JPWO2007074645A1 - 磁気記録媒体用基板および磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ディスクリートメディアに適した磁気記録媒体用基板であって、安定してデータの書き込みや読み出しが可能な磁気記録媒体を製造することができる磁気記録媒体用基板を提供する。樹脂製基板1の表面に同心円状の溝2を形成する。溝2の幅T2はトラック3の幅T1よりも広い。そのことにより、樹脂製基板1上に磁性層を積層した場合、隣り合うトラック3の上に形成された磁性層同士が接触することがなく、溝2に磁性層が埋まってしまう問題を回避することができる。その結果、溝2によってトラック3を物理的に分離することができ、データの書き込みと読み出しを安定して行うことができる磁気記録媒体を作製することができる。

Description

この発明は、磁気記録媒体用基板およびこの磁気記録媒体用基板を用いた磁気記録媒体に関し、特に、表面が樹脂により構成される非磁性の基板を用いた磁気記録媒体用基板およびこの磁気記録媒体用基板を用いた磁気記録媒体に関する。
ハードディスクドライブ装置(HDD)などの磁気記録装置の記録容量は大容量化される傾向にあり、記録方式として垂直記録方式が実用化されつつある。
この垂直記録方式は、磁気記録媒体の記録層面内に対して垂直方向に磁化させることによって記録する方式であり、高密度な記録が可能となる。しかしながら、垂直記録方式では、100Gbit/in以上の記録密度になると、磁気ヘッド側面から発生するサイドフリンジングによって、隣接するトラックへの書き込み動作が行われてしまい、記録不良や再生不良が生じてしまう問題がある。
このため、磁気記録媒体の円周方向に溝を形成し、トラック間をデータの書き込みが不能な非磁性領域(非記録領域)によって物理的に分離する、いわゆるディスクトラックリートメディア(以下、「DTメディア」と称する)が提案されている(例えば特許文献1、及び特許文献2)。このDTメディアによれば、トラック間に非磁性領域(非記録領域)が設けられているため、記録時に隣接するトラックに誤ってデータを書き込んでしまう問題や、再生時に隣接するトラックから誤ってデータを読み出してしまう問題や、記録ビット端部の磁化湾曲によって発生する信号ノイズに起因する出力低下の問題などを回避することができ、高密度記録が可能な磁気記録媒体に特有な問題を回避することができる。
特開平5−28488号公報 特開2005−293633号公報
しかしながら、従来のDTメディアには平板状の非磁性材料の基板が用いられ、DTメディアの製造においては、その非磁性材料の基板に軟磁性層や磁性層を積層し、磁性層をナノインプリント法、フォトリソグラフ法、電子描画法などの方法によってパターニングする必要がある。このようなパターニングの工程は複雑であり、大量に大面積の記録容量を形成する必要がある磁気記録媒体の製造プロセスにおいては大幅なコストアップに繋がる問題がある。
また、溝を一体成形により形成したプラスチック基板を用いたDTメディアも提案されているが、より安定したデータの書き込み及び読み出しが可能な磁気記録媒体が望まれている。
この発明は上記の問題を解決するものであり、DTメディアに適した磁気記録媒体用基板であって、複雑な工程が不要で簡易に製造することが可能な磁気記録媒体用基板を提供することを目的とする。さらに、安定してデータの書き込みや読み出しが可能な磁気記録媒体を製造することができる磁気記録媒体用基板を提供することを目的とする。また、この発明は、前記のような磁気記録媒体用基板を用いた磁気記録媒体を提供することをも目的とする。
この出願に係る発明者は、DTメディアに用いられる磁気記録媒体用基板に形成する溝の幅と表面記録ビットトラックを構成する凸部頂点の幅との関係に着目し、表面が樹脂により構成される非磁性の基板に同心円状の溝を形成し、さらに、溝の幅とトラックの幅を好適な関係で制御することで、基板上に磁性層を形成した場合に、隣り合うトラックの上に形成された磁性層同士が接触することを防止し、溝が磁性層で埋まることを防止することができることを見出した。その結果、この発明の磁気記録媒体用基板を用いることで、データの読み出しや書き込みを安定して行うことができる磁気記録媒体を作製することが可能となる。
この発明の第1の形態は、表面が樹脂により構成され、円盤状の形状を有する非磁性の母材を基板とし、樹脂により構成される表面に同心円状の溝が形成され、隣り合う溝の間隔の幅をT、溝の幅をTとしたとき、T/5 < T < 5Tとなることを特徴とする磁気記録媒体用基板である。
この発明の第2の形態は、第1の形態に係る磁気記録媒体用基板であって、溝の深さをdとしたとき、d/5 < T < 5dとなることを特徴とするものである。
この発明の第3の形態は、第1又は第2のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、溝の上部の幅をTとし、溝の底面の幅をTとしたとき、T≦T(ただし、T=0を含む)となることを特徴とするものである。
この発明の第4の形態は、第1又は第2のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、溝の幅は前記基板の表面から内部に向けて徐々に狭くなっていることを特徴とするものである。
この発明の第5の形態は、第1又は第2のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、溝の側面は基板の表面に対して直交する平面であることを特徴とするものである。
この発明の第6の形態は、第1から第4のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、溝の少なくとも1つの側面は、基板の表面に対して傾斜している平面であることを特徴とするものである。
この発明の第7の形態は、第6の形態に係る磁気記録媒体用基板であって、傾斜の角度は、45度から90度であることを特徴とするものである。
この発明の第8の形態は、第6又は第7のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、溝の側面と基板の表面との間に曲面が介在していることを特徴とするものである。
この発明の第9の形態は、第1から第4のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、溝の側面が曲面状であることを特徴とするものである。
この発明の第10の形態は、第9の形態に係る磁気記録媒体用基板であって、曲面状の側面は、凸面状の曲面であることを特徴とするものである。
この発明の第11の形態は、第9の形態に係る磁気記録媒体用基板であって、曲面状の側面は、凹面状の曲面であることを特徴とするものである。
この発明の第12の形態は、第1から第10のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、基板が搭載される磁気記録装置において、その磁気記録装置に設置されている磁気ヘッドの書き込み線幅をTWとしたとき、T/2 < TW < T+2Tとなることを特徴とするものである。
この発明の第13の形態は、第1から第12のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、同心円状の溝は、基板の円周方向の所定の位置で、所定の凹凸状のパターンによって分割されていることを特徴とするものである。
この発明の第14の形態は、第13の形態に係る磁気記録媒体用基板であって、溝及び凹凸状のパターンが基板の両面に形成されていることを特徴とするものである。
この発明の第15の形態は、第14の形態に係る磁気記録媒体用基板であって、基板の両面に形成されている溝及び凹凸状のパターンは、基板の厚さ方向の中心を軸として対称の位置に形成されていることを特徴とするものである。
この発明の第16の形態は、第14の形態に係る磁気記録媒体用基板であって、基板の両面に形成されている溝及び凹凸状のパターンの位置が一致することを特徴とするものである。
この発明の第17の形態は、第14の形態に係る磁気記録媒体用基板であって、基板の両面に形成されている溝及び凹凸状のパターンは、基板の厚さ方向の中心を軸として非対称の位置に形成されていることを特徴とするものである。
この発明の第18の形態は、第14の形態に係る磁気記録媒体用基板であって、基板の両面に形成されている溝及び凹凸状のパターンの位置が一致していないことを特徴とするものである。
この発明の第19の形態は、第1から第18のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、溝の間隔における表面粗さを表面粗さTRaとし、溝の側面における表面粗さを表面粗さSRaとし、溝の底面における表面粗さを表面粗さBRaとしたとき、TRa<SRa≦BRaとなることを特徴とするものである。
この発明の第20の形態は、第19の形態に係る磁気記録媒体用基板であって、TRa< 2nm、SRa< 10nm、BRa< 10nmとなることを特徴とするものである。
この発明の第21の形態は、第1から第20のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、溝の断面形状は、溝の中央を通る軸に対して非対称となっていることを特徴とするものである。
この発明の第22の形態は、第1から第21のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、基板の表面のうねり値Waが30Å以下であることを特徴とするものである。
この発明の第23の形態は、第1から第22のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、基板の表面の微小うねり値MWaが15Å以下であることを特徴とするものである。
この発明の第24の形態は、第1から第23のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、溝は、成形法によって形成されることを特徴とするものである。
この発明の第25の形態は、第1から第23のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基
板であって、溝は、パターニングによって形成されたことを特徴とするものである。
この発明の第26の形態は、第1の形態から第25のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、基板上に10nm以上、300nm以下の被覆層が形成されたことを特徴とするものである。
この発明の第27の形態は、第26の形態に係る磁気記録媒体用基板であって、被覆層の厚さをTcとし、溝の深さをdとしたとき、Tc<3dとなることを特徴とするものである。
この発明の第28の形態は、第1から第27のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、非磁性の母材は樹脂により構成されていることを特徴とするものである。
この発明の第29の形態は、第1から第27のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板であって、非磁性の母材はガラス、又は非磁性の金属材料で構成されていることを特徴とするものである。
この発明の第30の形態は、第1から第29のいずれかの形態に係る磁気記録媒体用基板に磁性層が積層されてなることを特徴とする磁気記録媒体である。
この発明によると、磁気記録媒体用基板上に磁性層を積層した場合に、溝が磁性層で埋まってしまうことを防止することができる。そのことにより、この発明に係る磁気記録媒体用基板を用いることで、データの読み出しや書き込みを安定して行うことができる磁気記録媒体を作製することが可能となる。
また、磁気記録媒体用基板に溝を形成することで、磁性層をナノインプリント法などの方法によってパターニングする必要がなく、従来の工程数よりも少ない工程数で磁気記録媒体を製造することが可能となる。
さらに、射出成形法などの成形法によって溝が形成された磁気記録媒体用基板を作製することができるため、型を作製して成形を制御することで、溝の形状を変えた磁気記録媒体用基板を容易に作製することができる。
この発明の実施形態に係る磁気記録媒体用基板の断面図である。 この発明の実施形態に係る磁気記録媒体用基板の断面図である。 変形例1に係る磁気記録媒体用基板の断面図である。 変形例1に係る磁気記録媒体用基板の断面図である。 変形例2に係る磁気記録媒体用基板の断面図である。 変形例3に係る磁気記録媒体用基板の断面図である。 変形例4に係る磁気記録媒体用基板の断面図である。
符号の説明
1、1A、1B、1C、1D、1E 樹脂製基板
2、2A、2B、2C 溝
3、3A、3B、3C トラック
4 磁性層
5 磁気ヘッド
この発明の実施形態に係る磁気記録媒体用基板について、母材が樹脂により構成されている磁気記録媒体用基板を例として図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2はこの発明の実施形態に係る磁気記録媒体用基板の断面図である。
樹脂製基板1は円盤状の形状を有し、中央に孔が形成されてハードディスクなどの磁気記録媒体の基板として用いられる。この樹脂製基板1がこの発明の磁気記録媒体用基板に相当する。そして、樹脂製基板1の表面には、同心円状に一定間隔ごとに溝が形成されている。
図1は樹脂製基板1の半径方向の断面図を示した図である。図1の断面図に示すように、樹脂製基板1の表面には一定間隔ごとに溝2が形成されている。溝2と溝2の間の部分にはトラック3が形成されている。つまり、溝2を設けないで樹脂製基板1の表面がそのまま残っている部分には、トラック3が形成されている。
ここで、トラック3の幅をTとし、溝2の幅をTとし、溝2の深さをdとする。この実施形態では、溝2の側面はトラック3の頂面(樹脂製基板1の表面)に対して垂直に形成され、溝2の幅Tは樹脂製基板1の深さ方向に対して一定であり、トラック3の幅Tも深さ方向に対して一定となっている。従って、溝2の上部の幅と溝2の底面の幅は
同じ幅になっている。
この実施形態に係る樹脂製基板1では、トラック3の幅Tと溝2の幅Tは、以下の式(1)の関係を満たしている。
式(1):T/5< T < 5T
以上のように、トラック3の幅Tを溝2の幅Tの5倍より狭くすることにより、樹脂製基板1の表面上に磁性層や被覆層を形成した場合に、溝2に磁性層や被覆層が埋まってしまうことを防止することができる。その結果、この実施形態に係る樹脂製基板1を用いると、データの読み出しや書き込みを安定して行うことができる磁気記録媒体を作製することが可能となる。
また、トラック3の幅Tを溝2の幅Tの5分の1より広くすることにより、記録面上に十分な記録トラック領域が確保でき、記録容量を低下させることなく、安定な磁気記録再生特性を持つ磁気記録媒体を作製することが可能となる。
この効果について図2を参照して説明する。図2に示すように、樹脂製基板1の表面上に磁性層4を形成した場合、トラック3上に磁性層4が形成されるとともに、溝2内にも磁性層4が形成される。トラックの幅が溝の幅の5倍よりも広いと、隣り合うトラック上の磁性層同士が接触してしまい、溝上を覆ってしまう場合がある。このように溝が覆われてしまうと、トラックを物理的に分離するという溝本来の機能が発揮されず、記録時に隣のトラックにデータを書き込んだり、再生時に隣のトラックからデータを読み込んだりするおそれがある。
これに対して、この実施形態に係る樹脂製基板1によると、トラック3の幅Tが溝2の幅Tの5倍より狭いため、図2に示すように、隣り合うトラック3上の磁性層4同士が接触するおそれがなく、溝2が磁性層などで埋まってしまうおそれもない。従って、溝2本来の機能が発揮され、トラック3を物理的に分離することが可能となる。その結果、この実施形態に係る樹脂製基板1を用いて磁気記録媒体を作製すると、データの読み出しや書き込みを安定して行うことが可能となる。
また、トラック3の幅Tを溝2の幅Tの5分の1より広くすることにより、記録面上に十分な記録トラック領域が確保でき、溝導入による実行記録面積の減少に伴う容量低下分を補い、トラックを物理的に分離するという溝本来の機能により達成された記録密度の向上効果が十分に発揮される。
例えば、トラック3の幅Tを、0.005μm〜5μmとし、溝2の幅Tを0.001μm〜25μmとすることが好ましく、この幅の範囲で、上記式(1)の関係を満たすように溝2を形成する。
さらに、トラック3の幅Tと溝2の深さdは、以下の式(2)の関係を満たしていることが好ましい。
式(2):d/5 < T < 5d
以上のように、トラック3の幅Tを溝2の深さdの5倍より狭くすることにより、樹脂製基板1の表面上に磁性層や被覆層を形成した場合に、溝2が磁性層や被覆層で埋まってしまうことがない。これにより、より安定してデータの書き込み及び読み出しを行うことが可能な磁気記録媒体を提供することができる。さらに、磁気ヘッドと溝2内に積層された磁性層との間の距離が長くなるため、溝2内に積層された磁性層に起因するノイズの影響を減少することが可能となる。
また、トラック3の幅Tを溝2の深さdの5分の1より広くすることにより、溝加工時における良好な生産性が確保でき、且つ、溝の深さに対し十分広いトラック幅を確保することで、強度的に安定し、信頼性の高い溝加工状態を達成することが可能となる。
例えば、溝の深さdを、0.001μm〜25μmとすることが好ましく、この深さの範囲で、上記式(2)の関係を満たすように溝2を形成する。
また、この実施形態に係る樹脂製基板1を用いた磁気記録媒体の磁気ヘッドの書き込み線幅をTWとしたとき、トラック3の幅Tと、溝2の幅Tは、以下の式(3)の関係を満たしていることが好ましい。
式(3):T/2 < TW < T+2T
なお、図1に示すように、磁気ヘッド5の書き込み線幅TWは、トラック幅方向に対応する磁気ヘッド5の磁極幅に相当する。
式(3)の関係を満たすことで、隣接するトラック3への書き込みを防止してデータの書き込みを安定して行うことができる磁気記録媒体を作製することが可能となる。
次に、樹脂製基板1の材料について説明する。樹脂製基板1には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は活性線硬化性樹脂の他、様々な樹脂を用いることができる。
例えば、樹脂製基板1には、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリカーボネイト、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)、環状ポリオレフィン樹脂、メタクリルスチレン樹脂(MS樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ABS樹脂、ポリエステル樹脂(PET樹脂、PBT樹脂など)、ポリオレフィン樹脂(PE樹脂、PP樹脂など)、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂(PES樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、又は、アクリル樹脂などを用いることができる。また、熱硬化性樹脂として、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂(BMC樹脂など)、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又は、ポリベンゾイミダゾール樹脂などを用いることができる。その他、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN樹脂)などを用いることができる。
また、活性線硬化性樹脂として、例えば、紫外線硬化性樹脂が用いられる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化性ポリオールアクリレート系樹脂、紫外線硬化性エポキシ樹脂、紫外線硬化性シリコン系樹脂、又は、紫外線硬化性アクリル樹脂などを挙げることができる。
この発明の目的を効果的に発現させるために、塗設された硬化前の層に活性線を照射することによって硬化するときに、光開始剤を用いて硬化反応を促進させることが好ましい。このとき光増感剤を併用しても良い。
また、空気中の酸素が上記硬化反応を抑制する場合は、酸素濃度を低下させる、または除去するために、例えば不活性ガス雰囲気下で活性線を照射することもできる。活性線としては、赤外線、可視光、紫外線などを適宜選択することができるが、特に紫外線を選択することが好ましいが、特に限定されるものではない。また、活性線の照射中、または前後に加熱によって硬化反応を強化させても良い。
また、樹脂製基板1には、液晶ポリマー、有機/無機ハイブリッド樹脂(例えば、高分子成分にシリコンを骨格として取り込んだもの)などを用いることができる。なお、上記に挙げた樹脂は樹脂製基板1に用いられる樹脂の一例であり、この発明に係る樹脂製基板がこれらの樹脂に限定されることはない。2種以上の樹脂を混合して樹脂製基板としても良く、また、別々の層として異なる成分を隣接させて基板としても良い。
樹脂製基板1の製造方法は、樹脂製基板1に対応した形状を有する金型を用いて、射出成形法、注型成形法、シート成形法、射出圧縮成形法、又は圧縮成形法などの成形法によって作製することができる。つまり、樹脂製基板1の溝2とトラック3に対応する形状を有する金型を用いて、射出成形法などによって樹脂製基板1を作製する。さらに、必要に応じて、成形した基板をカッティングし、打ち抜き、又はプレス成形を行って樹脂製基板1を作製しても良い。
このように、成形法によって樹脂製基板1に溝2を形成することができるため、磁気記録に必要な磁性層をナノインプリント法などによってパターニングする必要がなく、スパッタ法などで形成することができる。そのことにより、従来の工程数よりも少ない工程数で磁気記録媒体を製造することが可能となる。
また、上記射出成形法などにより樹脂製基板1を成形することで、樹脂製基板1の内径の寸法、外径の寸法、内周端部の形状、又は外周端部の形状の少なくとも1つを同時に形成することができる。つまり、樹脂製基板1の内径の寸法や外径の寸法に合わせて、射出成形法などに用いられる金型を作製し、その金型を用いることで、内径寸法や外径寸法が樹脂成形時に完成されることになる。また、樹脂製基板1の内周端部の形状や外周端部の形状に合わせて、金型を作製し、その金型を用いることで、内周端部の形状や外周端部の形状が樹脂成形時に形成されることになる。
また、成形法以外の方法によっても、この実施形態に係る樹脂製基板1を作製することができる。例えば、平板状の基板上にレジストを設け、溝2に対応したマスクによってレジストにパターンを形成し、エキシマレーザなどのレーザを照射することで基板に溝2を形成する。その後、基板上のレジストを剥離して樹脂製基板1とする。このようにパターニング工程によって樹脂製基板1を作製しても良い。
この樹脂製基板1を用いて磁気記録媒体を作製する場合、樹脂製基板1の表面上にスパッタリングなどによりCo系合金などの磁性層を形成して磁気記録媒体とする。また、樹脂製基板1の表面上に被覆層を形成し、その被覆層の上に磁性層を形成しても良い。この被覆層の厚さは、10nm〜300nmが好ましい。なお、被覆層の厚さをTcとしたとき、溝2の深さdとの関係が、Tc<3dを満たすことが好ましい。
被覆層には、金属層、セラミック層、磁性層、ガラス層、又は、無機層と有機層との複合層(ハイブリッド層)が用いられる。被覆層の具体的な成分として、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Ti(チタン)、P(リン)、Co(コバルト)、Si(シリコン)、Sn(錫)又はPd(パラジウム)などが含まれる。
被覆層は、電気めっき又は化学めっきなどのめっき法によって樹脂製基板1の表面上に形成することが可能である。その他、スパッタリング、真空蒸着、又はCVD法などによっても形成することが可能である。また、バーコート法、ディップコート(浸漬引き上げ)法、スピンコート法、スプレー法、又は印刷法などの塗布法も用いることができる。
また、高密度化技術として期待の大きい垂直磁気記録媒体においては、基板表面に対して垂直に磁性体を並べる必要があり、そのためには、磁性層と基板との間に軟磁性層を形成する必要がある。この軟磁性層の代表的な合金として、ニッケル−コバルト(Ni−Co)合金がある。被覆層としてNi−Co合金を用いることにより、垂直磁気記録媒体における軟磁性層としての機能も果たすことが可能となる。
また、母材としての樹脂は、極力、耐熱温度又はガラス転移温度Tgが高い方が望ましい。樹脂製基板1にはスパッタリングにより磁性層が形成されるため、耐熱温度又はガラス転移温度Tgは、そのスパッタリングにおける温度以上であることが望ましい。例えば、耐熱温度又はガラス転移温度Tgが200℃以上である樹脂を用いることが望ましい。
ガラス転移温度Tgが200℃以上の代表的な樹脂として、ポリエーテルスルホン樹脂(PES樹脂)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、BMC樹脂、又は、液晶ポリマーなどが挙げられる。より具体的には、ポリエーテルスルホン樹脂(PES樹脂)として、ユーデル(ソルベイアデバンストポリマーズ)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)として、ウルテム(日本GEプラスチック)、ポリアミドイミド樹脂として、トーロン(ソルベイアデバンストポリマーズ)、ポリイミド樹脂(熱可塑性)として、オーラム(三井化学)、ポリイミド(熱硬化性)として、ユーピレックス(宇部興産)、又は、ポリベンゾイミダゾール樹脂として、PBI/Celazole(クラリアントジャパン)が挙げられる。また、液晶ポリマーとして、スミカスーパーLCP(住友化学)、ポリエーテルエーテルケトンとして、ビクトレックス(ビクトレックスMC)が挙げられる。
また、樹脂製基板1として、吸湿による基板の寸法変化による磁気ヘッドとの位置ずれを防ぐために、吸湿性が少ない樹脂を用いることが望ましい。吸湿性の少ない樹脂の代表としては、ポリカーボネイトや環状ポリオレフィン樹脂がある。
また、トラック3の頂面の表面粗さを表面粗さTRaとし、溝2の側面における表面粗さを表面粗さSRaとし、溝2の底面における表面粗さを表面粗さBRaとした場合、これらの表面粗さは以下の条件を満たすことが好ましい。なお、表面粗さTRa、SRa及びBRaは、JIS B0601の規定による表面粗さの算術平均粗さRaである。
表面粗さTRa< 2nm、
表面粗さSRa< 10nm、
表面粗さBRa< 10nm
各表面粗さが上記の条件を満たすことにより、トラック面での良好な平滑性が確保され、良好な記録特性を得ることが可能となる。また、トラック以外の基板表面であって露出する表面が適度な平滑性を有することで、溝加工後に記録層又は被覆層処理が施された後でも、化学的に安定で信頼性の高い磁気記録媒体を提供することができる。
なお、表面粗さTRa、表面粗さSRa、及び表面粗さBRaは、以下の式(4)の関係を満たしていることが好ましい。
式(4):TRa < SRa ≦ BRa
式(4)の関係を満たすことで、良好な磁気特性を確保できるトラック面を確保できるとともに、極微細な溝加工に必要な高精度の金型を容易に作製することができる。さらに、溝加工時のパターン転写性が改善されることで、基板の生産性を向上させることが可能となる。
また、溝2は、樹脂製基板1の円周方向の所定の位置で、所定の凹凸状のパターンによって分割されていても良い。この凹凸状のパターンは、例えばサーボ領域が該当する。射出成形法などによって樹脂製基板1を作製することにより、溝2とサーボ領域に該当する凹凸状のパターンとが一体成形されるため、磁気記録媒体の製造工程を削減することが可能となる。
さらに、樹脂製基板1の表面の全体の(波長1mm以上の周波数成分で構成される)表面のうねり値Waが30Å以下であることが好ましく、(波長1μm以上、1mm以下の周波数成分で構成される)表面の微小うねり値MWaが15Å以下であることが好ましい。なお、表面うねりは、JIS B 0610−1987で規格されている。
なお、うねりは基板表面形状の一種で、粗さ成分よりも大きな周期を持つ形状因子に相当する。ここで用いているうねりWaは、波長1mm以上の周波数成分で構成される形状を意味する。また、うねりWaよりも小さいく、周期が波長1μm以上、1mm以下の周波数成分で構成さる形状は、微小うねりMWaと呼ばれ、うねりの上にその微小うねりが発生している。
「うねり(平面度)」は光学的な干渉(ニュ−トンリング)により測定され、基準平面と実際の平面のズレ量を干渉縞として計測する。微小うねりの高さは「Phase Shift Technology.Inc.」の多機能ディスク用干渉計(オプティフラット)を用いる場合が多い。測定原理は、ガラス基板の表面に白色光を照射し、位相の異なる参照光と測定光の干渉の強度変化を測定することで、表面の微妙な形状変化を測定する方法である。得られた測定データを1mm以上の周期をカットオフすることで微小うねりの高さと定義する場合が多い。
うねりWaが30Å以下で、微小うねりMWaが15Å以下の条件を満たすことにより、基板全体として良好な溝加工パターンが得られ、記録時及び再生時における良好な磁気特性を有する磁気記録媒体を提供することが可能となる。
また、以上の説明は、基板が単一の樹脂により構成されているものを例として行ったが、基板は単一の樹脂で構成されているものに限らず、金属やガラスなどの非磁性材料の表面を樹脂層で被覆することにより構成されるものでも良い。この場合、樹脂で被覆される非磁性材料としては、樹脂、金属、セラミックス、ガラス、ガラスセラミックス、又は、有機無機複合材など、基板として適用できる様々な素材を用いることができる。
なお、基板は単一の樹脂で構成されている方が、製造工程をより簡略化できるという効果があるため、好ましい。
次に、上記実施形態の変形例に係る磁気記録媒体用基板について図3から図7を参照して説明する。図3から図7は、変形例に係る磁気記録媒体用基板の断面図である。
(変形例1)
変形例1について図3及び図4を参照して説明する。図1に示す樹脂製基板1は片面のみに溝2を形成したが、両面に溝2を形成しても良い。例えば図3の断面図に示すように、樹脂製基板1Aの両面に溝2を形成する。両面の溝2は、樹脂製基板1Aの厚さ方向の中心を軸として、対称となる位置に形成されている。また、図4の断面図に示す樹脂製基板1Bのように、両面の溝2は、樹脂製基板1Bの厚さ方向の中心を軸として、非対称となる位置に形成されていても良い。
このように両面に溝を形成した場合であっても、上述した式(1)の関係を満たすことにより、十分な記録密度を有し、且つデータの読み出しや書き込みを安定して行うことができる磁気記録媒体を作製することが可能となり、さらに上述した式(2)の関係を満たすことにより、良好な生産性を確保できるとともに、さらに安定してデータの読み出しや書き込みを行うことが可能となる。
また、サーボ領域に該当する凹凸状のパターンを形成する場合は、両面に形成された凹
凸状のパターンが、樹脂製基板の厚さ方向の中心を軸として、対称又は非対称となる位置に形成されても良い。
(変形例2)
次に、変形例2について図5を参照して説明する。この変形例2に係る樹脂製基板1Cでは、溝2Aの側面がトラック3Aの頂面(樹脂製基板1Cの表面)に対して斜めに形成され、溝2Aの幅が、樹脂製基板1Cの表面から内部(深さ方向)に向けて徐々に狭くなっている。
ここで、トラック3Aの頂面の幅(最表面の幅)をTとし、溝2Aの上部の幅をTとし、溝2Aの底面の幅をTとし、溝2Aの深さをdとする。この変形例2においても、トラック3Aの頂面の幅Tと溝2Aの上部の幅Tは、上述した式(1)の関係を満たしている。そのことにより、樹脂製基板1Cの表面上に磁性層や被覆層を形成した場合に、溝2Aが磁性層や被覆層で埋まってしまうことがなく、データの読み出しや書き込みを安定して行うことができる磁気記録媒体を作製することが可能となる。
さらに、トラック3Aの頂面の幅Tと溝2Aの深さdは、上述した式(2)の関係を満たしていることが好ましい。そのことにより、データの読み出しや書き込みをより安定して行うことが可能となる。
さらにこの変形例2においては、溝2Aの上部の幅Tと溝2Aの底面の幅Tは、以下の式(5)の関係を満たしている。
式(5):T≦T
以上のように、上部の幅を溝2Aの底面の幅以上として、溝2Aの幅を、樹脂製基板1Cの表面から内部(深さ方向)に向けて同じ、又は徐々に狭くすることにより、金型を用いて射出成形を行う場合に、溝の形状の転写精度を向上させることが可能となる。
また、溝2Aの側面の傾斜角度は、45度〜90度であることが好ましい。傾斜角度を45度未満にすると、磁気的な分離効果が十分に発揮できず、傾斜角度が45度未満の基板を用いた磁気記録媒体では、本来の目的であるデータの読み出しや書き込みを安定して行うことが困難となる。また、傾斜角度が90度を超えると、溝加工工程における量産性が著しく低下し、安価であって良好な磁気特性を有する磁気記録媒体を提供することが困難となる。
なお、変形例1に係る樹脂製基板1A及び1Bと同様に、樹脂製基板1Cの両面に溝2Aを形成しても良い。両面の溝2Aは、樹脂製基板1Cの厚さ方向の中心を軸として、対称となる位置に形成しても良く、非対称となる位置に形成しても良い。
(変形例3)
次に、変形例3について図6を参照して説明する。この変形例3に係る樹脂製基板1Dは、溝2Bの側面が曲面状に形成され、トラック3Bの最表面の部分が先細り状になっている。このように溝2Bの側面を曲面状とすることで、樹脂製基板1Dの表面に被覆層や磁性層を形成した場合に、隣り合うトラック3B上の磁性層同士の接触を防止することができる。また、HDD搭載時において磁気ヘッドが何らかの要因で磁気記録媒体表面と接触した場合、溝のエッジ部分によって磁気ヘッドが受けるダメージを軽減する効果も得られる。溝における曲面状の側面については、片側のみを曲面状とした場合であっても、一定の効果が得られる。
また、曲面状の側面は凸面状の曲面であっても良く、凹面状の曲面であっても良い。
ここで、トラック3Bの頂面の幅(最表面の幅)をTとし、溝2Bの上部の幅をTとし、溝2Bの底面の幅をTとし、溝2Bの深さをdとする。この変形例3においても、トラック3Bの幅Tと溝2Bの上部の幅Tは、上述した式(1)の関係を満たしている。そのことにより、樹脂製基板1Dの表面上に磁性層や被覆層を形成した場合に、溝2Bが磁性層や被覆層で埋まってしまうことがなく、データの読み出しや書き込みを安定して行うことができる磁気記録媒体を作製することが可能となる。
さらに、トラック3Bの幅Tと溝2Bの深さdは、上述した式(2)の関係を満たしていることが好ましい。そのことにより、データの読み出しや書き込みをより安定して行うことが可能となる。
さらに、溝2Bの上部の幅Tと溝2Bの底面の幅Tは、上述した式(5)の関係を満たしていることが好ましい。そのことにより、金型を用いて射出成形を行う場合に、溝の形状の転写精度を向上させることが可能となる。
なお、変形例1に係る樹脂製基板1A及び1Bと同様に、樹脂製基板1Dの両面に溝2Bを形成しても良い。両面の溝2Bは、樹脂製基板1Dの厚さ方向の中心を軸として、対称となる位置に形成しても良く、非対称となる位置に形成しても良い。
(変形例4)
次に、変形例4について図7を参照して説明する。この変形例4に係る樹脂製基板1Eでは、溝2Cの断面の形状が、溝2Cの底面の中心を通る軸に対して非対称となっている。例えば、溝2Cの一方の側面は垂直に形成され、他方の側面が斜めに形成されていることで、溝2Cの断面は非対称の形状となっている。このように溝2Cの断面の形状を非対称とすることで、金型作製時において、比較的簡便な研削バイトなどの治工具を用いて容易に作製することができる。さらに、金型を用いて射出成形法による樹脂製基板1Eの成型時の離型性が向上し、生産が比較的容易になる。
また、溝2Cの幅は、樹脂製基板1Eの表面から内部(深さ方向)に向けて徐々に狭くなっている。
ここで、トラック3Cの頂面の幅(最表面の幅)をTとし、溝2Cの上部の幅をTとし、溝2Cの底面の幅をTとし、溝2Cの深さをdとする。この変形例4においても、トラック3Cの幅Tと溝2Cの上部の幅Tは、上述した式(1)の関係を満たしている。そのことにより、樹脂製基板1Eの表面上に磁性層や被覆層を形成した場合に、溝2Cが磁性層や被覆層で埋まってしまうことがなく、データの読み出しや書き込みを安定して行うことができる磁気記録媒体を作製することが可能となる。
さらに、トラック3Cの頂面の幅Tと溝2Cの深さdは、上述した式(2)の関係を満たしていることが好ましい。そのことにより、データの読み出しや書き込みをより安定して行うことが可能となる。
さらにこの変形例4においては、溝2Cの上部の幅Tと溝2Cの底面の幅Tは、上述した式(5)の関係を満たしていることが好ましい。そのことにより、金型を用いて射出成形を行う場合に、溝の形状の転写精度を向上させることが可能となる。
なお、変形例1に係る樹脂製基板1A及び1Bと同様に、樹脂製基板1Eの両面に溝2Cを形成しても良い。両面の溝2Cは、樹脂製基板1Eの厚さ方向の中心を軸として、対称となる位置に形成しても良く、非対称となる位置に形成しても良い。
[実施例]
次に、この発明の実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
この実施例1では、図1に示す樹脂製基板1の具体例について説明する。この実施例1では、図1に示すように樹脂製基板1の一方の表面に溝2を形成した。
(樹脂製基板1の成形)
基板の材料としてポリイミドを用い、射出成形により樹脂製基板1を作製した。ポリイミドとして、オーラム(三井化学社製)を用いた。この樹脂製基板1の寸法を以下に示す。
外径:1インチ(25.4[mm])
樹脂製基板1の厚さ:0.4[mm]
トラック3の幅T:0.1μm
溝2の幅T:0.05μm
溝2の深さd:0.025μm
トラック3の頂面の表面粗さ TRa:0.8[nm]
溝2の側面における表面粗さ SRa:1.2 [nm]
溝2の底面における表面粗さ BRa:1.5 [nm]
この実施例1では、トラック3の幅Tと溝2の幅Tは、式(1):T/5< T < 5Tの関係を満たしている。さらに、トラック3の幅Tと溝2の深さdは、式(2):d/5 < T < 5dの関係を満たしている。また、各面における表面粗さは、式(4):TRa < SRa ≦ BRa の関係を満たしている。
このように樹脂を用いて射出成形することで、簡便な方法によって溝が形成された樹脂製基板1を作製することができる。これにより、DTメディアの製造において、樹脂製基板に積層した軟磁性層や磁性層をナノインプリント法などの方法によってパターニングする必要がなくなる。このような複雑な工程が不要になるため、従来の工程よりも少ない工程で簡便に磁気記録媒体を製造することが可能となる。
(被覆層の形成)
上記溝2が形成された樹脂製基板1に対しスパッタリングを施すことにより、樹脂製基板1の表面に10[nm]のNi層を形成した。その後、さらに連続してスパッタリングを施すことにより、Ni層上にNiP合金層(以下、NiP層と称する)を形成した。このNiP層の厚さは、10[nm]となった。これらNi層とNiP層が、樹脂製基板1上に形成される被覆層に相当する。
被覆層を形成した後、被覆層上にスパッタリングによってCo系合金の磁性層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
磁性層の厚さ:80nm
(評価)
樹脂製基板1上に磁性層を形成した後、溝2内の磁性層や被覆層の状態を確認した。この実施例1では、隣り合うトラック3上の磁性層や被覆層同士が接触していないことが確認され、溝2が磁性層や被覆層によって埋まらないことが確認された。このように、式(1)の関係を満たすことにより、溝2によってトラック3を物理的に分離することができた。そして、この樹脂製基板1を用いることで、データの読み出しや書き込みを安定して行うことができる磁気記録媒体を作製することが可能となる。
なお、この実施例1では樹脂製基板1の材料としてポリイミドを用いたが、上記実施形態で挙げた他の樹脂を用いても同様の効果を奏することができる。また、被覆層をNiP層としたが、他の成分からなる層を積層しても同様の効果を奏することができる。
また、この実施例1では、樹脂製基板1の片面のみに溝2を形成した例について説明したが、変形例1及び変形例2のように両面に溝2を形成しても、この実施例1と同様に溝2が磁性層や被覆層によって埋まらないことが確認された。
(実施例2)
この実施例2では、実施例1と同様に図1に示す樹脂製基板1の具体例について説明する。この実施例2では、実施例1と同様に樹脂製基板1の一方の表面に溝2を形成した。この実施例2では、実施例1よりも溝2の幅T2を広くした。なお、この実施例2に係る樹脂製基板1では、実施例1と同じ樹脂(ポリイミド)を用いた。
(樹脂製基板1の寸法)
外径:1インチ(25.4[mm])
樹脂製基板1の厚さ:0.4[mm]
トラック3の幅T:0.03μm
溝2の幅T:0.1μm
溝2の深さd:0.05μm
トラック3の頂面の表面粗さ TRa:0.5[nm]
溝2の側面における表面粗さ SRa:1.0 [nm]
溝2の底面における表面粗さ BRa:2.0 [nm]
この実施例2では、トラック3の幅Tと溝2の幅Tは、式(1):T/5< T < 5Tの関係を満たしている。さらに、トラック3の幅Tと溝2の深さdは、式(2):d/5 < T < 5dの関係を満たしている。また、各面における表面粗さは、式(4):TRa < SRa ≦ BRa の関係を満たしている。
(被覆層の形成)
この実施例2においても、実施例1と同様に、樹脂製基板1上に被覆層としてNi層とNiP層を形成し、その被覆層上にスパッタリングによってCo系合金の磁性層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
磁性層の厚さ:100nm
(評価)
樹脂製基板1上に磁性層を形成した後、溝2内の磁性層や被覆層の状態を観察した。この実施例2では、実施例1と同様に、隣り合うトラック3上の磁性層や被覆層同士が接触していないことが確認され、溝2が磁性層や被覆層によって埋まらないことが確認された。
また、実施例1と同様に、樹脂製基板1の両面に溝2を形成した場合であっても、溝2が磁性層や被覆層によって埋まらないことが確認された。
(実施例3)
この実施例3では、実施例1と同様に図1に示す樹脂製基板1の具体例について説明する。この実施例3では、実施例1と同様に樹脂製基板1の一方の表面に溝2を形成した。この実施例3では、実施例1よりも溝2の深さdを深くした。なお、この実施例3に係る樹脂製基板1では、実施例1と同じ樹脂(ポリイミド)を用いた。
(樹脂製基板1の寸法)
外径:1インチ(25.4[mm])
樹脂製基板1の厚さ:0.4[mm]
トラック3の幅T:0.1μm
溝2の幅T:0.05μm
溝2の深さd:0.08μm
トラック3の頂面の表面粗さ TRa:1.0[nm]
溝2の側面における表面粗さ SRa:4.5 [nm]
溝2の底面における表面粗さ BRa:4.5 [nm]
この実施例3では、トラック3の幅Tと溝2の幅Tは、式(1):T/5< T < 5Tの関係を満たしている。さらに、トラック3の幅Tと溝2の深さdは、式(2):d/5 < T < 5dの関係を満たしている。また、各面における表面粗さは、式(4):TRa < SRa ≦ BRa の関係を満たしている。
(被覆層の形成)
この実施例3においても、実施例1と同様に、樹脂製基板1上に被覆層としてNi層とNiP層を形成した。それぞれの層の厚さは実施例1と同じである。そして、被覆層上にスパッタリングによってCo系合金の磁性層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
磁性層の厚さ:80nm
(評価)
樹脂製基板1上に磁性層を形成した後、溝2内の磁性層や被覆層の状態を観察した。この実施例3では、実施例1と同様に、隣り合うトラック3上の磁性層や被覆層同士が接触していないことが確認され、溝2が磁性層や被覆層によって埋まらないことが確認された。
また、実施例1と同様に、樹脂製基板1の両面に溝2を形成した場合であっても、溝2が磁性層や被覆層によって埋まらないことが確認された。
(実施例4)
この実施例4では、図5に示す樹脂製基板1C(変形例2)の具体例について説明する。この実施例4では、図5に示すように、樹脂製基板1Cの一方の表面に溝2Aを形成した。なお、この実施例4に係る樹脂製基板1Cでは、実施例1と同じ樹脂(ポリイミド)を用いた。
(樹脂製基板1Cの寸法)
外径:1インチ(25.4[mm])
樹脂製基板1Cの厚さ:0.4[mm]
トラック3Aの頂面(最表面)の幅T:0.025μm
溝2Aの上部の幅T:0.02μm
溝2Aの底面の幅T:0.015μm
溝2Aの深さd:0.08μm
トラック3Aの頂面の表面粗さ TRa:1.2[nm]
溝2の側面における表面粗さ SRa:3.0 [nm]
溝2の底面における表面粗さ BRa:9.0 [nm]
この実施例4では、トラック3Aの頂面(最表面)の幅Tと溝2の上部の幅Tは、式(1):T/5< T < 5Tの関係を満たしている。さらに、トラック3Aの頂面(最表面)の幅Tと溝2の深さdは、 式(2):d/5 < T < 5dの関係を満たしている。さらに、溝2Aの上部の幅Tと溝2の底面の幅Tは、式(5):幅T≦幅Tの関係を満たしている。また、各面における表面粗さは、式(4):TRa < SRa ≦ BRa の関係を満たしている。
(被覆層の形成)
この実施例4においても、実施例1と同様に、樹脂製基板1C上に被覆層としてNi層とNiP層を形成した。それぞれの層の厚さは実施例1と同じである。そして、被覆層上にスパッタリングによってCo系合金の磁性層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
磁性層の厚さ:200nm
(評価)
樹脂製基板1C上に磁性層を形成した後、溝2A内の磁性層や被覆層の状態を観察した。この実施例4では、実施例1と同様に、隣り合うトラック3A上の磁性層や被覆層同士が接触していないことが確認され、溝2Aが磁性層や被覆層によって埋まらないことが確認された。さらに、金型からの溝の形状の転写精度が向上した。このように、式(5)の関係を満たすことにより、溝の形状の転写精度を向上させることができた。
(実施例5)
この実施例5では、実施例4と同様に図5に示す樹脂製基板1Cの具体例について説明する。この実施例5では、実施例4と同様に樹脂製基板1Cの一方の表面に溝2Aを形成した。この実施例5では、実施例4よりも溝2Aの上部の幅T2を広くした。なお、この実施例5に係る樹脂製基板1Cでは、実施例1と同じ樹脂(ポリイミド)を用いた。
(樹脂製基板1Cの寸法)
外径:1インチ(25.4[mm])
樹脂製基板1Cの厚さ:0.4[mm]
トラック3Aの頂面(最表面)の幅T:0.025μm
溝2Aの上部の幅T:0.025μm
溝2Aの底面の幅T:0.015μm
溝2Aの深さd:0.02μm
トラック3Aの頂面の表面粗さTRa:0.8[nm]
溝2の側面における表面粗さ SRa:1.5 [nm]
溝2の底面における表面粗さ BRa:3.0 [nm]
この実施例5では、トラック3Aの頂面(最表面)の幅Tと溝2Aの上部の幅Tは、(1):T/5< T < 5Tの関係を満たしている。さらに、トラック3Aの頂面(最表面)の幅Tと溝2の深さdは、式(2):d/5 < T < 5dの関係を満たしている。さらに、溝2Aの上部の幅Tと溝2の底面の幅Tは、式(3):幅T≦幅Tの関係を満たしている。また、各面における表面粗さは、式(4):TRa < SRa ≦ BRa の関係を満たしている。
(被覆層の形成)
この実施例5においても、実施例1と同様に、樹脂製基板1C上に被覆層としてNi層とNiP層を形成した。それぞれの層の厚さは実施例1と同じである。そして、被覆層上にスパッタリングによってCo系合金の磁性層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
磁性層の厚さ:50nm
(評価)
樹脂製基板1C上に磁性層を形成した後、溝2A内の磁性層や被覆層の状態を観察した。この実施例5では、実施例1と同様に、隣り合うトラック3A上の磁性層や被覆層同士が接触していないことが確認され、溝2Aが磁性層や被覆層によって埋まらないことが確認された。さらに、金型からの溝の形状の転写精度が向上した。
(実施例6)
この実施例6では、図6に示す樹脂製基板1D(変形例3)の具体例について説明する。この実施例6では、図6に示すように、樹脂製基板1Dの一方の表面に溝2Bを形成し、溝2Bの側面を曲面状に形成した。これにより、トラック3Bの最表面の部分を先細り状にした。なお、この実施例6に係る樹脂製基板1Dでは、実施例1と同じ樹脂(ポリイミド)を用いた。
(樹脂製基板1Dの寸法)
外径:1インチ(25.4[mm])
樹脂製基板1Dの厚さ:0.4[mm]
トラック3Bの頂面(最表面)の幅T:0.05μm
溝2Aの上部の幅T:0.20μm
溝2Aの底面の幅T:0.10μm
溝2Aの深さd:0.08μm
トラック3Aの頂面の表面粗さ TRa:1.5[nm]
溝2の側面における表面粗さ SRa:9.0 [nm]
溝2の底面における表面粗さ BRa:9.0 [nm]
この実施例6では、トラック3Bの頂面(最表面)の幅Tと溝2Bの上部の幅Tは、式(1):T/5< T < 5Tの関係を満たしている。さらに、トラック3Aの頂面(最表面)の幅Tと溝2の深さdは、式(2):d/5 < T < 5dの関係を満たしている。さらに、溝2Bの上部の幅Tと溝2の底面の幅Tは、式(5):幅T≦幅Tの関係を満たしている。また、各面における表面粗さは、式(4):TRa < SRa ≦ BRa の関係を満たしている。
(被覆層の形成)
この実施例6においても、実施例1と同様に、樹脂製基板1D上に被覆層としてNi層とNiP層を形成した。それぞれの層の厚さは実施例1と同じである。そして、被覆層上にスパッタリングによってCo系合金の磁性層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
磁性層の厚さ:100nm
(評価)
樹脂製基板1D上に磁性層を形成した後、溝2B内の磁性層や被覆層の状態を確認した。この実施例6では、実施例1と同様に、隣り合うトラック3B上の磁性層や被覆層同士が接触していないことが確認され、溝2Bが磁性層や被覆層によって埋まらないことが確認された。溝2Bの側面を曲面状してトラック3Bの最表面の部分を先細り状にすることで、隣り合うトラック3B上の磁性層や被覆層同士の接触を防止することが可能となる。
(実施例7)
この実施例7では、図7に示す樹脂製基板1E(変形例4)の具体例について説明する。この実施例7では、図7に示すように、樹脂製基板1Eの一方の表面に溝2Cを形成した。なお、この実施例7に係る樹脂製基板1Eでは、実施例1と同じ樹脂(ポリイミド)を用いた。
(樹脂製基板1Eの寸法)
外径:1インチ(25.4[mm])
樹脂製基板1Eの厚さ:0.4[mm]
トラック3Cの頂面(最表面)の幅T:0.02μm
溝2Aの上部の幅T:0.015μm
溝2Aの底面の幅T:0.01μm
溝2Aの深さd:0.01μm
トラック3Aの頂面の表面粗さTRa:1.5[nm]
溝2の側面における表面粗さ SRa:2.5 [nm]
溝2の底面における表面粗さ BRa:5.0 [nm]
この実施例7では、トラック3Cの頂面(最表面)の幅Tと溝2Cの上部の幅Tは、式(1):T/5< T < 5Tの関係を満たしている。さらに、トラック3Aの頂面(最表面)の幅Tと溝2の深さdは、式(2):d/5 < T < 5dの関係を満たしている。また、各面における表面粗さは、式(4):TRa < SRa ≦ BRa の関係を満たしている。さらに、溝2Cの上部の幅Tと溝2Cの底面の幅Tは、式(5):幅T≦幅Tの関係を満たしている。また、溝2Cの断面形状が、溝2Cの底面の中心を通る軸に対して非対称となるように溝2Cを形成した。
(被覆層の形成)
この実施例7においても、実施例1と同様に、樹脂製基板1E上に被覆層としてNi層とNiP層を形成した。それぞれの層の厚さは実施例1と同じである。そして、被覆層上にスパッタリングによってCo系合金の磁性層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
磁性層の厚さ:100nm
(評価)
樹脂製基板1E上に磁性層を形成した後、溝2C内の磁性層や被覆層の状態を確認した。この実施例7では、実施例1と同様に、隣り合うトラック3C上の磁性層や被覆層同士が接触していないことが確認され、溝2Cが磁性層や被覆層によって埋まらないことが確認された。さらに、金型を用いた射出成形法による樹脂製基板1Eの成形が比較的容易になった。
(比較例)
次に、上記実施例1から実施例7に対する比較例について説明する。この比較例に係る樹脂製基板では、実施例1などと同じ樹脂(ポリイミド)を用いた。
(比較例に係る樹脂製基板の寸法)
外径:1インチ(25.4[mm])
樹脂製基板の厚さ:0.4[mm]
トラックの幅T:0.1μm
溝の幅T:0.01μm
溝の深さd:0.01μm
この比較例では、トラックの幅Tは溝の幅Tの5倍よりも広くなっている。また、トラックの幅Tは溝の深さdの5倍よりも広くなっている。
(被覆層の形成)
この比較例においても、実施例1などと同様に、樹脂製基板上に被覆層としてNi層とNiP層を形成した。それぞれの層の厚さは実施例1などと同じである。そして、研磨後、被覆層上にスパッタリングによってCo系合金の磁性層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
磁性層の厚さ:80nm
(評価)
樹脂製基板上に磁性層を形成した後、溝内の磁性層や被覆層の状態を確認した。この比較例では、隣り合うトラック上の磁性層や被覆層同士が接触していることが確認され、溝が磁性層や被覆層によって埋まっていることが確認された。このように、トラックの幅Tを溝の幅Tの5倍よりも広くすると、溝によってトラックを物理的に分離することが困難になる。従って、比較例の樹脂製基板を用いた磁気記録媒体では、データの読み出しや書き込みを安定して行うことが困難になる。
以上のように、この発明の実施例1から実施例7に係る樹脂製基板によると、溝に被覆層や磁性層が埋まってしまうことがないため、実施例の樹脂製基板を用いた磁気記録媒体によると、データの読み出しや書き込みを安定して行うことが可能となる。一方、比較例に係る樹脂製基板によると、溝に被膜層や磁性層が埋まってしまうため、比較例の樹脂製基板を用いた磁気記録媒体によると、データの読み出しや書き込みを安定して行うことが困難になる。従って、トラックの幅Tと溝の幅Tにおいて、「T/5< T < 5T」の関係が成立する樹脂製基板を用いることで、溝に磁性層や被覆層が埋まらず、データの書き込みや読み出しを安定して行うことが可能な磁気記録媒体を作製することができる。さらに、トラックの幅Tと溝の深さdにおいて「d/5 < T < 5d」の関係が成立する樹脂製基板を用いることで、データの読み出しや書き込みをさらに安定して行うことが可能な磁気記録媒体を作製することができる。
なお、実施例1から実施例7で説明した条件以外の樹脂製基板であっても、「T/5< T < 5T」の関係や「d/5 < T < 5d」の関係が成立することにより、実施例1から実施例7に係る樹脂性基板と同じ効果を奏することが確認された。
(実施例8、比較例)
書き込み線幅(TW)が0.1μmの磁気ヘッドを用いて、実施例1、2、3で作製した磁気記録媒体及び比較例で作製した磁気記録媒体にデータの書き込みを行った。この磁気ヘッドとこれらの磁気記録媒体の組み合わせは、いずれも、式(3) T/2 < TW < T+2Tを満たすものである。実施例1、2、3で作製した磁気記録媒体では記録特性が良好で安定した書き込みができたが、比較例で作製した磁気記録媒体ではノイズが大きくなり、記録特性が低下した。

Claims (30)

  1. 表面が樹脂により構成され、円盤状の形状を有する非磁性の母材を基板とし、前記樹脂により構成される表面に同心円状の溝が形成され、隣り合う溝の間隔の幅をT、前記溝の幅をTとしたとき、
    /5 < T < 5Tとなることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
  2. 前記溝の深さをdとしたとき、
    d/5 < T < 5dとなることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の磁気記録媒体用基板。
  3. 前記溝の上部の幅をTとし、前記溝の底面の幅をTとしたとき、T≦Tと(ただし、T=0を含む)なることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の磁気記録媒体用基板。
  4. 前記溝の幅は前記基板の表面から内部に向けて徐々に狭くなっていることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の磁気記録媒体用基板。
  5. 前記溝の側面は前記基板の表面に対して直交する平面であることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の磁気記録媒体用基板。
  6. 前記溝の少なくとも1つの側面は、前記基板の表面に対して傾斜している平面であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第4項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  7. 前記傾斜の角度は、45度から90度であることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の磁気記録媒体用基板。
  8. 前記溝の側面と前記基板の表面との間に曲面が介在していることを特徴とする請求の範囲第6項又は第7項に記載の磁気記録媒体用基板。
  9. 前記溝の側面が曲面状であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第4項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  10. 前記曲面状の側面は、凸面状の曲面であることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の磁気記録媒体用基板。
  11. 前記曲面状の側面は、凹面状の曲面であることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の磁気記録媒体用基板。
  12. 前記基板が搭載される磁気記録装置において、その磁気記録装置に設置されている磁気ヘッドの書き込み線幅をTWとしたとき、
    /2 < TW < T+2Tとなることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第11項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  13. 前記同心円状の溝は、前記基板の円周方向の所定の位置で、所定の凹凸状のパターンによって分割されていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第12項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  14. 前記溝及び前記凹凸状のパターンが前記基板の両面に形成されていることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の磁気記録媒体用基板。
  15. 前記基板の両面に形成されている溝及び凹凸状のパターンは、前記基板の厚さ方向の中心を軸として対称の位置に形成されていることを特徴とする請求の範囲第14項に記載の磁気記録媒体用基板。
  16. 前記基板の両面に形成されている溝及び凹凸状のパターンの位置が一致することを特徴とする請求の範囲第14項に記載の磁気記録媒体用基板。
  17. 前記基板の両面に形成されている溝及び凹凸状のパターンは、前記基板の厚さ方向の中心を軸として非対称の位置に形成されていることを特徴とする請求の範囲第14項に記載の磁気記録媒体用基板。
  18. 前記基板の両面に形成されている溝及び凹凸状のパターンの位置が一致していないことを特徴とする請求の範囲第14項に記載の磁気記録媒体用基板。
  19. 前記溝の間隔における表面粗さを表面粗さTRaとし、前記溝の側面における表面粗さを表面粗さSRaとし、前記溝の底面における表面粗さを表面粗さBRaとしたとき、
    TRa<SRa≦BRaとなることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第18項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  20. TRa< 2nm、SRa< 10nm、BRa< 10nmとなることを特徴とする請求の範囲第19項に記載の磁気記録媒体用基板。
  21. 前記溝の断面形状は、前記溝の中央を通る軸に対して非対称となっていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第20項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  22. 前記基板の表面のうねり値Waが30Å以下であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第21項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  23. 前記基板の表面の微小うねり値MWaが15Å以下であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第22項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  24. 前記溝は、成形法によって形成されることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第23項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  25. 前記溝は、パターニングによって形成されたことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第23項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  26. 前記基板上に10nm以上、300nm以下の被覆層が形成されたことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第25項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  27. 前記被覆層の厚さをTcとし、前記溝の深さをdをとしたとき、Tc<3dとなることを特徴とする請求の範囲第26項に記載の磁気記録媒体用基板。
  28. 前記非磁性の母材は樹脂により構成されていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第27項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  29. 前記非磁性の母材はガラス、又は非磁性の金属材料で構成されていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第27項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板。
  30. 請求の範囲第1項乃至第29項のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板に磁性層が積層されてなることを特徴とする磁気記録媒体。
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