JPWO2007037188A1 - 血管透過性亢進に起因する眼疾患の予防及び治療のための医薬 - Google Patents

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Abstract

血管透過性亢進に起因する眼疾患、例えば糖尿病性網膜症又は加齢黄斑変性の予防及び/又は治療のための医薬であって、オールトランスレチノイン酸又は4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸などのレチノイドを有効成分として含む医薬。

Description

本発明は、眼疾患の予防及び治療のための医薬に関する。より具体的には、RARαアゴニストなどのレチノイドを有効成分として含み、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症などの血管透過性亢進に起因する眼疾患の予防及び/又は治療のために有用な医薬に関するものである。
近年、日本での糖尿病患者数は600万人以上と言われ、患者数は増加の一途にある。この糖尿病の三大合併症の一つである糖尿病網膜症は後天的失明の第一原因であり、毎年約4000人がこれを原因として失明すると言われており、内科・眼科のみならず社会的にも大きな問題となっている。糖尿病性網膜症は、網膜毛細血管の透過性亢進、毛細血管閉塞、血管新生へと病態が進行し、最終的には失明にいたる網膜血管病変である。糖尿病性網膜症は糖尿病を発症してから徐々に進行し、糖尿病発症から10年乃至20年を経て発症する。
また、欧米では加齢黄斑変性(AMD)による失明の割合が第一位となっている。この疾患は近年本邦でも急激に増加しており、社会問題にもなっている。AMDは高齢者の眼の黄斑に生じる疾患であり、網膜色素上皮細胞・ブルッフ膜・脈絡膜血管の加齢変化を基盤として発症する。AMDは両眼に発症することも稀ではなく、また、特に滲出型のAMDは失明につながりやすく、いかなる治療も奏効しないことから、臨床的に大きな問題となっている。AMDの主要な病態は黄斑に生じる脈絡膜新生血管である。しかし、黄斑に病変が生じるという特殊性から従来のレーザー光凝固などの治療法を適用できない症例も多く、有効な治療法はない。
これらの主要失明原因となる眼底疾患の病態には、網膜及び脈絡膜の病的血管新生が大きく関与するが、それに先立つ初期変化として網膜毛細血管の透過性亢進が起きると考えられている。その血管の透過性亢進を予防できれば、糖尿病性網膜症や加齢黄斑変性などの病態の進行を予防及び/又は治療できるものと考えられる。
ところで、多細胞生物の上皮細胞は特殊な細胞間接着構造を発達させ、独立した内部環境を持つ閉鎖腔を構成している。例えば、心血管系は血管内皮細胞に囲まれた閉鎖腔であり、消化管では粘膜上皮細胞が身体の内外を隔絶している。それと同時に上皮細胞は内部環境を外部環境と隔絶するバリヤーを形成している。これらのバリヤーは血液組織関門(Blood-tissue barrier(BTB))と呼ばれ、中枢神経系や網膜、精巣などの特定の臓器を血液と隔絶する働きを有する。このような生体バリヤーの本体は、細胞と細胞の隙間(paracellular pathway)をシールするタイト結合からなっている。
タイト結合は、生体バリヤーとして個体の恒常性維持に重要な役割を果たしているため、タイト結合の機能障害は、浮腫、黄疸、下痢などの疾患病態と深く関連している(例えば、非特許文献1〜3参照)。しかしながら、タイト結合機能の調節機構の解明は現在十分とはいえず、ヒト組織を用いた解析の報告もごく少数である。従って、タイト結合の調節機構の解明とその臓器特異的な調節機構の研究は、疾病発症の制御に直結する重要な知見となる。
糖尿病網膜症や加齢黄斑変性をはじめとする眼疾患の多くは、病態初期から血液網膜関門(blood retinal barrier(BRB))のタイト結合機能が低下し、血管透過性が上昇していることが多い。網膜の血液循環には網膜循環と脈絡膜循環があり、それぞれにバリヤーが存在し、その本質は血管内皮細胞のタイト結合である。網膜循環と脈絡膜循環の両者によりBRBが形成され、網膜の恒常性が維持されている。網膜循環では毛細血管内皮細胞が内側血液脳関門(inner BRB(i-BRB))を形成している。特にi-BRBは網膜内の恒常性の維持に重要な役割を果たしているので、その破綻は網膜浮腫をはじめとするさまざまな眼病変を惹起し、糖尿病性網膜症や加齢黄斑変性の患者の視力低下や失明を招く。
糖尿病では、高血糖に伴うサイトカインの発現異常、代謝異常、血流動態異常が複雑に絡み合いさまざまな機能異常が起こっているが、最終的に網膜毛細血管の透過性を亢進させる原因は、網膜で産生される血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor (VEGF))である。VEGFは血管透過性因子(vascular permeability factor (VPF))とも呼ばれ、血管新生を促進するばかりでなく、強力な血管透過性亢進因子である。i-BRBは毛細血管細胞間に連続的にタイト結合が存在することにより毛細血管内皮細胞が緻密な細胞シートを形成し、それをグリア細胞が外側から取り囲む特徴的な組織学的構築を有している(図1)。このため、この生体ユニット内では、グリア細胞と血管内皮細胞からなる両者の機能的関連性の存在が想像される。実際、VEGFの発現は高血糖、糖代謝異常、サイトカインの発現異常、虚血、又は低酸素で誘導されることが広く知られているが、網膜におけるVEGF産生細胞は網膜のグリア細胞が主と考えられている。
もっとも、臨床的に明らかな網膜血管の内腔閉塞が生じる前からVEGFの発現上昇とそれによる血管の透過性亢進が起こっている。従って、グリア細胞の形質を修飾し、その機能を正常に保つことができれば、糖尿病性網膜症や加齢黄斑変性の初期変化である血管内皮細胞のバリヤー機能の低下による血管透過性亢進に対し、タイト結合機能を正常状態に回復させるという治療方法を確立することができ、これらの疾患に対して有効な治療方法を提供することができる。
これまで、本発明者らは、糖尿病網膜症等の眼疾患の血管透過性亢進という現象に着目し、血管内皮細胞のタイト結合の機能調節の解明のため、BRBと極めて類似した生体ユニットを形成している血液脳関門(blood brain barrier (BBB))を構成するブタ大脳皮質毛細血管内皮細胞と、グリア細胞に分類されるヒト脳アストロサイトとを用いて研究を進めてきた。本発明者らは、まず、ブタ脳血管内皮細胞の分離及び培養法を確立し、BBB構成血管内皮細胞のタイト結合機能がcAMPによって制御されていることを示した(非特許文献4)。ブタ脳血管内皮細胞にcAMPを作用させると、タイト結合バリヤー機能の指標である経上皮電気抵抗(transepithelial electrical resistance (TER))(バリヤー機能が高いほどTERが高くなる)が3〜4倍上昇した。また、グリア細胞から分泌される神経細胞に対し、生存維持作用を持つグリア細胞株由来神経栄養因子(glial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF))が、BBBを構成する脳血管内皮細胞のタイト結合のバリヤー機能を亢進することを見出した(非特許文献5)。さらに、BBBの成熟に伴って大脳皮質の毛細血管にGDNF受容体(GFRα1)が発現することを示し(非特許文献6)、網膜グリア細胞からもGDNFが分泌されていることを確認した(非特許文献7)。また、GDNFが網膜血管のバリヤー機能を亢進させる作用があることを明らかにした。
さらに、本発明者らは、糖尿病網膜症等の眼疾患の初期変化である網膜血管の透過性亢進が起こる機序として、AGE (advanced end glycation product)に着目し、AGEにより網膜グリア細胞でのVEGFの分泌が亢進する一方で、内因性のGDNFの発現が減少するという作業仮説を立て検討した(非特許文献8)。AGEは慢性的な高血糖によって非酵素的反応で合成される後期糖化終末産物であるが、その反応の性質上、単一の物質ではなく、多様なものが含まれていると考えられる。実際、糖尿病患者の血清に少なくとも5種類のAGEと、力ルボキシメチルリシン(carboxymethyl-lysine (CML))、力ルボキシエチルリシン(carboxyethyl-lysjne (CEL))が存在することが報告されている。ブタ脳血管内皮細胞を継代し、各種のAGEを作用させて、血管内皮細胞のバリヤー機能の指標であるTERを測定したが、いずれのAGEを作用させても、24時間後のTERはコントロールと有意差はなかった。
一方、ヒト脳アストロサイトに同様の処理をしたところ、グリセルアルデヒド(glyceraldehyde)を付加したAGE(AGE-2)がGDNFの発現を最も低下させ、VEGFの発現を最も亢進させた。AGE-2は、in vitroでグリア細胞でのVEGF発現を亢進させるが、AGE-2をラットの硝子体や腹腔内へ注入するとin vivoでも網膜グリア細胞を中心にVEGFの発現が亢進することが報告されている。また、ヒト糖尿病網膜におけるAGE-2とVEGFの免疫組織化学的な検索でも、AGE-2の沈着は網膜血管壁や網膜周囲のグリア細胞にみられ、その分布はVEGFタンパクの発現に類似しているとされており、AGE-2の標的細胞がグリア細胞であることを示唆している。
以上の研究から、糖尿病網膜症などの病的状態におけるBRBのタイト結合機能の低下による毛細血管透過性の亢准は、慢性的な高血糖状態で非酵素的に合成される数種類のAGEのなかで、主にAGE-2がBBBと言う血管内皮細胞とグリア細胞とからなる生体機能ユニット内でグリア細胞を標的に作用し、血管透過性を制御するGDNFとVEGFの発現を変化させた結果であることが判明している(非特許文献8)。
本発明者らは、核内受容体のリガンドであるレチノイン酸(retinoic acid (RA))(非特許文献9)のひとつであるオールトランスレチノイン酸(all-trans retinoic acid (atRA))が、RA特異的核内受容体であるレチノイドX受容体(retinoid X receptor(RXR))/レチノイン酸受容体(retinoic acid receptor(RAR))二量体を介してタイト結合の形成過程で必須であり、転写レベルの制御機能により上皮細胞極性を形成することを示した(非特許文献10)。しかしながら、非特許文献10は、網膜細胞とは異なる細胞に関する検討であり、内胚葉分化におけるF9細胞におけるタイト結合及びバリヤーをコードする遺伝子発現について検討したものである。また、非特許文献10はatRAが上皮細胞に直接作用することを示しているが、以下に説明するように、本発明の医薬は上皮細胞とグリア細胞とのパラクライン的な共同作用を通して関与する作用機序を有していることから、両者の作用機序は全く相違している。
また、本発明者らは、肺由来の血管内皮細胞にatRAを作用させると、血管のバリヤー機能が亢逸することも示した(非特許文献11)。腫瘍組織に対するRA投与により癌細胞から分泌されるVEGFの発現低下が起こり、結果的に腫瘍血管新生の阻害が観察される一方で、RAシグナルの遮断により胎生別における血管新生が障害される。この事実は、転写レベルでのRAシグナルが血管形成及び血管機能に重要な役割を有することを示唆している。従って、RAを介したシグナル伝達経路が血管内皮細胞に作用し、そのタイト結合機能と何らかの機能的関連性があることが推測される。
しかしながら、これまで、アストロサイトと血管内皮細胞の共培養系で、特定の化合物によるアストロサイトの遺伝子発現の変化がパラクライン的に作用して血管内皮細胞の透過性を変化させること、さらには、ストレプトゾトシンで化学的に誘導した糖尿病のモデルマウスにおいて、そのような特定の化合物が初期糖尿病罹患群及び中期糖尿病罹患群において有意に高血糖状態における血管透過性の亢進を抑制し、その結果、糖尿病網膜症等の予防治療剤として有効であることについては、全く検討されたことはなかった。
「血液臓器関門と疾患」, 森道夫編著, 病気と細胞内小器官, 文光堂, pp.182-194, 2002 「"すきま"の細胞生物学」−細胞間接着装置タイト結合とヒト疾患−, 札幌医学雑誌, 72, pp.1-7, 2003 Med. Electron Microsc.,36, pp.147-156, 2003 Exp. Cell Res.,290, pp.275-288, 2003 Biochem. Biophys. Res. Commun.,261, pp.108-112, 1999 Am. J. Physiol. Cell Physiol., 279, C361-368, 2000 Cell Struct. Funct.,25, 237-241, 2000 Biochem. Biophys. Res. Commun., 330, 361-366, 2005 FASEB J.,10, pp.940-954, 1996 Exp. Cell Res.,263, pp.163-172, 2001. Exp. Cell Res.,222, pp.269-274, 1996.
本発明の課題は、血管透過性亢進に起因する眼疾患、例えば糖尿病網膜症や加齢黄斑変性等の眼疾患の予防及び/又は治療のための医薬を提供することにある。
本発明者らは、ストレプトゾトシンで化学的に誘導した糖尿病のモデルマウスにRARαレセプターに作用するRARαアゴニストなどのレチノイドを投与すると、薬剤非投与群に比較して、初期糖尿病罹患群及び中期糖尿病罹患群において高血糖状態における血管透過性の亢進が有意に抑制されることを見出した。また、本発明者らは、レチノイドが血管透過性亢進に起因する眼疾患、例えば糖尿病網膜症や加齢黄斑変性等の眼疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として高い有効性を有していることを確認した。本発明は上記の知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明により、血管透過性亢進に起因する眼疾患の予防及び/又は治療のための医薬であって、レチノイドを有効成分として含む医薬が提供される。
上記の発明の好ましい態様によれば、血管透過性亢進に起因する眼疾患が糖尿病性網膜症又は加齢黄斑変性である上記の医薬が提供される。また、初期糖尿病又は中期糖尿病において糖尿病性網膜症の予防のために用いる上記の医薬;糖尿病性網膜症の前症状期において予防のために用いる上記の医薬が提供される。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、該レチノイドがオールトランスレチノイン酸である上記の医薬;該レチノイドが非天然型のレチノイドである上記の医薬;該レチノイドが芳香環と芳香族カルボン酸又はトロポロンとが連結基を介して結合した基本骨格を有するレチノイドである上記の医薬が提供される。
上記発明のさらに好ましい態様によれば、該レチノイドがレチノイン酸レセプター(RAR)・サブタイプα及びサブタイプβに結合するレチノイドである上記の医薬;該レチノイドがレチノイドXレセプターX(RXR)に結合するレチノイドである上記の医薬;該レチノイドが置換フェニル基と安息香酸又はトロポロンとが連結基を介して結合した基本骨格を有するレチノイドである上記の医薬;該レチノイドがAm80(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸)又はAm580(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルボキサミド] 安息香酸である上記の医薬;該レチノイドがジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピニル安息香酸を基本骨格とするレチノイドである上記の医薬;該レチノイドが4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5-ヘキサノ)ジベンゾ[b,f][1,4]-チアゼピン-11-イル]安息香酸である上記の医薬;及び、該レチノイドが4-[5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)ピロール-2-イル]安息香酸である上記の医薬が提供される。
別の観点からは、上記の医薬の製造のための上記レチノイドの使用、及び血管透過性亢進に起因する眼疾患、好ましくは糖尿病性網膜症又は加齢黄斑変性の予防及び/又は治療方法であって、上記のレチノイドの有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が本発明により提供される。
毛細血管とグリア細胞からなる生体機能ユニットを示した概略図である。 ヒトグリオーマ細胞におけるatRA処理によるGDNFの発現を示した図である。 血管内皮細胞とアストロサイトとの共培養系を使用するパラクライン的な作用を測定するための装置の概要を示した図である。 オールトランスレチノイン酸(atRA)による血管内皮細胞のバリア機能の修飾作用を説明した図である。 本発明の化合物がatRAと同様にバリヤー機能に対して機能的であることを示した図である。 本発明の化合物によるGDNFの発現亢進を示した図である。 atRA及びAm580がAGE-2によるGDNFの発現減少を抑制することを示した図である。 atRAにより修飾を受けたアストロサイト由来のGDNFが血管内皮細胞のバリア機能を変化させたことを示した図である。 糖尿病モデルマウスにおける本発明の化合物の作用を示した図である。
本明細書において、レチノイドとはオールトランスレチノイン酸(all-trans retinoic acid (atRA))または9-シス-レチノイン酸が生理作用を発現するために必要な受容体に結合してレチノイン酸に類似する作用又はその一部の作用を発揮する化合物のことであり、少なくとも1種以上のレチノイド様作用、例えば、細胞分化作用、細胞増殖促進作用、及び生命維持作用などの1種以上の作用を有している化合物を意味している。レチノイドであるか否かは、H. de The, A. Dejean: 「Retinoids: 10 years on.」, Basel, Karger, 1991, pp.2-9に記載された方法により容易に判定できる。
また、レチノイドは一般的にレチノイン酸レセプター(RAR)に結合する性質を有しており、場合によりRARとともにRXRに結合する性質を有しているが、本発明の医薬の有効成分として用いられるレチノイドはRARのサブタイプαに結合してアゴニスト活性を示すものであることが好ましい。RARαアゴニストであるか否かの判定については、レチノイン酸レセプター・サブタイプのアゴニストについても上記文献記載の方法により容易に確認することができる。
本発明の医薬の有効成分としては、天然型レチノイド又は非天然型のレチノイドのいずれを用いてもよいが、好ましくは天然型レチノイドのうちオールトランスレチノイン酸、または非天然型のレチノイドを用いることができる。非天然型レチノイドとしては、例えば、芳香環と芳香族カルボン酸又はトロポロンとが連結基を介して結合した基本骨格を有するレチノイドを用いることができる。
より具体的には、非天然型のレチノイドとして、下記の一般式:B−X−A(式中、Bは置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Xは連結基を示し、Aは置換基を有していてもよいカルボン酸置換芳香族基又はトロポロニル基を示す)で表されるレチノイドを用いることができる。
Bで表される芳香族基としては置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基の種類、個数、及び置換位置は特に限定されない。フェニル基上の置換基としては、例えば、低級アルキル基を用いることができる(本明細書において低級とは炭素数1ないし6個程度、好ましくは炭素数1ないし4個を意味する)。低級アルキル基としては直鎖又は分枝鎖のアルキル基が好ましく、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基などを挙げることができる。また、フェニル基上の置換基として、例えば、メトキシ基などの低級アルコキシ基、ハロゲン原子(ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよい)、例えばトリメチルシリル基などの低級アルキル置換シリル基などを挙げることができる。フェニル基としては、例えば、2ないし4個の低級アルキル基で置換されたフェニル基、あるいは1又は2個のトリ低級アルキルシリル基で置換されたフェニル基などが好ましく、2ないし4個のアルキル基で置換されたフェニル基、又は2個のトリメチルシリル基で置換されたフェニル基などがより好ましい。
フェニル基上に置換する2個の低級アルキル基が隣接する場合には、それらの2つの低級アルキル基は一緒になってそれらが結合するフェニル基の環構成炭素原子とともに5員環又は6員環を1個又は2個、好ましくは1個形成してもよい。このようにして形成される環は飽和でも不飽和でもよく、環上には1又は2個以上の低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基などが置換していてもよい。上記の形成された環上には、好ましくは2〜4個のメチル基、さらに好ましくは4個のメチル基が置換していてもよい。例えば、フェニル環上に置換する2個の隣接する低級アルキル基が一緒になって5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン環や5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン環などが形成されることが好ましい。Bで表される芳香族基としては、芳香族複素環基を用いてもよい。そのような例として、Bが置換基を有していてもよいベンゾフラニル基、好ましくはベンゾルフラン-2-イル基、特に好ましくはBが4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル基であるレチノイドを例示することができる。
Aで表されるカルボン酸置換芳香族基としてはカルボン酸置換フェニル基又はカルボン酸置換複素環基などを用いることができるが、4-カルボキシフェニル基が好ましい。Aが示すカルボン酸置換複素環基を構成する複素環カルボン酸の例として、例えばピリミジン-5-カルボン酸などを挙げることができる。また、Aで表されるトロポロニル基としてはトロポロン-5-イル基が好ましい。これらのカルボン酸置換芳香族基またはトロポロニル基の環上には1以上の他の置換基が存在していてもよい。
Xで表される連結基の種類は特に限定されないが、例えば、-NHCO-、-CONH-、-N(RA)-(RAは低級アルキル基、例えばシクロプロピルメチル基などを示す)、又は-C(RB)(RC)-(RB及びRCはそれぞれ独立に水素原子又は低級アルキル基などを示す)などを例示することができる。また、Xが2価の芳香族基であってもよい。例えば、Xがピロールジイル基である場合などを挙げることができる。さらに、Xで表される連結基とBで表される芳香族基とが結合して環構造を形成してもよい。そのような例として、B−X−Aで表されるレチノイドの基本骨格がジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピニル安息香酸又はジベンゾ[b,f][1,4]ジアゼピニル安息香酸となる場合を挙げることができる。なお、本明細書において「基本骨格」という用語は1又は2以上の任意の置換基が結合するための主たる化学構造を意味する。
好ましいレチノイドとして、天然型レチノイン酸のオールトランスレチノイン酸及び、非天然型レチノイド、例えば、フェニル置換カルバモイル安息香酸又はフェニル置換カルボキサミド安息香酸を基本骨格とするレチノイドを用いることができる。フェニル置換カルバモイル安息香酸又はフェニル置換カルボキサミド安息香酸を基本骨格とするレチノイドは種々知られている。フェニル置換カルバモイル安息香酸を基本骨格とするレチノイドの代表例としてAm80(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸), Hashimoto, Y., Cell Struct. Funct., 16, pp.113-123, 1991; Hashimoto, Y., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 166, pp.1300-1307, 1990を参照)、フェニル置換カルボキサミド安息香酸を基本骨格とするレチノイドの代表例としてTac101(4-[(3,5-ビストリメチルシリルフェニル)カルボキサミド]安息香酸, J. Med. Chem., 33, pp.1430-1437, 1990)を挙げることができる。
好ましいレチノイドとしては、例えば、下記の一般式(I):
〔式中、R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、又は低級アルキル置換シリル基を示し、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち隣接するいずれか2つの基が低級アルキル基である場合には、それらが一緒になってそれらが結合するベンゼン環上の炭素原子とともに5員環又は6員環を形成してもよく(該環は1又は2以上のアルキル基を有していてもよい)、X1は-CONH-又は-NHCO-を示す〕で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(I) において、R1、R2、R3、R4、及びR5が示す低級アルキル基としては、炭素数1ないし6個程度、好ましくは炭素数1ないし4個の直鎖又は分枝鎖のアルキル基を用いることができる。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基などを用いることができる。上記の低級アルキル基上には1個又は2個以上の任意の置換基が存在していてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子などを例示することができる。R1、R2、R3、R4、及びR5が示す低級アルキル置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基などを挙げることができる。
R1、R2、R3、R4、及びR5からなる群から選ばれる隣接する2つの低級アルキル基が一緒になって、それらが結合するベンゼン環上の炭素原子とともに5員環又は6員環を1個又は2個、好ましくは1個形成してもよい。このようにして形成される環は飽和、部分飽和、又は芳香族のいずれであってもよく、環上には1又は2以上のアルキル基を有していてもよい。環上に置換可能なアルキル基としては、炭素数1ないし6個程度、好ましくは炭素数1ないし4個の直鎖又は分枝鎖のアルキル基を用いることができる。例えば、メチル基、エチル基などを用いることができ、好ましくは2〜4個のメチル基、さらに好ましくは4個のメチル基が置換していてもよい。例えば、R2及びR3が置換するベンゼン環とR2及びR3とにより、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン環や5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン環などが形成されることが好ましい。
他の好ましいレチノイドとしては、例えば、B−X−Aで表されるレチノイドの基本骨格がジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピニル安息香酸又はジベンゾ[b,f][1,4]ジアゼピニル安息香酸であるレチノイドを挙げることができる。このレチノイドの一例は、例えば、特開平10-59951号公報に記載されている。このようなレチノイドの特に好ましい例として、例えば、HX630(4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5-ヘキサノ)ジベンゾ[b,f][1,4]-チアゼピン-11-イル]安息香酸)を挙げることができる。また、Xが-N(RA)-であり、Bが芳香族複素環カルボン酸であるレチノイドとしては、例えば、2-[2-(N-5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル-N-シクロプロピルメチル)アミノ]ピリミジン-5-カルボン酸を挙げることができる。また、Xが2価の芳香族基であるレチノイドとしては、例えば、4-[5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)ピロール-2-イル]安息香酸を挙げることができる。Aがトロポロニル基である化合物としては、例えば、5-[[5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル]カルボキサミド]トロポロンなどを挙げることができる。
特に好ましいレチノイドとして、Am80(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸)又はAm580(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸)が挙げられる。
本発明の医薬の有効成分としては、上記のレチノイドの塩を用いてもよい。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、若しくはカルシウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩若しくはエタノールアミン塩などの有機アミン塩などの生理学的に許容される塩を本発明の医薬の有効成分として用いることができる。本発明の医薬の有効成分としては、上記のレチノイドのプロドラッグを用いてもよい。プロドラッグとは、哺乳類動物に経口的又は非経口的に投与した後に生体内、好ましくは血中で加水分解などの変化を受けてレチノイド又はその塩を生成する化合物又はその塩のことである。例えば、カルボキシル基、アミノ基、または水酸基などを有する薬剤をプロドラッグ化する手段は多数知られており、当業者は適宜の手段を選択可能である。レチノイド又はその塩のプロドラッグの種類は特に限定されないが、例えば、レチノイドがカルボキシル基を有する場合には、該カルボキシル基をアルコキシカルボニル基に変換したプロドラッグが例示される。好ましい例としては、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基などのエステル化合物が挙げられる。
上記のレチノイドは、置換基の種類に応じて1個または2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、これらの不斉炭素に基づく任意の光学異性体、光学異性体の任意の混合物、ラセミ体、2個以上の不斉炭素に基づくジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の任意の混合物などは、いずれも本発明の医薬の有効成分として利用可能である。さらに、二重結合のシス又はトランス結合に基づく幾何異性体、及び幾何異性体の任意の混合物や、遊離化合物又は塩の形態の化合物の任意の水和物又は溶媒和物も本発明の医薬の有効成分として用いることができる。
本発明の医薬は、血管透過性亢進に起因する眼疾患の予防及び/又は治療のために用いることができる。血管透過性亢進に起因する代表的な眼疾患としては、糖尿病性網膜症や加齢黄斑変性症が挙げられる。本発明の医薬は、これらの疾患における血管透過性亢進を抑制することにより疾患の発症を予防し、及び/又は疾患の症状を軽快ないし緩解し、あるいは症状の進行を抑制することができる。
本発明の医薬は、上記のレチノイド及びその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からなる群から選ばれる物質の1種または2種以上を有効成分として含んでいる。2種以上の異なるレチノイドを組み合わせて投与することにより好ましい有効性が得られることがある。本発明の医薬としては上記の物質それ自体を投与してもよいが、好ましくは、当業者に周知の方法によって製造可能な経口用あるいは非経口用の医薬組成物として投与することができる。
経口投与に適する医薬用組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤、散剤、液剤、及びシロップ剤等を挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、軟膏剤、クリーム剤、眼軟膏剤、及び貼付剤等を挙げることができる。2種以上の医薬組成物を組み合わせて用いることもできる。本発明の医薬の好ましい形態として経口投与用の医薬組成物のほか、点眼剤又は眼内注射剤などの非経口投与用の医薬組成物を挙げることができる。
上記の医薬組成物は、薬理学的及び製剤学的に許容しうる1種又は2種以上の製剤用添加物を加えて製造することができる。製剤用添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を挙げることができるがこれらに限定されることはない。
例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの経口投与用医薬組成物の製造には、乳糖や結晶セルロース、デンプン等の賦形剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、力ルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコン樹脂等のコーティング剤などを必要に応じて用いることができる。点眼剤の製造には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、濃グリセリン等の等張化剤、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸、モノエタノールアミン等の緩衝化剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等の安定化剤、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸エステル等の防腐剤、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤、希塩酸、水酸化ナトリウム等のpH調整剤などを必要に応じて用いることができる。点眼剤のpHは特に限定されないが、眼科用製剤に許容される範囲内として例えば4〜8の範囲が好ましい。
本発明の医薬の投与量は特に限定されず、患者の症状、年齢、体重などの条件や投与方法及び有効成分の種類などに応じて適宜選択できる。例えば、経口投与の場合には1日あたり0.01〜1000 mg、好ましくは0.1〜100 mgを1回又は数回に分けて投与すればよい。点眼などの局所投与の場合には、例えば0.0001〜5質量%、好ましくは、0.001〜2質量%程度の濃度の製剤を1日1回〜数回局所投与すればよい。もっとも、上記の投与量は例示のためのものであり、適宜増減することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:GDNFのオールトランスレチノイン酸による調節制御
一般にアストロサイトのin vitroの研究系において、使用細胞の選択は重要な問題である。ヒトの脳から単離されたアストロサイトは、米国の細胞バンクあるいは研究会社経由で入手することは可能であるが、よく分化した形質を持つ神経系細胞の初代培養という性格上、細胞増殖は遅く、遺伝子発現等の解析には不適格である。そこで、本発明者らは、アストロサイトへの分化マーカーとして知られるGFAP(glial fibrillary acidic protein)が陽性であり、かつCell lineとして安定した性格を有するヒトグリオーマ細胞であるU373MG細胞を用いて実験を行った。U373MG細胞は、市場において容易に入手可能である。
U373MG細胞を比較的高密度に培養し、10 nM及び100 nMのオールトランスレチノイン酸(atRA)で処理し、細胞よりmRNAを抽出して定量的RT-PCRを実施した後、サザンブロット法にて遺伝子発現の変化を解析及び定量化した。逆転写反応は、Invitrogen製のキットを用い、メーカーの指定に従い試薬を調製し、42℃で30分間の反応を行ない、96℃で5分間の逆転写酵素不活化反応の後にPCRに用いた。PCR反応は、TaKaRa製の各試薬を、メーカーの指定に従い混合して調製し、以下の反応を行なった。
1)94℃、30秒
2)94℃、15秒
3)52℃、15秒
4)72℃、30秒
5)2)から4)の反応を32回繰り返し
6)72℃、7分
この最終反応産物をサザンブロット法に使用した。結果を図2に示す。
図2は3時間又は24時間後の遺伝子発現の変化を示しているが、オールトランスレチノイン酸(atRA)の濃度が高くなるに従って、GDNF mRNAレベルの発現が上昇していることが容易に理解される。この発現上昇は、3時間程度でプラトーレベルに達するようである。遺伝子発現変化の信頼できる定量化のため、内部コントロールとしてGAPDH (glyceraldehydes-3-phosphate dehydrogenase)も同時に示した。
これまでのatRAを含めたレチノイド研究の潜在的問題の一つは、レチノイドによって惹起される生体反応を観察する場合、生理学的濃度の数百ないし数千、数万倍という薬理学的濃度のレチノイドが使用されてきたという点にある。もしレチノイドを高濃度で長期間暴露させた場合にのみある生体反応が観察された場合、この状況は生理学的な反応とは考えがたい。一方、本発明者らの実験系では、ヒト血液中のatRA濃度と近似した濃度の範囲での実験であり、より生理学的な環境を再現したものと言える。
例2
例1において、atRAの濃度上昇に応じてGDNFの発現が上昇したが(濃度依存性)、この変化が生理的反応を有するか否かについて検討するために、血管内皮細胞との共培養を行った。図3に示されるように、トランスウェル(Transwell)を用いた2重チャンバー(double chamber)を構成した。図3から分かるように、外側チャンバー(outer chamber)にエフェクター細胞としてU373MG細胞(アストロサイト)を培養し、atRAで処理して24時間さらに培養した。別に用意した内側チャンバー(inner chamber)にはウシの脳より得られた血管内皮細胞を培養し、あらかじめ一層の密な細胞シートを形成するよう準備した。
U373MG細胞の外側チャンバーと、血管内皮細胞の内側チャンバーとを合わせて共培養を開始し、血管内皮細胞のタイト機能であるバリヤー機能を評価した。2種類の細胞を同時に増養することにより、相互の細胞の機能的関連性が明らかになる。本例では、アストロサイトの影響による血管内皮細胞の機能的変化を、血管内皮細胞の内外の電気的抵抗の差や、内側チャンバーに入れた標識物質(14C標識)の外側チャンバーへの移動度を、血管透過性の指標として評価した。移動した放射性物質の活性はdpm (disintegrations per minutes)で示される。
図4に示されるように、電気的な抵抗を指標にしてバリヤー機能を測定するTER(Transepithelial electrical resistance:バリヤー機能が高いほどTERが高くなる)では、atRAで処理したU373MG細胞との共培養において血管内皮細胞のバリヤー機能が亢進した(*p<0.05)。一方、血管内皮細胞の透過性を放射線標識したイヌリン及びマンニトールの2種類の物質で検討したところ、分子量の大きいイヌリン(5kDa)と分子量の小さいマンニトール(182Da)の両者の透過性は有意に抑制された(*p<0.05)。例2の結果から、atRAによるアストロサイトの遺伝子発現の変化がパラクライン的に作用し、血管内皮細胞の透過性を変化させるのに十分であることが分かる。
例3
例2において血管内皮細胞との共培養を行った結果から、atRAによって惹起されるGDNFの発現上昇が血管内皮細胞に対して機能的であることが判明した。予備実験の結果では、Am580がatRAと同様にGDNF mRNAの発現を濃度依存的かつ時間依存的に誘導することを確認した(以下の図6参照)。例2で用いた血管内皮細胞は、ウシの脳より得られた初代培養細胞株であり、より生体内に近い状況を試験管内で再現できるという利点を有する。しかし、初代培養細胞株は、いわゆるCell lineとは異なり、分裂回数に制限があり、分裂速度が遅く、繰り返し検証の必要な実験系には不向きであるという側面も有する。そこで、バリヤー機能の評価をするうえで最適であり、かつすでに広範な実験系で利用されている実績を持つイヌ由来腎尿細管細胞であるMDCK(Madin Darby Canine Kidney)細胞(市場で容易に入手可能である)を用いて、合成レチノイドの効果を例2と同様のパラメーターで評価した。その結果を図5に示す。図5における実験群は以下の通りである。
1. 非処理群
2. atRA(RARαアゴニスト)
3. Am80(RARαアゴニスト)
4. Am580(RARαアゴニスト)
図5では、非処理群(コントロール)を1と定義し、その相対的差としてグラフ化した。TERでは、Am580がatRAより効果的であり、Am80よりもさらに効果的であった(*p<0.05)。しかし、2種類の大きさの異なる分子量を持つ標識物質(イヌリン及びマンニトール)で細胞間の透過性を評価したところ、双方の分子量を持つ物質に対しAm580が最も効果的に細胞間の物質の通過を抑制していることが判明した(*p<0.05)。
例4
例1及び2は、アストロサイトとしての形質を持つCell lineであるU373MG細胞を用い、実験の簡便化を図ったが、in vitroの実験系ではしばしばCell lineは元の形質を完全に保有していないことがあり、継代によっても形質が変化することが知られている。そこで、レチノイドによるGDNFの発現亢進が、ヒトアストロサイトを用いた系でも観察されるか否かを検討した。ここで使用したアストロサイトは、ヒト脳より分離された初代培養細胞で米国CAMBREX社より購入した。これにより、より生体に近い環境が観察できる利点がある。結果を以下の図6に示す。
図6から理解されるように、atRA及びAm580はGDNPの発現を有意に亢進することが分かる。逆に強力な血管透過性亢進因子であるVRGFの発現は処理群で抑制された。処理群の血管透過性抑制の程度は、透過性を規定する2つの因子の相対量、即ち、透過性抑制因子であるGDNFの発現値から、透過性亢進因子であるVEGFの発現値を除した数値で表される。 この場合、それぞれの非処理群の発現値を内部コントロールとし、処理群の発現量をゲル上の濃度及び面積より求めた。atRA及びAm580処理群では、両者ともに3倍程度の血管透過性抑制の優位性が観察された。Am80も同様の作用効果を示した。図6において実験群は下記のとおりであり、上図はゲル写真を示し、下図はそれを定量化し相対的な量の差を可視化したものである。
1. 未処理群
2. atRA
3. Am580
図7は、糖尿病においてatRAによるGDNFの発現亢進が生理学的作用を有する点を確認するものである。ヒトアストロサイトに、AGE-2単独、又はAGE-2とatRA又はAm580との組合せを作用させ、図6の場合と同様にGDNFの発現の変化を検討した。ARE2は糖尿病患者の血中で上昇することが認められている糖化産物であり、非特許文献6で述べられているように、GNDFの発現を抑制する物質である。この実験により、AGE-2によるGDNFの発現抑制効果が、atRA及びAm580によってmRNA及び蛋白レベルで強力に阻害されることが確認された(**、p<0.001)。これらの結果は、糖尿病状態におけるAGEによる血管透過性の増大をこれらのレチノイドで抑制できることを示す。図7において、左図はRT-PCR法、右図は細胞培養液中のGDNF蛋白を定量化するELlSA (enzyme-linked immunosorbent assay)法の結果を示す。
血管内皮細胞もレチノイド受容体を有していることが知られていることから、共培養で細胞培養液中に含まれるatRAが直接血管内皮細胞に作用した可能性も考えられる。しかしながら、アストロサイト非存在下で血管内皮細胞に直接GDNFの組換えタンパタ質を作用させると、TERの上昇と透過性の低下が起こるが(*p<0.05)、atRAを作用させても、これらの変化は観察されない(図8)。これらの結果から、血管内皮細胞のバリヤー機能を変化させた原因は、atRAによって発現の修飾を受けたアストロサイト由来のGDNFであり、GDNFがパラクライン的に作用した結果であることが分かる。また、これらの結果は、グリア細胞と血管内皮細胞とからなる生体機能単位の概念を支持するものである。
例5:糖尿病のモデルマウスによる確認実験
オスの5〜6週齢のC57/BL6マウスにストレプトゾトシンを投与し、モデルマウスに化学的に糖尿病を誘導した。この糖尿病モデルマウスに対してレチノイドを投与して治療効果を評価した。参考のため、糖尿病を誘発していないマウスを使用してコントロールとした。
結果を図9に示す。実験群は以下の通りである。
実験群:
1. コントロール(糖尿病非誘発群)
2. 糖尿病群(非治療群)
3. 糖尿病群(atRA治療群)
4. 糖尿病群(Am580治療群)
5. 糖尿病群(Am80治療群)
糖尿病の発症は、尿糖を定期的に測定し、すべてのマウスが強陽性を示した時点で血糖の測定を行い確認した。糖尿病罹患期間として4週及び6週のマウスを使用した。マウスの寿命等を考慮に入れた概算では、罹患期間4週はヒトで約5年相当の罹患期に対応し、6週は約7〜10年の罹患期に対応すると考えられる。マウスを上記4群にグループ分けして治療した。治療はatRA(1 mg/kg)、Am580(3.75 mg/kg)、Am80(4.5 mg/kg)を、隔日4日間腹腔内投与することにより行った。犠牲死の直前に充分な全身麻酔薬の投与下、FITCデキストラン(Mw、4000Da)を50 mg/kg下大静脈に注入した。透過性の指標として、眼内のFITCを測定したが、心室中血液中に含まれるFITC量で標準化することにより投与量の潜在的な差異を最小化した。
生体パラメーターとして血糖値(BS)及び尿糖(US)を評価した。BS及びUSが糖尿病群で有意に高値(*p<0.05、**p<0.01)を示すことはヒト糖尿病で見られる変化とよく合致していた。atRA投与群では非投与群と比較して有意にUSの低値を認めた。
眼内FITC量の定量による透過性の検討において、薬剤投与群では非投与群と比較して初期糖尿病罹患群と中期糖尿病罹患群で有意に高血糖状態における血管透過性の亢進が抑制されていた。中期糖尿病罹患群でその効果は明らかであり、atRAよりAm580がより有効であるように考えられる(*p<0.05、**p<0.01)。これらの薬理学的効果は、初期及び中期罹患群を合計したデータ(4+6週)からも明らかである。この理由は、生体内においてatRAよりAm580のほうが血中で安定であり、比較的長期にわたり薬理学的有効血中濃度が維持されていたためと考えられる。RARαレセプター自体は既に公知であることから、当業者であればRARαレセプターをターゲットとするRARαアゴニストを容易に調製することができ、本発明における糖尿病網膜症等の眼疾患の治療剤として上記において具体的に効果が確認されている化合物と同様に使用できることは明らかである。
本発明の医薬は、血管透過性亢進に起因する眼疾患、例えば糖尿病網膜症や加齢黄斑変性等の眼疾患の予防及び/又は治療のための医薬として有用である。

Claims (12)

  1. 血管透過性亢進に起因する眼疾患の予防及び/又は治療のための医薬であって、レチノイドを有効成分として含む医薬。
  2. 血管透過性亢進に起因する眼疾患が糖尿病性網膜症又は加齢黄斑変性である請求項1に記載の医薬。
  3. 初期糖尿病又は中期糖尿病において糖尿病性網膜症の予防のために用いる請求項2に記載の医薬。
  4. 糖尿病性網膜症の前症状期において予防のために用いる請求項2に記載の医薬。
  5. レチノイドがオールトランスレチノイン酸である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の医薬。
  6. レチノイドが非天然型のレチノイドである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の医薬。
  7. レチノイドが芳香環と芳香族カルボン酸又はトロポロンとが連結基を介して結合した基本骨格を有するレチノイドである請求項6に記載の医薬。
  8. レチノイドがレチノイン酸レセプター(RAR)・サブタイプα及びサブタイプβに結合するレチノイドである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の医薬。
  9. レチノイドがレチノイドXレセプターX(RXR)に結合するレチノイドである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の医薬。
  10. レチノイドがAm80(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸)又はAm580(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルボキサミド] 安息香酸である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の医薬。
  11. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の医薬の製造のためのレチノイドの使用。
  12. 血管透過性亢進に起因する眼疾患の予防及び/又は治療方法であって、上記のレチノイドの有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法。
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