JP4255886B2 - 光ピックアップおよび光情報処理装置 - Google Patents
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近年、情報を保存する手段として、CD、DVDなどの光記録媒体が普及しつつある。そして、さらなる記録密度の向上及び大容量化の要求が強い。この光記録媒体における記録密度の高密度化を図る方法のうち、光ピックアップとしては、光源の短波長化、対物レンズ開口数(NA)を大きくする手段等による、光記録媒体上に形成されるスポット小径化があげられる。
しかしながら、短波長化、高NA化に伴い、スポット性能を劣化させる要因である波面収差の値は波長に反比例するため、許容できるマージンは低減する。したがって、短波長化、高NA化により高精度な光ピックアップ光学系が必要となる。
非点収差とは、光束の進行方向に垂直な平面の縦方向と横方向で光束の焦点距離が異なる現象をいう。光束の中心を通る主光線上の異なる2点での光束は近似的に線分になり、これを焦線という。焦線は互いに垂直であり、この焦線の間に光束が円形になる点が存在する。一般的に非点収差は、円筒凸レンズを透過する場合や、発散光路中にガラス面を斜めに屈折して透過する場合に起きることが知られている。
方向や大きさの異なる非点収差を、液晶を用いて補正する提案がある。この提案は、発生した非点収差を打ち消すように、屈折率の違いに基づく位相差を液晶で付与している(例えば、特許文献1、特許文献2)。
また、発散光路中に斜めに平行平板を配置し、非点収差を打ち消すように平行平板を回転調整することで、非点収差を補正する提案もある(例えば、特許文献3)。
スポット性能を劣化させる要因である波面収差のうち非点収差は、光源が持つ非点隔差、光学部品の波面精度、組み立て誤差等で発生するものであり、同一の光学系を有する光ピックアップ内であっても、それぞれの非点収差の方向や大きさが異なる。
このような非点収差による信号劣化への影響は、特にDVD・CDより波長の短い青色領域において著しく、非点収差補正が必要となる。
光学的な課題の一つに、色収差が挙げられる。この色収差の要因は、温度変動や記録時と再生時の光出力変化に伴う光源の波長変動である。光学材料の屈折率は、波長により変化する性質(分散)を持つため、光源の波長変動により色収差が発生する。
前記非点収差補正手段は、前記コリメートレンズと前記対物レンズ間に非点収差補正素子(5)を設けてなり、
該非点収差補正素子(5)は、正のパワーを有するレンズと負のパワーを有するレンズが互いに隣接するように少なくとも2枚のレンズからほぼパワーを持たないように構成され、
光軸と略直交する面内にある軸を当該非点収差補正素子(5)の回転軸とする時、
当該非点収差補正素子(5)の回転角度と回転軸の方向を調整することで、光スポットが有する非点収差を補正する構成としてある。
前記正のパワーを有するレンズの使用中心波長における屈折率と、前記負のパワーを有するレンズの使用中心波長における屈折率とが異なる構成としてある。
このようにすれば、正のパワーを有するレンズの使用中心波長における屈折率と、負のパワーを有するレンズの使用中心波長における屈折率が異なるので、球面による屈折面を有し、かつほぼパワーを持たない非点収差補正素子を提供することができ、大きさや方向の異なる非点収差を補正することができる。
したがって、光スポットの非点収差を良好に補正できるので、光学部品や組付け精度のマージンを広げることができ、かつ良好な信号品質を安定に得ることができる。
前記正のパワーを有するレンズを形成する光学材料のd線でのアッベ数が、前記負のパワーを有するレンズを形成する光学材料のアッベ数より大きい構成としてある。
したがって、対物レンズ、光学部品や組付け精度のマージンを広げることができ、かつ良好な信号品質を安定に提供することができる。
前記非点収差補正手段は、前記非点収差補正素子の回転角度と回転軸の方向及び光源とコリメートレンズ間距離を調整する構成としてある。
前記非点収差補正素子の回転軸の方向を固定する構成としてある。
該光情報処理装置は、請求項1〜請求項8の何れかに記載の光ピックアップを備えた構成としてある。
本発明の原理は、球面収差やコマ収差がほぼ除かれている系では、物点が光軸から離れていくと、つまり画角が大きくなるにつれて、子午的光線(軸外物点と光軸を含む面にある光線)とその垂直方向にある球欠的光線の像点位置のずれが大きくなり、非点収差が生ずることにある。
本実施形態は、請求項1〜請求項7に記載の「非点収差補正」に対応する。
図1は、本実施形態の概略照明光学系の構成図である。
図1に示すように、概略照明光学系SK1は、半導体レーザ1と、コリメートレンズ2と、ビーム整形光学系3と、回折格子4と、非点収差補正素子5と、λ/4板6と、 対物レンズ7とを備えてなる。符号8は、光記録媒体である。
このビーム整形光学系3は、一対のプリズムを偏心させて配置されており、紙面と垂直方向の光束に関しては作用せず、紙面方向の光束は拡大される。
本実施形態で用いた非点収差補正素子5のレンズデータを表1に示す。
図2,図3には、その非点収差の要因が、光学部品である場合の非点収差と波面収差の補正前後の値を示してある。
この非点収差補正素子5の傾き角度に対する非点収差補正量は、レンズの硝材や曲率半径、厚さを変化させることで調整できる。
このような非点収差補正手段を用いることで、大きさや方向の異なる非点収差を補正することができる。
本実施形態は、請求項1〜請求項7の「OL色収差補正と非点収差補正」に対応する。
図5は、本実施形態の概略照明光学系の構成図である。
本実施形態の概略照明光学系SK2と前記第1実施形態との相違点は、次に説明する非点収差補正素子5Aと対物レンズ7Aのみである。
そして、対物レンズ7Aを介して集光されることにより、記録情報の形成、再生がされる。記録再生波長は400nm、対物レンズの開口数NA=0.65, 光情報媒体上のスポット径は約0.52μmである。
本実施形態で用いた非点収差補正素子5Aのレンズデータを表2に示す。
正のパワーを有するレンズを形成する光学材料のd線でのアッベ数が、負のパワーを有するレンズを形成する光学材料のアッベ数より大きい。本実施形態においては、正レンズには、例えばHOYA製BACD16を、負レンズにはHOYA製E-ADF10を用いた。
図6,図7には、その非点収差の要因が、光学部品である場合の非点収差と波面収差の補正前後の値を示してある。また補正するために傾けた非点収差補正素子の回転角度を図8に示す。
本実施形態は、請求項8の「非点収差値の規定」に対応する。
本実施形態では、良好な信号が得るための非点収差の許容量を説明する。
本実施形態の光記録媒体8は、青色領域で記録可能な相変化型である。基板は直径120 mm, 厚さ0.6mmのポリカーボネードからなり、基板表面上には射出成形によりグルーブが形成されている。トラックピッチは0.46μmである。この基板上に、誘電体膜、相変化記録膜、誘電体膜、反射膜を順次積層して光記録媒体を作成した。2値最短マーク長は0.24 μmである。
非点収差が、信号劣化に大きな影響を与えることは、実験より求められている。その一例を図10に示す。
図10は、前記第1実施形態か第2実施形態のいずれかの光ピックアップにおけるスポットの非点収差と2値再生信号のJitterの関係を表す。
本実施形態は、請求項9の「光情報処理装置」に対応する。
本実施形態は、光情報処理装置の一形態であり、前記第1実施形態から第3実施形態のいずれかの光ピックアップを用いて、光記録媒体8に対する情報の再生、記録、消去のうちの、少なくとも一つを行う装置である。
情報の記録は,まず変調信号発生器21から情報を出力し、これを記録波形発生回路22に入力する。記録波形発生回路22では、変調信号に応じた記録パルスを出力する。これをレーザ駆動回路23に入力し、ピックアップヘッド24に備えた半導体レーザ(図示省略)からレーザ光が出射され、対物レンズ(OL)25により光ディスク26上に集光し,記録マークを形成する。
HD 光ディスク記録再生装置
1 半導体レーザ
2 コリメートレンズ
3 ビーム整形光学系
4 回折格子
5,5A 非点収差補正素子
6 λ/4板
7,7A 対物レンズ
8 光記録媒体
21 変調信号発生器
22 記録波形発生回路
23 レーザ駆動回路
24 ピックアップヘッド
25 対物レンズ(OL)
26 光ディスク
27 再生信号増幅器
28 A/D変換器
29 演算回路
Claims (9)
- 光源と、光源からの光束を略平行にするコリメートレンズと、情報記録媒体に集光して光スポットを形成するための対物レンズと、光スポットが有する非点収差を補正する非点収差補正手段を備える光ピックアップにおいて、
前記非点収差補正手段は、前記コリメートレンズと前記対物レンズ間に非点収差補正素子を設けてなり、
該非点収差補正素子は、正のパワーを有するレンズと負のパワーを有するレンズが互いに隣接するように少なくとも2枚のレンズからほぼパワーを持たないように構成され、
光軸と略直交する面内にある軸を当該非点収差補正素子の回転軸とする時、
当該非点収差補正素子の回転角度と回転軸の方向を調整することで、光スポットが有する非点収差を補正することを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項1記載の光ピックアップにおいて、
前記正のパワーを有するレンズの使用中心波長における屈折率と、前記負のパワーを有するレンズの使用中心波長における屈折率とが異なることを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項2記載の光ピックアップにおいて、
前記非点収差補正素子の両端面が、ほぼ平面であることを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項2または請求項3記載の光ピックアップにおいて、
前記正のパワーを有するレンズを形成する光学材料のd線でのアッベ数が、前記負のパワーを有するレンズを形成する光学材料のアッベ数より大きいことを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項1〜請求項4記載の光ピックアップにおいて、
当該光ピックアップは、ビーム整形光学系を備えることを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項5記載の光ピックアップにおいて、
前記非点収差補正手段は、前記非点収差補正素子の回転角度と回転軸の方向及び光源とコリメートレンズ間距離を調整することを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項1〜請求項6記載の光ピックアップにおいて、
前記非点収差補正素子の回転軸の方向を固定することを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項1〜請求項7記載の光ピックアップにおいて、
前記光スポットの非点収差量が0.025λrms以下であることを特徴とする光ピックアップ。 - 情報記録媒体の記録面に光ビームを照射して情報の再生、記録あるいは消去を行う光情報処理装置において、
該光情報処理装置は、請求項1〜請求項8の何れかに記載の光ピックアップを備えたことを特徴とする光情報処理装置。
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