JP2005097495A - 液状樹脂組成物、それを用いた近赤外線吸収成形体の製造方法及び近赤外線吸収成形体 - Google Patents

液状樹脂組成物、それを用いた近赤外線吸収成形体の製造方法及び近赤外線吸収成形体 Download PDF

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裕一 橋口
Nobuyuki Miyaki
伸行 宮木
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Abstract

【課題】 本発明の課題は、耐熱性や耐湿性等の耐久性に優れた近赤外線カットフィルターを得るための、保存安定性に優れた液状樹脂組成物を提供するものである。さらに、係る液状樹脂組成物を用いた、近赤外線カットフィルター機能を有する成形体の製造方法および該製造方法により得られる近赤外線カットフィルター機能を有する成形体を提供するものである。
【解決手段】 本発明の液状樹脂組成物は、極性基を含む特定のノルボルネン系化合物を含む単量体組成物を開環重合し、さらに水素添加して得られた、23℃における飽和吸水率が0.1〜1重量%である環状オレフィン系樹脂(a)、金属錯体系化合物である近赤外線吸収色素(b)、および、溶剤(c)を含むことを特徴としている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液状樹脂組成物、それを用いた近赤外線吸収成形体の製造方法及び近赤外線吸収成形体に関する。
詳しくは、本発明は、近赤外線を実質的にカットでき、かつ、可視光線に関しては透過性を有する近赤外線カットフィルターを得るために好適な液状樹脂組成物、該組成物から所望する形状の成形体を得るための方法、および該製造法により製造された近赤外カットフィルター機能を有する成形体に関する。
近年、プラズマデイスプレイパネル(PDP)を搭載したテレビが商品化され、一般家庭にも広く普及するようになってきた。係るPDPは、プラズマ放電を利用して作動するディスプレイであるが、プラズマ放電の際に近赤外線(波長:800〜1000nm)が発生することが知られている。
一方、家庭内においては、テレビ、ステレオあるいはエアコン等の家電製品のリモコン、さらには、パーソナルコンピューターの情報のやり取りに近赤外線を利用することが多くなっており、上記PDPの発する近赤外線がこれら機器の誤作動の原因になる可能性が高いことが常々指摘されている。
そこで、市販されているPDPの多くは、その全面板に、自らが発する近赤外線をカットするためのフィルター機能を備えるようになっている。
また、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像の固体撮像素子であるCCDやC−MOSイメージセンサが使用されているが、係る固体撮像素子はその受光部において近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線カットフィルターを用いることが多い。
上記近赤外線カットフィルターとしては、従来から各種方法で製造されたものが使用されている。例えば、ガラスなど透明基材の表面に銀等の金属を蒸着して近赤外線を反射するようにしたもの、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明樹脂に近赤外線吸収色素を添加したものなどが実用に供されている。
しかしながら、蒸着法によるものは製造コストがかかる問題があり、一方、透明樹脂に近赤外線吸収色素を添加したものは耐熱性や耐湿性等の耐久性に問題がある。
透明樹脂に近赤外線吸収染料を添加したものの耐熱性や耐湿性等の耐久性を改良する方法としては、従来近赤外線吸収染料の耐久性を改良する方法が提案されている。例えば、特許文献1〜5などには、このような色素の耐久性を改良する方法が種々提案されている。しかしながら、係る色素の耐久性が改良されても、もう一方の透明樹脂の耐久性に問題があると近赤外線カットフィルターとしての耐久性は必ずしも改良されない。
そこで、耐熱性や耐湿性等の耐久性に優れた環状オレフィン系樹脂を透明樹脂として使用することが提案されている。例えば、特許文献6においては、極性基を有する環状オレフィン系樹脂に染料を溶融混練りして得られた色素化合物含有樹脂組成物が開示されてい
る。また、特許文献7には、主に極性基を有さない環状オレフィン系樹脂に近赤外線吸収染料を溶融混練りして得られた近赤外線吸収樹脂組成物係る樹脂組成物からなる成形体が開示されている。
しかしながら、極性基を有する環状オレフィン系樹脂を用いた場合には、樹脂が極性基を有することにより染料の分散性は良好であるが、極性基の種類や量によっては吸水(湿)性が高くなりすぎて耐久性に問題が生じる場合がある。また、溶融混練りで組成物を製造すると、熱履歴により樹脂や染料が変質してしまう場合がある他、ゲルや焼け等により得られた組成物中に異物が発生して、成形体を光学用途に用いようとした場合に問題が生じることがある。そこで、係る熱履歴の問題を避けるために溶剤を用いて樹脂と色素とを混合する、さらに、必要に応じて濾過をするという方法により組成物を得ることが考えられるが、添加する色素の種類や量によっては、極性基との相互作用により、色素の構造が変化してしまい所望の特性を失ってしまったりゲルが発生したりして、液状組成物の保存安定性に問題が生じることがある。
一方、極性基を有さない環状オレフィン系樹脂を用いた場合には、吸水(湿)性に起因する問題や、樹脂と色素との相互作用による問題が発生する可能性は極めて少ないが、樹脂と色素との親和性が低く分散性に問題がある。このため、開示されているように溶融混練りした場合はもちろん、溶剤を使用して液状組成物として成形体を得たとしても、成形体中の色素濃度にバラツキが生じていわゆる「色ムラ」が生じたり、添加された色素が使用中に成形体の表面にブリードしたりする問題が生じることがある。また、添加する色素の量が多いと均一に分散せず、組成物あるいは成形体に濁りが生じることもある。
本発明者らは、このような状況に鑑みて鋭意検討を進めた結果、特定のノルボルネン系化合物を含む単量体組成物を開環重合し、さらに水素添加して得られた、特定の飽和吸水率を示す樹脂と、特定の近赤外線吸収色素と、溶剤とを含む液状組成物が、その保存安定性に優れ、かつ、係る組成物を用いて成形された成形体が優れた近赤外線カットフィルター機能を有することを見出して本発明の完成に至った。
特開昭60−209583号公報 特開昭61−152685号公報 特開平3−62878号公報 特開平8−225752号公報 特開2001−97984号公報 特開平4−218558号公報 特開平6−200113号公報
本発明の課題は、耐熱性や耐湿性等の耐久性に優れた近赤外線カットフィルターを得るための、保存安定性に優れた液状樹脂組成物を提供するものである。さらに、係る液状樹脂組成物を用いた、近赤外線カットフィルター機能を有する成形体の製造方法および該製造方法により得られる近赤外線カットフィルター機能を有する成形体を提供するものである。
本発明の液状樹脂組成物は、
(a)下記式(1)で表されるノルボルネン系化合物を少なくとも1種含む単量体組成物を開環重合し、さらに水素添加して得られた、23℃における飽和吸水率が0.1〜1重量%である環状オレフィン系樹脂、
(b)金属錯体系化合物である近赤外線吸収色素、および、
(c)溶剤
を含むことを特徴としている。
Figure 2005097495
(式中、R1〜R4 は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の
炭化水素基、またはその他の1価の有機基から選ばれる原子もしくは基を表し、R1〜R4
のうち少なくとも一つは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子から選ば
れた少なくとも1種の原子を1個以上含む1価の極性基である。また、R1とR2またはR3 とR4は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは、互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0〜3の整数で
あり、pは0または1である。)
本発明の近赤外線吸収成形体の製造方法は、上記液状樹脂組成物から溶剤を除去し、溶融成形することを特徴とする。
また、本発明の近赤外線吸収成形体の製造方法は、請求項1に記載の液状樹脂組成物をキャスティングすることを特徴とする。
本発明の近赤外線吸収成形体は、上記液状樹脂組成物から溶剤を除去し、溶融成形して得られることを特徴とする。
また、本発明の近赤外線吸収成形体は、上記液状樹脂組成物をキャスティングして得られることを特徴とする。
このような本発明の近赤外線吸収成形体は、近赤外線を実質的にカットし、可視光を透過する光学フィルターであることを特徴とする。
本発明によれば、極性基を有する特定の環状オレフィン系樹脂と、金属錯体系化合物である近赤外線吸収色素と、溶剤とを組み合わせて用いることにより、極性基を有することの利点である良好な色素分散性を確保しつつ、吸水(湿)による耐久性の低下を生じない成形体を製造し得る、保存安定性に優れた液状組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、溶剤を必須とした液状組成物を用いることにより、熱履歴による成形時の樹脂や色素の劣化を低減できる他、濾過という簡便な方法で異物除去もでき、これにより、近赤外線を実質的にカットする近赤外線カットフィルター機能を有し、可視光を高度に透過するという高い光学的品質を有する成形体の製造方法及び成形体を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
液状樹脂組成物
<環状オレフィン系樹脂>
本発明の液状樹脂組成物の(a)成分として用いられる環状オレフィン系樹脂は、下記式(1)で表されるノルボルネン系化合物(以下、「特定単量体」ともいう。)を少なくとも1種含む単量体組成物を開環重合し、さらに水素添加して得られた、23℃における飽和吸水率が0.1〜1重量%の開環重合体の水素添加物である。
Figure 2005097495
(式中、R1〜R4 は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の
炭化水素基、またはその他の1価の有機基から選ばれる原子もしくは基を表し、R1〜R4
のうち少なくとも一つは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子から選ば
れた少なくとも1種の原子を1個以上含む1価の極性基である。また、R1とR2またはR3 とR4は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは、互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0〜3の整数で
あり、pは0または1である。)
本発明において、特定単量体に必須の極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、アルコキシシリル基などが挙げられ、これらの極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。
係る特定単量体の具体例としては、例えば、以下に記載する化合物を例示できるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。また、上記特定単量体は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
上記特定単量体のうち好ましいものは、上記式(1)中、R1およびR3が水素原子、または炭素数1〜10、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2の炭化水素基であり、R2 またはR4のいずれか一つが極性基であって他が水素原子または炭素数1〜10炭化
水素基である化合物である。特定単量体が、極性基を2個以上有する場合には、吸水(湿)率が高くなりすぎて問題となる場合があるため、単量体組成物中における含有量を制御するのが望ましい。また、上記式(1)中、m=0または1、p=0である化合物は反応性が高く、高収率で樹脂が得られるため好ましい。
さらに、極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基は、色素との過度の相互作用がないので好ましい。すなわち、本発明においては、上記特定単量体として、下記式(2)で表される極性基を1つ有する化合物が特に好ましい。
−(CH2n−COOR (2)
(式(2)中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基、nは0または1〜10の整数である。)
ここで、式(2)におけるRは、炭素数が多いほど吸水(湿)率の低い樹脂が得られるが、樹脂のガラス転移温度(Tg)が低下して耐熱性が低下する傾向がある他、色素分散性を低下させる傾向もあるので、炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数5または6のシクロアルキル基、もしくは炭素数6〜12の芳香族基であることが好ましい。また、式(2)に関わるnは、大きいほど吸水(湿)率の低い樹脂が得られるが、樹脂のガラス転移温度(Tg)が低下して耐熱性が低下するので、0または1〜3の整数であることが好ましく、特に0である化合物はその合成が容易な点で好ましい。
また、式(1)において、式(2)で表される極性基が結合した炭素原子に炭素数1〜5、好ましくは1〜3、特に好ましくは1の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が結合していることが、樹脂のTgと吸水(湿)とのバランスの点で好ましい。
上記具体例から選択するのであれば、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンまたは8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンが、特定単量体として特に好ましい。
本発明においては、上記特定のノルボルネン系化合物以外に、これと共重合可能な化合物(以下、「共重合性単量体」という。)を用いて開環共重合することもできる。係る化合物としては、例えば、上記特定のノルボルネン系化合物以外の、極性基を有さないノルボルネン系化合物を挙げることができる。具体的には、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
本発明においては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを共重合性単量体として用いることもできる。シクロオレフィンの炭素数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜12である。
本発明においては、これらの共重合性単量体は上記具体例に限定されるものではなく、また、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
単量体組成物中における前記特定単量体と共重合性単量体との好ましい割合(特定単量体/共重合性単量体)は、特定単量体及び共重合性単量体の種類にもよるが、通常、重量比で100/0〜50/50であり、さらに好ましくは100/0〜60/40である。
本発明において、単量体組成物の開環重合反応はメタセシス触媒の存在下で行われる。
このメタセシス触媒は、
(A)W、MoおよびReを有する化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物(以下、化合物(A)という)と、
(B)デミングの周期律表IA族元素(たとえばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(たとえば、Mg、Caなど)、IIB族元素(たとえば、Zn、Cd、Hgなど)、IIIA族元素(たとえば、B、Alなど)、IVA族元素(たとえば、Si、Sn、Pbな
ど)、またはIVB族元素(たとえば、Ti、Zrなど)を有する化合物であって、この元素と炭素との結合またはこの元素と水素との結合を少なくとも1つ有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、化合物(B)という)と
の組み合わせからなる触媒である。また、触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(C)をさらに添加したものであってもよい。
化合物(A)としては、W、MoあるいはReのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、ヒドリド錯体、およびその誘導体、あるいはこれらの組合せが挙げられるが、WおよびMoの化合物、特にこれらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物およびアルコキシハロゲン化物が重合活性、実用性の点から好ましい。また、反応によって上記の化合物を生成する2種以上の化合物の混合物を用いてもよい。さらに、これらの化合物は適当な錯化剤例えばP(C6H5)5、C5H5Nなどによって錯化されていても
よい。
化合物(A)の具体的な例としては、WCl6、WCl5、WCl4、WBr6、WF6、WI6、MoCl5、MoCl4、MoCl3、ReCl3、WOCl4、MoOCl3、ReOCl3、ReOBr3、W(OC6H5)6、WCl2(OC6H5)4、Mo(OC2H5)2Cl3、Mo(OC2H5)5、MoO2(acac)2、W(OCOR)5、W(OC2H5)2Cl3、W(CO)6、Mo(CO)6、Re2(CO)10、ReOBr3・P(C6H5)3、WCl5・P(C6H5)3、WCl6・C5H5N、W(CO)5・P(C6H5)3、W(CO)3・(CH3CN)3などが挙げられる。また上記のうち特に好ましい化合物としてMoCl5、Mo(OC2H5)2Cl3、WCl6、W(OC2H5)2Cl3などが挙げられる。
化合物(B)の具体的な例としては、n−C4H5Li、n−C5H11Na、C5H5Na、CH3MgI、C2H5MgBr、CH3MgBr、n−C3H7MgCl、(C6H5)3Al、t−C4H9MgCl、CH2=CHCH2MgCl、(C2H5)2Zn、(C2H5)2Cd、CaZn(C2H5)4、(CH3)3B、(C2H5)3B、(n-C4H9)3B、(CH3)3Al、(CH3)2AlCl、(CH3)3Al2Cl3、CH3AlCl2、(C2H5)3Al、LiAl(C2H5)2、(C2H5)3Al−O(C2H5)2、(C2H5)2AlCl、C2H5AlCl2、(C2H5)2AlH、(iso-C4H9)2AlH、(C2H5)2AlOC2H5、(iso-C4H9)3Al、(C2H5)3Al2Cl3、(CH3)4Ga、(CH3)4Sn、(n−C4H94Sn、(C2H5)3SiH、(n−C6H133Al、(
n−C4H173Al、LiH、NaH、B2H6、NaBH4、AlH3、LiAlH4、BiH4およびTiH4などが挙げら
れる。また反応によってこれらの化合物を生成する2種以上の化合物の混合物を用いることもできる。これらのうち好ましいものの例としては、(CH3)3Al、(CH3)2AlCl、(CH3)3Al2Cl3、CH3AlCl2、(C2H5)3Al、(C2H5)2AlCl、(C2H5)1.5AlCl1.5、C2H5AlCl2、(C2H5)2AlH
、(C2H5)2AlOC2H5、(C2H5)2AlCN、(C3H7)3Al、(iso−C4H93Al、(iso−C4H92AlH、(C6H13)3Al、(C8H17)3Al、(C6H5)5Alなどを挙げることができる。
上記化合物(A)および化合物(B)とともに用いることのできる添加剤(C)としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができ、例えば以下の(1)〜(9)を例示することができる。
(1)単体ホウ素、BF3、BCl3、B(O-n-C4H9)3、(C2H5O3)2、BF、B2O3、H3BO3などのホウ
素の非有機金属化合物、Si(OC2H5)4などのケイ素の非有機金属化合物;
(2)アルコール類、ヒドロパーオキシド類およびパーオキシド類;
(3)水;
(4)酸素;
(5)アルデヒドおよびケトンなどのカルボニル化合物およびその重合物;
(6)エチレンオキシド、エピクロルヒドリン、オキセタンなどの環状エーテル類;
(7)N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アニリン、モルホリン、ピペリジンなどのアミン類およびアゾベンゼンなどのアゾ化合物;
(8)N−ニトロソジメチルアミン、N−ニトロソジフェニルアミンなどのN−ニトロソ化合物;
(9)トリクロルメラミン、N−クロルサクシノイミド、フェニルスルフェニルクロリド
などのS−ClまたはN−Cl基を含む化合物。
メタセシス触媒の使用量は、上記化合物(A)と重合に供される全単量体のモル比(化合物:全単量体)が、通常1:500〜1:50,000、好ましくは1:1,000〜1:10,000となる量が望ましい。
化合物(A)と化合物(B)との割合(化合物(A):化合物(B))は、金属原子比で1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30が望ましい。
化合物(A)と化合物(C)との割合(化合物(C):化合物(A))は、モル比で0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1が望ましい。
開環重合反応において用いられる溶媒としては、重合に供される単量体組成物や触媒等が溶解してかつ触媒が失活することがなく、また、生成した開環重合体が溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;クロロベンゼンなどのハロゲン化アリール化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。このような溶媒は、分子量調節剤溶液を構成する溶媒、前記特定単量体、共重合性単量体および/またはメタセシス触媒を溶解するための溶媒として用いられる。
溶媒の使用量は、溶媒と重合に供する単量体組成物との重量比(溶媒:単量体組成物)が、通常1:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1となる量が望ましい。
得られる開環重合体の分子量は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によって調節することも可能であるが、分子量調節剤を反応系に共存させることによっても調節することができる。
好適な分子量調節剤としては、たとえばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量は、開環重合反応に供される単量体1モルに対して、通常0.005〜0.6モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。
前記開環重合体は、前記特定単量体単独で、もしくは前記特定単量体と共重合性単量体とを開環重合させて得ることができるが、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなど、主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下で特定単量体を含む単量体組成物を開環重合させてもよい。
前記開環重合体の製造方法には、環状オレフィンについての公知の開環重合反応を用いることができ、前記特定単量体と共重合性単量体とを、前記開環重合用触媒や重合反応用
溶媒、必要に応じて前記分子量調節剤の存在下で、開環重合させることによって前記開環重合体を製造することができる。
上記の方法で得られる開環重合体は、その分子中にオレフィン性不飽和結合を有しており、そのまま使用すると係るオレフィン性不飽和結合が経時着色やゲル化等劣化の原因となることがあるため、本発明においては、係るオレフィン性不飽和結合を飽和結合に変換する水素添加を行う。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち開環重合体の溶液に公知の水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行うことができる。
水素添加重合体の水素添加率は、500MHz、1H−NMRで測定した値が通常50
%以上、好ましく70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優れたものとなり、成形体として使用した場合に長期にわたって安定した特性を得ることができるため好ましい。
なお、上記の方法で得られた開環重合体がその分子内に芳香族基を有する場合、係る芳香族基は経時着色やゲル化等劣化の原因とはならず、むしろ、機械的特性や光学的特性において有利な作用を及ぼすこともあるため、係る芳香族基については必ずしも水素添加する必要はない。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が挙げられる。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は、粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、開環重合体と水素添加触媒との重量比(開環重合体:水素添加触媒)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用される。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂は、固有粘度〔η〕inhが0.2〜5dl/
g、さらに好ましくは0.3〜3dl/g、特に好ましくは0.4〜1.5dl/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が8,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜80,000、特に好ましくは12,000〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)が20,000〜300,000、さらに好ましくは30,000〜250,000、特に好ましくは40,000〜200,000のものが好適である。固有粘度〔η〕inh、数平均分子量および重量平均分子量が上記範囲にあると、環状オレフィン系樹脂は耐
熱性、耐水(湿)性、耐薬品性および機械的特性が優れたものとなり、耐久性や機械的強度に優れた成形体が得られる。
前記環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常100〜350℃、好ましくは120〜300℃、さらに好ましくは130〜250℃である。Tgが100℃未満の場合は、耐熱性が不足して成形体の使用環境に制限が生じることがある。また、Tgが350℃を超える場合、溶融成形が困難となり成形体を得るための手段が制限されることがある。
本発明においては、前記環状オレフィン系樹脂の吸水(湿)率が重要な技術的要件の一つである。すなわち、樹脂中の極性基は樹脂の吸水(湿)率に大きな影響を与え、極性基が多いと吸水(湿)率が高くなることが知られている。また、極性基の種類に関しても、極性の高いものほど樹脂の吸水(湿)率を高くすることが知られている。一方、本発明に用いられる色素は金属錯体系であるため、色素自身が極性を有しており、樹脂中の極性基が多いほど、また、樹脂の極性が高いほど、樹脂と色素との相互作用が高くなり分散性が高くなる。もちろん、樹脂と色素との相互作用が強くなりすぎると、色素自身が変質したり、色素を介して架橋状態が生じたりして問題が生じる場合もあり好ましくない。
本発明者らは、樹脂と色素との相互作用について鋭意検討した結果、前記環状オレフィン系樹脂の23℃における飽和吸水率を0.1〜1重量%、好ましくは0.1〜0.6重量%とすることで、色素分散性を良好に保ちつつ、色素の変質等の意図しない相互作用を回避できることを見出した。すなわち、飽和吸水率が0.1重量%未満の場合、色素分散性が不十分であり、成形体としたときに「色ムラ」や濁りが発生したり、添加した色素が成形体表面にブリードしたりすることがある。一方、飽和吸水率が1重量%を超える場合、色素の変質が生じて所望の特性が得られなかったり、液状組成物としたときにゲル化等により保存安定性が著しく低下したりする他、吸水(湿)変形が発生して所望の機能が得られないなど成形体の耐久性にも問題が生じることがある。
なお、上記の飽和吸水率はASTM D570に従い、23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより得られる値である。
<金属錯体系化合物である近赤外線吸収色素>
本発明の液状樹脂組成物における(b)成分は、近赤外線を吸収する色素として使用可能な金属錯体系化合物である。本発明において用いられる近赤外線を吸収する金属錯体系化合物(以下、「特定色素」という。)は、良溶媒100重量部に対して0.1重量部を溶解したとき、係る溶液の波長800〜1000nmにおける光路長1cmで測定された分光透過率が60%以下、好ましくは30%以下であることが望ましい。また、PDP用前面板など用途によっては、波長400〜700nmのいわゆる可視光領域において、上記条件で測定された全光線透過率が50%以上、好ましくは65%以上であることが必要な場合もある。
上記特定色素としては、近赤外線を吸収する色素として作用する金属錯体系化合物をいずれも用いることができ、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物などを挙げることができる。具体的には、たとえば、特開平8−225752号公報、特開平8−253693号公報、特開平9−1111138号公報、特開平9−157536号公報、特開平9−176501号公報、特開平9−263658号公報、特開2000−212546号公報、特開2002−200711号公報などにその構造や製造方法が開示されている金属錯体系化合物を挙げることができる。また、たとえば、CIR−1080、CIR−1081(日本カーリット製)、YKR−3080、YKR−3081(山本化成製)、イーエクスカラーIR−10、IR−12、IR−14(日本触媒製)、SIR−128、SIR−130、SIR−159、PA−1001、PA−1005(三井化学ファイン製)等のフタロシアニン系化合物などの市販品を用いることもできる。
なお、本発明においては、金属イオンとキレート形成化合物とを独立に添加し、液状組成物となったときに、係る金属イオンとキレート形成化合物とが反応して近赤外線を吸収する金属錯体系化合物、すなわち特定色素を形成するようにしてもよい。係る特定色素としては、例えば、特開平6−118288号公報に記載されている、リン酸エステル化合物と銅イオンとの反応生成物などが挙げられる。
さらに、本発明の液状樹脂組成物は、本発明に係る環状オレフィン系樹脂中の極性基と金属イオンとが錯体を形成して、特定色素として作用する場合も含む。すなわち、本発明においては、液状樹脂組成物となったときに、近赤外線を吸収する機能を有する金属錯体化合物を含有していればよい。
本発明において、(b)成分である前記特定色素の使用量は所望の特性に応じて適宜選択されるが、本発明に係る環状オレフィン系樹脂(a)100重量部に対して、通常10-6〜30重量部、好ましくは10-5〜10重量部、さらに好ましくは10-4〜5重量部である。使用量が10-6重量部未満であると、近赤外線カットフィルターとしての機能を発揮しないことがあり、一方、30重量部を超えると、本発明の液状樹脂組成物もしくは該液状樹脂組成物から溶剤を除去して得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて成形体を得る場合の成形性に問題が生じることがある。
<溶剤>
本発明の液状樹脂組成物における(c)成分として用いることのできる溶剤としては、(a)成分である環状オレフィン系樹脂を溶解できるものであれば特に限定されるものではない。係る溶剤(c)としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノールなどのセロソルブ系溶媒;ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサンなどのシクロオレフィン系溶媒;2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン含有溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;1−ペンタノール、1−ブタノールなどのアルコール系溶媒などを挙げることができる。
また、上記以外の溶媒であっても、溶解度パラメーター(SP値)が、好ましくは10〜30(MPa1/2)、さらに好ましくは10〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜25(MPa1/2)、最も好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲にある溶媒を使用すれば、本発明の環状オレフィン系樹脂を溶解することができ、溶剤(c)として用いることができる。
上記溶剤(c)は単独でもしくは複数を混合して使用することができる。混合して使用する場合には、混合溶媒のSP値が上記範囲内にあることが好ましい。混合溶媒のSP値のSP値は、溶媒の重量比で予測することができ、たとえば2種類の溶媒(溶媒1と溶媒2)を混合する場合には、それぞれの重量分率をW1,W2、SP値をSP1,SP2とすると混合溶媒のSP値は下記式により算出できる。
SP値=W1・SP1+W2・SP2
なお、本発明の(b)成分である特定色素に関しては、必ずしも溶剤(c)に溶解する必要はなく、単独では溶剤中に縣濁した状態であっても、本発明の環状オレフィン系樹脂が存在すると相互作用により均一に分散または溶解させることができ、成形体としたときに所望の機能を得ることができる。もちろん、特定色素に対する溶解性が高い溶剤を選択した方が好ましいことは自明である。
<液状樹脂組成物>
本発明の液状樹脂組成物は、上述の環状オレフィン系樹脂(a)、金属錯体系化合物である近赤外線吸収色素(b)、溶剤(c)を含むものであって、その調整方法は特に限定されるものではなく、各成分を所望の組成比で適宜タンク等に添加し、必要に応じて加熱しながら、撹拌等を行うことにより調製することができるが、環状オレフィン系樹脂(a)を予め溶剤(c)に溶解した溶液の形態で用いると、(b)成分である特定色素が、組成物中に短時間で均一に分散しやすい傾向があるため好ましい。ここで、前記環状オレフィン系樹脂の溶液は、粒状あるいはフレーク状等固形の樹脂を溶剤に溶解して調整してもよいが、重合反応溶液を使用することも可能である。なお、重合反応溶液を用いる場合には、重合触媒および水素添加触媒の残滓あるいは未反応の単量体を予め除去する等、前処理がなされていることが好ましい。
また、(b)成分である特定色素についても、予め溶剤(c)に懸濁もしくは溶解した状態で添加する方が、液状樹脂組成物を調製するための時間を短縮できることが多く好ましい。この場合、前記環状オレフィン系樹脂溶液の調製に用いられた溶剤と異なる種類の溶剤を用いてもよいが、樹脂溶液と均一相を形成できる溶剤を選択することが好ましい。
さらに、本発明の液状樹脂組成物を調製するにあたり、前記環状オレフィン系樹脂(a)、特定色素(b)および溶剤(c)を混合後、フィルター等により組成物中の不溶分を除去することが好ましい。係る不溶分が存在すると、成形体を光学用途に用いる場合に欠陥となることがある。
このような方法により調製された本発明の液状樹脂組成物の濃度は、(a)成分である環状オレフィン系樹脂と、(b)成分である特定色素との合計が、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%であることが望ましい。濃度が0.1重量%未満の場合、除去しなければならない溶剤量が多く成形体を得るために多量のエネルギーを必要とするなど加工コストが高くなるため好ましくない。一方、50重量%を超える場合、組成物の粘度が高くなって作業性に問題が生じることがある。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲において、環状オレフィン系樹脂(a)、特定色素(b)および溶剤(c)以外に、酸化防止剤等の添加剤を添加することができる。具体的には、酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどを添加して成形体の耐久性をさらに向上させることができる。また、レベリング剤や消泡剤を添加することで、後述する溶液キャスティング法による成形体の製造を容易にすることができる。
なお、係る添加剤は、本発明の液状樹脂組成物を調製する際に、環状オレフィン系樹脂(a)などの成分とともに混合してもよいし、環状オレフィン系樹脂(a)を製造する際に添加することで予め樹脂に配合されていてもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、環状オレフィン系樹脂(a)100重量部に対して、通常0.0001〜5重量部、好ましくは0.001〜3重量部であるのが望ましい。
このような本発明の液状樹脂組成物は、均一性が高く保存安定性に優れ、近赤外線カットフィルター機能を有する成形体を得るための原料として最適である。
近赤外線吸収成形体およびその製造方法
本発明に係る近赤外線吸収成形体は、上述の本発明の液状樹脂組成物から溶剤を除去し
、溶融成形する方法、または、上述の液状樹脂組成物をキャスティング(キャスト成形)する方法により製造することができる。
<溶融成形>
本発明に係る近赤外線吸収成形体を、上述の本発明の液状樹脂組成物から溶剤を除去し、溶融成形する方法により製造する場合、本発明の液状樹脂組成物から溶剤を除去すると、前記環状オレフィン系樹脂と特定色素を含む熱可塑性樹脂組成物が得られる。係る熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、溶融押出成形あるいはブロー成形等の溶融成形を適用することが可能である。
このような方法で得られる成形体は、環状オレフィン系樹脂と特定色素とを溶融混練りして得られた熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体と比較して、熱履歴が少なく樹脂や色素の劣化が少なく、ゲルや焼けに起因する異物が少ない等の特徴を有しており、光学用途の成形体を得る上では大きな利点を有している。
本発明の液状樹脂組成物から溶剤を除去する方法は、特に限定されるものではなく、液状樹脂組成物中の環状オレフィン系樹脂(a)や特定色素(b)の特性を勘案して、公知の方法を適用すればよい。例えば、環状オレフィン系樹脂の貧溶剤を添加して組成物を析出させて回収する方法、減圧下で加熱して溶剤を除去する方法、スチームを吹き込んで溶剤を除去する方法等が適用できる。
上記方法で得られた熱可塑性樹脂組成物中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよく、通常3重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。残留溶剤量が3重量%を超える場合、溶融成形時に多量のガスが発生するため、成形設備の汚染や故障の原因となるばかりでなく、シルバー、ボイドあるいは柚肌といった成形体の外観欠陥の原因となることが多い。
<キャスティング>
本発明では、近赤外線カットフィルター機能を有する近赤外線吸収成形体を、本発明の液状樹脂組成物を適切な基材の上にキャスティングして溶剤を除去することにより製造することもできる。例えば、スチールベルト、スチールドラムあるいはポリエステルフィルム等の基材の上に、上述した本発明の液状樹脂組成物を塗布して溶剤を乾燥させ、その後基材から塗膜を剥離することにより、近赤外線カットフィルター機能を有するフィルムもしくはシートを得ることができる。また、ガラス、石英あるいは透明プラスチック製の光学部品に本発明の液状組成物をコーティングして溶剤を乾燥させることにより、元の光学部品に近赤外線カットフィルター機能を付与した成形体を得ることができる。
上記方法で得られた成形体中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよく、通常3重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。残留溶剤量が3重量%を超える場合、経時で成形体が変形したり特性が変化したりして所望の機能が発揮できなくなることがある。
これらの本発明の製造方法により製造された近赤外線吸収成形体は、近赤外線カットフィルター機能を有するので、PDPの前面板やCCDやC−MOSなどの固体撮像素子用感度補正部品として有用である。さらに、自動車や建物などのガラス等に装着される熱線カットフィルターとしても有用である。
実施例
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に断りのない限り「重量部」および「重量%」を意味する。
まず、各物性値の測定方法および物性の評価方法について説明する。
(1)分子量:
東ソ−製のHタイプカラムが装着された、ウオターズ(WATERS)社製のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)装置(150C型)を用い、o−ジクロロベンゼン溶媒、120℃の条件で、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
(2)水素添加率:
Bruker社製の500MHz 1H−NMR(AVANCE500)を用いて測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg):
セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定を行った。
(4)飽和吸水率:
ASTM D570に準拠し、試験片を23℃の水中に1週間浸漬させた後、試験片の重量変化より吸水率を測定した。
(5)全光線透過率:
スガ試験機社製のヘイズメーター(HGM−2DP型)を使用して測定した。
(6)分光透過率:
日立製作所社製の分光光度計(U−3410)を用いて測定した。
(7)液状組成物の保存安定性:
内容積100mlのガラス製耐圧ビンに組成物を80ml仕込んで密栓し、100℃の熱風オーブン中で1週間保存した。その後、オーブンから取り出して室温まで冷却して中身を取り出し、外観を観察するとともに分光透過率を測定して初期値と比較した。
合成例1
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(特定単量体)175部とトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン
(共重合性単量体)75部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)41部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5モル/l)0.62部と、t−ブタノール/メタノールで変性した六塩化タングズテン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。
この重合反応における重合転化率は97%であった。
このようにして得られた開環重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533 0.48部を添加し、水素
ガス圧100kg/cm2 、反応温度165℃の条件下で3時間加熱攪拌することにより水素添加反応させた。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却し、水素ガスを放圧した後、多量のメタノールを加えて水素添加重合体を析出させて回収した。
このようにして得られた水素添加重合体〔以下、「環状オレフィン系樹脂A」という。〕の水素添加率は実質上100%であった。
環状オレフィン系樹脂AのMwは68,000、Mnは22,000であり、ガラス転移温度は146℃であった。また、飽和吸水率は0.32%であった。
合成例2
単量体として、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(特定単量体)225部とビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(共重合性単量体)25部とを使用し、1−ヘキセン(分子量調節剤)の添加量を43部としたこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体を得た。得られた水素添加重合体〔以下、「環状オレフィン系樹脂B」という。〕の水素添加率は実質上100%であった。
環状オレフィン系樹脂BのMwは64,000、Mnは21,000であり、ガラス転移温度は141℃であった。また、飽和吸水率は0.35%であった。
合成例3
単量体として、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン250部を使用し、開環重合反応用溶媒としてシクロヘキサン750部を使用したこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体を得た。得られた水素添加重合体〔以下、「環状オレフィン系樹脂C」という。〕の水素添加率は実質上100%であった。
環状オレフィン系樹脂CのMwは71,000、Mnは24,000であり、ガラス転移温度は140℃であった。また、飽和吸水率は0.01%であった。
合成例4
単量体として、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(特定単量体)125部と6−メチル−6−アザ−ペンタシクロ[9.2.1.1.3,9 .02,10.04,8]ペンタデカ−12−エン−5,7ジオン
125部とを使用し、1−ヘキセン(分子量調節剤)の添加量を43部としたこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体を得た。得られた水素添加重合体〔以下、「環状オレフィン系樹脂D」という。〕の水素添加率は実質上100%であった。
環状オレフィン系樹脂DのMwは62,000、Mnは20,000であり、ガラス転移温度は182℃であった。また、飽和吸水率は1.9%であった。
合成例1で得た環状オレフィン系樹脂A 40gをトルエン 60gに溶解して環状オレフィン系樹脂Aのトルエン溶液を得た。次いで、この環状オレフィン系樹脂Aのトルエン溶液にフタロシアニン系色素 SIR−159(三井化学ファイン製)の0.4%トルエ
ン溶液 100gを添加して撹拌・混合し、フッ素樹脂製フィルター(ポアサイズ:1μ
m)で濾過した後脱泡して液状樹脂組成物Aを得た。
液状樹脂組成物Aについて保存安定性を評価したところ、外観変化および分光透過率の変化何れも認められず、保存安定性に問題はなかった。
液状樹脂組成物Aに多量のメタノールを添加して熱可塑性樹脂組成物を析出させて回収した。回収された熱可塑性樹脂組成物は、減圧乾燥機中で120℃に加熱し、24時間乾燥した。このようにして得られた熱可塑性樹脂組成物を熱可塑性樹脂組成物Aとする。
熱可塑性樹脂組成物A中のトルエンおよびメタノールの量をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、いずれも0.1%以下であった。
熱可塑性樹脂組成物Aを用い下記成形条件にて射出成形することにより、20mm×50mm、厚さ1mmの成形体A1を得た。成形体A1の外観を観察したが、色ムラやブリード物は認められなかった。
<成形条件>
射出速度:100mm/秒
シリンダー温度:300℃
金型温度:150℃
成形機:住友重機製 SG75M−S(シリンダー径:28mm、型締め:75ton

成形体A1の全光線透過率および分光透過率を測定した。結果を表1に示す。また、成形体A1を100℃の熱風オーブン中に24時間入れ、その後取り出して外観の観察、全光線透過率および分光透過率の測定を行い、初期との変化を測定することで耐久性を評価した。結果を表1に示す。
また、液状樹脂組成物Aを、乾燥膜厚が100μとなるようにポリエステルフィルム上にアプリケーターバーを用いて塗布し、その後常圧80℃で8時間、減圧乾燥機中100℃で24時間乾燥した。次いで、乾燥機から取り出して常温まで冷却し、ポリエステルフィルムを剥離してフィルム状の成形体A2を得た。成形体A2の外観を観察したが、色ムラやブリード物は認められなかった。また、成形体A2をガスクロマトグラフィーで分析したところ、残留トルエン量は0.3%であった。
成形体A2の全光線透過率および分光透過率を測定した。結果を表1に示す。また、成形体A2を100℃の熱風オーブン中に24時間入れ、その後取り出して外観の観察、全光線透過率および分光透過率の測定を行い、初期との変化を測定することで耐久性を評価した。結果を表1に示す。
なお、上記耐久性試験での評価基準は以下の通りである。
・外観
○:変化なし。
×:ブリード物が認められる。
・全光線透過率および分光透過率
○:初期値からの変化が5%未満。
△:初期値からの変化が5〜10%。
×:初期値からの変化が10%を超える。
合成例2で得た環状オレフィン系樹脂Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして液状樹脂組成物Bを得た。
液状樹脂組成物Bについて保存安定性を評価したところ、外観変化および分光透過率の変化何れも認められず、保存安定性に問題はなかった。
液状樹脂組成物Bから、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物Bを得た。熱可塑性樹脂組成物B中の残留トルエンおよびメタノールの量は何れも0.1%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物Bを射出成形することにより成形体B1を得た。成形体B1の外観を観察したが、色ムラやブリード物は認められなかった。成形体B1の全光線透過率および分光透過率の測定結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして実施した耐久性試験の結果を表1に示す。
また、液状樹脂組成物Bから、実施例1と同様にして、キャスティングにより成形体B2を得た。成形体B2の外観を観察したが、色ムラやブリード物は認められなかった。成
形体B2中の残留トルエンの量は0.3%であった。成形体B2の全光線透過率および分光透過率の測定結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして実施した耐久性試験の結果を表1に示す。
比較例1
合成例3で得た環状オレフィン系樹脂Cを用い、該樹脂を溶解するための溶剤をシクロヘキサンとした他は実施例1と同様にして液状樹脂組成物Cを得た。
液状樹脂組成物Cから、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物Cを得た。熱可塑性樹脂組成物C中の残留シクロヘキサン、トルエンおよびメタノールの量は何れも0.1%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物Cを射出成形することにより、成形体C1を得た。成形体C1の外観を観察したところ、色素が均一に分散されておらず色ムラが認められたが、ブリード物は認められなかった。成形体C1の全光線透過率および分光透過率は、色ムラのため測定できなかった。また、実施例1と同様にして実施した耐久性試験の結果を表1に示す。
また、液状樹脂組成物Cから、実施例1と同様にして、キャスティングにより成形体C2を得た。成形体C2の外観を観察したところ、色ムラが認められたが、ブリード物は認められなかった。なお、成形体C2中の残留シクロヘキサンおよびトルエンの量はそれぞれ0.1%以下および0.2%であった。成形体C2の全光線透過率および分光透過率は、色ムラのため測定できなかった。また、実施例1と同様にして実施した耐久性試験の結果を表1に示す。
比較例2
合成例4で得た環状オレフィン系樹脂Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして液状樹脂組成物Dを得た。
液状樹脂組成物Dについて保存安定性を評価したところ、著しく増粘しておりゲル状物の生成が認められた。
Figure 2005097495

Claims (6)

  1. (a)下記式(1)で表されるノルボルネン系化合物を少なくとも1種含む単量体組成物を開環重合し、さらに水素添加して得られた、23℃における飽和吸水率が0.1〜1重量%である環状オレフィン系樹脂、
    (b)金属錯体系化合物である近赤外線吸収色素、および、
    (c)溶剤
    を含むことを特徴とする液状樹脂組成物;
    Figure 2005097495
    (式中、R1〜R4 は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の
    炭化水素基、またはその他の1価の有機基から選ばれる原子もしくは基を表し、R1〜R4
    のうち少なくとも一つは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子から選ば
    れた少なくとも1種の原子を1個以上含む1価の極性基である。また、R1とR2またはR3 とR4は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは、互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0〜3の整数で
    あり、pは0または1である。)。
  2. 請求項1に記載の液状樹脂組成物から溶剤を除去し、溶融成形することを特徴とする近赤外線吸収成形体の製造方法。
  3. 請求項1に記載の液状樹脂組成物をキャスティングすることを特徴とする近赤外線吸収成形体の製造方法。
  4. 請求項1に記載の液状樹脂組成物から溶剤を除去し、溶融成形して得られることを特徴とする近赤外線吸収成形体。
  5. 請求項1に記載の液状樹脂組成物をキャスティングして得られることを特徴とする近赤外線吸収成形体。
  6. 近赤外線を実質的にカットし、可視光を透過する光学フィルターであることを特徴とする請求項4または5に記載の近赤外線吸収成形体。


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