JPWO2006016529A1 - 含気泡生地および含気泡生地組み合わせ食品とその製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
その後に冷却工程にて液体(ゾル状)に溶解した状態のゲル化剤がゲル構造を徐々に形成し、粘度や硬さが上昇して最終製品のマシュマロが得られる。
古典的なマシュマロはマシュマロ単独で食用に供されることが多かったが、最近では嗜好の変化や市場の要求に合わせてマシュマロを別の可食物との組み合わせ素材としての用途が増え、しかもさまざまなや形態、さらには冷凍・冷蔵状態で保存・喫食を意図した商品への応用が期待されるに至った。
また、それらの具に高温での耐性を付与しようとすると、口溶けや風味といったものを犠牲にせざるを得ず、商品価値の低いものしか得られないといった欠点があった。
例えば、約−15℃以下で固形性を保持する芯材をマシュマロで被包成型してなり、マシュマロの水分含量を通常のマシュマロの水分(約18%)よりも高い20〜35%の範囲としたことを特徴とするマシュマロ冷菓の製法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このマシュマロ冷菓は、ゼラチン使用量は3%程度と一般的なマシュマロと同程度であるが、水分量が多いため、起泡性に上限があり、均一な被覆が困難であり、ゲルの構造自体が弱いためマシュマロとしての保形性が弱い。しかも、工程上、澱粉がマシュマロ表面に多量に付着することが避けられず、なお表面のべたつきは抑え切れない。
すなわち、本発明は、
(1)マルトシルトレハロースを含む糖類とゲル化剤を加えて調製した含気泡生地であり、(2)マルトシルトレハロースが含気泡生地中に2.5重量%以上である(1)記載の含気泡生地であり、(3)ゲル化剤がゼラチンである(1)記載の含気泡生地であり、(4)含気泡生地がマシュマロである(1)記載の含気泡生地であり、(5)マルトシルトレハロースを含む糖類とゲル化剤を加えて調製した含気泡生地を具と組み合わせて成型してなる含気泡生地組み合わせ食品であり、(6)組み合わせ成型が包餡成型である(5)記載の含気泡生地組み合わせ食品であり、(7)具がクリーム類、ムース類またはチョコレート類等のフィリング類である(5)記載の含気泡生地組み合わせ食品であり、(8)マルトシルトレハロースを含む糖類とゲル化剤を加えて調整した生地を含気させ冷却中に具と組み合わせて成型することを特徴とする含気泡生地組み合わせ食品の製造法であり、(9)成型温度が35℃以下である(8)記載の含気泡生地組み合わせ食品の製造法である。
これによりチルド領域で流通する低融点、あるいは高温で保形性を損なうタイプのフィリングとの組み合わせが可能であり、また、包餡時の保型性が良好なため、型(モールド)に入れ形状を整える事無く、作業を簡素化できる。
また、従来ならばコーンスターチ等の手粉を包餡時に大量に使わなくてはならないところが、含気泡生地の保形性がよい為に低減できるため、作業環境が改善される。加えて低甘味の為、フィリング素材の特徴的な風味、例えば、チーズなどの醸し出す微妙な風味を阻害しにくい為、フィリングの自由度が大きくなる。
マシュマロは通常、水分・糖類など全固形分・ゲル化剤よりなり、配合比を変えると組織(弾力性、構造)が変化する。
マルトシルトレハロースは澱粉に酵素を作用させて作られた非還元性4糖類でマルトースおよびトレハロースが結合してなる。
マルトシルトレハロースの配合量はその配合量を増やすほどマシュマロと他のフィリングとの組み合わせ作業温度を低下させる事ができるため、特に配合の上限はなく、その下限も入れたなりの効果が期待できる。通常4℃程度その作業温度を下げる事ができると、有為に作業性を向上させる事が可能であり、また作業限界温度を4℃低下させた分、より口溶けの向上したフィリングを使用する事ができる。この4℃に相当するマルトシルトレハロースの配合量は含気泡生地全配合中に2.5重量%であるため、マルトシルトレハロースは全配合中に、好ましくはこの2.5重量%以上、より好ましくは5重量%以上配合されているのが望ましい。ただし、市販のマルトシルトレハロースは純度が50%程度のものもあるため、先に述べた望ましい配合量は、マルトシルトレハロース純品換算である。
使用するゼラチンも一般的にマシュマロに用いられている範囲であれば特に種類・量は特定されない。一般的には200〜250ブルームのもので約1〜5%程度配合する。
まずゼラチン、卵白アルブミン等を予め水に溶解・膨潤させ、次に予め112℃〜115℃に煮詰めた糖水溶液を70℃〜80℃に冷却して加え、強く攪拌し、空気を抱きこませ密度(比重)0.4〜0.5にする。
代表的なものとしては「デポジッター型」(スターチモールドと呼ばれるモルード(型)上にスターチを満遍なく塗布したものや、ビスケットの台上といった組み合わせ対象となる可食物の上に、温度35℃、水分4〜6%にしたマシュマロ生地を希望の形に絞り、成型する方法。) と「エクストルーダー型」(エクストルーダーを使用し、マシュマロ生地をノズルから連続的にスターチ等に押し出し固化・切断成型する方法)がある。
本発明は特にその成型方法に制限はないが、特に従来法ではゼラチン生地の固化が早くて用いることができなかった複雑な工程で有効である。
(1)表1の配合に従って、粉末ゼラチン(「AP−250」新田ゼラチン株式会社製、ゼリー強度251g)に水(a)を加え、約30分膨潤させる。
(2)上白糖、検討糖質としてマルトシルトレハロースシラップ(「ハローデックス」 株式会社林原商事製、マルトシルトレハロース含有量52.0重量%)、水(b)を混合、加熱沸騰、煮詰め(110℃)後、100℃迄放置する。
(1)に(2)を加え、縦型ミキサー(ケンミックスアイコープロKM−800型株式会社愛工舎製作所社製)を用いて、最終比重0.38〜0.41までホイップする。
ホイップ終了後のミキサーボールを室温(20℃)に放置し、硬化開始品温と包餡機で包餡不可能な物性になった時の品温を測定し、評価をする。
検討糖質として表1の配合に示した糖質を用いる以外は実施例1と同じ配合と同様の製法にて含気泡食品を得、評価を行った。評価は表1に配合と共に示した。
比較例1の検討糖質は水飴(「水飴」 参松化学工業株式会社製、酸糖化水飴・糖化率48)、比較例2の検討糖質はマルトオリゴ糖(「テトラップ」 株式会社林原商事製、ブドウ糖4分子からなるマルトテトラオースが主原料、含有量52.4重量%)、比較例3の検討糖質は砂糖結合水飴(「カップリングシュガー」 株式会社林原商事製、砂糖(ショ糖)と澱粉の混合液に転移酵素を作用させ、砂糖のブドウ糖側に、ブドウ糖 分子数個が転移結合、砂糖結合物(オリゴグルコシルフラクトシド)と澱粉分解物が混合、オリゴグルコシルフラクトシド含有量55%±5%、フラクトース+グルコース含有量7%±2%))、比較例4の検討糖質は還元水飴(「HS−30」 株式会社林原商事製、澱粉を酵素分解して得られた水飴に水素添加(還元)して作る。)、
マルトシルトレハロースは前述の通り、澱粉に酵素を作用させて作られた非還元性4糖類であり、マルトースおよびトレハロースが結合してなる。
次に効果を発現させるのに必要なマルトシルトレハロースの量を、実際に包餡作業を行って確認した。
(1) 表2の配合に従って、粉末ゼラチン(「AP−250」新田ゼラチン株式会社製、ゼリー強度251g)に水(a)を加え、約30分膨潤させる。
(2) 上白糖、検討糖質としてハローデックス・水飴、水(b)を表2の配合に従い混合、加熱沸騰、煮詰め(110℃)後、100℃迄放置する。
(3) (1)に(2)を加え、縦型ミキサー((マイティー60 株式会社愛工舎製作所製))を用いて、最終比重0.38〜0.41までホイップする。ホイップ終了後のミキサーボールを室温(20℃)に放置し、硬化開始品温を測定する。
(4) 自動包餡機(株式会社コバード 「ロボセブンAR−88型」)を用いて、(2)によって得られた含気泡生地でジャム(タカ食品工業株式会社製「ネオフィル ストロベリーSP」)を具として包餡する。包餡条件は包餡重量24〜26gで、うち含気泡生地8g、具14gで包餡し、包餡機で包餡不可能な物性になった時の品温を測定した。
実施例3は実施例4と比較例5の中間、液糖部分を水飴とハローデックスが等量になるように配合したもので、実施例2はハローデックスが全配合量に対して2.5%になるように配合してある。
評価は表2に配合と共に示した。
実施例2において配合中、ハローデックスとして5重量%、マルトシルトレハロース換算で2.5重量%分置き換えると包餡限界品温は4℃、実施例3において液糖の半量をハローデックスに、マルトシルトレハロース換算で7.1重量%分置き換えると9℃ほど低下する。体温付近に融点を持つフィリングの融点を4℃下げることは口溶け等への影響は大きく、4℃融点の低いフィリングを使用できるメリットは極めて重要であった。
これによりチルド領域で流通する比較的低融点、あるいは高温で保形性を損なうタイプのフィリングとの組み合わせが可能であり、また、包餡時の保型性が良好なため、型(モールド)に入れ形状を整える事無く、作業を簡素化できる。
また、従来ならばコーンスターチ等の手粉を包餡時に大量に使わなくてはならないところが、含気泡生地の保形性がよい為に低減できるため、作業環境が改善される。加えて低甘味の為、フィリング素材の特徴的な風味、例えば、チーズなどの醸し出す微妙な風味を阻害しにくい為、フィリングの自由度が大きくなる。
Claims (9)
- マルトシルトレハロースを含む糖類とゲル化剤を加えて調製した含気泡生地。
- マルトシルトレハロースが含気泡生地中に2.5重量%以上である請求項1記載の含気泡生地。
- ゲル化剤がゼラチンである請求項1記載の含気泡生地。
- 含気泡生地がマシュマロである請求項1記載の含気泡生地。
- マルトシルトレハロースを含む糖類とゲル化剤を加えて調製した含気泡生地を具と組み合わせて成型してなる含気泡生地組み合わせ食品。
- 組み合わせ成型が包餡成型である請求項5記載の含気泡生地組み合わせ食品。
- 具がクリーム類、ムース類またはチョコレート類等のフィリング類である請求項5記載の含気泡生地組み合わせ食品。
- マルトシルトレハロースを含む糖類とゲル化剤を加えて調整した生地を含気さ
せ冷却中に具と組み合わせて成型することを特徴とする含気泡生地組み合わせ食品の製造法。 - 成型温度が35℃以下である請求項8記載の含気泡生地組み合わせ食品の製造法。
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