JPWO2006077776A1 - 光学材料用樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、光学材料として用いられる、外力による複屈折変化が小さい樹脂組成物およびその成形体を提供することである。本発明によれば、アクリル系樹脂(a)と、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)と、を含む樹脂組成物が提供される。
Description
本発明は、光学特性に優れ、光学材料として用いられる樹脂組成物および該樹脂組成物からなる成形体に関する。
最近、例えば、ディスプレイ市場の拡大に伴い、より画像を鮮明にみたいという要求が高まっており、単なる透明材料ではなく、より高度な光学特性が付与された光学材料が求められている。
一般に高分子は分子主鎖方向とそれに垂直方向とで屈折率が異なるために複屈折を生じる。用途によっては、この複屈折を厳密にコントロールすることが求められており、液晶の偏光板に用いられる保護フィルムの場合は、全光線透過率が同じであっても複屈折がより小さい高分子材料成形体が必要とされ、トリアセチルセルロースが代表的な材料として用いられる。一方、偏光板により偏光された光を円偏光にかえる機能を持つ1/4波長板などの位相差フィルムには、高分子材料成形体に意識的に複屈折を生じさせることで機能を付与しており、ポリカーボネート等が代表的な材料として挙げられる。
また、近年は、液晶ディスプレイが大型化し、それに必要な高分子光学材料成形品が大型化するにつれて、外力の偏りによって生じる複屈折の分布を小さくするために、外力による複屈折の変化が小さい材料が求められている。そのためにはあらたな要求特性として光弾性係数の小さい高分子光学材料が求められ、光弾性係数の低い材料としてはメタクリル酸メチルの単独重合体(PMMA)やアモルファスポリオレフィン(APO)が知られている(例えば、化学総説、No.39、1998(学会出版センター発行)参照)。しかしながら、これらの材料でもまだ外力による複屈折変化が大きく、さらに外力による複屈折変化が小さい材料が待望されていた。
他方、樹脂組成物として、PMMAとポリ乳酸のブレンド物が知られている(例えば、POLYMER Vol.39 No.26, 1998参照)。しかし、ここにはそれらのブレンド物が光学特性に優れるとの記載も示唆もなかった。また、PMMAとポリ乳酸よりなる2軸延伸フィルム(延伸倍率2.7倍:本発明においては170%に相当)の開示がある(例えば、WO 2004/087812参照)。しかし、ここにはこれらのフィルムが光学用途に好適に用いることができるとの記載も示唆もなかった。
本発明は、光学材料として用いられる、外力による複屈折変化が小さい樹脂組成物およびその成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、ある組み合わせの樹脂よりなる光学材料が外力による複屈折変化が小さいことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕アクリル系樹脂(a)と、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)と、を含む光学材料用樹脂組成物、
〔2〕アクリル系樹脂(a)60重量部以上95重量部以下、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)5重量部以上40重量部以下を含む、前項〔1〕記載の光学材料用樹脂組成物、
〔3〕脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ乳酸系樹脂である、前項〔1〕または〔2〕に記載の光学材料用樹脂組成物。
〔4〕延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)の関係において、その最小二乗近似より求めた傾きKの値が以下の式を満たす、
K=Δn(S)/S
−8.0×10−6<K<6.5×10−5
前項〔1〕ないし〔3〕のうち何れか一項に記載の光学材料用樹脂組成物、
〔5〕前項〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光学材料用樹脂組成物を成形して得られる光学材料用成形体、
〔6〕少なくとも一方向の延伸倍率が5%以上150%未満である、前項〔5〕に記載の光学材料用成形体、
〔7〕結晶融解熱量(ΔH)が15J/g未満である、前項〔5〕または〔6〕に記載の光学材料用成形体、
〔8〕押し出し成形で成形されたフィルムまたはシートである、前項〔5〕ないし〔7〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔9〕キャスト成形で成形されたフィルムまたはシートである、前項〔5〕ないし〔7〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔10〕光弾性係数が−13(×10−12/Pa)を超え、12(×10−12/Pa)未満である、前項〔5〕ないし〔9〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔11〕少なくとも一軸方向に延伸されており、光弾性係数の絶対値が4(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が5×10-4以上である、前項〔5〕ないし〔10〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔12〕少なくとも一軸方向に延伸されており、光弾性係数の絶対値が4(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が2.5×10-5未満である、前項〔5〕ないし〔11〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔13〕700nmの波長における光弾性係数C(700nm)、400nmの波長における光弾性係数C(400nm)の差の絶対値Cwが以下の関係を満たす、
Cw=|C(700nm)−C(400nm)|
Cw < 1 (×10−12/Pa)
前項〔5〕ないし〔12〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔14〕前項〔5〕ないし〔13〕のうち何れか一項に記載の成形体を用いた偏光板保護フィルム、
〔15〕前項〔5〕ないし〔13〕のうち何れか一項に記載の成形体を用いた位相差フィルム、
を提供する。
すなわち、本発明は、
〔1〕アクリル系樹脂(a)と、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)と、を含む光学材料用樹脂組成物、
〔2〕アクリル系樹脂(a)60重量部以上95重量部以下、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)5重量部以上40重量部以下を含む、前項〔1〕記載の光学材料用樹脂組成物、
〔3〕脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ乳酸系樹脂である、前項〔1〕または〔2〕に記載の光学材料用樹脂組成物。
〔4〕延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)の関係において、その最小二乗近似より求めた傾きKの値が以下の式を満たす、
K=Δn(S)/S
−8.0×10−6<K<6.5×10−5
前項〔1〕ないし〔3〕のうち何れか一項に記載の光学材料用樹脂組成物、
〔5〕前項〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光学材料用樹脂組成物を成形して得られる光学材料用成形体、
〔6〕少なくとも一方向の延伸倍率が5%以上150%未満である、前項〔5〕に記載の光学材料用成形体、
〔7〕結晶融解熱量(ΔH)が15J/g未満である、前項〔5〕または〔6〕に記載の光学材料用成形体、
〔8〕押し出し成形で成形されたフィルムまたはシートである、前項〔5〕ないし〔7〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔9〕キャスト成形で成形されたフィルムまたはシートである、前項〔5〕ないし〔7〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔10〕光弾性係数が−13(×10−12/Pa)を超え、12(×10−12/Pa)未満である、前項〔5〕ないし〔9〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔11〕少なくとも一軸方向に延伸されており、光弾性係数の絶対値が4(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が5×10-4以上である、前項〔5〕ないし〔10〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔12〕少なくとも一軸方向に延伸されており、光弾性係数の絶対値が4(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が2.5×10-5未満である、前項〔5〕ないし〔11〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔13〕700nmの波長における光弾性係数C(700nm)、400nmの波長における光弾性係数C(400nm)の差の絶対値Cwが以下の関係を満たす、
Cw=|C(700nm)−C(400nm)|
Cw < 1 (×10−12/Pa)
前項〔5〕ないし〔12〕のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体、
〔14〕前項〔5〕ないし〔13〕のうち何れか一項に記載の成形体を用いた偏光板保護フィルム、
〔15〕前項〔5〕ないし〔13〕のうち何れか一項に記載の成形体を用いた位相差フィルム、
を提供する。
本発明により、外力による複屈折の変化が小さく、ディスプレイ等に好適に用いられる高分子光学材料の提供が可能になる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明における(a)アクリル系樹脂は、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル、より選ばれる1種以上の単量体を重合したものである。なかでも、メタクリル酸メチルの単独重合体または他の単量体との共重合体が好ましい。メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、他のメタリル酸アルキルエステル類、アクリル酸アルキルエステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和酸類が挙げられる。
本発明における(a)アクリル系樹脂は、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル、より選ばれる1種以上の単量体を重合したものである。なかでも、メタクリル酸メチルの単独重合体または他の単量体との共重合体が好ましい。メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、他のメタリル酸アルキルエステル類、アクリル酸アルキルエステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和酸類が挙げられる。
これらメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体の中でも、特にアクリル酸アルキルエステル類は耐熱分解性に優れ、又アクリル酸エステル類を共重合させて得られるメタクリル系樹脂は成形加工時の流動性が高く好ましい。メタクリル酸メチルにアクリル酸エステル類を共重合させる場合のアクリル酸アルキルエステル類の使用量は、耐熱分解性の観点から0.1重量%以上であることが好ましく、耐熱性の観点から15重量%以下であることが好ましい。0.2重量%以上14重量%以下であることがさらに好ましく、1重量%以上12重量%以下であることがとりわけ好ましい。このアクリル酸エステル類の中でも、特にアクリル酸メチル及びアクリル酸エチルは、それを少量メタクリル酸メチルと共重合させても上記改良効果は著しく最も好ましい。上記メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体は一種または二種以上組み合わせて使用することもできる。
アクリル系樹脂(a)の重量平均分子量は、5万〜20万のものが好ましい。重量平均分子量は成形品の強度の観点から5万以上が好ましく、成形加工性、流動性の観点から20万以下が好ましい。さらに好ましい範囲は7万〜15万である。また、本発明においてはアイソタクチックポリメタクリル酸エステルとシンジオタクチックポリメタクリル酸エステルを同時に用いることもできる。
アクリル系樹脂を製造する方法として、例えば、キャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、アニオン重合等の一般に行われている重合方法を用いることができるが、光学用途としては微小な異物の混入は出来るだけ避けることが好ましく、この観点からは懸濁剤や乳化剤を用いない塊状重合や溶液重合が望ましい。溶液重合を行う場合には、単量体の混合物をトルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素の溶媒に溶解して調整した溶液を用いることができる。塊状重合により重合させる場合には、通常行われるように加熱により生じる遊離ラジカルや電離性放射線照射により重合を開始させることができる。
重合反応に用いられる開始剤としては、一般にラジカル重合において用いられる任意の開始剤を使用することができ、例えば、アゾビスイソブチルニトリル等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物が用いられ、また、特に90℃以上の高温下で重合を行わせる場合には、溶液重合が一般的であるので、10時間半減期温度が80℃以上でかつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤などが好ましく、具体的には1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等を挙げることができる。これらの開始剤は0.005〜5wt%の範囲で用いられる。
重合反応に必要に応じて用いられる分子量調節剤は、一般的なラジカル重合において用いる任意のものが使用され、例えば、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物が特に好ましいものとして挙げられる。これらの分子量調節剤は、重合度が上記の範囲内に制御されるような濃度範囲で添加される。
本発明の(b)脂肪族ポリエステル系樹脂としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。具体的には、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸およびポリカプロラクトンなどが挙げられ、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートおよびポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエステルは、単独ないし2種以上を用いることができる。これらの脂肪族ポリエステルの中でも、ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体が好ましく、特にポリ乳酸系樹脂が好ましく使用される。これらの(b)成分は1種以上を用いることができる。
ポリ乳酸系樹脂としては、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする重合体であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、乳酸以外の他の共重合成分0.1〜30重量%を含んでいてもよい。かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。これらの共重合成分は、単独ないし2種以上を用いることができる。
(b)脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、特にポリ乳酸系樹脂については、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。本発明におけるポリ乳酸(b)は乳酸、すなわちL−乳酸、D−乳酸を主とする重合体である。ポリ乳酸系樹脂において、L−乳酸単位と、D−乳酸単位の構成モル比は、L−体とD−体あわせて100%に対し、L体ないしD体いずれかが85%以上が好ましく、より好ましくは一方が90%以上であり、さらに好ましくは一方が94%以上の重合体である。本発明においてはL−乳酸を主体とするポリL乳酸とD−乳酸を主体とするポリD乳酸を同時に用いることもできる。
ポリ乳酸系樹脂は、L体ないしD体以外の乳酸誘導体モノマーまたは、ラクチドと共重合可能な他成分を共重合していてもよく、このような成分としてはジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が例示される。ポリ乳酸系樹脂は、直接脱水縮合、ラクチドの開環重合等公知の重合法で重合することができる。また必要に応じてポリイソシアネート等の結合剤を用いて、高分子量化することもできる。
ポリ乳酸系樹脂の好ましい重量平均分子量範囲は、機械的性質の観点から重量平均分子量が30,000以上であることが好ましく、加工性の観点から1000,000以下であることが好ましい。さらに好ましくは50,000〜500,000、最も好ましくは100,000〜280,000である。
本発明においてアクリル系樹脂(a)と、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)と、を含む樹脂組成物におけるアクリル系樹脂(a)の割合(重量部)の範囲は、アクリル系樹脂(a)と脂肪族ポリエステル系樹脂(b)の合計量100重量部に対して、光弾性係数、強度、耐熱性、ヘイズ値の点から0.1重量部以上99.9重量部以下であることが好ましく、50重量部を超え99.9重量部以下であることがさらに好ましく、60重量部以上95重量部以下であることがとりわけ好ましい。50重量部を超えることにより湿熱雰囲気下でのヘイズ値が低くなり好ましい。ヘイズ値が小さい、または変化が小さい場合に、本発明をディスプレイ用途等に好適に用いることが可能となる。脂肪族ポリエステル系樹脂(b)の割合(重量部)の範囲は、アクリル系樹脂(a)と脂肪族ポリエステル系樹脂(b)の合計量100重量部に対して、光弾性係数、強度、耐熱性、ヘイズ値の点から0.1重量部以上99.9重量部以下であることが好ましく、0.1重量部以上50重量部未満であることがさらに好ましく、5重量部以上40重量部以下であることがとりわけ好ましい。50重量部未満であることにより湿熱雰囲気下でのヘイズ値が低くなり好ましい。ヘイズ値が小さい、または変化が小さい場合に、本発明をディスプレイ用途に好適に用いることが可能となる。
本発明に係る樹脂組成物からなる成形体においては、光弾性係数が−13(×10−12/Pa)を超え12(×10−12/Pa)未満であることが好ましい。光弾性係数に関しては種々の文献に記載があり(例えば、化学総説、No.39、1998(学会出版センター発行)参照)、下式により定義されるものである。
CR=Δn/σR Δn=nx−ny
(式中、CR:光弾性係数、σR:伸張応力、Δn:複屈折、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
CR=Δn/σR Δn=nx−ny
(式中、CR:光弾性係数、σR:伸張応力、Δn:複屈折、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
光弾性係数の値がゼロに近いほど外力による複屈折の変化が小さいことを示しており、各用途において設計された複屈折の変化が小さいことを意味する。光弾性値の値は−10(×10−12/Pa)を超え9(×10−12/Pa)未満であることがさらに好ましく、−5(×10−12/Pa)を超え5(×10−12/Pa)未満であることがとりわけ好ましい。
本発明に係る樹脂組成物においては、延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)の関係において、その最小二乗近似より求めた傾きKの値が以下の式を満たすことが好ましい。
K=Δn(S)/S
−8.0×10−6<K<6.5×10−5
さらに好ましい範囲は、−5.0×10−6<K<5×10−5であり、とりわけ好ましい範囲は、−3.0×10−6<K<2×10−5である。
K=Δn(S)/S
−8.0×10−6<K<6.5×10−5
さらに好ましい範囲は、−5.0×10−6<K<5×10−5であり、とりわけ好ましい範囲は、−3.0×10−6<K<2×10−5である。
例えば、1/4波長板等の位相差フィルムに用いる場合、Kの値がこの範囲にある材料は延伸や配向による複屈折の変化が小さく、要求される複屈折の設計が容易で好ましい。また、偏光板保護フィルム等に用いる場合、Kの値がこの範囲にある材料は押し出し成形、キャスト成形における成形起因の配向による複屈折が生じにくく好ましい。
また、少なくとも一軸方向に延伸されており、光弾性係数の絶対値が4(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が5×10-4以上である光学材料用成形体は、位相差フィルム等の、位相差を必要とし応力による複屈折の変化が小さい特性を要求される用途に好適に用いることができる。位相差フィルム等の、位相差を必要とし応力による複屈折の変化が小さい特性を要求される用途には、光弾性係数の絶対値が3(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が5×10-4以上であることがさらに好ましく、光弾性係数の絶対値が2(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が5×10-4以上であることがとりわけ好ましい。そのような成形体は、TD方向とMD方向の延伸倍率を異なる倍率にし、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)の量を調整することにより得ることができる。TD方向とMD方向の延伸倍率の差は、10%以上あることが好ましく、40%以上あることがさらに好ましく、100%以上あることがとりわけ好ましい。
アクリル系樹脂(a)と脂肪族ポリエステル系樹脂(b)の合計量100重量部に対して、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)を30重量部以上80重量部以下である場合に光弾性係数の絶対値が4(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が5×10-4以上である光学材料用成形体を得ることができ好ましい。さらに好ましい範囲は30重量部以上70重量部以下であり、とりわけ好ましい範囲は30重量部以上50重量部未満である。
また、少なくとも一軸方向に延伸されており、光弾性係数の絶対値が4(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が2.5×10-5未満である光学材料用成形体は、偏光板保護フィルム等の、位相差が小さくかつ応力による複屈折の変化が小さい特性を要求される用途に好適に用いることができる。偏光板保護フィルム等の、位相差が小さくかつ応力による複屈折の変化が小さい特性を要求される用途には、光弾性係数の絶対値が3(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が2.5×10-5未満であることがさらに好ましく、光弾性係数の絶対値が2(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が2.5×10-5未満であることがとりわけ好ましい。そのような成形体は、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)の量を調整することにより得ることができる。アクリル系樹脂(a)と脂肪族ポリエステル系樹脂(b)の合計量100重量部に対して、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)を0.1重量部以上30重量部未満である場合に光弾性係数の絶対値が4(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が2.5×10-5未満である光学材料用成形体を得ることができ好ましい。さらに好ましい範囲は0.1重量部以上25重量部以下であり、とりわけ好ましい範囲は0.1重量部以上20重量部以下である。
本発明に係る光学材料用成形体において、700nmの波長における光弾性係数C(700nm)、400nmの波長における光弾性係数C(400nm)の差の絶対値Cwが以下の関係を満たすことが好ましい。
Cw=|C(700nm)−C(400nm)|
Cw < 1 (×10−12/Pa)
この値を満たすことにより、可視光の全領域で複屈折の応力による変化が小さいことを示しており、本発明の成形体をディスプレイ用途で好適に用いることができる。さらに好ましい範囲は0.5以下である。
Cw=|C(700nm)−C(400nm)|
Cw < 1 (×10−12/Pa)
この値を満たすことにより、可視光の全領域で複屈折の応力による変化が小さいことを示しており、本発明の成形体をディスプレイ用途で好適に用いることができる。さらに好ましい範囲は0.5以下である。
本発明においては、耐加水分解抑制剤を加えることにより、(b)成分の加水分解による分子量低下を抑えることが可能となり、例えば、強度低下等を抑えることができる。耐加水分解抑制剤としては、脂肪族ポリエステル樹脂の末端官能基であるカルボン酸及び水酸基との反応性を有する化合物、例えば、カルボジイミド化合物、イソアネート化合物、オキソゾリン系化合物などが適用可能であるが、特に、カルボジイミド化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む。)がポリエステル樹脂とよく溶融混練でき、少量添加で加水分解を抑制できるため好適である。分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む。)としては、例えば、触媒として有機リン系化合物または有機金属化合物を用い、各種ポリマーイソシアネートを約70℃以上の温度で、無溶媒または不活性溶媒中で脱炭酸縮合反応に付することにより合成することができるものが挙げられる。ポリカルボジイミドとしては、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には従来のポリカルボジイミドの製造方法(米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28,2069−2075(1963)、Chemical Review l981,Vol.81 No.4、p619−621)により製造したものを用いることができる。ポリカルボジイミドを製造するための原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を挙げることができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートを例示することができる。
耐加水分解抑制剤の好ましい量は、(a)成分、(b)成分あわせて100重量部に対し、耐加水分解抑制剤を0.01〜50重量部である。耐加水分解抑制効果の発現の観点から0.01重量以上が好ましく、光学特性の観点から50重量部以下が好ましい。より好ましい範囲は、0.01〜30重量部の範囲であり、さらに好ましくは、0.1〜30重量部である。
本発明に係る成形体において、結晶融解熱量(ΔH)が15J/g未満であることが好ましく、12J/g以下であることがさらに好ましく、5J/g以下であることがとりわけ好ましい。15J/g未満であると光弾性係数、複屈折が小さくなり好ましい。
また、本発明においては(a)成分および(b)成分以外の重合体を、本発明の目的を損なわない範囲で混合することができる。(a)成分、(b)成分以外の重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂、およびフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などの少なくとも1種以上をさらに添加することができる。
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、各種目的に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は,樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。無機充填剤、酸化鉄等の顔料、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤、離型剤、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ビタミンE系熱安定剤等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤,着色剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機を用いて、(a)成分および(b)成分、必要に応じて耐加水分解抑制剤や上記その他の成分を添加して溶融混練して樹脂組成物を製造し、その後、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、押し出し成形、発泡成形等、公知の方法で成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。
本発明に係る成形体の形態がフィルムまたはシートである場合は、押し出し成形、キャスト成形等の手法が用いられる。例えば、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸フィルム、シートを押し出し成形することができる。押し出し成形により成形品を得る場合は、事前に(a)成分、(b)成分を溶融混錬した材料を用いることもできれば、押し出し成形時に溶融混錬を経て成形することもできる。また、(a)成分、(b)成分に共通な溶媒、例えば、クロロホルム、二塩化メチレン等の溶媒を用いて、(a)成分、(b)成分を溶解後、キャスト乾燥固化することにより未延伸フィルムをキャスト成形もすることができる。
さらに必要に応じて、未延伸フィルム、シートを機械的流れ方向に縦一軸延伸、機械的流れ方向に直行する方向に横一軸延伸することができ、またロール延伸とテンター延伸の逐次2軸延伸法、テンター延伸による同時2軸延伸法、チューブラー延伸による2軸延伸法等によって延伸することにより2軸延伸フィルム、シートを製造することができる。延伸倍率は少なくともどちらか一方向に0.1%以上1000%以下であることが好ましく、0.2%以上600%以下であることがさらに好ましく、0.3%以上300%以下であることがとりわけ好ましい。この範囲に設計することにより、複屈折、耐熱性、強度の観点で好ましい延伸成形体が得られる。特に、耐折回数と複屈折、光弾性係数の絶対値の点で、少なくとも一方向の延伸倍率が5%以上170%未満であることが好ましい。さらに好ましい延伸倍率は5%以上150%以下であり、とりわけ好ましい延伸倍率は5%以上100%以下である。5%以上であると、耐折回数の点で好ましく、170%未満であると、光弾性係数の絶対値、複屈折が小さく好ましい。耐折回数が多いほど、フィルムとしての機械的強度が高いことを示しており、2軸延伸するとMD、TD両方向に耐折回数の大きいフィルムが得られるために好ましい。好ましいフィルムは、少なくとも一方向の耐折回数が25回以上であり、さらに好ましくは65回以上であり、とりわけ好ましくは80回以上である。
延伸倍率は、得られた延伸フィルムをガラス転移温度よりも20℃以上高い温度で収縮させ以下の関係式から延伸倍率を決定できる。また、ガラス転移温度はDSC法や粘弾性法により求めることができる。
延伸倍率(%)=[(収縮前の長さ/収縮後の長さ)−1]×100
延伸倍率(%)=[(収縮前の長さ/収縮後の長さ)−1]×100
本発明において、フィルムとシートの違いは厚さのみであり、フィルムは300μm以下の厚さのものをいい、シートは300μmを超えるものである。また、本発明において、フィルムは望ましくは1μm以上、より望ましくは5μm以上であり、シートは、望ましくは10mm以下、より望ましくは5mm以下の厚さである。
本発明に係る成形体は、光学材料として、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる導光板、拡散板、偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板、視野角制御フィルム、液晶光学補償フィルム等の位相差フィルム、ディスプレイ前面板、ディスプレイ基盤、レンズ、タッチパネル等、また、太陽電池に用いられる透明基盤等に好適に用いることができる。その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの基材、被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバーなどにも用いることができる。本発明に係る成形体による光学材料は、例えば、反射防止処理、透明導電処理、電磁波遮蔽処理、ガスバリア処理等の表面機能化処理をすることもできる。
次に実施例によって本発明を説明する。
本願発明および実施例で用いた評価法をまず説明する。
(I)評価:
(i)光弾性係数、複屈折の測定
[実施例1〜3および比較例1〜2]
Polymer Engineering and Science 1999, 39, 2349-2357に詳細の記載のある複屈折測定装置を用いた。レーザー光(波長:543.5nm)の経路にフィルムの引っ張り装置を配置し、23℃で伸張応力をかけながら複屈折を測定した。伸張時の歪速度は50%/分(チャック間:10mm、チャック移動速度:5mm/分)、試験片幅は8mmで測定を行った。複屈折(Δn)と伸張応力(σR)の関係から、最小二乗近似によりその直線の傾きをもとめ光弾性係数(CR)を計算した。関係の概略図を図1に示す。傾きの絶対値が小さいほど光弾性係数が0に近いことを示し、好ましい光学特性であることを示す。
CR=Δn/σR Δn=nx−ny
(CR:光弾性係数、σR:伸張応力、Δn:複屈折、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
複屈折(Δn)の絶対値(|Δn|)は、以下のように求めた。
|Δn|=|nx−ny|
本願発明および実施例で用いた評価法をまず説明する。
(I)評価:
(i)光弾性係数、複屈折の測定
[実施例1〜3および比較例1〜2]
Polymer Engineering and Science 1999, 39, 2349-2357に詳細の記載のある複屈折測定装置を用いた。レーザー光(波長:543.5nm)の経路にフィルムの引っ張り装置を配置し、23℃で伸張応力をかけながら複屈折を測定した。伸張時の歪速度は50%/分(チャック間:10mm、チャック移動速度:5mm/分)、試験片幅は8mmで測定を行った。複屈折(Δn)と伸張応力(σR)の関係から、最小二乗近似によりその直線の傾きをもとめ光弾性係数(CR)を計算した。関係の概略図を図1に示す。傾きの絶対値が小さいほど光弾性係数が0に近いことを示し、好ましい光学特性であることを示す。
CR=Δn/σR Δn=nx−ny
(CR:光弾性係数、σR:伸張応力、Δn:複屈折、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
複屈折(Δn)の絶対値(|Δn|)は、以下のように求めた。
|Δn|=|nx−ny|
[実施例4〜8および比較例3〜4]
光弾性係数の絶対値、複屈折率の絶対値測定は以下にて実施した。
フィルム状のサンプルは10mm×50mm×厚み(TH)の短冊形状に切断し、井元製作所製小型引張試験機に取り付け、それを大塚電子製リターデーション測定機RETS-100にセットした。
引張試験機のチャック間は30mmで中央はリターデーション測定のための、穴があいており光学測定可能な構造になっている。この引張試験機において、定速引張により、応力をサンプルに加えた。その応力は核引張試験機のロードセルの荷重とサンプル断面面積により測定される。引張速度は0.1mm/minで実施した。
時間ごとのリターデーションの測定は大塚電子製リターデーション測定機RETS-100の手法である回転検光子法で実施した。
光弾性率の算出は、核引張試験機の測定時間と応力の係数k1と、リターデーションからΔnを導きその測定時間との係数k2との比から算出した。k1、k2の係数は立ち上がりより線形を維持している時間内で算出した:
σR=k1×t t:測定時間 (sec)
|Δn|=Re/TH=k2×t σR:応力(MPa)
|CR|=|Δn|/σR=k2/k1 Δn:位相差
Re:リターデーション(nm)
TH:サンプル厚み(μm)
|CR|:光弾性率の絶対値(×10-121/Pa)
|Δn|=|nx−ny|
光弾性係数の絶対値、複屈折率の絶対値測定は以下にて実施した。
フィルム状のサンプルは10mm×50mm×厚み(TH)の短冊形状に切断し、井元製作所製小型引張試験機に取り付け、それを大塚電子製リターデーション測定機RETS-100にセットした。
引張試験機のチャック間は30mmで中央はリターデーション測定のための、穴があいており光学測定可能な構造になっている。この引張試験機において、定速引張により、応力をサンプルに加えた。その応力は核引張試験機のロードセルの荷重とサンプル断面面積により測定される。引張速度は0.1mm/minで実施した。
時間ごとのリターデーションの測定は大塚電子製リターデーション測定機RETS-100の手法である回転検光子法で実施した。
光弾性率の算出は、核引張試験機の測定時間と応力の係数k1と、リターデーションからΔnを導きその測定時間との係数k2との比から算出した。k1、k2の係数は立ち上がりより線形を維持している時間内で算出した:
σR=k1×t t:測定時間 (sec)
|Δn|=Re/TH=k2×t σR:応力(MPa)
|CR|=|Δn|/σR=k2/k1 Δn:位相差
Re:リターデーション(nm)
TH:サンプル厚み(μm)
|CR|:光弾性率の絶対値(×10-121/Pa)
|Δn|=|nx−ny|
また、大塚電子製リターデーション測定機RETS-100は白色光源を利用し、分光器を搭載していため同時に各波長のリターデーションを測定でき、その値により各波長における光弾性係数を測定した。光弾性係数は550nmでの値を求め表7から9に示した。また、400nmの波長における光弾性係数C(400nm)、700nmの波長における光弾性係数C(700nm)を求め、光弾性係数の差の絶対値を求め、表7から9に示した。
|C(700nm)−C(400nm)|:光弾性係数の絶対値。
|C(700nm)−C(400nm)|:光弾性係数の絶対値。
(ii)全光線透過率の測定
ASTM D1003に準拠し測定を行った。
(iii)耐折回数の測定
MIT耐揉試験機(東洋精機製作所製)を用いてJIS P8115に準拠し、荷重:4.9N、折り曲げ角度:±135°、折り曲げ速度:175cpm、試験片つかみ具先端半径:R=0.38mm、開き:0.25mmの条件で行なった。長さ方向をMD、TD方向に合わせ、幅1.5cm、長さ11cmにフィルムを切り出し、試験片として用いた。
(iv)分子量
GPC[東ソー製GPC−8020、検出RI,カラム昭和電工製Shodex K−805,801連結]を用い、溶媒はクロロホルム、測定温度40℃で、市販標準ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
(v)比旋光度
Macromolecules 1991, 24, 5657-5662に記載の方法で比旋光度[α]を求めた。
(vi)湿熱試験
60℃、湿度95%に設定された恒湿恒温槽内にフィルムをつるし、所定時間経過後のフィルムのヘイズ値をASTM D1003に準拠し測定を行った。
(vii)結晶融解熱量ΔHの測定
パ−キンエルマ−社製示差走査型熱量分析計(DSC)Pyris 1を用い、フィルムから切り出したサンプル約10mgを、窒素雰囲気下、30℃から200℃の範囲で、20℃/分の温度走査で昇温した際の、(B)成分の結晶融解に由来するピ−クから求めた。なお、融解ピ−クの前に、結晶化ピ−クが現れる場合には、ΔHは融解のエンタルピ−から結晶化のエンタルピ−を差し引いた値を結晶融解熱量とした。
ASTM D1003に準拠し測定を行った。
(iii)耐折回数の測定
MIT耐揉試験機(東洋精機製作所製)を用いてJIS P8115に準拠し、荷重:4.9N、折り曲げ角度:±135°、折り曲げ速度:175cpm、試験片つかみ具先端半径:R=0.38mm、開き:0.25mmの条件で行なった。長さ方向をMD、TD方向に合わせ、幅1.5cm、長さ11cmにフィルムを切り出し、試験片として用いた。
(iv)分子量
GPC[東ソー製GPC−8020、検出RI,カラム昭和電工製Shodex K−805,801連結]を用い、溶媒はクロロホルム、測定温度40℃で、市販標準ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
(v)比旋光度
Macromolecules 1991, 24, 5657-5662に記載の方法で比旋光度[α]を求めた。
(vi)湿熱試験
60℃、湿度95%に設定された恒湿恒温槽内にフィルムをつるし、所定時間経過後のフィルムのヘイズ値をASTM D1003に準拠し測定を行った。
(vii)結晶融解熱量ΔHの測定
パ−キンエルマ−社製示差走査型熱量分析計(DSC)Pyris 1を用い、フィルムから切り出したサンプル約10mgを、窒素雰囲気下、30℃から200℃の範囲で、20℃/分の温度走査で昇温した際の、(B)成分の結晶融解に由来するピ−クから求めた。なお、融解ピ−クの前に、結晶化ピ−クが現れる場合には、ΔHは融解のエンタルピ−から結晶化のエンタルピ−を差し引いた値を結晶融解熱量とした。
(2)用いた原材料など
(i)(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル)共重合体:(A−1)、(A−2)
メタクリル酸メチル89.2重量部、アクリル酸メチル5.8重量部、およびキシレン5重量部からなる単量体混合物に、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.0294重量部、およびn−オクチルメルカプタン0.115重量部を添加し、均一に混合する。
この溶液を内容積10リットルの密閉式耐圧反応器に連続的に供給し、攪拌下に平均温度130℃、平均滞留時間2時間で重合した後、反応器に接続された貯槽に連続的に送り出し、一定条件下で揮発分を除去し、さらに押出機に連続的に溶融状態で移送し、押出機にて以下の実施例に使用したアクリル系樹脂(a)である(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル)共重合体のペレットを得た。得られた共重合体(A−1)のアクリル酸メチル含量は6.0重量%、重量平均分子量は145,000、ASTM−D1238に準拠して測定した230℃、3.8キログラム荷重のメルトフローレート値は1.0g/分であった。
(i)(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル)共重合体:(A−1)、(A−2)
メタクリル酸メチル89.2重量部、アクリル酸メチル5.8重量部、およびキシレン5重量部からなる単量体混合物に、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.0294重量部、およびn−オクチルメルカプタン0.115重量部を添加し、均一に混合する。
この溶液を内容積10リットルの密閉式耐圧反応器に連続的に供給し、攪拌下に平均温度130℃、平均滞留時間2時間で重合した後、反応器に接続された貯槽に連続的に送り出し、一定条件下で揮発分を除去し、さらに押出機に連続的に溶融状態で移送し、押出機にて以下の実施例に使用したアクリル系樹脂(a)である(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル)共重合体のペレットを得た。得られた共重合体(A−1)のアクリル酸メチル含量は6.0重量%、重量平均分子量は145,000、ASTM−D1238に準拠して測定した230℃、3.8キログラム荷重のメルトフローレート値は1.0g/分であった。
単量体混合物の組成を変える以外はA−1と同様に重合を行い、(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル)共重合体のペレットを得た。得られた共重合体(A−2)のアクリル酸メチル含量は2.0重量%、重量平均分子量は145,000、ASTM−D1238に準拠して測定した230℃、3.8キログラム荷重のメルトフローレート値は2.0g/分であった。
(ii)ポリ乳酸:(B−1)、(B−2)
以下の実施例に使用した脂肪族ポリエステル系樹脂(b)であるポリ乳酸系樹脂は、例えば、公知の辻秀人著「Polylactide」in Biopolymers Vol.4 (Wiley−VCH 2002年刊)PP129−178や、特表平04−504731号公報に従って、錫系触媒を用いたラクチドの開環重合法によりのポリ乳酸(L乳酸とD乳酸の共重合体)を準備した。(B−1)の重量平均分子量、比旋光度はそれぞれ、176,000、−150.6°であった。
また、ポリ乳酸系樹脂であるカーギルダウ製4031Dを(B−2)として用いた。
以下の実施例に使用した脂肪族ポリエステル系樹脂(b)であるポリ乳酸系樹脂は、例えば、公知の辻秀人著「Polylactide」in Biopolymers Vol.4 (Wiley−VCH 2002年刊)PP129−178や、特表平04−504731号公報に従って、錫系触媒を用いたラクチドの開環重合法によりのポリ乳酸(L乳酸とD乳酸の共重合体)を準備した。(B−1)の重量平均分子量、比旋光度はそれぞれ、176,000、−150.6°であった。
また、ポリ乳酸系樹脂であるカーギルダウ製4031Dを(B−2)として用いた。
[実施例1〜3および比較例1〜2]
テクノベル製Tダイ装着押し出し機(KZW15TW−25MG−NH型/幅150mmTダイ装着/リップ厚0.5mm)のホッパーに(a)成分、(b)成分のそれぞれのペレットの各組成のドライブレンドを投入した。押し出し機のシリンダー内樹脂温度とTダイの温度を調整し押し出し成形をすることにより実施例1〜3、比較例1〜2の未延伸フィルムを得た。組成、押し出し条件、フィルムの厚み、全光線透過率、光弾性係数を表1に示した。また、実施例1〜2、比較例1〜2の未延伸フィルムのΔnと伸張応力の関係を図1に示す。
テクノベル製Tダイ装着押し出し機(KZW15TW−25MG−NH型/幅150mmTダイ装着/リップ厚0.5mm)のホッパーに(a)成分、(b)成分のそれぞれのペレットの各組成のドライブレンドを投入した。押し出し機のシリンダー内樹脂温度とTダイの温度を調整し押し出し成形をすることにより実施例1〜3、比較例1〜2の未延伸フィルムを得た。組成、押し出し条件、フィルムの厚み、全光線透過率、光弾性係数を表1に示した。また、実施例1〜2、比較例1〜2の未延伸フィルムのΔnと伸張応力の関係を図1に示す。
次に得られた実施例1〜3および比較例1〜2の未延伸フィルムの一軸延伸(延伸速度5%/分)を、引っ張り試験機を用いて行い、延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)の関係をプロットし、最小二乗近似によりKの値を求め、結果を表1に示した。図2は延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)の関係をプロットしたグラフ図である。
また、|Δn|=|nx−ny|を求めるのに必要なnxは一軸引っ張り方向の屈折率とし、nyは一軸引っ張り方向に垂直な方向の屈折率とした。比較例1のA−1よりなるフィルムのnx−nyの値は負となった。
実施例1〜3および比較例1〜2の組成、押し出し条件、延伸条件、フィルムの厚み、複屈折の絶対値をそれぞれ表2〜6に示した。
実施例1〜3および比較例1〜2の組成、押し出し条件、延伸条件、フィルムの厚み、複屈折の絶対値をそれぞれ表2〜6に示した。
[実施例4〜8および比較例3〜4]
プラスチック工学研究所製Tダイ装着押し出し機(BT-30-C-36-L型/幅400mmTダイ装着/リップ厚0.8mm)のホッパーに(a)成分、(b)成分のそれぞれのペレットの各組成のドライブレンドを投入した。押し出し機のシリンダー内樹脂温度とTダイの温度を調整し押し出し成形をすることにより実施例4〜8、比較例3の未延伸フィルムを得た。組成、押し出し条件、フィルムの厚み、全光線透過率、光弾性係数を表7に示した。フィルムの流れ(押し出し方向)をMD方向、MD方向に垂直な方向をTD方向とした。
次に得られた実施例4〜8の未延伸フィルムの縦(MD方向)一軸延伸を、市金工業社製ロール式縦延伸機を用いて行った。目標とする設定延伸倍率(延伸しない場合0%、1.4倍に延伸する場合40%)にするために二つのロール(低速側ロール/高速側ロール)の回転速度を変えてロール間で延伸を行なった。ロールの速度、延伸ロールの温度を表7〜10に示した。
次に得られた縦一軸延伸フィルムの横(TD方向)延伸を、市金工業社製テンター延伸機を用いて行った。目標とする設定延伸倍率(延伸しない場合0%、1.4倍に延伸する場合40%)にするために流れ速度5m/分で、テンターチャック間の距離を変えて延伸を行なった。延伸速度、温度を表7〜10に示した。熱固定に関しては延伸後連続してフィルムを所定の温度雰囲気下を24秒間とおすことによりおこなった。
実施例4〜8および比較例3の組成、押し出し条件、延伸条件、フィルムの厚み、光弾性係数、複屈折の絶対値、耐折回数をそれぞれ表7〜10に示した。比較例4として市販のTAC(トリアセチルセルロース)を用いた。
プラスチック工学研究所製Tダイ装着押し出し機(BT-30-C-36-L型/幅400mmTダイ装着/リップ厚0.8mm)のホッパーに(a)成分、(b)成分のそれぞれのペレットの各組成のドライブレンドを投入した。押し出し機のシリンダー内樹脂温度とTダイの温度を調整し押し出し成形をすることにより実施例4〜8、比較例3の未延伸フィルムを得た。組成、押し出し条件、フィルムの厚み、全光線透過率、光弾性係数を表7に示した。フィルムの流れ(押し出し方向)をMD方向、MD方向に垂直な方向をTD方向とした。
次に得られた実施例4〜8の未延伸フィルムの縦(MD方向)一軸延伸を、市金工業社製ロール式縦延伸機を用いて行った。目標とする設定延伸倍率(延伸しない場合0%、1.4倍に延伸する場合40%)にするために二つのロール(低速側ロール/高速側ロール)の回転速度を変えてロール間で延伸を行なった。ロールの速度、延伸ロールの温度を表7〜10に示した。
次に得られた縦一軸延伸フィルムの横(TD方向)延伸を、市金工業社製テンター延伸機を用いて行った。目標とする設定延伸倍率(延伸しない場合0%、1.4倍に延伸する場合40%)にするために流れ速度5m/分で、テンターチャック間の距離を変えて延伸を行なった。延伸速度、温度を表7〜10に示した。熱固定に関しては延伸後連続してフィルムを所定の温度雰囲気下を24秒間とおすことによりおこなった。
実施例4〜8および比較例3の組成、押し出し条件、延伸条件、フィルムの厚み、光弾性係数、複屈折の絶対値、耐折回数をそれぞれ表7〜10に示した。比較例4として市販のTAC(トリアセチルセルロース)を用いた。
以上の結果から、アクリル樹脂と、脂肪族ポリエステルである系樹脂であるポリ乳酸樹脂と、を含む樹脂組成物から構成される成形体は、光弾性係数の値が低く、外力による複屈折の変化が小さいことが判明した。
本発明の樹脂組成物を用いた成形体は、透明でかつ外力による複屈折の変化が小さいという優れた光学特性を持ち、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板等の位相差板、視野角制御フィルム等の液晶光学補償フィルム、ディスプレイ前面板、ディスプレイ基盤、レンズ、タッチパネル等、また、太陽電池に用いられる透明基盤等に好適に用いることができる。その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバーなどにも用いることができる。
Claims (15)
- アクリル系樹脂(a)と、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)と、を含む光学材料用樹脂組成物。
- アクリル系樹脂(a)60重量部以上95重量部以下、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)5重量部以上40重量部以下を含む、請求項1記載の光学材料用樹脂組成物。
- 脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ乳酸系樹脂である、請求項1または2に記載の光学材料用樹脂組成物。
- 延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)の関係において、その最小二乗近似より求めた傾きKの値が以下の式を満たす、
K=Δn(S)/S
−8.0×10−6<K<6.5×10−5
請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の光学材料用樹脂組成物。 - 請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の光学材料用樹脂組成物を成形して得られる光学材料用成形体。
- 少なくとも一方向の延伸倍率が5%以上150%未満である、請求項に記載の光学材料用成形体。
- 結晶融解熱量(ΔH)が15J/g未満である、請求項5または6に記載の光学材料用成形体。
- 押し出し成形で成形されたフィルムまたはシートである、請求項5ないし7のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体。
- キャスト成形で成形されたフィルムまたはシートである、請求項5ないし7のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体。
- 光弾性係数が−13(×10−12/Pa)を超え12(×10−12/Pa)未満である、請求項5ないし9のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体。
- 少なくとも一軸方向に延伸されており、光弾性係数の絶対値が4(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が5×10-4以上である、請求項5ないし10のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体。
- 少なくとも一軸方向に延伸されており、光弾性係数の絶対値が4(×10−12/Pa)以下であり、複屈折の絶対値が2.5×10-5未満である、請求項5ないし11のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体。
- 700nmの波長における光弾性係数C(700nm)、400nmの波長における光弾性係数C(400nm)の差の絶対値Cwが以下の関係を満たす、
Cw=|C(700nm)−C(400nm)|
Cw < 1 (×10−12/Pa)
請求項5ないし12のうち何れか一項に記載の光学材料用成形体。 - 請求項5ないし13のうち何れか一項に記載の成形体を用いた偏光板保護フィルム。
- 請求項5ないし13のうち何れか一項に記載の成形体を用いた位相差フィルム。
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