JPWO2006035632A1 - ポリウレタン樹脂形成性組成物、シール材及び中空糸膜モジュール - Google Patents
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Abstract
イソシアネート成分を含有する主剤(A)と、ポリオール成分を含有する硬化剤(B)とからなり、硬化剤(B)を構成するポリオール成分として、ヒマシ油及び/又はヒマシ油脂肪酸と、トリメチロールアルカンとから得られるヒマシ油系変性ポリオール(b1)と;官能基数が6以上の化合物を開始剤として得られる多官能ポリエーテルポリオール(b2)とが含有され、且つ、硬化剤(B)中に含有されるヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)との割合〔(b1)/(b2)〕が、質量比で、96/4〜75/25であるポリウレタン樹脂形成性組成物である。この組成物は、大型の中空糸膜モジュールの製造にも適用できる長いポットライフを有し、この組成物によれば、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂からなるシール材を形成することができる。
Description
本発明は、ポリウレタン樹脂形成性組成物、シール材及び中空糸膜モジュールに関する。具体的には、耐熱性などに優れ、硬度の温度依存性が低く、水に浸漬したときに溶出物の量が少ない硬化樹脂を形成することができるポリウレタン樹脂形成性組成物、当該組成物を硬化して得られるシール材、当該シール材によって、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が封止されてなる中空糸膜モジュールに関する。
一般に、血液処理器、浄水器、工業用水処理装置を構成する中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)用のシール材として、常温での可撓性、接着性及び耐薬品性に優れているポリウレタン樹脂を用いることが、広く知られている。
近年、特に工業用水処理装置には、処理能力の更なる向上が求められる背景上、中空糸膜モジュールは、日々、大型化される傾向にある。このため、使用するシール材としても、中空糸膜モジュールの大型化に対応できるものが要求されるようになってきている。
従来、血液処理器や浄水器を構成する膜モジュール用のシール材を得るための組成物として、アミン系ポリオールを硬化剤の成分として用いるポリウレタン樹脂形成性組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物は、硬化速度が高過ぎることから、大型の中空糸膜モジュールの製造に適用できない。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物は、硬化速度が高過ぎることから、大型の中空糸膜モジュールの製造に適用できない。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
また、血液処理器や浄水器を構成する膜モジュール用のシール材を得るための組成物として、アミン系ポリオールと、特定の活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物とを硬化剤の成分として併用するポリウレタン樹脂形成性組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物により得られるシール材は、耐熱性に劣り、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が多い。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物により得られるシール材は、耐熱性に劣り、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が多い。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
さらに、中空糸膜モジュール用のシール材を得るための組成物として、公称官能基数が6以上のポリエーテルポリオールを硬化剤の成分として用いるポリウレタン樹脂形成性組成物からなるものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物により得られるシール材は、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が多い。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物により得られるシール材は、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が多い。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
このように、従来公知のポリウレタン樹脂形成性組成物によって得られるシール材は、何れも、大型の中空糸膜モジュールにより構成される工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分であり、この用途において十分に実用可能なシール材(当該シール材を得るためのポリウレタン樹脂形成性組成物)の提供が強く望まれている。
特開平6−100649号公報(第2〜4頁)
特開2000−128952号公報(第2〜4頁)
特開2002−128858号公報(第2〜5頁)
本発明は、前述の背景を踏まえてなされたものである。
本発明の第1の目的は、大型の中空糸膜モジュールの製造にも適用できる長いポットライフを有し、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂からなるシール材を形成することができるポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。
本発明の第1の目的は、大型の中空糸膜モジュールの製造にも適用できる長いポットライフを有し、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂からなるシール材を形成することができるポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、大型の中空糸膜モジュールに対応することができ、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂からなるシール材を提供することにある。
本発明の第3の目的は、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂からなるシール材によって、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が封止されてなる、生産性及び耐久性に優れた中空糸膜モジュールを提供することにある。
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物は、イソシアネート成分を含有する主剤(A)と、ポリオール成分を含有する硬化剤(B)とからなるポリウレタン樹脂形成性組成物において、硬化剤(B)を構成するポリオール成分として、ヒマシ油及び/又はヒマシ油脂肪酸と、トリメチロールアルカンとから得られるヒマシ油系変性ポリオール(b1)と;官能基数が6以上の化合物を開始剤として得られる多官能ポリエーテルポリオール(b2)とが含有され、且つ、硬化剤(B)中に含有されるヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)との割合〔(b1)/(b2)〕が、質量比で、96/4〜75/25であることを特徴とする。
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物においては、主剤(A)を構成するイソシアネート成分が、イソシアネート基末端プレポリマーからなることが好ましい。
また、当該イソシアネート基末端プレポリマーが、イソシアネート基含有化合物と、ヒマシ油系ポリオールとを反応させて得られることが好ましい。
また、前記多官能ポリエーテルポリオール(b2)を得るために使用する開始剤が、ソルビトール又はシュークローズであることが好ましい。
また、前記割合〔(b1)/(b2)〕が、質量比で、95/5〜81/19であること、特に90/10〜81/19であることが好ましい。
また、当該イソシアネート基末端プレポリマーが、イソシアネート基含有化合物と、ヒマシ油系ポリオールとを反応させて得られることが好ましい。
また、前記多官能ポリエーテルポリオール(b2)を得るために使用する開始剤が、ソルビトール又はシュークローズであることが好ましい。
また、前記割合〔(b1)/(b2)〕が、質量比で、95/5〜81/19であること、特に90/10〜81/19であることが好ましい。
本発明のシール材は、上記のポリウレタン樹脂形成性組成物を硬化して得られることを特徴とする。
本発明のシール材は、中空糸膜モジュール用のシール材として好適である。
本発明のシール材は、中空糸膜モジュール用のシール材として好適である。
本発明の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が、本発明のシール材により封止されてなることを特徴とする。
(1)本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物は、長いポットライフを有するので、工業用水処理装置を構成する大型の中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)を製造する際にも適用することができ、成形加工性にも優れる。
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物によれば、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く(広い温度領域において硬度の変化が小さく)、水に浸漬したときに、当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂(ポリウレタン樹脂)からなるシール材を形成することができる。
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物によれば、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く(広い温度領域において硬度の変化が小さく)、水に浸漬したときに、当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂(ポリウレタン樹脂)からなるシール材を形成することができる。
(2)本発明のシール材は、ポットライフの長い本発明の組成物から得られるので、大型の中空糸膜モジュールにも対応することができる。
本発明のシール材は、接着性に優れているので、濾過装置のハウジング基材との間に高い接着力が得られるとともに、複数の中空糸膜の集束体の端部を強固に結束させることができる。
本発明のシール材は、耐熱性に優れているので、スチーム滅菌処理を施しても、基材に対する接着力を高い割合で保持することができる。
本発明のシール材は、硬度の温度依存性が低いので、広い温度領域において確実なシール性能を確保することができる。
本発明のシール材を水と接触させても、当該水中への溶出物の量が少ない。
本発明のシール材は、接着性に優れているので、濾過装置のハウジング基材との間に高い接着力が得られるとともに、複数の中空糸膜の集束体の端部を強固に結束させることができる。
本発明のシール材は、耐熱性に優れているので、スチーム滅菌処理を施しても、基材に対する接着力を高い割合で保持することができる。
本発明のシール材は、硬度の温度依存性が低いので、広い温度領域において確実なシール性能を確保することができる。
本発明のシール材を水と接触させても、当該水中への溶出物の量が少ない。
(3)本発明の中空糸膜モジュールは、濾過装置としての優れた性能を有し、生産性及び耐久性にも優れている。また、工業用水処理装置を構成するよう大型化することも可能である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
<ポリウレタン樹脂形成性組成物>
本発明の組成物は、イソシアネート成分を含有する主剤(A)と、ポリオール成分を含有する硬化剤(B)とからなる。
<ポリウレタン樹脂形成性組成物>
本発明の組成物は、イソシアネート成分を含有する主剤(A)と、ポリオール成分を含有する硬化剤(B)とからなる。
<主剤(A)>
主剤(A)を構成するイソシアネート成分は、分子中にイソシアネート基を含有する化合物であれば特に限定されず、以下に説明するものを含め、種々の化合物を使用することが可能である。
主剤(A)を構成するイソシアネート成分は、分子中にイソシアネート基を含有する化合物であれば特に限定されず、以下に説明するものを含め、種々の化合物を使用することが可能である。
分子中にイソシアネート基を含有する化合物としては、例えば、炭素数(イソシアネート基中の炭素原子を除く炭素原子の数、以下同じ)2〜18の脂肪族系イソシアネート、炭素数4〜15の脂環式系イソシアネート、炭素数6〜20の芳香族系イソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族系イソシアネートを挙げることができる。
また、これら一連のイソシアネートにおけるイソシアネート基の一部又は全部について、イソシアヌレート変性、ビュレット変性、アロファネート変性、ウレトジオン変性、ウレトンイミン変性、カルボジイミド変性、オキサゾリドン変性、アミド変性、イミド変性等の変性を行って得られる化合物をも挙げることができる。
炭素数2〜18の脂肪族系イソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、ビス(2−イソシアネートエチル)カーボネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等を挙げることができる。
炭素数4〜15の脂環式系イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート等を挙げることができる。
炭素数6〜20の芳香族系イソシアネートとしては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、及びこれらの混合物;以下「MDI」と略記)、ナフタレンジイソシアネート、ベンゼン環を3個以上有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等を挙げることができる。
炭素数8〜15の芳香脂肪族系イソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジイソシアネートエチルベンゼン等を挙げることができる。
本発明においては、分子中にイソシアネート基を含有する化合物として、芳香族系イソシアネートまたは芳香族系イソシアネートの一部について、前述の一連の変性を行って得られる化合物を使用するのが好ましい。中でも、MDIまたはMDIの一部について、前述の一連の変性を行って得られる化合物を使用することが好ましい。中でも、成形時の作業環境に優れ、且つ、シール材に要求される物性(例えば、硬度などの機械的強度)が良好な硬化樹脂を形成することができる等の観点から、MDIまたはMDIの一部をカルボジイミド変性して得られるものを使用することが特に好ましい。
本発明においてはさらに、上記の作業環境に優れ、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、且つ、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュール(濾過装置)の生産性にも優れる等の観点から、イソシアネート成分として、これら一連の分子中にイソシアネート基を含有する化合物(イソシアネート基含有化合物)と、活性水素を2個以上有する化合物とを反応(ウレタン化反応)させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを使用することが好ましい。
イソシアネート基末端プレポリマーを得るための反応において、イソシアネート基含有化合物の有するイソシアネート基と、活性水素を2個以上有する化合物の有する活性水素基とのモル比(イソシアネート基/活性水素基)は、通常1.1〜130.0とされ、好ましくは3.0〜90.0、更に好ましくは5.0〜80.0とされる。当該モル比(イソシアネート基/活性水素基)を5.0〜80.0とすることにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基含有量は、通常8〜25質量%とされ、好ましくは10〜24質量%、更に好ましくは13〜23質量%とされる。イソシアネート基含有量が13〜23質量%であるイソシアネート基末端プレポリマーを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
イソシアネート基末端プレポリマーを得るための反応に供される「活性水素を2個以上有する化合物」としては、例えば、低分子ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリラクトン系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
「低分子ポリオール」としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサングリコール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールAなどの2価のポリオール(低分子グリコール);例えばグリセリン、
トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの3〜8価のポリオールが挙げられる。
低分子ポリオールの分子量は、通常50〜200とされる。
トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの3〜8価のポリオールが挙げられる。
低分子ポリオールの分子量は、通常50〜200とされる。
「ポリエーテル系ポリオール」としては、上記低分子ポリオールを開始剤とし、これにアルキレンオキサイド(炭素数2〜4個のアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)を付加して得られる重合物が挙げられ、具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、PTMG、及びエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物であるチップドエーテル等が挙げられる。
ポリエーテル系ポリオールの分子量は、通常200〜7000とされ、好ましくは500〜5000とされる。分子量が500〜5000のポリエーテル系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
ポリエーテル系ポリオールの分子量は、通常200〜7000とされ、好ましくは500〜5000とされる。分子量が500〜5000のポリエーテル系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ポリエステル系ポリオール」としては、ポリカルボン酸(脂肪族飽和もしくは不飽和ポリカルボン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リシノール酸、2量化リノール酸および/または芳香族ポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)と、ポリオール(上記低分子ポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール)との縮合重合により得られるポリオールが挙げられる。
ポリエステル系ポリオールの分子量は、通常200〜5000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のポリエステル系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
ポリエステル系ポリオールの分子量は、通常200〜5000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のポリエステル系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ポリラクトン系ポリオール」としては、グリコール類やトリオール類の重合開始剤に、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、ε−メチル−ε−カプロラクトン等、および/またはβ−メチル−δ−バレロラクトン等を、有機金属化合物、金属キレート化合物、脂肪酸金属アシル化合物等の触媒の存在下で、付加重合させて得られるポリオールが挙げられる。
ポリラクトン系ポリオールの分子量は、通常200〜5000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のポリラクトン系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
ポリラクトン系ポリオールの分子量は、通常200〜5000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のポリラクトン系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ヒマシ油系ポリオール」としては、ヒマシ油(ヒマシ油脂肪酸のトリグリセライド);ヒマシ油脂肪酸とポリオール(上記低分子ポリオール及び/又はポリエーテルポリオール)との反応により得られる線状または分岐状ポリエステル、例えばヒマシ油脂肪酸のジグリセライド、モノグリセライド、ヒマシ油脂肪酸とトリメチロールアルカンとのモノ、ジ、またはトリエステル、ヒマシ油脂肪酸とポリプロピレングリコールとのモノ、ジ、またはトリエステル等が挙げられる。
ヒマシ油系ポリオールの分子量は、通常300〜4000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のヒマシ油系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
ヒマシ油系ポリオールの分子量は、通常300〜4000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のヒマシ油系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ポリオレフィン系ポリオール」としては、ポリブタジエン、又はブタジエンとスチレンもしくはアクリロニトリルとの共重合体の末端に水酸基を導入したポリブタジエン系ポリオールが挙げられる。
その他、末端にカルボキシル基および/またはOH基を有するポリエステルにアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加反応させて得られるポリエーテルエステルポリオールも挙げられる。
上述した「活性水素を2個以上有する化合物」のうち、ポリエステル系ポリオール及びヒマシ油系ポリオールが好ましく、ヒマシ油系ポリオールが特に好ましい。
ヒマシ油系ポリオールを使用すること、すなわち、イソシアネート基含有化合物とヒマシ油系ポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーをイソシアネート成分として使用することにより、成形時の作業環境に優れるとともに、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、しかも、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュール(濾過装置)の生産性の向上も図ることができる。
ヒマシ油系ポリオールを使用すること、すなわち、イソシアネート基含有化合物とヒマシ油系ポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーをイソシアネート成分として使用することにより、成形時の作業環境に優れるとともに、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、しかも、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュール(濾過装置)の生産性の向上も図ることができる。
<硬化剤(B)>
硬化剤(B)を構成するポリオール成分としては、ヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)とが用いられる。
硬化剤(B)を構成するポリオール成分としては、ヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)とが用いられる。
(1)ヒマシ油系変性ポリオール(b1):
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)は、ヒマシ油及び/又はヒマシ油脂肪酸と、トリメチロールアルカンとから得られる変性体(ヒマシ油のトリメチロールアルカン変性体、及び/又は、ヒマシ油脂肪酸のトリメチロールアルカン変性体)である。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)は、ヒマシ油とトリメチロールアルカンとのエステル交換反応;ヒマシ油脂肪酸とトリメチロールアルカンとのエステル反応により得ることができる。
ここに、「ヒマシ油」の主成分は、リシノール酸のトリグリセライドであり、「ヒマシ油」には水素添加ヒマシ油が含まれる。
また、「ヒマシ油脂肪酸」の主成分はリシノール酸であり、「ヒマシ油脂肪酸」には、水素添加ヒマシ油脂肪酸が含まれる。
また、「トリメチロールアルカン」としては、例えばトリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタン、トリメチロールヘキサン、トリメチロールヘプタン、トリメチロールオクタン、トリメチロールノナン及びトリメチロールデカンを挙げることができる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)は、ヒマシ油及び/又はヒマシ油脂肪酸と、トリメチロールアルカンとから得られる変性体(ヒマシ油のトリメチロールアルカン変性体、及び/又は、ヒマシ油脂肪酸のトリメチロールアルカン変性体)である。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)は、ヒマシ油とトリメチロールアルカンとのエステル交換反応;ヒマシ油脂肪酸とトリメチロールアルカンとのエステル反応により得ることができる。
ここに、「ヒマシ油」の主成分は、リシノール酸のトリグリセライドであり、「ヒマシ油」には水素添加ヒマシ油が含まれる。
また、「ヒマシ油脂肪酸」の主成分はリシノール酸であり、「ヒマシ油脂肪酸」には、水素添加ヒマシ油脂肪酸が含まれる。
また、「トリメチロールアルカン」としては、例えばトリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタン、トリメチロールヘキサン、トリメチロールヘプタン、トリメチロールオクタン、トリメチロールノナン及びトリメチロールデカンを挙げることができる。
硬化剤(B)の構成成分としてヒマシ油系変性ポリオール(b1)を用いることにより、得られる組成物により形成される硬化樹脂には優れた耐熱性が付与される。この耐熱性の付与により、当該硬化樹脂からなるシール材(好適には、中空糸膜モジュール又は平膜モジュールに用いる膜シール材)をハウジングに接着させた後、これにスチーム滅菌処理を施しても、ハウジングに対する接着力が高い割合で保持される。また、当該シール材は、高温下において長時間の使用が可能となる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用しないで得られる組成物によって形成される硬化樹脂(シール材)は、十分な耐熱性を有するものとならない(後述する比較例4〜5参照)。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用しないで得られる組成物によって形成される硬化樹脂(シール材)は、十分な耐熱性を有するものとならない(後述する比較例4〜5参照)。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)の数平均分子量は150〜2000であることが好ましく、更に好ましくは300〜1200とされる。数平均分子量が300〜1200のヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用して得られる組成物によれば、シール材に要求される物性(特に機械的特性)が良好な硬化樹脂を形成することができる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)の平均水酸基価は80〜1600(mgKOH/g)であることが好ましく、更に好ましくは120〜600(mgKOH/g)、特に好ましくは200〜400(mgKOH/g)とされる。
平均水酸基価が120〜600(mgKOH/g)のヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用して得られる組成物によれば、シール材に要求される物性(特に機械的特性)が良好な硬化樹脂を形成することができる。
中でも、平均水酸基価が200〜400(mgKOH/g)のヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用して得られる組成物によれば、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、しかも、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュール(濾過装置)の生産性の向上も図ることができる。
平均水酸基価が120〜600(mgKOH/g)のヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用して得られる組成物によれば、シール材に要求される物性(特に機械的特性)が良好な硬化樹脂を形成することができる。
中でも、平均水酸基価が200〜400(mgKOH/g)のヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用して得られる組成物によれば、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、しかも、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュール(濾過装置)の生産性の向上も図ることができる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)は、GPC測定によるトリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合、GPC測定による当該ヒマシ油系変性ポリオール(b1)の数平均分子量(Mn)が450以上の面積比が90%以上、且つ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.4以下であることが好ましい。これらの条件を満足するヒマシ油系変性ポリオール(b1)を用いて得られる本発明の組成物によれば、水に浸漬したときに、当該水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。これらの条件を満足しない場合には、得られるシール材において、前記溶出物の量を十分に抑制することができない。なお、このGPC測定では、3官能のポリプロピレンポリオールから得られた検量線を用いた。
前記溶出物の量(程度)は、日本薬局方収載の「プラスチック製医薬品容器試験法」における「水性注射剤容器試験」に準じた溶出物試験方法により測定され、試験液と空試験液との間の過マンガン酸カリウム消費量の差を指標値として表される。本発明においては、該差は1.0mL以下であることが好ましく、更に好ましくは0.7mL以下、特に好ましくは0.5mL以下とされる。
(2)多官能ポリエーテルポリオール(b2):
本発明においては、硬化剤(B)を構成するポリオール成分として、上述したヒマシ油系変性ポリオール(b1)とともに、官能基数が6以上の化合物を開始剤として得られる多官能ポリエーテルポリオール(b2)を特定の割合で用いる点に最大の特徴がある。
本発明においては、硬化剤(B)を構成するポリオール成分として、上述したヒマシ油系変性ポリオール(b1)とともに、官能基数が6以上の化合物を開始剤として得られる多官能ポリエーテルポリオール(b2)を特定の割合で用いる点に最大の特徴がある。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)は、官能基数が6以上の化合物を開始剤として、これにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオールである。
開始剤として使用される「官能基数が6以上の化合物」としては、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、シュークローズなど、活性水素を6個以上有する化合物を挙げることができ、これらのうち、ソルビトール及びシュークローズが好ましい。
また、付加される「アルキレンオキサイド」としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど、炭素数が2〜4個のアルキレンオキサイドを挙げることができる。
開始剤として使用される「官能基数が6以上の化合物」としては、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、シュークローズなど、活性水素を6個以上有する化合物を挙げることができ、これらのうち、ソルビトール及びシュークローズが好ましい。
また、付加される「アルキレンオキサイド」としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど、炭素数が2〜4個のアルキレンオキサイドを挙げることができる。
主剤(A)と硬化剤(B)とを混合して得られる組成物(本発明の組成物)の粘度が、シール材を形成する上で好適なものになるとの観点から、多官能ポリエーテルポリオール(b2)として、ソルビトール又はシュークローズを開始剤として、これにプロピレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。これらのうち、、得られる組成物により、水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができるという観点から、シュークローズを開始剤として、これにプロピレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオールを使用することが特に好ましい。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)の数平均分子量は100〜3000であることが好ましく、更に好ましくは300〜1000とされる。数平均分子量が300〜100
0の多官能ポリエーテルポリオール(b2)を使用して得られる組成物によれば、耐熱性に優れ、水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)の水酸基価は200〜1000mgKOH/gであることが好ましく、更に好ましくは300〜700mgKOH/gとされる。水酸基価が300〜700mgKOH/gの多官能ポリエーテルポリオール(b2)を使用して得られる組成物によれば、耐熱性に優れ、水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
0の多官能ポリエーテルポリオール(b2)を使用して得られる組成物によれば、耐熱性に優れ、水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)の水酸基価は200〜1000mgKOH/gであることが好ましく、更に好ましくは300〜700mgKOH/gとされる。水酸基価が300〜700mgKOH/gの多官能ポリエーテルポリオール(b2)を使用して得られる組成物によれば、耐熱性に優れ、水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
硬化剤(B)の構成成分として多官能ポリエーテルポリオール(b2)を特定の割合で併用することにより、ポットライフが長くて、硬化時の反応進行が緩やかな組成物が得られる。従って、工業用水処理装置を構成する大型の中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)を製造する際にも適用することができる。
しかも、当該組成物により形成される硬化樹脂(シール材)は、硬度の温度依存性が低い(広い温度領域において硬度の変化が小さい)ものとなる。また、当該組成物を使用して製造された中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)は、濾過流量の温度依存性(温度による流量変化)、中空糸膜の分画性能の温度依存性(温度による分画性能の変化)も低い。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)を使用しないで得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、硬度の温度依存性が高いものとなる(後述する比較例1参照)。
しかも、当該組成物により形成される硬化樹脂(シール材)は、硬度の温度依存性が低い(広い温度領域において硬度の変化が小さい)ものとなる。また、当該組成物を使用して製造された中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)は、濾過流量の温度依存性(温度による流量変化)、中空糸膜の分画性能の温度依存性(温度による分画性能の変化)も低い。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)を使用しないで得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、硬度の温度依存性が高いものとなる(後述する比較例1参照)。
硬化剤(B)中に含有されるヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)との割合〔(b1)/(b2)〕は、質量比で、96/4〜75/25とされ、好ましくは95/5〜81/19、更に好ましくは90/10〜81/19とされる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)とを、このような割合で含有してなる硬化剤(B)を使用して得られる組成物によれば、耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
前記割合〔(b1)/(b2)〕が75/25未満である場合には、得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、水中への溶出物の量が多いものとなる。(後述する比較例2〜3参照)。
一方、前記割合〔(b1)/(b2)〕が96/4を超える場合には、得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、硬度の温度依存性が高いものとなる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)とを、このような割合で含有してなる硬化剤(B)を使用して得られる組成物によれば、耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
前記割合〔(b1)/(b2)〕が75/25未満である場合には、得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、水中への溶出物の量が多いものとなる。(後述する比較例2〜3参照)。
一方、前記割合〔(b1)/(b2)〕が96/4を超える場合には、得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、硬度の温度依存性が高いものとなる。
本発明においては、硬化剤(B)中に、上述したヒマシ油系変性ポリオール(b1)及び多官能ポリエーテルポリオール(b2)以外の活性水素基含有化合物が含有されていてもよい。
硬化剤(B)の構成成分として併用可能な「活性水素基含有化合物」としては、前述の低分子ポリオール、ポリエーテル系ポリオール(多官能ポリエーテルポリオール(b2)を除く)、ポリエステル系ポリオール、ポリラクトン系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール(ヒマシ油系変性ポリオール(b1)を除く)、ポリオレフィン系ポリオール等、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得るための反応に供される「活性水素を2個以上有する化合物」と同一の化合物が挙げられる。
さらに、併用可能な「活性水素基含有化合物」として、低分子ポリアミンや低分子アミノアルコール(例えば、アミノ化合物のオキシアルキル化誘導体であるN,N,N´,N´−テトラキス[2−ヒドロキシプロピル]エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス[2−ヒドロキシエチル]エチレンジアミン等の、エチレンジアミン等のアミノ
化合物のプロピレンオキサイドもしくはエチレンオキサイド付加物、モノ、ジおよびトリエタノールアミン、N−メチル−N,N´−ジエタノールアミン等)等といったアミン系化合物も挙げることができる。
化合物のプロピレンオキサイドもしくはエチレンオキサイド付加物、モノ、ジおよびトリエタノールアミン、N−メチル−N,N´−ジエタノールアミン等)等といったアミン系化合物も挙げることができる。
本発明の組成物において、主剤(A)と硬化剤(B)の混合割合としては、主剤(A)を構成するイソシアネート成分の有するイソシアネート基と;硬化剤(B)を構成する必須のポリオール成分〔ヒマシ油系変性ポリオール(b1)及び多官能ポリエーテルポリオール(b2)〕並びに任意の活性水素基含有化合物の有する活性水素基とのモル比(イソシアネート基/活性水素基)が0.8〜1.6となるような割合であることが好ましく、更に好ましくは0.9〜1.2となるような割合、特に好ましくは1.0〜1.1となるような割合とされる。このような混合割合で得られる組成物によれば、耐久性に優れ、水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
なお、本発明の組成物には、公知のウレタン化触媒が含有されていてもよい。
「ウレタン化触媒」としては、有機スズ化合物などの金属化合物系触媒;トリエチレンジアミン(TEDA)、テトラメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビスジメチルアミノエチルエーテル(BDMAEA)などの3級アミン触媒等を挙げることができる。
「ウレタン化触媒」としては、有機スズ化合物などの金属化合物系触媒;トリエチレンジアミン(TEDA)、テトラメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビスジメチルアミノエチルエーテル(BDMAEA)などの3級アミン触媒等を挙げることができる。
<シール材及び中空糸膜モジュール>
本発明のシール材は、本発明の組成物を硬化することにより得られる。
具体的には、主剤(A)と硬化剤(B)とからなる本発明の組成物を室温下に調製し、0℃〜100℃、好ましくは30℃〜80℃、更に好ましくは30℃〜60℃の温度条件下に、主剤(A)を構成するイソシアネート成分と、硬化剤(B)を構成するポリオール成分及び活性水素基含有化合物(任意成分)とを反応・硬化させることにより好適に形成することができる。
なお、、ゲル化時間の短縮化や組成物の粘度低下を図る目的で、必要に応じて、混合前に、主剤(A)及び硬化剤(B)の各々を、30〜60℃に加温してもよい。
本発明のシール材は、本発明の組成物を硬化することにより得られる。
具体的には、主剤(A)と硬化剤(B)とからなる本発明の組成物を室温下に調製し、0℃〜100℃、好ましくは30℃〜80℃、更に好ましくは30℃〜60℃の温度条件下に、主剤(A)を構成するイソシアネート成分と、硬化剤(B)を構成するポリオール成分及び活性水素基含有化合物(任意成分)とを反応・硬化させることにより好適に形成することができる。
なお、、ゲル化時間の短縮化や組成物の粘度低下を図る目的で、必要に応じて、混合前に、主剤(A)及び硬化剤(B)の各々を、30〜60℃に加温してもよい。
本発明のシール材は、耐熱性に優れているので、ハウジングなどの被着体に接着させた状態でスチーム滅菌処理を施しても、接着力が高い割合で保持される。
例えば、ポリカーボネート樹脂からなるハウジングに接着させた本発明のシール材に、121℃の雰囲気下で20分間にわたるスチーム滅菌処理を施しても、接着強度の保持率は70%以上、好ましくは85%以上になり、シール材に要求される耐熱性を十分に具備することができる。
例えば、ポリカーボネート樹脂からなるハウジングに接着させた本発明のシール材に、121℃の雰囲気下で20分間にわたるスチーム滅菌処理を施しても、接着強度の保持率は70%以上、好ましくは85%以上になり、シール材に要求される耐熱性を十分に具備することができる。
また、本発明のシール材は、50℃の条件気下で5万回程度の繰り返し加圧を行っても破損することはなく、シール材に要求される耐久性を十分に具備する。
このような優れた諸性能は、ポットライフが長い組成物(本発明の組成物)から得られるものであっても十分に発揮される。従って、本発明のシール材により、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が封止されてなる本発明の中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)は、長時間の連続使用にも十分に耐えうるほどに優れた耐久性を有するものとなる。
しかも、本発明の組成物は、長いポットライフを有するので、近年大型化の傾向にある中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)においても、極めて安定した生産性で得ることができる。
本発明の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互
の隙間が、本発明のシール材により封止されてなる。
本発明の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間を本発明の組成物により封止し、当該組成物を硬化させて本発明のシール材を形成し(これにより、当該シール材によって中空糸膜相互の隙間が封止される)、当該集束体をハウジング内に収容することにより製造することができる。
本発明の中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)の具体的構造としては、特開平11−5023号公報に記載の構造を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本発明の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互
の隙間が、本発明のシール材により封止されてなる。
本発明の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間を本発明の組成物により封止し、当該組成物を硬化させて本発明のシール材を形成し(これにより、当該シール材によって中空糸膜相互の隙間が封止される)、当該集束体をハウジング内に収容することにより製造することができる。
本発明の中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)の具体的構造としては、特開平11−5023号公報に記載の構造を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの例によってなんら限定して解釈されるものではない。
〔製造例1:主剤(A)の製造〕
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、4,4′−MDI「ミリオネートMT(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製)100gと、イソシアネート基含有量が28.6質量%である4,4′−MDIのカルボジイミド変性体「ミリオネートMTL−C(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製)650gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、ヒマシ油「URIC H−30(商品名)」(伊藤製油(株)製)250gを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−1)」という。主剤(A−1)のイソシアネート基含有量は19.0質量%、25℃における粘度は1700mPa・sであった。
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、4,4′−MDI「ミリオネートMT(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製)100gと、イソシアネート基含有量が28.6質量%である4,4′−MDIのカルボジイミド変性体「ミリオネートMTL−C(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製)650gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、ヒマシ油「URIC H−30(商品名)」(伊藤製油(株)製)250gを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−1)」という。主剤(A−1)のイソシアネート基含有量は19.0質量%、25℃における粘度は1700mPa・sであった。
〔製造例2:硬化剤の調製〕
以下に示す配合処方に従って、ポリオールを混合することにより、本発明用の硬化剤(B−1)〜(B−9)及び比較用の硬化剤(B−11)〜(B−14)を調製した(合計100質量部)。なお、硬化剤(B−10)にあっては、ポリオール(b11)100質量部を使用した。
以下に示す配合処方に従って、ポリオールを混合することにより、本発明用の硬化剤(B−1)〜(B−9)及び比較用の硬化剤(B−11)〜(B−14)を調製した(合計100質量部)。なお、硬化剤(B−10)にあっては、ポリオール(b11)100質量部を使用した。
(1)硬化剤(B−1):
ポリオール(b11)95質量部、ポリオール(b21)5質量部。
(2)硬化剤(B−2):
ポリオール(b11)90質量部、ポリオール(b21)10質量部。
(3)硬化剤(B−3):
ポリオール(b11)81質量部、ポリオール(b21)19質量部。
(4)硬化剤(B−4):
ポリオール(b11)80質量部、ポリオール(b21)20質量部。
(5)硬化剤(B−5):
ポリオール(b11)95質量部、ポリオール(b22)5質量部。
(6)硬化剤(B−6):
ポリオール(b11)90質量部、ポリオール(b22)10質量部。
(7)硬化剤(B−7):
ポリオール(b11)81質量部、ポリオール(b22)19質量部。
(8)硬化剤(B−8):
ポリオール(b11)80質量部、ポリオール(b22)20質量部。
(9)硬化剤(B−9):
ポリオール(b11)68質量部、ポリオール(b21)22質量部、ポリオール(b31)10質量部。
(10)硬化剤(B−10):
ポリオール(b11)100質量部。
(11)硬化剤(B−11):
ポリオール(b11)50質量部、ポリオール(b21)50質量部。
(12)硬化剤(B−12):
ポリオール(b11)50質量部、ポリオール(b22)50質量部。
(13)硬化剤(B−13):
ポリオール(b32)81質量部、ポリオール(b21)19質量部。
(14)硬化剤(B−14):
ポリオール(b32)81質量部、ポリオール(b22)19質量部。
ポリオール(b11)95質量部、ポリオール(b21)5質量部。
(2)硬化剤(B−2):
ポリオール(b11)90質量部、ポリオール(b21)10質量部。
(3)硬化剤(B−3):
ポリオール(b11)81質量部、ポリオール(b21)19質量部。
(4)硬化剤(B−4):
ポリオール(b11)80質量部、ポリオール(b21)20質量部。
(5)硬化剤(B−5):
ポリオール(b11)95質量部、ポリオール(b22)5質量部。
(6)硬化剤(B−6):
ポリオール(b11)90質量部、ポリオール(b22)10質量部。
(7)硬化剤(B−7):
ポリオール(b11)81質量部、ポリオール(b22)19質量部。
(8)硬化剤(B−8):
ポリオール(b11)80質量部、ポリオール(b22)20質量部。
(9)硬化剤(B−9):
ポリオール(b11)68質量部、ポリオール(b21)22質量部、ポリオール(b31)10質量部。
(10)硬化剤(B−10):
ポリオール(b11)100質量部。
(11)硬化剤(B−11):
ポリオール(b11)50質量部、ポリオール(b21)50質量部。
(12)硬化剤(B−12):
ポリオール(b11)50質量部、ポリオール(b22)50質量部。
(13)硬化剤(B−13):
ポリオール(b32)81質量部、ポリオール(b21)19質量部。
(14)硬化剤(B−14):
ポリオール(b32)81質量部、ポリオール(b22)19質量部。
硬化剤の調製に使用したポリオールは、下記のとおりである。
(1)ポリオール(b11)(ヒマシ油系変性ポリオール(b1)に相当):
ヒマシ油のトリメチロールプロパン変性体「#1296X(商品名)」(伊藤製油(株)製)、平均官能基数=3.0、水酸基価=267(mgKOH/g)、トリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合におけるGPC測定値:Mn=450以上のピーク面積比94%:Mw/Mn=1.23。
(1)ポリオール(b11)(ヒマシ油系変性ポリオール(b1)に相当):
ヒマシ油のトリメチロールプロパン変性体「#1296X(商品名)」(伊藤製油(株)製)、平均官能基数=3.0、水酸基価=267(mgKOH/g)、トリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合におけるGPC測定値:Mn=450以上のピーク面積比94%:Mw/Mn=1.23。
(2)ポリオール(b21)(多官能ポリエーテルポリオール(b2)に相当):
シュークローズを開始剤としてプロピレンオキサイドを付加して得られる多官能ポリエーテルポリオール、開始剤の官能基数=8.0、水酸基価=455(mgKOH/g)、数平均分子量=1000。
シュークローズを開始剤としてプロピレンオキサイドを付加して得られる多官能ポリエーテルポリオール、開始剤の官能基数=8.0、水酸基価=455(mgKOH/g)、数平均分子量=1000。
(3)ポリオール(b22)(多官能ポリエーテルポリオール(b2)に相当):
ソルビトールを開始剤としてプロピレンオキサイドを付加して得られる多官能ポリエーテルポリオール、開始剤の官能基数=6.0、水酸基価=550(mgKOH/g)、数平均分子量=600。
ソルビトールを開始剤としてプロピレンオキサイドを付加して得られる多官能ポリエーテルポリオール、開始剤の官能基数=6.0、水酸基価=550(mgKOH/g)、数平均分子量=600。
(4)ポリオール(b31):
N,N,N´,N´−テトラキス[2−ヒドロキシプロピル]エチレンジアミン、平均官能基数=4.0、水酸基価=760(mgKOH/g)。
N,N,N´,N´−テトラキス[2−ヒドロキシプロピル]エチレンジアミン、平均官能基数=4.0、水酸基価=760(mgKOH/g)。
(5)ポリオール(b32):
ヒマシ油「URIC H−30(商品名)」(伊藤製油(株)製)、平均官能基数=2.7、水酸基価=160(mgKOH/g)、トリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合におけるGPC測定値:Mn=450以上のピーク面積比99%:Mw/Mn=1.03。
ヒマシ油「URIC H−30(商品名)」(伊藤製油(株)製)、平均官能基数=2.7、水酸基価=160(mgKOH/g)、トリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合におけるGPC測定値:Mn=450以上のピーク面積比99%:Mw/Mn=1.03。
上記において、GPCの測定は下記の条件および方法により行った。
〔測定条件〕
(1)測定装置:「HLC−8120(商品名)」(東ソー(株)製)
(2)カラム:充填剤として、「TSKgel G2000HXL(商品名)」および「TSKgel G3000HXL(商品名)」(いずれも東ソー(株)製)をそれぞれ2本ずつ充填した4本のカラムを接続した。
(3)カラム温度:40℃
(4)検出器:RI(屈折率)計
(5)溶離液:テトラヒドロフラン(THF)(流量:1mL/min.、40℃)
(6)検量線:以下の商品名(何れも三洋化成工業(株)製)の3官能のポリプロピレンポリオールを用いて、検量線を得た。
・「サンニックスGP−250」(数平均分子量=250)
・「サンニックスGP−400」(数平均分子量=400)
・「サンニックスGP−600」(数平均分子量=600)
・「サンニックスGP−1000」(数平均分子量=1000)
・「サンニックスGP−3000」(数平均分子量=3000)
・「サンニックスGP−4000」(数平均分子量=4000)
・「サンニックスGP−5000」(数平均分子量=5000)
(7)サンプル溶液:サンプル0.05gのTHF10ml溶液
〔測定条件〕
(1)測定装置:「HLC−8120(商品名)」(東ソー(株)製)
(2)カラム:充填剤として、「TSKgel G2000HXL(商品名)」および「TSKgel G3000HXL(商品名)」(いずれも東ソー(株)製)をそれぞれ2本ずつ充填した4本のカラムを接続した。
(3)カラム温度:40℃
(4)検出器:RI(屈折率)計
(5)溶離液:テトラヒドロフラン(THF)(流量:1mL/min.、40℃)
(6)検量線:以下の商品名(何れも三洋化成工業(株)製)の3官能のポリプロピレンポリオールを用いて、検量線を得た。
・「サンニックスGP−250」(数平均分子量=250)
・「サンニックスGP−400」(数平均分子量=400)
・「サンニックスGP−600」(数平均分子量=600)
・「サンニックスGP−1000」(数平均分子量=1000)
・「サンニックスGP−3000」(数平均分子量=3000)
・「サンニックスGP−4000」(数平均分子量=4000)
・「サンニックスGP−5000」(数平均分子量=5000)
(7)サンプル溶液:サンプル0.05gのTHF10ml溶液
〔測定方法〕
始めにトリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルについて、3官能のポリプロピレンポリオールを検量線として、屈折率差により検出して得られたチャートから、ピーク面積比、Mw及びMnを求めた。
次に調製した各サンプルについて、同じ検量線に基づき屈折率差により検出して得られたチャートから、始めに測定したトリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合における、ピーク面積比、Mw及びMnを求め、さらに、これを基にMw/Mnを算出した。
始めにトリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルについて、3官能のポリプロピレンポリオールを検量線として、屈折率差により検出して得られたチャートから、ピーク面積比、Mw及びMnを求めた。
次に調製した各サンプルについて、同じ検量線に基づき屈折率差により検出して得られたチャートから、始めに測定したトリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合における、ピーク面積比、Mw及びMnを求め、さらに、これを基にMw/Mnを算出した。
<実施例1〜9、比較例1〜5>
下記表1および表2に示す組合せに従って、主剤および硬化剤を、液温35℃、イソシアネート基/活性水素基=1.00(モル比)になるように混合して、ポリウレタン樹脂形成性組成物を得た。
下記表1および表2に示す組合せに従って、主剤および硬化剤を、液温35℃、イソシアネート基/活性水素基=1.00(モル比)になるように混合して、ポリウレタン樹脂形成性組成物を得た。
<ポリウレタン樹脂形成性組成物(硬化物)の評価>
[硬化物の硬度測定]
実施例1〜9および比較例1〜5に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ステンレス製金型(100mm×100mm×8mm)に仕込んだ。これを25℃で7日間静置キュアした後に脱型し、硬化物(硬化樹脂)を得た。
得られた硬化物の各々について、10℃、25℃および70℃の各温度条件下に、ショアD硬度を測定した。測定結果および硬度比(70℃における硬度/25℃における硬度)を表1および表2に示す。
[硬化物の硬度測定]
実施例1〜9および比較例1〜5に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ステンレス製金型(100mm×100mm×8mm)に仕込んだ。これを25℃で7日間静置キュアした後に脱型し、硬化物(硬化樹脂)を得た。
得られた硬化物の各々について、10℃、25℃および70℃の各温度条件下に、ショアD硬度を測定した。測定結果および硬度比(70℃における硬度/25℃における硬度)を表1および表2に示す。
[ハウジングとの接着性]
実施例1〜9および比較例1〜5に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ポリカーボネート製のハウジング(44mm×10mm)に仕込み(ハウジング上に組成物の層を形成し)、25℃で7日間静置キュアして、当該ハウジング上に硬化物(層)が形成されてなる試験片を作製した。得られた試験片の各々について、ハウジングに対する硬化物の接着強度C0 (=剥離力/接着面積)を測定した。
また、得られた試験片の各々についてスチーム滅菌処理(121℃×20分間)を実施した後、同様にして接着強度Cを測定した。
初期接着強度C0 、スチーム滅菌処理後の接着強度Cおよび接着強度保持率(C/C0 )を表1および表2に示す。
実施例1〜9および比較例1〜5に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ポリカーボネート製のハウジング(44mm×10mm)に仕込み(ハウジング上に組成物の層を形成し)、25℃で7日間静置キュアして、当該ハウジング上に硬化物(層)が形成されてなる試験片を作製した。得られた試験片の各々について、ハウジングに対する硬化物の接着強度C0 (=剥離力/接着面積)を測定した。
また、得られた試験片の各々についてスチーム滅菌処理(121℃×20分間)を実施した後、同様にして接着強度Cを測定した。
初期接着強度C0 、スチーム滅菌処理後の接着強度Cおよび接着強度保持率(C/C0 )を表1および表2に示す。
[溶出物試験]
実施例1〜9および比較例1〜5に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、離型紙上に約1〜2mmの厚みになるように仕込み(離型紙上に組成物の層を形成し)、25℃で7日間静置キュアした後、離型紙を剥離して硬化物を得た。
得られた硬化物の各々について、日本薬局方収載の「プラスチック製医薬品容器試験法
」における「水性注射剤容器試験」に準じた溶出物試験方法により、溶出物の量(試験液と空試験液との間の過マンガン酸カリウム消費量の差による指標値)を測定した。
具体的には、得られた硬化物の各々を細断して、水に浸漬し、121℃による1時間の高圧蒸気滅菌処理を施すことにより試験液を得た。
他方、ブランクとして硬化物を浸漬していない(即ち水のみ)液について同様の処理を施すことにより空試験液を得た。これら両者について、各々、過マンガン酸カリウム消費量を測定し、両者の消費量の差を求めた。この差は、溶出物の量の指標値であり、この値が小さいほど、溶出物の量が少ないことになる)。消費量の差(指標値)を表1および表2に示す。
実施例1〜9および比較例1〜5に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、離型紙上に約1〜2mmの厚みになるように仕込み(離型紙上に組成物の層を形成し)、25℃で7日間静置キュアした後、離型紙を剥離して硬化物を得た。
得られた硬化物の各々について、日本薬局方収載の「プラスチック製医薬品容器試験法
」における「水性注射剤容器試験」に準じた溶出物試験方法により、溶出物の量(試験液と空試験液との間の過マンガン酸カリウム消費量の差による指標値)を測定した。
具体的には、得られた硬化物の各々を細断して、水に浸漬し、121℃による1時間の高圧蒸気滅菌処理を施すことにより試験液を得た。
他方、ブランクとして硬化物を浸漬していない(即ち水のみ)液について同様の処理を施すことにより空試験液を得た。これら両者について、各々、過マンガン酸カリウム消費量を測定し、両者の消費量の差を求めた。この差は、溶出物の量の指標値であり、この値が小さいほど、溶出物の量が少ないことになる)。消費量の差(指標値)を表1および表2に示す。
[浄水器としての分画性能]
実施例1〜9および比較例1〜5に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、これを用いて、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が、当該組成物を硬化してなるシール材により封止された中空糸膜モジュールからなる円柱状の浄水器(中空糸部の長さ600mm・両端のケーシング断面の直径が50mm)を製造した。
これを用いて、0.1質量%の界面活性剤(ポリエチレングリコール−p−イソオクチルフェニルエーテル)溶液中に所定の粒子径のポリスチレンラテックス粒子を分散させた被処理液を濾過し、濾液のラテックス粒子の濃度を日立分光光度計(U−3400)により320nmの波長で測定し、捕捉率90%における粒子径を求めて、分画粒子径の変動を評価した。結果を表1および表2に示す。
実施例1〜9および比較例1〜5に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、これを用いて、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が、当該組成物を硬化してなるシール材により封止された中空糸膜モジュールからなる円柱状の浄水器(中空糸部の長さ600mm・両端のケーシング断面の直径が50mm)を製造した。
これを用いて、0.1質量%の界面活性剤(ポリエチレングリコール−p−イソオクチルフェニルエーテル)溶液中に所定の粒子径のポリスチレンラテックス粒子を分散させた被処理液を濾過し、濾液のラテックス粒子の濃度を日立分光光度計(U−3400)により320nmの波長で測定し、捕捉率90%における粒子径を求めて、分画粒子径の変動を評価した。結果を表1および表2に示す。
[ポリウレタン樹脂形成性組成物のポットライフ]
実施例1〜9および比較例1〜5に係るポリウレタン樹脂形成性組成物(主剤と硬化剤との合計=100g)の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、25℃雰囲気下で、回転粘度計(B型、4号ローター)を用いて粘度上昇を追跡し、主剤と硬化剤との混合を開始した時点から、組成物の粘度が50000mPa・sに到達するまでの時間を、ポットライフとした。結果を表1および表2に示す。
実施例1〜9および比較例1〜5に係るポリウレタン樹脂形成性組成物(主剤と硬化剤との合計=100g)の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、25℃雰囲気下で、回転粘度計(B型、4号ローター)を用いて粘度上昇を追跡し、主剤と硬化剤との混合を開始した時点から、組成物の粘度が50000mPa・sに到達するまでの時間を、ポットライフとした。結果を表1および表2に示す。
<実施例10>
実施例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜9000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径15.4cm、PVC製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。
上記のようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内にシール材を介して着脱自在に収納することにより、濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
実施例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜9000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径15.4cm、PVC製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。
上記のようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内にシール材を介して着脱自在に収納することにより、濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
<比較例6>
比較例4に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用いたこと以外は実施例10と同様にして中空糸型膜モジュールを製造し、実施例10と同様にして濾過運転と逆圧濾過を繰り返したところ、27000サイクルを経た時点でシール材部分に破損が生じた。
比較例4に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用いたこと以外は実施例10と同様にして中空糸型膜モジュールを製造し、実施例10と同様にして濾過運転と逆圧濾過を繰り返したところ、27000サイクルを経た時点でシール材部分に破損が生じた。
<実施例11>
実施例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜22000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径22.1cm、ポリカーボネート製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。
上記のようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内に
シール材を介して着脱自在に収納することにより、大型の濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、実施例10と同様に、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
実施例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜22000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径22.1cm、ポリカーボネート製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。
上記のようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内に
シール材を介して着脱自在に収納することにより、大型の濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、実施例10と同様に、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
<比較例7>
比較例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用いたこと以外は実施例11と同様にして中空糸型膜モジュールを製造を試みたが、僅かにシールの欠落が発生し、製造することができなかった。
比較例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用いたこと以外は実施例11と同様にして中空糸型膜モジュールを製造を試みたが、僅かにシールの欠落が発生し、製造することができなかった。
上記表1に示すように、実施例1〜9に係るポリウレタン樹脂形成性組成物は、何れもポットライフが長く、これらの組成物の硬化物(ポリウレタン樹脂)は、何れも、硬度の温度依存性が低く(広い温度領域において硬度の変化が小さく)、高温で長時間のスチーム滅菌処理を施しても、ハウジング基材に対する接着強度保持率(C/C0 )が高く、水中への溶出物の量が少なく、分画性能も良好である。
これに対し、上記表2に示すように、多官能性ポリエーテルポリオール(b2)を含まない比較例1に係る組成物の硬化物は、硬度の温度依存性が高い。
また、ヒマシ油系ポリオール(b1)の使用比率の少ない比較例2〜3に係る組成物の硬化物は、水中への溶出物の量が多い。
また、ヒマシ油系ポリオール(b1)を含まない比較例4〜5に係る組成物の硬化物は、硬度の温度依存性が高く、接着強度保持率(C/C0 )が低い。
これに対し、上記表2に示すように、多官能性ポリエーテルポリオール(b2)を含まない比較例1に係る組成物の硬化物は、硬度の温度依存性が高い。
また、ヒマシ油系ポリオール(b1)の使用比率の少ない比較例2〜3に係る組成物の硬化物は、水中への溶出物の量が多い。
また、ヒマシ油系ポリオール(b1)を含まない比較例4〜5に係る組成物の硬化物は、硬度の温度依存性が高く、接着強度保持率(C/C0 )が低い。
また、実施例2に係る組成物(本発明の組成物)を用いて製造された実施例10に係る中空糸型膜モジュール(本発明の中空糸型膜モジュール)は、比較例4に係る組成物を用いて製造された比較例6に係る中空糸型膜モジュールと比較して、繰り返し加圧に対する耐久性が格段に優れている。
さらに、実施例2に係る組成物(本発明の組成物)は、実施例11に係る中空糸膜モジュールのような大型のものの製造にも確実に適用することができる。また、実施例11に係る中空糸型膜モジュール(本発明の中空糸型膜モジュール)は、繰り返し加圧に対して優れた耐久性を有している。これに対し、比較例7に示したように、比較例2に係る組成物によっては、大型の中空糸膜モジュールを製造することはできない。
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物(シール材)は、前述のとおり、多くの優れた性能を有する。従って、医療用、工業用分離装置を構成する中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)用のシール材として好適に使用することが可能である。これらの医療用、工業用分離装置としては、具体的には、血漿分離器、人工肺、人工腎臓、人工肝臓、家庭用・工業用水処理装置等が挙げられる。
また、本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物は、各種の物性、例えば硬度、引張強さ、接着性等に優れていることから、各種の産業用シール材、例えば電気用、自動車用、建築用、土木用シール材或いは各種の緩衝材として、また製紙、製鉄、印刷等の工業用ロール、紙送りロール等のOA機器部品を得るための組成物としても用いることも可能である。
本発明は、ポリウレタン樹脂形成性組成物、シール材及び中空糸膜モジュールに関する。具体的には、耐熱性などに優れ、硬度の温度依存性が低く、水に浸漬したときに溶出物の量が少ない硬化樹脂を形成することができるポリウレタン樹脂形成性組成物、当該組成物を硬化して得られるシール材、当該シール材によって、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が封止されてなる中空糸膜モジュールに関する。
一般に、血液処理器、浄水器、工業用水処理装置を構成する中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)用のシール材として、常温での可撓性、接着性及び耐薬品性に優れているポリウレタン樹脂を用いることが、広く知られている。
近年、特に工業用水処理装置には、処理能力の更なる向上が求められる背景上、中空糸膜モジュールは、日々、大型化される傾向にある。このため、使用するシール材としても、中空糸膜モジュールの大型化に対応できるものが要求されるようになってきている。
従来、血液処理器や浄水器を構成する膜モジュール用のシール材を得るための組成物として、アミン系ポリオールを硬化剤の成分として用いるポリウレタン樹脂形成性組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物は、硬化速度が高過ぎることから、大型の中空糸膜モジュールの製造に適用できない。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物は、硬化速度が高過ぎることから、大型の中空糸膜モジュールの製造に適用できない。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
また、血液処理器や浄水器を構成する膜モジュール用のシール材を得るための組成物として、アミン系ポリオールと、特定の活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物とを硬化剤の成分として併用するポリウレタン樹脂形成性組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物により得られるシール材は、耐熱性に劣り、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が多い。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物により得られるシール材は、耐熱性に劣り、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が多い。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
さらに、中空糸膜モジュール用のシール材を得るための組成物として、公称官能基数が6以上のポリエーテルポリオールを硬化剤の成分として用いるポリウレタン樹脂形成性組成物からなるものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物により得られるシール材は、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が多い。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
しかし、このポリウレタン樹脂形成性組成物により得られるシール材は、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が多い。このため、特に工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分である。
このように、従来公知のポリウレタン樹脂形成性組成物によって得られるシール材は、何れも、大型の中空糸膜モジュールにより構成される工業用水処理装置の用途として実用化するには不十分であり、この用途において十分に実用可能なシール材(当該シール材を得るためのポリウレタン樹脂形成性組成物)の提供が強く望まれている。
特開平6−100649号公報(第2〜4頁)
特開2000−128952号公報(第2〜4頁)
特開2002−128858号公報(第2〜5頁)
本発明は、前述の背景を踏まえてなされたものである。
本発明の第1の目的は、大型の中空糸膜モジュールの製造にも適用できる長いポットライフを有し、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂からなるシール材を形成することができるポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。
本発明の第1の目的は、大型の中空糸膜モジュールの製造にも適用できる長いポットライフを有し、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂からなるシール材を形成することができるポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、大型の中空糸膜モジュールに対応することができ、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂からなるシール材を提供することにある。
本発明の第3の目的は、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水に浸漬したときに当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂からなるシール材によって、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が封止されてなる、生産性及び耐久性に優れた中空糸膜モジュールを提供することにある。
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物は、イソシアネート成分を含有する主剤(A)と、ポリオール成分を含有する硬化剤(B)とからなるポリウレタン樹脂形成性組成物において、硬化剤(B)を構成するポリオール成分として、ヒマシ油及び/又はヒマシ油脂肪酸と、トリメチロールアルカンとから得られるヒマシ油系変性ポリオール(b1)と;官能基数が6以上の化合物を開始剤として得られる多官能ポリエーテルポリオール(b2)とが含有され、且つ、硬化剤(B)中に含有されるヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)との割合〔(b1)/(b2)〕が、質量比で、95/5〜81/19であることを特徴とする。
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物においては、主剤(A)を構成するイソシアネート成分が、イソシアネート基末端プレポリマーからなることが好ましい。
また、当該イソシアネート基末端プレポリマーが、イソシアネート基含有化合物と、ヒマシ油系ポリオールとを反応させて得られることが好ましい。
また、前記多官能ポリエーテルポリオール(b2)を得るために使用する開始剤が、ソルビトール又はシュークローズであることが好ましい。
また、前記割合〔(b1)/(b2)〕が、質量比で、90/10〜81/19であることが好ましい。
また、当該イソシアネート基末端プレポリマーが、イソシアネート基含有化合物と、ヒマシ油系ポリオールとを反応させて得られることが好ましい。
また、前記多官能ポリエーテルポリオール(b2)を得るために使用する開始剤が、ソルビトール又はシュークローズであることが好ましい。
また、前記割合〔(b1)/(b2)〕が、質量比で、90/10〜81/19であることが好ましい。
本発明のシール材は、上記のポリウレタン樹脂形成性組成物を硬化して得られることを特徴とする。
本発明のシール材は、中空糸膜モジュール用のシール材として好適である。
本発明のシール材は、中空糸膜モジュール用のシール材として好適である。
本発明の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が、本発明のシール材により封止されてなることを特徴とする。
(1)本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物は、長いポットライフを有するので、工業用水処理装置を構成する大型の中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)を製造する際にも適用することができ、成形加工性にも優れる。
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物によれば、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く(広い温度領域において硬度の変化が小さく)、水に浸漬したときに、当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂(ポリウレタン樹脂)からなるシール材を形成することができる。
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物によれば、接着性及び耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く(広い温度領域において硬度の変化が小さく)、水に浸漬したときに、当該水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂(ポリウレタン樹脂)からなるシール材を形成することができる。
(2)本発明のシール材は、ポットライフの長い本発明の組成物から得られるので、大型の中空糸膜モジュールにも対応することができる。
本発明のシール材は、接着性に優れているので、濾過装置のハウジング基材との間に高い接着力が得られるとともに、複数の中空糸膜の集束体の端部を強固に結束させることができる。
本発明のシール材は、耐熱性に優れているので、スチーム滅菌処理を施しても、基材に対する接着力を高い割合で保持することができる。
本発明のシール材は、硬度の温度依存性が低いので、広い温度領域において確実なシール性能を確保することができる。
本発明のシール材を水と接触させても、当該水中への溶出物の量が少ない。
本発明のシール材は、接着性に優れているので、濾過装置のハウジング基材との間に高い接着力が得られるとともに、複数の中空糸膜の集束体の端部を強固に結束させることができる。
本発明のシール材は、耐熱性に優れているので、スチーム滅菌処理を施しても、基材に対する接着力を高い割合で保持することができる。
本発明のシール材は、硬度の温度依存性が低いので、広い温度領域において確実なシール性能を確保することができる。
本発明のシール材を水と接触させても、当該水中への溶出物の量が少ない。
(3)本発明の中空糸膜モジュールは、濾過装置としての優れた性能を有し、生産性及び耐久性にも優れている。また、工業用水処理装置を構成するよう大型化することも可能である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
<ポリウレタン樹脂形成性組成物>
本発明の組成物は、イソシアネート成分を含有する主剤(A)と、ポリオール成分を含有する硬化剤(B)とからなる。
<ポリウレタン樹脂形成性組成物>
本発明の組成物は、イソシアネート成分を含有する主剤(A)と、ポリオール成分を含有する硬化剤(B)とからなる。
<主剤(A)>
主剤(A)を構成するイソシアネート成分は、分子中にイソシアネート基を含有する化合物であれば特に限定されず、以下に説明するものを含め、種々の化合物を使用することが可能である。
主剤(A)を構成するイソシアネート成分は、分子中にイソシアネート基を含有する化合物であれば特に限定されず、以下に説明するものを含め、種々の化合物を使用することが可能である。
分子中にイソシアネート基を含有する化合物としては、例えば、炭素数(イソシアネート基中の炭素原子を除く炭素原子の数、以下同じ)2〜18の脂肪族系イソシアネート、炭素数4〜15の脂環式系イソシアネート、炭素数6〜20の芳香族系イソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族系イソシアネートを挙げることができる。
また、これら一連のイソシアネートにおけるイソシアネート基の一部又は全部について、イソシアヌレート変性、ビュレット変性、アロファネート変性、ウレトジオン変性、ウレトンイミン変性、カルボジイミド変性、オキサゾリドン変性、アミド変性、イミド変性等の変性を行って得られる化合物をも挙げることができる。
炭素数2〜18の脂肪族系イソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、ビス(2−イソシアネートエチル)カーボネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等を挙げることができる。
炭素数4〜15の脂環式系イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート等を挙げることができる。
炭素数6〜20の芳香族系イソシアネートとしては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、及びこれらの混合物;以下「MDI」と略記)、ナフタレンジイソシアネート、ベンゼン環を3個以上有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等を挙げることができる。
炭素数8〜15の芳香脂肪族系イソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジイソシアネートエチルベンゼン等を挙げることができる。
本発明においては、分子中にイソシアネート基を含有する化合物として、芳香族系イソシアネートまたは芳香族系イソシアネートの一部について、前述の一連の変性を行って得られる化合物を使用するのが好ましい。中でも、MDIまたはMDIの一部について、前述の一連の変性を行って得られる化合物を使用することが好ましい。中でも、成形時の作業環境に優れ、且つ、シール材に要求される物性(例えば、硬度などの機械的強度)が良好な硬化樹脂を形成することができる等の観点から、MDIまたはMDIの一部をカルボジイミド変性して得られるものを使用することが特に好ましい。
本発明においてはさらに、上記の作業環境に優れ、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、且つ、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュール(濾過装置)の生産性にも優れる等の観点から、イソシアネート成分として、これら一連の分子中にイソシアネート基を含有する化合物(イソシアネート基含有化合物)と、活性水素を2個以上有する化合物とを反応(ウレタン化反応)させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを使用することが好ましい。
イソシアネート基末端プレポリマーを得るための反応において、イソシアネート基含有化合物の有するイソシアネート基と、活性水素を2個以上有する化合物の有する活性水素基とのモル比(イソシアネート基/活性水素基)は、通常1.1〜130.0とされ、好ましくは3.0〜90.0、更に好ましくは5.0〜80.0とされる。当該モル比(イソシアネート基/活性水素基)を5.0〜80.0とすることにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基含有量は、通常8〜25質量%とされ、好ましくは10〜24質量%、更に好ましくは13〜23質量%とされる。イソシアネート基含有量が13〜23質量%であるイソシアネート基末端プレポリマーを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
イソシアネート基末端プレポリマーを得るための反応に供される「活性水素を2個以上有する化合物」としては、例えば、低分子ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリラクトン系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
「低分子ポリオール」としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサングリコール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールAなどの2価のポリオール(低分子グリコール);例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの3〜8価のポリオールが挙げられる。
低分子ポリオールの分子量は、通常50〜200とされる。
低分子ポリオールの分子量は、通常50〜200とされる。
「ポリエーテル系ポリオール」としては、上記低分子ポリオールを開始剤とし、これにアルキレンオキサイド(炭素数2〜4個のアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)を付加して得られる重合物が挙げられ、具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、PTMG、及びエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物であるチップドエーテル等が挙げられる。
ポリエーテル系ポリオールの分子量は、通常200〜7000とされ、好ましくは500〜5000とされる。分子量が500〜5000のポリエーテル系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
ポリエーテル系ポリオールの分子量は、通常200〜7000とされ、好ましくは500〜5000とされる。分子量が500〜5000のポリエーテル系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ポリエステル系ポリオール」としては、ポリカルボン酸(脂肪族飽和もしくは不飽和ポリカルボン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リシノール酸、2量化リノール酸および/または芳香族ポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)と、ポリオール(上記低分子ポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール)との縮合重合により得られるポリオールが挙げられる。
ポリエステル系ポリオールの分子量は、通常200〜5000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のポリエステル系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
ポリエステル系ポリオールの分子量は、通常200〜5000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のポリエステル系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ポリラクトン系ポリオール」としては、グリコール類やトリオール類の重合開始剤に、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、ε−メチル−ε−カプロラクトン等、および/またはβ−メチル−δ−バレロラクトン等を、有機金属化合物、金属キレート化合物、脂肪酸金属アシル化合物等の触媒の存在下で、付加重合させて得られるポリオールが挙げられる。
ポリラクトン系ポリオールの分子量は、通常200〜5000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のポリラクトン系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
ポリラクトン系ポリオールの分子量は、通常200〜5000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のポリラクトン系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ヒマシ油系ポリオール」としては、ヒマシ油(ヒマシ油脂肪酸のトリグリセライド);ヒマシ油脂肪酸とポリオール(上記低分子ポリオール及び/又はポリエーテルポリオール)との反応により得られる線状または分岐状ポリエステル、例えばヒマシ油脂肪酸のジグリセライド、モノグリセライド、ヒマシ油脂肪酸とトリメチロールアルカンとのモノ、ジ、またはトリエステル、ヒマシ油脂肪酸とポリプロピレングリコールとのモノ、ジ、またはトリエステル等が挙げられる。
ヒマシ油系ポリオールの分子量は、通常300〜4000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のヒマシ油系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
ヒマシ油系ポリオールの分子量は、通常300〜4000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のヒマシ油系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時(中空糸膜モジュールの製造時)の成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ポリオレフィン系ポリオール」としては、ポリブタジエン、又はブタジエンとスチレンもしくはアクリロニトリルとの共重合体の末端に水酸基を導入したポリブタジエン系ポリオールが挙げられる。
その他、末端にカルボキシル基および/またはOH基を有するポリエステルにアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加反応させて得られるポリエーテルエステルポリオールも挙げられる。
上述した「活性水素を2個以上有する化合物」のうち、ポリエステル系ポリオール及びヒマシ油系ポリオールが好ましく、ヒマシ油系ポリオールが特に好ましい。
ヒマシ油系ポリオールを使用すること、すなわち、イソシアネート基含有化合物とヒマシ油系ポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーをイソシアネート成分として使用することにより、成形時の作業環境に優れるとともに、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、しかも、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュール(濾過装置)の生産性の向上も図ることができる。
ヒマシ油系ポリオールを使用すること、すなわち、イソシアネート基含有化合物とヒマシ油系ポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーをイソシアネート成分として使用することにより、成形時の作業環境に優れるとともに、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、しかも、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュール(濾過装置)の生産性の向上も図ることができる。
<硬化剤(B)>
硬化剤(B)を構成するポリオール成分としては、ヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)とが用いられる。
硬化剤(B)を構成するポリオール成分としては、ヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)とが用いられる。
(1)ヒマシ油系変性ポリオール(b1):
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)は、ヒマシ油及び/又はヒマシ油脂肪酸と、トリメチロールアルカンとから得られる変性体(ヒマシ油のトリメチロールアルカン変性体、及び/又は、ヒマシ油脂肪酸のトリメチロールアルカン変性体)である。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)は、ヒマシ油とトリメチロールアルカンとのエステル交換反応;ヒマシ油脂肪酸とトリメチロールアルカンとのエステル反応により得ることができる。
ここに、「ヒマシ油」の主成分は、リシノール酸のトリグリセライドであり、「ヒマシ油」には水素添加ヒマシ油が含まれる。
また、「ヒマシ油脂肪酸」の主成分はリシノール酸であり、「ヒマシ油脂肪酸」には、水素添加ヒマシ油脂肪酸が含まれる。
また、「トリメチロールアルカン」としては、例えばトリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタン、トリメチロールヘキサン、トリメチロールヘプタン、トリメチロールオクタン、トリメチロールノナン及びトリメチロールデカンを挙げることができる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)は、ヒマシ油及び/又はヒマシ油脂肪酸と、トリメチロールアルカンとから得られる変性体(ヒマシ油のトリメチロールアルカン変性体、及び/又は、ヒマシ油脂肪酸のトリメチロールアルカン変性体)である。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)は、ヒマシ油とトリメチロールアルカンとのエステル交換反応;ヒマシ油脂肪酸とトリメチロールアルカンとのエステル反応により得ることができる。
ここに、「ヒマシ油」の主成分は、リシノール酸のトリグリセライドであり、「ヒマシ油」には水素添加ヒマシ油が含まれる。
また、「ヒマシ油脂肪酸」の主成分はリシノール酸であり、「ヒマシ油脂肪酸」には、水素添加ヒマシ油脂肪酸が含まれる。
また、「トリメチロールアルカン」としては、例えばトリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタン、トリメチロールヘキサン、トリメチロールヘプタン、トリメチロールオクタン、トリメチロールノナン及びトリメチロールデカンを挙げることができる。
硬化剤(B)の構成成分としてヒマシ油系変性ポリオール(b1)を用いることにより、得られる組成物により形成される硬化樹脂には優れた耐熱性が付与される。この耐熱性の付与により、当該硬化樹脂からなるシール材(好適には、中空糸膜モジュール又は平膜モジュールに用いる膜シール材)をハウジングに接着させた後、これにスチーム滅菌処理を施しても、ハウジングに対する接着力が高い割合で保持される。また、当該シール材は、高温下において長時間の使用が可能となる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用しないで得られる組成物によって形成される硬化樹脂(シール材)は、十分な耐熱性を有するものとならない(後述する比較例4〜5参照)。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用しないで得られる組成物によって形成される硬化樹脂(シール材)は、十分な耐熱性を有するものとならない(後述する比較例4〜5参照)。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)の数平均分子量は150〜2000であることが好ましく、更に好ましくは300〜1200とされる。数平均分子量が300〜1200のヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用して得られる組成物によれば、シール材に要求される物性(特に機械的特性)が良好な硬化樹脂を形成することができる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)の平均水酸基価は80〜1600(mgKOH/g)であることが好ましく、更に好ましくは120〜600(mgKOH/g)、特に好ましくは200〜400(mgKOH/g)とされる。
平均水酸基価が120〜600(mgKOH/g)のヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用して得られる組成物によれば、シール材に要求される物性(特に機械的特性)が良好な硬化樹脂を形成することができる。
中でも、平均水酸基価が200〜400(mgKOH/g)のヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用して得られる組成物によれば、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、しかも、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュール(濾過装置)の生産性の向上も図ることができる。
平均水酸基価が120〜600(mgKOH/g)のヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用して得られる組成物によれば、シール材に要求される物性(特に機械的特性)が良好な硬化樹脂を形成することができる。
中でも、平均水酸基価が200〜400(mgKOH/g)のヒマシ油系変性ポリオール(b1)を使用して得られる組成物によれば、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、しかも、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュール(濾過装置)の生産性の向上も図ることができる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)は、GPC測定によるトリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合、GPC測定による当該ヒマシ油系変性ポリオール(b1)の数平均分子量(Mn)が450以上の面積比が90%以上、且つ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.4以下であることが好ましい。これらの条件を満足するヒマシ油系変性ポリオール(b1)を用いて得られる本発明の組成物によれば、水に浸漬したときに、当該水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。これらの条件を満足しない場合には、得られるシール材において、前記溶出物の量を十分に抑制することができない。なお、このGPC測定では、3官能のポリプロピレンポリオールから得られた検量線を用いた。
前記溶出物の量(程度)は、日本薬局方収載の「プラスチック製医薬品容器試験法」における「水性注射剤容器試験」に準じた溶出物試験方法により測定され、試験液と空試験液との間の過マンガン酸カリウム消費量の差を指標値として表される。本発明においては、該差は1.0mL以下であることが好ましく、更に好ましくは0.7mL以下、特に好ましくは0.5mL以下とされる。
(2)多官能ポリエーテルポリオール(b2):
本発明においては、硬化剤(B)を構成するポリオール成分として、上述したヒマシ油系変性ポリオール(b1)とともに、官能基数が6以上の化合物を開始剤として得られる多官能ポリエーテルポリオール(b2)を特定の割合で用いる点に最大の特徴がある。
本発明においては、硬化剤(B)を構成するポリオール成分として、上述したヒマシ油系変性ポリオール(b1)とともに、官能基数が6以上の化合物を開始剤として得られる多官能ポリエーテルポリオール(b2)を特定の割合で用いる点に最大の特徴がある。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)は、官能基数が6以上の化合物を開始剤として、これにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオールである。
開始剤として使用される「官能基数が6以上の化合物」としては、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、シュークローズなど、活性水素を6個以上有する化合物を挙げることができ、これらのうち、ソルビトール及びシュークローズが好ましい。
また、付加される「アルキレンオキサイド」としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど、炭素数が2〜4個のアルキレンオキサイドを挙げることができる。
開始剤として使用される「官能基数が6以上の化合物」としては、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、シュークローズなど、活性水素を6個以上有する化合物を挙げることができ、これらのうち、ソルビトール及びシュークローズが好ましい。
また、付加される「アルキレンオキサイド」としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど、炭素数が2〜4個のアルキレンオキサイドを挙げることができる。
主剤(A)と硬化剤(B)とを混合して得られる組成物(本発明の組成物)の粘度が、シール材を形成する上で好適なものになるとの観点から、多官能ポリエーテルポリオール(b2)として、ソルビトール又はシュークローズを開始剤として、これにプロピレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。これらのうち、得られる組成物により、水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができるという観点から、シュークローズを開始剤として、これにプロピレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオールを使用することが特に好ましい。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)の数平均分子量は100〜3000であることが好ましく、更に好ましくは300〜1000とされる。数平均分子量が300〜1000の多官能ポリエーテルポリオール(b2)を使用して得られる組成物によれば、耐熱性に優れ、水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)の水酸基価は200〜1000mgKOH/gであることが好ましく、更に好ましくは300〜700mgKOH/gとされる。水酸基価が300〜700mgKOH/gの多官能ポリエーテルポリオール(b2)を使用して得られる組成物によれば、耐熱性に優れ、水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)の水酸基価は200〜1000mgKOH/gであることが好ましく、更に好ましくは300〜700mgKOH/gとされる。水酸基価が300〜700mgKOH/gの多官能ポリエーテルポリオール(b2)を使用して得られる組成物によれば、耐熱性に優れ、水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
硬化剤(B)の構成成分として多官能ポリエーテルポリオール(b2)を特定の割合で併用することにより、ポットライフが長くて、硬化時の反応進行が緩やかな組成物が得られる。従って、工業用水処理装置を構成する大型の中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)を製造する際にも適用することができる。
しかも、当該組成物により形成される硬化樹脂(シール材)は、硬度の温度依存性が低い(広い温度領域において硬度の変化が小さい)ものとなる。また、当該組成物を使用して製造された中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)は、濾過流量の温度依存性(温度による流量変化)、中空糸膜の分画性能の温度依存性(温度による分画性能の変化)も低い。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)を使用しないで得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、硬度の温度依存性が高いものとなる(後述する比較例1参照)。
しかも、当該組成物により形成される硬化樹脂(シール材)は、硬度の温度依存性が低い(広い温度領域において硬度の変化が小さい)ものとなる。また、当該組成物を使用して製造された中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)は、濾過流量の温度依存性(温度による流量変化)、中空糸膜の分画性能の温度依存性(温度による分画性能の変化)も低い。
多官能ポリエーテルポリオール(b2)を使用しないで得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、硬度の温度依存性が高いものとなる(後述する比較例1参照)。
硬化剤(B)中に含有されるヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)との割合〔(b1)/(b2)〕は、質量比で、95/5〜81/19とされ、好ましくは90/10〜81/19とされる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)とを、このような割合で含有してなる硬化剤(B)を使用して得られる組成物によれば、耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
前記割合〔(b1)/(b2)〕が81/19未満である場合には、得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、水中への溶出物の量が多いものとなる。(後述する比較例2〜3参照)。
一方、前記割合〔(b1)/(b2)〕が95/5を超える場合には、得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、硬度の温度依存性が高いものとなる。
ヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)とを、このような割合で含有してなる硬化剤(B)を使用して得られる組成物によれば、耐熱性に優れ、硬度の温度依存性が低く、水中への溶出物の量が少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
前記割合〔(b1)/(b2)〕が81/19未満である場合には、得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、水中への溶出物の量が多いものとなる。(後述する比較例2〜3参照)。
一方、前記割合〔(b1)/(b2)〕が95/5を超える場合には、得られる組成物によって形成される硬化樹脂は、硬度の温度依存性が高いものとなる。
本発明においては、硬化剤(B)中に、上述したヒマシ油系変性ポリオール(b1)及び多官能ポリエーテルポリオール(b2)以外の活性水素基含有化合物が含有されていてもよい。
硬化剤(B)の構成成分として併用可能な「活性水素基含有化合物」としては、前述の低分子ポリオール、ポリエーテル系ポリオール(多官能ポリエーテルポリオール(b2)を除く)、ポリエステル系ポリオール、ポリラクトン系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール(ヒマシ油系変性ポリオール(b1)を除く)、ポリオレフィン系ポリオール等、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得るための反応に供される「活性水素を2個以上有する化合物」と同一の化合物が挙げられる。
さらに、併用可能な「活性水素基含有化合物」として、低分子ポリアミンや低分子アミノアルコール(例えば、アミノ化合物のオキシアルキル化誘導体であるN,N,N´,N´−テトラキス[2−ヒドロキシプロピル]エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス[2−ヒドロキシエチル]エチレンジアミン等の、エチレンジアミン等のアミノ化合物のプロピレンオキサイドもしくはエチレンオキサイド付加物、モノ、ジおよびトリエタノールアミン、N−メチル−N,N´−ジエタノールアミン等)等といったアミン系化合物も挙げることができる。
本発明の組成物において、主剤(A)と硬化剤(B)の混合割合としては、主剤(A)を構成するイソシアネート成分の有するイソシアネート基と;硬化剤(B)を構成する必須のポリオール成分〔ヒマシ油系変性ポリオール(b1)及び多官能ポリエーテルポリオール(b2)〕並びに任意の活性水素基含有化合物の有する活性水素基とのモル比(イソシアネート基/活性水素基)が0.8〜1.6となるような割合であることが好ましく、更に好ましくは0.9〜1.2となるような割合、特に好ましくは1.0〜1.1となるような割合とされる。このような混合割合で得られる組成物によれば、耐久性に優れ、水中への溶出物の量がきわめて少ない硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
なお、本発明の組成物には、公知のウレタン化触媒が含有されていてもよい。
「ウレタン化触媒」としては、有機スズ化合物などの金属化合物系触媒;トリエチレンジアミン(TEDA)、テトラメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビスジメチルアミノエチルエーテル(BDMAEA)などの3級アミン触媒等を挙げることができる。
「ウレタン化触媒」としては、有機スズ化合物などの金属化合物系触媒;トリエチレンジアミン(TEDA)、テトラメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビスジメチルアミノエチルエーテル(BDMAEA)などの3級アミン触媒等を挙げることができる。
<シール材及び中空糸膜モジュール>
本発明のシール材は、本発明の組成物を硬化することにより得られる。
具体的には、主剤(A)と硬化剤(B)とからなる本発明の組成物を室温下に調製し、0℃〜100℃、好ましくは30℃〜80℃、更に好ましくは30℃〜60℃の温度条件下に、主剤(A)を構成するイソシアネート成分と、硬化剤(B)を構成するポリオール成分及び活性水素基含有化合物(任意成分)とを反応・硬化させることにより好適に形成することができる。
なお、ゲル化時間の短縮化や組成物の粘度低下を図る目的で、必要に応じて、混合前に、主剤(A)及び硬化剤(B)の各々を、30〜60℃に加温してもよい。
本発明のシール材は、本発明の組成物を硬化することにより得られる。
具体的には、主剤(A)と硬化剤(B)とからなる本発明の組成物を室温下に調製し、0℃〜100℃、好ましくは30℃〜80℃、更に好ましくは30℃〜60℃の温度条件下に、主剤(A)を構成するイソシアネート成分と、硬化剤(B)を構成するポリオール成分及び活性水素基含有化合物(任意成分)とを反応・硬化させることにより好適に形成することができる。
なお、ゲル化時間の短縮化や組成物の粘度低下を図る目的で、必要に応じて、混合前に、主剤(A)及び硬化剤(B)の各々を、30〜60℃に加温してもよい。
本発明のシール材は、耐熱性に優れているので、ハウジングなどの被着体に接着させた状態でスチーム滅菌処理を施しても、接着力が高い割合で保持される。
例えば、ポリカーボネート樹脂からなるハウジングに接着させた本発明のシール材に、121℃の雰囲気下で20分間にわたるスチーム滅菌処理を施しても、接着強度の保持率は70%以上、好ましくは85%以上になり、シール材に要求される耐熱性を十分に具備することができる。
例えば、ポリカーボネート樹脂からなるハウジングに接着させた本発明のシール材に、121℃の雰囲気下で20分間にわたるスチーム滅菌処理を施しても、接着強度の保持率は70%以上、好ましくは85%以上になり、シール材に要求される耐熱性を十分に具備することができる。
また、本発明のシール材は、50℃の条件気下で5万回程度の繰り返し加圧を行っても破損することはなく、シール材に要求される耐久性を十分に具備する。
このような優れた諸性能は、ポットライフが長い組成物(本発明の組成物)から得られるものであっても十分に発揮される。従って、本発明のシール材により、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が封止されてなる本発明の中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)は、長時間の連続使用にも十分に耐えうるほどに優れた耐久性を有するものとなる。
しかも、本発明の組成物は、長いポットライフを有するので、近年大型化の傾向にある中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)においても、極めて安定した生産性で得ることができる。
本発明の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が、本発明のシール材により封止されてなる。
本発明の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間を本発明の組成物により封止し、当該組成物を硬化させて本発明のシール材を形成し(これにより、当該シール材によって中空糸膜相互の隙間が封止される)、当該集束体をハウジング内に収容することにより製造することができる。
本発明の中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)の具体的構造としては、特開平11−5023号公報に記載の構造を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本発明の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が、本発明のシール材により封止されてなる。
本発明の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間を本発明の組成物により封止し、当該組成物を硬化させて本発明のシール材を形成し(これにより、当該シール材によって中空糸膜相互の隙間が封止される)、当該集束体をハウジング内に収容することにより製造することができる。
本発明の中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)の具体的構造としては、特開平11−5023号公報に記載の構造を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの例によってなんら限定して解釈されるものではない。
〔製造例1:主剤(A)の製造〕
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、4,4′−MDI「ミリオネートMT(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製)100gと、イソシアネート基含有量が28.6質量%である4,4′−MDIのカルボジイミド変性体「ミリオネートMTL−C(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製)650gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、ヒマシ油「URIC H−30(商品名)」(伊藤製油(株)製)250gを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−1)」という。主剤(A−1)のイソシアネート基含有量は19.0質量%、25℃における粘度は1700mPa・sであった。
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、4,4′−MDI「ミリオネートMT(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製)100gと、イソシアネート基含有量が28.6質量%である4,4′−MDIのカルボジイミド変性体「ミリオネートMTL−C(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製)650gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、ヒマシ油「URIC H−30(商品名)」(伊藤製油(株)製)250gを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−1)」という。主剤(A−1)のイソシアネート基含有量は19.0質量%、25℃における粘度は1700mPa・sであった。
〔製造例2:硬化剤の調製〕
以下に示す配合処方に従って、ポリオールを混合することにより、本発明用の硬化剤(B−1)〜(B−9)及び比較用の硬化剤(B−11)〜(B−14)を調製した(合計100質量部)。なお、硬化剤(B−10)にあっては、ポリオール(b11)100質量部を使用した。
以下に示す配合処方に従って、ポリオールを混合することにより、本発明用の硬化剤(B−1)〜(B−9)及び比較用の硬化剤(B−11)〜(B−14)を調製した(合計100質量部)。なお、硬化剤(B−10)にあっては、ポリオール(b11)100質量部を使用した。
(1)硬化剤(B−1):
ポリオール(b11)95質量部、ポリオール(b21)5質量部。
(2)硬化剤(B−2):
ポリオール(b11)90質量部、ポリオール(b21)10質量部。
(3)硬化剤(B−3):
ポリオール(b11)81質量部、ポリオール(b21)19質量部。
(4)硬化剤(B−4):
ポリオール(b11)80質量部、ポリオール(b21)20質量部。
(5)硬化剤(B−5):
ポリオール(b11)95質量部、ポリオール(b22)5質量部。
(6)硬化剤(B−6):
ポリオール(b11)90質量部、ポリオール(b22)10質量部。
(7)硬化剤(B−7):
ポリオール(b11)81質量部、ポリオール(b22)19質量部。
(8)硬化剤(B−8):
ポリオール(b11)80質量部、ポリオール(b22)20質量部。
(9)硬化剤(B−9):
ポリオール(b11)100質量部。
(10)硬化剤(B−10):
ポリオール(b11)50質量部、ポリオール(b21)50質量部。
(11)硬化剤(B−11):
ポリオール(b11)50質量部、ポリオール(b22)50質量部。
(12)硬化剤(B−12):
ポリオール(b32)81質量部、ポリオール(b21)19質量部。
(13)硬化剤(B−13):
ポリオール(b32)81質量部、ポリオール(b22)19質量部。
ポリオール(b11)95質量部、ポリオール(b21)5質量部。
(2)硬化剤(B−2):
ポリオール(b11)90質量部、ポリオール(b21)10質量部。
(3)硬化剤(B−3):
ポリオール(b11)81質量部、ポリオール(b21)19質量部。
(4)硬化剤(B−4):
ポリオール(b11)80質量部、ポリオール(b21)20質量部。
(5)硬化剤(B−5):
ポリオール(b11)95質量部、ポリオール(b22)5質量部。
(6)硬化剤(B−6):
ポリオール(b11)90質量部、ポリオール(b22)10質量部。
(7)硬化剤(B−7):
ポリオール(b11)81質量部、ポリオール(b22)19質量部。
(8)硬化剤(B−8):
ポリオール(b11)80質量部、ポリオール(b22)20質量部。
(9)硬化剤(B−9):
ポリオール(b11)100質量部。
(10)硬化剤(B−10):
ポリオール(b11)50質量部、ポリオール(b21)50質量部。
(11)硬化剤(B−11):
ポリオール(b11)50質量部、ポリオール(b22)50質量部。
(12)硬化剤(B−12):
ポリオール(b32)81質量部、ポリオール(b21)19質量部。
(13)硬化剤(B−13):
ポリオール(b32)81質量部、ポリオール(b22)19質量部。
硬化剤の調製に使用したポリオールは、下記のとおりである。
(1)ポリオール(b11)(ヒマシ油系変性ポリオール(b1)に相当):
ヒマシ油のトリメチロールプロパン変性体「#1296X(商品名)」(伊藤製油(株)製)、平均官能基数=3.0、水酸基価=267(mgKOH/g)、トリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合におけるGPC測定値:Mn=450以上のピーク面積比94%:Mw/Mn=1.23。
(1)ポリオール(b11)(ヒマシ油系変性ポリオール(b1)に相当):
ヒマシ油のトリメチロールプロパン変性体「#1296X(商品名)」(伊藤製油(株)製)、平均官能基数=3.0、水酸基価=267(mgKOH/g)、トリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合におけるGPC測定値:Mn=450以上のピーク面積比94%:Mw/Mn=1.23。
(2)ポリオール(b21)(多官能ポリエーテルポリオール(b2)に相当):
シュークローズを開始剤としてプロピレンオキサイドを付加して得られる多官能ポリエーテルポリオール、開始剤の官能基数=8.0、水酸基価=455(mgKOH/g)、数平均分子量=1000。
シュークローズを開始剤としてプロピレンオキサイドを付加して得られる多官能ポリエーテルポリオール、開始剤の官能基数=8.0、水酸基価=455(mgKOH/g)、数平均分子量=1000。
(3)ポリオール(b22)(多官能ポリエーテルポリオール(b2)に相当):
ソルビトールを開始剤としてプロピレンオキサイドを付加して得られる多官能ポリエーテルポリオール、開始剤の官能基数=6.0、水酸基価=550(mgKOH/g)、数平均分子量=600。
ソルビトールを開始剤としてプロピレンオキサイドを付加して得られる多官能ポリエーテルポリオール、開始剤の官能基数=6.0、水酸基価=550(mgKOH/g)、数平均分子量=600。
(4)ポリオール(b32):
ヒマシ油「URIC H−30(商品名)」(伊藤製油(株)製)、平均官能基数=2.7、水酸基価=160(mgKOH/g)、トリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合におけるGPC測定値:Mn=450以上のピーク面積比99%:Mw/Mn=1.03。
ヒマシ油「URIC H−30(商品名)」(伊藤製油(株)製)、平均官能基数=2.7、水酸基価=160(mgKOH/g)、トリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合におけるGPC測定値:Mn=450以上のピーク面積比99%:Mw/Mn=1.03。
上記において、GPCの測定は下記の条件および方法により行った。
〔測定条件〕
(1)測定装置:「HLC−8120(商品名)」(東ソー(株)製)
(2)カラム:充填剤として、「TSKgel G2000HXL(商品名)」および「TSKgel G3000HXL(商品名)」(いずれも東ソー(株)製)をそれぞれ2本ずつ充填した4本のカラムを接続した。
(3)カラム温度:40℃
(4)検出器:RI(屈折率)計
(5)溶離液:テトラヒドロフラン(THF)(流量:1mL/min.、40℃)
(6)検量線:以下の商品名(何れも三洋化成工業(株)製)の3官能のポリプロピレンポリオールを用いて、検量線を得た。
・「サンニックスGP−250」(数平均分子量=250)
・「サンニックスGP−400」(数平均分子量=400)
・「サンニックスGP−600」(数平均分子量=600)
・「サンニックスGP−1000」(数平均分子量=1000)
・「サンニックスGP−3000」(数平均分子量=3000)
・「サンニックスGP−4000」(数平均分子量=4000)
・「サンニックスGP−5000」(数平均分子量=5000)
(7)サンプル溶液:サンプル0.05gのTHF10ml溶液
(1)測定装置:「HLC−8120(商品名)」(東ソー(株)製)
(2)カラム:充填剤として、「TSKgel G2000HXL(商品名)」および「TSKgel G3000HXL(商品名)」(いずれも東ソー(株)製)をそれぞれ2本ずつ充填した4本のカラムを接続した。
(3)カラム温度:40℃
(4)検出器:RI(屈折率)計
(5)溶離液:テトラヒドロフラン(THF)(流量:1mL/min.、40℃)
(6)検量線:以下の商品名(何れも三洋化成工業(株)製)の3官能のポリプロピレンポリオールを用いて、検量線を得た。
・「サンニックスGP−250」(数平均分子量=250)
・「サンニックスGP−400」(数平均分子量=400)
・「サンニックスGP−600」(数平均分子量=600)
・「サンニックスGP−1000」(数平均分子量=1000)
・「サンニックスGP−3000」(数平均分子量=3000)
・「サンニックスGP−4000」(数平均分子量=4000)
・「サンニックスGP−5000」(数平均分子量=5000)
(7)サンプル溶液:サンプル0.05gのTHF10ml溶液
〔測定方法〕
始めにトリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルについて、3官能のポリプロピレンポリオールを検量線として、屈折率差により検出して得られたチャートから、ピーク面積比、Mw及びMnを求めた。
次に調製した各サンプルについて、同じ検量線に基づき屈折率差により検出して得られたチャートから、始めに測定したトリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合における、ピーク面積比、Mw及びMnを求め、さらに、これを基にMw/Mnを算出した。
始めにトリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルについて、3官能のポリプロピレンポリオールを検量線として、屈折率差により検出して得られたチャートから、ピーク面積比、Mw及びMnを求めた。
次に調製した各サンプルについて、同じ検量線に基づき屈折率差により検出して得られたチャートから、始めに測定したトリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合における、ピーク面積比、Mw及びMnを求め、さらに、これを基にMw/Mnを算出した。
<実施例1〜6、比較例1〜7>
下記表1および表2に示す組合せに従って、主剤および硬化剤を、液温35℃、イソシアネート基/活性水素基=1.00(モル比)になるように混合して、ポリウレタン樹脂形成性組成物を得た。
下記表1および表2に示す組合せに従って、主剤および硬化剤を、液温35℃、イソシアネート基/活性水素基=1.00(モル比)になるように混合して、ポリウレタン樹脂形成性組成物を得た。
<ポリウレタン樹脂形成性組成物(硬化物)の評価>
[硬化物の硬度測定]
実施例1〜6および比較例1〜7に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ステンレス製金型(100mm×100mm×8mm)に仕込んだ。これを25℃で7日間静置キュアした後に脱型し、硬化物(硬化樹脂)を得た。
得られた硬化物の各々について、10℃、25℃および70℃の各温度条件下に、ショアD硬度を測定した。測定結果および硬度比(70℃における硬度/25℃における硬度)を表1および表2に示す。
[硬化物の硬度測定]
実施例1〜6および比較例1〜7に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ステンレス製金型(100mm×100mm×8mm)に仕込んだ。これを25℃で7日間静置キュアした後に脱型し、硬化物(硬化樹脂)を得た。
得られた硬化物の各々について、10℃、25℃および70℃の各温度条件下に、ショアD硬度を測定した。測定結果および硬度比(70℃における硬度/25℃における硬度)を表1および表2に示す。
[ハウジングとの接着性]
実施例1〜6および比較例1〜7に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ポリカーボネート製のハウジング(44mm×10mm)に仕込み(ハウジング上に組成物の層を形成し)、25℃で7日間静置キュアして、当該ハウジング上に硬化物(層)が形成されてなる試験片を作製した。得られた試験片の各々について、ハウジングに対する硬化物の接着強度C0 (=剥離力/接着面積)を測定した。
また、得られた試験片の各々についてスチーム滅菌処理(121℃×20分間)を実施した後、同様にして接着強度Cを測定した。
初期接着強度C0 、スチーム滅菌処理後の接着強度Cおよび接着強度保持率(C/C0 )を表1および表2に示す。
実施例1〜6および比較例1〜7に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ポリカーボネート製のハウジング(44mm×10mm)に仕込み(ハウジング上に組成物の層を形成し)、25℃で7日間静置キュアして、当該ハウジング上に硬化物(層)が形成されてなる試験片を作製した。得られた試験片の各々について、ハウジングに対する硬化物の接着強度C0 (=剥離力/接着面積)を測定した。
また、得られた試験片の各々についてスチーム滅菌処理(121℃×20分間)を実施した後、同様にして接着強度Cを測定した。
初期接着強度C0 、スチーム滅菌処理後の接着強度Cおよび接着強度保持率(C/C0 )を表1および表2に示す。
[溶出物試験]
実施例1〜6および比較例1〜7に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、離型紙上に約1〜2mmの厚みになるように仕込み(離型紙上に組成物の層を形成し)、25℃で7日間静置キュアした後、離型紙を剥離して硬化物を得た。
得られた硬化物の各々について、日本薬局方収載の「プラスチック製医薬品容器試験法」における「水性注射剤容器試験」に準じた溶出物試験方法により、溶出物の量(試験液と空試験液との間の過マンガン酸カリウム消費量の差による指標値)を測定した。
具体的には、得られた硬化物の各々を細断して、水に浸漬し、121℃による1時間の高圧蒸気滅菌処理を施すことにより試験液を得た。
他方、ブランクとして硬化物を浸漬していない(即ち水のみ)液について同様の処理を施すことにより空試験液を得た。これら両者について、各々、過マンガン酸カリウム消費量を測定し、両者の消費量の差を求めた。この差は、溶出物の量の指標値であり、この値が小さいほど、溶出物の量が少ないことになる)。消費量の差(指標値)を表1および表2に示す。
実施例1〜6および比較例1〜7に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、離型紙上に約1〜2mmの厚みになるように仕込み(離型紙上に組成物の層を形成し)、25℃で7日間静置キュアした後、離型紙を剥離して硬化物を得た。
得られた硬化物の各々について、日本薬局方収載の「プラスチック製医薬品容器試験法」における「水性注射剤容器試験」に準じた溶出物試験方法により、溶出物の量(試験液と空試験液との間の過マンガン酸カリウム消費量の差による指標値)を測定した。
具体的には、得られた硬化物の各々を細断して、水に浸漬し、121℃による1時間の高圧蒸気滅菌処理を施すことにより試験液を得た。
他方、ブランクとして硬化物を浸漬していない(即ち水のみ)液について同様の処理を施すことにより空試験液を得た。これら両者について、各々、過マンガン酸カリウム消費量を測定し、両者の消費量の差を求めた。この差は、溶出物の量の指標値であり、この値が小さいほど、溶出物の量が少ないことになる)。消費量の差(指標値)を表1および表2に示す。
[浄水器としての分画性能]
実施例1〜6および比較例1〜7に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、これを用いて、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が、当該組成物を硬化してなるシール材により封止された中空糸膜モジュールからなる円柱状の浄水器(中空糸部の長さ600mm・両端のケーシング断面の直径が50mm)を製造した。
これを用いて、0.1質量%の界面活性剤(ポリエチレングリコール−p−イソオクチルフェニルエーテル)溶液中に所定の粒子径のポリスチレンラテックス粒子を分散させた被処理液を濾過し、濾液のラテックス粒子の濃度を日立分光光度計(U−3400)により320nmの波長で測定し、捕捉率90%における粒子径を求めて、分画粒子径の変動を評価した。結果を表1および表2に示す。
実施例1〜6および比較例1〜7に係るポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、これを用いて、複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が、当該組成物を硬化してなるシール材により封止された中空糸膜モジュールからなる円柱状の浄水器(中空糸部の長さ600mm・両端のケーシング断面の直径が50mm)を製造した。
これを用いて、0.1質量%の界面活性剤(ポリエチレングリコール−p−イソオクチルフェニルエーテル)溶液中に所定の粒子径のポリスチレンラテックス粒子を分散させた被処理液を濾過し、濾液のラテックス粒子の濃度を日立分光光度計(U−3400)により320nmの波長で測定し、捕捉率90%における粒子径を求めて、分画粒子径の変動を評価した。結果を表1および表2に示す。
[ポリウレタン樹脂形成性組成物のポットライフ]
実施例1〜6および比較例1〜7に係るポリウレタン樹脂形成性組成物(主剤と硬化剤との合計=100g)の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、25℃雰囲気下で、回転粘度計(B型、4号ローター)を用いて粘度上昇を追跡し、主剤と硬化剤との混合を開始した時点から、組成物の粘度が50000mPa・sに到達するまでの時間を、ポットライフとした。結果を表1および表2に示す。
実施例1〜6および比較例1〜7に係るポリウレタン樹脂形成性組成物(主剤と硬化剤との合計=100g)の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、25℃雰囲気下で、回転粘度計(B型、4号ローター)を用いて粘度上昇を追跡し、主剤と硬化剤との混合を開始した時点から、組成物の粘度が50000mPa・sに到達するまでの時間を、ポットライフとした。結果を表1および表2に示す。
<実施例7>
実施例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜9000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径15.4cm、PVC製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。
上記のようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内にシール材を介して着脱自在に収納することにより、濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
実施例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜9000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径15.4cm、PVC製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。
上記のようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内にシール材を介して着脱自在に収納することにより、濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
<比較例8>
比較例4に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用いたこと以外は実施例7と同様にして中空糸型膜モジュールを製造し、実施例7と同様にして濾過運転と逆圧濾過を繰り返したところ、27000サイクルを経た時点でシール材部分に破損が生じた。
比較例4に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用いたこと以外は実施例7と同様にして中空糸型膜モジュールを製造し、実施例7と同様にして濾過運転と逆圧濾過を繰り返したところ、27000サイクルを経た時点でシール材部分に破損が生じた。
<実施例8>
実施例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜22000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径22.1cm、ポリカーボネート製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。
上記のようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内にシール材を介して着脱自在に収納することにより、大型の濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、実施例7と同様に、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
実施例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜22000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径22.1cm、ポリカーボネート製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。
上記のようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内にシール材を介して着脱自在に収納することにより、大型の濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、実施例7と同様に、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
<比較例9>
比較例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用いたこと以外は実施例8と同様にして中空糸型膜モジュールを製造を試みたが、僅かにシールの欠落が発生し、製造することができなかった。
比較例2に係るポリウレタン樹脂形成性組成物を用いたこと以外は実施例8と同様にして中空糸型膜モジュールを製造を試みたが、僅かにシールの欠落が発生し、製造することができなかった。
上記表1に示すように、実施例1〜6に係るポリウレタン樹脂形成性組成物は、何れもポットライフが長く、これらの組成物の硬化物(ポリウレタン樹脂)は、何れも、硬度の温度依存性が低く(広い温度領域において硬度の変化が小さく)、高温で長時間のスチーム滅菌処理を施しても、ハウジング基材に対する接着強度保持率(C/C0 )が高く、水中への溶出物の量が少なく、分画性能も良好である。
これに対し、上記表2に示すように、多官能性ポリエーテルポリオール(b2)を含まない比較例1に係る組成物の硬化物は、硬度の温度依存性が高い。
また、ヒマシ油系ポリオール(b1)の使用比率の少ない比較例2〜3および比較例6〜7に係る組成物の硬化物は、水中への溶出物の量が多い。
また、ヒマシ油系ポリオール(b1)を含まない比較例4〜5に係る組成物の硬化物は、硬度の温度依存性が高く、接着強度保持率(C/C0 )が低い。
これに対し、上記表2に示すように、多官能性ポリエーテルポリオール(b2)を含まない比較例1に係る組成物の硬化物は、硬度の温度依存性が高い。
また、ヒマシ油系ポリオール(b1)の使用比率の少ない比較例2〜3および比較例6〜7に係る組成物の硬化物は、水中への溶出物の量が多い。
また、ヒマシ油系ポリオール(b1)を含まない比較例4〜5に係る組成物の硬化物は、硬度の温度依存性が高く、接着強度保持率(C/C0 )が低い。
また、実施例2に係る組成物(本発明の組成物)を用いて製造された実施例7に係る中空糸型膜モジュール(本発明の中空糸型膜モジュール)は、比較例4に係る組成物を用いて製造された比較例8に係る中空糸型膜モジュールと比較して、繰り返し加圧に対する耐久性が格段に優れている。
さらに、実施例2に係る組成物(本発明の組成物)は、実施例8に係る中空糸膜モジュールのような大型のものの製造にも確実に適用することができる。また、実施例8に係る中空糸型膜モジュール(本発明の中空糸型膜モジュール)は、繰り返し加圧に対して優れた耐久性を有している。これに対し、比較例9に示したように、比較例2に係る組成物によっては、大型の中空糸膜モジュールを製造することはできない。
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物(シール材)は、前述のとおり、多くの優れた性能を有する。従って、医療用、工業用分離装置を構成する中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)用のシール材として好適に使用することが可能である。これらの医療用、工業用分離装置としては、具体的には、血漿分離器、人工肺、人工腎臓、人工肝臓、家庭用・工業用水処理装置等が挙げられる。
また、本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物は、各種の物性、例えば硬度、引張強さ、接着性等に優れていることから、各種の産業用シール材、例えば電気用、自動車用、建築用、土木用シール材或いは各種の緩衝材として、また製紙、製鉄、印刷等の工業用ロール、紙送りロール等のOA機器部品を得るための組成物としても用いることも可能である。
Claims (9)
- イソシアネート成分を含有する主剤(A)と、ポリオール成分を含有する硬化剤(B)とからなるポリウレタン樹脂形成性組成物において、
硬化剤(B)を構成するポリオール成分として、ヒマシ油及び/又はヒマシ油脂肪酸と、トリメチロールアルカンとから得られるヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、
官能基数が6以上の化合物を開始剤として得られる多官能ポリエーテルポリオール(b2)とが含有され、且つ、
硬化剤(B)中に含有されるヒマシ油系変性ポリオール(b1)と、多官能ポリエーテルポリオール(b2)との割合〔(b1)/(b2)〕が、質量比で、96/4〜75/25であることを特徴とするポリウレタン樹脂形成性組成物。 - 主剤(A)を構成するイソシアネート成分が、イソシアネート基末端プレポリマーからなることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物。
- 前記イソシアネート基末端プレポリマーが、イソシアネート基含有化合物と、ヒマシ油系ポリオールとを反応させて得られることを特徴とする請求項2に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物。
- 前記多官能ポリエーテルポリオール(b2)を得るために使用する開始剤が、ソルビトール又はシュークローズであることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物。
- 前記割合〔(b1)/(b2)〕が、質量比で、95/5〜81/19であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物。
- 前記割合〔(b1)/(b2)〕が、質量比で、90/10〜81/19であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物。
- 請求項1に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物を硬化して得られるシール材。
- 請求項1に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物を硬化して得られる中空糸膜モジュール用のシール材。
- 複数の中空糸膜の集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が、請求項8に記載のシール材により封止されてなることを特徴とする中空糸膜モジュール。
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