JP4313242B2 - 光ピックアップ装置 - Google Patents
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Description
このように光記録媒体を再生する光ピックアップ装置における光学的な課題の一つに色収差の問題が挙げられる。光記録媒体に用いられる光学材料の屈折率は、波長により変化する性質(分散)を持つため、温度変動や記録時と再生時の光出力変化に伴う光源の波長変動により色収差が発生する。
特に光記録媒体における高密度大容量化を図るため、光源の波長が短波長化され、青色帯域が用いられつつあるが、波長の短波長化に伴って、光学材料の屈折率変化が大きくなるので色収差が記録再生における光情報の劣化に与える影響は大きくなるという問題点がある。
対物レンズで生じる色収差は、デフォーカスによる性能劣化の主要な原因となり、このデフォーカスは対物レンズを調整して補正が可能であるが、光出力変化に伴う波長変動は急激に起こるためアクチュエータで対物レンズを駆動して波長変動を追従できずデフォーカスによる性能劣化が生じる。
このように色収差を抑制するため、例えば特許文献1及び特許文献2では対物レンズより光源側にパワーを持たない色収差補正用光学素子を配置している。しかし、これら特許文献1及び2に開示された手段では対物レンズの色収差補正用光学素子をビーム整形後に配置し、非点収差の影響は最小限に抑えているが、分散が大きい青色帯域においては不十分であるという問題点があった。
また色収差を補正するために、特許文献3及び4ではコリメートレンズに過剰色消し補正を行う機能を持たせている。しかし、半導体レーザの非点隔差を抑制するためにはコリメートレンズの焦点位置を最適な位置に選ぶ必要があり、したがって、波長変動が生じると、コリメートレンズの屈折率変化が生じ、非点収差が発生する。この非点収差は、波長変動要因にかかわらず、つまり、フォーカスサーボが追従する、しないにかかわらず生じる問題である。
したがって、特許文献3や特許文献4に開示されたように、コリメートレンズで色補正を過剰にして対物レンズの色補正をする場合、この非点収差の影響が多大となり、光情報の劣化につながるという問題点がある。
また、特許文献5では出力変化に伴うコリメートレンズの焦点距離の変化と半導体レーザの非点隔差量が相殺するようなコリメートレンズが提供されている。しかしながら、出力変化にともなう波長変動にしか対応できないという問題がある。
(1)波長変動に起因する非点収差による波面劣化の抑制ビーム整形光学系においては、非点収差による波面劣化を抑制し、波長変動によらない最適な盤面スポットを確保する必要性があること。
(2)光源の短波長化に伴い、波長変動によるコリメートレンズの屈折率変化が大きくなるので、非球面単玉レンズや2枚の組レンズをコリメートレンズとして用いた場合、十分な色消し効果と波面収差の抑制効果の条件を同時に満たすことができず、非点収差による波面劣化の影響が大きいこと。
(3)色収差補正された平行光変換手段が、青色帯域においても十分な色収差補正効果と波面収差の抑制効果の条件を同時に満たすようにするためには、レンズの枚数が多くなる又は重量が重くなること。
(4)波長変動によりフォーカス誤差信号のオフセット発生を抑制青色帯域においては、波長変動によるフォーカス誤差信号オフセットが大きくなること。
を満足するように形成したことを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、温度変化や光出力変化に伴う波長変動による非点収差を抑制し、波長変動に強い光ピックアップ装置を提供することができる。
半導体レーザの出射光は、平行光変換手段であるコリメートレンズ3により略平行光にされる。このコリメートレンズの拡大図を図2、レンズデータを図3に示す。正レンズ8と負レンズ7の貼り合わせレンズと紫外線硬化樹脂層9より構成されている。紫外線硬化樹脂層9の一方S1は非球面である。2枚の貼り合わせレンズ7、8が主として色収差補正の作用を持ち、第1色収差補正手段として機能する。正レンズ8のアッベ数が負レンズ7のアッベ数より大きく、例えば本実施例では正レンズ8としてHOYA製BSC7、負レンズ7としてHOYA製FD110を用いている。非球面紫外線硬化樹脂層9は色収差補正用光学素子7、8の残存波面収差を補正する作用を備え、波面収差補正手段として機能する。
1/(f1・n1)+1/(f2・n2)+…1/(fn・nn)=0
となる。
本実施例のコリメートレンズ3において、第一レンズ9の焦点距離は−103.505mm、第二レンズ8の焦点距離は6.889mm、第三レンズ7の焦点距離は−30.709mmである。したがって、色収差補正条件式は以下のようにゼロに近い値になり色収差を補正することができる。
1/(f1・n1)+1/(f2・n2)+…1/(fn・nn)=−0.0012
コリメートレンズ3により出射した光はビーム整形手段であるビーム整形光学系4に入射する。該ビーム整形光学系4は一対のプリズム等を偏心させて配置しており、紙面と垂直方向の光束に関しては作用せず、紙面方向の光束は拡大される。このビーム整形光学系4の出射光が非点隔差を緩和するようにコリメートレンズ3の位置が調整される。ビーム整形された光は第2色収差補正手段である色収差補正用光学素子5を透過し、対物レンズ6に向けて出射する。
色収差補正用光学素子5は波長変動による対物レンズ6の集光位置の移動を補正する機能を備え、1枚の正レンズと2枚の負レンズとを貼り合わせて構成されている。すなわち、色収差補正用光学素子5は、対物レンズの波長変動によるパワーの変化を相殺するよう、波長の変化に対してパワーを変化させる必要がある。一般に色収差補正をしていない屈折を用いたレンズは、波長変化Δλによるパワーの変化Δφの割合Δφ/Δλが負の値をとるので色収差補正用光学素子5はΔφ/Δλが正の値を持つ必要がある。
また色収差補正用光学素子5は、色収差補正用光学素子5と対物レンズ6との光軸方向への相対位置変化により収差が変化しないように、略パワーを持たないことが要求される。さらに色収差補正用光学素子5と対物レンズ6の光軸外への偏心による収差変動をなくすために、球面収差が補正されている。
図4は温度変動による波長変動を想定し、フォーカスサーボが追従している場合の波面収差を示す。青色半導体レーザの場合dλ/dT=+0.05nm/℃であり、例えば25℃から65℃に温度が変動すると波長が2nm程度変動することになる。非球面コリメートレンズを用いた場合の光学系ではこの2nmの波長変動の影響を受け、波面劣化が大きく生じているのに対して、本実施例のコリメートレンズ3を用いると、ほとんど影響を受けず、安定したスポットが得られる。
図5は記録時・再生時の光出力変化による波長変動を想定しフォーカスサーボが追従しない場合の波面収差を示す。青色光源の場合の記録時・再生時の出力変化による波長変動は約0.5nm程度である。この波長変動の影響も、本実施例のコリメートレンズ3を用いることにより、波面劣化を半分程度に抑制できている。
以上のように第1の色収差補正手段を備えたコリメートレンズ3を用いることにより波長変動による非点収差の発生を防ぎ、さらに対物レンズ6の集光位置の移動を第2の色収差補正手段である色収差補正用光学素子5で補正することにより、光学系全体の色収差を除去することができる。
また、コリメートレンズ3に非球面の樹脂層9を用いることで、色収差と波面収差を補正でき、3枚以上の組み合わせレンズに比べて、レンズを組み合わす際に生じる波面劣化を減らすことができ、かつ軽量化も実現できる。
1は半導体レーザ、3はコリメートレンズ(平行光変換手段)、10はビーム整形プリズム(ビーム整形手段)、5は色収差補正用光学素子(第2色収差補正手段)、6は対物レンズ、22はビームスプリッタ、11は検出レンズ、12は円筒レンズ、13は受光素子である。
半導体レーザ1の出射光は、平行光変換手段であり、かつ第1色収差補正手段であるコリメートレンズ3により略平行光にされて、ビーム整形手段であるビーム整形プリズム10に入射する。ビーム整形された光はビームスプリッタ22および第2色収差補正手段である色収差補正用光学素子5を透過し、対物レンズ6に入射し、光記録媒体7上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。
光記録媒体7からの反射光は、再び略平行光とされ、ビームスプリッタ22で反射され、集光レンズ11、円筒レンズ12で集光され、受光素子13に至る。この受光素子より再生信号、サーボ信号を検出する。受光素子は4分割にされ、フォーカス誤差信号は非点収差法、トラック誤差信号はプッシュプル法で検出される。
図8(a)は図6に示した本発明の色収差補正機能を備えたコリメートレンズ3を用いた場合のフォーカス誤差信号の集光位置ずれ依存性を示し、(b)は図7に示した非球面単玉レンズ27(非球面コリメートレンズ)を用いたフォーカス誤差信号の集光位置ずれ依存性を示す。図8では400nmから402nmへ温度変動による波長変動を想定している。(a)と(b)とを比較すれば明らかなように、色収差補正機能を備えたコリメートレンズ3を用いると、フォーカス誤差信号のオフセットの発生を避ける効果がある。
さらに波長変動により光軸ずれが発生すると、ビームが受光素子面の真ん中からずれ、サーボ信号が不安定となる。その不安定を回避するためには色収差補正機能を備えたビーム整形手段を用いることが望ましい。例えば、ビーム整形手段10のうち、半導体レーザ1に近い第一のプリズムを形成する硝材としてHOYA製EFEL1、第一プリズムの出射側の第二のプリズムを形成する硝材としてHOYA製BSC7を用いると、第一のプリズムで平行光の楕円形の強度分布を円形の強度分布に補正し、第二のプリズムで光の波長分散による光軸ずれを補正することができる。
以上のようにコリメートレンズ、ビーム整形プリズム、対物レンズの色収差をそれぞれ補正することで、波長変動によらない安定した光ピックアップ装置を提供できる。
図9に非球面紫外線硬化樹脂層15を光源側に形成したコリメートレンズ14の構成図であり、図10はそのレンズデータである。コリメートレンズ14は正レンズ17と負レンズ16との貼り合わせレンズと紫外線硬化樹脂層15より構成されている。紫外線硬化樹脂層15の一方S4は非球面である。2枚の貼り合わせレンズ16、17が主として色収差補正の作用を持つ。正レンズ17のアッベ数が負レンズ16のアッベ数より大きく、例えば本実施例では正レンズ17としてHOYA製LaC8、負レンズ16としてHOYA製FDS90を用いている。非球面紫外線硬化樹脂層15は色収差補正用光学素子17、16の残存波面収差を補正する作用がある。
本実施例のコリメートレンズ14において、第一レンズ17の焦点距離は6.320mm、第二レンズ16の焦点距離は−24.691mm、第三レンズ15の焦点距離は−33.093mmである。したがって、色収差補正条件式は以下のようにゼロに近い値になる。
1/(f1・n1)+1/(f2・n2)+…1/(fn・nn)=−0.004137
本実施例のコリメートレンズ18において、第一レンズ21の焦点距離は12.228mm、第二レンズ20の焦点距離は−17.263mm、第三レンズ19の焦点距離は−12.880mmである。したがって、色収差補正条件式は以下の通りゼロに近い値になる。
1/(f1・n1)+1/(f2・n2)+…1/(fn・nn)=−0.00034
さらに、図13は第5の実施例として三枚玉からなるコリメートレンズ26の構成を示す図、図14はそのレンズデータである。コリメートレンズ26の焦点距離は10mmである。正レンズ24と負レンズ23との貼り合わせレンズと、正レンズ25とより構成している。2枚の貼り合わせレンズ23、34が主として色収差補正の作用を持つ。正レンズ24のアッベ数が負レンズ23のアッベ数より大きく、例えば本実施例では正レンズ24としてHOYA製PCD4、負レンズ23としてHOYA製FDS90を用いている。正のレンズ25はHOYA製TaF5を用いており、色収差補正用光学素子24、23の残存波面収差を補正する作用がある。
本実施例のコリメートレンズ26において、第一レンズ25の焦点距離は14.794mm、第二レンズ24の焦点距離は10.656mm、第三レンズ23の焦点距離は−10.829mmである。したがって、色収差補正条件式は以下の通りゼロに近い値になる。
1/(f1・n1)+1/(f2・n2)+…1/(fn・nn)=−0.00194
以上のように本発明によれば、ビーム整形光学系において生じる波長変動による非点収差の波面劣化を抑制することができる。したがって、波長変動が生じても最良な盤面スポットを提供でき、フォーカス誤差信号のオフセット発生を抑制する効果がある。また色収差補正コリメートレンズを軽量化しつつ、十分な色収差効果が得られる。
図17は記録時・再生時の光出力変化による波長変動を想定しフォーカスサーボが追従しない場合の波面収差を示す。青色光源の場合の記録時・再生時の出力変化による波長変動は約0.5nm程度である(符号52)。この波長変動の影響も、本実施例のコリメートレンズ3を用いることにより、波面劣化を半分程度に抑制できている(符号53)。
さらに、図18は高周波重畳によるマルチモード化で波長が0.8nm程度広がりがある時と、高周波重畳がないシングルモードの時における波面劣化の様子を示す。この場合も、本実施例のコリメートレンズ3を用いることにより、符号54の従来例に比較して波面劣化を抑制できている(符号55)。
第7の実施例では色収差補正コリメートレンズ3を用いることにより、波長変動によるフォーカス誤差信号のオフセットを抑制できることを示す。光学系の構成は実施例1と同様である。再生信号、フォーカス誤差信号、トラック誤差信号等を検出する受光素子は4分割にされ、フォーカス誤差信号は非点収差法、トラック誤差信号はプッシュプル法を用いる。波長変動によりコリメートレンズに屈折率変化が生じると、非点収差法によるフォーカス誤差信号にオフセットが生じ、安定な誤差信号を提供できなくなる。例えば色補正されていない非球面単玉レンズ27における光学系の構成図を図19に示す。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。
図21は本発明の第8の実施例に係る光情報処理装置を示す図である。第8の実施例は光情報処理装置の一形態であり、上記第1実施形態から第3実施形態のいずれかの光ピックアップ装置を用いて、光記録媒体7に対する情報の再生、記録、消去の少なくとも一つを行う装置36である。光記録媒体7は、保護ケース37ごと、挿入口38から光情報処理装置36内に矢印方向へ挿入されてセットされ、スピンドルモータ39により回転され、光ピックアップ40により情報の再生、記録、消去の少なくとも1つが行われる。
この実施形態4によれば、色収差が抑制された波長変動、波長広がりによらない安定した光情報記録装置を提供できる。
尚、本発明の対物レンズの色収差補正は、図22に示す回折型対物レンズを使用し、且つその対物レンズは図23に示す貼り合わせ型対物レンズにより実現する。例えば、回折型対物レンズ210は表面に回折面211を有する。そして回折面211は図22(C)のように表面が同心円状に格子状に形成されている。また貼りあわせ型対物レンズ304は第1面308に対向する第2面310にレンズを貼りあわせ、第3面312を有するレンズを構成する。これによりレンズの軽量化、小型化が図れる。
3・・・コリメートレンズ(平行光変換手段、第1色収差補正手段、波面収差補正手段)
4・・・ビーム整形光学系(ビーム整形手段)
5・・・色収差補正用光学素子(第2色収差補正手段)
6・・・対物レンズ
Claims (2)
- 情報の記録、再生、消去の1以上を行う光ピックアップ装置であって、波長が約400nmの半導体レーザ等の光源と、第1の色収差補正手段を含む平行光変換手段と、平行光を整形するためのビーム整形手段と、整形された光を情報記録媒体に集光するための対物レンズと、対物レンズの色収差を補正する第2の色収差補正手段と、を備えた光ピックアップ装置において、
前記第1の色収差補正手段を含む平行光変換手段は、正のパワーを持つレンズと負のパワーを持つレンズとが貼り合わせられ、その少なくともいずれかの面に紫外線硬化樹脂層からなる非球面を有するコリメートレンズであり、前記半導体レーザの波長変動によるコリメートレンズの色収差を補正し、
前記対物レンズと、前記第1の色収差補正手段を含む平行光変換手段の間に前記ビーム整形手段を備え、
前記対物レンズと前記ビーム整形手段の間に、前記対物レンズの色収差を補正する略パワーを持たない前記第2の色収差補正手段を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記コリメートレンズを構成するレンズ又は紫外線効果樹脂膜の焦点距離を光源側からそれぞれf1、f2、…fnとし、そのレンズ又は紫外線効果樹脂膜が持つ光学材料d線のアッベ数をそれぞれn1、n2、…nnとする時、前記コリメートレンズは、
−0.002mm -1 <1/(f1・n1)+1/(f2・n2)+・・・+1/(fn・nn)<0.005mm -1
を満足するように形成したことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
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