JP5262328B2 - 光学フィルムとその製造方法 - Google Patents

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本発明は、光学フィルムとその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、アルカリ処理された環状ノルボルネン系樹脂フィルムからなる光学フィルムとその製造方法に関する。
ノルボルネン系樹脂は、透明性、耐熱性、耐薬品性等に優れることから、各種光学部品の材料として注目されている。しかしながら、ノルボルネン系樹脂を光学部品としてより広範に適用させるためには、より高い耐熱性が必要であり、また機械的強度の点でも、ノルボルネン系樹脂の靭性が他の透明樹脂に比べ劣っており、さらなる改善が求められている。
例えば、特許文献1には、ノルボルネン系樹脂シートを保護層として偏光膜に積層した偏光フィルムが開示されているが、このノルボルネン系樹脂シートを用いた偏光フィルムは、液晶表示素子に組み込んだ際、長期間にわたる使用によって素子からの剥離や変形が生じる。これは、外部からの熱や機械的応力によるフィルムの変形によるものである。
特開平6−51117号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、高い透明性を保持しつつ、さらに耐熱性および靭性に優れる光学フィルムおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、ノルボルネン系樹脂フィルムの加工処理方法を鋭意検討した結果、水酸化カリウム等の水酸化物を含むアルコール中に該フィルムを浸漬し数時間加温したところ、耐熱性および靭性が優れるフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の光学フィルムの製造方法は、下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体を(共)重合して得られたノルボルネン系樹脂からなるノルボルネン系樹脂フィルムを、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の水酸化物と、炭素原子数3〜8のアルコール(A)のうち少なくとも1種のアルコールとを含む溶液に浸漬するアルカリ処理工程、および該フィルムを加熱する加熱工程を含むことを特徴とするものである。
Figure 0005262328
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含有していてもよい1価の基;置換もしくは非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基;または、−R5−COOR6で表される基を表す。R5
、単結合、置換もしくは非置換のメチレン基;または、炭素原子数2〜8の直鎖状もしくは分岐状の、エーテル性酸素原子を含んでいてもよいアルキレン基を表す。R6は、置換
あるいは非置換の直鎖状、分岐状もしくは環状の、エーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基;または、置換あるいは非置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R4の少なくとも1つは、−R5−COOR6で表される基を表す。R1とR2、もしくはR3とR4とは、相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、R1
2、R3とR4、もしくはR2とR3とは、相互に結合して単環もしくは多環の炭素環ある
いは複素環を形成していてもよく、R1とR4、もしくはR2とR3とは、相互に結合して二重結合を形成していてもよく、または、R1とR4、およびR2とR3とは、相互に結合して三重結合を形成していてもよい。xは、0または1〜3の整数を表し、yは、0または1を表す。) 上記アルカリ処理工程に次いで、ノルボルネン系樹脂フィルムを、アルコール(B)を含む溶液により洗浄する洗浄工程を、さらに含むことが好ましい。
上記アルカリ処理工程における溶液の温度は、40〜100℃であることが好ましく、該アルカリ処理工程における浸漬時間は、0.5〜10時間であることが好ましい。
上記アルコール(A)は、炭素原子数3〜5のアルコールであることが好ましく、イソプロパノールおよび/またはn−ブタノールであることがより好ましい。
上記水酸化物は、水酸化カリウムであることが好ましく、上記溶液中の水酸化物の濃度は、1〜15重量%であることが好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、上記製造方法のいずれかによって製造されたことを特徴とする。
上記光学フィルムをFT−IRにより測定し、得られたIRスペクトルの1810cm-1〜1610cm-1に観測されるエステル基カルボニルの吸収ピーク(ピークA)の面積、および1610cm-1〜1520cm-1に観測されるカルボキシレート基カルボニルの
逆対称伸縮振動の吸収ピーク(ピークB)の面積から下記式に従い算出したアルカリ変性率は、0.01〜0.5であることが好ましい。
(アルカリ変性率)=(ピークBの面積)/(ピークAの面積)
上記光学フィルムを幅4mm、長さ20mm、厚さ50〜200μmに調製したものを、熱機械装置(TMA)を用いて、25℃から350℃まで10℃/minで昇温しなが
ら、印加荷重を10gとして、該光学フィルムの長辺方向に引張り、その延び率が急激に増大し始める温度を接線法にて求めたフィルム変形温度が、上記ノルボルネン系樹脂フィルムより5℃以上上昇していることが好ましい。
全光線透過率が、90%以上であることが好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、上記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体を(共)重合して得られたノルボルネン系樹脂からなるノルボルネン系樹脂フィルムを、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の水酸化物により処理して得られる光学フィルムであって、該光学フィルムの、FT−IRにより測定して得られるIRスペクトルの1810cm-1〜1610cm-1に観測されるエステル基カルボニルの吸収ピーク(ピークA)の面積、および1610cm-1〜1520cm-1に観測されるカルボキシレート基
カルボニルの逆対称伸縮振動の吸収ピーク(ピークB)の面積から式:(カルボキシレート率)=(ピークBの面積)/(ピークAの面積)に従い算出したカルボキシレート率が
、0.01〜0.5であり、該光学フィルムに含有される、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子が、ICP−MS法により測定したとき、0.05〜4重量%であることを特徴とする。
本発明は、ノルボルネン系樹脂フィルムからなる従来の光学フィルムと比較し、耐熱性および靭性に優れた光学フィルムを提供することができる。
本発明の光学フィルムの製造方法は、上記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体を(共)重合して得られたノルボルネン系樹脂からなるノルボルネン系樹脂フィルムを、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の水酸化物と、炭素原子数3〜8のアルコール(A)のうち少なくとも1種のアルコールとを含む溶液に浸漬するアルカリ処理工程、および該フィルムを加熱する加熱工程を含むことを特徴とするものであって、該アルカリ処理工程に次いで、アルコール(B)を含む溶液により洗浄する洗浄工程を、さらに含むことが好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、上記製造方法によって製造されたことを特徴とするものである。
以下、本発明について具体的に説明する。
<ノルボルネン系樹脂フィルム>
ノルボルネン系樹脂フィルムを構成するノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系化合物を少なくとも1種含む単量体または単量体組成物(これらを併せて、以下「単量体組成物」ともいう。)を(共)重合し、必要に応じて、さらに水素添加して得られた樹脂である。
ノルボルネン系化合物は、ノルボルネン骨格を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、好ましくは下記式(1)で表される化合物である。
Figure 0005262328
上記式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含有していてもよい1価の基;置換もしくは非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基;または、−R5−COOR6で表される基を表す。
5は、単結合、置換もしくは非置換のメチレン基;または、炭素原子数2〜8の直鎖
状もしくは分岐状の、エーテル性酸素原子を含んでいてもよいアルキレン基を表す。
6は、置換あるいは非置換の直鎖状、分岐状もしくは環状の、エーテル性酸素原子を
含んでいてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基;または、置換あるいは非置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R4の少なくとも1つは、−R5−COOR6で表される基を表す。
1とR2、もしくはR3とR4とは、相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、
1とR2、R3とR4、もしくはR2とR3とは、相互に結合して単環もしくは多環の炭素環あるいは複素環を形成していてもよく、
1とR4、もしくはR2とR3とは、相互に結合して二重結合を形成していてもよく、または、
1とR4、およびR2とR3とは、相互に結合して三重結合を形成していてもよい。
xは、0または1〜3の整数を表し、yは、0または1を表す。)
(単量体組成物)
単量体組成物に含まれるノルボルネン系化合物は、例えば、上記式(1)で表される。
上記式(1)中、R1とR2、もしくはR3とR4とは、相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、R1とR2、R3とR4、もしくはR2とR3とは、相互に結合して単環もしくは多環の炭素環、あるいは単環もしくは多環の複素環を形成してもよく、R1とR4、またはR2とR3とは、相互に結合して二重結合を形成していてもよく、あるいは、R1
とR4、およびR2とR3とは、相互に結合して三重結合を形成していてもよい。
ここで、「R1とR2とは、相互に結合してアルキリデン基を形成する」とは、R1およ
びR2のいずれか一方が脱離し、残りの基が二重結合により環構造と結合している状態(
下記式(2)に示す。)を意味する。R3とR4との場合も同様である。
また、炭素環または複素環としては、脂環式、芳香族環などが挙げられる。
Figure 0005262328
上記式(1)で表されるノルボルネン系化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記式(1)で表されるノルボルネン系化合物としては、例えば、以下の化合物が例示できるが、これらの化合物に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB)、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2’−メトキシ)エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2’−エトキシ)エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−プロポキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−iso−プロポキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1’−メチル)−プロポキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n−ブトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−iso−ブトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−tert−ブトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n−ヘキシルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシエチルカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルカルボニルオキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシエチルカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブロモ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジブロモ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−(4−ビフェニル)−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
7,8,9−トリメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
8−メチル−トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
8−フェニル−トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−ブロモ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8,9−トリクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−ジクロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−トリクロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−ヒドロキシ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シアノ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−アミノ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.18,11.07,12]ペンタデカ−3−エン、
ヘキサシクロ[8.4.0.12,5.17,14.19,12.08,13]ヘプタデカ−3−エン、
8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−(4−ビフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エ
ン、
8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エ
ン、
8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−
エン、
8−フェノキシエチルカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ
−3−エン、
8−フェニルカルボニルオキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−
3−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ド
デカ−3−エン(DMN)、
8−メチル−8−(2’−メトキシ)エトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−エトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ド
デカ−3−エン、
8−メチル−8−(2’−エトキシ)エトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−iso−プロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−(1’−メチル)−プロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−iso−ブトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−tert−ブトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−n−ヘキシルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−フェノキシエチルカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8,8−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8,9−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−フルオロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−クロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−ブロモ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8,8−ジクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8,9−ジクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8,8,9,9−テトラクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−
3−エン、
8−ヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−ヒドロキシエチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン

8−メチル−8−ヒドロキシエチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデ
カ−3−エン、
8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−アミノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン。
ノルボルネン系化合物の種類および使用量は、求められる特性に応じて適宜選択される。
上記式(1)で表されるノルボルネン系化合物のうち、酸素原子、窒素原子、イオウ原子およびケイ素原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子を、分子内に少なく
とも1個含む構造(以下「極性構造」ともいう。)を有する化合物は、他の素材との接着性、密着性に優れている点で好ましい。特に、上記式(1)中、R1およびR3が、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜3の炭化水素基、好ましくは少なくとも一方がメチル基であり、R2またはR4が、極性構造を有する基であり、もう一方が水素原子または炭素原子数1〜3の炭化水素基である化合物は、得られる樹脂の吸水(湿)性が低くなる点で好ましい。
さらに、極性構造を有する基が、下記式(3)で表わされる基であるノルボルネン系化合物は、得られる樹脂の耐熱性と吸水(湿)性とのバランス性に富み好適である。
−R5−COOR6 …(3)
上記式(3)中、R5は、単結合、置換もしくは非置換のメチレン基;または、炭素原
子数2〜8の直鎖状もしくは分岐状の、エーテル性酸素原子を含んでいてもよいアルキレン基を表す。R6は、置換または非置換の、炭素原子数1〜15の直鎖状または分岐状の
、エーテル性酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表す。
上記式(3)において、R5の炭素原子数が小さいものほど、得られるノルボルネン系
樹脂の水素添加物のガラス転移温度が高く、耐熱性に優れるので、炭素原子数が0または1〜3であることが好ましく、炭素数が0である単量体はその合成が容易である点でさらに好ましい。
上記式(3)中R6は、炭素原子数が多いほど、得られるノルボルネン系樹脂の吸水(
湿)性が低下する傾向にあるが、ガラス転移温度が低下する傾向もあるので、耐熱性を保持する観点からは炭素原子数1〜10が好ましく、特に炭素原子数1〜6であることが好ましい。
上記式(1)において、上記式(3)で表される基が結合した炭素原子に炭素原子数1〜3のアルキル基、特にメチル基が結合しているノルボルネン系化合物は、耐熱性と吸水(湿)性とのバランスの点で好ましい。
上記式(1)において、xが0または1を表し、yが0または1を表す場合、ノルボルネン系化合物は、反応性が高く、高収率でノルボルネン系樹脂が得られる点、耐熱性が高いノルボルネン系樹脂水素添加物が得られる点、工業的に入手しやすい点などにおいて好適である。
ノルボルネン系樹脂を得るにあたっては、本発明の目的を損なわない範囲でノルボルネン系化合物と共重合可能な単量体とを単量体組成物に含ませて重合することができる。
共重合可能な単量体としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロドデセン等の環状オレフィン;1,4−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCP)、シクロドデカトリエン等の非共役環状ポリエン、エチレン等のα−オレフィンなどが挙げられる。
これらの共重合可能な単量体は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
(重合方法)
ノルボルネン系樹脂の重合方法については、ノルボルネン系化合物を含む単量体組成物の重合が可能である限り、特に制限されるものではないが、例えば、開環(共)重合反応(I)または付加(共)重合反応(II)によって重合することができる。
開環(共)重合反応とは、開環重合反応または開環共重合反応を意味し、付加(共)重合反応とは、付加重合反応または付加共重合反応を意味する。
(I)開環(共)重合反応
(I―a)重合触媒
上記単量体組成物の重合を開環(共)重合反応により行う場合は、メタセシス触媒の存在下が好ましい。
このメタセシス触媒とは、
〔A〕W、MoおよびReを有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下「化合物〔A〕」ともいう。)と、
〔B〕デミングの周期律表IA族元素(例えば、Li、Na、K等)、IIA族元素(例えば、Mg、Ca等)、IIB族元素(例えば、Zn、Cd、Hg等)、IIIA族元素(例えば、B、Al等)、IVA族元素(例えば、Si、Sn、Pb等)またはIVB族元素(例えば、Ti、Zr等)を有する化合物であって、この元素と炭素との結合またはこの元素と水素との結合を、少なくとも1つ有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下「化合物〔B〕」ともいう。)と
の組み合わせからなる重合触媒である。
また、重合触媒の活性を高めるために、後述の添加剤〔C〕をさらに添加してもよい。
化合物〔A〕は、W、MoあるいはReのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、ヒドリド錯体およびその誘導体、またはこれらの組み合わせが挙げられ、重合活性および実用性の観点から、WおよびMoの化合物が好ましく、これらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物およびアルコキシハロゲン化物が特に好ましい。また、上記化合物〔A〕を生成する2種以上の化合物の混合物を用いてもよい。さらに、これらの化合物は適当な錯化剤、例えば、P(C655、C55N等によって
錯化されていてもよい。
化合物〔A〕は、WCl6、WCl5、WCl4、WBr6、WF6、WI6、MoCl5
MoCl4、MoCl3、ReCl3、WOCl4、MoOCl3、ReOCl3、ReOBr3、W(OC656、WCl2(OC654、Mo(OC252Cl3、Mo(OC255、MoO2(acac)2、W(OCOR)5、W(OC252Cl3、W(CO)6
Mo(CO)6、Re2(CO)10、ReOBr3・P(C653、WCl5・P(C65
3、WCl6・C55N、W(CO)5・P(C653、W(CO)3・(CH3CN)3
等が挙げられる。これらの化合物のうち、MoCl5、Mo(OC252Cl3、WCl6、W(OC252Cl3等が特に好ましい。
化合物〔B〕は、n−C45Li、n−C511Na、C55Na、CH3MgI、C2
5MgBr、CH3MgBr、n−C37MgCl、(C653Al、t−C49Mg
Cl、CH2=CHCH2MgCl、(C252Zn、(C252Cd、CaZn(C2
54、(CH33B、(C253B、(n−C493B、(CH33Al、(CH3
2AlCl、(CH33Al2Cl3、CH3AlCl2、(C253Al、LiAl(C252、(C253Al−O(C252、(C252AlCl、C25AlCl2
(C252AlH、(iso−C492AlH、(C252AlOC25、(iso
−C493Al、(C253Al2Cl3、(CH34Ga、(CH34Sn、(n−C494Sn、(C253SiH、(n−C6133Al、(n−C4173Al、LiH、NaH、B26、NaBH4、AlH3、LiAlH4、BiH4およびTiH4等が挙
げられる。また、これらの化合物〔B〕を生成する2種以上の化合物の混合物を用いることもできる。これらの化合物〔B〕のうち、(CH33Al、(CH32AlCl、(CH33Al2Cl3、CH3AlCl2、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、C25AlCl2、(C252AlH、(C252AlOC25
(C252AlCN、(C373Al、(iso−C493Al、(iso−C49
2AlH、(C6133Al、(C8173Al、(C655Al等が好ましい。
化合物〔A〕および化合物〔B〕とともに用いることのできる添加剤〔C〕は、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類等が好適であり、例えば、以下の〈1〉〜〈9〉を例示することができる。
〈1〉単体ホウ素、BF3、BCl3、B(O−n−C493、(C2532、BF
、B23、H3BO3等のホウ素の非有機金属化合物、Si(OC254等のケイ素の非
有機金属化合物;
〈2〉アルコール類、ヒドロパーオキシド類およびパーオキシド類;
〈3〉水;
〈4〉酸素;
〈5〉アルデヒド、ケトン等のカルボニル化合物およびその重合物;
〈6〉エチレンオキシド、エピクロルヒドリン、オキセタン等の環状エーテル類;
〈7〉N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、アニリン、モルホリン、ピペリジン等のアミン類およびアゾベンゼン等のアゾ化合物;
〈8〉N−ニトロソジメチルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン等のN−ニトロソ化合物;
〈9〉トリクロルメラミン、N―クロルサクシノイミド、フェニルスルフェニルクロリド等のS−ClまたはN−Cl基を含む化合物。
メタセシス触媒の使用量は、化合物〔A〕と開環(共)重合反応に供される全単量体とのモル比(化合物〔A〕:全単量体)が、通常1:500〜1:50,000、好ましくは1:1,000〜1:10,000となる量が望ましい。
化合物〔A〕と化合物〔B〕との割合(化合物〔A〕:化合物〔B〕)は、金属原子比で1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30が望ましい。
化合物〔A〕と化合物〔C〕との割合(化合物〔C〕:化合物〔A〕)は、モル比で0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1が望ましい。
(I―b)重合溶媒
開環(共)重合反応において用いられる重合溶媒は、開環(共)重合反応に供される単量体組成物や触媒等が溶解し、かつ触媒が失活することがなく、また生成したノルボルネン系樹脂が溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン;クロロベンゼン等のハロゲン化アリール化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタン等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。なお、このような重合溶媒は、ノルボルネン系化合物、共重合可能な単量体および/またはメタセシス触媒を溶解するための溶媒の他、分子量調節剤溶液を構成する溶媒としても用いることができる。
重合溶媒の使用量は、重合溶媒と開環(共)重合反応に供する単量体組成物との重量比(重合溶媒:単量体組成物)が、通常1:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1となる量が望ましい。
(I―c)分子量調節剤
得られるノルボルネン系樹脂の分子量は、開環(共)重合反応温度、重合触媒の種類、重合溶媒の種類によって調節することも可能であるが、分子量調節剤を反応系に共存させることによっても調節することができる。
好適な分子量調節剤としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン類;およびスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−エチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類などが挙げられ、これらのうち、1−ブテンおよび1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量は、開環(共)重合反応に供される単量体1モルに対して、通常0.005〜0.6モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。
(I―d)その他の重合条件
ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系化合物を開環(共)重合反応させる、またはノルボルネン系化合物と共重合可能な単量体とを開環(共)重合反応させて得ることができるが、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなど、主鎖に炭素―炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下でノルボルネン系化合物を含む単量体組成物を開環(共)重合反応させてもよい。
(II)付加(共)重合反応
付加(共)重合反応によるノルボルネン系樹脂の製造は、ノルボルネン系化合物についての公知の付加(共)重合反応により行うことができ、ノルボルネン系化合物を含む単量体組成物を、重合触媒、必要に応じて重合溶媒、および必要に応じて分子量調節剤を用いて、付加(共)重合反応することによって製造することができる。
(II―a)重合触媒
付加(共)重合反応に用いられる重合触媒としては、例えば、下記(II―a―1)〜(II―a―3)に挙げられるパラジウム、ニッケル、コバルト、チタニウム、ジルコニウム等の単一触媒および多成分系触媒が挙げられるが、該重合触媒はこれらに限定されるものではない。
(II―a―1)単一触媒系
〔Pd(CH3CN)4〕〔BF42
〔Pd(PhCN)4〕〔SbF6〕、
〔(η3−クロチル)Pd(シクロオクタ−1,5−ジエン)〕〔PF6〕、
〔(η3−クロチル)Ni(シクロオクタ−1,5−ジエン)〕〔B(3,5−(CF32634〕、
〔(η3−クロチル)Ni(シクロオクタ−1,5−ジエン)〕〔PF6〕、
〔(η3−アリル)Ni(シクロオクタ−1,5−ジエン)〕〔B(C654〕、
〔(η3−クロチル)Ni(シクロオクタ−1,5−ジエン)〕〔SbF6〕、
トルエン・Ni(C652
ベンゼン・Ni(C652
メシチレン・Ni(C652
エチルエーテル・Ni(C652等の遷移金属化合物が挙げられる。
(II―a―2)多成分触媒系〈A〉
σまたはσ,π結合を有するパラジウム錯体と有機アルミニウムまたは超強酸塩との組
み合わせが挙げられる。具体的には、
ジ−μ−クロロ−ビス(6−メトキシビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン−エンド−5σ,2π)Pd、メチルアルモキサン(以下「MAO」と略す。)、AgSbF6
よびAgBF4から選ばれた化合物との組み合わせ、
〔(η3−アリール)PdCl〕2と、AgSbF6またはAgBF4との組み合わせ、
〔(シクロオクタ−1,5−ジエン)Pd(CH3)Cl〕とPPh3とNaB〔3,5−(CF32634との組み合わせ、などが挙げられる。
(II―a―3)多成分触媒系〈B〉
〈B―1〉ニッケル化合物、コバルト化合物、チタニウム化合物およびジルコニウム化合物から選ばれた遷移金属化合物と、〈B―2〉超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物と、〈B―3〉有機アルミニウム化合物との3成分からなる組み合わせが挙げられる。
〈B―1〉遷移金属化合物
〈B―1―1〉ニッケル化合物、コバルト化合物
ニッケル化合物およびコバルト化合物は、ニッケルまたはコバルトの有機カルボン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、有機スルホン酸塩、β−ジケトン化合物等から選ばれた化合物が挙げられ、より具体的には、例えば、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、オレイン酸ニッケル、ドデカン酸ニッケル、ドデカン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ジブチル亜リン酸ニッケル、ジブチルリン酸ニッケル、ジオクチルリン酸ニッケル、リン酸ジブチルエステルのニッケル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ニッケル、p−トルエンスルホン酸ニッケル、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、ビス(エチルアセトアセテート)ニッケルなどが挙げられる。
上記ニッケルの有機カルボン酸塩を六フッ化アンチモン酸、四フッ化ホウ素酸、トリフロロ酢酸、六フッ化アセトン等の超強酸で変性した化合物なども挙げられる。
ニッケルのジエンまたはトリエン配位錯体、例えば、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル;〔(η3−クロチル)(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル〕ヘ
キサフロロホスフェート、およびそのテトラフロロボレート錯体、テトラキス〔3,5−ビス(トリフロロメチル)〕ボレート錯体;(1,5,9−シクロドデカトリエン)ニッケル;ビス(ノルボルナジエン)ニッケル;ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル等のニッケル錯体なども挙げられる。
ニッケルまたはコバルトに、P、N、O等の原子を有する配位子が配位した錯体、例えば、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロライド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジブロマイド、ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトジブロマイド、ビス〔トリ(2−メチルフェニル)ホスフィン〕ニッケルジクロライド、ビス〔トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン〕ニッケルジクロライド、ビス〔N−(3−t−ブチルサリシリデン)フェニルアミネート〕ニッケル、Ni〔PhC(O)CH〕(Ph)、Ni(OC(C64)PPh)(H)(PCy3)、Ni〔OC(O)(C64)P〕(H)
(PPh3)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとPhC(O)CH=PP
3との反応物、〔2,6−(i−Pr)263N=CHC63(O)(Anth)〕(Ph)(PPh3)Niなどのニッケル錯体(ここで、Anthは9−アントラセニル、
Phはフェニル、Cyはシクロヘキシルの略称である。)が挙げられる。
〈B―1―2〉チタニウム、ジルコニウム化合物
チタニウム、ジルコニウム化合物は、例えば、〔t−BuNSiMe(Me4Cp)〕
TiCl2、(Me4Cp)(O−iPr2632TiCl、(Me4Cp)TiCl3、(Me4Cp)Ti(OBu)3、〔t−BuNSiMe2Flu〕TiMe2、〔t−Bu
NSiMe2Flu〕TiCl2、Et(Ind)2ZrCl2、Ph2C(Ind)(Cp
)ZrCl2、iPr(Cp)(Flu)ZrCl2、iPr(3−tert−But−Cp)(Ind)ZrCl2、iPr(Cp)(Ind)ZrCl2、Me2Si(Ind)2ZrCl2、Cp2ZrCl2などが挙げられる。なお、Cpはシクロペンタジエニル、I
ndはインデニル、Fluはフルオレニルの略称である。
〈B―2〉超強酸、ルイス酸化合物およびイオン性ホウ素化合物
超強酸は、例えば、ヘキサフロロアンチモン酸、ヘキサフロロリン酸、ヘキサフロロ砒酸、トリフロロ酢酸、フロロ硫酸、トリフロロメタンスルホン酸、テトラフロロホウ酸、テトラキス(ペンタフロロフェニル)ホウ酸、テトラキス〔3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル〕ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、ペンタフロロプロピオン酸などが挙げられる。
ルイス酸化合物は、例えば、
三フッ化ホウ素とエーテル、アミン、フェノール等との錯体、三フッ化アルミニウムのエーテル、アミン、フェノール等の錯体、トリス(ペンタフロロフェニル)ボラン、トリス〔3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル〕ボラン等のホウ素化合物;
三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムフロライド、トリ(ペンタフロロフェニル)アルミニウム等のアルミニウム化合物;
ヘキサフロロアセトン、ヘキサクロロアセトン、クロラニル、ヘキサフロロメチルエチルケトン等のルイス酸性を示す有機ハロゲン化合物;
四塩化チタン、ペンタフロロアンチモン等のルイス酸性を示す化合物などが挙げられる。
イオン性ホウ素化合物は、例えば、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、
トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジフェニルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
〈B―3〉有機アルミニウム化合物
有機アルミニウム化合物は、例えば、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサン等のアルキルアルモキサン化合物;
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウム化合物およびハロゲン化アルキルアルミニウム化合物;
上記アルキルアルモキサン化合物と上記アルキルアルミニウム化合物との混合物などが挙げられる。
これら重合触媒の成分は、例えば、以下の範囲の使用量で用いられる。
遷移金属化合物〈B―1〉は、単量体1モルに対して、0.02〜100ミリモル原子である。有機アルミニウム化合物〈B―3〉を併用する場合(多成分触媒系〈A〉および〈B〉)には、有機アルミニウム化合物〈B―3〉は、遷移金属化合物〈B―1〉の金属
原子1モルに対して1〜5,000モルである。さらに、超強酸、ルイス酸またはイオン性ホウ素化合物〈B―2〉を併用する場合(多成分触媒系〈B〉)には、これらの化合物は遷移金属化合物〈B―1〉の金属原子1モルに対して0.1〜100モルである。
(II―b)重合溶媒
付加(共)重合反応において用いられる重合溶媒としては、付加(共)重合反応に供される単量体組成物や重合触媒等が溶解し、かつ触媒が失活することがなく、また、生成したノルボルネン系樹脂が溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
(II―c)分子量調節剤
ノルボルネン系樹脂の分子量の調節を、付加(共)重合反応系内に分子量調節剤として、水素またはα−オレフィンを添加することにより行うこともできる。生成するノルボルネン系樹脂の分子量は、添加する分子量調節剤が多いほど低下する。
(水素添加反応)
開環(共)重合反応(I)により得られるノルボルネン系樹脂は、そのノルボルネン系樹脂中にオレフィン性不飽和結合を有している。また、付加(共)重合反応(II)においても、ノルボルネン系樹脂が、そのノルボルネン系樹脂中にオレフィン性不飽和結合を有する場合がある。ノルボルネン系樹脂中に存在するオレフィン性不飽和結合は経時着色やゲル化等の劣化の原因となる場合があるので、このオレフィン性不飽和結合を飽和結合に変換する水素添加反応を行うことが好ましい。
水素添加反応は、通常の方法、すなわちオレフィン性不飽和結合を含有するノルボルネン系樹脂の溶液に公知の水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを、0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行うことができる。
水素添加ノルボルネン系樹脂の水素添加率は、500MHz、1H−NMRで測定した
値で通常50%以上、好ましく70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、水素添加ノルボルネン系樹脂は、熱や光に対する安定性が優れ、成形体として用いた場合に長期にわたって安定した特性が得られるため好ましい。
水素添加反応で得られたノルボルネン系樹脂が、そのノルボルネン系樹脂内に芳香族基を有する場合、この芳香族基は経時着色やゲル化等劣化の原因とはならず、むしろ、機械的特性や光学的特性において有利な作用を及ぼすこともあるため、このような芳香族基については必ずしも水素添加する必要はない。
水素添加反応で用いる水素添加触媒は、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを用いることができる。この水素添加触媒は、不均一系触媒および均一系触媒が挙げられる。
不均一系触媒は、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム等の貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニア等の担体に担持させた固体触媒が挙げら
れる。
均一系触媒は、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどが挙げられる。これらの触媒は、粉末状でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、通常、開環したノルボルネン系樹脂と水素添加触媒との重量比(開環したノルボルネン系樹脂:水素添加触媒)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で用いられる。
(紫外線吸収剤)
ノルボルネン系樹脂は、紫外線吸収剤が添加されてもよい。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収することにより、ノルボルネン系樹脂を劣化させる原因となる活性ラジカル種の発生を抑制し、劣化により生じる着色や透明性の低下を防ぐとともに、偏光膜への紫外線の透過を阻害し、偏光膜の劣化を防ぐ役割を有する。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール誘導体が特に好ましく用いられる。
ベンゾトリアゾール誘導体の融点は、ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(以下「Tg」ともいう。)に対し、好ましくはTg−35℃〜Tg+75℃、特に好ましくはTg−30℃〜Tg+70℃である。ベンゾトリアゾール誘導体の融点がTg−35℃より低いと、ベンゾトリアゾール誘導体の揮発性が増し、ベンゾトリアゾール誘導体およびその分解物がノルボルネン系樹脂フィルムやフィルム成形機等に付着するという問題がある。一方、ベンゾトリアゾール誘導体の融点がTg+75℃より高いと、フィルム成形時等にベンゾトリアゾール誘導体がノルボルネン系樹脂フィルム表面にブリードし、成形冷却の過程で融点が高いため相溶できずに表面で固化するため、ロールまたはノルボルネン系樹脂フィルム表面に付着するという問題がある。
ベンゾトリアゾール誘導体は、例えば、
2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−〔2H−ベンゾトリアゾール−2−イル〕フェノール〕、
2−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、
2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、
2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1−メチル−1−フェニルエチル)−5’−(1,1,
3,3−テトラメチルブチル)−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらのうち、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−〔2H−ベンゾトリアゾール−2−イル〕フェノール〕が特に好ましく用いられる。
なお、紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール誘導体以外の紫外線吸収剤を併用してもよい。併用してもよい紫外線吸収剤は、例えば、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジtert−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕メタンなどが挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は、ノルボルネン系樹脂100重量部に対し、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。紫外線吸収剤の添加量が0.1重量部未満では、充分な紫外線吸収効果が見られず、本発明の効果が発現されにくい。また、20重量部を超えると、得られたノルボルネン系樹脂フィルムの可視光領域での透過率が低下することがある。
また、全紫外線吸収剤中のベンゾトリアゾール誘導体の割合は、通常10重量%以上、好ましくは50重量%以上である。
(その他の添加剤)
ノルボルネン系樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲において、さらに酸化防止剤等の添加剤を添加することができる。
酸化防止剤は、例えば、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。これらのうち、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートが好ましい。
また、後述するキャスティングによりノルボルネン系樹脂フィルムを製造する場合には、レベリング剤や消泡剤を添加することで樹脂フィルムの製造を容易にすることができる。
これら添加剤は、ノルボルネン系樹脂フィルムを製造する際に、ノルボルネン系樹脂とともに添加してもよいし、ノルボルネン系樹脂を製造する前に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるが、ノルボルネン系樹脂100重量部に対して、通常0.01〜5.0重量部、好ましくは0.05〜2.0重量部であることが望ましい。
(ノルボルネン系樹脂の特性)
ノルボルネン系樹脂は、30℃のクロロホルム中における固有粘度〔η〕inhが好まし
くは0.2〜2.0dl/g、さらに好ましくは0.35〜1.0dl/g、特に好ましくは0.4〜0.85dl/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が好ましくは5000〜100万、さらに好ましくは1万〜50万、特に好ましくは1.5万〜25万であり、重量平均分子量(Mw)が1万〜200万、さらに好ましくは2万〜100万、特に好ましくは3万〜50万であることが望ましい。固有粘度〔η〕inh、数平均分子量および重量平均分
子量が上記範囲内であると、機械的強度に優れ、破損しにくいノルボルネン系樹脂フィルムが得られる。
また、ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常120℃以上、好ましくは130℃以上である。Tgが上記範囲内であると、長期使用においても高い信頼性を有するノルボルネン系樹脂フィルムが得られる。
(ノルボルネン系樹脂フィルムの製造方法)
ノルボルネン系樹脂フィルムは、ノルボルネン系樹脂を、またはノルボルネン系樹脂と上記添加剤とを含有する樹脂組成物を、(I)直接溶融成形する、または(II)溶媒に
溶解してキャスティング(キャスト成形)することによって好適に成形することができる。
(I)溶融成形
ノルボルネン系樹脂フィルムは、ノルボルネン系樹脂を、またはノルボルネン系樹脂と上記添加剤とを含有する樹脂組成物を、溶融押出し成形することにより製造することができる。
(II)キャスティング
ノルボルネン系樹脂フィルムは、ノルボルネン系樹脂および必要に応じて上記添加剤とを溶媒に溶解した液状樹脂組成物を、適切な基材の上にキャスティングして溶剤を除去することにより製造することもできる。例えば、スチールベルト、スチールドラムまたはポリエステルフィルム等の基材の上に、上記液状樹脂組成物を塗布して溶剤を乾燥させ、その後、基材から塗膜を剥離することにより、ノルボルネン系樹脂フィルムを得ることができる。
キャスティングで得られたノルボルネン系樹脂フィルム中の残留溶剤量は、可能な限り少ない方が好ましく、通常3重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。残留溶剤量が上記範囲にあると、フィルムの経時的な変形や特性変化が起こりにくく、所望の機能を有するノルボルネン系樹脂フィルムを得ることができる。
(ノルボルネン系樹脂フィルムの特性)
ノルボルネン系樹脂フィルムの厚さとしては、特に限定されないが、通常5〜500μm、好ましくは10〜150μm、より好ましくは20〜100μmであることが望ましい。該フィルムの厚さが上記範囲内であると、充分な強度のノルボルネン系樹脂フィルムが得られ、また複屈折性、透明性、外観性が良好なノルボルネン系樹脂フィルムを得ることができる。
ノルボルネン系樹脂フィルムのフィルム変形温度としては、特に限定されないが、通常100〜300℃、好ましくは120〜300℃、より好ましくは140〜300℃であることが望ましい。なお、フィルム変形温度の測定方法は、熱機械装置(TMA;Thermal Mechanical Analysis)、例えば、市販されているSS6100(セイコーインスツルメント社製)等を用いて、幅4mm、長さ20mm、厚さ50〜200μmに調製したノルボルネン系樹脂フィルムを、25℃から350℃まで10℃/minで昇温しながら、印加荷重を10gとして長辺方向に引張り試験を行い、その際のノルボルネン系樹脂フィルムの延び率を記録し、ノルボルネン系樹脂フィルムの軟化により延び率が急激に増大し始める温度を接線法にて求めるとするものであり、その温度をフィルム変形温度する。
ノルボルネン系樹脂フィルムの全光線透過率としては、特に限定されないが、通常80〜95%、好ましくは85〜95%、より好ましくは90〜95%であることが望ましい。なお、全光線透過率の測定方法は、ヘイズ−光線透過率測定機、例えば、市販されているGardner社製ヘイズ−光線透過率測定機(Haze−Gard Plus型)等を用いて測定するものである。
<アルカリ処理工程>
アルカリ処理工程とは、上記ノルボルネン系樹脂フィルムを、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の水酸化物と、炭素原子数3〜8のアルコール(A)のうち少なくとも1種の
アルコールとを含む溶液に浸漬する工程である。
上記水酸化物としては、水酸化カリウム(KOH)が好ましい。
上記アルコール(A)としては、炭素原子数3〜5のアルコールが好ましく、イソプロパノール(以下「IPA」ともいう。)および/またはn−ブタノール(以下「NBA」ともいう。)がより好ましい。
上記溶液中の水酸化物の濃度として、1〜15重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましく、3〜8重量%が特に好ましい。
また、上記溶液は、水を含んでいてもよく、水の含量として、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。
上記溶液の温度として、40〜100℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
該ノルボルネン系樹脂フィルムを、上記溶液中に浸漬する時間として、0.5〜10時間が好ましく、1〜5時間がより好ましい。
アルカリ処理工程が上記条件の範囲であると、該ノルボルネン系樹脂フィルムが、黄変または白化せずに透明性を維持し、また浸漬中にフィルムに皺が発生することによる表面平滑性の低下を抑制できるため好適である。
<洗浄工程>
洗浄工程とは、上記アルカリ処理工程を施した上記ノルボルネン系樹脂フィルムをアルコール(B)を含む溶液により洗浄する工程である。洗浄工程は、上記アルカリ処理工程の後、加熱工程の前であることが好ましい。
アルコール(B)は、アルカリ処理工程後にフィルム表面に残留する水酸化物を溶解し、フィルム表面を洗浄するものなら特に限定されないが、溶媒の沸点、融点、粘度等の操作性の観点から、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等が好ましく、特にメタノール、エタノール、iso−プロパノールが好ましい。
上記アルコール(B)を含む溶液は、アルコール(B)濃度100重量%が望ましいが、残留水酸化物の洗浄性向上のため、水等のその他の溶媒を含んでいてもよく、その他の溶媒の含量として、0.01〜50重量%が好ましく、0.01〜10重量%がより好ましい。
上記アルコール(B)を含む溶液の温度として、20〜80℃が好ましく、25〜60℃がより好ましい。
洗浄方法としては、特に限定されず、上記アルコール(B)を含む溶液に該ノルボルネン系樹脂フィルムを浸漬してもよい。この場合、浸漬時間としては、0.1〜5時間が好ましく、0.2〜1時間がより好ましい。
また、該メタノール溶液量としては、該ノルボルネン系樹脂フィルムが充分に浸漬される量であれば特に限定されず、該ノルボルネン系樹脂フィルム1重量部に対して、5〜200重量部が好ましく、10〜100重量部がより好ましい。
<加熱工程>
加熱工程とは、上記アルカリ処理工程を施した上記ノルボルネン系樹脂フィルム、好ましくは上記洗浄工程を施した上記ノルボルネン系樹脂フィルムを加熱する工程である。
加熱方法としては、特に限定されず、例えば、窒素ガスをパージした熱風乾燥機(ヤマト科学(株)製「イナートオーブン(DN6101型(商品名))等を用いて加熱してもよい。この場合、加熱の条件として、80〜100℃×1〜2時間後、150〜200℃×1〜2時間が好ましい。ただし、加熱によるフィルムの黄変化防止のため、合計3時間を超えないことが好ましい。
この工程により、該ノルボルネン系樹脂フィルム中に残存するアルコール等の溶媒が取り除かれつつ、アニールされる。
<光学フィルム>
本発明の光学フィルムは、上記ノルボルネン系樹脂フィルムを、上述した工程を経て製造されたことを特徴とするものである。
このようにして得られた光学フィルムをFT−IRにより測定し、得られたIRスペクトルの1810cm-1〜1610cm-1に観測されるエステル基カルボニルの吸収ピーク(ピークA)の面積、および1610cm-1〜1520cm-1に観測されるカルボキシレ
ート基カルボニルの逆対称伸縮振動の吸収ピーク(ピークB)の面積から下記式に従い算出したアルカリ変性率が、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.01〜0.03であることが望ましい。
(アルカリ変性率)=(ピークBの面積)/(ピークAの面積)
アルカリ変性率が上記範囲内であると、アルカリ変性された光学フィルムの高靭性と高耐熱変形温度の両立の観点から好適である。
熱機械装置(TMA;Thermal Mechanical Analysis)、例えば、市販されているSS6100(セイコーインスツルメント社製)等を用いて、幅4mm、厚さ50〜200μm、長さ20mmに調製した上記光学フィルムを、25℃から350℃まで10℃/minで昇温しながら、印加荷重を10gとして長辺方向に引張り試験を行った。その際の該光学フィルムの延び率を記録し、該光学フィルムの軟化により延び率が急激に増大し始める温度を接線法にて求め、その温度をフィルム変形温度するとき、該フィルム変形温度は、上記ノルボルネン系樹脂フィルムより、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上上昇していることが望ましい。上記フィルム変形温度が5℃以上であると、熱によるフィルムの熱変形を防止する観点から好適である。
ヘイズ−光線透過率測定機、例えば、市販されているGardner社製ヘイズ−光線透過率測定機(Haze−Gard Plus型)等を用いて測定された上記光学フィルムの全光線透過率は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上であることが望ましい。上記全光線透過率が90%以上であると、光を透過させる透明フィルムとしての利用の観点から好適である。
ICP−MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer)分析装置、例えば、市販されているPerkin Elmer社製 ELAN DRC plus(DRC測定モード、プラズマ出力1600W)等を用いて測定された上記光学フィルムに含有される、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子は、好ましくは0.05〜4重量%、より好ましくは0.5〜2.5重量%であることが望ましい。フィルムに含有される金属原子が上記範囲内であると、アルカリ変性された光学フィルムの高靭性と高耐熱変形温度との両立の観点から好適である。
上記光学フィルムを、JIS−K7127に準じ、例えば、市販されているインストロン製引張試験機(5564型)等を用い、15mm/minの速度で引張試験を実施する
とき、得られた応力歪み曲線より求められたフィルムの引張延び(靭性)は、好ましくは20〜100%、より好ましくは30〜100%であることが望ましい。上記引張延び(靭性)が20〜100%であると、フィルムの曲げ方向や引張り方向への変形等の機械的外力に対するフィルムの割れ防止の観点から好適である。なお、該光学フィルムは、(株)ダンベル製サンプルカッターで、2号1/2サイズに裁断し用いるものとする。
本発明の光学フィルムは、従来のノルボルネン系樹脂フィルムと比較して、耐熱性および靭性に優れていることから、光ディスク、光ファイバー、光学レンズ、ミラー、半導体封止材、LCD用透明導電フィルム、LCD用低位相差フィルム、タッチパネル、ガラス代替光学板材、透明耐熱コート材等に好適である。
次に、本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、「部」はことわりがない限り「重量部」を表す。
製造例および実施例で得られたフィルムの各種物性の測定は、下記(1)〜(10)に記載の方法に従った。
(1)水素添加率
核磁気共鳴分光計(NMR)はBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒はd−クロロホルムで1H−NMRを測定した。5.1〜5.8ppmのビニレン基、3
.7ppmのメトキシ基、0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、水素添加率を算出した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定を行った。Tgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)および最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
(3)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSKgel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1mL/min、サンプル濃度:0.7〜0.8重量%、注入量:70μL、測定温度:40℃とし、検出器:RI(40℃)、標準物質:東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
(4)対数粘度
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中(試料濃度:0.5g/dL)、30℃
で対数粘度を測定した。
(5)残留溶媒量
フィルムの一部を塩化メチレンに溶解し、得られた溶液をガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−7A)を用いて分析し、該フィルム中の残留溶媒量を求めた。
(6)全光線透過率
Gardner社製ヘイズ−光線透過率測定機(Haze−Gard Plus型)を使用して全光線透過率を測定した。
(7)アルカリ変性率
JASCO製FT−IR(FT/IR−4100型)で、フィルムの赤外線吸収スペクトル測定を行い、1810cm-1〜1610cm-1に観測されるエステル基カルボニルの吸収ピーク(ピークA)の面積、1610cm-1〜1520cm-1に観測されるカルボキ
シレート基カルボニルの逆対称伸縮振動の吸収ピーク(ピークB)の面積を算出した。次に、下記式より光学フィルムのアルカリ変性率を求めた。
(アルカリ変性率)=(ピークBの面積)/(ピークAの面積)
(8)フィルム変形温度
熱機械装置(TMA;Thermal Mechanical Analysis)/SS6100(セイコーインスツルメント社製)を用いて、幅4mm、長さ20mm、厚さ50〜200μmに調製したフィルムを、25℃から350℃まで10℃/minで昇温しながら、印加荷重を10gとして、長辺方向に引張り試験を行った。該フィルムの延び率を記録し、該フィルムの軟化により延び率が急激に増大し始める温度を接線法にて求め、その温度をフィルム変形温度とした。
(9)引張強度、引張延び
JIS−K7127に準じ、インストロン製引張試験機(5564型)を用い、15mm/minの速度で引張試験を実施した。フィルムは(株)ダンベル製サンプルカッターで、2号1/2サイズに裁断し使用した。得られた応力歪み曲線より、フィルムの引張強度、引張延びを求めた。
(10)カリウム含有量
フィルムを適当な大きさにカットし、その0.1g程度を石英ルツボに精秤した。石英ルツボに蓋を施し、マッフル炉に入れ550℃で灰化した。冷却後、完全灰化していることを確認し、その灰化物に超純水0.2mL、硝酸0.2mL添加し、120℃のホットプレート上で乾固した。乾固物に硝酸0.2mL添加し、120℃のホットプレート上で乾固し、さらに乾固物に硝酸0.2mL、超純水1mLを添加し、冷却した。石英ルツボを、その洗浄水が10mLとなるまで超純水で洗浄し、その洗浄水を回収した。
ICP−MS分析装置(Perkin Elmer社製 ELAN DRC plus)において、DRC測定モード、プラズマ出力1600Wで、回収した洗浄水中のカリウム量を測定し、その定量結果と最初に秤量したフィルムの重量とから、フィルム中のカリウム含有量を求めた。
[合成例1]
下記式(4)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(以下「DNM」ともいう。)100部と、1−ヘ
キセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)300部とを、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
Figure 0005262328
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反
応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂A」ともいう。)を得た。
このようにして得られた樹脂Aの上記(1)〜(4)に係る物性値を表1に示す。
[合成例2]
DNM71部と、下記式(5)で表されるジシクロペンタジエン(以下「DCP」ともいう。)15部と、下記式(6)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下「NB」ともいう。)1部と、1−へキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)200部とを、窒素置換した反応容器に仕込み、100℃に加熱した。
Figure 0005262328
これにトリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6mol/リットル)0.4部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)1.8部を加えて1分間反応させ、次いで、DCP10部とNB3部を5分間かけて追加添加して、さらに45分間反応させることにより、DNM/DCP/NB=69.77/26.01/4.23(重量%)の共重合体を得た。
次いで、得られた共重合体の溶液をオートクレーブに入れ、さらにトルエンを200部加えた。次に、反応調整剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを1部と水素添加触媒であるRuHCl(CO)[P(C65)]3を0.006部添加し、155℃まで過熱した後、水素ガスを反応器へ投入し、
圧力を10MPaとした。その後、圧力を10MPaに保ったまま、165℃、3時間の反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂B」ともいう。)。
このようにして得られた樹脂Bの上記(1)〜(4)に係る物性値を表1に示す。
[合成例3]
単量体としてDNM225部とNB25部とを用い、1−ヘキセンの添加量を27部としたこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体(以下「樹脂C」ともいう。)を得た。
このようにして得られた樹脂Cの上記(1)〜(4)に係る物性値を表1に示す。
Figure 0005262328
[製造例1]
樹脂Aの100重量部に対し、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネート0.5重量部を加え、塩化メチレン400重量部に溶解し、そのポリマー溶液をADVANTEC製の孔径5μmのメンブレンフィルターを用い濾過した。得られたポリマー溶液を、乾燥後の厚みが100μmとなるようアプリケーターを用いて25℃でキャストし、室温で12時間静置し溶剤を蒸発させ、続いて真空下100℃にて120分間保持し、フィルムAを得た。得られたフィルムAの残留溶媒量は0.1%以下であった。
[製造例2]
製造例1において、樹脂Aの代わりに樹脂Bを使用したこと以外は、同様の操作を行い、フィルムBを得た。得られたフィルムBの残留溶媒量は0.1%以下であった。
[製造例3]
重合体フィルムの製造例1において、樹脂Aの代わりに樹脂Cを使用したこと以外は、同様の操作を行い、フィルムCを得た。得られたフィルムCの残留溶媒量は0.1%以下であった。
[実施例1]
アルカリ処理工程として、プラスティック製容器中に、フィルムAをKOHのイソプロ
パノール5重量%溶液に浸漬し、60℃で3時間加温した。
洗浄工程として、得られたフィルム1重量部をメタノール溶液(メタノール100%)80重量部に入れたプラスティック容器に、25℃で20分浸漬し洗浄した。
加熱工程として、乾燥機(ヤマト科学(株)製「イナートオーブン(DN6101型)」(商品名))にて窒素ガス下100℃で2時間、さらに窒素ガス下200℃で1時間乾燥した。
得られた光学フィルムの上記(5)〜(10)に係る物性値を表2に示す。
[実施例2]
実施例1のアルカリ処理工程において、70℃で2時間加温したとした以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの上記(5)〜(10)に係る物性値を表2に示す。
[実施例3]
実施例2のアルカリ処理工程において、IPAをNBAに変更した以外は実施例2と同様にして光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの上記(5)〜(10)に係る物性値を表2に示す。
[実施例4]
実施例3のアルカリ処理工程において、80℃で1時間加温したとした以外は実施例3と同様にして光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの上記(5)〜(10)に係る物性値を表2に示す。
[実施例5]
実施例1の加熱工程において、2段階目の加熱の温度を200℃から150℃に変更し、さらに、フィルムAの代わりにフィルムBを用いた以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの上記(5)〜(10)に係る物性値を表2に示す。
[実施例6]
実施例5のアルカリ処理工程において、IPAの代わりにNBAを用い、70℃で2時間加温したとした以外は実施例5と同様にして光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの上記(5)〜(10)に係る物性値を表2に示す。
[実施例7]
実施例5の加熱工程において、1段階目の加熱の温度を100℃から80℃に変更し、さらに、フィルムBの代わりにフィルムCを用いた以外は実施例5と同様にして光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの上記(5)〜(10)に係る物性値を表2に示す。
[実施例8]
実施例7のアルカリ処理工程において、IPAの代わりにNBAを用い、70℃で2時間加温したとした以外は実施例5と同様にして光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの上記(5)〜(10)に係る物性値を表2に示す。
[比較例1]
アルカリ処理工程、洗浄工程および加熱工程を施さないフィルムAの上記(5)〜(10)に係る物性値を表2に示す。
[比較例2]
アルカリ処理工程、洗浄工程および加熱工程を施さないフィルムBの上記(5)〜(10)に係る物性値を表2に示す。
[比較例3]
アルカリ処理工程、洗浄工程および加熱工程を施さないフィルムCの上記(5)〜(10)に係る物性値を表2に示す。
Figure 0005262328
表2に示すように、フィルムA、BおよびCに対してアルカリ処理工程、洗浄工程およ
び加熱工程を施すことによって、フィルムの熱変形温度が+5〜+90℃向上し、フィルムの強度についても、引張延びが1.2倍〜10倍と向上した。すなわち、このような工程を経ることによって、フィルムの透明性を維持しながら、フィルムの耐熱性および靭性が向上することが明らかになった。
従来のノルボルネン系樹脂フィルムと比較し、耐熱性および靭性に優れる本発明の光学フィルムは、耐熱性光ディスク、光ファイバー、光学レンズ、ミラー、半導体封止材、LCD用透明導電フィルム、LCD用低位相差フィルム、タッチパネル、ガラス代替光学板材、透明耐熱コート材等に好適である。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体を(共)重合して得られたノルボルネン系樹脂からなるノルボルネン系樹脂フィルムを、
    水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の水酸化物と、炭素原子数3〜8のアルコール(A)のうち少なくとも1種のアルコールとを含む溶液に浸漬するアルカリ処理工程、および
    該フィルムを加熱する加熱工程
    を含む光学フィルムの製造方法によって製造された光学フィルムをFT−IRにより測定し、得られたIRスペクトルの1810cm -1 〜1610cm -1 に観測されるエステル基カルボニルの吸収ピーク(ピークA)の面積、および1610cm -1 〜1520cm -1 に観測されるカルボキシレート基カルボニルの逆対称伸縮振動の吸収ピーク(ピークB)の面積から下記式に従い算出したアルカリ変性率が、0.01〜0.5であることを特徴とする光学フィルム。
    (アルカリ変性率)=(ピークBの面積)/(ピークAの面積)
    Figure 0005262328
    (式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含有していてもよい1価の基;置換もしくは非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基;または、−R5−COOR6で表される基を表す。
    5は、単結合、置換もしくは非置換のメチレン基;または、炭素原子数2〜8の直鎖状もしくは分岐状の、エーテル性酸素原子を含んでいてもよいアルキレン基を表す。
    6は、置換あるいは非置換の直鎖状、分岐状もしくは環状の、エーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基;または、置換あるいは非置換のアリール基を表す。
    ただし、R1〜R4の少なくとも1つは、−R5−COOR6で表される基を表す。
    1とR2、もしくはR3とR4とは、相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、
    1とR2、R3とR4、もしくはR2とR3とは、相互に結合して単環もしくは多環の炭素環あるいは複素環を形成していてもよく、
    1とR4、もしくはR2とR3とは、相互に結合して二重結合を形成していてもよく、または、
    1とR4、およびR2とR3とは、相互に結合して三重結合を形成していてもよい。
    xは、0または1〜3の整数を表し、yは、0または1を表す。
  2. 上記製造方法が、上記アルカリ処理工程に次いで、ノルボルネン系樹脂フィルムを、アルコール(B)を含む溶液により洗浄する洗浄工程を、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム
  3. 上記アルカリ処理工程における溶液の温度が、40〜100℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルム
  4. 上記アルコール(A)が、炭素原子数3〜5のアルコールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム
  5. 上記炭素原子数3〜5のアルコールが、イソプロパノールおよび/またはn−ブタノールであることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム
  6. 上記水酸化物が、水酸化カリウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム
  7. 上記溶液中の水酸化物の濃度が、1〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム
  8. 上記アルカリ処理工程における浸漬時間が、0.5〜10時間であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルム
  9. 全光線透過率が、90%以上であることを特徴とする請求項のいずれかに記載の光学フィルム。
  10. 下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体を(共)重合して得られたノルボルネン系樹脂からなるノルボルネン系樹脂フィルムを、
    水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の水酸化物により処理して得られる光学フィルムであって、
    該光学フィルムの、FT−IRにより測定して得られるIRスペクトルの1810cm-1〜1610cm-1に観測されるエステル基カルボニルの吸収ピーク(ピークA)の面積、および1610cm-1〜1520cm-1に観測されるカルボキシレート基カルボニルの逆対称伸縮振動の吸収ピーク(ピークB)の面積から式:
    (カルボキシレート率)=(ピークBの面積)/(ピークAの面積)
    に従い算出したカルボキシレート率が、0.01〜0.5であり、
    該光学フィルムに含有される、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子が、ICP−MS法により測定したとき、0.05〜4重量%であることを特徴とする光学フィルム。
    Figure 0005262328
    (式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含有していてもよい1価の基;置換もしくは非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基;または、−R5−COOR6で表される基を表す。
    5は、単結合、置換もしくは非置換のメチレン基;または、炭素原子数2〜8の直鎖状もしくは分岐状の、エーテル性酸素原子を含んでいてもよいアルキレン基を表す。
    6は、置換あるいは非置換の直鎖状、分岐状もしくは環状の、エーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基;または、置換あるいは非置換のアリール基を表す。
    ただし、R1〜R4の少なくとも1つは、−R5−COOR6で表される基を表す。
    1とR2、もしくはR3とR4とは、相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、
    1とR2、R3とR4、もしくはR2とR3とは、相互に結合して単環もしくは多環の炭素環あるいは複素環を形成していてもよく、
    1とR4、もしくはR2とR3とは、相互に結合して二重結合を形成していてもよく、または、
    1とR4、およびR2とR3とは、相互に結合して三重結合を形成していてもよい。
    xは、0または1〜3の整数を表し、yは、0または1を表す。)
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