JPWO2006104193A1 - 非点収差の調整方法 - Google Patents

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    • G11B7/13925Means for controlling the beam wavefront, e.g. for correction of aberration active, e.g. controlled by electrical or mechanical means

Abstract

収差補正素子(107)における第2電極(107d)にはパターン1、3、5及び7の計8個の電極パターンが輪帯状に配列して形成されている。非点収差は各パターンに印加される電圧に応じて補正される。非点収差が調整される際、非点収差が第1方向群及び第2方向群の非点収差に成分分解される。成分分解された非点収差各々について、各パターンの印加電圧が、基準電圧に対する変位として決定される。この際、各方向群を規定する相互に直交する2軸には、これらによって境界が規定される2種類計4個のパターンが夫々対応付けられ、夫々変位の絶対値が等しく符号が異なるように印加電圧が決定される。これら各パターンの最終的な印加電圧は、これら各方向群について得られた変位を各パターンについて相互に加算することによって算出される。

Description

本発明は、例えば光情報記録媒体などにおける情報の記録及び再生などに使用される光ピックアップ装置の製造工程における非点収差の調整方法の技術分野に関する。
この種の調整方法の一つに、例えば非特許文献1に開示されたものがある(以下、「従来の技術」と称する)。従来の技術によれば、光源からの出射光を対物レンズに導く立ち上げミラーの傾斜角を調整して像高を調整することにより、非点収差を所望の範囲に収めることが可能であるとされている。
永原信一、外4名、"DVD−R/RW(R5)ピックアップ開発"、[online]、[平成17年2月1日検索]、インターネット<URL:http://www.pioneer.co.jp/crdl/rd/pdf/13-1-7.pdf>
非点収差を調整する場合、立ち上げミラーの傾斜角を調整する毎に対物レンズの位置調整が必要となり、最適な像高を決定するのに要する時間が比較的長くなって、光ピックアップ装置の製造工程が非効率となり易い。また、記録倍速を向上させる要請から、光学系のNA(Numerical Aperture:開口数)は総じて大きくなる傾向であり、それに伴って、立ち上げミラーの傾斜角として許容される範囲は縮小される傾向である。この場合、許容される範囲で非点収差を調整する必要があるため、調整に要するタクトタイムは一層悪化し易い。即ち、従来の技術には、光ピックアップ装置の製造工程で効率的に非点収差の調整を行うことが困難であるという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、光ピックアップ装置の製造工程において効率的に非点収差を調整し得る非点収差の調整方法を提供することを課題とする。
<非点収差の調整方法>
本発明の非点収差の調整方法は上記課題を解決するために、光源と、前記光源から出射される出射光を記録媒体上に集光するための対物レンズと、前記出射光の光路上に配置され、(i)相互に対向する一対の電極、及び該一対の電極間に挟持された液晶層を備え、(ii)前記一対の電極のうち一方の電極は、周方向に配列することにより輪帯形状をなす複数の部分電極を含み、(iii)前記複数の部分電極各々は、相互に隣接する他の部分電極に対し電位的に独立しており、(iv)前記液晶層において、前記一対の電極間の印加電圧に応じて前記出射光に付与される位相差によって、前記対物レンズを含む光学系で生じる非点収差を補正する非点収差補正手段とを備える光ピックアップ装置の製造工程における前記非点収差の調整方法であって、前記対物レンズを介した前記出射光の集光状態に基づいて、補正すべき前記非点収差を特定する特定工程と、前記補正すべき非点収差を、前記一方の電極において前記非点収差の制御方向に基づいて規定される(i)相互に直交する第1軸及び第2軸からなる第1方向群及び(ii)該第1方向群を45度回転させた相互に直交する第3軸及び第4軸からなる第2方向群各々に対応する非点収差に変換する収差変換工程と、前記第1方向群に対応する非点収差から、前記複数の部分電極のうち前記第1方向群に対応付けられた部分電極に対する前記印加電圧を決定する第1決定工程と、前記第2方向群に対応する非点収差から、前記複数の部分電極のうち前記第2方向群に対応付けられた部分電極に対する前記印加電圧を決定する第2決定工程と、前記第1方向群及び前記第2方向群に夫々対応付けられた部分電極に対する印加電圧から、前記複数の部分電極各々の印加電圧を決定する第3決定工程とを具備する。
本発明の非点収差の調整方法において、光ピックアップ装置は、光源、対物レンズ及び非点収差補正手段を備える。
光源とは、記録媒体の種類に応じた光を出射することが可能な手段を包括する概念であり、例えば、記録媒体がDVDであれば、波長635〜670nm程度のレーザ光を出射するLD(Laser Diode)であってもよい。またこのレーザ光は、記録媒体がCD(Compact Disc)である場合には、波長780〜810nm程度のレーザ光であってもよい。或いは、記録媒体がBRD(Blue Ray Disc)である場合には、波長400〜410nm程度のレーザ光であってもよい。光源から出射された出射光は、例えば、実使用時には対物レンズを介して記録媒体上に集光される。
尚、出射光の光路上には、出射光が対物レンズを介して最終的に記録媒体上に集光される限りにおいて、光ピックアップ装置の構成、用途、又は要求性能などに応じて、例えば、グレーティングやコリメータレンズ等の各種光学素子又は各種レンズ等からなる光学系が介在してもよい。
一方、対物レンズを含む光学系では非点収差が発生する。この非点収差は、非点収差補正手段によって補正される。
非点収差補正手段における一対の電極は、例えば、ガラス系材料などで構成される基板上に、例えばITO(Indium Tin Oxide)などを材料とする透明導電膜として形成されており、光透過性を有している。この一対の電極間には液晶層が挟持されており、電極間の印加電圧によって、液晶層を構成する液晶分子の配向が変化し、屈折率が変化する構成となっている。この屈折率の変化に伴って透過光に位相差が付与されるため、光学系の非点収差を補正することが可能となっている。
尚、「一対の電極間に挟持される」とは、必ずしも電極各々と液晶層とが直接接触しておらずともよい趣旨であり、例えば、液晶分子を所定の方向に配向させる配向膜や保護膜などを介して液晶層が挟持されていてもよい。
一対の電極のうち一方の電極は、複数の部分電極を有している。ここで、部分電極は、例えば、フォトリソグラフィなどによってパターニングされた個々の電極パターンである。この部分電極は、周方向に配列して輪帯形状をなしている。但し、係る一方の電極において、この輪帯形状の部分電極以外の部分電極が形成されていてもよい。例えば、コマ収差や球面収差など光学系で発生する他の収差の補正に関する部分電極が適宜形成されていてもよい。或いは、係る一方の電極内における電位の基準を規定する部分電極が形成されていてもよい。
この輪帯形状に配列した複数の部分電極は、相互に隣接する他の部分電極とは電位的に独立している。尚、周方向に隣接する部分電極と電位的に独立している限りにおいて、部分電極の一部は相互に電位が共通化されていてもよい。この輪帯形状をなす部分電極は、全体として非点収差を補正するための電極(以降、適宜「非点収差補正用電極」と称する)として機能する。尚、この非点収差補正用電極における部分電極の数や大きさは、非点収差の補正を可能とする限りにおいて自由に決定されてよい。例えば、これらは、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどによって適切に決定されていてもよい。
尚、係る一方の電極と相対する他方の電極には、非点収差補正用電極の機能を阻害しない限りにおいて、例えば光学系に起因して発生する他の収差、例えばコマ収差や球面収差を補正するための部分電極が適宜形成されていてもよい。この場合には、非点収差補正手段によってコマ収差や球面収差をも好適に補正することが可能となって好適である。
非点収差補正手段は、一対の電極間に電圧が印加されることにより動作する。この際、印加電圧が一対の電極間で一様であれば、単に液晶層における液晶分子が一様に配向するだけであるが、非点収差補正用電極における個々の部分電極の印加電圧を相互に変化させた場合には、液晶層において、この部分電極各々の印加電圧に応じて、個々の部分電極に対応する夫々の部分の屈折率が相互に変化する。従って、液晶層を透過する光は、部分電極夫々の印加電圧に応じて位相が進むか或いは遅れることとなり、非点収差補正手段を透過する光の波面が補正される。即ち、この部分電極の印加電圧次第で、例えば、非点収差をゼロにすることも、所定値に設定することも可能となる。
ここで特に、このような非点収差補正手段の作用によれば、従来の技術の如く立ち上げミラーの傾斜角調整によって像高を振ることなく非点収差を補正することができるため、NAに対する依存性は少なく、光ピックアップ装置の歩留まり改善という点においては有利である。
然るに、非点収差補正用電極を構成する部分電極各々の印加電圧をいかに決定するかによって、非点収差の調整に要するタクトタイムは大幅に変化し得る。即ち、複数の部分電極各々の印加電圧は効率的に決定される必要がある。そこで、本発明の非点収差の調整方法は、以下の如き工程を有することによって、部分電極各々の印加電圧を効率的に決定し、非点収差の調整を効率的に行うことが可能となっている。
即ち、本発明の非点収差の調整方法によれば、その動作時には、特定工程に係る動作によって、対物レンズを介した出射光の集光状態に基づいて、補正すべき非点収差が特定される。
ここで、「補正すべき非点収差」とは、対物レンズを含む光学系で生じる非点収差或いは係る非点収差との相関関係が判明している或いは推定し得る非点収差を指し、例えば、非点収差補正手段によって何らの補正もなされていない状態における非点収差である。或いは、非点収差補正手段によって何らかの補正がなされた状態での非点収差であってもよい。
このような補正すべき非点収差は、例えば、対物レンズを介した出射光のビームプロファイルに基づいて特定される。ビームプロファイルとは、文字通り出射光のプロファイル(特性)であり、例えば、ビームスポット形状及びビームスポット径などを表す。例えば、対物レンズと光源との距離を、対物レンズの位置調整によって変化させた場合のビームプロファイルの変化から、補正すべき非点収差の方向及び大きさが特定される。
補正すべき非点収差が特定されると、収差変換工程に係る動作により、この特定された非点収差が第1方向群及び第2方向群各々に対応する収差に変換される。
ここで、第1方向群とは、前述した一方の電極(即ち、非点収差補正用電極が形成される方の電極)において、非点収差の制御方向に基づいて規定される、相互に直交する第1軸及び第2軸からなるグループであり、第2方向群とは、この第1方向群を例えば同一平面内で45度回転させて得られる、相互に直交する第3軸及び第4軸からなるグループである。
非点収差は、光軸を含む直交する二つの断面で焦点距離が相互に異なることによって生じる収差であるから、例えば、第1方向群、即ち第1軸及び第2軸とその方向が一致していれば、単に第1方向群の収差として表すことが可能であるが、非点収差は、光束が通過する光学系によって様々な角度で発生するため、通常、単に第1方向群の収差だけでは表すことが難しい。そこで、この第1方向群と45度の傾きをもって規定される第2方向群が規定される。
第1方向群及び第2方向群の2種類の方向群が規定された場合、非点収差は、これら2方向群のベクトル和として表すことが可能となる。即ち、収差変換工程とは、補正すべき非点収差を、第1方向群の成分(即ち、第1方向群に対応する非点収差)と第2方向群の成分(即ち、第2方向群に対応する非点収差)とに成分分解する工程と換言することもできる。
補正されるべき非点収差が第1及び第2方向群に夫々対応する非点収差に変換されると、第1決定工程及び第2決定工程が実行される。
第1決定工程では、第1方向群に対応する非点収差から、複数の部分電極のうち第1方向群に対応付けられた部分電極に対する印加電圧が決定される。ここで、第1方向群に対応付けられた部分電極とは、複数の部分電極のうち、第1方向群の非点収差を好適に補正し得るものとして予め設定された少なくとも一つの部分電極を指す。尚、非点収差の性質に鑑みれば、第1方向群に対応付けられた部分電極は少なくとも複数の部分電極群から構成され、各部分電極群に夫々少なくとも一つの部分電極が含まれるのが好ましい。尚、このような部分電極は、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどによって適切に設定されていてもよい。
これら第1方向群に対応付けられた部分電極に対する印加電圧は、例えば、非点収差の値と印加電圧とを対応付ける何らかのアルゴリズムに従ってその都度算出してもよいし、予め非点収差の値と対応付けられた制御量として、何らかの記憶手段から参照されてもよい。
第2決定工程では、第2方向群に対応する非点収差から、複数の部分電極のうち第2方向群に対応付けられた部分電極に対する印加電圧が決定される。ここで、第2方向群に対応付けられた部分電極とは、複数の部分電極のうち、第2方向群の非点収差を好適に補正し得るものとして予め設定された少なくとも一つの部分電極を指す。尚、非点収差の性質に鑑みれば、第2方向群に対応付けられた部分電極は少なくとも複数の部分電極群から構成され、各部分電極群に夫々少なくとも一つの部分電極が含まれるのが好ましい。尚、このような部分電極は、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどによって適切に設定されていてもよい。
これら第2方向群に対応付けられた部分電極に対する印加電圧は、例えば、非点収差の値と印加電圧とを対応付ける何らかのアルゴリズムに従ってその都度算出してもよいし、予め非点収差の値と対応付けられた制御量として、何らかの記憶手段から参照されてもよい。
尚、複数の電極は、夫々が第1方向群と第2方向群のいずれにも属するのが好ましい。但し、第1方向群と第2方向群とは、対応する非点収差が異なるから、この場合、好適には、複数の部分電極各々について、2種類(値や正負の概念を含む)の印加電圧が決定されることとなる。
このようにして夫々の方向群に対応付けられた部分電極の印加電圧が決定されると、第3決定工程によって、複数の部分電極各々の印加電圧が決定される。この際、第1方向群に対応付けられた部分電極であって、且つ第2方向群に対応付けられた部分電極でもある部分電極については、第1決定工程及び第2決定工程において決定された印加電圧各々に基づいて最終的な印加電圧が決定される。例えば、ある部分電極について、印加電圧が、夫々第1決定工程において3V、第2決定工程において5Vと決定された場合には、平均した4Vが係る部分電極の印加電圧とされてもよい。
このように、本発明の非点収差の調整方法によれば、輪帯形状に配列した複数の部分電極各々の印加電圧を、第1方向群及び第2方向群の2つの方向群に対応する非点収差に応じて夫々決定された第1方向群及び第2方向群各々に対応付けられた部分電極に対する印加電圧に基づいて簡便に決定することができる。この際、非点収差を第1方向群及び第2方向群夫々の非点収差に変換する処理、及び印加電圧を決定する処理は数値演算処理であり、光ピックアップ装置の製造工程において必要となる機械的な調整は、ビームプロファイルに基づいて補正されるべき非点収差を特定する特定工程における対物レンズの位置調整のみとなる。従って、非点収差を所望の値に設定する(例えば、ゼロとする)ための調整に要するタクトタイムは、従来の技術に対し明らかに短縮される。即ち、効率的に非点収差を調整することが可能となるのである。
本発明の非点収差の調整方法の一の態様では、前記第1方向群に対応付けられた部分電極は、前記第1軸によって規定される第1部分電極群及び前記第2軸によって規定される第2部分電極群のいずれか一方に属し、前記第1決定工程は、前記第1及び第2部分電極群に夫々属する部分電極に対する印加電圧を、夫々所定の基準電圧に対する相互に絶対値が等しく且つ符号が異なる変位として決定し、前記第2方向群に対応付けられた部分電極は、前記第3軸によって規定される第3部分電極群及び前記第4軸によって規定される第4部分電極群のいずれか一方に属し、前記第2決定工程は、前記第3及び第4部分電極群に夫々属する部分電極に対する印加電圧を、夫々前記基準電圧に対する相互に絶対値が等しく且つ符号が異なる変位として決定し、第3決定工程は、前記第1及び第2決定工程において夫々決定された前記変位を前記複数の部分電極各々について夫々前記基準電圧に加算する。
この態様によれば、第1方向群に対応付けられた部分電極は、第1軸及び第2軸によって夫々規定される第1部分電極群及び第2部分電極群のいずれか一方に属する。尚、これら電極群は、各軸によってどのように規定されていてもよい。尚、各電極群に属する部分電極の数は何ら限定されないが、好ましくは同数である。また、好適には、複数の部分電極全てが、第1方向群に対応付けられた部分電極である。この場合、輪帯状に設けられた複数の部分電極は、第1部分電極群又は第2部分電極群に属することとなる。
ここで、第1及び第2部分電極群に夫々属する部分電極とは、印加電圧に応じて第1方向群の非点収差を補正することが可能な部分電極である限りにおいて、これら軸とどのような対応関係を有していてもよい。このような対応関係は、部分電極の数量及び配置などと共に、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどに基づいて適切に定められていてもよい。尚、例えば、部分電極同士の境界が、第1軸又は第2軸と相互に一致するならば、第1及び第2部分電極群に属する部分電極とは、この第1軸及び第2軸を夫々挟む部分電極であってもよい。
第1決定工程においては、これら各部分電極群に属する部分電極の印加電圧が決定される。この際、印加電圧は、所定の基準電圧に対する変位として決定される。この基準電圧に対する変位とは、例えば、基準電圧を複数等分することによって規定される所定のステップ単位で表されてもよい。例えば、基準電圧が5Vである場合に、8ビット256階調で表現される約20mV程度の電圧が係るステップとして設定されていてもよい。
第1及び第2部分電極群に夫々属する部分電極の印加電圧は、前述の通り基準電圧に対する変位として決定されるが、この際、これら変位は、相互に絶対値(変位量)が等しく符号が異なる(反転した)値として決定される。即ち、第1部分電極群に属する部分電極の印加電圧が基準電圧に対して大きくなるように制御される場合(正の変位量に対応する)、第2部分電極群に属する部分電極の印加電圧は基準電圧に対して小さくなるように制御される(負の変位量に対応する)。
尚、係る変位の絶対値は、非点収差の大きさと液晶層において与えられる位相差との相関関係に基づいて決定される値である。係る相関関係は、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどによって与えられている。
一方、第1部分電極群に属する部分電極の印加電圧と第2部分電極群に属する部分電極の印加電圧との符号の正負は、第1軸及び第2軸の設定の態様に応じて変化する性質のものであり、一意には決定されないが、別言すれば、予め第1方向群の非点収差と、第1部分電極群及び第2部分電極群に夫々属する部分電極における印加電圧の符号との対応関係は自由に設定しておくことが可能である。
尚、ここで決定される印加電圧は、典型的には第1方向群の非点収差を完全に相殺する、即ちほぼゼロとするための印加電圧であるが、所定量の収差が残るような、即ち、収差が所定値となるような位相差を与える印加電圧であってもよい。
一方、第2方向群に対応する部分電極は、第3軸及び第4軸によって夫々規定される第3部分電極群及び第4部分電極群のいずれか一方に属する。尚、これら電極群は、各軸によってどのように規定されていてもよい。尚、各電極群に属する部分電極の数は何ら限定されないが、好ましくは同数である。また、好適には、複数の部分電極全てが、第2方向群に対応付けられた部分電極である。この場合、輪帯状に設けられた複数の部分電極は、第3部分電極群又は第4部分電極群に属することとなる。
ここで、第3及び第4部分電極群に夫々属する部分電極とは、印加電圧に応じて第2方向群の非点収差を補正することが可能な部分電極である限りにおいて、これらの軸とどのような対応関係を有していてもよい。このような対応関係は、部分電極の数量及び配置などと共に、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどに基づいて適切に定められていてもよい。尚、例えば、部分電極同士の境界が、第3軸又は第4軸と相互に一致するならば、第3及び第4部分電極群に属する部分電極とは、この第3軸及び第4軸を夫々挟む部分電極であってもよい。
第2決定工程においては、これら各部分電極群に属する部分電極の印加電圧が決定される。この際、印加電圧は、所定の基準電圧に対する変位として決定される。この基準電圧に対する変位とは、例えば、基準電圧を複数等分することによって規定される所定のステップ単位で表されてもよい。例えば、基準電圧が5Vである場合に、8ビット256階調で表現される約20mV程度の電圧が係るステップとして設定されていてもよい。
第3及び第4部分電極群に夫々属する部分電極の印加電圧は、前述の通り基準電圧に対する変位として決定されるが、この際、これら変位は、相互に絶対値(変位量)が等しく符号が異なる(反転した)値として決定される。即ち、第3部分電極群に属する部分電極の印加電圧が基準電圧に対して大きくなるように制御される場合(正の変位量に対応する)、第4部分電極群に属する部分電極の印加電圧は基準電圧に対して小さくなるように制御される(負の変位量に対応する)。
尚、係る変位の絶対値は、非点収差の大きさと液晶層において与えられる位相差との相関関係に基づいて決定される値である。係る相関関係は、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどによって与えられている。
一方、第3部分電極群に属する部分電極の印加電圧と第4部分電極群に属する部分電極の印加電圧との符号の正負は、第3軸及び第4軸の設定の態様に応じて変化する性質のものであり、一意には決定されないが、別言すれば、予め第2方向群の非点収差と、第3部分電極群及び第4部分電極群に夫々属する部分電極における印加電圧の符号との対応関係は自由に設定しておくことが可能である。
尚、ここで決定される印加電圧は、典型的には第2方向群の非点収差を完全に相殺する、即ちほぼゼロとするための印加電圧であるが、所定量の収差が残るような、即ち、収差が所定値となるような位相差を与える印加電圧であってもよい。
このようにして各部分電極群に属する部分電極の印加電圧が基準電圧からの変位として決定されると、複数の部分電極各々についてこの変位が基準電圧に加算される。この結果、複数の部分電極各々について基準電圧からの最終的な変位が決定される。この最終的な変位に応じて複数の部分電極各々の印加電圧が決定される。光ピックアップ装置の実使用時には、複数の部分電極各々の印加電圧をこの第3決定工程において決定された値に設定することにより、非点収差は所望の値に、典型的にはゼロに補正される。
この態様によれば、以上説明した如く、複数の部分電極各々の印加電圧が基準電圧に対する変位として決定されるから、比較的簡便に印加電圧を決定することが可能となる。即ち、効率的に非点収差を調整することが可能となるのである。
本発明の非点収差の調整方法の他の態様では、前記複数の部分電極は、前記相互に隣接する他の部分電極との境界が前記第1、第2、第3及び第4軸によって規定された8個の部分電極からなり、(i)前記第1及び第2部分電極群は、前記8個の部分電極のうち前記第1及び第2軸を夫々挟む4個の部分電極からなり、(ii)前記第3及び第4部分電極群は、前記8個の部分電極のうち前記第3及び第4軸を夫々挟む4個の部分電極からなる。
この態様によれば、非点収差補正用電極は、第1軸、第2軸、第3軸及び第4軸によって合計8個の部分電極に分割される。そして、これら8個の部分電極全てが、第1方向群に対応付けられた部分電極であり且つ第2方向群に対応付けられた部分電極である。
これら8個の部分電極のうち、第1軸を挟む4個の部分電極が第1部分電極群であり、第2軸を挟む4個の部分電極が第2部分電極となる。また、第3軸を挟む4個の部分電極が第3部分電極群であり、第4軸を挟む4個の部分電極が第4部分電極群となる。この場合、各部分電極群が迅速且つ効率的に決定される上、各部分電極群を構成する4個の部分電極は、夫々2個ずつが対面配置されることとなるため、比較的精細に非点収差を補正することが可能となる。即ち、正確且つ効率的に非点収差の補正を行うことが可能となる。
本発明の非点収差の調整方法の他の態様では、前記決定された各々の印加電圧を、前記光ピックアップ装置に搭載される所定種類の記憶手段に記憶させる記憶工程を更に具備する。
この態様によれば、決定された部分電極各々の印加電圧が記憶手段に記憶されるため、製造工程において調整を行うのみで、光ピックアップ装置の実使用時には何らの調整の必要もなくなる。従って、一層効率良く非点収差を調整することが可能となる。
尚、ここで述べられる記憶手段は、光ピックアップ装置に搭載され、光ピックアップ装置の動作時において読み出し可能である限りにおいて如何なる態様を有していてもよい。例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリであってもよい。この場合、印加電圧の情報は、光ピックアップ装置の固有情報、部品情報及びシリアルナンバなどと共に記憶されていてもよい。
以上説明したように、本発明の非点収差の補正方法は、特定工程、収差変換工程、第1決定工程、第2決定工程及び第3決定工程を備えるので、効率的に非点収差を調整することが可能となるのである。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
本発明の実施例に係る光ピックアップ装置の模式構成図である。 図1の光ピックアップ装置における収差補正素子の模式図である。 図2の収差補正素子における第1電極及び第2電極の平面図である。 本発明の実施例に係る第1方向群及び第2方向群の概念図である。 本発明の実施例に係る非点収差の成分分解の例示図である。 本発明の実施例に係る電極パターンの印加電圧の設計例を示す表である。
符号の説明
100…光ピックアップ装置、107…収差補正素子、107d…第2電極、113…EEPROM。
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例毎に順に図面に基づいて説明する。
<光ピックアップ装置の構成及び動作>
始めに、図1を参照して、本発明の実施例に係る光ピックアップ装置の構成をその動作を交えて説明する。ここに、図1は、光ピックアップ装置100の模式構成図である。
図1において、光ピックアップ装置100は、光源101、光源102、ダイクロイックミラー103、ハーフミラー104、コリメータレンズ105、立ち上げミラー106、収差補正素子107、λ/4板108、対物レンズ109、マルチレンズ110及びディテクタ111を備え、光源101又は102から出射される光を記録媒体200上に集光させ、情報の記録及び再生を行うための装置である。
光源101は、波長650nmのレーザ光を出射することが可能に構成されたLD(Laser Diode)であり、DVD用の光源として機能する、本発明に係る光源の一例である。また、光源102は、波長780nmのレーザ光を出射することが可能に構成されたLDであり、CD用の光源として機能する、本発明に係る光源の他の一例である。尚、各光源の後段には、出射光を回折させるグレーティング、及び出射光をp偏光からs偏光に変換するλ/2板等が配設されるが、図示は省略されている。
光源101及び102から出射されたレーザ光(図1中実線)は、ダイクロイックミラー103に入射する。ダイクロイックミラー103は、特定波長の光についてのみ反射させるダイクロイック特性を有しており、本実施例では、光源102の出射光、即ちCD用のレーザ光のみを反射させるように構成されている。従って、光源101及び102からの出射光の光路は、ダイクロイックミラー103を介することによって共通化される。
ハーフミラー104は、一種のPBS(Polarized Beam Splitter:偏向ビームスプリッタ)であり、入射する光の偏光方向に応じて反射率が異なる構成となっている。各光源からの出射光は、ハーフミラー104に到達する時点でs偏光であり、ハーフミラー104で反射してコリメータレンズ105へ入射する。コリメータレンズ130は、拡散光を平行光に変換するレンズである。
コリメータレンズ105を通過した光は立ち上げミラー106で反射し、収差補正素子107に到達する。尚、立ち上げミラー106は、入射光の光路を変換するために配設されたミラーである。
収差補正素子107は、光ピックアップ装置100で発生する各種収差を補正するための素子であり、図1においては不図示の制御部によって駆動され、係る制御部と共に本発明に係る「非点収差補正手段」の一例として機能する。尚、収差補正素子及びの制御部の詳細については後述する。
収差補正素子107を通過した光は、λ/4板108に入射し、円偏光に変換された後、対物レンズ109に入射する。対物レンズ140は、入射光を記録媒体200上に集光させるレンズである。
記録媒体200上に集光した各レーザ光は、集光位置において反射し、戻り光として再び対物レンズ109に入射する(図1中点線)。戻り光は更にλ/4板108でp偏光に変換され、収差補正素子107、立ち上げミラー106及びコリメータレンズ105を順次介してハーフミラー104に入射する。ここで、この戻り光はp偏光であるからハーフミラー104を反射することなく透過し、マルチレンズ110へ入射する。
マルチレンズ110では、戻り光に対し、情報の記録再生に必要なフォーカスエラー信号を得るための非点収差などが与えられ、戻り光はディテクタ111によって受光される。
次に、図2を参照して、収差補正素子107の詳細について説明する。ここに、図2は、収差補正素子107の模式図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
図2において、収差補正素子107は、第1基板107a、第1電極107b、液晶層107c、第2電極107d及び第2基板107eを備える。
第1基板107aは、ガラス系材料で構成された板状部材であり、表面に第1電極107bが形成されている。第1電極107bは、ITOにパターニング処理が施された透明導電膜である。
第2基板107eは、第1基板107aと同様ガラス系材料で構成された板状部材であり、表面に本発明に係る「一方の電極」の一例たる第2電極107dが形成されている。第2電極107dは、第1電極107bと同様、ITOにパターニング処理が施された透明導電膜である。また、第1電極107b及び第2電極107dは、図示する光束の方向に直交するように、相互に対向して配置されている。
液晶層107cは、第1電極107bと第2電極107dとの間に挟持された、図示せぬ液晶分子を含む層であり、両電極間の印加電圧に応じて液晶分子の配向が変化することによって、屈折率が変化するように構成されている。
収差補正素子107は、制御部112によって動作が制御されている。制御部112は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)などを備えた制御ユニットであり、第1電極107b及び第2電極107d各々における後述する各電極パターンの印加電圧を制御することが可能に構成されている。
EEPROM113は、書換え可能な不揮発性半導体メモリであり、光ピックアップ装置100のシリアルナンバ及び部品情報などが記憶されている。また、EEPROM113には、前述した各電極パターンに印加すべき電圧のデータが格納されており、収差補正素子107を動作させる際、制御部112はこのEEPROM113から印加電圧の情報を読み出して、電圧の印加を行う。
次に、図3を参照して、各電極の詳細について説明する。ここに、図3は、第1電極107b及び第2電極107dの平面図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
図3において、図3(a)は第1電極107bを表しており、図3(b)は、第2電極107dを表している。
第1電極107bは、複数の電極パターン107b1、107b2、107b3、107b4及び107b5からなる。これら各パターンの構成及び配置は、光ピックアップ装置100で発生する球面収差が補正されるように設定されており、更にこのうち、電極パターン107b1及び107b3は、コマ収差の補正にも使用される。また電極パターン107b2は、第1電極107bの電位の基準となるパターンである。尚、本発明に係る非点収差の調整方法と、これらコマ収差及び球面収差の補正との関連性は小さいため、説明の簡略化のため詳細な説明は省略する。
第2電極107dは、複数の電極パターン107d1(以下、パターン1)、107d2(以下、パターン2)、107d3(以下、パターン3)、107d4(以下、パターン4)、107d5(以下、パターン5)、107d6(以下、パターン6)及び107d7(以下、パターン7)からなり、本発明に係る「一方の電極」の一例をなす。このうち、パターン2及びパターン6は、前述した第1電極107bにおける電極パターン107b1及び107b3と共に、コマ収差の補正に使用される。また、パターン4は、第2電極107dの電位の基準となるパターンである。
パターン1、パターン3、パターン5及びパターン7は、本発明に係る「輪帯形状をなす複数の部分電極」の一例であり、非点収差補正用電極として機能する。図示するように、これらパターンは、周方向に均等に配列しており、相互に隣接するパターンとは電位的に独立している。
収差補正素子107における、パターン4(電極パターン107d4)と電極パターン107b2との間には、基準電圧V(例えば、5V)が印加される。何らの収差補正も行わない場合には、電極107b全体及び電極107d全体の電位が夫々電極パターン107b2及びパターン4の電位と等しく制御される。非点収差を補正する場合には、電極107dにおけるパターン1、パターン3、パターン5及びパターン7の印加電圧をパターン4に対して変化させることによって、液晶層の屈折率を変化させ、透過光に位相差が付与される。パターン1、3、5及び7の印加電圧は、既に述べたように、EEPROM113に記憶されているが、この印加電圧は、光ピックアップ装置100の製造工程において、以下に述べる非点収差の調整方法が行われることにより決定されている。
<非点収差の調整方法>
非点収差の調整が行われる場合、最初に、補正すべき非点収差が特定される。非点収差は、例えば、光源101から出射されたレーザ光のプロファイルを、対物レンズ109の位置調整を行う毎に測定し、公知であるビームプロファイル測定技術などによって解析することにより特定される。尚、この工程は、本発明に係る特定工程の一例である。
非点収差が特定されると、この非点収差は、第2電極107d上で規定される所定の方向群の成分に成分分解される。この工程は、本発明に係る収差変換工程の一例である。
ここで、図4を参照して、係る方向群の概念について説明する。ここに、図4は、第1方向群及び第2方向群の概念図である。
図4において、図4(a)は第1方向群を、図4(b)は第2方向群を夫々表している。尚、図面の煩雑化を防ぐ目的から、これら各図においてパターン1、3、5及び7は、夫々単に1、3、5及び7と表されている。
図4(a)において、第1方向群は、相互に直交する2軸、即ち図示する第1軸及び第2軸によって規定される。第1軸は、第2電極107dにおいて、パターン3とパターン5との境界を規定しており、第2軸は、同じくパターン1とパターン7との境界を規定している。
図4(b)において、第2方向群は、相互に直交する2軸、即ち図示する第3軸及び第4軸によって規定される。第3軸は、第2電極107dにおいて、パターン1とパターン3との境界を規定しており、第4軸は、同じくパターン5とパターン7との境界を規定している。尚、第1方向群及び第2方向群各々と各電極パターンとの関係は、図示のものに限らず自由に設定されてよい。特定された非点収差は、この第1方向群及び第2方向群の成分にベクトル的に分解される。
ここで、図5を参照して、特定された非点収差と各方向群の成分について説明する。ここに、図5は、非点収差の成分分解の例示図である。
図5において、光ピックアップ装置100において発生する補正すべき非点収差は、30度の方向に0.17λ(λは出射光の波長)である。それを第1及び第2方向群の成分に夫々分解すると、夫々−0.085λ及び0.147λとなる。ここで、負の符号は位相が遅れることを表している。
このように非点収差が各方向群の成分に分解されると、各方向群について、各パターンの印加電圧が決定される。この際、印加電圧は、基準電圧Vに対する変位として決定される。例えば、基準電圧Vが5Vであり、変位が8ビットで階調制御される場合には、係る変位の一単位(ステップ)は20mV程度となる。各方向群についての各パターンの印加電圧は、このステップ数の増減値として決定される。尚、例えば、印加電圧を1ステップ増加(或いは減少)させた場合の液晶層107cの屈折率変化、即ち、補正可能な収差については、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどによって取得されている。
各方向群の非点収差を補正する場合、非点収差の性質上、各方向群を規定する2軸のうち一方に対応する波面の位相が進み方向に補正されるならば、必ず他方に対応する波面の位相は遅れ方向に補正される必要がある。このような補正を実現する制御は、シーソー制御と呼ばれる。
本実施例では、各方向群を規定する4軸は、8個の電極パターン(即ち、パターン1、3、5及び7)の境界を規定している。また、これら8個の電極パターンは全て、本発明に係る第1方向群に対応付けられた部分電極の一例且つ第2方向群に対応付けられた部分電極の一例である。
第1方向群に対応する非点収差を補正する場合、第1軸を挟む(即ち、第1軸によって規定される)、本発明に係る第1部分電極群の一例たるパターン3及び5と、第2軸を挟む(即ち、第2軸によって規定される)、本発明に係る第2部分電極群の一例たるパターン1及び7とが夫々一対として扱われ、シーソー制御が実行される。また、第2方向群に対応する非点収差を補正する場合、第3軸を挟む(即ち、第3軸によって規定される)、本発明に係る第3部分電極群の一例たるパターン1及び3と、第4軸を挟む(即ち、第4軸によって規定される)、本発明に係る第4部分電極群の一例たるパターン5及び7とが夫々一対として扱われ、シーソー制御が実行される。
尚、図4では、各方向群を規定する矢線(即ち、各軸)が、パターン1、3、5及び7の夫々境界と合致しており、各部分電極群が比較的明確に規定されるが、各方向群を規定する各軸と、各パターンの位置関係はこれに限定されない。即ち、各パターンは各軸に対して自由に回転してもよい。
ここで、図6を参照して、各方向群について決定される各パターンの印加電圧の例を示す。ここに、図6は、印加電圧の設計例を示す表である。
図6において、第1方向群の非点収差を補正するために、パターン1及びパターン7の印加電圧は、「V−0.85V」、パターン3及びパターン5の印加電圧は「V+0.85V」と決定される。また、第2方向群の非点収差を補正するために、パターン1及びパターン3の印加電圧は「V−1.47V」、パターン5及びパターン7の印加電圧は「V+1.47V」と決定される。尚、この工程は、本発明に係る第1決定工程及び第2決定工程の夫々一例である。
このようにして各方向群の非点収差を補正するための各電極パターンの印加電圧が決定されると、最終的に各パターンの印加電圧が決定される。尚、この工程は、本発明に係る第3決定工程の一例である。
ここで、引き続き図6を参照して、各電極パターンの最終的な印加電圧について説明する。各パターンの印加電圧は、第1方向群及び第2方向群各々について決定された基準電圧に対する変位を相互に加算することによって簡単に決定される。例えば、パターン1について言えば、第1方向群の非点収差を補正するのに必要な変位が「−0.85V」であり、第2方向群の非点収差を補正するのに必要な変位が「−1.47V」であるから、最終的な基準電圧Vに対する変位は、「−2.32V」となる。従って、パターン1の印加電圧は「V−2.32V」となる。他の電極パターンに対しても同様に印加電圧が決定される。これら各電極パターンに対して決定された印加電圧は、EEPROM113に記憶される(即ち、本発明に係る「記憶工程」の一例)。例えば、この際、EEPROM113には係る電圧が16進数で記憶される。
以上、説明したように、本実施例に係る非点収差の調整方法によれば、光ピックアップ装置100で発生する非点収差を第1方向群及び第2方向群の成分に夫々分解すると共に、方向群毎に各電極パターンに印加すべき電圧を基準電圧に対する変位として決定することにより、最終的に各パターンの印加電圧を簡便に決定することができる。この際、機械的な調整としては、非点収差を特定する際の対物レンズの位置調整が必要となるのみであり、非点収差が特定された時点で数値演算処理としてこれら印加電圧を決定することができる。従って、光ピックアップ装置の製造工程における非点収差の調整に要するタクトタイムは明らかに短縮化される。即ち、効率的に非点収差の調整を行うことができるのである。
尚、非点収差の補正に使用される第2電極107d上の電極パターンの数は、上述した8個でなくともよい。例えば、更に多くのパターンに分割されていてもよい。この場合、各方向群における各軸に対応するパターンの数もそれに応じて増え、最終的に、非点収差をより精細に補正することも可能となる。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う非点収差の調整方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明に係る非点収差の調整方法は、例えば光情報記録媒体などにおける情報の記録及び再生などに使用される光ピックアップ装置の製造工程における非点収差の調整方法に利用可能である。


Claims (4)

  1. 光源と、
    前記光源から出射される出射光を記録媒体上に集光するための対物レンズと、
    前記出射光の光路上に配置され、(i)相互に対向する一対の電極、及び該一対の電極間に挟持された液晶層を備え、(ii)前記一対の電極のうち一方の電極は、周方向に配列することにより輪帯形状をなす複数の部分電極を含み、(iii)前記複数の部分電極各々は、相互に隣接する他の部分電極に対し電位的に独立しており、(iv)前記液晶層において、前記一対の電極間の印加電圧に応じて前記出射光に付与される位相差によって、前記対物レンズを含む光学系で生じる非点収差を補正する非点収差補正手段と
    を備える光ピックアップ装置の製造工程における前記非点収差の調整方法であって、
    前記対物レンズを介した前記出射光の集光状態に基づいて、補正すべき前記非点収差を特定する特定工程と、
    前記補正すべき非点収差を、前記一方の電極において前記非点収差の制御方向に基づいて規定される(i)相互に直交する第1軸及び第2軸からなる第1方向群及び(ii)該第1方向群を45度回転させた相互に直交する第3軸及び第4軸からなる第2方向群各々に対応する非点収差に変換する収差変換工程と、
    前記第1方向群に対応する非点収差から、前記複数の部分電極のうち前記第1方向群に対応付けられた部分電極に対する前記印加電圧を決定する第1決定工程と、
    前記第2方向群に対応する非点収差から、前記複数の部分電極のうち前記第2方向群に対応付けられた部分電極に対する前記印加電圧を決定する第2決定工程と、
    前記第1方向群及び前記第2方向群に夫々対応付けられた部分電極に対する印加電圧から、前記複数の部分電極各々の印加電圧を決定する第3決定工程と
    を具備することを特徴とする非点収差の調整方法。
  2. 前記第1方向群に対応付けられた部分電極は、前記第1軸によって規定される第1部分電極群及び前記第2軸によって規定される第2部分電極群のいずれか一方に属し、
    前記第1決定工程は、前記第1及び第2部分電極群に夫々属する部分電極に対する印加電圧を、夫々所定の基準電圧に対する相互に絶対値が等しく且つ符号が異なる変位として決定し、
    前記第2方向群に対応付けられた部分電極は、前記第3軸によって規定される第3部分電極群及び前記第4軸によって規定される第4部分電極群のいずれか一方に属し、
    前記第2決定工程は、前記第3及び第4部分電極群に夫々属する部分電極に対する印加電圧を、夫々前記基準電圧に対する相互に絶対値が等しく且つ符号が異なる変位として決定し、
    第3決定工程は、前記第1及び第2決定工程において夫々決定された前記変位を前記複数の部分電極各々について夫々前記基準電圧に加算する
    ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の非点収差の調整方法。
  3. 前記複数の部分電極は、前記相互に隣接する他の部分電極との境界が前記第1、第2、第3及び第4軸によって規定された8個の部分電極からなり、(i)前記第1及び第2部分電極群は、前記8個の部分電極のうち前記第1及び第2軸を夫々挟む4個の部分電極からなり、(ii)前記第3及び第4部分電極群は、前記8個の部分電極のうち前記第3及び第4軸を夫々挟む4個の部分電極からなる
    ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の非点収差の調整方法。
  4. 前記決定された各々の印加電圧を、前記光ピックアップ装置に搭載される所定種類の記憶手段に記憶させる記憶工程を更に具備する
    ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の非点収差の調整方法。
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