JPWO2006132208A1 - フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法及びその重合体 - Google Patents

フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法及びその重合体 Download PDF

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Abstract

剪断混練装置、好ましくは押出機を用いて(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールを混合し、エステル交換反応させてフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造し、更に押出機から連続して前記重合体を押し出し、ペレット化するフッ素樹脂の製造方法は、特殊な重合設備を必要とせず、短時間でフッ素樹脂を製造できる。

Description

本発明は、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法及びそれにより製造されるフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体に関する。
近年、有機フッ素化合物が有する低屈折率、撥水性、摺動性といった様々な特徴が明らかとなり、高分子の分子構造にフッ素原子を導入することにより、既存の炭化水素系プラスチックスよりも耐熱性、耐候性、電気特性、摺動性、耐薬品性、撥水・撥油性、機械特性が向上することが知られている。これまでに、ポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデンに代表される、様々なフッ素樹脂が上市されている。
また、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は非常に安価な汎用性樹脂であり、これを原料として用いて、特定の官能基を導入することにより新規な樹脂が得られることも提案されている。フッ素原子を導入した(メタ)アクリル酸エステル系重合体も知られており、光学材料等の工業材料として使用されている(例えば、特許文献1参照)。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体に、フッ素原子を導入する方法としては二通りあり、フッ素原子で置換した(メタ)アクリル単量体を重合する方法(例えば、特許文献2、3参照。)のようなモノマーから製造する方法と、(メタ)アクリル酸系重合体又は(メタ)アクリル酸エステル系重合体をフッ素原子含有アミンと反応させる方法(例えば、特許文献4、5参照。)のような既存の高分子を利用する方法とが提案されている。しかし、前者の方法によれば特殊な重合設備が必要であり、後者の方法によれば高価でかつ毒性が高いフッ素原子含有アミンを使用するという問題がある。
また、各種成分を含む混合溶液から目的成分を分離、精製する際に使用される分離剤として使用されるフッ素樹脂の製造方法として、アルキレンジ(メタ)アクリレート等の架橋成分と、重合性のビニル基またはイソプロペニル基と官能基を有するエステルとを共重合させた共重合体を得て、該官能基を、フルオロアルコール等のフッ素原子を含む化合物によって化学修飾する方法が知られている(特許文献6参照。)。さらに、電子写真法等に使用される正電荷像現像用トナーの製造方法として、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を構成成分とし、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有する重合体に、2,2,2−トリフルオロエタノール等のアルコールを反応させてエステル化する方法も知られている(特許文献7参照。)。
しかし、従来、上記のようなフッ素樹の製造は、特殊な重合設備が必要であったり、又は重合時間が長時間必要であるのが一般的であった。
特開昭58−193501号公報 特公昭55−23567号公報 特開平11−255829号公報 特開平7−118339号公報 特開平3−243609号公報 特開昭62−54162号公報 特開平3−168650号公報
本発明は、特殊な重合設備を必要とせず、生産性よくフッ素原子含有樹脂を製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明に係るフッ素樹脂の製造方法は、剪断混練装置を用いて(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールを混合してエステル交換反応させることで、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造する方法である。
前記剪断混練装置としては、押出機が好適に使用できる。
前記混合によるエステル交換反応は、溶剤不在下および溶剤存在下のいずれにおいても行うことができる。
また、前記混合によるエステル交換反応は、エステル交換触媒の存在下で行うことが好ましい。さらに、この場合、フッ素原子含有アルコールとエステル交換触媒とを事前に混合した後、剪断混練装置に供給し、(メタ)アクリル酸エステル系重合体と混合してエステル交換反応させることが好ましい。
本発明に係るフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、上記の如く、剪断混練装置を用いて(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールを混合してエステル交換反応させることにより得られる。
本発明によれば、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールとを、剪断混練装置で混合するだけであり、特殊な重合設備を必要とせず、生産性よくフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造することが可能となり、有用である。
剪断混練装置として押出機を用いた場合には、混合によるエステル交換反応に引き続いて、反応により生成したフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の樹脂ペレットを製造することができ、さらに生産効率がよい。
また、前記混合によるエステル交換反応を溶剤不在下にて行うことで、反応後に溶剤を脱揮する工程を必要とせず、連続的にフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体、更には該重合体からなる樹脂ペレットを製造することが可能となり、生産性が向上する。
一方、前記混合によるエステル交換反応を溶剤存在下にて行うことで、粘稠なフッ素原子含有アルコールを使用する場合でも、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールとを容易に均一に混合でき、反応効率よく、かつ容易にフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造することができる。
また、前記混合によるエステル交換反応をエステル交換触媒存在下で行うことにより、反応効率が向上する。また、フッ素原子含有アルコールとエステル交換触媒とを、剪断混練装置への供給前に予め混合しておくことにより、空気中での取扱いが難しい触媒の利用が容易となる。
本発明は、剪断混練装置を用いて、(メタ)アクリル酸エステル系重合体と下記一般式(1)で表されるフッ素原子含有アルコールを混合し、エステル交換反応させることを特徴とする、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法である。
f(CH2nOH 一般式(1)
(但し、Rfは少なくとも1個以上のフッ素原子を含有する炭素数1〜15のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基であり、nは0〜10の整数を表す。)
本発明で使用する(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、特に限定はないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマーからなる重合体、及びこれら(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの共重合体が挙げられる。これらの中で、反応性の観点ならびにコストから考えると、メチルメタクリレートが好ましい。
また、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体には、(メタ)アクリル酸、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸等、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと共重合可能なモノマーが共重合されていてもよい。
本発明で用いることができるフッ素原子含有アルコールは、下記一般式(1)で表すことができる。
f(CH2nOH 一般式(1)
(ここで、Rfは1個以上のフッ素原子を含有する炭素数1〜15のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基であり、nは0〜10の整数を表す)
前記一般式(1)中のRfは、1個以上のフッ素原子を含有する炭素数1〜15のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基であれば、特に制限はない。
なお、フルオロアルキル基としては、例えばCF3(CF2b(bは0〜14の整数)やCF2H(CHF)c(CF2d(c,dはそれぞれ0以上の整数で、c+d=0〜14)のような直鎖構造のものであってもよいし、(CF33Cのような分岐構造のものであってもよい。
また、フルオロアルキルエーテル基も、例えばCF3O(CF2eO(CF2f(e+f=1〜14の整数で、eは1以上の整数)やCF2HO(CHF)gO(CF2h(g+h=1〜14の整数で、gは1以上の整数)のような直鎖構造のものでもよいし、(CF33CO(CF2j(jは0〜10の整数)のような分岐構造のものであってもよい。
一方、前記一般式(1)で表されるフッ素原子含有アルコール中で、繰返し単位数を表すnは、0〜10の整数であればよいが、電子吸引性が非常に高いフッ素原子により反応性が低下することを防ぐために、特にnは2以上であることが好ましい。
フッ素原子含有アルコールとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロ−1−エタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、7,7,8,8,8−ペンタフルオロ−1−オクタノール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキサノール、4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−1−ヘプタノール、7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナフルオロ−1−デカノール、2−パーフルオロプロポキシ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、2−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、3−(パーフルオロオクチル)プロパノール、6−(パーフルオロオクチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、1H,1H−2,5−ジ(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサウンデカフルオロノナノール、6−(パーフルオロ−1−メチルエチル)−ヘキサノール、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−エタノール、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−エタノール、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−エタノール、1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロパノール等を例示できる。
本発明におけるフッ素原子含有アルコールの使用量は、剪断混練装置による混合によりエステル交換反応が進行する限り、どのような範囲であっても構わないが、(メタ)アクリル酸エステル系重合体中におけるエステル基のモル数(A)に対するフッ素原子含有アルコールのモル数(B)の比{(B)/(A)}が、通常0.01〜2.0の範囲となる量が好ましく、0.02〜1.5の範囲がより好ましい。フッ素原子含有アルコールの使用量がこの範囲より少ない場合は反応の進行が困難になり、また多い場合は、反応に関与しないフッ素原子含有アルコール量が増大して、製造コストの上昇に繋がる。
本発明で用いられる剪断混練装置としては、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、フッ素原子含有アルコール、及び必要により触媒や添加剤を加えた混合物を混合できるものであれば特に制限はなく、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができる。押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機等のスクリュー押出機、ハイドロダイナミック押出機、ラム式連続押出機、ロール式押出機、ギア式押出機等を挙げることができるが、これらの中でスクリュー押出機、特に二軸押出機が、混合および反応の効率の観点から好ましい。二軸押出機には、非噛合い型同方向回転式、噛合い型同方向回転式、非噛合い型異方向回転式、噛合い型異方向回転式があるが、これらの中でも、噛合い型同方向回転式が、高速回転が可能であり、(メタ)アクリル酸エステル系重合体に対するフッ素原子含有アルコールの混合及び両者の反応を促進できることから好ましい。より好ましい剪断混練装置は、脱気効率の良い脱気口を1つ以上備える二軸押出機である。これらの押出機は単独で用いても、複数の押出機を直列につないでも使用してもよい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体、フッ素原子含有アルコール及び必要により添加されるその他の成分の混合順は特に限定されない。
押出機により(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールとを混合してエステル交換反応によりフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造する場合には、反応生成物であるフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体を、例えば、前記押出機出口に設けられたダイスからストランドとして押し出し、冷却後、ペレタイザ等でペレット化することで、反応工程に引き続いて該重合体の樹脂ペレットを製造することができ、生産効率が極めて高い。
また、剪断混練装置としては、前記のような押出機以外に、例えば、住友重機械工業(株)製のバイボラックのような横型二軸反応装置やスーパーブレンドのような竪型二軸攪拌槽等の高粘度対応の反応装置も好適に使用できる。
本発明においては、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールのエステル交換反応を促進させる目的で、エステル交換触媒存在下で、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールを反応させること、すなわち、剪断混練装置内における(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールとの混合物中にエステル交換反応触媒が含まれていることが好ましい。
エステル交換触媒とは、エステル基の置換基を変換するエステル交換反応を促進する物質である。本発明においてエステル交換触媒は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体のエステル基の置換基をフッ素原子含有アルコールと変換し、(メタ)アクリル酸エステル系重合体からフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体を生成する反応を促進する。本発明では、一般的に使用されているエステル交換触媒がいずれも使用可能であり、例えばアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、ルイス酸等が例示される。
前記アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸フランシウム等が挙げられるが、特に炭酸カリウムと炭酸セシウムが好ましい。
また、アルカリ金属重炭酸塩としては、重炭酸リチウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸ルビジウム、重炭酸セシウム、重炭酸フランシウム等が挙げられるが、特に重炭酸カリウムが好ましい。
また、ルイス酸とは、電子対を受容できる化合物であり、具体的にはスズ系化合物、亜鉛系化合物、イッテルビウム系化合物、チタン系化合物、バナジウム系化合物、ジルコニウム系化合物、ハフニウム系化合物、スカンジウム系化合物、マンガン系化合物、ニッケル系化合物、サマリウム系化合物、カドミウム系化合物、コバルト系化合物、アルミニウム系化合物、インジウム系化合物、ランタン系化合物等の電子対受容可能な金属化合物が挙げられ、特にチタン系化合物、バナジウム系化合物、ジルコニウム系化合物、ハフニウム系化合物、スカンジウム系化合物が好ましい。
さらに、前記金属化合物の中でも、反応率向上の点から考えると、塩化バナジウム系化合物、塩化チタン系化合物、塩化ジルコニウム系化合物、塩化ハフニウム系化合物等の金属塩化物系化合物が好ましい。例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、チタンジクロロジイソプロポキシド、バナジルクロライド(VOCl2)、塩化ジルコニウム、塩化ハフニウム等を例示できる。その中でも、反応速度が高いという点から四塩化チタンがより好ましい。
また、空気中での取り扱い易さという点からは、前記塩化バナジウム系化合物、塩化チタン系化合物、塩化ジルコニウム系化合物、塩化ハフニウムは、テトラヒドロフラン錯体であるものが好ましい。例えば、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウム、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)チタン、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ハフニウム等を例示できる。
また、同様の理由からアセチルアセトナート錯体を用いることも考えられる。例えば、バナジルアセチルアセトナート(VO(acac)2)、チタンアセチルアセトナートジイソプロポキシド、アセチルアセトナートハフニウム、アセチルアセトナートジルコニウム等を例示できる。
また、チタン系化合物、バナジウム系化合物、ジルコニウム系化合物、ハフニウム系化合物がアルコキシドの場合には、反応中において有害な塩化水素の発生がない点で好ましい。例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンn−テトラブトキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムエトキシド、ハフニウムテトラt−ブトキシド等を例示できる。また、前記化合物は反応率の向上の点からフッ素含有アルコキシドであるものがより好ましい。例えばTi(ORfc4(Rfcは少なくとも1個以上のフッ素原子を含有する炭素数1〜15のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基)で表されるような化合物やバナジルトリフレート(VO(SO3CF32)等を例示できる。
また、ルイス酸の中でも、炭酸ジルコニウム、炭酸スカンジウム等の炭酸塩の形となっているもの、トリフルオロメタンスルホン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ、トリフルオロメタンスルホン酸インジウム、トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン等のトリフルオロメタンスルホン酸塩又はアルキルスルホン酸塩の形になっているものも好適に使用可能である。
また、プロトン酸としては、H+を放出可能な各種物質が使用可能であるが、具体的には、塩化水素、硫化水素、硫酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が例示される。
また、エステル交換触媒は単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよく、エステル交換反応が進行する限り、どちらでもよい。
本発明におけるエステル交換触媒の添加量は反応が進行する限りどのような範囲でもよいが、(メタ)アクリル酸エステル系重合体中におけるエステル基のモル数(A)に対するエステル交換触媒のモル数(C)の比{(C)/(A)}が、通常0.0001〜1.0となる範囲が好ましく、0.001〜0.5の範囲がより好ましい。エステル交換触媒の添加量がこの範囲より少ない場合は反応の進行が困難になり、また多い場合は副反応が起きる可能性がある。
本発明では、(メタ)アクリル酸エステル系重合体にフッ素原子含有アルコールを反応させる際に、この反応に対し不活性な溶剤を使用して、製造することも可能である。反応に対し不活性とは、フッ素原子含有アルコール及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体に対して溶剤が反応しないこと、またエステル交換触媒に対しても溶剤が反応しない又は触媒活性を低下させないことである。
溶剤はフッ素含有アルコールに添加しても、溶融状態にある(メタ)アクリル酸エステル系重合体に添加しても、エステル交換触媒に添加してもよく、添加する方法に特に定めはない。本発明の製造方法において空気中で不安定なエステル交換触媒を使用する場合は、エステル交換触媒を溶剤に分散又は溶解させることにより、触媒の空気中における安定性を向上させることが可能である。また、溶剤は、粘稠なフッ素含有アルコールを添加する場合の希釈剤としても好適に使用することが可能である。
エステル交換反応に対して不活性である溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クロロトルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のケトン、エーテル系化合物、ベンゾトリフルオライド、2−クロロ−ベンゾトリフルオライド等のフッ素化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また少なくとも2種を混合したものであってもよい。
本発明の製造方法における反応温度は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を溶融することができ、エステル交換反応が進行するのであれば特に限定はないが、通常は100〜320℃の範囲が好ましい。100℃以下では(メタ)アクリル酸エステル系重合体の溶融が不十分であり、またエステル交換反応の進行が困難になる。320℃を超えると(メタ)アクリル酸エステル系重合体の熱分解が顕著になるという問題がある。
本発明の製造方法によって得られるフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、フッ素原子が導入されているために、耐溶剤性、撥水性、撥油性、耐熱性、低屈折率性、摺動性等が優れており、例えば繊維の撥水処理剤やディスプレーの反射防止膜等に有用である。また、本発明の製造方法によれば、このような有用なフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体を、一般的な剪断混練装置を用い、特殊な重合設備を使用することなく、しかも生産性よく製造することができる。
以下、本発明を、実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例で測定した物性の測定方法は次の通りである。
(1)導入率の測定
作製した反応生成物10mgを重クロロホルム1gに溶解し、Varian Gemini−300(300MHz)を使用し、室温にて、1H−NMRを測定した。得られたスペクトルより、メチルエステル基に帰属される3.5〜3.7ppmの積分強度と、原料のメチルエステル基とフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体のエステル基のC(=O)OCH2−のメチレン基に帰属される4.2〜4.4ppmの積分強度から、導入率を決定した。なお、この導入率とは、原料の(メタ)アクリル酸エステル系重合体のアルキルエステル部位に対する、アルキルエステル部位のうちでフッ素化されたエステル部位のモル分率(%)を意味する。
(2)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(DSC、(株)島津製作所製DSC−50型)を使用し、生成物10mgを、窒素雰囲気下、20℃/minで昇温し、得られた結果から、中点法を用いてガラス転移温度(Tg)を決定した。なお、原料の(メタ)アクリル酸エステル系重合体である住友化学(株)製スミペックスMHのガラス転移温度は118℃であり、フッ素原子含有アルコールが反応することにより、原料と比較してガラス転移温度が低下するため、ガラス転移温度を測定することにより、反応の進行を容易に確認できる。
(実施例1)
押出機を用いて、溶融状態の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(住友化学(株)製スミペックスMH)に、フッ素原子含有アルコールである3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキサノール(C49CH2CH2OH)、及びエステル交換触媒としてTiCl4を添加して、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造した。使用した押出機は、口径15mmの噛合い型同方向回転式二軸押出機である。押出機の各温調ゾーンの設定温度を250℃、スクリュー回転数300rpmで、原材料供給口から(メタ)アクリル酸エステル系重合体を0.5kg/hrで投入した。触媒としてTiCl410重量部を同量のヘキサンに溶解させた混合物を押出機上流側圧入ポンプにより押出機へ供給し、さらに押出機下流側圧入ポンプにより、フッ素原子含有アルコールを押出機へ供給した。フッ素原子含有アルコールの供給量は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体100重量部に対して65重量部とした。樹脂はニーディングブロックによって溶融、充満された後、触媒と混合され、さらにフッ素原子含有アルコールと反応させた。反応ゾーンの末端にはシールリングを入れて樹脂を充満させた。反応後の副生成物および過剰のフッ素原子含有アルコールを、ベント口の圧力を−0.02MPaに減圧して脱揮した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂は、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化した。
得られたフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の導入率は9%、ガラス転移温度は92℃であった。
(実施例2〜13)
表1記載の量にてフッ素原子含有アルコール、エステル交換触媒、溶剤を使用し、それぞれは表1記載の位置から添加した以外は実施例1と同様の方法にて製造を行った。ただし、実施例5においては、原材料供給口は窒素雰囲気とした。
以上の実施例1〜13で得られたフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の導入率及びガラス転移温度を表1にまとめた。
Figure 2006132208
表1に示されるように、剪断混練装置を用いて(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールを反応させることにより、効率良く、良好な加工性を有するフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造できることが分かった。
本発明によれば、一般的な剪断混練装置を用い、特殊な重合設備を必要とせず、簡便かつ安価にフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造することができる。さらに、剪断混練装置として押出機を用いると、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の生成と該重合体からなる樹脂ペレットの製造を連続して行い、フッ素含有樹脂のペレットを効率よく製造できる。また、本発明のフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、高い撥水性と良好な成形加工性を併せ持つことから、一般的な成形方法により、撥水性を必要とされる各種の材料の形状に容易に賦形することが可能となり、産業上、極めて有用である。

Claims (7)

  1. 剪断混練装置を用いて、(メタ)アクリル酸エステル系重合体と下記一般式(1)で表されるフッ素原子含有アルコールとを混合し、エステル交換反応させることを特徴とする、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法。
    f(CH2nOH 一般式(1)
    (但し、Rfは少なくとも1個以上のフッ素原子を含有する炭素数1〜15のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基であり、nは0〜10の整数を表す。)
  2. 前記剪断混練装置として押出機を用いてなる請求項1記載のフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法。
  3. 溶剤不在下にて反応させる請求項1または2に記載のフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法。
  4. 溶剤存在下にて反応させる請求項1または2に記載のフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法。
  5. エステル交換触媒の存在下で行う請求項1〜4のいずれかに記載のフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法。
  6. 前記一般式(1)で表されるフッ素原子含有アルコールとエステル交換触媒を事前に混合した後、剪断混練装置に供給する請求項5に記載のフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られるフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体。

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