JP5961578B2 - 含気焼成食品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、含気焼成食品の製造方法および含気焼成食品に関する。
従来、メレンゲに様々な材料を混合し、得られた生地を焼成する工程を経て得られる含気焼成食品として、スフレ、シフォンケーキなど様々なものが知られている。これらの含気焼成食品は、メレンゲに由来して、ふんわりと軽い食感を有している。
近年、消費者の嗜好の多様化に伴い、既存の含気焼成食品の食感を変えたり、これまでにない食感の含気焼成食品を提供する試みがなされている。たとえば特許文献1では、ふんわりとした軽い食感であるにもかかわらず口どけが良くジューシーなスフレ様菓子として、澱粉性原料及びメレンゲ生地並びに油脂類及び蛋白質を含む塑性状態の水中油型乳化物を含有し水分含量が56〜63重量%であるスフレ様菓子生地を加熱してなるスフレ様菓子が提案されている。
一方、工業的に製造、販売されているチルドデザート類(プリン、ゼリー、ケーキ等)の多くは、冷蔵庫から取り出された後、冷えた状態で喫食することが想定されている。フォンダンショコラのような、加温して喫食することを想定したものもあるが、その種類は少ない。
スフレ様菓子のような含気焼成食品でも、チルド状態で流通しているものは、加温して喫食することは想定されていない。本発明者らの検討によれば、このような含気焼成食品を加温しても食感の変化はほどんど見られず、加温することによるメリットが少ない。
特開2009−201366号公報
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、加温することで軽さ、ジューシーさ等の食感が大きく変化する新規な含気焼成食品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]容器に収容された含気焼成食品の製造方法であって、
リン酸架橋処理が施された加工デンプンと寒天と水とを含有する第一の組成物(A)を加熱溶融し、冷却してゲル化物とし、該ゲル化物を破砕してゲル破砕物(B)を得る工程と、
前記ゲル破砕物(B)と卵液とを混合して第二の組成物(C)を得る工程と、
起泡性原料を含有する第三の組成物(D)を、オーバーランが300〜500%となるように起泡させて起泡物(E)を得る工程と、
前記第二の組成物(C)と前記起泡物(E)とを混合して含気組成物(F)を得る工程と、
前記含気組成物(F)を容器に収容し、焼成して、含気焼成食品を得る工程と、を有し、
前記加工デンプンの配合量が、前記含気組成物(F)の総質量に対して2〜4質量%となる量であり、前記寒天の配合量が、前記含気組成物(F)の総質量に対して0.1〜1.0質量%となる量であり、前記ゲル破砕物(B)の10℃における粘度が800〜3000mPa・sである、含気焼成食品の製造方法。
[2]前記ゲル破砕物(B)と前記卵液と前記起泡物(E)との合計量に対する前記ゲル破砕物(B)の割合が58〜80質量%、前記卵液の割合が5〜13質量%、前記起泡物(E)の割合が15〜30質量%である、[1]に記載の含気焼成食品の製造方法。
[3]前記第一の組成物(A)が、セルロースをさらに含有する、[1]または[2]に記載の含気焼成食品の製造方法。
[4]前記含気焼成食品、以下の(1)および(2)を満たす、[1]〜[3]のいずれかの含気焼成食品の製造方法。
(1)含気焼成食品の10℃における硬度が130〜180gであって、10℃における硬度から80℃における硬度を差し引いた値が100〜160gであり、
(2)含気焼成食品の10℃における離水量が0.1〜0.15gであって、80℃における離水量が0.2〜0.5gである。
[5]前記含気組成物(F)の含気率が45〜150%である、[4]に記載の含気焼成食品の製造方法
本発明によれば、加温することで軽さ、ジューシーさ等の食感が大きく変化する新規な含気焼成食品およびその製造方法を提供できる。
本発明の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
≪含気焼成食品の製造方法≫
本発明の製造方法を、添付の図面を用い、実施形態例を示して説明する。
図1は、本発明の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
本実施形態の製造方法は、リン酸架橋処理が施された加工デンプンと寒天と水とを含有する第一の組成物(A)を加熱溶融し、冷却してゲル化物とし、該ゲル化物を破砕してゲル破砕物(B)を得る工程(ゲル破砕物調製工程)と、前記ゲル破砕物(B)と卵液とを混合して第二の組成物(C)を得る工程(第一混合工程)と、起泡性原料を含有する第三の組成物(D)を、オーバーランが300〜500%となるように起泡させて起泡物(E)を得る工程(起泡物調製工程)と、前記第二の組成物(C)と前記起泡物(E)とを混合して含気組成物(F)を得る工程(第二混合工程)と、前記含気組成物(F)を容器に収容し、焼成して、含気焼成食品を得る工程(焼成工程)と、を有する。
<ゲル破砕物調製工程>
ゲル破砕物調製工程では、まず、リン酸架橋処理が施された加工デンプンと寒天と水とを含有する第一の組成物(A)を調製し、加熱溶融する。
加工デンプンは、デンプンに酵素的加工、物理的加工、化学的加工等の加工を施したものである。リン酸架橋処理は、デンプンにリン酸(トリメタリン酸またはオキシ塩化リン)を作用させ、デンプンの分子内または分子間の水酸基を架橋する処理である。
リン酸架橋処理が施された加工デンプンには、リン酸架橋処理以外の加工が施されていてもよい。リン酸架橋処理以外の加工としては、例えばヒドロキシプロピル化、カルボキシメチル化等のエーテル化処理、アセチル化、リン酸化等のエステル化処理、酸化処理、アルファ化処理等が挙げられる。
リン酸架橋処理が施された加工デンプンの例としては、リン酸架橋処理のみが施された加工デンプン(リン酸架橋デンプン)、リン酸架橋処理およびエーテル化処理が施された加工デンプン(例えばヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン等)、リン酸架橋処理およびエステル化処理が施された加工デンプン(例えばアセチル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン等)等が挙げられる。これらの加工デンプンは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、膨潤しにくく製造中の粘度コントロールが容易である点で、リン酸架橋デンプンが好ましい。
リン酸架橋処理が施された加工デンプンは、第二混合工程で得られる含気組成物(F)の総質量に対する割合(含気組成物(F)中の配合量)が2〜4質量%となる量で使用される。該加工デンプンの含気組成物(F)中の配合量は、2.5〜3.5質量%が好ましい。
該加工デンプンの含気組成物(F)中の配合量が2〜4質量%であると、得られる含気焼成食品の食感が良好である。また、第一の組成物(A)をゲル化させ、破砕したときに、得られるゲル破砕物(B)が適度な粘度を有しており、その後に卵液と混合して得られる第二の組成物(C)と起泡物(E)との混合を良好に行うことができる。
一方、該加工デンプンの含気組成物(F)中の配合量が4質量%を超えると、含気焼成食品の食感が重くなったり、第一の組成物(A)や第二の組成物(C)が高粘度になって安定的な製造が難しくなるおそれがある。含気組成物(F)中の配合量が2質量%未満になると、含気焼成食品の離水が多く、水っぽく頼りない食感になったり、第二の組成物(C)と起泡物(E)とを混合しにくくなるおそれがある。
第一の組成物(A)中のリン酸架橋処理が施された加工デンプンの配合量は、含気組成物(F)中の配合量に応じて適宜設定できるが、第一の組成物(A)の総質量に対し、2〜5質量%が好ましく、2.5〜4.5質量%がより好ましい。2質量%以上であると、焼成後の食感が良好で、5質量%以下であると、第一の組成物(A)中の溶解性が良好である。
なお、リン酸架橋処理が施された加工デンプンは通常、含気焼成食品に含有させる全量が第一の組成物(A)に配合される。
寒天としては、特に限定されず、市販の寒天のなかから適宜選択して使用することができる。寒天としては、ゼリー強度、凝固点、融点等の物性が異なる様々なものが市販されている。
本発明における寒天のゼリー強度は、日寒水式によって測定される値である。すなわち日本寒天製造水産組合が採用した日寒水式ゼリー強度測定器を用いて測定される値であり、濃度1.5質量%の寒天水溶液を調製し、20℃で15時間放置して凝固させたゲルについて、その表面1cm当たり20秒間耐えうる最大荷重(g)をゼリー強度(単位:g/cm)とする。一般的にゼリー等のゲル状食品に用いられている寒天のゼリー強度は500〜800g/cm程度である。
寒天の凝固点は、寒天溶液が冷却されてゲル化する温度であり、90℃以上に加熱した寒天溶液を、氷水等を用いて継続的に冷却し、目視にてゲルが形成されはじめた温度を凝固点とする。寒天の凝固点は通常、「約○○℃」、「○○℃〜○○℃」と記載される。
寒天の融点は、寒天ゲルが加熱されて溶ける温度であり、10℃以下に冷却された寒天ゲルを温湯等を用いて継続的に加熱し、目視にてゲルが溶融しはじめた温度を融点とする。寒天の融点は通常、「約○○℃」、「○○℃〜○○℃」と記載される。
本発明において寒天のゼリー強度は300〜600g/cmが好ましい。ゼリー強度が600g/cm以下であると、得られる含気焼成食品の食感が良好である。ゼリー強度が300g/cm以上であると、寒天が充分なゲル形成力を有し、焼成時に釜落ちが生じにくい。
寒天の凝固点は特に限定されない。通常、寒天の凝固点は33〜45℃程度である。
寒天ゲルの融点は特に限定されない。通常、寒天ゲルの融点は85〜93℃程度である。
寒天としては、1種を単独で用いても、物性等が異なる2種以上を併用してもよい。
寒天は、含気組成物(F)中の配合量(第二混合工程で得られる含気組成物(F)の総質量に対する割合)が0.1〜1.0質量%となる量で使用される。寒天の含気組成物(F)中の配合量は、0.15〜0.75質量%が好ましく、0.25〜0.50質量%が特に好ましい。寒天の含気組成物(F)中の配合量が0.1〜1.0質量%であると、得られる含気焼成食品の食感が良好である。また、第一の組成物(A)をゲル化させ、破砕したときに、得られるゲル破砕物(B)が適度な粘度を有しており、その後に卵液と混合して得られる第二の組成物(C)と起泡物(E)との混合を良好に行うことができる。たとえば起泡物(E)との混合時に、起泡物(E)の気泡が第二の組成物(C)により抱き込まれ、良好に維持される。
一方、含気組成物(F)中の配合量が1.0質量%を超えると、含気焼成食品の食感が重くなったり、第二の組成物(C)と起泡物(E)とが混ざりにくくなるおそれがある。含気組成物(F)中の配合量が0.1質量%未満になると、加温による食感の変化がないか、あっても少なくなるおそれがある。また、第二の組成物(C)の気泡保持力が弱く、起泡物(E)と混合したときに気泡が分離するおそれがある。
第一の組成物(A)は、リン酸架橋処理が施された加工デンプンおよび寒天以外の他の成分をさらに含有してもよい。
該他の成分としては、食品に配合可能な各種成分を用いることができ、たとえば乳類、糖類、その他の呈味成分、寒天以外のゲル化剤または増粘剤、保水剤、乳化剤、香料、色素、pH調整剤、酸化防止剤、ヘキサメタリン酸ナトリウム等の製造用剤等が挙げられ、製造しようとする含気焼成食品の風味や食感、製造性等を考慮して適宜選択できる。
乳類としては、公知の乳や乳製品を用いることができ、例えば牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、バター、チーズ、クリーム、無糖れん乳、加糖れん乳、バターオイル、バターミルク、バターミルクパウダー等が挙げられる。
糖類としては、例えば砂糖、蜂蜜、メープルシロップ、水飴、ブドウ糖、果糖、転化糖、異性化糖、黒糖等が挙げられる。
他の呈味成分としては、例えば糖以外の甘味料、酸味料、調味料、チョコレート、ココアパウダー、酒類、抹茶、小豆あん、果汁、ナッツ、いも、栗、かぼちゃ等が挙げられる。
糖類以外の甘味料としては、例えば糖アルコール類(キシリトール、ソルビトール、マルチロール、エリスリトール等)、高甘味度甘味料(サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイド等)等が挙げられる。
酸味料としては、例えばリンゴ酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
調味料としては、例えばクエン酸ナトリウム等が挙げられる。
寒天以外のゲル化剤または増粘剤としては、公知のものを使用でき、たとえばゼラチン、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ネイティブジェランガム等が挙げられる。
保水剤としては、例えばセルロース、デンプン、デキストリン、こんにゃく粉、各種多糖類等が挙げられる。
乳化剤としては、一般に食用に用いられている乳化剤を適宜用いることができ、例えば有機酸モノグリセリド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
第一の組成物(A)は、保存時の含気焼成食品からの離水を抑制し、保存後に加温した時のジューシー感を保つ観点から、保水剤を含有することが好ましい。特に、保水効果に優れる点、配合量が増えても第一の組成物(A)を増粘させにくい点等から、セルロースを含有することが好ましい。
保水剤の配合量は、所望の保水効果、第一の組成物(A)の粘度等を考慮し、使用する保水剤の種類に応じて適宜設定できる。たとえば保水剤としてセルロースのみを配合する場合、含気組成物(F)中の配合量(第二混合工程で得られる含気組成物(F)の総質量に対する割合)が、0.2〜1.0質量%となる量が好ましく、0.5〜1.0質量%がより好ましく、0.5〜0.7質量%が特に好ましい。0.2質量%以上であると、保水剤の配合効果を充分に得られる。1.0質量%以下であると、第一の組成物(A)中の保水剤の配合量が多くなりすぎず、第一の組成物(A)の粘度が充分に低く抑えられ、製造を安定に実施できる。
第一の組成物(A)は、前記加工デンプンと、寒天と、必要に応じて任意の他の成分とを、水(溶解水)に溶解または分散させて調製される。
溶解水は、特に限定されず、水道水や脱イオン水等を用いることができる。溶解水の温度は特に限定されず常温でよい。
第一の組成物(A)の固形分濃度(溶解水以外の成分の合計の含有量)は、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
ゲル化工程で加熱溶融される直前の時点では、第一の組成物(A)中に溶解していない成分が存在していてもよい。
第一の組成物(A)は、製造性の観点から、ゲル化工程で加熱溶融させる前の時点での10℃における粘度が、300mPa・s以下であることが好ましく、200mPa・s以下であることが好ましい。
本発明において「粘度」は、東機産業製B型粘度計(RB−80L)により、温度10℃、アダプターM2使用との条件で測定される値である。
第一の組成物(A)の加熱溶融は、第一の組成物(A)に含まれる成分のうち少なくとも寒天を溶解させるために行われる。このときの加熱が殺菌処理を兼ねてもよい。
加熱溶融条件は、第一の組成物(A)中の寒天の溶解と第一の組成物(A)の加熱殺菌とを同時に行うことができる条件が好ましい。
加熱温度としては、例えば85〜95℃が好ましい。85℃以上に加熱すると、寒天の溶解および第一の組成物(A)の殺菌を充分に行うことができる。95℃以下であると、第一の組成物(A)に含まれる成分の熱変性が生じにくい。
上記加熱温度を保持する時間は、第一の組成物(A)を殺菌でき、かつ第一の組成物(A)中の成分を熱変性させない範囲であればよく、加熱温度を考慮して適宜設定できる。
加熱溶融条件としては、125℃で15秒加熱、130℃で2秒加熱、またはこれらと同等の殺菌効果が得られる条件が好ましい。
加熱方法としては、沸騰水浴中で加熱する方法、ジャケット及び攪拌機付きタンクやプレート式殺菌機等を使用する方法等の公知の方法を用いることができる。
第一の組成物(A)を加熱溶融させた後、冷却してゲル状物とする前に、必要に応じて、第一の組成物(A)の均質化を行ってもよい。均質化は常法により実施できる。均質化の際の第一の組成物(A)の温度は、85〜95℃が好ましい。なお、チーズ等の固体状の原料に関しては、固形状のものが残らないような温度、時間等を設定することが好ましい。
次に、加熱溶融し、必要に応じて均質化した第一の組成物(A)を任意の冷却温度まで冷却してゲル化物とし、該ゲル化物を破砕してゲル破砕物(B)を得る。
冷却温度は、寒天の凝固点以下であればよく、第一の組成物(A)に含まれる寒天に応じて適宜設定できる。寒天の凝固点は通常40〜50℃程度であるため、冷却温度は通常40℃以下とされる。冷却温度としては、25℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、1〜10℃が特に好ましい。
ゲル化物の破砕は、ゲル化物を流動させることによって行うことができる。該流動によるせん断力によって、生成したゲル化物が破砕される。ゲル化物を流動させる方法としては、例えばゲル化物を撹拌する方法、管状の流路に流す方法等が挙げられる。
前記冷却と破砕は、別々に行っても同時進行的に行ってもよい。
冷却と破砕を別々に行う例としては、例えば第一の組成物(A)の冷却を行った後、タンク等に貯蔵されたゲル化物を撹拌機で撹拌する方法が挙げられる。この場合、撹拌条件としては、例えばプライミクス社製の攪拌機を使用し、5000rpm、5分間の撹拌を行い、マイクロゲルにすることで、なめらかかつ粘度のあるペースト状にすることが好ましい。
冷却と破砕を同時進行的に行う方法としては、例えば第一の組成物(A)を冷媒ジャケットを備えた冷却管内を流しながら所定の冷却温度に冷却する方法が挙げられる。この場合、第一の組成物(A)を冷却管に流す条件としては、内径が2.0インチの管(冷却管)に2,000〜10,000L/時間の流量で流す条件、またはこれと同等のせん断力が生じる条件が好ましい。
上記のようにして得られるゲル破砕物(B)は、第一混合工程に供される。
該ゲル破砕物(B)は、破砕によってゲル化物が微細な粒状になっており、流動性を有している。そのため、この後の第一混合工程で卵液と良好に混合できる。
ゲル破砕物(B)は、10℃における粘度が、800〜3000mPa・sであることが好ましく、1000〜2000mPa・sであることが好ましい。ゲル破砕物(B)の粘度が800〜3000mPa・sであると、得られる含気焼成食品の食感が適度な軽さ(重さ)を有するものとなる。また、製造性も良好で、例えばゲル破砕物(B)の粘度が800mPa・s以上であると、第一混合工程でゲル破砕物(B)と卵液とを混合して得られる第二の組成物(C)を起泡物(E)と混合したときに、気泡が良好に保持される。該粘度が3000mPa・s以下であると、第二の組成物(C)の粘度が高くなりすぎず、起泡物(E)と混合しやすい。
ゲル破砕物(B)の粘度は、第一の組成物(A)中の寒天や加工デンプン、増粘剤の含有量等により調整できる。
ゲル破砕物(B)は、調製後、第一混合工程で卵液と混合されるまでの間、0〜15℃に保持されることが好ましい。
<第一混合工程>
第一混合工程では、前記ゲル破砕物調製工程で得られたゲル破砕物(B)と、卵液とを混合して第二の組成物(C)を得る。
卵液は、液状の卵であり、卵黄、卵白、または、卵黄および卵白から構成される。
卵液としては、卵原料として、全卵、または全卵と卵黄との混合物を用いたものが好ましく、好ましい食感が得られる点で、全卵と卵黄との混合物が好ましい。
全卵と卵黄との混合比率(質量比)は、全卵における卵黄と卵白との比率によっても異なるが、全卵:卵黄=7:3〜5:5が好ましく、6:4がより好ましい。卵黄の比率が高すぎると、含気焼成食品の食感が硬くなるおそれがあり、卵黄の比率が低すぎると、含気焼成食品の食感に弾力が出て、ふわっとした軽い食感にならないおそれがある。
卵液は、卵黄および卵白からなるものでもよく、卵黄および卵白以外の他の成分をさらに含有するものであってもよい。該他の成分としては、例えば糖類等が挙げられる。
卵液は、鶏等の全卵、卵黄、卵白等の卵原料に、必要に応じて他の成分、水等を配合し、混合することにより調製できる。卵原料として、液卵や粉末など適宜の性状に加工されたものや、糖類等が予め配合されたものを用いてもよい。また、卵白としては生卵白、加糖卵白、乾燥卵白、凍結卵白、凍結加糖卵白等が挙げられる。
ゲル破砕物(B)と卵液との混合は公知の方法により行うことができる。
混合時のゲル破砕物(B)、卵液それぞれの温度は、0〜15℃が好ましく、0〜10℃がより好ましい。0〜15℃で卵液と混合することによってより衛生的に製造できる。
ゲル破砕物(B)と卵液とは、該ゲル破砕物(B)と、該卵液と、次工程で第二の組成物(C)と混合する起泡物(E)との合計量に対するゲル破砕物(B)の割合が58〜80質量%、卵液の割合が5〜13質量%となる混合比率で混合することが好ましい。
該合計量に対するゲル破砕物(B)の割合が58〜80質量%であると、含気焼成食品の風味、食感が良好である。
該合計量に対する卵液の割合が5〜13質量%であると、含気焼成食品の食感が良好である。該割合は 10〜13質量%がより好ましい。
上記のようにして得られる第二の組成物(C)は、第二混合工程に供される。
第二の組成物(C)の好ましい粘度は、ゲル破砕物(B)の好ましい粘度と同様である。
第二の組成物(C)は、調製後、第二混合工程で起泡物(E)と混合されるまでの間、0〜15℃に保持されることが好ましい。
<起泡物調製工程>
起泡物調製工程では、起泡性原料を含有する第三の組成物(D)を、オーバーランが300〜500%となるように起泡(ホイップ)させて起泡物(E)を得る。
オーバーランは、起泡前の体積に対する、起泡前後における体積増加分の割合(%)を意味し、下記式(I)より求められる。起泡物(E)のオーバーランの場合、起泡前の体積は第三の組成物(D)の体積であり、起泡後の体積は起泡物(E)の体積である。
オーバーラン(%)=(起泡後の体積−起泡前の体積)/起泡前の体積×100 …(I)
起泡性原料としては、起泡性を有する成分として公知のものを用いることができ、たとえばホイップ用クリーム、卵白、大豆蛋白質、乳化剤等が挙げられる。
起泡性原料中の起泡性原料の含有量は、オーバーラン300〜500%にまで起泡させ得る量とされる。
第三の組成物(D)は、液状であることが好ましい。
起泡性原料は、水で希釈されてもよい。
第三の組成物(D)は、起泡性を妨げない範囲で、起泡性原料以外の他の成分をさらに含有してもよい。該他の成分としては、例えば糖類、増粘剤、香料等が挙げられる。
第三の組成物(D)は、前記他の成分として、増粘剤を含有することが好ましい。増粘剤を配合して第三の組成物(D)の粘度を高めることで、起泡物(E)の経時的な離水を抑制され、経時安定性が向上する。
増粘剤としては、公知のものを使用でき、たとえばキサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ネイティブジェランガム等が挙げられる。これらの増粘剤類はいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、少量の配合量で増粘効果が得られることから、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガムおよびローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種が好ましく、キサンタンガムが特に好ましい。
第三の組成物(D)中の増粘剤の含有量は、第三の組成物(D)の粘度等を考慮して適宜設定でき特に限定されないが、第三の組成物(D)の総質量に対し、0.01〜0.2質量%が好ましく、0.03〜0.15質量%がより好ましい。0.2質量%以下であると第三の組成物(D)の粘度を低く抑えることができる。
第三の組成物(D)は、起泡物(E)の経時安定性の観点から、起泡を行う直前の時点での10℃における粘度が、300mPa・s以下であることが好ましく、200mPa・s以下であることがさらに好ましい。
第三の組成物(D)が前記起泡性原料以外の原料を含む場合、該第三の組成物(D)は、起泡性原料と、他の成分(水、糖類、増粘剤等)とを混合することにより調製できる。
第三の組成物(D)は、起泡(ホイップ)を行う前に、必要に応じて、加熱殺菌を行ってもよい。殺菌条件は特に限定されず、公知の殺菌条件で行うことができる。例えば58〜60℃で10分間、またはこれらと同等の殺菌効果が得られる加熱条件が好ましい。
加熱殺菌後、起泡(ホイップ)を行う前に、必要に応じて、第三の組成物(D)をタンク等に貯蔵してもよい。貯蔵温度は、第三の組成物(D)に含まれる成分に悪影響が出ないように適宜設定することができる。貯蔵温度は、0℃以上、かつ起泡温度(起泡させる際の第三の組成物(D)の温度)以下の範囲内が好ましく、1〜5℃が特に好ましい。
第三の組成物(D)の起泡は、オーバーランが300〜500%となるように行う。該オーバーランは、350〜450%が好ましく、380〜420%が特に好ましい。オーバーランが300〜500%の範囲であると製品の食感が重すぎず軽すぎず好ましい範囲となり、また300%以上であると、第二の組成物(C)との混合が均一になりやすく、500%以下であると、起泡物(E)の気泡が保持されやすくなる。
第三の組成物(D)の起泡は、常法により行うことができる。
起泡を行う際の第三の組成物(D)の温度(起泡温度)は、特に限定されないが、25℃以下が好ましい。25℃以下であると起泡安定性が良好である。該起泡温度の下限値は特に限定されないが、3℃以上が好ましい。
上記のようにして得られる起泡物(E)は、第二混合工程に供される。
起泡物(E)は、調製後、第二混合工程で第二の組成物と混合されるまでの間、0〜15℃に保持されることが好ましい。
<第二混合工程>
第二混合工程では、第一混合工程で得た第二の組成物(C)と、起泡物調製工程で得た起泡物(E)とを混合して含気組成物(F)を得る。
第二の組成物(C)と起泡物(E)との混合は公知の方法により行うことができる。
混合時の第二の組成物(C)、起泡物(E)それぞれの温度は、0〜20℃が好ましく、0〜15℃がより好ましい。0〜20℃の範囲であると起泡物(E)の離水が少なくなる。
第二の組成物(C)と起泡物(E)とは、第二の組成物(C)と起泡物(E)との合計量、つまりゲル破砕物(B)と卵液と起泡物(E)との合計量、に対する起泡物(E)の割合が15〜30質量%となる混合比率で混合することが好ましい。
該合計量に対する起泡物(E)の割合が15〜30質量%であると、含気焼成食品の食感が良好である。該割合は15〜25質量%がより好ましい。
含気組成物(F)は、含気率が45〜150%であることが好ましく、60〜130%であることがより好ましい。含気組成物(F)の含気率が45〜150%であると、含気焼成食品の食感が重すぎず軽すぎない良好なものとなり、60〜130%であるとさらに良好なものとなる。
含気組成物(F)の含気率とは、含気組成物(F)全体の体積が、気泡を含んでいない場合の含気組成物(F)の体積からどの程度ボリュームアップしているかを意味するものであり、換言すれば、含気組成物(F)において起泡によって体積が増加した割合(%)を意味する。従って、物理量としては、含気組成物(F)の体積から、当該含気組成物(F)より一切の気泡を除去した実質的な部分の体積を除して、これを百分率とした量と定義することができる。
含気率は、例えば、含気組成物(F)を減圧下において気泡を除去し、気泡を除去する前の体積と除去した後の体積とから算出することができる。
本発明では、下記式(II)によって算出される理論上の含気率を、含気組成物(F)の含気率とすることができる。
含気率(%)=〔{含気組成物(F)の体積−(第二の組成物(C)の体積+起泡前の第三の組成物(D)の体積)}/(第二の組成物(C)の体積+起泡前の第三の組成物(D)の体積)〕×100 …(II)
含気組成物(F)の含気率は、第二の組成物(C)と起泡物(E)との混合比により調整できる。
上記のようにして得られる含気組成物(F)は、焼成工程に供される。
含気組成物(F)は、調製後、焼成工程で焼成されるまでの間、0〜20℃に保持されることが好ましい。
<焼成工程>
焼成工程では、第二混合工程で得た含気組成物(F)を容器に収容し、焼成して、含気焼成食品を得る。
焼成方法は特に限定されず、スフレ等の含気焼成食品の製造に用いられている公知の焼成方法を適用できる。たとえばオーブンによる焼成等が挙げられる。
焼成後、必要に応じて冷却される。焼成後の冷却温度は、特に限定されないが、通常、5〜10℃程度である。
上記のようにして得られた容器入りの含気焼成食品は、そのまま、または必要に応じて容器の開口をシールして、製品とすることができる。
また、容器内の含気焼成食品の上に、ソース、フルーツ等を載せ、必要に応じて容器の開口をシールして、製品としてもよい。
また、含気焼成食品を容器から取り出し、必要に応じて加工を施し(任意の形状にカットする、他の食品と組み合わせる等)、他の容器に収容して製品としてもよい。
本発明の製造方法により製造される含気焼成食品は、リン酸架橋処理が施された加工デンプンと寒天とを含有する。また、該含気焼成食品は、起泡物に由来して、空気を多量に含んでいる。
該含気焼成食品は、冷蔵時は、しっかりした硬さのある食感で、加温することで軽さとジューシー感が増大するという、従来の含気焼成食品にはない新しい食感を有する。
たとえば硬さについては、該含気焼成食品の10℃における硬度は、一般的なベイクドチーズケーキと同様の比較的高い値であり、40〜80℃に加温したときの硬度は、一般的なスフレ菓子と同様の比較的低い値である。このような温度による硬度の変化は、ベイクドチーズケーキやスフレ菓子には見られない。
また、ジューシー感については、本発明により得られる含気焼成食品をカットした場合、10℃ではほとんど離水は見られないが、40〜80℃に加温すると、特に加圧して押しつぶすと、明らかな離水が見られる。そのため、加温した含気焼成食品を口に含み下で押しつぶすと、含気焼成食品から水分がしみ出してジューシー感を与える。
このような食感の変化には、主に寒天が寄与していると考えられる。つまり、冷蔵時には寒天がゲルを形成して水分を保持し、加温時には寒天ゲルが溶解して水分が放出されるため食感が変化すると考えられる。
このように、本発明の製造方法により得られる含気焼成食品は、冷蔵時と加温時との食感の変化が大きいだけでなく、冷蔵時、加温時それぞれの食感も良好である。そのため、消費者の好みによって食べ方を変えて楽しむことができる。
さらに、前記含気焼成食品は、製造性にも優れる。本発明の製造方法においては、加工デンプンとしてリン酸架橋処理が施されたものを用い、該加工デンプンおよび寒天をそれぞれ所定の配合量で用いることにより、上記のような食感が得られるだけでなく、工業的な製造を安定的に行うことができる。
≪含気焼成食品≫
本発明の含気焼成食品は、リン酸架橋処理が施された加工デンプンと寒天とを含有する含気組成物を焼成して得られるものであって、以下の(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
(1)含気焼成食品の10℃における硬度が130〜180gであって、10℃における硬度から80℃における硬度を差し引いた値が100〜160gであり、
(2)含気焼成食品の10℃における離水量が0.1〜0.15gであって、80℃における離水量が0.2〜0.5gである。
前記硬度および離水量はそれぞれ下記測定方法により測定される値である。
硬度の測定方法:10℃または80℃の含気焼成食品について、レオメーターを用いて、D10、6gの測定条件で圧縮試験を行って破断強度(g)の値を測定し、その値を硬度とする。
離水量の測定方法:直径2.5cm、高さ2cmの円柱状にくり抜いた10℃または80℃の含気焼成食品を濾紙に載せ、高さが2cmから1cmになるまで押しつぶした後、濾紙上の含気焼成食品を取り除き、濾紙に吸着した水分量(g)を測定し、その値を離水量とする。
なお、硬度の測定方法において、「D10」は、直径10mmのアダプターを使用したことを示す。「6g」は、荷重で6gの差が出たときを破断したときとしたことを示す。
本発明の含気焼成食品は、前記(1)および(2)を満たすことで、冷蔵時は、しっかりした硬さのある食感で、加温することで軽さとジューシー感が増大するという、従来の含気焼成食品にはない新しい食感を有する。すなわち、該含気焼成食品の10℃における硬度は、一般的なベイクドチーズケーキと同様の比較的高い値であり、80℃における硬度は、10℃における硬度から100〜160g差し引いた比較的低い値であり、加温により硬度が大きく低下する。また、該含気焼成食品は、10℃においてはほとんど離水は生じないが、80℃において、特に加圧して押しつぶすと、明らかな離水が生じ、ジューシー感を与える。
前記含気焼成食品の10℃における硬度は、130〜150gが特に好ましい。また、前記含気焼成食品の10℃における硬度から80℃における硬度を差し引いた値は、100〜120gが特に好ましい。
前記含気焼成食品の10℃における離水量は、0.11〜0.14gが特に好ましい。また、前記含気焼成食品の80℃における離水量は、0.2〜0.3gが特に好ましい。
前記含気組成物中、前記加工デンプンの含有量は、前記含気組成物の総質量に対して2〜4質量%であることが好ましく、2.5〜3.5質量%が好ましい。該加工デンプンの含有量が2〜4質量%であると、含気焼成食品の食感が良好である。また、該含気焼成食品の製造性も良好である。
前記含気組成物中、前記寒天の含有量は、前記含気組成物の総質量に対して0.1〜1.0質量%であることが好ましく、0.15〜0.75質量%がより好ましく、0.25〜0.50質量%が特に好ましい。寒天の含有量が0.1〜1.0質量%であると、含気焼成食品の食感が良好である。また、該含気焼成食品の製造性も良好である。
前記含気組成物は、含気率が45〜150%であることが好ましく、60〜130%であることがより好ましい。含気率が45〜150%であると、含気焼成食品の食感が重すぎず軽すぎない良好なものとなり、60〜130%であるとさらに良好なものとなる。
含気組成物の含気率は、前記含気組成物(F)の含気率と同様、含気組成物全体の体積が、気泡を含んでいない場合の含気組成物の体積からどの程度ボリュームアップしているかを意味するものであり、換言すれば、含気組成物において起泡によって体積が増加した割合(%)を意味する。従って、物理量としては、含気組成物の体積から、当該含気組成物より一切の気泡を除去した実質的な部分の体積を除して、これを百分率とした量と定義することができる。
含気率は、例えば、含気組成物を減圧下において気泡を除去し、気泡を除去する前の体積と除去した後の体積とから算出することができる。
本発明では、含気組成物の原料を、起泡させない原料と起泡させた原料とに分けて、前者の原料の体積と、後者の原料の起泡前の体積とを和して、この和を含気組成物の体積から除して百分率とした理論上の含気率を、含気組成物の含気率とすることができる。すなわち、下記式(III)によって算出される含気率を、含気組成物の含気率とすることができる。
含気率(%)=〔{含気組成物の体積−(起泡させない原料の体積+起泡させた原料の起泡前の体積)}/(起泡させない原料の体積+起泡させた原料の起泡前の体積)〕×100 …(III)
含気焼成食品は、前記本発明の製造方法により製造できる。たとえば、前記加工デンプンと寒天とを含有する含気組成物を、前記含気組成物(F)と同様に調製し、該含気組成物を、前記焼成工程と同様に焼成することにより製造できる。
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下において「%」は、特に断りのない限り「質量%」である。
以下の例において用いた加工デンプン、ゲル化剤、その他の原料は以下の通りである。
[加工デンプン]
加工デンプンA:タピオカ由来のデンプンにリン酸架橋処理が施されたもの(松谷化学工業社製「パインベークCC」)。
加工デンプンB:コーンスターチ由来のデンプンにリン酸架橋処理とエーテル化処理とが施されたもの(松谷化学工業社製「ファリネックスVA70C」)。
加工デンプンC:コーンスターチ由来のデンプンに湿熱処理が施されたもの(DSP五協フード&ケミカル社製「デリカスターH−100」)。
加工デンプンD:もち米由来のデンプン(架橋なし。松谷化学工業社製「WR−2」)。
[ゲル化剤]
寒天A:ゼリー強度(1.5%濃度)100g/cmの寒天(伊那食品工業社製「ウルトラ寒天AX−100」)。
寒天B:ゼリー強度(1.5%濃度)300g/cmの寒天(伊那食品工業社製「ウルトラ寒天AX−300」)。
寒天C:ゼリー強度(1.5%濃度)600g/cmの寒天(伊那食品工業社製「寒天ZH」)。
寒天D:ゼリー強度(1.5%濃度)1500g/cm以上の寒天(伊那食品工業社製「カリコリカン」)。
ゼラチン:新田ゼラチン社製「ゼラチンGB250MB」。
カラギナン:三栄源FFI社製「カラギニン」。
[他の原料]
クリームチーズA:森永乳業社製「クリームチーズ」。
クリームチーズB:バラフーズプロプライアトリーリミテッド社製「NACC」。
脱脂粉乳:森永乳業社製。
砂糖:双日食料社製「グラニュー糖」。
トレハロース:林原社製。
セルロース:旭化成ケミカルズ社製「セオラスUF−F702」(セルロース100%製剤)。
クエン酸:扶桑化学工業社製。
ヘキサメタリン酸ナトリウム:太洋化学工業社製。
デキストリン:松谷化学工業社製「マックス1000」。
乳化剤:理研ビタミン社製「ポエムB−10」。
洋酒:合同酒精社製「クレームドバニーユ」。
香料:長岡香料社製「バニラフレーバー」。
加糖卵黄:キユーピータマゴ社製。
殺菌全卵:キユーピータマゴ社製。
乾燥卵白:キユーピータマゴ社製「乾燥卵白MタイプNo.200」。
キサンタンガム:三栄源FFI社製。
グァーガム:三栄源FFI社製。
タマリンドシードガム:三栄源FFI社製。
ローカストビーンガム:三栄源FFI社製。
保水剤A:デンプンおよびセルロースの混合物(三栄源FFI社製「KS−F4」)。
保水剤B:デキストリン、こんにゃく粉およびデンプンの混合物(三栄源FFI社製「サンスマート400」)。
<実施例1>
[含気焼成食品の製造]
表1に示す配合に従い、以下の手順で、容器に収容されたチーズスフレ様の含気焼成食品を製造した。
「含気組成物(F)中の配合量(%)」は、含気組成物(F)の総質量を100%としたときの各成分の含有量(%)を示す。第一の組成物(A)および第三の組成物(D)を構成する成分についての「各組成物中の配合量(%)」は、その成分が原料として配合される組成物(第一の組成物(A)または第三の組成物(D))の総質量を100%としたときの各成分の含有量(%)を示す。
(1.チーズベースの調製)
表1に示す配合に従い、第一の組成物(A)の原料すべてを混合し、80℃まで加温し、プライミクス社製撹拌機ロボミックスで撹拌(9,000rpm×5分間)して溶解させた後、125℃で15秒間加熱殺菌した。得られた溶液を、三丸機械工業社製均質機で均質化した後、15℃以下まで冷却し、ゲル化させた。得られたゲル状物を、プライミクス社製撹拌機ロボミックスで撹拌(5,000rpm×5分間)することにより破砕し、ペースト状のゲル破砕物(B)を得た。そこに、表1に示す配合に従って卵液を加えて混合し、チーズベース(第二の組成物(C))を得た。
(2.メレンゲの調製)
表1に示す配合に従い、第三の組成物(D)の原料すべてを混合し、60℃で10分間加熱殺菌した後、10℃まで冷却し、デロンギ社製ミキサーでオーバーランが400%となるようにホイップしてメレンゲ(起泡物(E))を得た。
(3.含気焼成食品の調製)
チーズベースとメレンゲとを混合して含気組成物(F)を得た。含気組成物(F)の含気率(前記式(II)により算出した。)は約72%であった。
得られた含気組成物(F)を、容器(プリン用カップ)に65g充填し、オーブンで、以下の条件で(ステップ1、2、3の加熱を順次行うことで)焼成し、焼成後ただちに35℃以下に冷却して含気焼成食品を得た。
ステップ1:上火140℃、下火142℃、25分間。
ステップ2:上火140℃、下火100℃、15分間。
ステップ3:上火135℃、下火100℃、20分間。
Figure 0005961578
[食感の評価]
得られた含気焼成食品について、温度による食感の違いを評価するために、以下の評価を行った。
{官能評価}
含気焼成食品の冷蔵品(10℃)と、これを家庭用電子レンジで加熱(500W、25秒間)して中心温度を約80℃とした加温品について、パネラーにより、食感の官能評価を行った。
その結果、冷蔵品の食感は、ベイクドチーズケーキのようなしっかりとした濃厚なものであった。これを加熱した加温品の食感は、チーズスフレのようなふんわりとした軽さと、口に含んだときに水気を感じるジューシーさとを備えていた。
{硬度}
容器内のサンプル(含気焼成食品の冷蔵品(10℃)と、該冷蔵品を家庭用電子レンジで加熱(500W、25秒間)して中心温度を約80℃とした加温品、または該加温品を中心温度が約40℃になるまで室温で放冷した放冷品)それぞれについて、サン科学社製レオメーターCOMPAC−100IIを用いて、圧縮試験を行って破断強度(g)の値を測定し、その値を硬度とした。測定条件は、D10(直径10mmのアダプター)、6g(荷重で6gの差が出たときを破断したときとする。)とした。測定は3回実施し、平均値を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0005961578
{加圧保水性}
容器内のサンプル(含気焼成食品の冷蔵品(10℃)、または該冷蔵品を家庭用電子レンジで加熱(500W、25秒間)して中心温度を約80℃とした加温品)を、直径2.5cm、高さ2cmの円柱状にくり抜いた。くり抜いた含気焼成食品を濾紙に載せ、サン科学社製レオメーターCOMPAC−100IIで、高さが2cmから1cmになるまで押しつぶした。その後、濾紙上の含気焼成食品を取り除き、濾紙に吸着した水分量(g)(含気焼成食品を取り除いた後の濾紙の質量(g)−含気焼成食品を載せる前の濾紙の質量(g))を測定し、その値を離水量とした。測定は3回実施し、平均値を算出した。結果を表3に示す。
Figure 0005961578
上記の硬度および加圧保水性の結果から、得られた含気焼成食品が、加熱することで硬度が低くなり、加圧保水性が低くなる性質を有すること、つまり加熱することで舌で押し潰しやすくなり、潰したときに水分が放出されやすくなることがわかった。この結果は、前記の官能評価の結果とも対応している。すなわち、前記含気焼成食品は、冷蔵時は、水分が保持された状態でしっかりした食感だが、加熱することで適度に水分が出やすくなって軽さとジューシー感が付与された。
<試験例1>
本試験例は、本発明により得られる含気焼成食品の食感と、既存のチーズデザートの食感とを比較するために実施した。
実施例1と同様にしてチーズスフレ様の含気焼成食品を製造し、試料(1−1)とした。
市販のチーズスフレ(配合原料:クリームチーズ、卵、砂糖、卵白等。原料として加工デンプンおよび寒天の記載はなし。要冷蔵品。)を用意し、試料(1−2)とした。
常法によりベイクドチーズケーキ(配合原料:クリームチーズ(40%)、生クリーム(40%)、バター、砂糖、卵黄)を製造し、試料(1−3)とした。
試料(1−1)〜(1−3)それぞれの冷蔵品(10℃)と、該冷蔵品を家庭用電子レンジで加熱(500W、25秒間)して中心温度を80℃とした加温品(80℃)について、実施例1と同様に、硬度の測定および加圧保水性の評価を行った。
ただし、硬度の測定条件は、試料(1−2)(冷蔵品、加温品)についてはD10、2g、試料(1−3)(冷蔵品)についてはD10、4gに変更し、加圧保水性の測定回数は2回とした。
試料(1−3)の加温品については、80℃に加温したときに溶けてしまったため、硬度測定、加圧保水性評価は不可能であった。
結果を表4に示す。
Figure 0005961578
上記結果に示すように、試料(1−1)は、冷蔵時には、一般的なベイクドチーズケーキである試料(1−3)と同様の硬度を有していた。また、試料(1−3)は加温すると溶解してしまったが、試料(1−1)は、加温すると溶解せずに硬度が大きく下がり、一般的なチーズスフレである試料(1−2)と同様の硬度になった。また、試料(1−2)は、水分含有量が少なく、加圧しても離水は生じなかったが、試料(1−1)は、加圧することで離水が生じ、加温するとその量が多くなった。
したがって、試料(1−1)が、冷蔵時にはベイクドチーズケーキのようなしっかりとした濃厚な食感を有し、加温時にはチーズスフレのようなふんわりとした食感になり、ジューシー感も増すものであることが、数値的にも確認された。
<試験例2>
本試験例は、第一の組成物(A)に配合する加工デンプンが、含気焼成食品の食感と製造性に与える影響を評価するために実施した。
[含気焼成食品の製造]
表5に示す配合に従って、実施例1と同様の手順で、チーズスフレ様の含気焼成食品(試料(2−1)〜(2−9))を製造した。
試料(2−1)〜(2−9)それぞれの調製に用いた加工デンプンの原料名(※1)と配合量(※2)を表6、7に示す。
表5中、溶解水の「バランス」は、第一の組成物(A)の含気組成物(F)中の配合量が69%となる量である。
[評価]
{食感}
実施例1での官能評価と同様にして食感を評価し、以下の基準で評価した。
○:冷蔵品(10℃)が、ベイクドチーズケーキと同様のしっかりとした濃厚な食感を有し、加温品(80℃)が、チーズスフレのようなふんわりとした軽さと、口に含んだときに水気を感じるジューシーさとを備える。
△:冷蔵品または加温品のどちらかの食感がやや意図とは異なるが許容できる。
×:冷蔵品または加温品のどちらかの食感が意図とは異なる。
{製造性}
各試料の製造工程で、撹拌溶解する際の加工デンプンの膨潤しにくさ、加温殺菌時の粘度のコントロールしやすさを試験者が観察し、以下の基準で評価した。
○:撹拌溶解、加温殺菌時に適度な粘度となり、製造に支障がない。
△:撹拌溶解、加温殺菌時にやや粘度が高いまたは低いが、製造は可能。
×:撹拌溶解、加温殺菌時に粘度が高すぎるまたは低すぎるため、製造が困難となる(粘度が高すぎると昇温しにくく殺菌が困難となり、粘度が低すぎると混合時に混ざりにくくなる)。
{総合評価}
上記食感および製造性の評価結果から下記の基準で総合評価を行った。
◎:食感、製造性ともに○。
○:食感、製造性のうち一方が△で他方が○または△。
×:食感、製造性の少なくとも一方が×。
これらの結果を表6〜7に示す。
Figure 0005961578
Figure 0005961578
表6に示すように、加工デンプンとして、リン酸架橋処理が施された加工デンプンA、Bを用いた試料(2−1)、(2−2)の結果が良好で、リン酸架橋処理が施され且つエーテル化処理が施されていない加工デンプンAを用いた試料(2−1)の結果が特に良好であった。
試料(2−1)〜(2−4)についての製造性、食感の評価の詳細を以下に示す。
試料(2−1):温度差による食感の差が出やすく、好ましいものであった。製造性も問題はなかった。
試料(2−2):食感は問題ないが、膨潤しやすく、製造中に粘度コントロールがしにくかった。
試料(2−3):食感は良いが、膨潤しやすく、(2−2)よりもさらに製造中に粘度コントロールがしにくかった。
試料(2−4):膨潤しやすく、製造中に粘度コントロールがしにくかった。
Figure 0005961578
表7に示すように、リン酸架橋処理が施された加工デンプンの配合量を2〜4%とした試料(2−6)〜(2−8)の結果が良好であった。
試料(2−5)〜(2−9)についての製造性、食感の評価の詳細を以下に示す。
試料(2−5):離水が多くなり、食感も水っぽくて頼りなかった。粘度が低いためメレンゲとの混合もしにくかった。
試料(2−6):食感がやや物足りないが、許容範囲であった。製造性も問題はなかった。
試料(2−7):温度差による食感の差が出やすく、好ましいものであった。製造性も問題はなかった。
試料(2−8):食感がやや重いが、許容範囲であった。製造性も問題はなかった。
試料(2−9):食感が重く、好ましくなかった。また、粘度も高いため、安定的な製造が困難であった。
<試験例3>
本試験例は、第一の組成物(A)に配合するゲル化剤が、含気焼成食品の食感と製造性に与える影響を評価するために実施した。
[含気焼成食品の製造]
表8に示す配合に従って、実施例1と同様の手順で、チーズスフレ様の含気焼成食品(試料(3−1)〜(3−14))を製造した。
各試料の調製においては、第一の組成物(A)の調製に用いるゲル化剤の種類と配合量を変化させた。ゲル化剤としては、寒天、ゼラチンまたはカラギナンを使用し、寒天としては、ゼリー強度の異なる4種の寒天A〜Dのいずれかを使用した。
詳細には、試料(3−1)〜(3−3)は、ゲル化剤の種類(原料名(※1))と配合量(※2)を変化させた。試料(3−4)〜(3−7)は、ゲル化剤として寒天を使用し、寒天の種類(原料名(※1))を変化させた。試料(3−8)〜(3−14)は、ゲル化剤としてはいずれも寒天Bを使用し、その配合量(※2)を変化させた。変化させた項目については表9〜11に示した。
表8中、溶解水の「バランス」は、第一の組成物(A)の含気組成物(F)中の配合量が69%となる量である。
[ゲル化剤の種類が与える影響の評価]
{食感}
試料(3−1)〜(3−3)それぞれについて、試験例1と同様の食感の評価(官能評価)を行った。
別途、試料(3−1)〜(3−3)それぞれの冷蔵品(10℃)と、該冷蔵品を家庭用電子レンジで加熱(500W、25秒間)して中心温度を80℃とした加温品(80℃)について、実施例1と同様に、硬度の測定を行った。
これらの結果を表9に示す。
[寒天の種類が与える影響の評価]
{食感}
試料(3−4)〜(3−7)それぞれについて、試験例1と同様の食感の評価(官能評価)を行った。
{製造性}
各試料の製造工程で、焼成後の釜落ちの状態を試験者が観察し、以下の基準で評価した。
○:釜落ちが見られない。
△:若干の釜落ちが見られる。
×:明らかな釜落ちが見られる。
{総合評価}
上記食感および製造性の評価結果から下記の基準で総合評価を行った。
◎:食感、製造性ともに○。
○:食感、製造性のうち一方が△で他方が○または△。
×:食感、製造性の少なくとも一方が×。
これらの結果を表10に示す。
[寒天の配合量が与える影響の評価]
{食感}
試料(3−8)〜(3−14)それぞれについて、試験例1と同様の食感の評価(官能評価)を行った。
{製造性}
各試料の製造工程で、ゲル状物を破砕して得られるペースト状のゲル破砕物(B)の粘度(mPa・s)を、東機産業製B型粘度計(RB−80L)を用いて測定した(測定温度10℃)。測定結果から下記の基準で製造性を評価した。結果を表11に示す。
◎:ゲル破砕物(B)の粘度が1500mPa・s以上2000mPa・s以下。
○:ゲル破砕物(B)の粘度が800mPa・s以上1500mPa・s未満、または2000mPa・s超3000mPa・s以下。
×:ゲル破砕物(B)の粘度が3000mPa・s超。
{総合評価}
上記食感および製造性の評価結果から下記の基準で総合評価を行った。
◎:食感、製造性ともに○。
○:食感、製造性のうち一方が△で他方が○または△。
×:食感、製造性の少なくとも一方が×。
これらの結果を表11に示す。
Figure 0005961578
Figure 0005961578
試料(3−1)〜(3−3)のうち、ゲル化剤として寒天Bを用いた試料(3−1)は、冷蔵時にはしっとりした食感、加温時にはふんわりジューシーな食感が得られた。
一方、ゲル化剤としてゼラチンを用いた試料(3−2)は、加温時にはジューシーな食感が得られたが、冷蔵時は硬めで糊っぽい食感になった。
ゲル化剤としてカラギナンを用いた試料(3−3)は、冷蔵時、加温時ともに食感が硬く、さくいものとなり、好ましい食感は得られなかった。
Figure 0005961578
試料(3−4)〜(3−7)のうち、ゼリー強度100g/cmの寒天Aを用いた試料(3−4)は、焼成後の冷却工程におけるゲルの形成力が弱いため、やや釜落ちが見られた。食感は、軽さはあるものの、頼りないものであった。
ゼリー強度300g/cmの寒天Bを用いた試料(3−5)は、冷蔵時には適度な硬さのある良好な食感で、加温時にジューシーな食感となった。
ゼリー強度600g/cmの寒天Cを用いた試料(3−6)は、冷蔵時にはゲルの形成力が強く、ややさくい食感となったが、加温時には好ましい食感となった。
ゼリー強度1500g/cm以上の寒天Dを用いた試料(3−7)は、焼成後の冷却工程におけるゲルの形成力が強く、釜落ちを防くことができた。しかし、ややさくい食感となってしまった。
Figure 0005961578
試料(3−8)〜(3−14)のうち、寒天Bの配合量が0%の試料(3−8)は、ゲル破砕物(B)の粘度が低いため、メレンゲ混合時に気泡保持力が弱く、メレンゲと分離した。
寒天Bの配合量が0.1〜1%の試料(3−9)〜(3−13)は、ゲル破砕物(B)が適度な粘度を有し、メレンゲ混合時にメレンゲの気泡を抱き込み維持することができた。これらのうち試料(3−9)の食感はやや軽いものであった。試料(3−10)〜(3−11)の食感は好ましいものであった。試料(3−12)〜(3−13)の食感はやや重いものであった。
寒天Bの配合量が1.5%の試料(3−14)は、ゲル破砕物(B)の粘度が高すぎてメレンゲと混ざりにくいものであった。また食感は重く糊っぽいものであった。
<試験例4>
本試験例は、第一の組成物(A)に配合する保水剤が、含気焼成食品の食感と製造性に与える影響を評価するために実施した。
[含気焼成食品の製造]
表12に示す配合に従って、実施例1と同様の手順で、チーズスフレ様の含気焼成食品(試料(4−1)〜(4−9))を製造した。
各試料の調製においては、第一の組成物(A)の調製に用いる保水剤の種類と配合量を変化させた。試料(4−1)〜(4−9)それぞれの調製に用いた保水剤の原料名(※1)と配合量(※2)を表13に示す。
表12中、溶解水の「バランス」は、第一の組成物(A)の含気組成物(F)中の配合量が69%となる量である。
[評価]
{離水量測定}
含気焼成食品の冷蔵品(10℃)を、冷蔵庫から取り出し、スプーンで、容器内の含気焼成食品を、容器の底が4分の1程度露出するように縦にくり抜いた。これを20℃の条件下で静置し、静置開始から0時間後、3時間後、6時間後それぞれにおいて、容器の底部に溜まった水分(離水)の量(mL)を測定した。結果を表13に示す。
{粘度測定}
仕込み後、昇温前の常温のサンプル(第一の組成物(A)の原料すべてを混合した混合物(80℃まで加温する前))の粘度(mPa・s)を、東機産業製B型粘度計(RB−80L)を用いて測定した(測定温度10℃)。結果を表13に示す。
Figure 0005961578
Figure 0005961578
保水剤無添加の試料(4−1)は、くり抜き後、すぐに離水が出始め、時間経過と共に離水量が増加した。
保水剤として保水剤A(デンプンおよびセルロース)を用いた試料(4−2)、(4−3)は、試料(4−1)に比べて、経時的な離水量の増加が抑制されており、保水効果が得られた。該保水効果は配合量を増やすことで増加した。しかし第一の組成物(A)の粘度が高く、製造中の粘度コントロールが困難であった。
保水剤として保水剤B(デキストリン、こんにゃく粉およびデンプン)を用いた試料(4−4)、(4−5)は、試料(4−1)に比べて、経時的な離水量の増加が抑制されていたが、その効果は、保水剤Aを用いた場合よりも低いものであった。
保水剤としてセルロースを用いた試料(4−6)〜(4−9)は、経時的な離水量の増加が抑制されていた。その保水効果と配合量には正の相間があり、特に0.7%以上の配合で良好な保水効果が得られた。また、粘度についても、同じ配合量で保水剤Aを配合した場合の粘度よりも低く、製造をより安定的に実施できることが確認できた。
<試験例5>
本試験例は、第三の組成物(D)に配合する増粘剤が、含気焼成食品の製造性に与える影響を評価するために実施した。
まず、表14に示す配合に従い、全原料を均一に混合して第三の組成物(D)を調製した。該第三の組成物(D)を、殺菌(60℃、10分)した後、ホイップマシーンで、オーバーラン(OR)400%を目標としてホイップしてメレンゲ(試料(5−1)〜(5−6))を得た。
各試料の調製においては、配合する増粘剤の種類と配合量を変化させた。試料(5−1)〜(5−6)それぞれの調製に用いた増粘剤の原料名(※1)と配合量(※2)とを表15に示す。
表14中、溶解水の「バランス」は、第三の組成物(D)の総質量(第三の組成物(D)を構成する全成分の合計)が100%となる量である。第三の組成物(D)の総質量は、該第三の組成物(D)の含気組成物(F)中の配合量が18%となる量である。また、表14中、含気組成物(F)中の配合量の列における「←」は、それぞれ第三の組成物(D)中の配合量の列に示される数字によって変動する量であることを示している。
また、各試料の調製直後のOR値を表15に示す。
得られた試料200mLをそれぞれビーカー(容量200mL)に入れ、20℃の条件下で静置した。静置開始から30分後、60分後、120分後それぞれの試料について、泡が消えて透明な液状となっている部分(離水)の高さ(cm)を測定し、その値を離水高さとした。結果を表15に示す。
Figure 0005961578
Figure 0005961578
上記結果に示すように、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、またはローカストビーンガムを配合した試料(5−2)〜(5−5)は、0.05〜0.3%程度のわずかな配合量で、増粘剤を配合しなかった試料(5−1)に比べて、ホイップ後における経時的な離水量の増加が抑制された。また、目標とするオーバーランまで問題なくホイップできた。離水の抑制効果は特にキサンタンガムが優れていた。

Claims (5)

  1. 容器に収容された含気焼成食品の製造方法であって、
    リン酸架橋処理が施された加工デンプンと寒天と水とを含有する第一の組成物(A)を加熱溶融し、冷却してゲル化物とし、該ゲル化物を破砕してゲル破砕物(B)を得る工程と、
    前記ゲル破砕物(B)と卵液とを混合して第二の組成物(C)を得る工程と、
    起泡性原料を含有する第三の組成物(D)を、オーバーランが300〜500%となるように起泡させて起泡物(E)を得る工程と、
    前記第二の組成物(C)と前記起泡物(E)とを混合して含気組成物(F)を得る工程と、
    前記含気組成物(F)を容器に収容し、焼成して、含気焼成食品を得る工程と、を有し、
    前記加工デンプンの配合量が、前記含気組成物(F)の総質量に対して2〜4質量%となる量であり、前記寒天の配合量が、前記含気組成物(F)の総質量に対して0.1〜1.0質量%となる量であり、前記ゲル破砕物(B)の10℃における粘度が800〜3000mPa・sである、含気焼成食品の製造方法。
  2. 前記ゲル破砕物(B)と前記卵液と前記起泡物(E)との合計量に対する前記ゲル破砕物(B)の割合が58〜80質量%、前記卵液の割合が5〜13質量%、前記起泡物(E)の割合が15〜30質量%である、請求項1に記載の含気焼成食品の製造方法。
  3. 前記第一の組成物(A)が、セルロースをさらに含有する、請求項1または2に記載の含気焼成食品の製造方法。
  4. 前記含気焼成食品、以下の(1)および(2)を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の含気焼成食品の製造方法。
    (1)含気焼成食品の10℃における硬度が130〜180gであって、10℃における硬度から80℃における硬度を差し引いた値が100〜160gであり、
    (2)含気焼成食品の10℃における離水量が0.1〜0.15gであって、80℃における離水量が0.2〜0.5gである。
  5. 前記含気組成物(F)の含気率が45〜150%である、請求項4記載の含気焼成食品の製造方法
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