JPWO2007029756A1 - 補助配線付き基体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

透明導電膜用のエッチャントに対して耐性が高い、補助配線を透明導電膜の上に有する補助配線付き基体および該基体の製造方法の提供。基体上に透明導電膜を有し、該透明導電膜上にパターン化された下地層、AlまたはAl合金を主成分とする導体層およびキャップ層をこの順に含む補助配線を有する補助配線付き基体であって、前記導体層の外表面がAlの酸化物層、Al合金の酸化物層、クロムの酸化物を主成分とする層、またはリン酸塩を主成分とする層とされることを特徴とする補助配線付き基体。

Description

本発明は、有機エレクトロルミネセンス(有機EL)ディスプレィなどのフラットパネルディスプレィ用電極配線として好適に用いられる補助配線付き基体とその製造方法に関する。
近年の高度情報化に伴って、フラットパネルディスプレィの需要がますます高まっている。最近、自己発光型で低電圧駆動が可能な有機ELディスプレィが、高速応答性、視認性、輝度などの点で従来のLCDやPDPに比べ格段に優れていることから、次世代のディスプレィとして特に注目されている。有機EL素子は、基本的には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)の透明電極(陽極)と金属電極(陰極)の間に、陽極側から正孔輸送層、発光層、電子輸送層などの有機質層が形成された構造をしている。近年のカラー化や高精細化には、ITO層のさらなる低抵抗化が必要であるが、LCDなどに従来から用いられているITO層の低抵抗化は既に限界に近づいている。そこで、AlやAl合金などの低抵抗金属を補助配線とし、ITO層からなる透明電極と組み合わせることにより、実質的に素子回路の低抵抗化を実現している。
ところで、AlまたはAl合金は低抵抗ではあるが、ヒロックが発生しやすく、他の金属と電気的コンタクトを取ろうとしても、接触抵抗が高く、そのままでは使用することができないという不都合があった。また、ITO層の上に直接AlまたはAl合金を形成すると、接触抵抗が高いという問題があった。上記問題を解決するため、AlまたはAl合金とITO層との間に下地層を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1および2参照。)。
特開2001−311954号公報 特開2004−158442号公報
上記方法により接触抵抗について解決を図ることは可能と考えられる。しかし、有機EL用の基体を形成するためには、パターニングにより補助配線を形成して補助配線付き基体を得た後、ITO層等の透明導電膜を補助配線とは異なるパターンにパターニングして透明電極を形成する。この透明導電膜のパターニングにおける透明導電膜用のエッチャントにより、補助配線が腐食するという問題があった。
上記問題を解決するために、補助配線をレジストで覆うことで補助配線を透明導電膜用のエッチャントから保護する方法が存在する。しかし、実際の製造工程において、レジストで補助配線を完全に被覆することは困難であり、結果的に補助配線を完全に保護することは困難であった。レジストの被覆が不十分なところでは、透明導電膜のパターニング時に透明導電膜用のエッチャントにより補助配線が腐食し、配線抵抗が増大する、また、信頼性が低下するなどの問題があった。
本発明は、透明導電膜用のエッチャントに対して耐性が高い、透明導電膜の上に補助配線を有する補助配線付き基体および該基体の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、AlまたはAl合金を導体層に使用することによる問題点を解決すべく、従来技術を踏まえて鋭意検討した結果、導体層の外表面にAlの酸化物層(アルミナ水和物を含む)またはAl合金の酸化物層を形成することで、透明導電膜のエッチャントに対して耐久性が著しく向上することを見出した。導体層の外表面とは、パターン化された積層体中の導体層の露出面、即ち、導体層の側面断面部を指す。このAlの酸化物層または、Al合金の酸化物層は導体層の外表面の保護層である。導体層の外表面の保護層には、クロムの酸化物を主成分とする層またはリン酸塩を主成分とする層を用いることが出来る。そして、低抵抗で、透明導電膜のエッチャントに対して耐久性の高い補助配線付き基体を得るに至り、本発明を完成したのである。なお、「Alの酸化物層(アルミナ水和物を含む)、Al合金の酸化物層、クロムの酸化物を主成分とする層またはリン酸塩を主成分とする層」を以下単に「外表面保護層」という。
本発明は、基体上に透明導電膜を有し、該透明導電膜上にパターン化された下地層、AlまたはAl合金を主成分とする導体層およびキャップ層をこの順に含む補助配線を有する補助配線付き基体であって、前記導体層の外表面が外表面保護層(Alの酸化物層、Al合金の酸化物層、クロムの酸化物を主成分とする層またはリン酸塩を主成分とする層)とされてなることを特徴とする補助配線付き基体を提供する。
本発明の補助配線付き基体は、補助配線の導体層の外表面を外表面保護層とすることにより、透明導電膜用のエッチャントに対する耐性が向上する。よって、透明導電膜をエッチングして透明電極を得る場合に、補助配線の腐食が抑制され、補助配線の抵抗が増大することがない。そのため、高精細で信頼性の高いディスプレィを作製することができる。特に、素子寿命の長期化や発光特性の向上という要求が厳しい有機ELディスプレィ等のフラットディスプレィでは、配線の低抵抗化が望まれるため、本発明の補助配線付き基体は極めて有効に使用することができる。
本発明の配線付き基体を用いた有機EL素子の1例を示す一部切り欠き正面図である。 図1のA−A線での断面図である。 図1のB−B線での断面図である。
符号の説明
1:ガラス基板
2:補助配線
2a:下地層
2b:導体層
2b1:導体層の外表面
2c:キャップ層
3:透明導電膜(陽極)
4:有機質層
5:Al陰極
6:封止缶
本発明は、基体上に透明導電膜を有し、該透明導電膜上にパターン化された下地層、該下地層上にAlまたはAl合金を主成分とする導体層および該導体層上にキャップ層をこの順に含む補助配線を有する補助配線付き基体であって、前記導体層の外表面がAlの酸化物層(アルミナ水和物を含む)またはAl合金の酸化物層とされてなることを特徴とする。また、外表面はクロムの酸化物を主成分とする層またはリン酸塩を主成分とする層を用いることも出来る。なお、このときクロム酸化物およびリン酸塩が、外表面保護層中に60質量%以上であることが好ましい。該導体層の外表面が外表面保護層となっているため、透明導電膜用のエッチャントに対する耐腐食性が向上する。
図1〜3を用いて本発明の補助配線付き基体について詳細に説明する。図1は本発明の補助配線付き基体を用いた有機EL素子の1例を示す一部切り欠き正面図であり、図2は図1のA−A線での断面図であり、図3は図1のB−B線での断面図である。補助配線付き基体は、ガラス基板1上に透明導電膜3を有し、該透明導電膜上にパターン化された下地層2a、導体層2bおよびキャップ層2cを含む補助配線2を有している。
補助配線付き基体を形成後、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を有する有機質層4を、透明導電膜3の上に形成する。カソードセパレータ(隔壁)を有する場合は、有機質層4の真空蒸着を行う前に、隔壁をフォトリソグラフにより形成する。カソード背面電極であるAl陰極5は、補助配線2、透明導電膜3、有機質層4が形成された後、透明導電膜3と直交するように、真空蒸着により形成する。次に、破線で囲まれた部分を樹脂封止して封止缶6とすることで有機EL素子を形成する。
上記のような形状を有する補助配線付き基体を形成する場合、図1〜3のとおり補助配線2と透明導電膜3とは異なったパターンを有するため、別々にパターニングをせざるをえない。その場合、まず透明導電膜をガラス基板全面に形成し、所望の形状にパターニングした後、補助配線の前駆体である積層体を形成しさらに積層体を所望の形状にパターニングして補助電極を作成する方法が考えられる。しかし、この方法では、2回のパターニングの間に成膜工程を挿入せざるを得ず、余分な装置が必要となり、生産性に劣る問題がある。
生産性向上のため、ガラス基板上に透明導電膜および積層体を形成後、まず積層体をパターニングし、その後透明導電膜をパターニングする方法が考えられる。この方法では、成膜を一括して行った後にパターニングを行うことができるため、生産性の向上を図ることが可能である。
透明導電膜を先にパターニングする方法では、パターニング時に補助配線が存在しないため、透明導電膜用のエッチャントに対する補助配線の耐久性等を考慮する必要性は生じない。しかし、前述したような、まずガラス基板上に透明導電膜および補助配線を形成する方法では、透明導電膜のパターニング時に補助配線が存在するため、透明導電膜用のエッチャントにパターニングされた補助配線がさらされることとなる。本発明においては、導体層の外表面が外表面保護層となっているため、透明導電膜用エッチャントに補助配線がさらされた場合に生じる補助配線の腐食や補助配線の抵抗の増大を防止できる。
透明導電膜用エッチャントとしては、酸化剤を含むものと酸化剤を含まないものとの2種が一般的に使用されている。酸化剤を含むものとしては、塩酸−硝酸の混酸となる王水系エッチャント、塩酸−塩化第二鉄系エッチャントなどが挙げられる。酸化剤を含まないものとしては、塩酸、臭化水素酸、または塩酸と臭化水素酸の混酸などが挙げられる。
補助配線の腐食を防止するため、透明導電膜をフォトリソグラフ法によりパターニングをする際に、レジストで補助配線を覆うことで、透明導電膜用のエッチャントに補助配線がさらされないようにすることも可能である。しかし、レジストに欠点がある可能性も否定できない。欠点が存在すると、そこから透明導電膜用エッチャントが浸透する問題がある。特に、レジストの欠点が補助配線の断面部に近いときには、下地層、導体層およびキャップ層の全てが透明導電膜用エッチャントにさらされ、補助配線の抵抗の増大の問題が生じる可能性がある。
一般的に、透明導電膜用エッチャントの内、酸化剤を含むものでは、補助電極中の全ての層が腐食することが多いが、酸化剤を含まない透明導電膜用エッチャントでは、下地層およびキャップ層の腐食は生じないことが多い。導体層は、酸化剤を含む、含まないにかかわらず透明導電膜用のエッチャントによって腐食される可能性が高い。
本発明者らは、上記内容に鑑み、導体層の外表面2b1に外表面保護層を形成することにより、また、透明導電膜用のエッチャントとして酸化剤を含まないエッチャントを用いることで、下地層、導体層およびキャップ層の腐食が抑制されることを見出した。導体層は下地層およびキャップ層で挟まれているため、導体層の大部分は露出しておらず、露出しているのはパターニングにより除去された補助配線の断面部である。導体層の外表面とは、上記補助配線の断面部を意味する。
よって、当該導体層の外表面を外表面保護層(好ましくはアルミナ層、特に好ましくはアルミナ水酸化物層、例えばベーマイト層)で保護することで、酸化剤を含まないエッチャントに対する補助配線の耐久性(以下、耐食性、または耐性ともいう)が格段に向上することを見出した。よって、透明導電膜をフォトリソグラフ法によりパターニングをする際、補助配線は腐食されず、補助配線の抵抗値が増大することがない。また、補助配線をレジストで覆う方法を用いる方法を併用する場合であっても、補助配線を覆ったレジストに欠点があったとしても、補助配線は腐食されず、補助配線の抵抗値が増大することがない。
外表面保護層の形成は、基体上に、透明導電膜、下地層、AlまたはAl合金を主成分とする導体層およびキャップ層をこの順に形成し、前記下地層、前記導体層および前記キャップ層をフォトリソグラフ法により一括してパターニングして補助配線付き基体を形成し、前記補助配線付き基体に熱処理、ベーマイト処理、紫外線−オゾン処理、陽極酸化処理および溶液中の酸化剤による処理、クロメート処理またはリン酸塩処理からなる群から選ばれる1種以上の処理(以下、保護処理ともいう)を施すことにより行うことができる。外表面保護層の形成は、層全体からすればごく一部であり、配線抵抗の増大は実用上全く問題ないレベルである。なお、外表面保護層の層厚は、エッチャントに対する保護の点で、外表面から1〜100nmであることが好ましい。
前記保護処理のうち、ベーマイト処理が、ITOエッチャントに対する耐食性、処理の容易性(生産性)等の点で好ましい。したがって、外表面保護層としては、水酸化水和物であるベーマイトがより好ましい。ベーマイト処理の方法としては、高温蒸気や加熱純水を用いることができる。また、純水にアンモニアやアルミン酸塩を添加することにより効果的にベーマイトを形成できる。
本発明に使用される基体は、必ずしも平面で板状である必要はなく、曲面でも異型状でもよい。基体としては、透明または不透明のガラス基板、セラミック基板、プラスチック基板、金属基板などが挙げられる。ただし、基体側から発光させる構造の有機EL素子に用いる場合には、基体は透明であることが好ましく、特にガラス基板が強度および耐熱性の点から好ましい。ガラス基板としては、無色透明なソーダライムガラス基板、石英ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、無アルカリガラス基板が例示される。有機EL素子に用いる場合のガラス基板の厚さは0.2〜1.5mmであることが、強度および透過率の点から好ましい。
本発明の配線付き基体の導体層(外表面保護層形成前)は、AlまたはAl合金を主成分とする層であり、AlまたはAl合金が、導体層中に90質量%以上、特に95質量%以上であることが好ましい。導体層には、不純物としてTi、Mn、Si、Na、Oが含有されていてもよく、その含有量は合計で5質量%以下、特に1質量%以下であることが好ましい。Al合金としては、Al−Nd合金であることが、配線を低抵抗に保持したまま、ヒロックを発生しにくくすることができる点で好ましい。また、導体層の材料をAl−Nd合金とすると、導体層の表面粗度が低下し、キャップ層による被覆性がよくなり、導体層の露出が抑えられるので、補助配線のITOのエッチャントに対する耐久性や耐アルカリ性をさらに向上させることができる。
導体層(外表面保護層形成前)を構成するAl−Nd合金層のAl含有率は、配線の抵抗を低くする点から、導体層の全成分に対して94〜99.9原子%であることが好ましく、Nd含有率は全成分に対して0.1〜6原子%であることが好ましい。Nd含有率が高くなるほど、成膜直後の抵抗が増大するが、有機EL表示素子などにおいては、一般的に補助配線形成後に表示素子形成のための熱処理を行う必要があり、成膜後に熱処理を行うことにより、Alと同等の抵抗まで低下させることができる。Nd含有率が0.1原子%より少ないと耐ヒロック性が充分でなく、6原子%を超えると、熱処理後の抵抗がAlの抵抗よりも増大する。
導体層の膜厚は、充分な導電性や良好なパターニング性が得られるように100〜500nmであることが好ましく、150〜400nmであることがより好ましい。
キャップ層は、特に限定されないが、MoまたはMo合金を主成分とする層であることが好ましい。MoまたはMo合金を主成分とするキャップ層は、導体層であるAlまたはAl合金を主成分とする層と同じエッチャントでほぼ同じ速度でエッチングすることができ、キャップ層と導体層とを一括してパターニングすることが可能となるからである。また、MoまたはMo合金を主成分とするキャップ層は、透明導電膜用の酸化剤を含まないエッチャントに対して耐性が高いので、透明導電膜をフォトリソグラフ法によりパターニングする際に、キャップ層が腐食しないという利点もある。キャップ層中のMoまたはMo合金の含有率は、90〜100原子%であることが好ましい。
Mo合金は、Ni−Mo合金であることが好ましい。Ni−Mo合金層は耐湿性が優れるので、得られた補助配線付き基体を用いた電子装置の信頼性を向上させることができる。Ni−Mo合金層のエッチング速度は、エッチャントの種類に応じてNiとMoの組成比を変えて、容易に調整することができる。Niに対するMoの比率が大きい方が、該速度が速くなる。
キャップ層の組成がNi−Mo合金である、つまりキャップ層がNi−Mo合金層である場合、キャップ層中のNi含有率は、全成分に対して好ましくは30〜95原子%、より好ましくは65〜85原子%である。Ni含有率が30原子%未満であるとキャップ層の耐湿性が充分でなく、95原子%を超えるとエッチング速度が遅く、導体層のエッチング速度と同程度に調整することが困難になる。またキャップ層のMoの含有率は、全成分に対して好ましくは5〜70原子%、より好ましくは15〜35原子%である。Moの含有率が5原子%未満であるとエッチング速度が遅く、導体層のエッチング速度と同程度に調整することが困難になり、70原子%を超えるとキャップ層の耐湿性が充分でなくなる。キャップ層中のNiおよびMoの合計含有率は90〜100原子%であることが好ましい。
キャップ層がNi−Mo合金層である場合、Fe、Ti、V、Cr、Co、Zr、Nb、Ta、W、Alなどの金属の1種または2種以上を、エッチング性などを劣化させない範囲、例えば、全成分に対して10原子%以下でキャップ層中に含有していてもよい。
前記キャップ層の膜厚は、導体層を保護するバリア膜としての機能およびパターニング性の観点から好ましくは10〜200nmであり、より好ましくは15〜60nmである。
下地層は、特に限定されないが、MoまたはMo合金を主成分とする層であることが好ましい。MoまたはMo合金を主成分とする下地層は、導体層であるAlまたはAl合金を主成分とする層と同じエッチャントでほぼ同じ速度でエッチングすることができるからであり、下地層と導体層とが一括してパターニングすることが可能となるからである。また、MoまたはMo合金を主成分とする下地層は、透明導電膜用の酸化剤を含まないエッチャントに対して耐性が高いので、透明導電膜をフォトリソグラフ法によりパターニングする際に、下地層が腐食しないという利点もある。下地層中のMoまたはMo合金の含有率は、90〜100質量%であることが好ましい。
Mo合金としては、Ni−Mo合金であることが好ましい。Ni−Mo合金層は耐湿性が優れるので、得られた配線付き基体を用いた電子装置の信頼性を向上させることができる。Ni−Mo合金層のエッチング速度は、エッチャントの種類に応じてNiとMoの組成比を変えて、容易に調整することができる。Niに対するMoの比率が大きい方が、該速度が速くなる。
下地層がNi−Mo合金層である場合、下地層中のNi含有率は、全成分に対して好ましくは30〜95原子%、より好ましくは65〜85原子%である。Ni含有率が30原子%未満であるとNi−Mo合金層の耐湿性が充分でなく、95原子%を超えるとエッチング速度が遅く、導体層のエッチング速度と同程度に調整することが困難になる。またNi−Mo合金層のMoの含有率は、全成分に対して好ましくは5〜70原子%、より好ましくは15〜35原子%である。Moの含有率が5原子%未満であるとエッチング速度が遅く、導体層のエッチング速度と同程度に調整することが困難になり、70原子%を超えるとNi−Mo合金層の耐湿性が充分でなくなる。下地層中のNiおよびMoの合計含有率は90〜100原子%であることが好ましい。
下地層がNi−Mo合金層である場合、耐湿性向上等の目的で、Fe、Ti、V、Cr、Co、Zr、Nb、Ta、W、Alなどの金属の1種または2種以上を、エッチング性などを劣化させない範囲、例えば、全成分に対して10原子%以下で下地層中に含有していてもよい。
前記下地層の膜厚は、導体層を保護するバリア膜としての機能およびパターニング性の観点から好ましくは10〜200nmであり、より好ましくは15〜60nmである。
前記下地層、導体層およびキャップ層はスパッタ法により形成されることが耐食性および生産性の点で好ましい。また、リン酸−硝酸−酢酸−水の混酸を用いて、フォトリソグラフ法によりパターニングを行うことで補助配線を形成することが好ましい。
本発明の補助配線付き基体は、キャップ層(例えば、Ni−Mo合金層のようにNiを含む層である場合)と導体層との間、および/または導体層と下地層(例えば、Ni−Mo合金層のようにNiを含む層である場合)との間に、Niを含まないNi拡散防止層を有していてもよい。
キャップ層および/または下地層がNiを含有し、導体層とキャップ層とが接しているときおよび/または導体層と下地層とが接しているときに熱処理すると、キャップ層および/または下地層からNiが導体層に拡散し、導体層の抵抗が増大する。該抵抗の増大は、Ni拡散防止層の形成により防止することができる。Ni拡散防止層もスパッタ法により形成されるのが好ましい。
Ni拡散防止層の膜厚はバリア性およびパターニング性の観点から10〜200nmが好ましく、15〜50nmがより好ましい。
Ni拡散防止層は、キャップ層および導体層と一括エッチングできる点から、Moを主成分とするMo系金属層であることが好ましい。具体的には、Mo、Mo−Nb合金、Mo−Ta合金などが挙げられる。該Mo系金属層のMo含有率は、80〜100原子%であることが好ましい。また、該Mo系金属層のNbまたはTa含有率は、0〜20原子%であることが好ましい。
本発明の補助配線付き基体は、キャップ層(例えば、Ni−Mo合金層のようにNiを含む層である場合)を、酸化、窒化、酸窒化、酸炭化または酸窒炭化などの処理をする、つまり、キャップ層形成時にそのような処理を施すことによっても、前記Ni拡散防止層と同様に抵抗増大を防止することができる。該処理は、Ni−Mo合金層をスパッタリングにより形成する時に、スパッタガスとして、O、N、CO、COなどの反応性ガスとArガスとの混合ガスを用いる方法により実施される。反応性ガスの含有率は、Ni拡散防止効果の観点から5〜50体積%であることが好ましく、20〜40体積%であることがより好ましい。
本発明の配線付き基体は、その下地層に、キャップ層と同じように酸化、窒化、酸窒化、酸炭化または酸窒炭化などの処理を施してもよい。その効果や好ましい範囲はキャップ層と同じである。
本発明の配線付き基体は、透明導電膜を有する。透明導電膜はパターニングされ、透明電極(陽極)として機能する。透明導電膜の膜厚は50〜300nmが好ましく、100〜200nmがより好ましい。
本発明における透明導電膜は、ITO層(酸化インジウムと酸化スズとの混合物)またはIZO層(酸化インジウムと酸化亜鉛との混合物)であることが好ましい。特に、ITO層であることが好ましい。ITO層は、補助配線のパターニングに使用されるリン酸−硝酸−酢酸−水の混酸に対する耐性が高く、補助配線の形成時に透明導電膜が腐食しないので好ましい。
ITO層は、例えばガラス基板上にエレクトロンビーム法、スパッタ法、イオンプレーティング法などを用いて成膜することにより形成される。ITO層は、例えばInとSnOとの総量に対して、SnOが3〜15質量%含有されるITOターゲットを用いて、スパッタリング法により成膜するのが好ましい。形成されたITO層の組成も、InとSnOとの総量に対して、SnOが3〜15質量%含有されることが好ましい。スパッタリングガスはOとArの混合ガスであることが好ましく、Oガス濃度はスパッタリングガス中に0.2〜2体積%であることが好ましい。
本発明の補助配線付き基体は、透明導電膜と基体との間に、シリカ層を有していてもよい。該シリカ層は、基体と接していても、接していなくてもよい。該シリカ層は、通常シリカターゲットを用いて、スパッタリングして形成される。基体がガラス基板の場合は、ガラス基板中のアルカリ成分が導体層や有機EL層に移行して導体層や有機EL層が劣化するのを防止する。膜厚は5〜30nmであることが好ましい。
次に、本発明の配線付き基体を用いて有機EL素子を作製する好適例を、図1〜3を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。
まずガラス基板1上にシリカ層(図示せず)を形成し、次いで透明導電膜3を形成する。次に、透明導電膜3の上に、下地層2aとしてのNi−Mo合金層、Ni拡散防止層としてのMo−Nb合金層(図示せず)、導体層2bとしてのAl−Nd合金層、さらにNi拡散防止層としてのMo−Nb合金層(図示せず)、キャップ層2cとしてのNi−Mo合金層からなる積層体を、この順序でスパッタリング法により形成する。
該積層体の上にフォトレジストを塗布し、フォトレジストのパターンに従って、金属層の不要部分を、リン酸−硝酸−酢酸−水の混酸を用いてエッチングし、レジストを剥離して、Ni−Mo合金層(下地層)2a、Mo−Nb合金層(Ni拡散防止層、図示せず)、Al−Nd合金層(導体層)2b、Mo−Nb合金層(Ni拡散防止層、図示せず)およびNi−Mo合金層(キャップ層)2cからなる補助配線2が形成される。
次に、補助配線付き基体に外表面保護処理を施すことにより、導体層の外表面に外表面保護層が形成される。
続いて、該補助配線およびITO層の上にフォトレジストを塗布し、フォトレジストのパターンに従って、ITO層の不要部分を、臭化水素酸を用いてエッチングし、ITO陽極3を形成する。その後、補助配線付き基板全体を、紫外線−オゾン処理して有機物汚れを除去する。
次に正孔輸送層、発光層、電子輸送層を有する有機質層4を、ITO陽極3の上に形成する。カソードセパレータ(隔壁)を有する場合は、有機質層4の真空蒸着を行う前に、隔壁をフォトリソグラフにより形成する。
カソード背面電極であるAl陰極5は、補助配線2、ITO陽極3、有機質層4が形成された後、ITO陽極3と直交するように、真空蒸着により形成する。次に、破線で囲まれた部分を樹脂封止して封止缶6とし、有機EL素子を形成する。
本発明の補助配線付き基体は、補助配線の導体層の外表面を外表面保護層で被覆することにより、透明導電膜用のエッチャントに対する補助配線の耐性が向上しているので、透明導電膜をエッチングして透明電極を得る場合に、補助配線の腐食が抑制され、補助配線の抵抗が増大することがない。
以下、実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。例1〜例9は、下地層、導体層、拡散防止層、キャップ層に用いられる各膜のエッチング速度を測定したものである。また、例11と13が実施例である。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されないことは言うまでもない。
(例1)
厚さ0.7mm×縦100mm×横100mmのソーダライムガラス基板を洗浄後、スパッタ装置にセットし、シリカターゲットを用いて、高周波マグネトロンスパッタ法により、厚さ20nmのシリカ層を該基板の上に形成し、シリカ層付きガラス基板を得る。
次に、ITO(InとSnOとの総量に対してSnO10質量%含有)ターゲットを用い、直流マグネトロンスパッタ法により、厚さ150nmのITO層を形成して、ITO層付きガラス基板を得る。ITO層の組成はターゲットと同等である。スパッタガスには、Oガスを0.5体積%含有するArガスを用いる。スパッタガス圧は0.4Paであり、電力密度は3W/cmである。また、基板温度は300℃である。
形成されたITO層のエッチング速度を測定して結果を表1に示す。エッチング速度は、40℃の48%臭化水素酸水溶液の中にサンプルを浸漬し、膜が完全に溶出するまでの時間と膜厚から求める。5分間浸漬しても膜の溶出が見られないものは、エッチング不可とする。
(例2)
例1において形成したシリカ層付きガラス基板の上に、原子百分率(%)が74:22:4のNi−Mo−Fe合金ターゲットを用いて、スパッタガスはCOガスを33体積%含有するAr+CO混合ガスとし、直流マグネトロンスパッタ法により、厚さ100nmのNi−Mo合金層(Ar+CO成膜)を形成する。形成された膜の組成はターゲットと同等である。背圧は1.3×10−3Pa、スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。形成されたNi−Mo合金層のエッチング速度を例1と同様に測定して結果を表1に示す。
(例3)
例1において形成したシリカ層付きガラス基板の上に、Alターゲットを用いて、直流マグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気で、厚さ100nmのAl層を形成する。形成された膜の組成はターゲットと同等である。背圧は1.3×10−3Pa、スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。形成されたAl層のエッチング速度を例1と同様に測定して結果を表1に示す。
(例4)
例3と同様な方法によりAl層付きガラス基板を形成後、紫外線−オゾン処理を施す。次に、そのエッチング速度を例1と同様に測定して結果を表1に示す。
(例5)
例1において形成したシリカ層付きガラス基板の上に、原子百分率(%)が99.8:0.2のAl−Nd合金ターゲットを用いて、直流マグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気で、厚さ100nmのAl−Nd合金層を形成する。形成された膜の組成はターゲットと同等である。背圧は1.3×10−3Pa、スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。形成されたAl−Nd合金層のエッチング速度を例1と同様に測定して結果を表1に示す。
(例6)
例5と同様な方法によりAl−Nd合金層付きガラス基板を形成後、紫外線−オゾン処理を施す。次に、そのエッチング速度を例1と同様に測定して結果を表1に示す。
(例7)
例1において形成したシリカ層付きガラス基板の上に、原子百分率(%)が90:10のMo−Nb合金ターゲットを用いて、直流マグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気で、厚さ100nmのMo−Nb合金層を形成する。形成された膜の組成はターゲットと同等である。背圧は1.3×10−3Pa、スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。形成されたMo−Nb合金層のエッチング速度を例1と同様に測定して結果を表1に示す。
(例8)
例1において形成したシリカ層付きガラス基板の上に、原子百分率(%)が74:22:4のNi−Mo合金ターゲットを用いて、Arガス雰囲気で、直流マグネトロンスパッタ法により、厚さ100nmのNi−Mo合金層(Arのみ成膜)を形成する。形成された膜の組成はターゲットと同等である。背圧は1.3×10−3Pa、スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。形成されたNi−Mo合金層のエッチング速度を例1と同様に測定して結果を表1に示す。
(例9)
例1において形成したシリカ層付きガラス基板の上に、Moターゲットを用いて、直流マグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気で、厚さ100nmのMo層を形成する。形成された膜の組成はターゲットと同等である。背圧は1.3×10−3Pa、スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。形成されたMo層のエッチング速度を例1と同様に測定して結果を表1に示す。
Figure 2007029756
表1から、ITOエッチャントとして臭化水素酸を用いたときには、Ni−Mo合金層(Ar+CO2成膜)、Mo−Nb合金層、Ni−Mo合金層(Arのみ成膜)およびMo層は、ITOエッチャントに対して高い耐性を有することがわかる。一方、Al層およびAl−Nd合金膜は、ITOエッチャントにより速いエッチング速度で腐食するが、表面を酸化しアルミナ層で保護することにより、ITOエッチャントに対する耐性が向上することがわかる。なお、例1〜9は単独の膜に対するエッチング速度を測定して結果を表1に示すが、ソーダライムガラス基板上にシリカ層を形成し、下地層、導体層、拡散防止層、キャップ層に用いられる各膜を積層してエッチング速度測定を行っても同様の結果が得られることを確認した。
(例10)(比較例)
例1において形成したITO層付きガラス基板の上に、原子百分率(%)が74:22:4のNi−Mo−合金ターゲットを用いて、スパッタガスはCOガスを33体積%含有するArガスとし、直流マグネトロンスパッタ法により、厚さ50nmのNi−Mo合金層(下地層)を形成する。層の組成はターゲットと同等である。背圧は1.3×10−3Pa、スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。
次に、前記下地層の上に、原子百分率(%)が99.8:0.2のAl−Nd合金ターゲットを用いて、直流マグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気で、厚さ370nmのAl−Nd合金膜(導体層)を形成する。膜の組成はターゲットと同等である。スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmであった。また、基板の加熱はしない。
続いて、該導体層の上に、原子百分率(%)が90:10のMo−Nb合金ターゲットを用いて、直流マグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気で、厚さ30nmのMo−Nb合金層(Ni拡散防止層)を形成する。該層の組成はターゲットと同等である。スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。
さらに、該Ni拡散防止層の上に、原子百分率(%)が74:22:4のNi−Mo−Fe合金ターゲットを用いて、Arガス雰囲気で、直流マグネトロンスパッタ法により、厚さ50nmのNi−Mo合金層(キャップ層)を形成し、積層体を得る。該層の組成はターゲットと同等である。積層体を得る。スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。なお、下地層、導体層、Ni拡散防止層およびキャップ層の形成は、大気中に取り出すことなく連続して行う。
形成された積層体を、ライン/スペースが30μm/90μmのマスクパターンを用い、フォトリソグラフ法により、リン酸(HPO85質量%水溶液):硝酸(HNO60質量%水溶液):酢酸(CHCOOH99質量%含有):水が体積比で16:1:2:1の割合で混合したエッチング液を用いてパターニングを行い、補助配線付き基体を形成する。
次いで、40℃の48%臭化水素酸水溶液の中に補助配線付き基体を5分間浸漬し、配線の臭化水素酸に対する耐性を評価し、結果を表2に示す。臭化水素酸に対する耐性評価は、配線を光学顕微鏡(倍率100倍)により観察し、腐食が認められないものを○、腐食が認められるものを×とする。
(例11)(実施例)
例10と同様な方法により補助配線付き基体を形成後、補助配線付き基体に紫外線−オゾン処理を施す。補助配線の導体層の外表面がアルミナ層で被覆された補助配線付き基体を得る。次いで、例10と同様な方法により、臭化水素酸に対する耐性の評価を行い、結果を表2に示す。アルミナ層の形成は、ESCA等の分析により方法により判断できる。
(例12)(比較例)
例1において形成したITO層付きガラス基板の上に、Moターゲットを用いて、直流マグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気で、厚さ50nmのMo層(下地層)を形成する。背圧は1.3×10−3Pa、スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。
次に、前記下地層の上に、Alターゲットを用いて、直流マグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気で、厚さ370nmのAl層( 導体層)を形成する。スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。
続いて、該導体層の上に、Moターゲットを用いて、Arガス雰囲気で、直流マグネトロンスパッタ法により、厚さ50nmのMo層(キャップ層)を形成し、積層体を得る。スパッタガス圧は0.3Paであり、電力密度は4.3W/cmである。また、基板の加熱はしない。なお、下地層、導体層およびキャップ層の形成は、大気中に取り出すことなく連続して行う。
形成された積層体を、例10と同様な方法により処理して、補助配線付き基体を形成する。次いで、例10と同様な方法により、臭化水素酸に対する耐性の評価を行い、結果を表2に示す。
(例13)(実施例)
例12と同様な方法により補助配線付き基体を形成後、補助配線付き基体に紫外線−オゾン処理を施し、補助配線の導体層の側面がアルミナ層で被覆された補助配線付き基体を得る。次いで、例10と同様な方法により、臭化水素酸に対する耐性の評価を行い、結果を表2に示す。
なお、例11および例13の補助配線付き基体の抵抗値はそれぞれ良好であり、例10および例12の補助配線付き基体の抵抗値はそれぞれ増大している。
Figure 2007029756
表2から、補助配線形成後に酸化処理を施していない例10および例12では、導体層の側面がアルミナ層で被覆されていないため、臭化水素酸に対する耐性が低いことがわかる。一方、紫外線−オゾン処理を施した例11および例13では、導体層の側面がアルミナ層で被覆され、臭化水素酸に対する耐性が向上していることがわかる。
本実施例において、基板にソーダライム硝子を用いたが、無アルカリガラスを用いる場合は、シリカ層を形成する必要がない。また、膜形成後の酸化処理を紫外線―オゾン処理替えてベーマイト処理としても結果は同様であり、導体層の側面がアルミナ層で被覆され、臭化水素酸に対する耐性が向上していることを確認した。
本発明の補助配線付き基体は、導体層の外表面にアルミナ層を形成しているので補助配線の腐食が抑制される。また、補助配線の抵抗が増大せず、有機ELディスプレィ等のフラットパネルディスプレィに有用である。

なお、2005年9月7日に出願された日本特許出願2005−259356号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (16)

  1. 基体上に透明導電膜を有し、該透明導電膜上にパターン化された下地層、AlまたはAl合金を主成分とする導体層およびキャップ層をこの順に含む補助配線を有する補助配線付き基体であって、前記導体層の外表面がAlの酸化物層、Al合金の酸化物層、クロムの酸化物を主成分とする層、またはリン酸塩を主成分とする層とされてなることを特徴とする補助配線付き基体。
  2. 前記導体層の外表面がAlの酸化物層、またはAl合金の酸化物層である請求項1に記載の補助配線付き基体。
  3. 前記導体層が、Al−Nd合金を主成分とし、かつNdの含有率が全成分に対して0.1〜6原子%である請求項1または2に記載の補助配線付き基体。
  4. 前記キャップ層がMoまたはMo合金を主成分とする層である請求項1〜3のいずれかに記載の補助配線付き基体。
  5. 前記キャップ層がNi−Mo合金を主成分とする層である請求項1〜4のいずれかに記載の補助配線付き基体。
  6. 前記下地層がMoまたはMo合金を主成分とする層である請求項1〜5のいずれかに記載の補助配線付き基体。
  7. 前記下地層がNi−Mo合金を主成分とする層である請求項1〜6のいずれかに記載の補助配線付き基体。
  8. 前記導体層と前記キャップ層との間および/または前記導体層と前記下地層との間に、Niを含まないNi拡散防止層を有する請求項1〜7のいずれかに記載の補助配線付き基体。
  9. 前記Ni拡散防止層がMo、Mo−Nb合金またはMo−Ta合金を主成分とする層である請求項8に記載の補助配線付き基体。
  10. 前記透明導電膜がITO層(酸化インジウムと酸化スズとの混合物)またはIZO層(酸化インジウムと酸化亜鉛との混合物)である請求項1〜9のいずれかに記載の補助配線付き基体。
  11. 基体上に、透明導電膜、下地層、AlまたはAl合金を主成分とする導体層およびキャップ層をこの順に形成し、
    前記下地層、前記導体層および前記キャップ層をフォトリソグラフ法により一括してパターニングして補助配線付き基体を形成し、
    前記補助配線付き基体に酸化処理を施すことを特徴とする補助配線付き基体の製造方法。
  12. 前記酸化処理を施した後、透明導電膜用のエッチャントを用いて、前記透明導電膜に平面状にパターニングを施す請求項11に記載の補助配線付き基体の製造方法。
  13. 前記酸化処理が、熱処理、ベーマイト処理、紫外線−オゾン処理、陽極酸化処理および溶液中の酸化剤による処理からなる群から選ばれる1種以上の処理である請求項11に記載の補助配線付き基体の製造方法。
  14. 基体上に、透明導電膜、下地層、AlまたはAl合金を主成分とする導体層およびキャップ層をこの順に形成し、
    前記下地層、前記導体層および前記キャップ層をフォトリソグラフ法により一括してパターニングして補助配線付き基体を形成し、
    前記補助配線付き基体にクロメート処理またはリン酸塩処理の1種以上の保護処理を施すことを特徴とする補助配線付き基体の製造方法。
  15. 前記保護処理を施した後、透明導電膜用のエッチャントを用いて、前記透明導電膜に平面状にパターニングを施す請求項14に記載の補助配線付き基体の製造方法。
  16. 前記透明導電膜用のエッチャントが、非酸化性の酸であることを特徴とする請求項12または15に記載の補補助配線付き基体の製造方法。
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