JP3865829B2 - レチノイド作用増強性化合物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規化合物に関するものであり、レチノイン酸やレチノイン酸様の生理活性を有する化合物(レチノイド)に代表される核内レセプターリガンドの生理作用を増強する新規化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レチノイン酸(ビタミンA酸)はビタミンAの活性代謝産物であり、発生途上にある未熟な細胞を特有な機能を有する成熟細胞へと分化させる作用や、細胞の増殖促進作用や生命維持作用などの極めて重要な生理作用を有している。これまでに合成された種々のビタミンA誘導体、例えば、特開昭61-22047号公報や特開昭61-76440号公報記載の安息香酸誘導体、及びジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry, 1988, Vol. 31, No. 11, p.2182)に記載の化合物なども、同様な生理作用を有することが明らかにされている。レチノイン酸及びレチノイン酸様の生物活性を有する上記化合物は「レチノイド」と総称されている。
【0003】
例えば、オール・トランス(all-trans)・レチノイン酸は、細胞核内に存在する核内レセプター・スーパーファミリー (Evans, R.M., Science, 240, p.889, 1988) に属するレチノイン酸レセプター(RAR)にリガンドとして結合して、動物細胞の増殖・分化あるいは細胞死などを制御することが明らかにされている(Petkovich, M., et al., Nature, 330, pp.444-450, 1987)。レチノイン酸様の生物活性を有する上記化合物(例えば、4-[(5,6,7,8-tetrahydro-5,5,8,8-tetramethyl-2-naphthalenyl)carbamoyl]benzoic acid: Am80など)も、レチノイン酸と同様にRAR に結合して生理活性を発揮することが示唆されている(Hashimoto, Y., Cell struct. Funct., 16, pp.113-123, 1991; Hashimoto, Y., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 166, pp.1300-1307, 1990を参照)。これらの化合物は、臨床的には、ビタミンA欠乏症、上皮組織の角化症、リウマチ、遅延型アレルギー、骨疾患、及び白血病やある種の癌の治療や予防に有用であることが見出されている。
【0004】
このようなレチノイドに対して拮抗的に作用し、上記レチノイドの代表的な作用を減弱する化合物が知られている(Eyrolles, L., et al., Journal of Medicinal Chemistry, 37(10), pp.1508-1517, 1994)。しかしながら、それ自体はレチノイド作用を有しないか、あるいはそのレチノイド作用が微弱であるにもかかわらず、レチノイン酸などのレチノイドの作用を増強する物質は、唯一、EP 694,301 A1 に開示されているものしか知られていない。この刊行物には、RXR レセプターに対する特異的リガンド化合物が、RAR-αレセプターに対する特異的なリガンド化合物であるAm80の作用を増強する作用を有することが示唆されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、レチノイン酸などのレチノイドの作用を増強する作用を有する化合物を提供することにある。より具体的にいうと、それ自体はレチノイド作用を有しないか、あるいはそのレチノイド作用が微弱であるにもかかわらず、レチノイン酸などのレチノイドの作用を顕著に増強することができる化合物を提供することが本発明の課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意努力した結果、下記の一般式で示される化合物がレチノイン酸などのレチノイドの作用を増強することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明によれば、下記の一般式(I):
【化3】
Figure 0003865829
又は、下記の一般式(II):
【化4】
Figure 0003865829
〔上記各式中、R1は水素原子又はC1-6アルキル基を示し;R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又はC1-6アルキル基を示すか、あるいはR2及びR3が一緒になってそれらが結合するフェニル環上の炭素原子とともにC1-4アルキル基を有することもある5又は6員のシクロアルキル環を示し;R4は水素原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示し;R5は水素原子、C1-6アルキル基、又はアリール置換C1-6アルキル基を示し;R6は水素原子又はC1-6アルキル基を示し;X は-NR7-, -O-, -CHR7- ,又は -S-(式中、R7は水素原子、C1-6アルキル基、又はアリール置換C1-6アルキル基を示す)を示し;Y はフェニレン基またはピリジンジイル基を示す〕で表される化合物またはその塩を提供するものである。また、本発明の別の態様によれば、上記化合物からなる医薬;上記化合物からなるレチノイド作用増強剤及び核内レセプターリガンド作用増強剤が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
上記一般式(I) において、R1は水素原子又は直鎖若しくは分枝鎖のC1-6(炭素数1ないし6の)アルキル基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert- ブチル基などを挙げることができ、好ましくはメチル基を用いることができる。
R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又は直鎖若しくは分枝鎖のC1-6アルキル基を示す。アルキル基としては、例えば上記に例示したものを用いることができるが、好ましくは、エチル基、イソプロピル基、tert- ブチル基などを用いることができる。R2及びR3の置換位置は特に限定されず、それぞれ独立に任意の位置に置換することができるが、R2及びR3がX に対してそれぞれパラ位及びメタ位であるか、R2及びR3がX に対してそれぞれメタ位及びオルト位であることが好ましく、R2及びR3がX に対してそれぞれパラ位及びメタ位であることが特に好ましい。
【0009】
また、R2及びR3が一緒になって、R2及びR3がそれぞれ結合するフェニル環上の2個の炭素原子とともに、5又は6員のシクロアルキル環を形成することができる。該シクロアルキル環は1個または2個以上のC1-4アルキル基を有していてもよく、例えば、2〜4個のメチル基、好ましくは4個のメチル基を有していてもよい。例えば、R2及びR3が置換するフェニル環とR2及びR3とにより、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン環や5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8- テトラヒドロナフタレン環などが形成されることが好ましい。
R4は水素原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示す。C1-6アルキル基としては上記に例示したものを用いることができ、C1-6アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert- ブトキシ基、好ましくはメトキシ基を用いることができる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれを用いてもよい。R4の位置は特に限定されず、フェニル環上の任意の位置に置換することができる。
【0010】
R5は水素原子、C1-6アルキル基、又はアリール置換C1-6アルキル基を示す。C1-6アルキル基としては直鎖又は分枝鎖のいずれでもよく、上記に例示したものを好適に用いることができる。アリール置換C1-6アルキル基のアリール部分としてはフェニル、ナフチル、ピリジルなどを挙げることができ、C1-6アルキル部分は直鎖又は分枝鎖のいずれでもよい。例えば、ベンジル基、フェネチル基などのフェニル置換C1-6アルキル基、ナフチルメチル基などのナフチル置換C1-6アルキル基、ピリジルメチル基などのピリジル置換C1-6アルキル基などを用いることができる。
【0011】
これらのアリール置換C1-6アルキル基を構成するアリール基は1又は2以上の置換基を有していてもよい。例えば、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基などのC1-6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基などの直鎖若しくは分枝鎖のC1-6アルコキシ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基などの直鎖若しくは分枝鎖のハロゲン化C1-6アルキル基;水酸基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのC1-6アルコキシカルボニル基などを置換基として有していてもよい。R6は水素原子又はC1-6アルキル基を示す。C1-6アルキル基としては直鎖若しくは分枝鎖のいずれでもよく、上記に例示したものを好適に用いることができる。R5及びR6が共に水素原子である化合物;及び、R5がC1-6アルキル基又はアリール置換C1-6アルキル基であり、かつ、R6が水素原子である化合物は特に好ましい化合物である。
【0012】
X はR7で置換された窒素原子 (-NR7-)、酸素原子(-O-) 、R7で置換されたメチレン基(-CHR7-)、又は硫黄原子(-S-) を示す。R7は水素原子、C1-6アルキル基又はアリール置換C1-6アルキル基を示す。C1-6アルキル基としては直鎖又は分枝鎖のいずれでもよく、上記に例示したもの、例えば、メチル基を用いることができる。アリール置換C1-6アルキル基としては上記に例示したもの、好ましくは、ベンジル基を用いることができる。窒素原子又は硫黄原子はそれぞれN-オキシド又はスルホキシドであってもよい。これらのうち、X がR7で置換された窒素原子 (NR7)であることが好ましく、特に好ましいのは、X がメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、又はベンジル基で置換された窒素原子を示す場合である。
【0013】
Y はフェニレン基またはピリジンジイル基を示す。例えば、p-フェニレン基、m-フェニレン基、o-フェニレン基、ピリジン-2,4- ジイル基、ピリジン-2,5- ジイル基、ピリジン-3,5- ジイル基など、任意のフェニレン基またはピリジンジイル基を用いることができ、好ましくは、p-フェニレン基、m-フェニレン基、またはピリジン-2,5- ジイル基を用いることができる。ピリジン-2,5- ジイル基を用いる場合、ピリジンの2-位または5-位のいずれの位置に-COOR1で示される基が置換していてもよい。
【0014】
本発明の化合物には、酸付加塩または塩基付加塩が含まれる。酸付加塩としては、塩酸塩若しくは臭化水素酸塩などの鉱酸塩、又はp-トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、若しくは酒石酸塩などの有機酸塩を挙げることができる。塩基付加塩はR1が水素原子を示す場合に形成され、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、若しくはカルシウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩若しくはエタノールアミン塩などの有機アミン塩などを用いることができる。
【0015】
本発明の式(II)の化合物では、R5及びR6が異なる置換基である場合には、それらが置換する炭素原子が不斉炭素となる。上記の式(II)においてX を含む7員環を平面と仮定した場合に、R5又はR6のいずれが平面の上側にあってもよい。また、本発明の式(I) 又は式(II)の化合物は、X や置換基の種類に応じて、さらに1個または2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、このような不斉炭素に基づく任意の光学異性体、光学異性体の任意の混合物、ラセミ体、2個以上の不斉炭素に基づくジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の任意の混合物などは、いずれも本発明の範囲に包含される。また、遊離化合物又は塩の形態の化合物の任意の水和物又は溶媒和物も本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。
【0016】
上記一般式(I) で示される本発明の化合物のうち、好ましい化合物として、
4-[5H-2,3-(2,5- ジメチル-2,5- ヘキサノ)-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX600);
4-[5H-2,3-ジイソプロピル-5- メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX610);
4-[5H-2-tert- ブチル-5- メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX511);
4-[5H-3,4-(1,4- ブタノ)-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX545);
4-[5H-2,3-(2,5- ジメチル-2,5- ヘキサノ)-5-メチル-8- ニトロジベンゾ[b,e] [1,4] ジアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX531);
4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX620);
4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX630);
5-[5H-2,3-(2,5- ジメチル-2,5- ヘキサノ)-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル]-2-ピリジンカルボン酸;
6-[5H-2,3-(2,5- ジメチル-2,5- ヘキサノ)-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル]-3-ピリジンカルボン酸;
4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,e] アゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX640);及び
上記各化合物の低級アルキルエステル、例えばメチルエステル(例えば、HX600 については、メチル 4-[5H-2,3-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ)-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル] ベンゾエート);
などを挙げることができる。
【0017】
上記一般式(II)で示される本発明の化合物のうち、好ましい化合物として、例えば、下記の表に示される化合物を挙げることができる。これらの化合物において、R1は水素原子又はメチル基であり、Y はp-フェニレン基、X は -NR7-である。Bzl はベンジル基を示し、7-Me, 8-Et, 8-i-Pro 及び 9-t-Bu などの表示は、それぞれ、式(II)で示される化合物の7-位にメチル基、8-位にエチル基、8-位にイソプロピル基、及び9-位にtert- ブチル基が置換していることを示す。また、 7-(CH2)4-8 及び 7-C(CH3)2CH2CH2C(CH3)2-8 などの表示は、それぞれ、式(II)で示される化合物の7-位と8-位とが-(CH2)4-及び-C(CH3)2CH2CH2C(CH3)2-で結合されていることを示す。
【0018】
【化5】
Figure 0003865829
【表1】
Figure 0003865829
Figure 0003865829
【0019】
これらのうち、特に好ましい化合物は、
4-[1,3- ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-5- イル]-安息香酸 (HX800);
4-[1,3- ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ)-1-メチル-2- オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-5- イル]-安息香酸 (HX801);
4-[3(S)-メチル-1,3- ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-5- イル]-安息香酸 (HX810);
4-[1,3- ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ)-1-イソプロピル-2- オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-5- イル]-安息香酸 (HX803);
4-[1- ベンジル-1,3- ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-5- イル]-安息香酸 (HX805);及び
4-[3(S)-ベンジル-1,3- ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-5- イル]-安息香酸 (HX850);並びに、
上記各化合物の低級アルキルエステル、好ましくはメチルエステル(例えば、HX800 については、メチル 4-[1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-5- イル]-ベンゾエート)である。
【0020】
【化6】
Figure 0003865829
【0021】
本発明の式(I) に包含される好ましい化合物であるHX600, HX610, HX511, HX531, 及び HX545について、製造方法の一例を以下のスキームに示す。また、本発明の式(II)に包含される好ましい化合物であるHX800, HX801, 及び HX850について、同様に製造方法の一例を以下のスキームに示す。もっとも、本発明の化合物及びその製造方法は、これらのスキームに示されたものに限定されることはない。なお、本明細書の実施例には、下記スキームに従う本発明の化合物の製造方法が詳細に説明されているので、これらの方法に示された出発原料や試薬、並びに反応条件などを適宜修飾ないし改変することにより、本発明の範囲に包含される化合物がいずれも製造可能であることは容易に理解されよう。
【0022】
【化7】
Figure 0003865829
【0023】
【化8】
Figure 0003865829
【0024】
【化9】
Figure 0003865829
【0025】
【化10】
Figure 0003865829
【0026】
【化11】
Figure 0003865829
【0027】
【化12】
Figure 0003865829
【0028】
【化13】
Figure 0003865829
【0029】
本発明の化合物は、それ自体はレチノイド様の作用を実質的に有していないか、あるいは微弱又は中程度のレチノイド様作用を有する化合物であるが、本発明の化合物をレチノイン酸などのレチノイドと共存させた場合には、レチノイドの生理活性(代表的なものとして細胞分化作用、細胞増殖促進作用、及び生命維持作用など)が顕著に増強される。
【0030】
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明の化合物自体がレチノイド作用を有する場合には、その作用は相乗的作用である。従って、本発明の化合物は、レチノイン酸やレチノイン酸様の生物活性を有する上記化合物(例えば、4-[(5,6,7,8-tetrahydro-5,5,8,8-tetramethyl-2-naphthalenyl)carbamoyl]benzoic acid: Am80など)などのレチノイドをビタミンA欠乏症、上皮組織の角化症、乾癬、アレルギー疾患、リウマチなどの免疫性疾患、骨疾患、白血病、又は癌の予防・治療のための医薬として投与する場合に、該レチノイドの作用増強剤として用いることができる。
【0031】
また、本発明の化合物は、レチノイドを上記疾患の治療・予防のために投与しない場合においても生体内に既に存在するレチノイン酸の作用を増強するので、上記疾患の治療・予防の目的で本発明の化合物自体を投与することも可能である。さらに、本発明の化合物は、レチノイドに対しての作用増強効果のみならず、細胞の核内に存在する核内レセプター・スーパーファミリー (Evans, R.M., Science, 240, p.889, 1988) に属するレセプターに結合して生理作用を発揮するステロイド化合物、ビタミンD3などのビタミンD化合物、又はチロキシンなどの生理活性物質の作用増強に用いることもできる。
【0032】
本発明の化合物からなる医薬は、それ自体を投与してもよいが、好ましくは、当業者に周知の方法によって製造可能な経口用あるいは非経口用の医薬組成物として投与することが好ましい。また、レチノイン酸などのレチノイドを有効成分として含む医薬に配合して、いわゆる合剤の形態の医薬組成物として用いることもできる。経口投与に適する医薬用組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、及びシロップ剤等を挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、軟膏剤、クリーム剤、及び貼付剤等を挙げることができる。
【0033】
上記の医薬組成物は、薬理学的、製剤学的に許容しうる添加物を加えて製造することができる。薬理学的、製剤学的に許容しうる添加物の例としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を挙げることができる。
【0034】
本発明の医薬の投与量は特に限定されず、レチノイン酸などのレチノイドを有効成分として含む医薬と本発明の医薬とを併用してレチノイドの作用を増強する場合、あるいは、レチノイドを含む医薬を併用せずに、生体内に既に存在するレチノイン酸の作用増強のために本発明の医薬を投与する場合など、あらゆる投与方法において適宜の投与量が容易に選択できる。例えば、経口投与の場合には成人一日あたり 0.01 〜1,000 mg程度の範囲で用いることができる。レチノイドを有効成分として含む医薬と本発明の医薬とを併用する場合には、レチノイドの投与期間中、あるいはその前後のいずれの期間においても本発明の医薬を投与することが可能である。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例の範囲に限定されることはない。なお、実施例中の化合物番号は、上記のスキーム中の化合物番号に対応している。
【0036】
例1:4-[5H-2,3-(2,5- ジメチル-2,5- ヘキサノ)-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX600)の製造
6-ブロモ-1,2,3,4- テトラヒドロ-1,1,4,4- テトラメチルナフタレン 2.30 g (8.61 mmol), o- ニトロアニリン 4.30 g (31.2 mmol), K2CO3 4.30 g (31.2 mmol), CuI 347 mg にキシレン 40 mlを加え、24時間加熱環流した。減圧下にキシレンを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-ヘキサン=1:50)で精製した。ヘキサンより再結晶して化合物1を得た(2.33 g, 84%) 。
1H-NMR CDCl3 9.49(s, 1H), 8.20(dd, 1H, 8.4Hz, 1.5Hz), 7.33(d, 2H, 8.4Hz), 7.20(dd, 1H, 8.8Hz, 1.1Hz), 7.18(d, 1H, 2.2Hz), 7.04(dd, 1H, 8.4Hz, 2.2Hz), 6.73(m, 1H), 1.71(s, 4H), 1.30(s, 6H), 1.28(s, 6H)
【0037】
NaH (60% in oil) 246 mg (6.16 mmol, 1.5 eq) をn-ヘキサンで洗い、乾燥させた。化合物1 1.33 g (4.10 mmol) を 30 mlのDMF に溶解して加え、室温で30分間攪拌した。この混合物に CH3I 0.51 ml (8.20 mmol) を加えて3時間攪拌した。反応液を氷水にあけてジクロルメタンで抽出し、有機相を水、飽和食塩水で洗浄して乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-ヘキサン=1:40)で精製し、化合物2を得た (1.39 g, 100%) 。
1H-NMR CDCl3 7.81(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 7.53(m, 1H), 7.34(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 7.19(m, 1H), 7.14(d, 1H, 8.4Hz), 6.67(d, 1H, 2.6Hz), 6.61(dd, 1H, 8.4Hz, 2.6Hz), 3.29(s, 3H), 1.63(s, 4H), 1.23(s, 6H), 1.18(s, 6H)
【0038】
化合物2 1.41 g (4.17 mmol) を水 20 ml及びエタノール40 ml に懸濁し、濃塩酸 6.0 ml を加えた。この混合物に鉄粉 2.2 gを加えて30分間加熱還流した。反応液を濾過して固形の鉄粉を除き、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄して乾燥し、溶媒を減圧留去して化合物3を得た (1.25 g, 99%)。
1H-NMR CDCl3 7.11(d, 1H, 8.8Hz), 7.06(m, 2H), 6.81(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 6.75(m, 1H), 6.61(d, 1H, 2.6Hz), 6.44(dd, 1H, 8.4Hz, 2.6Hz), 3.82(brs, 2H), 3.18(s, 3H), 1.65(s, 4H), 1.23(s, 6H), 1.23(s, 6H)
【0039】
化合物3 1.25 g (4.06 mmol) を乾燥ベンゼン 25 mlに溶解し、ピリジン 0.5 ml を加えた。テレフタル酸モノメチルエステルクロライド 966 mg (4.87 mmol) を加えて室温で18時間攪拌した。反応液に氷水及び希塩酸を加えて酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥後に溶媒を減圧留去して粗生成物 2.10 g を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-ヘキサン=1:20)で精製して化合物4を得た(1.72 g, 90%) 。
1H-NMR CDCl3 8.57(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 8.45(s, 1H), 7.99(d, 2H, 8.8Hz), 7.45(d, 2H, 8.8Hz), 7.32(m, 1H), 7.18-7.26(m, 2H), 6.68(d, 1H, 2.6Hz), 6.60(dd, 1H, 8.4Hz, 2.6Hz), 3.93(s, 3H), 3.31(s, 3H), 1.64(s, 4H), 1.24(s, 6H), 1.16(s, 6H)
【0040】
化合物4 1.72 g (3.65 mmol) にポリリン酸 15.8 g を加えて 110℃で2時間40分攪拌した。反応液に水を加えてジクロルメタンで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した。溶媒を減圧留去して得られる残渣を乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-ヘキサン=1:30)で精製し本発明の化合物(化合物5:メチル 4-[5H-2,3-(2,5- ジメチル -2,5- ヘキサノ )-5- メチルジベンゾ [b,e][1,4] ジアゼピン -11- イル ] ベンゾエートを得た (1.41 g, 86%)。m.p.238 ℃
1H-NMR CDCl3 8.07(d, 2H, 8.8Hz), 7.88(d, 2H, 8.4Hz), 7.31(dd, 1H, 7.7Hz,1.8Hz), 7.15(m, 1H), 7.09(m, 1H), 6.98(dd, 1H, 6.6Hz, 1.8Hz), 6.92(s, 1H), 6.87(s, 1H), 3.95(s, 3H), 3.26(s, 3H), 1.63(m, 4H), 1.32(s, 3H), 1.26(s, 3H), 1.12(s, 3H), 1.04(s, 3H)
Anal. Calc. for C30H32N2O2 C:79.61, H:7.13, N:6.19; Found C:79.56, H:7.27, N:6.12
【0041】
化合物5 43 mg (0.095 mmol) をエタノール 4 ml 及び 2N NaOH 1.5 ml に懸濁し、室温で1時間10分攪拌した。反応液を2N HClでpH=2に調整した後、ジクロルメタンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧留去した。得られた残渣を乾燥して本発明の化合物 HX600を得た (化合物6,37.1 mg, 89%) 。m.p.282 ℃
1H-NMR CDCl3 8.15(d, 2H, 8.4Hz), 7.91(d, 2H, 8.4Hz), 7.33(dd, 1H, 7.7Hz, 1.5Hz), 7.15(m, 1H), 7.09(m, 1H), 6.98(dd, 1H, 7.7Hz, 1.1Hz), 6.93(s, 1H), 6.88(s, 1H), 3.27(s, 3H), 1.62(m, 4H), 1.32(s, 3H), 1.27(s, 3H), 1.13(s, 3H), 1.05(s, 3H)
MS M+ 438
Anal. Calc. for C29H30N2O2 C:79.42, H:6.89, N:6.39; Found C:79.12, H:7.15, N:6.25
【0042】
例2:4-[5H-2,3-ジイソプロピル-5- メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX610)の製造
3,4-ジイソプロピルアニリン 107 mg(0.60 mmol), o-ヨードニトロベンゼン 180 mg (0.72 mmol), K2CO3 83 mg (0.60 mmol), 及び CuI 34 mgをキシレン 5 ml に加えて18時間加熱環流した。減圧下にキシレンを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-ヘキサン=1:50)で精製して化合物7を得た (59 mg, 33%) 。
1H-NMR CDCl3 9.50(s, 1H), 8.20(dd, 1H, 8.4Hz, 1.5Hz), 7.40(m, 1H), 7.29(d, 1H, 8.1Hz), 7.20(dd, 1H, 8.8Hz, 1.1Hz), 7.13(d, 1H, 2.2Hz), 7.08(dd, 1H, 8.4Hz, 2.2Hz), 6.73(m, 1H), 3.27(m, 2H), 1.25(m, 12H)
【0043】
NaH (60% in oil) 16 mg (0.40 mmol, 2 eq)をn-ヘキサンで洗い、乾燥させた。化合物7 58 mg (0.20 mmol)を5 mlの DMFに溶解して加え、室温で30分間攪拌した。この混合物にCH3I 0.04 ml (0.60 mmol)を加えて3時間攪拌した。反応液を氷水にあけてジクロルメタンで抽出し、有機相を水、飽和食塩水で洗浄した。乾燥後、溶媒を減圧下に留去して化合物8を得た(57 mg, 93%)。
1H-NMR CDCl3 7.81(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 7.53(m, 1H), 7.34(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 7.18(m, 1H), 7.10(d, 1H, 9.2Hz), 6.62(m, 2H), 3.31(s, 3H), 3.17(septet, 2H), 1.19(d, 6H, 7.0Hz), 1.14(d, 6H, 7.0Hz)
【0044】
化合物8 52.5 mg (0.17 mmol)を水 2 ml 及びエタノール 4 ml に懸濁して濃塩酸 0.5 ml を加えた。鉄粉 200 mg を加えて30分間加熱還流した。反応液を濾過して固形の鉄粉を除き、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後に溶媒を減圧留去して化合物9を得た (40.0 mg, 84%) 。
1H-NMR CDCl3 7.07(m, 3H), 6.82(dd, 1H, 7.7Hz, 1.5Hz), 6.76(m, 1H), 6.59(d, 1H, 2.9Hz), 6.46(dd, 1H, 8.4Hz, 2.6Hz), 3.84(brs, 2H), 3.20(s, 3H), 3.18(m, 2H), 1.19(m, 12H)
【0045】
化合物9 39 mg (0.14 mmol)を乾燥ベンゼン 5 ml に溶解し、ピリジン 0.1 ml を加えた。テレフタル酸モノメチルエステルクロライド 36 mg (0.18 mmol)を加えて室温で3時間攪拌した。反応液に氷水及び希塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥後、溶媒を留去して得られた粗生成物(67.3 mg) を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-ヘキサン=1:20)で精製して化合物10を得た(44.4 mg, 71%)。
1H-NMR CDCl3 8.58(d, 1H, 9.5Hz), 8.47(m, 1H), 7.98(d, 2H, 8.4Hz), 7.46(d, 2H, 8.4Hz), 7.32(m, 1H), 7.22(m, 2H), 7.15(d, 1H, 8.4Hz), 6.66(d, 1H, 2.9Hz), 6.60(dd, 1H, 8.4Hz 2.6Hz), 3.93(s, 3H), 3.31(s, 3H), 3.21(septet, 2H), 1.20(d, 6H, 6.6Hz), 1.13(d, 6H, 7.0Hz)
【0046】
化合物10 44 mg (0.10 mmol)にポリリン酸1.2 gを加えて120 ℃で1時間攪拌した。反応液に水を加えてジクロルメタンで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧留去した。得られた残渣を乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-ヘキサン=1:30)で精製して本発明の化合物(化合物11: メチル 4-[5H-2,3- ジイソプロピル -5- メチルジベンゾ [b,e][1,4] ジアゼピン -11- イル ] ベンゾエート)を得た(19.2 mg, 45%)。
1H-NMR CDCl3 8.07(d, 2H, 8.8Hz), 7.87(d, 2H, 8.4Hz), 7.31(dd, 1H, 7.7Hz,1.8Hz), 7.15(m, 1H), 7.08(m, 1H), 6.98(m, 1H), 6.99(s, 1H), 6.97(s, 1H), 3.95(s, 3H), 3.27(s, 3H), 3.23(m, 1H), 3.13(m, 1H), 1.28(d, 3H, 6.6Hz), 1.26(d, 3H, 7.0Hz), 1.08(d, 3H, 7.0Hz), 1.01(d, 3H, 7.0Hz)
【0047】
化合物11 18 mg (0.043 mmol) をエタノール 2 ml 及び 2N NaOH 1 ml に懸濁し、室温で40分攪拌した。2N NClでpH=2に調節した後、反応液をジクロルメタンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を乾燥して本発明の化合物 HX610 (化合物12)を得た(15.6 mg, 88%)。エタノール−水の混合物から再結晶して 10.5 mgの精製体を得た。m.p.263 ℃
1H-NMR CDCl3 8.14(d, 2H, 8.8Hz), 7.91(d, 2H, 8.4Hz), 7.32(dd, 1H, 7.7Hz, 1.8Hz), 7.16(m, 1H), 7.10(m, 1H), 6.99(dd, 1H, 8.1Hz, 1.1Hz), 6.90(s, 1H), 6.83(s, 1H), 3.28(s, 3H), 3.24(m, 1H), 3,14(m, 1H), 1.28(d, 3H, 7.0Hz), 1.23(d, 3H, 6.6Hz), 1.10(d, 3H, 7.0Hz), 1.02(d, 3H, 7.0Hz)
Anal. Calc. for C27H28N2O2 C:78.61, H:6.84, N:6.79; Found C:78.36, H:6.92, N:6.67
【0048】
例3:4-[5H-2-tert- ブチル-5- メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX511)の製造
o-ヨードニトロベンゼン 1.25 g (5.0 mmol)に4-tert- ブチルアニリン 761 mg (5.1 mmol)、K2CO3 697 (5.1 mmol)、CuI 95 mg 、及びo-キシレン 10 mlを加え、150 ℃で11時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:40)で精製して化合物13を得た(529.1 mg, 39%) 。
1H-NMR CDCl3 9.48(s, 1H), 8.20(dd, 1H, 8.4Hz, 1.5Hz), 7.43(d, 2H, 8.8Hz), 7.35(m, 1H), 7.22(m, 3H), 6.76(m, 1H), 1.35(s, 9H)
【0049】
NaH (60% in oil) 73 mg (1.82 mmol)をヘキサンで洗浄して乾燥した。1 mlのDMF をNaH に加えておき、その懸濁液に化合物13 241.7 mg (0.895 mmol) を 5 ml のDMF に溶解して加えた。室温で20分間攪拌した後にヨウ化メチル 0.18 ml (2.78 mmol, 3 eq)を加えて3時間攪拌した。反応液を氷水にあけてジクロロメタンで抽出し、有機相を水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に減圧濃縮して化合物14を得た(245.3 mg, 97%) 。
1H-NMR CDCl3 7.83(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 7.57(m, 1H), 7.36(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 7.22(d, 2H, 8.8Hz), 6.70(d, 2H, 9.2Hz), 3.29(s, 3H), 1.27(s, 9H)
【0050】
化合物14 240 mg (0.845 mmol)に水 4 ml 、エタノール 8 ml 及び鉄粉 406 mg を加え、濃塩酸 1.0 ml を加えて 20 分間加熱還流した。反応液に酢酸エチルを加えて濾過し、母液を水及び飽和食塩水で洗浄した。有機相を乾燥後、減圧濃縮して化合物15を得た(184.6 mg, 86%) 。
1H-NMR CDCl3 7.22(d, 2H, 8.8Hz), 7.08(m, 1H), 7.04(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 6.82(dd, 1H, 7.7Hz, 1.5Hz), 6.77(m, 1H), 6.61(d, 2H, 8.8Hz), 3.83 (brs, 2H), 3.20(s, 3H), 1.28(s, 9H)
【0051】
化合物15 174 mg (0.685 mmol)を乾燥ベンゼン 7 ml に溶解し、ピリジン 0.1 ml (1.25 mmol) を加えた。テレフタル酸モノメチルエステルクロライド 163 mg (0.823 mmol)を加えて室温で2時間15分攪拌した。反応液に氷水および希塩酸を加えて酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥後、溶媒を減圧留去して 320.1 mg の粗生成物を得た。この生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:20)で精製して化合物16を得た(206.7 mg, 73%) 。
1H-NMR CDCl3 8.60(d, 1H, 7.0Hz), 8.57(s, 1H), 8.00(d, 2H, 8.4Hz), 7.53(d, 2H, 8.4Hz), 7.33(m, 1H), 7.28(d, 2H, 8.8Hz), 7.21(m, 2H), 6.72(d, 2H, 8.8Hz), 3.93(s, 3H), 3.28(s, 3H), 1.29(s, 9H)
【0052】
化合物16 202.6 mg (0.487 mmol)にポリリン酸 2.5 gを加えて 130℃で2時間攪拌した。さらにポリリン酸 2.0 gを追加して1時間攪拌した。反応液に水を加えてジクロロメタンで抽出し、有機相を濃縮・乾燥して粗生成物 164.9 mg を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:40 →1:20) で精製し、得られた精製物をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:20)で精製して化合物17を得た(22.0 mg, 11%)。
1H-NMR CDCl3 8.08(d, 2H, 8.4Hz), 7.86(d, 2H, 8.4Hz), 7.42(dd, 1H, 8.4Hz, 2.2Hz), 7.32(dd, 1H, 7.7Hz, 1.8Hz), 7.15(m, 1H), 7.09(m, 1H), 6.98(m, 3H), 3.95(s, 3H), 3.26(s, 3H), 1.18(s, 9H)
【0053】
化合物17 20.1 mg (0.05 mmol)に 2N NaOH 1.0 ml 及びエタノール 2.0 ml を加えて3時間15分攪拌した。反応液に 2N 塩酸を加えて酸性にした後、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)で精製して本発明の化合物 HX511 (化合物18)を得た(16.5 mg, 85%)。エタノール−水の混合物から再結晶して精製体を得た。m.p.249 ℃
1H-NMR CDCl3 8.14(d, 2H, 8.4Hz), 7.90(d, 2H, 8.4Hz), 7.43(dd, 1H, 8.4Hz, 2.2Hz), 7.32(dd, 1H, 7.7Hz, 1.8Hz), 7.15(m, 1H), 7.09(m, 1H), 6.98(m, 3H), 3.26(s, 3H), 1.19(s, 9H)
Anal. Calc. for C25H24N2O2 C:78.10, H:6.29, N:7.29; Found C:77.92, H:6.40, N:7.13
【0054】
例4:4-[5H-2,3-(2,5- ジメチル-2,5- ヘキサノ)-5-メチル-8- ニトロジベンゾ[b,e] [1,4] ジアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX531)の製造
化合物5 (HX600 のメチルエステル体)102 mg (0.226 mmol) を濃硫酸 5 ml に溶解し、氷冷下で KNO3 36.5 mg (0.36 mmol) を加えた。1時間後、反応液を氷水にあけ、ジクロロメタンで抽出した。有機相を飽和重曹水、水、食塩水の順に洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧留去して粗生成物 102 mg を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:20)で精製して化合物19を得た (19.3 mg, 17%) 。
1H-NMR CDCl3 8.14(d, 1H, 2.6Hz), 8.11(d, 2H, 8.8Hz), 8.01(dd, 1H, 8.8Hz, 2.6Hz), 7.89(d, 1H, 8.8Hz), 6.93(s, 1H), 6.91(s,1H), 3.97(s,3H), 3.32(s, 3H), 1.66(m, 4H), 1.32(s, 3H), 1.28(s, 3H), 1.14(s, 3H), 1.07(s, 3H)
【0055】
化合物19 17.3 mg (0.035 mmol) に 2N NaOH 1.0 ml 及びエタノール 2.0 ml を加えて90分間室温で攪拌した。反応液を 2N HCl で酸性にした後、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧留去して本発明の化合物 HX531(化合物20) を得た(15.0 mg, 89%)。エタノール−水の混合物から再結晶して精製体を得た。m.p.300 ℃以上
1H-NMR CDCl3 8.15(m, 3H), 8.01(dd, 1H, 8.8Hz, 2.6Hz), 7.90(d, 2H, 7.3Hz), 7.00(d, 1H, 9.2Hz), 6.93(s, 1H), 6.92(s, 1H), 3.31(s, 3H), 1.65(m, 4H), 1.32(s, 3H), 1.27(s, 3H), 1.14(s, 3H), 1.07(s, 3H)Anal. Calc. for C29H29N3O4 C:72.03, H:6.04, N:8.69; Found C:71.89, H:6.25, N:8.54
【0056】
例5:4-[5H-3,4-(1,4- ブタノ)-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX545)の製造
5,6,7,8-テトラヒドロ-1- ナフチルアミン 1.83 g (12.43 mmol)、o-ヨードニトロベンゼン 3.1 g (12.43 mmol) 、K2CO3 1.72 g (12.43 mmol) 、及び CuI 217 mg にキシレン 40 mlを加え、18時間加熱還流した。キシレンを減圧留去して得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:50)で精製して化合物21を得た (736 mg, 22%)。
1H-NMR CDCl3 9.30(s, 1H), 8.20(dd, 1H, 8.8Hz, 1.5Hz), 7.32(m, 1H), 7.15(m, 2H), 7.04(d, 1H, 7.3Hz), 6.90(dd, 1H, 8.4Hz, 1.1Hz), 6.72(m, 1H), 2.83(m, 2H), 2.64(m, 2H), 1.79(m, 4H)
【0057】
NaH (60% in oil) 114 mg (2.84 mmol, 2 eq) をヘキサンで洗浄して乾燥した。化合物21 381 mg (1.42 mmol) を 8 ml のDMF に溶解して加え、室温で15分間攪拌した。この混合物にヨウ化メチル 0.37 ml (5.68 mmol)を加えて3時間30分攪拌した。反応液を氷水にあけてジクロロメタンで抽出し、有機相を乾燥した後、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:100) で精製し、さらに得られた化合物を水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を留去して化合物22を得た (293 mg, 73%)。
1H-NMR CDCl3 7.67(dd, 1H, 8.1Hz, 1.8Hz), 7.34(m, 1H), 7.08(t, 1H, 7.7Hz), 6.97(d, 1H, 7.3Hz), 6.86(m, 3H), 3.16(s, 3H), 2.81(m, 2H), 2.57(m, 2H), 1.76(m, 4H)
【0058】
化合物22 101.6 mg (0.36 mmol) を水 2 ml およびエタノール 6 ml の混合物に懸濁し、濃塩酸 0.5 ml を加えた。この混合物に鉄粉 201 mg を加えて 10 分間加熱還流した。反応液を濾過して固形分を除き、母液を酢酸エチルで抽出した。有機相を水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧留去して化合物23を得た(81.1 mg, 89%)。
1H-NMR CDCl3 7.13(t, 1H, 7.7Hz), 7.03(d, 1H, 7.3Hz), 6.93(m, 1H), 6.83(d, 1H, 7.0Hz), 6.75(dd, 1H, 7.7Hz, 1.1Hz), 6.64(m, 2H), 3.96(brs, 2H), 3.05(s, 3H), 2.76(m, 2H), 2.15(m, 2H), 1.65(m, 4H)
【0059】
化合物23 81 mg (0.32 mmol)を乾燥ベンゼン 5 ml に溶解し、ピリジン 0.1 ml を加えた。この溶液にテレフタル酸モノメチルエステルクロライド 79.6 mg (0.40 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に氷水及び希塩酸を加えて酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥した後に溶媒を減圧留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:20 →1;10) で精製して化合物24を得た(113.9 mg, 86%) 。
1H-NMR CDCl3 8.45(s, 1H), 8.36(d, 1H, 7.7Hz), 8.09(d, 2H, 8.1Hz), 7.68(d, 2H, 8.4Hz), 7.13(m, 3H), 6.99(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 6.96(d, 1H, 7.3Hz), 6.91(d, 1H, 7.7Hz), 3.96(s, 3H), 3.10(s, 3H), 2.73(m, 2H), 2.31(m, 2H), 1.60(m, 2H), 1.51(m, 2H)
【0060】
化合物24 113 mg (0.273 mmol)にポリリン酸 1.83 g を加え、130 ℃で1時間攪拌した。反応液に水を加えてジクロロメタンで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した。乾燥後に溶媒を減圧留去して得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:40 →1;20) で精製して化合物25を得た(67.9 mg, 63%)。
1H-NMR CDCl3 8.10(d, 2H, 8.8Hz), 7.91(d, 2H, 8.4Hz), 7.40(dd, 1H, 8.1Hz, 2.2Hz), 7.25(m, 1H), 7.20(m, 2H), 6.89(d, 1H, 8.1Hz), 6.82(d, 1H, 8.1Hz), 3.95(s, 3H), 3.06(s, 3H), 3.02(m, 2H), 2.78(m, 2H), 1.95(m, 1H), 1.85(m, 1H), 1.75(m, 2H)
【0061】
化合物25 66.3 mg (0.167 mmol) に 2N NaOH 2.0 ml 及びエタノール 5.0 ml を加えて1時間15分室温で攪拌した。反応液を 2N HCl で酸性にした後にジクロロメタンで抽出し、有機相を水および飽和食塩水で洗浄した。乾燥後に溶媒を減圧留去して本発明の化合物 HX545(化合物26)を得た(60.7 mg, 95%)。エタノール−水の混合物から再結晶して精製体を得た。m.p.273 ℃
1H-NMR CDCl3 8.17(d, 2H, 8.8Hz), 7.95(d, 2H, 8.4Hz), 7.42(dd, 1H, 7.7Hz, 1.8Hz), 7.22(m, 3H), 6.91(d, 1H, 8.1Hz), 6.83(d, 1H, 8.1Hz), 3.07(s, 3H), 3.02(m, 2H), 2.80(m, 2H), 1.95(m, 2H), 1.84(m, 2H), 1.75(m, 4H)
Anal. Calc. for C25H22N2O2 C:78.51, H:5.80, N:7.32; Found C:78.32, H:5.83, N:7.13
【0062】
例6:4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX620)の製造
5,6,7.8-テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチル-2- ナフトール 97 mg (0.475 mmol) 、o-クロロニトロベンゼン 77 mg (0.48 mmol)、及び水酸化カリウム 27 mg (0.48 mmol)に DMSO 5 mlを加え、90℃で17時間30分攪拌した。反応液に水、ジクロロメタン、及び濃塩酸 1 ml を加え、有機相を希塩酸及び食塩水で洗浄した。乾燥後に溶媒を減圧留去して粗生成物 139.7 mg を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:30)で精製して、o-(5,6,7,8- テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチル-2- ナフタレニル)-2-ニトロフェノール(化合物27)を得た(103.1 mg, 67%, 無色油状物) 。
1H-NMR CDCl3 7.93(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 7.46(m, 1H), 7.29(d, 1H, 8.8Hz), 7.14(m, 1H), 7.01(d, 1H, 2.6Hz), 6.99(dd, 1H, 8.4Hz, 1.1Hz), 6.80(dd, 1H, 8.4Hz, 2.6Hz), 1.69(s, 4H), 1.28(s, 6H), 1.25(s, 6H)
【0063】
化合物27を水 2 ml 及びエタノール 6 ml に懸濁し、濃塩酸 0.5 ml を加えた。この混合物に鉄粉220 mgを加え、30分間加熱還流した。反応液を濾過して固形物を除き、母液を酢酸エチルで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧留去して o-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチル-2- ナフタレニル)-2-アミノフェノール(化合物28)を得た(80.5 mg, 85%)。
1H-NMR CDCl3 7.21(d, 1H, 8.8Hz), 6.97(d, 1H, 2.9Hz), 6.95(m, 1H), 6.85(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 6.82(dd, 1H, 7.7Hz, 1.5Hz), 6.70(m, 2H), 3.82(brs, 2H), 1.68(s, 4H), 1.26(s, 6H), 1.25(s, 6H)
【0064】
化合物28 80.5 mg (0.264 mmol) を乾燥ベンゼン 5 ml に溶解し、ピリジン 0.1 ml (1.25 mmol) を加えた。この溶液にテレフタル酸モノメチルエステルクロライド 63 mg (0.317 mmol) を加え、室温で16時間30分攪拌した。反応液に氷水及び希塩酸を加えて酢酸エチルで抽出し、乾燥後に溶媒を減圧留去して粗生成物 133 mg を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:20 →1:2)で精製して、メチル 4-[2-(o-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチルナフタレニル)アミノ)カルバモイル] ベンゾエート(化合物29)を得た (115.8 mg, 94%)。
1H-NMR CDCl3 8.59(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 8.56(brs, 1H), 8.11(d, 2H, 8.8Hz), 7.86(d, 2H, 8.4Hz), 7.30(d, 1H, 8.8Hz), 7.16(m, 1H), 7.07(dd, 1H, 8.1H, 1.5Hz), 7.04(d, 1H, 2.6Hz), 6.90(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 6.81(dd, 1H, 8.4Hz, 2.6Hz), 3.95(s, 3H), 1.70(s, 4H), 1.28(s, 6H), 1.25(s, 6H)
【0065】
化合物29 111 mg (0.238 mmol)にポリリン酸 2.2 gを加え、100 ℃で1時間30分攪拌した。反応液に水に加えてジクロロメタンで抽出した。有機相を乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:40)で精製して、メチル 4-[2,3-(2,5- ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン-11-イル] ベンゾエート(化合物30)を得た (33.4 mg, 31%) 。
1H-NMR CDCl3 8.12(d, 2H, 8.4Hz), 7.92(d, 2H, 8.8Hz), 7.44(m, 1H), 7.21(m, 3H), 7.16(s, 1H), 7.01(s, 1H), 1.66(m, 4H), 1.30(s, 6H), 1.11(s, 6H)
【0066】
化合物30 30.0 mg (0.067 mmol) をエタノール 5 ml 及び 2N 水酸化ナトリウム 1 ml に懸濁し、40分間室温で攪拌した。反応液を 2N 塩酸で酸性にした後、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧留去して本発明の化合物 4-[2,3-(2,5- ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン-11-イル安息香酸(HX620: 化合物31)を得た(29.0 mg, 100%) 。エタノール−水の混合物から再結晶して精製体を得た。m.p.289 ℃1H-NMR CDCl3 8.19(d, 2H, 8.8Hz), 7.97(d, 2H, 8.8Hz), 7.46(m, 1H), 7.22(m, 3H), 7.18(s, 1H), 7.02(s, 1H), 1.66(s, 4H), 1.31(s, 6H), 1.12(s, 6H)
【0067】
例7:4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX630)の製造
クロロスルホン酸 10 mlに 0℃で1,2,3,4-テトラヒドロ-1,1,4,4- テトラメチルナフタレン 6.0 g (32.0 mmol)を加えて1時間攪拌した。反応液を氷水にあけて酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧留去した。残渣に亜鉛末 10 g (15.2 mmol) とエタノール 20 mlを加え、さらに濃塩酸 40 mlを 5分間かけて加え、その後に1時間25分加熱還流した。反応液に氷水及び酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した。乾燥後に溶媒を減圧留去して粗生成物 6.82 g を得た。
1H-NMR CDCl3 3.37 (s, 1H, -SH)
【0068】
上記の粗チオフェノール体 290 mg (1.3 mmol)、o-クロロニトロベンゼン 212 mg (1.3 mmol)、及び水酸化カリウム 71.5 mg (1.3 mmol) に DMSO 8 mlを加えて 100℃で15時間40分攪拌した。反応液に水及びジクロロメタンを加え、濃塩酸約 1 ml を加えた。有機相を希塩酸及び食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:40)で精製して、s-(5,6,7,8- テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチル-2- ナフタレニル)-2-ニトロチオフェノール(化合物32)を得た(112.3 mg, 25%) 。
1H-NMR CDCl3 8.23(dd, 1H, 8.1Hz, 1.5Hz), 7.52(d, 1H, 1.8Hz), 7.40(d, 1H, 8.1Hz), 7.35(m, 1H), 7.29(dd, 1H, 8.1Hz, 1.8Hz), 7.20(m, 1H), 6.90(dd, 1H, 8.1Hz, 1.1Hz), 1.72(s, 4H), 1.32(s, 6H), 1.27(s, 6H)
【0069】
化合物32 275.3 mg (0.807 mmol)を水 5 ml 及びエタノール 10 mlに懸濁し、濃塩酸 0.5 ml を加えた。この混合物に鉄粉 210 mg を加えて5分間加熱還流した。反応液を濾過して固形物を除き、母液を酢酸エチルで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:40)で精製して、s-(5,6,7,8- テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチル-2- ナフタレニル)-2-アミノチオフェノール(化合物33)を得た(91.4 mg, 36%)。
1H-NMR CDCl3 7.43(dd, 1H, 7.7Hz, 1.5Hz), 7.21(m, 1H), 7.14(d, 1H, 8.4Hz), 7.10(d, 1H, 2.2Hz), 6.77(m, 3H), 4.30(brs, 2H), 1.64(s, 4H), 1.22(s, 6H), 1.20(s, 6H)
【0070】
化合物33 91.4 mg (0.294 mmol) を乾燥ベンゼン 5 ml に溶解し、ピリジン 0.2 ml (2.5 mmol)を加えた。この溶液にテレフタル酸モノメチルエステルクロライド 76 mg (0.38 mmol)を加えて室温で18時間攪拌した。反応液に氷水及び希塩酸を加えて酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥後に溶媒を留去して粗生成物 146.8 mg を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:20 →1:10) で精製して、メチル 4-[2-(s-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチルナフタレニル)アミノ)カルバモイル] ベンゾエート(化合物34)を得た(123.7 mg, 89%) 。
1H-NMR CDCl3 9.03(brs, 1H), 8.65(d, 1H, 7.0Hz), 8.05(d, 2H, 8.8Hz), 7.66(dd, 1H, 7.7Hz, 1.5Hz), 7.63(d, 2H, 8.8Hz), 7.51(m, 1H), 7.18(m, 3H), 7.10(d, 1H, 1.8Hz), 6.83(dd, 1H, 8.4Hz, 2.2Hz), 3.95(s, 3H), 1.61(s, 4H), 1.20(s, 6H), 1.13(s, 6H)
【0071】
化合物34 46.8 mg (0.099 mmol) にポリリン酸 1.48 g を加えて120 ℃で45分間攪拌した。反応液に水を加えてジクロロメタンで抽出し、有機相を乾燥後に溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:40)で精製してメチル 4-[2,3-(2,5- ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン-11-イル] ベンゾエート(化合物35)を得た(27.3 mg, 61%)。
1H-NMR CDCl3 8.09(d, 2H, 8.4Hz), 7.90(d, 2H, 8.4Hz), 7.48(dd, 1H, 7.7Hz, 1.5Hz), 7.44(s, 1H), 7.38(d, 2H, 7.7Hz), 7.34(m, 1H), 7.13(m, 1H), 7.03(s, 1H), 3.96(s, 3H), 1.64(m, 4H), 1.31(s, 3H), 1.28(s, 3H), 1.13(s, 3H), 1.06(s, 3H)
【0072】
化合物35 26.4 mg (0.058 mmol) をエタノール 5 ml 及び水酸化ナトリウム 1 ml に懸濁して 40 分間室温で攪拌した。反応液を 2N 塩酸で酸性にしてジクロロメタンで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧濃縮して本発明の化合物 4-[2,3-(2,5- ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX 630, 化合物36)を得た(24.9 mg, 97%)。エタノール−水の混合物から再結晶して精製体を得た。m.p.299 ℃
1H-NMR CDCl3 8.17(d, 2H, 8.4Hz), 7.94(d, 2H, 8.4Hz), 7.48(dd, 1H, 7.7Hz, 1.1Hz), 7.45(s, 1H), 7.37(m, 2H), 7.13(m, 1H), 7.04(s, 1H), 1.65(m, 4H), 1.31(s, 3H), 1.28(s, 3H), 1.15(s, 3H), 1.07(s, 3H)
【0073】
例8:4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,e] アゼピン-11-イル] 安息香酸 (HX640)の製造
5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチルナフタレン 10.0 g (53.2 mmol) 及びo-ニトロ安息香酸クロライド 9.4 g (50.5 mmol)を 50 mlのジクロロメタンに溶解し、AlCl3 14.3 gを徐々に加えた後、反応液を1時間30分加熱還流した。反応液を水にあけてジクロロメタンで抽出し、乾燥後に溶媒を留去して粗生成物 21.59 gを得た。この生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:10)で精製して (5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8- テトラヒドロ-2- ナフチル) カルボニル-2- ニトロベンゼン (化合物37) を得た(7.5 g, 42%)。さらにこの精製物をn-ヘキサンから再結晶した。
1H-NMR CDCl3 8.23(d, 1H, 8.1Hz), 7.84(s, 1H), 7.75(t, 1H, 6.2Hz), 7.69(t, 1H, 7.0Hz), 7.48(dd, 1H, 7.7Hz, 1.5Hz), 7.34(m, 2H), 1.69(s, 4H), 1.28(s, 6H), 1.26(s, 6H)
【0074】
化合物37 262.1 mg (0.78 mmol) をエタノール 10 mlに溶解し、鉄粉 313 mg を加え、さらに濃塩酸 2.0 ml を加えて反応液を 15 分間加熱還流した。反応液を濾過し、濾液に酢酸エチルを加えて抽出し、乾燥後に溶媒を留去して(5,5,8,8- テトラメチル-5,6,7,8- テトラヒドロ-2- ナフチル) カルボニル-2- アニリン (化合物38) を得た(242.9 mg, 100%)。
1H-NMR CDCl3 7.61(d, 1H, 1.8Hz), 7.51(d, 1H, 8.1Hz), 7.41(dd, 1H, 8.1Hz, 1.8Hz), 7.37(d, 1H, 8.1Hz), 7.29(m, 1H), 6.74(d, 1H, 8.1Hz), 6.61(t, 1H, 8.1Hz), 1.72(s, 4H), 1.32(s, 6H), 1.29(s, 6H)
【0075】
化合物38 67.3 mg (0.22 mmol)をジエチルエーテル 2 ml に溶解し、この溶液に LiAlH4 41.3 mg (1.09 mmol, 8 mlのジエチルエーテル中に懸濁したもの)を加えて19時間加熱還流した。反応液を常法に従って処理し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:40-1:20) で精製して 2-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチルナフチルメチル)アニリン(化合物39)を得た(34.9 mg, 54%)。
1H-NMR CDCl3 7.20(d, 1H, 8.1Hz), 7.15(d, 1H), 7.09(m, 1H), 7.05(m, 1H), 6.89(dd, 1H, 8.1Hz), 6.77(td, 1H, 7.7Hz), 6.70(d, 1H, 7.7Hz), 3.86(s, 3H), 3.70(brs, 2H), 1.66(s, 4H), 1.25(s, 6H), 1.24(s, 6H)
【0076】
化合物39 88.5 mg (0.30 mmol)を乾燥ベンゼン 4 ml に溶解し、ピリジン 0.2 ml (2.5 mmol)を加えた。この溶液にテレフタル酸モノメチルエステルクロライド 73.7 mg (0.37 mmol)を加え、反応液を室温で1時間30分攪拌した。反応液に氷水、2N HClを加えて酢酸エチルで抽出し、乾燥後に溶媒を留去した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してメチル 4-[2-(2-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチルナフチルメチル)アミノカルボニル] ベンゾエート(化合物40)を得た(115.1 mg, 84%) 。
1H-NMR CDCl3 8.13(d, 1H, 8Hz), 7.99(d, 2H, 8.4Hz), 7.62(brs, 1H), 7.38(d, 2H, 8.4Hz), 7.30(m, 3H), 7.21(t, 1H, 7.7Hz), 7.11(d, 1H), 6.90(dd, 1H, 8.1Hz), 4.04(s, 2H), 3.95(s, 3H), 1.68(m, 4H), 1.29(s, 6H), 1.15(s, 6H)
【0077】
化合物40 103.4 mg (0.227 mmol)にポリリン酸 1.56 g を加えて110 ℃で45分間攪拌した。反応液に水を加えてジクロロメタンで抽出した。有機相を乾燥後、溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n- ヘキサン=1:20)で精製して、メチル 4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,e] アゼピン-11-イル] ベンゾエート(化合物41)を得た(78.3 mg, 79%)。
1H-NMR CDCl3 8.11(d, 2H, 8.4Hz), 7.96(d, 2H, 8.4Hz), 7.43(brd, 1H, 8Hz), 7.25(m, 2H), 7.22(s, 1H), 7.17(t, 1H, 7.3Hz), 7.08(s, 1H), 3.96(s, 3H), 3.70(brs, 1H), 3.67(brs, 1H), 1.64(brs, 4H), 1.40(brs, 3H), 1.30(brs, 3H), 1.15(brs, 3H), 1.04(brs, 3H)
【0078】
化合物41 78.3 mg (0.179 mmol) をエタノール 10 ml及び2N NaOH 2 mlの混合物に懸濁し、室温で1時間攪拌した。反応液を 2N HCl で酸性にした後、ジクロロメタンで抽出した。有機相を乾燥後、溶媒を留去して4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ) ジベンゾ[b,e] アゼピン-11-イル] 安息香酸(HX640, 化合物42) を得た(73.6 mg, 97%)。エタノール−水の混合物から再結晶して精製体を得た。m.p.300 ℃以上
1H-NMR DMSO-d6 (120 ℃) 8.05(d, 2H, 8.4Hz), 7.89(d, 2H, 8.4Hz), 7.39(s, 1H), 7.33(m, 2H), 7.26(td, 1H, 7.3Hz, 1.5Hz), 7.16(td, 7.3Hz, 1.5Hz), 7.09(s, 1H), 3.69(s, 2H), 1.66(m, 4H), 1.32(s, 6H), 1.11(s, 6H)
Anal. Calc. for C29H29NO2 C:82.24, H:6.90, N:3.31; Found C:82.30, H:6.98, N:3.02
【0079】
例9:4-[1,3- ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸 (HX800)の製造
1,2,3,4-テトラヒドロ -1,1,4,4-テトラメチルナフタレン 10.0 g (53.2 mmol)及びテレフタル酸モノメチルエステルクロライド 10.0 g (50.5 mmol) をジクロロメタン 50 mlに溶解し、AlCl3 14.3 g (107.5 mmol) を氷冷下に10分間かけて加えた。1時間還流した後、反応液を氷水にあけて酢酸エチルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後に濃縮してメチル 4-[(5,5,8,8- テトラメチル -5,6,7,8-テトラヒドロ -2-ナフチル) カルボニル] ベンゾエート(化合物43) を得た(18.5 g, 99%)。一部を酢酸エチルより再結晶した。
1H-NMR CDCl3 : 8.15(d, 2H, 8.8Hz), 7.83(d, 2H, 8.4Hz), 7.79(d, 1H, 1.8Hz), 7.54(dd, 1H, 8.1Hz, 1.8Hz), 7.41(d, 1H, 8.4Hz), 3.97(s, 3H), 1.72(s, 4H), 1.32(s, 6H), 1.29(s, 6H)
【0080】
化合物43 693 mg (1.98 mmol) を濃 H2SO4 5 ml に溶解し、氷冷下に KNO3 240 mg (2.37 mmol)を加えた。1時間後に反応液を氷水にあけ、ジクロロメタンで抽出した。有機相を飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗い、乾燥した後に濃縮した。残査を酢酸エチルより再結晶して、メチル 4-[3-ニトロ -5,5,8,8-テトラメチル -5,6,7,8-テトラヒドロ -2-ナフチル) カルボニル] ベンゾエート
(化合物44) を無色針状晶として得た(414 mg, 53%)。
1H-NMR CDCl3 : 8.16(s, 1H), 8.11(d, 2H, 8.4Hz), 7.81(d, 2H, 8.4Hz), 7.38(s, 1H), 3.94(s, 3H), 1.77(s, 4H), 1.39(s, 6H), 1.31(s, 6H)
【0081】
化合物45 318.5 mg (0.806 mmol)を水 5 ml 及びエタノール 10 mlに懸濁して、濃塩酸 1.0 ml を加えた。この混合物に鉄粉 317 mg を加えて50分間還流した後、反応液を濾過して固形分を除去した。濾液を酢酸エチルで抽出し、有機相を水、飽和食塩水で洗浄した。乾燥後に有機相を濃縮して、メチル 4-[3-アミノ -5,5,8,8-テトラメチル -5,6,7,8-テトラヒドロ -2-ナフチル) カルボニル] ベンゾエート(化合物46)を黄色結晶として得た(279.2 mg, 95%)。
1H-NMR CDCl3 : 8.14(d, 2H, 8.4Hz), 7.69(d, 2H, 8.8Hz), 7.31(s, 1H), 6.67(s, 1H), 5.90(brs, 2H), 3.97(s, 3H), 1.65(m, 4H), 1.28(s, 6H), 1.11(s, 6H)
【0082】
化合物46 70 mg (0.19 mmol)及びグリシンメチルエステル塩酸塩 38.3 mg (0.31 mmol)にピリジン 5 ml を加え、16時間還流した。反応液に希塩酸を加えてジクロロメタンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄して乾燥した後、濃縮して残査 72.3 mgを回収した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n-ヘキサン=1 : 4 )により精製して、メチル 4-[1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] ベンゾエート(化合物47)を得た(34.7 mg, 45%)。同時に 23.1 mg (33%)の原料を回収した。
1H-NMR CDCl3 : 8.06(d, 2H, 8.8Hz), 7.66(m, 3H), 7.16(s, 1H), 6.96(s, 1H), 4.36(brs, 2H), 3.95(s, 3H), 1.70(m, 4H), 1.33(s, 6H), 1.16(s, 6H)
【0083】
化合物47 32.6 mg(0.08 mmol) をエタノール 5 ml 及び 2N NaOH 1 ml に懸濁して室温で20分間攪拌した。反応液を 2N 塩酸で酸性にしてジクロロメタンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後に濃縮して 4-[1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸(HX800, 化合物48)を得た(26.0 mg, 83%)。一部をメタノール−ヘキサンより再結晶した。mp> 300℃
MS M+ 390
1H-NMR CDCl3 : 8.23(brs, 1H), 8.12(d, 2H, 8.4Hz), 7.69(d, 2H, 8.4Hz), 7.17(s, 1H), 7.01(s, 1H), 4.38(brs, 2H), 1.71(s, 4H), 1.34(s, 6H), 1.17(s,6H)
【0084】
例10:4-[1,3- ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-1-メチル -2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸(HX801) の製造
7.1 mg (0.18 mmol, 2 eq)の NaH (60% in oil) をヘキサンで洗浄して乾燥し、例9で得たメチル 4-[1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] ベンゾエート 36 mg (0.089 mmol) を 4 ml のDMF に溶解して加えた。この混合物を室温で10分間攪拌した後、 CH3I 0.02 ml (0.36 mmol, 4 eq) を加えて、さらに2時間30分攪拌した。反応液を氷水にあけてジクロロメタンで抽出し、有機相を水、飽和食塩水で洗浄して乾燥した後に濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n-ヘキサン= 1 : 1)により精製してメチル 4-[1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-1-メチル-2- オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] ベンゾエート(化合物49)を得た(21.8 mg, 59%)。
1H-NMR CDCl3 : 8.07(d, 2H, 8.4Hz), 7.74(d, 2H, 8.4Hz), 7.21(s, 1H), 7.13(s, 1H), 4.82(d, 1H, 10.3Hz), 3.95(s, 3H), 3.86(d, 1H, 10.6Hz), 3.40(s, 3H), 1.71(m, 4H), 1.38(s, 3H), 1.31(s, 3H), 1.20(s, 3H), 1.14(s, 3H)
【0085】
化合物49 29.6 mg (0.07 mmol)をエタノール 3 ml 及び 2N NaOH 1 ml に懸濁して、室温で40分間攪拌した。反応液を2N HClで酸性にし、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後に濃縮して4-[1,3- ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-1-メチル -2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸(HX801, 化合物50) を得た(23.5 mg, 83%)。一部を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶した。mp> 300℃
1H-NMR CDCl3 : 8.13(d, 2H, 8.8Hz), 7.77(d, 2H, 8.4Hz), 7.22(s, 1H), 7.14(s, 1H), 4.84(d, 1H, 10.6Hz), 3.88(d, 1H, 10.6Hz), 3.41(s, 3Hz), 1.72(m, 4H), 1.39(s, 3H), 1.32(s, 3H), 1.21(s, 3H), 1.15(s, 3H)Anal. Calc. for C25H28N2O3 C:74.23, H:6.98, N:6.93; Found C:74.19, H:6.97, N:6.63
【0086】
例11:4-[3(S)-メチル -1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸(HX810) の製造
例9で得たメチル 4-[3-アミノ -5,5,8,8-テトラメチル -5,6,7,8-テトラヒドロ -2-ナフチル) カルボニル] ベンゾエート 188 mg (0.515 mmol)及びL-アラニンエチルエステル塩酸塩 177 mg (0.77 mmol, 1.5 eq) にピリジン 5 ml を加えて 16 時間還流した。反応液に希塩酸を加えてジクロロメタンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後に濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n-ヘキサン= 1 : 3)により精製し、メチル4-[3(S)-メチル -1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] ベンゾエート(化合物51) を得た(25.6 mg, 12%)。1H-NMR CDCl3 : 8.06(d, 2H, 8.4Hz), 7.67(d, 2H, 8.4Hz), 7.17(s, 1H), 6.97(s, 1H), 3.94(s, 3H), 3.84(q, 1H, 6.6Hz), 1.74(d, 3H, 6.6Hz), 1.71(m, 4H), 1.34(s, 3H), 1.31(s, 3H), 1.19(s, 3H), 1.12(s, 3H)
【0087】
化合物51 15.1 mg (0.036 mmol) をエタノール 3 ml 及び 2N NaOH 1 ml に懸濁して室温で40分間攪拌した。反応液を2N HClで酸性にし、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後に濃縮して 4-[3(S)- メチル -1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸(HX810, 化合物52) を得た(14.9 mg, 100%) 。一部を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶した。mp> 300℃
1H-NMR CDCl3 : 8.11(d, 2H, 8.4Hz), 7.95(brs, 1H), 7.70(d, 2H, 8.4Hz), 7.18(s, 1H), 7.00(s, 1H), 3.85(q, 1H, 6.6Hz), 1.75(d, 3H, 6.6Hz), 1.71(m, 4H), 1.35(s, 3H), 1.32(s, 3H), 1.20(s, 3H), 1.13(s, 3H)
Anal. Calc. for C25H28N2O3 C:74.23, H:6.98, N:6.93; Found C:74.19, H:7.18, N:6.66
【0088】
例12:4-[1,3- ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-1-イソプロピル-2- オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸 (HX803)の製造
4.7 mg (0.12 mmol, 2 eq)の NaH (60% in oil) をヘキサンで洗浄して乾燥し、例9で得たメチル 4-[1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] ベンゾエート 24 mg (0.059 mmol) を 6 ml のDMF に溶解して加えた。反応液を室温で15分間攪拌した後 2- ヨードプロパン 0.02 ml (0.24 mmol, 4 eq)を加えてさらに4時間攪拌を続けた。反応液を氷水にあけてジクロロメタンで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した後、乾燥して濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n-ヘキサン= 1 : 5)により精製し、メチル 4-[1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-1-イソプロピル -2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] ベンゾエート(化合物53) を得た(6.4 mg, 24%)。
1H-NMR CDCl3 : 8.07(d, 2H, 8.4Hz), 7.74(d, 2H, 8.4Hz), 7.31(s, 1H), 7.10(s, 1H), 4.73(d, 1H, 10.3Hz), 4.57(septet, 1H, 7.0Hz), 3.95(s, 3H), 3.83(d, 1H, 10.3Hz), 1.72(m, 4H), 1.52(d, 3H, 6.6Hz), 1.38(s, 3H), 1.32(s, 3H), 1.21(s, 3H), 1.18(d, 3H, 7.0Hz), 1.13(s, 3H)
【0089】
化合物53 6.4 mg (0.014 mmol)をエタノール 4 ml 及び 2N NaOH 0.5 ml に懸濁して、室温で2時間攪拌した。反応液を2N HClで酸性にして、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後に濃縮して 4-[1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-1-イソプロピル-2- オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸(HX803, 化合物54) を得た(6.2 mg, 100%)。一部を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶した。mp 275℃
1H-NMR CDCl3 : 8.13(d, 2H, 8.4Hz), 7.78(d, 2H, 8.1Hz), 7.32(s, 1H), 7.11(s, 1H), 4.77(d, 1H, 10.3Hz), 4.58(septet, 1H, 7.0Hz), 3.85(d, 1H, 10.3Hz), 1.73(m, 4H), 1.53(d, 3H, 7.0Hz), 1.39(s, 3H), 1.32(s, 3H), 1.22(s, 3H), 1.19(d, 3H, 7.3Hz), 1.14(s, 3H)
【0090】
例13:4-[1- ベンジル -1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸 (HX805)の製造
6.1 mg (0.15 mmol, 2 eq)の NaH (60% in oil) をヘキサンで洗浄して乾燥し、例9で得たメチル 4-[1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] ベンゾエート 31.9 mg (0.076 mmol) を 3 ml の DMFに溶解して加えた。室温で20分間攪拌した後、反応液にベンジルブロマイド 0.035 ml (0.30 mmol, 4 eq) を加えて、さらに1時間攪拌した。反応液を氷水にあけてジクロロメタンで抽出し、有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後に濃縮した。残査を酢酸エチル−ジクロロメタンより再結晶して、メチル 4-[1-ベンジル -1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] ベンゾエート(化合物55) を得た(23.3 mg, 60%)。
1H-NMR CDCl3 : 8.03(d, 2H, 8.4Hz), 7.51(d, 2H, 8.4Hz), 7.25(s, 1H), 7.16(m, 3H), 7.06(m, 2H), 4.89(d, 1H, 10.3Hz), 4.87(d, 1H, 15.4Hz), 3.97(d, 1H, 10.3Hz), 3.95(s, 3H), 1.66(s, 4H), 1.23(s, 3H), 1.20(s, 3H), 1.11(s,3H), 1.08(s, 3H)
【0091】
化合物55 19.1 mg (0.035 mmol) をエタノール 6 ml 及び 2N NaOH 1 ml に懸濁して、70℃で2時間攪拌した。反応液を2N HClで酸性にし、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗い、乾燥した後に濃縮して 4-[1-ベンジル -1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸(HX805, 化合物56) を得た(12.5 mg, 72%)。一部を酢酸エチル−ジクロロメタンより再結晶した。mp> 300℃
1H-NMR CDCl3 : 8.08(d, 2H, 8.8Hz), 7.55(d, 2H, 8.4Hz), 7.16(m, 3H), 7.07(m, 2H), 7.00(s, 1H), 5.45(d, 1H, 14.7Hz), 4.91(d, 1H, 10.3Hz), 4.88(d, 1H, 14.3Hz), 3.99(d, 1H, 10.3Hz), 1.65(m, 4H), 1.23(s, 3H), 1.21(s, 3H),
1.12(s, 3H), 1.09(s, 3H)
Anal. Calc. for C31H32N2O3 C:77.47, H:6.71, N:5.83; Found C:77.27, H:6.80, N:5.70
【0092】
例14:4-[3(S)-ベンジル -1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸 (HX850)の製造
Fmoc-(L)- フェニルアラニン 272 mg (0.70 mmol) に SOCl2 4 ml を加えて30分間還流した。 SOCl2を減圧下溜去してよく乾燥した。残査に 89 mg (0.244 mmol) のメチル 4-[3-アミノ -5,5,8,8-テトラメチル -5,6,7,8-テトラヒドロ -2-ナフチル) カルボニル] ベンゾエート及び DMAP 12 mg を加え、さらに無水ベンゼン 10 ml及びピリジン 0.5 ml を加えた。この混合物を室温で50分間攪拌し、2N HClで酸性にした後、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、 Na2SO4 で乾燥した後に濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n-ヘキサン= 1 :30)により精製し、メチル 4-[[3-N-(N-α-9- フルオレニルメトキシカルボニル -L-フィニルアラニル)アミド -5,5,8,8-テトラヒドロ -2-ナフチル] カルボニル] ベンゾエート(化合物57) を得た(117.8 mg, 99%)。
1H-NMR CDCl3 : 11.14(s, 1H), 8.61(s, 1H), 8.08(d, 2H, 8.1Hz), 7.75(d, 2H, 7.3Hz), 7.62(m, 3H), 7.52(m, 2H), 7.40(m, 3H), 7.24(m, 5H), 7.11(d, 1H), 5.43(d, 1H), 4.65(d, 1H), 4.39(m, 1H), 4.37(m, 1H), 4.19(m, 1H), 3.97(s, 3H), 3.28(m, 1H), 3.19(m, 1H), 1.70(m, 4H), 1.36(s, 6H), 1.14(s, 6H)
【0093】
化合物57 82.3 mg (0.11 mmol)にジクロロメタン 4 ml 及びピペリジン 1 ml を加えた混合物を室温で40分間攪拌した。溶媒を減圧下溜去して乾燥し、残査にブタノール 10 ml及び酢酸 0.5 ml を加えて 80 ℃で2時間攪拌した。反応液に重曹水を加えて、ジクロロメタンで抽出した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n-ヘキサン= 1 : 10)により精製し、メチル 4-[3(S)- ベンジル -1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] ベンゾエート(化合物58)を得た(48.4 mg, 92%)。
1H-NMR CDCl3 : 8.38(brs, 1H), 8.03(d, 2H, 8.4Hz), 7.58(d, 2H, 8.4Hz), 7.42(d, 2H, 7.3Hz), 7.32(t, 2H, 7.3Hz), 7.23(t, 1H, 7.0Hz), 7.10(s, 1H), 7.00(s, 1H), 3.93(s, 3H), 3.87(m, 1H), 3.63(m, 2H), 1.68(m, 4H), 1.34(s, 3H), 1.31(s, 3H), 1.16(s, 3H), 1.10(s, 3H)
【0094】
化合物58 28.6 mg (0.06 mmol)をエタノール 5 ml 及び 1N KOH 2 mlに懸濁して、室温で30分間攪拌した。反応液を2N HClで酸性にしてジクロロメタンで抽出し、有機相を乾燥した後に濃縮して4-[3(S)-ベンジル -1,3-ジヒドロ-7,8-(2,5-ジメチル -2,5-ヘキサノ)-2-オキソ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン -5-イル] 安息香酸(HX850, 化合物59) を得た(24.8 mg, 89%)。一部をジクロロメタン−ヘキサンより再結晶した。
1H-NMR CDCl3 : 8.27(brs, 1H), 8.09(d, 2H, 8.1Hz), 7.62(d, 2H, 8.1Hz), 7.42(d, 2H, 7.3Hz), 7.33(t, 2H, 8.1Hz), 7.23(t, 1H), 7.13(s, 1H), 6.98(s, 1H), 3.87(m, 1H), 3.62(m, 2H), 1.69(m, 4H), 1.34(s, 3H), 1.31(s, 3H), 1.18(s, 3H), 1.11(s, 3H)
【0095】
例15:試験例
レチノイドの細胞分化誘導作用に対する上記例1及び例8の化合物の作用を検討した。レチノイド化合物(オール−トランス−レチノイン酸レセプターに対するアゴニスト)としてレチノイン酸およびAm80〔4-[(5,6,7,8-tetrahydro-5,5,8,8-tetramethyl-2-naphthalenyl)carbamoyl]benzoic acid〕を用いた。特開昭61-76440号公報に記載された方法に準じて、前骨髄球性白血病細胞株HL-60 に対する上記レチノイドの細胞分化誘導能を、例1及び例8の化合物の存在下及び非存在下で測定した。顆粒球系細胞への分化の程度は、核の形態観察及びニトロブルーテトラゾリウム(NBT) の還元能を測定することにより判定した。本方法はレチノイドの細胞分化誘導活性をよく反映するものとして周知の方法である。結果を以下の表2に示す(表中、NBT 陽性率は生細胞中に対する分化細胞の割合をパーセントで示した値である)。
【0096】
【表2】
Figure 0003865829
Figure 0003865829
Figure 0003865829
【0097】
本発明の化合物をレチノイン酸又はAm80と共存させた場合には、分化した細胞の割合が顕著に増加しており、本発明の化合物によりレチノイン酸又はAm80の細胞分化誘導作用が増強されたことが明らかである。一方、対照として用いた化合物 LE135は、レチノイドのアンタゴニストとして公知の化合物であり(Eyrolles, L., et al., J. Med. Chem., 37, pp.1508-1517, 1994 中の化合物16: 4-(5H-7,8,9,10-tetrahydro-5,7,7,10,10-pentamethylbenzo[e]naphto[2,3-b][1,4]diazepin-13-yl)benzoic acid)、本発明の化合物HX600 の構造異性体に相当する。この化合物をAm80と共存させると、Am80の細胞分化誘導作用が顕著に抑制された。
【0098】
例16:試験例
例10の化合物 (HX801)のレチノイドの細胞分化誘導作用に対する作用を検討した。レチノイド化合物としてAm80を用い、例15と同様の方法に従って、前骨髄球性白血病細胞株HL-60 に対する上記レチノイドの細胞分化誘導能を HX801の存在下及び非存在下で測定した。結果を表3に示す(表中、“−”は無添加を示す)。これらの結果から、本発明の化合物をAm80と共存させた場合には、分化した細胞の割合が顕著に増加しており、本発明の化合物によりAm80の細胞分化誘導作用が増強されたことが明らかである。
【0099】
【表3】
Figure 0003865829
【0100】
【発明の効果】
本発明の化合物は、レチノイン酸などのレチノイドの作用を増強し、レチノイド作用増強剤などの医薬として有用である。

Claims (7)

  1. 下記の一般式(I):
    Figure 0003865829
    〔上記式中、R1は水素原子又はC1-6アルキル基を示し;R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又はC1-6アルキル基を示すか、あるいはR2及びR3が一緒になってそれらが結合するフェニル環上の炭素原子とともにC1-4アルキル基を有することもある5又は6員のシクロアルキル環を示し;R4は水素原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示し;Xは-NR7-, -O-, -CHR7- , 又は-S-(式中、R7は水素原子、C1-6アルキル基、又はアリール置換C1-6アルキル基を示す)を示し;Yはフェニレン基またはピリジンジイル基を示す〕で表される化合物またはその塩。
  2. 下記の化合物:4-[5H-2,3-(2,5-ジメチル-2,5-ヘキサノ)-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル]安息香酸(HX600);4-[5H-2,3-ジイソプロピル-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル]安息香酸(HX610);4-[5H-2-tert-ブチル-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル]安息香酸(HX511);4-[5H-3,4-(1,4-ブタノ)-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル]安息香酸(HX545);4-[5H-2,3-(2,5-ジメチル-2,5-ヘキサノ)-5-メチル-8-ニトロジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル]安息香酸(HX531);4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ)ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン-11-イル]安息香酸(HX620);4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5- ヘキサノ)ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン-11-イル]安息香酸(HX630);5-[5H-2,3-(2,5-ジメチル-2,5-ヘキサノ)-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル]-2-ピリジンカルボン酸;6-[5H-2,3-(2,5-ジメチル-2,5-ヘキサノ)-5-メチルジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル]-3-ピリジンカルボン酸;及び4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5-ヘキサノ)ジベンゾ[b,e]アゼピン-11-イル]安息香酸(HX640)からなる群から選ばれる請求項1に記載の化合物またはその塩。
  3. 請求項1又は2に記載の化合物または生理学的に許容されるその塩を含む医薬。
  4. 有効成分である請求項1又は2に記載の化合物または生理学的に許容されるその塩と製剤用添加物とを含む医薬用組成物の形態の請求項3に記載の医薬。
  5. 核内レセプター・スーパーファミリーに属する核内レセプターに結合して生理作用を発揮する生理活性物質の作用増強剤として用いる請求項3又は4に記載の医薬。
  6. 該生理活性物質がレチノイド化合物である請求項5に記載の医薬。
  7. 請求項1又は2に記載の化合物又は生理学的に許容されるその塩とレチノイド化合物とを含む医薬用組成物。
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