JPWO2006077714A1 - アンテナ構造およびそれを備えた無線通信機 - Google Patents

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Abstract

基板3の非グランド領域Zpに配設される誘電体基体6と、誘電体基体6に設けられる給電放射電極7とを有するアンテナ構造1であって、誘電体基体6における基板3の片端側の端縁に沿う外向きの側面はトップ側の側面6aと成し、基板3の非グランド領域Zp、あるいは、基板3の外側には、給電用電極10を誘電体基体6の側面に沿わせて設ける。給電放射電極7の一端側は給電用電極10に接続されている給電端Q側と成し、給電放射電極7の他端側は開放端Kと成す。給電放射電極7は、給電端Q側から開放端Kに至る電流経路が誘電体基体6の少なくともトップ側の側面6aと上面6bに渡るループ状となる態様を有する。誘電体基体6のトップ側の側面6bに形成されている給電放射電極部分は、給電用電極10との間にアンテナ特性向上用の容量を形成している。

Description

本発明は、携帯型電話機等の無線通信機に設けられるアンテナ構造およびそれを備えた無線通信機に関するものである。
図11aにはアンテナ構造の一例が模式的な斜視図により示されている。図11bにはそのアンテナ構造が模式的な分解状態により示されている。図11cには図11aに示されるアンテナ構造をボトム側から見た状態が示されている。このアンテナ構造1はアンテナ2を有し、このアンテナ2は、回路基板3の非グランド領域Zpに実装されている。つまり、回路基板3には、グランド4が形成されているグランド領域Zgと、グランド4が形成されていない非グランド領域Zpとが非グランド領域Zpを回路基板3の片端側にして隣り合わせに配置されている。このような回路基板3の非グランド領域Zpにアンテナ2が実装されている。なお、非グランド領域の基板としては、例えば、両面が銅張りされていないガラスエポキシ基板を挙げることができる。
アンテナ2は、誘電体基体6と、給電放射電極7と、無給電放射電極8とを有して構成されている。誘電体基体6は直方体状(角柱状)と成し、この誘電体基体6の上面に、給電放射電極7と無給電放射電極8が、それぞれ、互いに間隔を介して並設されている。当該給電放射電極7と無給電放射電極8は、電磁結合して複共振状態を作り出す構成となっている。また、誘電体基体6において回路基板3の片端側の端縁に沿う外向きの側面であってグランド4から離れているトップ側の側面6aには、給電放射電極7の給電端Qと、無給電放射電極8のショート端Sとが、それぞれ、形成されている。
さらに、回路基板3の非グランド領域Zpには、給電放射電極7の給電端Qに連接する給電用電極10(10B)が形成されている。この給電用電極10(10B)は、給電放射電極7の給電端Qとの連接部分から誘電体基体6の側面に沿いながらグランド領域Zgに向けて伸張形成された電極パターンの態様と成っている。給電用電極10(10B)のグランド領域Zg側の端部は、無線通信機の無線通信用の高周波回路12に接続されている。また、回路基板3の非グランド領域Zpには、無給電放射電極8のショート端Sに連接するグランド接続用電極11(11B)が形成されている。このグランド接続用電極11(11B)は、無給電放射電極8のショート端Sとの連接部分から誘電体基体6の側面に沿いながらグランド領域Zgに向けて伸張形成された電極パターンの態様と成っている。グランド接続用電極11(11B)のグランド領域Zg側の端部は、グランド4に接地されている。
このようなアンテナ構造1において、例えば、無線通信用の高周波回路12から無線通信用の信号が給電用電極10(10B)を介して給電放射電極7に供給されると、給電放射電極7が共振する。また、給電放射電極7と電磁結合している無給電放射電極8も共振し、給電放射電極7と無給電放射電極8により複共振状態が作り出されて、信号が無線送信される。
特開2001−217631号公報
例えば、図11aのアンテナ構造1では、給電放射電極7や無給電放射電極8は主に誘電体基体6の上面に設けられている。このため、給電放射電極7や無給電放射電極8から放射される電磁界は、誘電体基体6の上面側に集中する。これにより、アンテナ特性のQ値が高くなって無線通信用の周波数帯域が狭くなりやすいという問題が生じたり、導通損や誘電体損が多くなってアンテナ特性が悪化するという問題がある。
また、例えば、要求される共振周波数を持つための電気長を得るために、給電放射電極7や無給電放射電極8にスリットを形成することがある。しかし、給電放射電極7や無給電放射電極8は、誘電体基体6の上面、換言すれば、誘電体基体6の一つの面だけに形成される構成であり、給電放射電極7や無給電放射電極8の電極面積には限りがある。このため、給電放射電極7や無給電放射電極8の電極単位面積に占めるスリット形成量が多くなり、これにより、給電放射電極7や無給電放射電極8における電流経路の電極幅が細くなる。このため、給電放射電極7や無給電放射電極8における導体損が増加するという問題がある。また、スリットの形成量が多くなるにつれて、給電放射電極7や無給電放射電極8の態様が複雑になる。
さらに、アンテナ2の上方側に、金属や高誘電体(例えば人の指など)が近付くことが多々ある。この場合には、給電放射電極7や無給電放射電極8から放射された電波が、その金属や高誘電体により妨げられるので、アンテナ利得が劣化するという問題がある。また、グランドと見なされる物体の遠近変位に起因して給電放射電極7や無給電放射電極8のインピーダンスが変化してアンテナ特性が悪化するという問題も生じる。
この発明は次に示すような構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、この発明のアンテナ構造は、
グランドが形成されているグランド領域と、グランドが形成されていない非グランド領域とが非グランド領域を片端側にして隣り合わせに配置されている基板と、
この基板の非グランド領域、あるいは、非グランド領域および基板の外側に掛けての領域に配設される角柱状の誘電体基体と、
この誘電体基体に設けられる給電放射電極と
を有するアンテナ構造であって、
誘電体基体における基板の前記片端側の端縁に沿う外向きの側面はトップ側の側面と成しており、基板の非グランド領域あるいは基板の外側には、グランド領域に設けられた無線通信用の回路に接続されている給電用電極が、誘電体基体の側面、あるいは、基板の外端縁に沿わせて設けられており、
給電放射電極の一端側は、誘電体基体のトップ側の側面において給電用電極に接続されている給電端側と成し、給電放射電極の他端側は開放端と成し、給電放射電極は、給電端側から開放端に至る電流経路が誘電体基体の少なくともトップ側の側面と、当該側面と隣り合う上面とに渡るループ状を形成する形態を有し、
誘電体基体のトップ側の側面に形成されている給電放射電極部分は、基板の非グランド領域で誘電体基体の側面あるいは基板の外端縁に沿って設けられている給電用電極との間にアンテナ特性向上用の容量を形成していることを特徴としている。
この発明によれば、給電放射電極は、給電端側から開放端に至る電流経路が誘電体基体の少なくともトップ側の側面と上面に渡るループ状に形成される形態を有している。つまり、給電放射電極は、誘電体基体の少なくともトップ側の側面と上面を利用して形成される構成である。このため、給電放射電極が誘電体基体の上面のみに形成されている場合に比べて、給電放射電極の電磁界が分散し、これにより、導電損や誘電体損を減少させることができるために、アンテナ特性を向上させることができる。
また、給電放射電極の電磁界が分散することにより、アンテナ特性のQ値を下げることができ、これにより、無線通信用の周波数帯域の広帯域化を図ることができる。
さらに、この発明では、誘電体基体のトップ側の側面に形成されている給電放射電極部分と、給電用電極との間には、アンテナ特性向上用の容量が形成されている構成とした。つまり、換言すれば、誘電体基体のグランド領域に面している側面に対向する反対側の側面側にアンテナ特性向上用の容量が形成されるので、グランド領域から離れている誘電体基体側面側に電界を集中させることができて、給電放射電極からグランド領域のグランドに引き寄せられる電界量を軽減できる。このことによってもアンテナ特性のQ値が下がるので、無線通信用の周波数帯域の更なる広帯域化を図ることが可能となっている。また、グランドに引き寄せられる電界量の軽減により、アンテナ効率を高めることができる。
さらに、この発明のアンテナ構造が、例えば携帯型電話機等の無線通信機に内蔵され、基板(誘電体基体)の上方側から金属や高誘電体(例えば人の指)が給電放射電極に近付く事態が想定される場合に、この発明では、給電放射電極は誘電体基体の上面だけでなく、トップ側の側面にも設けられ、また、トップ側の側面に形成されている給電放射電極部分と、給電用電極との間にアンテナ特性向上用の容量が形成されているので、金属や高誘電体が上方側から給電放射電極に近付いたときに、それに引き寄せられる給電放射電極の電界量を軽減することができる。これにより、グランドの上方側からの金属や高誘電体(例えば人の指など)の近づきに因るアンテナ利得劣化を緩和することができる。
上記のように、この発明において特有な構成を備えることによって、アンテナ構造のアンテナ性能を向上させることができる。特に、給電放射電極が持つ複数の共振周波数のうちの最も共振周波数の低い基本モードのアンテナ動作と、基本モードよりも共振周波数の高い高次モードのアンテナ動作とを行う場合において、高次モードのアンテナ動作によるアンテナ性能の向上を図ることができる。また、この発明のアンテナ構造は、上記のように、アンテナ性能を向上させることができるものであるので、この発明のアンテナ構造が内蔵された無線通信機は、無線通信に対する信頼性を向上させることができる。
さらに、この発明では、給電放射電極は、誘電体基体の上面およびトップ側の側面に形成されているので、給電放射電極が誘電体基体の上面だけに形成されている構成に比べて、給電放射電極の電極面積を拡大することができる。このため、例えば、給電放射電極は、要求される共振周波数を持つための電気長を得ることが容易となる。また、給電放射電極と給電用電極との間のアンテナ特性向上用の容量に基づいたインピーダンスが給電放射電極に付与されて給電放射電極の電気長が長くなるので、電気長を長くするために給電放射電極にスリットが形成される場合に、給電放射電極に形成するスリット長を短くすることができる。その上、前述したように、給電放射電極の電極面積が拡大しているので、給電放射電極単位面積に占めるスリット形成量の割合を抑制することができる。これにより、給電放射電極の形状の簡素化を図ることができる。
第1実施例のアンテナ構造を説明するための図である。 図1aのアンテナ構造の模式的な分解図である。 図1aのアンテナ構造をボトム側から見た状態を模式的に表した図である。 図1aに示される給電放射電極の模式的な拡大図である。 第1実施例のアンテナ構造の構成から得られる効果を説明するためのリターンロス特性の一例を示すグラフである。 第1実施例のアンテナ構造の構成から得られる効果を説明するための880MHz〜960MHzの周波数帯におけるアンテナ効率の一例を示すグラフである。 第1実施例のアンテナ構造の構成から得られる効果を説明するための1710MHz〜1880MHzの周波数帯におけるアンテナ効率の一例を示すグラフである。 第1実施例のアンテナ構造の構成から得られる効果を説明するための1850MHz〜1990MHzの周波数帯におけるアンテナ効率の一例を示すグラフである。 第1実施例のアンテナ構造の構成から得られる効果を説明するための1920MHz〜2170MHzの周波数帯におけるアンテナ効率の一例を示すグラフである。 第1実施例のアンテナ構造の構成から得られる別の効果を説明するためのモデル図である。 図5aと共に、第1実施例のアンテナ構造の構成から得られる別の効果を説明するためのモデル図である。 図1aに示される給電放射電極の基本モードの電流経路を模式的に表した図である。 給電放射電極のその他の形態例を説明するための基本モードの電流経路のモデル図である。 図7aに示される基本モードの電流経路を持つ給電放射電極の一形態例を説明するための図である。 給電放射電極の別のその他の形態例を説明するための基本モードの電流経路のモデル図である。 図8aに示される基本モードの電流経路を持つ給電放射電極の一形態例を説明するための図である。 さらに給電放射電極の別のその他の形態例を説明するための図である。 第2実施例のアンテナ構造を説明するための図である。 アンテナ構造の一従来例を説明するための図である。 図11aのアンテナ構造の模式的な分解図である。 図11aのアンテナ構造をボトム側から見た状態を表したモデル図である。
符号の説明
1 アンテナ構造
3 回路基板
4 グランド
6 誘電体基体
7 給電放射電極
8 無給電放射電極
以下に、この発明に係る実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施例の説明において、図11aに示されるアンテナ構造と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
図1aには第1実施例のアンテナ構造が模式的な斜視図により示されている。図1bにはそのアンテナ構造が模式的な分解状態により示されている。図1cには第1実施例のアンテナ構造をボトム側から見た状態が示されている。この第1実施例のアンテナ構造1は、アンテナ2の給電放射電極7および無給電放射電極8に特徴があり、それ以外の構成は図11aに示されるアンテナ構造と同様な構成と成している。
この第1実施例のアンテナ構造1を構成するアンテナ2の給電放射電極7は、図2の模式的な拡大図にも示されるように、誘電体基体6のトップ側の側面6aと上面6bの二面に渡って形成されている。当該給電放射電極7には、スリット13が誘電体基体6のトップ側の側面6aと上面6bの二面に渡って形成されている。このスリット13により、給電放射電極7には、給電用電極10(10B)に接続する給電端Qから、誘電体基体6のトップ側の側面6aと上面6bの二面に渡るループ状の経路を通って開放端Kに至る基本モードの電流経路Iが形成される。
また、この第1実施例では、給電用電極10(10B)は、基板3の非グランド領域Zpに、誘電体基体6のトップ側の側面6aと、図1aや図2に示される誘電体基体6の左端側の側面とに沿って形成されている。この第1実施例では、給電放射電極7は誘電体基体6の上面6bからトップ側の側面6aに掛けて形成されている。このため、トップ側の側面6aに形成されている給電放射電極部分と、給電用電極10(10B)との間の間隔は狭く、当該トップ側の側面6aの給電放射電極部分と、給電用電極10(10B)との間の容量は、アンテナ特性に影響を与える程に大きくなっている。この第1実施例では、そのトップ側の側面6aの給電放射電極部分と、給電用電極10(10B)との間の容量はアンテナ特性を向上させることができる適切な容量となっている。
この第1実施例では、誘電体基体6に給電放射電極7と共に設けられる無給電放射電極8は、給電放射電極7と無給電放射電極8の中間位置を通り基板面に垂直な中心面に対して対称的な形状となっている。つまり、無給電放射電極8は給電放射電極7と同様な構成を備えているものであり、当該無給電放射電極8は、誘電体基体6のトップ側の側面6aと上面6bとの二面に渡って形成されている。この無給電放射電極8には、スリット14が誘電体基体6のトップ側の側面6aと上面6bとの二面に渡って形成されている。このスリット14により、無給電放射電極8には、給電用電極11(11B)に接続するショート端Sから、誘電体基体6のトップ側の側面6aと上面6bの二面に渡るループ状の経路を通って開放端Kに至る基本モードの電流経路が形成される。なお、図1aのトップ側から給電放射電極7と無給電放射電極8を見たときに、給電放射電極7の電流経路は、左回りのループ形状であるのに対して、給電放射電極7と対称的な形状を持つ無給電放射電極8の電流経路は、右回りのループ形状となっている。
また、無給電放射電極8は誘電体基体6の上面6bからトップ側の側面6aに掛けて形成されている。このため、トップ側の側面6aに形成されている無給電放射電極部分と、グランド接続用電極11(11B)との間の間隔は狭く、当該トップ側の側面6aの無給電放射電極部分と、グランド接続用電極11(11B)との間の容量は、アンテナ特性に影響を与える程に大きくなっている。この第1実施例では、そのトップ側の側面6aの無給電放射電極部分と、グランド接続用電極11(11B)との間の容量はアンテナ特性を向上させることができる適切な容量となっている。
この第1実施例では、誘電体基体6は、誘電率を高めるための材料を含有した樹脂材料により構成されている。給電放射電極7や無給電放射電極8を構成する導体板は誘電体基体6とインサート成型等の成形技術により一体的に形成されている。
この第1実施例のアンテナ構造1は、上記のような特有な構成を有しているので、アンテナ性能を向上させることができる。このことは、本発明者の実験によって確認されている。その実験では、図1aに示されるような第1実施例のアンテナ構造1の構成を持つサンプルAと、図11aに示されるような従来のアンテナ構造1の構成を持つサンプルBとを用意し、これらサンプルA,Bのそれぞれについて、リターンロス特性と、アンテナ効率とを測定した。なお、サンプルA,Bは、給電放射電極7および無給電放射電極8の形状以外は次に示すような同じ条件のものである。つまり、サンプルA,Bの基板3の長さL3(図1c参照)は82mmで、基板3の幅W3は40mmである。この基板3の片端側に配置されている非グランド領域Zpの長さLzpは8mmであり、非グランド領域Zpの幅は40mmである。誘電体基体6の長さL6は8mmであり、誘電体基体6の幅W6は38mmであり、誘電体基体6の高さtは5.5mmである。
図3のグラフに、リターンロス特性の実験結果が示されている。図3中の実線Aは、サンプルA(つまり、第1実施例において特有な構成を持つもの)に関するものである。点線Bは、サンプルB(つまり、従来の構成を持つもの)に関するものである。また、グラフ中の符号aは無給電放射電極8の基本モードの周波数帯を示し、符号bは給電放射電極7の基本モードの周波数帯を示している。符号cは無給電放射電極8の高次モードの周波数帯を示し、符号dは給電放射電極7の高次モードの周波数帯を示している。
また、表1〜表4には、それぞれ、アンテナ効率の実験結果が示されている。表1は、880MHz〜960MHzの周波数帯におけるアンテナ効率に関するものであり、この表1をグラフに表したものが図4aである。表2は、1710MHz〜1880MHzの周波数帯におけるアンテナ効率に関するものであり、この表2をグラフに表したものが図4bである。表3は、1850MHz〜1990MHzの周波数帯におけるアンテナ効率に関するものであり、この表3をグラフに表したものが図4cである。表4は、1920MHz〜2170MHzの周波数帯におけるアンテナ効率に関するものであり、この表4をグラフに表したものが図4dである。なお、図4a〜図4dにおける実線Aは、サンプルA(つまり、第1実施例において特有な構成を持つもの)に関するものである。点線Bは、サンプルB(つまり、従来の構成を持つもの)に関するものである。
Figure 2006077714
Figure 2006077714
Figure 2006077714
Figure 2006077714
図3のリターンロス特性に示されるように、この第1実施例の特有な構成を備えることによって、特に高次モード側の周波数帯の広帯域化を図ることができていることが分かる。また、表1〜表4および図4a〜図4dに示されるように、この第1実施例の特有な構成を備えることによりアンテナ効率を向上できることも分かる。特に高次モード側においてそのような効果を大きく得ることができる。
この第1実施例では、誘電体基体6には、給電放射電極7に加えて、この給電放射電極7と電磁結合して複共振状態を作り出す無給電放射電極8が形成されている。このため、この第1実施例のアンテナ構造1では、給電放射電極7と無給電放射電極8との複共振によって、周波数帯域の広帯域化を図ることができる。
また、この第1実施例では、給電放射電極7と無給電放射電極8が対称的な形状と成っている。これにより、給電放射電極7と無給電放射電極8の複共振のための良好なインピーダンス整合が得易い。また、給電放射電極7や無給電放射電極8が持つ複数の共振周波数のうちの最も共振周波数の低い基本モードのアンテナ動作と、基本モードよりも共振周波数の高い高次モードのアンテナ動作とを行う場合には、基本モードと高次モードとの複数の共振モードにおいて、給電放射電極7と無給電放射電極8の複共振のための良好なインピーダンス整合が得易いという効果を得ることができる。その理由として、給電放射電極7と無給電放射電極8の電磁界分布が、基本モードと高次モードの何れの場合においても、対称的な分布を得やすいことが挙げられる。
ところで、この第1実施例のアンテナ構造1は、図5aに示されるような折り畳みタイプの携帯型電話機16に内蔵されることがある。折り畳みタイプの携帯型電話機16は、ヒンジ部17を介して2つの筐体18,19が連結されている構成を有する。第1実施例のアンテナ構造1が折り畳みタイプの携帯型電話機16に内蔵される場合には、例えば、携帯型電話機16の例えば筐体19の内部に収容されている回路基板(図示せず)がアンテナ構造1の回路基板3と成す。また、その回路基板は、ヒンジ部17側の端部が非グランド領域Zpと成し、この非グランド領域Zpにアンテナ2が実装される。
携帯型電話機16が利用されるときには、図5bに示されるように、人の手20によって携帯型電話機16のヒンジ部17の形成領域が握られることが多い。このため、アンテナ構造1が携帯型電話機16に上記のように内蔵されている場合には、アンテナ構造1を構成する誘電体基体6の上方側に人の手(指)20が配置され、これにより、その手20によって給電放射電極7と無給電放射電極8の電波の放射が妨げられることが多くなる。これに対して、この第1実施例のアンテナ構造1では、給電放射電極7および無給電放射電極8は、誘電体基体6の上面6bだけでなく、トップ側の側面6aにも形成されているので、誘電体基体6の上方側に手20などが配置されても、トップ側の側面6aに形成されている給電や無給電の放射電極部分から電波が良好に放射される。これにより、アンテナ特性の劣化を抑制することができて、携帯型電話機16に対する無線通信の信頼性を高めることができる。また、もちろん、手20以外の高誘電体や例えば金属等が誘電体基体6の上方側に配置された場合にも、上記同様に、トップ側の側面6aに形成されている給電や無給電の放射電極部分から電波が良好に放射される。このため、アンテナ特性の劣化を抑制することができる。すなわち、この第1実施例のアンテナ構造1は、給電放射電極7や無給電放射電極8の上方側に金属や高誘電体(人の指や手など)が近付いたときに手20や金属等の物体の悪影響を軽減できる構成を備えている。このため、折り畳みタイプの携帯型電話機16に対する無線通信の信頼性を向上させることができる。
なお、図1aに示す例では、給電放射電極7と無給電放射電極8は、ほぼ左右対称な形状であったが、給電放射電極7と無給電放射電極8は、同様な形状であってもよいし、互いに異なる形状であってもよい。また、給電放射電極7や無給電放射電極8の端縁部分やスリット端縁部分の少なくとも一部分に誘電体基体6が盛り上がって食み出し形成されている構成としてもよい。その給電放射電極7や無給電放射電極8の端縁部分やスリット端縁部分に食み出した誘電体基体部分は、給電放射電極7や無給電放射電極8の端縁部分やスリット端縁部分を誘電体基体6に留めているような状態となる。これにより、誘電体基体6からの給電放射電極7の剥がれや誘電体基体6からの無給電放射電極8の剥がれを防止することができる。
また、図1aに示される給電放射電極7は、当該電極7を通電する基本モードの電流が図6のモデル図に示されるようなループ状の電流経路Iを描くような形状と成していたが、例えば、給電放射電極7は、図7aのモデル図に示されるループ状の電流経路Iを描くような形状(例えば図7b参照)と成していてもよい。さらに、給電放射電極7は、図8aのモデル図に示されるループ状の電流経路Iを描くような形状(例えば図8b参照)と成していてもよい。さらに、給電放射電極7は、誘電体基体6のトップ側の側面6aと上面6bの二面に渡って形成されていたが、例えば給電放射電極7は、誘電体基体6のトップ側の側面6aと上面6bの二面だけでなく、誘電体基体6のグランド領域Zgに面する側面側や、図2に示される左側の側面に食み出し形成されているというように、誘電体基体6の三面以上の面に渡って形成されている構成としてもよい。
さらに、無給電放射電極8も、図7bや図8bの給電放射電極7と同様な形状、あるいは、図7bや図8bの給電放射電極7と左右対称な形状であってもよい。
さらに、図1aに示される構成では、給電用電極10(10B)は回路基板3に直接的に形成された電極パターンにより構成されていたが、例えば、図9に示されるように、給電用電極10(10B)は、回路基板3の非グランド領域Zpに配置され給電放射電極7を構成する導体板の一部により構成されていてもよい。
以下に、第2実施例を説明する。なお、この第2実施例の説明において、第1実施例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
この第2実施例では、図10の側面図に示されるように、アンテナ2(給電放射電極7および無給電放射電極8)は、その一部を回路基板3の非グランド領域Zpから基板外に向けて突き出した態様でもって回路基板3の非グランド領域Zpに配設されている。それ以外の構成は、第1実施例と同様である
この第2実施例では、アンテナ2(給電放射電極7および無給電放射電極8)の一部が回路基板3の非グランド領域Zpから基板外に向けて突き出ているので、給電放射電極7や無給電放射電極8の全体が非グランド領域Zpに配設されている場合に比べて、回路基板3の外に突き出ている分、給電放射電極7や無給電放射電極8と、グランド領域Zgとの間の間隔を離すことができる。このため、グランドの悪影響が軽減されて、無線通信用の周波数帯域の広帯域化と、アンテナ効率の向上を図ることができる。これにより、アンテナ構造1の小型・低背化を促進させることができる。また、この構成を備えたアンテナ構造1が設けられている無線通信機にあっては、無線通信機の小型化を図ることが容易となる。
以下に、第3実施例を説明する。この第3実施例は無線通信機に関するものである。この第3実施例の無線通信機は、第1又は第2の各実施例に示したアンテナ構造1が設けられていることを特徴としている。なお、無線通信機におけるアンテナ構造以外の構成には様々な構成があり、ここでは、その何れの構成を採用してもよく、その説明は省略する。また、第1又は第2の実施例に示したアンテナ構造1の説明は前述したので省略する。
なお、この発明は第1〜第3の各実施例の形態に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第1〜第3の各実施例では、誘電体基体6には給電放射電極7が設けられていると共に、無給電放射電極8が設けられていたが、例えば、給電放射電極7だけで、要求される周波数帯域幅や周波数帯域の数を得ることができる場合には、無給電放射電極8を省略してもよい。
また、第1〜第3の各実施例では、無給電放射電極8は、給電放射電極7と同様に、基本モードの電流経路がループ状となる形状と成していたが、例えば、無給電放射電極8は図11aに示されるような形状であってもよく、基本モードの電流経路がループ状となる形状でなくともよい。
さらに、第1〜第3の各実施例では、給電放射電極7や無給電放射電極8は、面状の電極にスリットを形成して、放射電極7,8の基本モードの電流経路をループ状にした形態であったが、例えば、給電放射電極7や無給電放射電極8は、線状や帯状の電極がループ状になっている態様であってもよい。
さらに、第1〜第3の各実施例では、給電放射電極7と無給電放射電極8は、誘電体基体6に1つずつ設けられていたが、要求される周波数帯域の帯域幅や周波数帯域の必要数に応じて、給電放射電極7や無給電放射電極8は誘電体基体6に複数設けられている構成としてもよい。
さらに、第1〜第3の各実施例では、給電用電極10(10B)や、グランド接続用電極11(11B)は、回路基板3の非グランド領域Zpに設けられていたが、給電用電極10(10B)やグランド接続用電極11(11B)の配設位置は、グランド4が形成されていない領域であればよく、例えば、導体板により給電用電極10(10B)やグランド接続用電極11(11B)を構成し、当該給電用電極10(10B)やグランド接続用電極11(11B)は、回路基板3の外側に、回路基板3から飛び出した態様でもって配設されていてもよい。
本発明のアンテナ構造は、もちろん、様々な無線通信機のアンテナ構造として適用することができるものであるが、無線通信機の筐体内に内蔵することができるものであるため、無線通信機筐体からアンテナが突出形成しない無線通信機を提供することができることから、デザイン性を高めたい無線通信機や、携帯型の無線通信機に特に有効である。

Claims (5)

  1. グランドが形成されているグランド領域と、グランドが形成されていない非グランド領域とが非グランド領域を片端側にして隣り合わせに配置されている基板と、
    この基板の非グランド領域、あるいは、非グランド領域および基板の外側に掛けての領域に配設される角柱状の誘電体基体と、
    この誘電体基体に設けられる給電放射電極と
    を有するアンテナ構造であって、
    誘電体基体における基板の前記片端側の端縁に沿う外向きの側面はトップ側の側面と成しており、基板の非グランド領域あるいは基板の外側には、グランド領域に設けられた無線通信用の回路に接続されている給電用電極が、誘電体基体の側面、あるいは、基板の外端縁に沿わせて設けられており、
    給電放射電極の一端側は、誘電体基体のトップ側の側面において給電用電極に接続されている給電端側と成し、給電放射電極の他端側は開放端と成し、給電放射電極は、給電端側から開放端に至る電流経路が誘電体基体の少なくともトップ側の側面と、当該側面と隣り合う上面とに渡るループ状を形成する形態を有し、
    誘電体基体のトップ側の側面に形成されている給電放射電極部分は、基板の非グランド領域で誘電体基体の側面あるいは基板の外端縁に沿って設けられている給電用電極との間にアンテナ特性向上用の容量を形成していることを特徴とするアンテナ構造。
  2. 給電放射電極と間隔を介して配設され給電放射電極と電磁結合して複共振状態を作り出す無給電放射電極が角柱状の誘電体基体に設けられ、
    基板の非グランド領域、あるいは、基板の外側には、誘電体基体の側面に沿うように配設され基板のグランドに接続されるグランド接続用電極が設けられており、
    無給電放射電極の一端側は、誘電体基体のトップ側の側面においてグランド接続用電極に接続されているショート端側と成し、無給電放射電極の他端側は開放端と成し、無給電放射電極は、ショート端側から開放端に至る電流経路が誘電体基体の少なくともトップ側の側面と、当該側面と隣り合う上面とに渡るループ状を形成する態様を有し、
    誘電体基体のトップ側の側面に形成されている無給電放射電極部分は、グランド接続用電極との間にアンテナ特性向上用の容量を形成していることを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造。
  3. 間隔を介して並設されている給電放射電極と無給電放射電極は、当該給電放射電極と無給電放射電極との間の中間位置を通り基板面に垂直な中心面に対して対称的な形状であることを特徴とする請求項2記載のアンテナ構造。
  4. 請求項1又は請求項2又は請求項3記載のアンテナ構造が設けられていることを特徴とする無線通信機。
  5. ヒンジ部を介して2つの筐体が連結されている構成を備えた折り畳みタイプの携帯型電話機であり、連結されている筐体のうちの一方側に内蔵されている基板のヒンジ部側の端部が非グランド領域と成し当該非グランド領域にアンテナ構造の給電放射電極、あるいは、給電放射電極および無給電放射電極が配設されていることを特徴とする請求項4記載の無線通信機。
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