JPWO2006104049A1 - ノルボルネン系付加共重合体および成形品 - Google Patents

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Abstract

本発明は、(A)ノルボルネン系単量体、(B)芳香族ビニル化合物、および(C)炭素数が2〜20のα−オレフィンを付加共重合して得られる共重合体であって、(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位の存在量と、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量との和が全繰り返し単位に対して25〜90モル%であり、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量が、(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位の存在量に対して0.55〜10(モル)倍の範囲であるノルボルネン系付加共重合体;並びにこのノルボルネン系付加共重合体を成形して得られる成形品である。本発明によれば、透明性および屈折率が高く、固有複屈折値が小さいノルボルネン系付加共重合体、並びにこのノルボルネン系付加共重合体を成形して得られる成形品が提供される。

Description

本発明は、ノルボルネン系付加共重合体およびその用途に関し、より詳しくは、透明性および屈折率が高く、固有複屈折値が小さいノルボルネン系付加共重合体、並びに、このノルボルネン系付加共重合体を成形して得られる成形品に関する。
ノルボルネン系単量体とα−オレフィンとを付加共重合して得られる共重合体(以下、「ノルボルネン系単量体/α−オレフィン共重合体」ということがある)は、耐熱性、透明性、低吸水性、低複屈折性などに優れ、光学用途に適する材料であることが知られている。
近年においては、光学機器の機能の高度化に伴い、ノルボルネン系単量体/α−オレフィン付加共重合体にも、より優れた高屈折率性および低複屈折性を有するものの開発が求められている。
従来、ノルボルネン系単量体/α−オレフィン共重合体の高屈折率化を図る方策としては、ノルボルネン系単量体として、芳香環を置換基に有するものを用いる方法が知られている。
例えば、特公平7−51609号公報、特表平11−504669号公報には、5−フェニルノルボルネンまたは1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンとエチレンとを付加共重合することで、光学材料に好適な共重合体が得られる旨が記載されている。しかしながら、得られる共重合体は、高い屈折率を有するものの複屈折値が十分に小さいものではない。
また、特開平10−287713号公報には、(I)α−オレフィン、(II)環状オレフィンおよび(III)芳香族ビニル化合物から得られ、それぞれの含有割合が、(I)30〜89モル%、(II)10〜70モル%、(III)0.1〜35モル%であり、0.05×(II)≧(III)≧0.01×(II)である3元共重合体は、低複屈折性を有し、光学用成形品の成形材料として好適である旨が記載されている。しかしながら、得られる3元共重合体は、屈折率向上の効果に乏しいものであり、また、複屈折値が十分に小さいものでもない。
従って、これらの文献に記載の共重合体は、光学材料として十分に満足のいくものではなかった。
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、透明性および屈折率が高く、固有複屈折値が小さいノルボルネン系付加共重合体、並びに、このノルボルネン系付加共重合体を成形して得られる成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ノルボルネン系単量体、芳香族ビニル化合物、およびα−オレフィンを付加共重合させて得られる3元付加共重合体において、ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位と芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量、および重量平均分子量を特定の値に設定すると、透明性および屈折率が高く、しかも、固有複屈折値が小さい高分子となることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、(A)ノルボルネン系単量体、(B)芳香族ビニル化合物、および(C)炭素数が2〜20のα−オレフィンを付加共重合して得られる共重合体であって、(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位の存在量と、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量との和が全繰り返し単位に対して25〜90モル%であり、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量が、(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位の存在量に対して0.55〜10(モル)倍の範囲であるノルボルネン系付加共重合体が提供される。
本発明のノルボルネン系付加共重合体においては、(A)ノルボルネン系単量体が芳香環を置換基として有するものであるのが好ましい。
また、本発明のノルボルネン系付加共重合体は、応力光学定数(C)が負であるものが好ましい。
本発明の第2によれば、本発明のノルボルネン系付加共重合体を成形して得られる成形品が提供される。
本発明の成形品は、光学用であるのが好ましい。
1)ノルボルネン系付加共重合体
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、(A)ノルボルネン系単量体、(B)芳香族ビニル化合物、および(C)炭素数が2〜20のα−オレフィンを付加共重合して得られる共重合体であって、(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位の存在量と、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量との和が全繰り返し単位に対して25〜90モル%であり、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量が、(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位の存在量に対して0.55〜10(モル)倍の範囲であることを特徴とする。
本発明において、「ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位」とは、ノルボルネン系単量体を付加重合して得られる繰り返し単位の意であり、「芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位」とは、芳香族ビニル化合物を付加重合して得られる繰り返し単位の意である。
(A)ノルボルネン系単量体
本発明に用いる(A)ノルボルネン系単量体は、ノルボルネン環構造を有する化合物であれば、いずれのものでもよいが、好ましい例として、下記式(1)に示すものが挙げられる。
Figure 2006104049
上記式(1)中、mは0〜2の整数であり、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表す。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、および芳香族炭化水素基などが挙げられる。また、炭化水素基の炭素数は特に制限されないが、1〜20であるのが好ましい。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ペンテニル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。
またR〜Rは、互いに結合して単環または多環を形成してもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環は二重結合を有していてもよい。
さらに、RとR、またはRとRとが一緒になってアルキリデン基を形成してもよい。このようなアルキリデン基の炭素数は特に制限されないが、通常2〜20である。
アルキリデン基の具体例としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基などが挙げられる。
また、前記炭化水素基は任意の位置に置換基を有していてもよい。置換基としては、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;などが挙げられる。
前記式(1)で表される単量体としては、前記式(1)においてmが0であるノルボルネン類、mが1であるテトラシクロドデセン類、およびmが2であるヘキサシクロヘプタデセン類が挙げられる。
mが0であるノルボルネン類の具体例としては、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン等の無置換またはアルキル基を有するノルボルネン類;5−メチリデンノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン等のアルケニル基を有するノルボルネン類;5−シクロヘキシルノルボルネン、5−シクロペンチルノルボルネン等のシクロアルキル基を有するノルボルネン類;5−シクロヘキセニルノルボルネン、5−シクロペンテニルノルボルネン等のシクロアルケニル基を有するノルボルネン類;5−フェニルノルボルネン、5−(o−メチルフェニル)ノルボルネン、5−(m−メチルフェニル)ノルボルネン、5−(p−メチルフェニル)ノルボルネン、5−メチル−5−フェニルノルボルネン、5−(p−クロロフェニル)ノルボルネン、5−(α−ナフチル)ノルボルネン等の芳香環を有するノルボルネン類;
ジシクロペンタジエン、トリシクロ[4.3.12,5.0]デカ−3−エン等の、前記式(1)においてRとRが互いに結合して五員環を形成している単量体;テトラシクロ[6.5.12,5.01,6.08,13]トリデカ−3,8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、シクロペンタジエン・アセナフチレン付加物等の、前記式(1)においてR〜Rが互いに結合して芳香環を形成している単量体;等が挙げられる。
mが1であるテトラシクロドデセン類の具体例としては、テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン等の無置換またはアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;8−メチリデンテトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、8−ビニルテトラシクロドデセン等のアルケニル基を有するテトラシクロドデセン類;8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン等のシクロアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;8−シクロヘキセニルテトラシクロドデセン等のシクロアルケニル基を有するテトラシクロドデセン類;8−フェニルテトラシクロドデセン等の芳香環を有するテトラシクロドデセン類;
また、mが2であるヘキサシクロヘプタデセン類としては、上記のテトラシクロドデセン類とシクロペンタジエンとのディールズ・アルダー付加体のいずれも用いることができる。
これらのノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、屈折率が高い共重合体を得るためには、(A)ノルボルネン系単量体として、芳香環を置換基として有するものが好ましく、芳香環を有するノルボルネン類;前記式(1)においてR〜Rが互いに結合して芳香環を形成している単量体;および芳香環を有するテトラシクロドデセン類が特に好ましい。
(B)芳香族ビニル化合物
本発明に用いる芳香族ビニル化合物としては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−クロロメチルスチレンなどのハロゲン原子で置換されていてもよいモノもしくはポリアルキルスチレン;p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−ビニル安息香酸、p−ビニル安息香酸メチル、4−ビニルベンジルアセテート、p−ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;ビニルナフタレン;α−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエタンなどのα−置換スチレン;などが挙げられる。
これらの芳香族ビニル化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、スチレン、ハロゲン原子で置換されていてもよいモノもしくはポリアルキルスチレン、官能基含有スチレン誘導体、およびα−置換スチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
(C)炭素数が2〜20のα−オレフィン
本発明に用いる炭素数が2〜20のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィン;1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエンなどのジオレフィン;4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素数4〜20の分岐状α−オレフィン;ビニルシクロへキセンなどの分岐状ジオレフィン;3−フェニルプロピレン、4−フェニルブテンなどの芳香環を有するα−オレフィン;などが挙げられる。
これらのα−オレフィンは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、炭素数2〜12の直鎖状α−オレフィンが好ましく、炭素数2〜8の直鎖状α−オレフィンがより好ましく、エチレンが特に好ましい。
本発明においては、前記(A)ノルボルネン系単量体、(B)芳香族ビニル化合物および(C)炭素数が2〜20のα−オレフィンの他に、これらと付加共重合可能な単量体を共重合させてもよい。このような単量体としては、環状モノオレフィンおよび環状ジオレフィンが挙げられる。
環状モノオレフィンの具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、フェニルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、フェニルシクロオクテン等が挙げられる。環状ジオレフィンの具体例としては、シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、フェニルシクロオクタジエン等が挙げられる。
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、分子内に、前記(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位、前記(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位、および前記(C)炭素数が2〜20のα−オレフィン由来の繰り返し単位とを有する共重合体である。
共重合の形態としては、特に制限されず、ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよい。
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位の存在量と、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量との和が全繰り返し単位に対して25〜90モル%、好ましくは30〜80モル%のものである。(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位の存在量と、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量との和がこの範囲にあると、共重合体のガラス転移温度(Tg)が70〜250℃、好ましくは80〜230℃となるので、光学材料として好ましい。
共重合体中の各繰り返し単位の存在量は、H−NMRおよび13C−NMRスペクトル分析により測定することができる。
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量が、(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位に対して、0.55〜10(モル)倍、好ましくは0.6〜8(モル)倍、より好ましくは0.65〜6(モル)倍の範囲にあるものである。(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量が多いほど、屈折率が向上し、応力光学定数(C)が減少し、結果として、共重合体の固有複屈折値が小さくなるため好ましい。
さらに好ましくは、全繰り返し単位中に存在する、芳香環を有する繰り返し単位の存在量の合計が、全繰り返し単位に対して20〜90モル%、特に好ましくは25〜80モル%である。この範囲にあると、屈折率が1.56〜1.60と高い値となる。
本発明のノルボルネン系共重合体は、射出成形法および溶融押出成形法などによる成形加工によって成形品とされるが、成形工程時の共重合体樹脂の配向によって複屈折性が生ずる。成形品の複屈折値は、成形条件と成形材料によって決定される。従って、成形条件によらず、複屈折値を低減するには、成形材料の固有複屈折値を小さくする必要がある。
この固有複屈折値を決定する1つの因子として応力光学係数(C)がある。固有複屈折値と応力光学係数(C)は、比例関係にあるので、Cの絶対値が小さいほど、固有複屈折値も小さくなる。応力光学係数(C)とは、一般に重合体が流動状態のときに、加えた応力を横軸、複屈折性を縦軸とした時の傾きに相当し、重合体がどれくらい複屈折しやすいかの指標として用いられる。応力光学係数(C)は、例えば、「日本レオロジー学会誌」:Vol.19,No.2,pp93−97(1991)に記載された方法で求めることができる。
複屈折を低減させるには、Cの絶対値を0に近づければよい。Cの絶対値を小さくするための、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量(モル)の(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位の存在量(モル)に対する割合(以下、「(B)/(A)」と略記する)は、選択する(A)ノルボルネン系単量体および(B)芳香族ビニル化合物の種類などに依存するため、一概には言えないが、好ましくは(B)/(A)が0.55〜5の範囲である。(B)/(A)がこの範囲である本発明の共重合体を用いると、得られる成形品は極めて低複屈折性となる。
また、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量を増加させ、例えば、(B)/(A)が0.66〜10とすることにより、Cを負にすることができる。Cが負、すなわち固有複屈折値が負である本発明の共重合体は、液晶ディスプレイの位相差フィルムなどの材料として有用である。
本発明のノルボルネン系共重合体においては、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量の割合が高ければ高いほど、屈折率は向上し、Cは負となり、その絶対値は大きくなる。(B)/(A)が10を超えると、光学成形品として必要な機械強度や耐熱性が低下するため、好ましくない。
本発明においては、(B)/(A)の値を0.55〜10(モル)倍に設定することにより、屈折率が1.55〜1.60の範囲にあり、応力光学係数(C)が+1,000×10−12〜−4,000×10−12Paの範囲にあるノルボルネン系付加共重合体を得ることができる。
本発明のノルボルネン系付加共重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常10,000〜1,000,000、好ましくは20,000〜500,000である。分子量があまりに小さいと成形品の強度が弱くなり、分子量があまりに大きいと溶融粘度が高くなり過ぎて成形が困難となる。
分子量は、重合温度、重合触媒の量、単量体濃度、連鎖移動剤の添加などにより調整することができる。
2)ノルボルネン系付加共重合体の製造方法
本発明に係るノルボルネン系付加共重合体は、たとえばメタロセン触媒の存在下に、(A)ノルボルネン系単量体と、(B)芳香族ビニル化合物と、(C)炭素数が2〜20のα−オレフィンとを付加共重合することにより製造することができる。
メタロセン触媒としては、シングルサイト触媒として従来より用いられているメタロセン系触媒、ならびにこれらに類似するメタロセン系触媒が制限なく用いられるが、特に遷移金属のメタロセン化合物(a)と、有機アルミニウムオキシ化合物(b)、またはボレートもしくはボラン化合物(c)とからなる触媒が好ましく用いられる。
メタロセン化合物(a)として具体的には、下記一般式(2)で表される架橋型メタロセン化合物が挙げられる。
Figure 2006104049
式(2)中、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムからなる群から選ばれる金属であり、触媒活性に優れることからジルコニウムが好ましい。
とXは同一または異なってもよく、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基またはハロゲン原子である。
およびRは、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基を示し、これらは水素原子またはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基、あるいはフェニル基、ベンジル基などにより置換されていてもよい。
はメチレン基、エチレン基、プロピレン基などの低級アルキレン基、イソプロピリデンなどのアルキリデン基、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン、ジフェニルシリレンなどの置換シリレン基を示す。
式(2)で表される架橋型メタロセン化合物としては、イソプロピリデン−(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン−(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン−(9−フルオレニル)[1−(3−メチル)シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン−(9−フルオレニル)[1−(3−tert−ブチル)シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン−(1−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリドおよびイソプロピリデン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを挙げることができる。
これらの式(2)で表される架橋型メタロセン化合物は、(A)ノルボルネン系単量体が芳香環を有するノルボルネン系単量体である場合に好ましく用いることができる。
また本発明では、メタロセン化合物(a)として下記一般式(3)で示されるハーフメタロセン化合物を用いることもできる。
Figure 2006104049
式(3)中、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、ZおよびZは同一または異なってもよく、それぞれ炭素数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子である。Cp’はインデニル基、フルオレニル基であり、これらは炭素数1〜12の炭化水素基により置換されていてもよい。
、R、およびR10は水素原子、または20個までのアルキル、アリール、シリル、ハロゲン化アルキルもしくはハロゲン化アリール基である。
上記式(3)のハーフメタロセン化合物のなかでも、Mがチタンであるハーフチタノセンが好ましい。好ましいハーフチタノセン化合物の具体例としては、(t−ブチルアミド)ジメチル−1−インデニルシランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−1−インデニルシランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランチタンジメチルなどが挙げられる。これらの式(3)で表されるハーフメタロセン化合物は、ノルボルネン系単量体として、芳香環を有さないノルボルネン系単量体を用いる場合に特に好ましく用いられる。
メタロセン触媒を形成する際に用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(b)、またはボレートもしくはボラン化合物(c)は、メタロセン化合物を活性化する活性化剤である。
有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、従来公知のアルミノオキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
ボレートもしくはボラン化合物(c)は、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物をカチオン種に変換可能な活性化剤であり、必要に応じて有機アルミニウム化合物(d)と併用して用いる。このようなボレートもしくはボラン化合物(c)の具体例として、ボレートとしては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。ボラン化合物としては、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンなどが挙げられる。
必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物(d)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;ジメチルアルミニウムメトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げられる。
(A)ノルボルネン系単量体、(B)芳香族ビニル化合物、および(C)α−オレフィンの共重合における重合形態としては、溶液重合、塊状重合およびスラリー重合のいずれも採用することができ、また連続式およびバッチ式のいずれでも実施することができる。
共重合で用いられる重合溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを例示することができる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。
共重合反応温度は、−50〜+230℃、好ましくは−30〜+200℃、さらに好ましくは−20〜+150℃の範囲であり、共重合反応時間は、2分〜5時間、好ましくは5分〜3時間である。また、重合反応の際の圧力は、0を超えて10MPa、好ましくは0を超えて5MPaの範囲である。
重合反応を実施するに際し、触媒は、メタロセン化合物(a)と、有機アルミニウムオキシ化合物(b)、ボレートもしくはボラン化合物(c)または有機アルミニウム化合物(d)とを反応器内に別々に添加してもよく、また予め重合器の系外で接触させておいてもよい。
重合反応におけるメタロセン化合物(a)の濃度は、好ましくは0.00005〜1.0ミリモル/リットル、より好ましくは0.0001〜0.3ミリモル/リットルである。また、有機アルミニウムオキシ化合物(b)、およびボレートもしくはボラン化合物(c)の濃度は、メタロセン化合物(a)に対して、1〜10,000当量であることが好ましい。
また、これらと一緒に用いられる有機アルミニウム化合物(d)の濃度は、ボレートもしくはボラン化合物のホウ素原子に対して、0.01〜100当量であることが好ましい。
本発明の共重合体の製造においては、(A)ノルボルネン系単量体、(B)芳香族ビニル化合物、および(C)α−オレフィンの仕込み比を適宜変更することで、所望の組成の共重合体を得ることができる。
具体的には、全単量体中、(A)ノルボルネン系単量体が、通常1〜80モル%、好ましくは2〜70モル%であり、(B)芳香族ビニル化合物が、通常10〜90モル%、好ましくは15〜80モル%、(C)α−オレフィンが、通常1〜80モル%、好ましくは2〜70モル%である。
また、(A)ノルボルネン系単量体と(B)芳香族ビニル化合物との仕込み比(モル比)は、好ましくは8/1〜1/90、より好ましくは7/10〜1/80、特に好ましくは4/1〜1/40の範囲である。
本発明の共重合体の合成においては、(A)ノルボルネン系単量体、(B)芳香族ビニル化合物、(C)α−オレフィンの添加方法は任意の方法を選択できる。例えば、全量の(A)、(B)、(C)を反応器に添加した後、触媒成分を添加しても良いし、触媒成分存在下に(A)、(B)、(C)を一括または少量ずつ添加してもよい。また、(A)、(B)、(C)の一部または全量を反応器に添加した後、触媒成分を添加し、続いて残りのモノマーを一括または少量ずつ添加してもよい。
本発明の共重合体の分子量は、重合反応を水素の存在下に行うことで調整できる。また、前記触媒成分(a)、(b)、(c)、(d)の種類と量を変化させたり、重合反応温度を変化させることでも調整できる。
重合反応終了後においては、常法により触媒の除去や乾燥を行うことにより、目的とするノルボルネン系付加共重合体を単離することができる。
以上のようにして得られる本発明のノルボルネン系付加共重合体は、後述するように各種の成形用材料として用いることができる。特に本発明のノルボルネン系付加共重合体は、透明性および屈折率が高く、低吸湿性に優れ、固有複屈折値が小さいものであるので、光学成形品の成形材料(光学材料)として好適に用いることができる。
3)ノルボルネン系付加共重合体を成形して得られる成形品
本発明の成形品は、本発明のノルボルネン系付加共重合体を成形して得られるものである。成形方法としては、公知の熱可塑性樹脂の成形方法をいずれも採用することができる。具体的には、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、回転成形法、プレス成形法、ロール成形法などが挙げられる。
本発明の成形品を製造するに際しては、本発明のノルボルネン系付加共重合体に各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、酸化防止剤;紫外線吸収剤;耐候安定剤;帯電防止剤;光安定剤;近赤外線吸収剤;染料や顔料などの着色剤;滑剤;可塑剤;アンチブロッキング剤;蛍光増白剤;防臭剤;充填剤;架橋剤;加硫剤;他の合成樹脂やゴム質重合体;などが挙げられる。
本発明の成形品の好ましい具体例としては、光記録媒体および光磁気記録媒体の基板;眼鏡レンズ、f・θレンズ、ピックアップレンズなどのレンズ、プリズム;光カード;光ファイバー;光学ミラー;液晶表示素子基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルムなどの液晶ディスプレイ用部材などの各種光学成形品が挙げられる。
また、本発明のフィルム状成形品は、ポリスチレン樹脂などの固有複屈折値が負である高分子のフィルムや、ノルボルネン系樹脂などの固有複屈折値が正である高分子のフィルムとの密着性に優れる。従って、本発明のフィルム状成形品を積層フィルムに使用することにより、積層フィルムの密着性を向上させることができる。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例における共重合体の各物性は、以下のようにして測定した。
(1)分子量
重合体の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算値として求めた。
GPCの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)に可溶な重合体についてはTHFを用い、THFに不溶な重合体についてはクロロホルムを用いた。
(2)共重合体の各繰り返し単位の存在量
共重合体の各繰り返し単位の存在量は、重クロロホルム溶媒中でのH−NMRおよび、13C−NMRスペクトル分析により以下のように求めた。
(実施例1、2および比較例1の共重合体)
13C−NMRスペクトルにおける、127.5、128.1 ppmのスチレンユニットの芳香環の炭素4個分の積分値、123−127ppmのスチレンユニットの芳香環の炭素1個、およびテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンユニットの芳香環の炭素4個分の積分値をもとに、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンとスチレンとの比(モル/モル)を求めた。
次に、この比をH−NMRにおける6.7−7.6ppmの芳香環に基づくシグナルの積分値に割り当てることで、0.4−4.0ppmの脂肪族に基づくシグナル中のエチレンユニットに占める割合を求め、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンとスチレンとエチレンとの比(モル/モル/モル)を求めた。
(実施例3および比較例2の共重合体)
13C−NMRスペクトルにおける、125.5ppmのスチレン由来芳香環炭素1個分の積分値、34−32ppmのノルボルネン由来橋頭位炭素1個分の積分値および31−28ppmのエチレン由来炭素1個分の積分値をもとに、ノルボルネン、スチレンおよびエチレンとの比(モル/モル/モル)を求めた。
さらに、H−NMRにおける6.7−7.6ppmの芳香環に基づくシグナルの積分値と0.4−3.0ppmの脂肪族に基づく積分値をもとにスチレンとノルボルネン−エチレンとの比(モル/モル)を求め、13C−NMRスペクトルの結果と比較して、各繰り返し単位の存在量の比を決定した。
(3)ガラス転移温度
重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析(DSC)により毎分10℃で昇温して測定した。
(4)複屈折値
重合体を200℃でプレス成形して、厚さ1.2mm、直径85mmの光ディスク基板を成形した。この基板の中心から半径25mm位置の、546nmでの複屈折値を偏光顕微鏡(セナルモンコンペンセータ、ニコン社製)を用いて測定した。複屈折値が0に近いほど低複屈折性であることを表す。
(5)屈折率
上記(4)で作製したディスク基板の屈折率は、ASTM D542に準拠して、アッベ屈折計(DR−M2、アタゴ社製)を用いて測定した。
(6)応力光学係数(C
応力光学係数(C)は、Polymer Journal,Vol.27,No.9,PP.943−950(1995)に記載の方法により求めた。すなわち、重合体を熱プレスして作製した厚さ1mm、縦20mm、横10mmのサンプルを用いて、ガラス転移温度(Tg)以上にて数種類の一定荷重をかけて数パーセント伸びた状態でゆっくりと冷却して室温まで戻した後に、発生した位相差を測定し、加えた応力とから算出した。
(7)全光線透過率
重合体を200℃でプレス成形して、厚さ3mm、縦130mm、横120mmの試験片を作製した。この試験片について、JIS K7105に準拠して、濁度計(NDH2000、日本電色社製)を用いて測定した。
(8)飽和吸水率
上記(7)で得た試験片を用いて、JIS K7209に準拠して測定した。
(実施例1)共重合体(A)の製造
撹拌機付き耐圧ガラス反応器に、トルエン865部、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン200部、スチレン273部、およびトルエン5.18部に溶解したトリエチルアルミニウム0.630部を加えた。
次に、トルエン43.3部、rac−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド0.04部、およびトルエン2.56部に溶解したメチルアルミノキサン0.499部を別のガラス反応器で混合して、前記反応器に添加した。さらに、0.2MPaのエチレンガスを導入し、40℃で重合を開始した。120分間重合した後、重合反応液を多量の塩酸酸性メタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して共重合体(A)65.2部を得た。
得られた共重合体(A)のMwは93,100、Mnは47,100、重合体中のテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン/スチレン/エチレン組成比は、21.8/13.1/65.1(モル/モル/モル)で、Tgは89℃であった。
次いで、共重合体(A)を200℃でプレス成形することにより光ディスク基板(A)を得た。光ディスク基板(A)の全光線透過率は90%、飽和吸水率は0.01%以下、複屈折値は8nm、屈折率は1.58で、Cは864×10−12Paであった。
(実施例2)共重合体(B)の製造
実施例1において、0.2MPaのエチレンガスを導入する代わりに、0.05MPaのエチレンガスを導入する以外は実施例1と同様に重合反応を行い、共重合体(B)61.0部を得た。
得られた共重合体(B)のMwは63,900、Mnは30,600、重合体中のテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン/スチレン/エチレン組成比は、24.8/17.9/58.1(モル/モル/モル)で、Tgは101℃であった。
次いで、共重合体(B)を200℃でプレス成形することにより光ディスク基板(B)を得た。光ディスク基板(B)の全光線透過率は96%、飽和吸水率は0.01%以下、複屈折値は6nm、屈折率は1.58で、Cは550×10−12Paであった。
(実施例3)共重合体(C)の製造
攪拌機付き耐圧ガラス反応器(1)に、トルエン173部、ノルボルネン75部、スチレン182部、およびトリイソブチルアルミニウム3.86部を加えた。次に、トルエン8.65部に溶解させた(t−ブチルアミド)ジメチル−1−インデニルシランチタンジメチル0.06部、およびトルエン8.65部に溶解させたトリチルテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.18部を別のガラス反応器(2)内で混合して、この混合物を前記反応器(1)に添加した。さらに、0.1MPaのエチレンガスを前記反応器(1)内の反応混合物に導入し、60℃で重合を開始した。60分間重合した後、重合反応液を多量の塩酸酸性メタノールに注いで、析出物をろ取し、80℃で15時間減圧乾燥して共重合体(C)46.2部を得た。
得られた共重合体(C)のMwは248,900、Mnは107,100、共重合体(C)中のノルボルネン/スチレン/エチレン組成比は、22.9/22.4/54.7(モル/モル/モル)で、Tgは82℃であった。
次いで、共重合体(C)を200℃でプレス成形することにより光ディスク基板(C)を得た。光ディスク基板(C)の全光線透過率は90%、飽和吸水率は0.01%以下、複屈折値は6nm、屈折率は1.56で、Cは−503×10−12Paであった。
(比較例1)共重合体(D)の製造
実施例1において、スチレンを添加せず、かつ、反応時間を120分間から30分間に変更した以外は、実施例1と同様に重合反応を行い、共重合体(D)158部を得た。
得られた共重合体(D)のMwは123,000、Mnは51,000、重合体中のテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン/エチレン組成比は、31/69(モル/モル)で、Tgは125℃であった。
次いで、共重合体(D)を200℃でプレス成形することにより、光ディスク基板(D)を得た。光ディスク基板(D)の全光線透過率は90%、飽和吸水率は0.01%以下、複屈折値は18nm、屈折率は1.57で、Cは1670×10−12Paであった。
(比較例2)共重合体(E)の製造
実施例1において、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン200部の代わりにノルボルネン200部を用いた以外は、実施例1と同様に重合を行い、共重合体(E)24.0部を得た。
得られた共重合体(E)のMwは68,300、Mnは32,100、重合体中のノルボルネン/スチレン/エチレン組成比は、35.8/6.8/57.4(モル/モル/モル)で、Tgは83℃であった。
次いで、共重合体(E)を200℃でプレス成形することにより、光ディスク基板(E)を得た。光ディスク基板(E)の全光線透過率は96%、飽和吸水率は0.01%以下、複屈折値は6nm、屈折率は1.54で、Cは605×10−12Paであった。
以上より、実施例1〜3で得られた共重合体(A)〜(C)は、透明性に優れ、屈折率が高く、低吸湿性に優れ、C値が小さく、複屈折値も小さいものであった。一方、比較例1で得られた共重合体(D)は、屈折率は1.57であって高屈折率を有しているものの、C値が1670×10−12Paと大きく、複屈折値も18nmと大きいものであった。また、比較例2で得られた共重合体(E)は、C値が605×10−12Paと小さく、複屈折値も6nmと小さいが、屈折率が1.54と低いものであった。
本発明のノルボルネン系付加共重合体および成形品は、透明性および屈折率が高く、固有複屈折値が小さいものである。
本発明の成形品は、光ディスク、光学レンズ、光カード、光ファイバー、光学ミラー、液晶表示素子基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルムなどとして好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. (A)ノルボルネン系単量体、(B)芳香族ビニル化合物、および(C)炭素数が2〜20のα−オレフィンを付加共重合して得られる共重合体であって、(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位の存在量と、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量との和が全繰り返し単位に対して25〜90モル%であり、(B)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の存在量が、(A)ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位の存在量に対して0.55〜10(モル)倍の範囲であるノルボルネン系付加共重合体。
  2. (A)ノルボルネン系単量体が、芳香環を置換基として有するものである請求項1記載のノルボルネン系付加共重合体。
  3. 応力光学定数(C)が負である請求項1記載のノルボルネン系付加共重合体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のノルボルネン系付加共重合体を成形して得られる成形品。
  5. 光学用である請求項4記載の成形品。


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