要求されることから、水面上に釣糸を浮かせることが必要となる、ふかせ釣りに好適な釣糸としての中空糸がいくつか提案されている。
水面に浮くことが可能な中空の釣糸としては、例えば、繊維中心部に1つの連続的な中空部を有する中空モノフィラメントからなる釣糸がある。しかしこの釣糸は、繊維の中心部に連続して単一の中空部が存在するため、力がかかると中空部が潰れて断面形状が偏平となり、浮力が低下したり、ねじれが生じたり、また強度にも劣る、という問題があった。
その問題点を解決するものとして、長手方向に所定の間隔で隔壁を設けつつ繊維中心部付近に中空室を形成し、この中空室内に空気又は空気より比重が軽いガスを充填したモノフィラメントからなる釣糸が提案されている(例えば特許文献1参照)。この釣糸は、中空室間の隔壁の作用により、単に中空部を設けた中空モノフィラメントよりも潰れや破れに対しても強く、浮力や強力の低下が少ない。
しかしながら、中空室の長さが長い場合は、やはり潰れやねじれが生じやすく、強度にも劣るものとなり、中空部を短くすると浮力が低下する。さらには、製造においてガスを吹き入れるため、真円性に劣ったり、長手方向に直径がばらついたりするという問題があり、製造が複雑で生産性にも問題があった。
そこで、それらの問題点を解決するものとして、熱可塑性ポリマーからなるモノフィラメントであって、フィラメントの横断面形状において、架橋部を介して2つ以上の中空部を有し、中空率1〜50%であることを特徴とする中空釣糸が提案された(例えば特許文献2参照)。この中空釣糸は、架橋部の作用により、それ以前の中空釣糸と比較して潰れやねじれが生じにくく、強度低下も比較的少ない。
特許第2956891号公報 特開2001−161237号公報
しかし、上記の架橋部を介して2つ以上の中空部を有する釣糸においても、さらに改良すべき点はある。例えば、繰り返し使用するうちに、外表面から中心部に向かって徐々に水分が浸透し、中空部に水分が浸入して浮力が低下するという問題がある。強度についても、さらなる向上が求められ、中空部を設けることによる強度低下をより少なくすることが望ましい。
そこで、本発明は、釣糸等に好適な、新規な中空糸を提供することを課題とする。
本発明者は、中空糸が釣糸として使用された場合における外表面からの水分の浸入による浮力低下の問題を解決すべく検討を重ねた結果、図1に示すような繊維断面形状において架橋部を介して2つ以上の中空部を有する従来の中空糸を改良して、例えば図1に示された中空部を繊維の直径方向において2つに分断する架橋部をさらに設けてなるような、図2に示すような繊維断面形状とすれば良いことを見出し、さらにその結果、上記浮力低下の問題が解決されるのみならず、強度低下も少なくなり、加えて驚くべきことに、おそらくは独特の中空部の構成がもたらす光の屈折ないし反射作用のためか、従来にない金属光沢を実現できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、
[1] 繊維横断面において互いに独立する複数の中空部を有する中空糸であって、該複数の中空部うちの少なくとも一部が、中心から略等しい距離に分布する複数の中空部からなる第1の中空部群と、前記第1の中空部群よりも中心寄りの略等しい距離に分布する複数の中空部からなる第2の中空部群とを構成していることを特徴とする中空糸、
[2] さらに中心部に1個の中空部を有する前項[1]に記載の中空糸、
[3] 第1の中空部群を構成する中空部の個数と、第2の中空部群を構成する中空部の個数とが等しい前項[1]又は[2]に記載の中空糸、
[4] 第2の中空部群を構成する中空部の個数が3〜16個である前項[1]〜[3]のいずれかに記載の中空糸、
[5] 全体の合計中空率が3〜40%である前項[1]〜[4]のいずれかに記載の中空糸、
[6] 第2の中空部群の合計中空率が0.3〜20%である前項[1]〜[5]のいずれかに記載の中空糸、
[7] ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群より選ばれる1の樹脂を主たる構成材料とする前項[1]〜[6]のいずれかに記載の中空糸、
[8] モノフィラメントである前項[1]〜[7]のいずれかに記載の中空糸、
[9] メタリック調の色調を呈する前項[1]〜[8]のいずれかに記載の中空糸、および
[10] 釣糸である前項[1]〜[9]のいずれかに記載の中空糸
に関する。
本発明の中空糸は、繊維横断面形状において複数の中空部が上記の特有の構成を有しているがために、繊維直径方向に中空部を分断する架橋部が存在し、例えば釣糸として繰り返し使用された際に外表面に近い場所に位置する中空部に水分が浸入した場合でも、上記架橋部を介して中心に近い部分に位置する中空部へは水分が浸入し難くなっており、結果として浮力の低下が抑制される。本発明の中空糸は、上記架橋部の作用により、中空部の潰れや糸の捩れが生じ難く、また、中空部を設けることによる繊維強度の低下が抑制され、中空率の割には直線強度に優れた中空糸が得られる。さらに、本発明の中空糸は、従来の金糸や銀糸の製造方法によらずに金属光沢のある色調を呈する糸とすることができ、様々なメタリックカラーの中空糸とすることもできる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の中空糸は、繊維横断面において互いに独立する中空部を有している。互いに独立するそれぞれの中空部は、繊維の長手方向において連続することが好ましい。中空部の構成等について以下では図面を用いて説明するが、図面はあくまでも本発明の実施態様を模式的に例示するに過ぎず、本発明がそれら図面に示される態様に限定されることを意味しない。また、模式図であるため、中空率等を正確に表わすものでもない。なお、以下において「繊維横断面」と言わず単に「断面」と言うときであっても、特に断らない限り繊維横断面を意味する。
図2は、断面において合計12個の中空部を有している。各中空部は断面の中心から放射状に配置されており、2つの群に分かれて配置されている。第1の中空部群は、他の中空部群よりも外周寄りに、それぞれ中心から略等しい距離に配置された複数(この図では6個)の中空部からなり、この第1の中空部群に属する中空部2を外側中空部と言う。第1の中空部群の内側すなわち中心寄りには、やはりそれぞれ中心から略等しい距離に配置された複数(この図では6個)の中空部が、第2の中空部群を構成して配置されている。この第2の中空部群に属する中空部3を内側中空部と言う。
各中空部間に介在し、各中空部を分断して互いに独立させている部分のことを架橋部という。本発明の中空糸においては、中心から放射状に配向し、外側中空部2同士間又は内側中空部3同士間に介在する架橋部4(この架橋部を径方向架橋部と言う)と、円周方向に配向し、外側中空部2と内側中空部3との間に介在する架橋部5(この架橋部を周方向架橋部と言う)が存在する。図1に示すような従来の中空糸の例では、径方向架橋部4のみが存在する。互いに独立するそれぞれの中空部が繊維の長手方向において連続するということは、架橋部が繊維の長手方向において連続し、中空部を互いに独立させる隔壁となることを意味する。
図3は本発明の中空糸の別の態様である、4個の外側中空部2と、4個の内側中空部3、合計8個の中空部を有する中空糸の断面を示す。図2、図3ともに、それぞれの外側中空部2に対応してその中心寄りに内側中空部3を有しており、外側中空部2の個数と内側中空部3の個数とが同数である例を示している。このように、第1の中空部群を構成する中空部の個数と、第2の中空部群を構成する中空部の個数とが等しい態様は、強度バランスを向上させたり繊維断面形状(外郭の形状)を芯円になるべく近い形状に安定させたりするうえで好ましい。ただし、本発明はそのような態様に限定されない。
図4は、本発明の中空糸の別の態様である、4個の外側中空部2と、4個の内側中空部3に加え、さらに中心部にも1個の中空部6(この中空部を中心中空部と言う)を有し、合計9個の中空部を有する中空糸の断面を示す。本発明の中空糸は、このように第1の中空部群と第2の中空部群に加えて、中心中空部6を有する態様であってもよい。上記1個の中空中心部の代わりに、中心付近に複数の中空部が存在する場合もありうる。
また、本発明の中空糸は、第2の中空部群のさらに中心寄りに、やはりそれぞれ中心から略等しい距離に配置された複数の中空部が配置されて、第3の中空部群ないしそれ以上の中空部群を構成している態様であっても構わない。
本発明の中空糸における中空部の個数としては、特に限定されないが、架橋部の数を多くして形状安定性(中空部の潰れ難さ等)の向上や強度の向上を図るとともに、中空部の個数が多すぎると製造が困難になることを考慮して、6〜33個程度が好ましい。第2の中空部群を構成する中空部の個数としては、3〜16個が好ましく、かつ、第1の中空部の個数と等しいことがより好ましい。第2の中空部の個数は、偶数であっても奇数であっても構わない。
本発明の中空糸は、繊維の横断面形状において、複数の中空部間に架橋部が存在することで強度を保持することができるとともに、中空部の潰れを防ぐことができる。しかも、複数の中空部が、複数の外側中空部からなる第1の中空部群と、複数の内側中空部からなる第2の中空部群に別れて構成され、周方向架橋部より中心側に位置する内側中空部には水分が浸入し難い構造になっており、釣糸とした場合の水分の浸入による浮力低下を抑制することができる。
また、中空部の形状は特に限定されないが、中空糸の形状安定性や強度を向上させるうえで、外側中空部同士で形状および断面積が互いに均一であることが好ましい。同様に、内側中空部同士で形状および断面積が互いに均一であることが好ましい。
また、図4に示すように中心中空部がある場合には、中心中空部の断面積があまり大きくならないようにすることが好ましい。
なお、従来の中空糸においても、図5に示すような中心中空部を有する態様が知られているが、この態様の中空糸で本発明と同じように釣糸とした場合の水分の浸入による浮力低下を抑制しようとする場合、中心中空部の断面積を大きく取る必要があり、形状安定性の低下や強度の低下を招き、また、本発明のようにメタリック調の色調を呈する中空糸とすることもできない。
本発明の中空糸では、繊維断面積(繊維の外郭の内側の全面積を意味する)に対する全ての中空部の断面積の合計の割合である、全体の合計中空率としては、素材の種類や目的を考慮して適宜設定されるが、好ましくは3〜40%、より好ましくは5〜20%である。全体の合計中空率をこの範囲とすることで、架橋部の存在によって繊維の強度、形状安定性を保持しながら、軽量で、釣糸の場合には水に浮く程度の比重を備える中空糸とすることが可能となる。
なお、上記に言う釣糸の場合の比重とは、次式で算出するような、中空率を考慮した計算比重を意味する。例えば、構成材料としてナイロン6樹脂を用いた場合は、ナイロン6樹脂の真比重がおおむね1.14であり、中空率が10〜35%であると、次式より計算比重は0.74〜1.03となる。
〔数1〕
計算比重=〔(100−中空率)/100〕×樹脂の真比重
本発明の中空糸が釣糸である場合、計算比重は1.1以下とすることが好ましい。計算比重が1.1を超えると、水面や海面に浮かびにくくなり、ふかせ釣りに好適に用いることが困難となりやすい。本発明においては、樹脂の種類、中空率を適宜選択することで、使用する釣り場の状況に応じた浮き具合(計算比重)の釣糸を種々得ることができる。
また、本発明において、繊維断面積に対する、第2の中空部群に属する内側中空部の断面積の合計の割合である、第2の中空部群の合計中空率としては、0.3〜20%が好ましく、0.5〜10%がより好ましい。第2の中空部群の合計中空率をこの範囲とすることで、釣糸とした場合の水分の浸入による浮力低下を効果的に抑制することができる。
なお、本発明における中空率とは、単糸の横断面形状における中空部の断面積の割合をいい、ニコン社製マイクロフォトS光学顕微鏡に顕微鏡写真撮影装置を取り付け、単糸断面の横断面形状を撮影し、全ての中空部を含めた単糸断面の全面積Aと、計算の対象とする中空部の合計面積Bを算出し、次式により求めたものであり、5本の単糸についての平均値を採用する。
〔数2〕
中空率(%)=〔(面積B)/(面積A)〕×100
すなわち、全体の合計中空率を求める場合、断面に存在する中空部の全ての面積の合計を面積Bとして算出し、第2の中空部群の合計中空率を求める場合、第2の中空部群に属する中空部の全ての面積の合計を面積Bとして算出することになる。
本発明の中空糸は、溶融防糸可能な合成繊維であることが好ましい。本発明の中空糸の主たる構成材料となる樹脂としては、特に限定されないが、例えばポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等の脂肪族ポリアミド及びその共重合体、芳香族ジアミンとジカルボン酸より形成される半芳香族ポリアミド及びその共重合体等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリン2,6ジカルボン酸、フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)エタン、4,4’−ジカルボキフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、テトラメチレングリコール等のジオール化合物とから重縮合されるポリエステル及びその共重合体等が挙げられる。
フッ素系樹脂としては、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリモノクロロトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン及びおよびその共重合体等が挙げられる。
本発明の中空糸が釣糸である場合、上記の中でも安価で優れた強力と耐久性を有しているため、ポリアミド系樹脂を主たる構成材料に用いることが好ましく、特に、ナイロン6及びその共重合体を使用することが好ましい。
ポリアミド系樹脂を用いる場合、樹脂の相対粘度(96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で測定した値)を2.5以上とすることが好ましい。相対粘度が2.5未満であると繊維強度が低下する傾向にある。なお、相対粘度の上限は特に限定されないが、紡糸、製糸性が低下しないようにするためには、4.8以下とすることが好ましい。
上記の各種樹脂には、本発明の効果を大きく損なわない範囲においてであれば、シリコーン等の耐摩耗剤や艶消剤、改質剤、制電剤、顔料等を含んでいてもよい。
本発明の中空糸の形態としては、モノフィラメントでもマルチフィラメントでも構わないが、モノフィラメントが好ましい。釣糸の場合、特にモノフィラメントが好ましい。中空糸の太さとしては、特に限定されないが、例えば釣糸の場合、直径100〜1000μm程度が好ましく、直径120〜800μm程度がより好ましい。
中空糸の輪郭の形状としては、真円ないし真円に近い断面形状が好ましいが、それらに限定されない。また、糸の長手方向に直径が一定である糸に限られず、直径が糸の長手方向にテーパー状に変化させた中空糸であっても構わない。
本発明の中空糸は、断面において径方向架橋部のみならず周方向架橋部を有するため、中空部の存在にも関わらず強度低下が抑制され、直線強度および/または結節強度に優れている。例えばポリアミド系樹脂を用いてモノフィラメントとした場合、直線強度としては、7.0〜9.5cN/dtex程度、さらには7.6〜9.5cN/dtex程度が好ましく、結節強度としては5.5〜8.0cN/dtex程度、さらには6.0〜8.0cN/dtex程度が好ましい。このような強度とすることで釣糸としてより好適に使用することができ、渓流等の流れが速い状況等、過酷な状況においても問題なく使用することができる。
本発明においては、上記した浮力低下の抑制、形状安定性や強度の向上に加えて、光学的な作用によると思われる特異な性質の中空糸を得ることができる。すなわち、本発明において、上記したような複数の外側中空部と複数の内側中空部を配置することにより、メタリック調の色調を呈する中空糸を得ることができる。メタリック調の色調を呈する糸としては、金や銀の金属皮膜で被覆した糸や、金属繊維を用いてなる糸が知られているが、本発明では金属皮膜や金属繊維を用いたり、メタリック調の顔料や染料を用いたりすることなしにメタリック調の色調を呈する糸とすることができる。ただし、本発明の中空糸は必ずしもメタリック調の色調を呈するものに限定されず、必要に応じて艶消し剤を使用するなどしてメタリック調でない色調にしても構わない。また、「金属皮膜や金属繊維を用いたり、メタリック調の顔料や染料を用いたりすることなしにメタリック調の色調を呈する」ということは、本発明の中空糸が金属や金属化合物を含有してはならないという意味ではない。
本発明の中空糸でメタリック調の色調が得られるメカニズムは明らかではないが、おそらくは本発明に特有な中空部の配置がもたらす光の屈折ないし乱反射によるものと思われる。このため、メタリック色でない通常の顔料ないし染料を用いるだけで様々なメタリック調の色調が得られ、例えば通常はピンクに着色するために用いられるピンク用の顔料を用いてメタリックピンクの中空糸を得ることができ、同様にグリーン用の顔料を用いてメタリックグリーンの中空糸を得ることができ、同様にグレー用の顔料を用いてメタリックシルバーの中空糸を得ることができ、同様にイエロー用の顔料を用いてメタリックゴールドの中空糸を得ることができる。このときの顔料の使用量は特に限定されず、通常用いられる量に準じて設定することができ、適宜増減することにより様々な色調を具現することができる。何ら顔料や染料を用いることなしにメタリック調に輝く中空糸を得ることさえできる。もちろん、複数種類の顔料もしくは染料を混合して用いることもできる。
このように、金属皮膜や金属繊維を用いずにメタリック調の色調の糸が得られた例は本発明者の知見では見当たらず、特に釣糸の分野では、カラフルな釣糸が求められていたにも関わらず、蛍光色の釣糸は存在してもメタリック調の釣糸は従来存在しなかった。
本発明の中空糸は、それ単独のみならず、さらに外周に樹脂コーティングされた樹脂コーティング糸として供してもよい。従来の樹脂コーティング糸では、浮力特性を良好なものとするために発泡剤を含む発泡性樹脂をコーティング樹脂として用いねばならない場合が多かったが、本発明の中空糸に樹脂コーティングを施す場合、中空糸の浮力特性が優れているので、特に発泡性の樹脂を用いずとも浮力特性に優れた樹脂コーティング糸とすることができるので、コーティング樹脂の選択の自由度が大きい。
上記樹脂コーティング糸における樹脂コーティング層の厚さは適宜設定可能であり、その厚さは糸の長さ方向に均一であってもよく、樹脂コーティング糸全体の太さがテーパー状に変化するように漸次厚くしてもよい。テーパー状に太さが変化する樹脂コーティング糸は、フライフィッシング用の釣糸に好適である。
本発明の中空糸は、紡糸口金のオリフィスの形状と配置を、得ようとする単糸の中空部の数、位置、中空率に応じて適宜変更すること以外は、従来の中空糸の製造方法と同様にして製造することができる。このような紡糸口金のオリフィスの形状と配置を適宜変更する製造法の応用自体は、当業者に容易である。
例えばモノフィラメントの場合の製造方法の一例を説明する。目的とする中空断面が得られるようにオリフィスの形状と配置が設計された紡糸口金を装着した溶融紡糸装置に熱可塑性樹脂を供給して紡糸したモノフィラメントを、液体中を通過させて冷却固化し、一旦巻き取った後又は巻き取ることなく液体又は気体中で加熱しながら延伸し、必要に応じて、弛緩熱処理を施す。
中空率を変更するには、オリフィスの形状を変更する、ポリマーの相対粘度を変更する、紡出後、冷却するまでの距離(エアーギャップ)を変更する、冷却用液体の温度を変更する方法等が有効である。
熱可塑性樹脂としてナイロン6を用いた場合の例についてさらに詳細に説明する。まず、溶融温度260〜280℃程度で溶融紡糸し、延伸工程においては、延伸点の移動等を起こさないように90〜95℃の温度で3.0〜4.0倍の第一段延伸を行う。続いて第一段延伸よりも高温の190〜240℃の温度で1.5〜2.0倍、全延伸倍率が5.5〜6.5倍となるように第二段目の延伸を行う。そして、温度190〜245℃の温度で0.8〜1.0倍となるように弛緩熱処理する。
本発明の中空糸は、特に釣糸に好適であるが、用途は限定されるものではなく、魚網や土木建築等の産業資材用途にも用いることができるほか、メタリック調の色調とすることができるので、その装飾性を生かした用途、例えば洋弓の弦、テニスもしくはバドミントン用ラケットのガットその他のスポーツ用品やアウトドア用品、スポーツ衣料やアウトドア衣料、車両や住宅のインテリア等にも適用できる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されない。また、実施例では釣糸に好適な中空糸を製造したが、本発明の中空糸は必ずしも釣糸に限定されない。なお、実施例中の各種の値の測定、評価は次のようにして行った。
〔糸質特性〕繊度、直線強度及び伸度、結節強度及び伸度はJIS 1013に準じて測定した。
〔中空率〕前記の方法で測定し、算出した。
〔計算比重〕前記の式で算出した。このとき、顔料を含む例において顔料は無視して計算した。
実施例1
相対粘度4.5のナイロン6/ナイロン66共重合樹脂チップ(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、品番:2030J)12.5kgに、エチレンビスステアリルアミドを0.15質量%添加し、通常のエクストルーダー型溶融紡糸装置にて、中空部の数が13個(外側中空部6個、内側中空部6個、中心中空部1個)となるような紡糸口金を用いて270℃の温度で溶融紡糸した。紡糸口金から押し出されたフィラメントを15℃の水で冷却後、引き続いてこの未延伸糸を95℃の湯浴中で3.25倍に延伸(第一段延伸)し、その後、195℃の熱風延伸炉で1.81倍に延伸(第二段延伸)し、その後200℃の熱風炉で0.9倍の弛緩熱処理を行った。
得られた中空糸(モノフィラメント)の断面形状は図6に示すようなものであり、繊度は678デシテックス、全体の合計中空率(全中空率)は20.0%、内側中空部すなわち第2の中空部群の合計中空率(中空率2)は6.0%であった。
実施例2〜4
繊度を変化させるために製造条件を下記表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行って、中空糸(モノフィラメント)を得た。
実施例5、6
共重合ナイロンのチップ12.5kgに対し、ピンク用の配合顔料12.0g(下記表2に示す組成の顔料)を添加したこと、および製糸条件を下記表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行って、中空糸(モノフィラメント)を得た。
実施例7
紡糸口金を取り替えたこと、および製糸条件を下記表4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行って、中空糸(モノフィラメント)を得た。ここで使用した紡糸口金において、孔の数や配置は実施例1で使用した口金と同様であり、中空部の数が13個(外側中空部6個、内側中空部6個、中心中空部1個)となるような紡糸口金であるが、オリフィスの開孔率が若干異なり、結果として得られる中空糸(モノフィラメント)の断面形状は図6に示すようなものであるが、中空率が若干異なる。
実施例8
共重合ナイロンのチップ12.5kgに対し、イエロー用の顔料10.0g(下記表3に示す顔料)を添加したこと以外は、実施例7と同じ操作を行って、中空糸(モノフィラメント)を得た。
実施例9
共重合ナイロンのチップ12.5kgに対し、グレー用の配合顔料1.25g(下記表3に示す組成の顔料)を添加したこと以外は、実施例7と同じ操作を行って、中空糸(モノフィラメント)を得た。
実施例10
配合顔料の添加量を2.5gとしたこと以外は、実施例9と同じ操作を行って、中空糸(モノフィラメント)を得た。
なお、実施例1〜6における製糸条件を下記表1に、実施例7〜10における製糸条件を下記表4に示す。ここで、ローラー速度については、ローラー1とローラー2の間で第一段延伸が、ローラー2とローラー3の間で第二段延伸が、ローラー3とローラー4の間で弛緩熱処理が行われる関係にある。また、実施例5、6および8〜10で使用した顔料の組成を下記表3に示す。また、実施例1〜6で得られた中空糸の物性を下記表2に、実施例7〜10で得られた中空糸の物性を下記表5に示す。
表が示す結果から明らかなように、実施例1〜10の中空糸は、十分な糸質物性を有し、比重が小さく、水面や海面上で長期にわたって浮くことができ、また真円性にも優れ、ねじれも生じることがなく、ふかせ釣り用の釣糸として好適であった。
また、日中の晴天下において目視したところ、実施例5および6の中空糸はメタリックピンクに輝く色調を呈し、実施例8の中空糸はメタリックゴールドに輝く色調を呈し、実施例9、10の中空糸はメタリックシルバーに輝く色調を呈した。着色のための顔料を使用しなかった実施例1〜4および7の中空糸も、メタリック調に輝いて見えた。
Figure 0004837584
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従来の中空糸の一例を示す横断面模式図である。 本発明の中空糸の一実施態様を示す横断面模式図である。 本発明の中空糸の他の実施態様を示す横断面模式図である。 本発明の中空糸の他の実施態様を示す横断面模式図である。 従来の中空糸の他の例を示す横断面模式図である。 本発明の中空糸の他の実施態様を示す横断面模式図である。
符号の説明
1 中空部
2 外側中空部
3 内側中空部
4 径方向架橋部
5 周方向架橋部
6 中心中空部

Claims (9)

  1. 繊維横断面において互いに独立する複数の中空部を有する中空釣糸であって、該複数の中空部のうちの少なくとも一部が、中心から略等しい距離に分布する複数の外側中空部からなる第1の中空部群と、前記第1の中空部群よりも中心寄りの略等しい距離に分布する複数の内側中空部からなる第2の中空部群とを構成し、各中空部を分断して互いに独立させるように各中空部間に架橋部が介在し、当該架橋部は、中心から放射状に配向して上記外側中空部同士間および内側中空部同士間に介在する径方向架橋部と、円周方向に配向して外側中空部と内側中空部との間に介在する周方向架橋部とを有することを特徴とする中空釣糸
  2. さらに中心部に1個の中空部を有する請求項1に記載の中空釣糸
  3. 第1の中空部群を構成する中空部の個数と、第2の中空部群を構成する中空部の個数とが等しい請求項1又は2に記載の中空釣糸
  4. 第2の中空部群を構成する中空部の個数が3〜16個である請求項1〜3のいずれかに記載の中空釣糸
  5. 全体の合計中空率が3〜40%である請求項1〜4のいずれかに記載の中空釣糸
  6. 第2の中空部群の合計中空率が0.3〜20%である請求項1〜5のいずれかに記載の中空釣糸
  7. ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群より選ばれる1の樹脂を主たる構成材料とする請求項1〜6のいずれかに記載の中空釣糸
  8. モノフィラメントである請求項1〜7のいずれかに記載の中空釣糸
  9. メタリック調の色調を呈する請求項1〜8のいずれかに記載の中空釣糸
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