JP6478773B2 - 泡用製剤、それを含有する泡状食品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、特定のゼラチンを用いた気泡性食品が、適度なオーバーランを有し、口溶けがよく、保型性を兼ね備えていることが記載されている。しかし、実施例で調製されている気泡性食品には、10〜15重量%の生クリーム、20重量%のクリームチーズ、および20重量%の牛乳等が含まれ、多量の油脂が含まれているものである。
特許文献2には、ゼラチン、ネイティブ型ジェランガムおよび脱アシル型ジェランガムを用いた気泡性食品が、45〜65℃でホイップが可能であり、口溶けがよく、適度なオーバーランを有し、保型性を兼ね備えていることが記載されている。しかし、実施例で調製されている気泡性食品には、30重量%のクリーム(植物性脂肪分38%含有)が含まれているものである。また、脱アシル型ジェランガムを用いて乳成分等に含まれるカルシウムと反応して強固なゲル構造を作っているため、ムース、ババロア、ホイップデザート、エスプーマ等の泡状食品らしい食感を得ることはできない。
[1] アルギン酸プロピレングリコールエステル、タマリンドガムおよびゼラチンを含有する泡用製剤。
[2] アルギン酸プロピレングリコールエステル:タマリンドガム:ゼラチンの重量比が、0.02〜1:0.02〜1:0.6〜5の範囲に含まれる、[1]に記載の泡用製剤。
[3] 0.02〜1重量%のアルギン酸プロピレングリコールエステル、0.02〜1重量%のタマリンドガム、および0.6〜5重量%のゼラチンを含有する、泡状食品。
[4] pHが3.0〜7.0であり、泡状食品に対して水を50〜90重量%含有する、[3]に記載の泡状食品。
[5] [1]または[2]に記載の泡用製剤を水に溶解させて、得られた溶液を0〜40℃で起泡させて均一な泡状構造を形成させることによる、[3]または[4]に記載の泡状食品の製造方法。
本発明の泡用製剤が応用できる水が多い食品は、水が多いがゆえに、多種多様な味付けを施すことができる。そこで、従来は作ることができなかった食品に対しても、泡状食品に加工することができる。例えば、フルーツを用いる酸性の食品にも、種々応用が可能である。
本発明の起泡剤を用いれば、40℃程度の高温でホイップしても均一で安定な泡構造を作ることができる。従来の泡用製剤では十分に冷却してからでなければ泡構造を作ることができなかったため、本発明の泡用製剤によって、作業性および作業効率が格段に向上する。
1.泡用製剤
本発明の泡用製剤は、アルギン酸プロピレングリコールエステル、タマリンドガムおよびゼラチンを含有する。
アルギン酸プロピレングリコールエステルとは、褐藻類からの抽出によって製造されるアルギン酸の構成糖であるウロン酸のカルボキシル基にプロピレングリコールをエステル結合させたものである。そのエステル化度は、特に制限はないが、50%以上が好ましく、より好ましくはエステル化度は70%以上、さらに好ましくはエステル化度は75%以上である。また、エステル化度の上限としては95%以下が好ましい。アルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度(固形分1%の水溶液として)としては、300mPa・s以下であることが好ましく、10mP・s以上であることが好ましい。好ましいアルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度としては、60〜250mP・s等が挙げられる。
アルギン酸プロピレングリコールエステルの泡状食品における含有量としては、例えば、0.02〜1重量%が挙げられ、好ましくは0.15〜0.7重量%が挙げられ、より好ましくは0.2〜0.5重量%が挙げられる。含有量が0.02重量%より低い場合、および含有量が1重量%より高い場合は、均一で滑らかな泡構造が得られず、口当たりが悪い。
タマリンドガムは、例えば増粘安定剤等として作用し、タマリンドガムを添加することで、高温でも全体に均一に起泡できるようになる。後述の実験5に示すように、タマリンドガムを他の増粘多糖類に置き換えたところ、食品が分離して、起泡させることができなかった。
タマリンドガムの泡状食品における含有量としては、例えば0.02〜1重量%が挙げられ、好ましくは0.15〜0.7重量%が挙げられ、より好ましくは0.2〜0.5重量%が挙げられる。含有量が0.02重量%より低い場合、および含有量が1重量%より高い場合は、均一で滑らかな泡構造が得られず、口当たりが悪い。
ゼラチンの泡状食品における含有量としては、例えば、0.6〜5重量%が挙げられ、好ましくは1.2〜3重量%が挙げられ、より好ましくは1.5〜2重量%が挙げられる。含有量が0.6重量%より低い場合、および含有量が5重量%より高い場合は、均一であるが滑らかな泡構造が得られず、口当たりが悪い。
本発明の泡状食品は、0.02〜1重量%のアルギン酸プロピレングリコールエステル、0.02〜1重量%のタマリンドガム、および0.6〜5重量%のゼラチンを含有する。より好ましくは、0.15〜0.7重量%のアルギン酸プロピレングリコールエステル、0.15〜0.7重量%のタマリンドガム、および1.2〜3重量%のゼラチンを含有する泡状食品が挙げられ、さらに好ましくは、0.2〜0.5重量%のアルギン酸プロピレングリコールエステル、0.2〜0.5重量%のタマリンドガム、および1.5〜2重量%のゼラチンを含有する泡状食品が挙げられる。
本発明の泡状食品は、例えば、本発明の泡用製剤を上記の含有量となるように添加して、ホイップして起泡させることで調製できる。
本発明の泡状食品のpHとしては、例えば3.0〜7.0が挙げられ、好ましくは3.5〜7.0が挙げられ、より好ましくは3.7〜7.0が挙げられる。
本発明の泡状食品は、水が多く含む食品であってもよいが、その場合、水が多いために多種多様な味付けを施すことができる。そこで、従来は作ることができなかった食品に対しても、泡状食品に加工することができる。例えば、フルーツを用いる酸性の食品にも、種々応用が可能である。
本発明の泡状食品におけるオーバーランは500%程度でも安定性が高く、この多量の気泡によって軽い食感と良好なフレーバーリリースが可能となる。オーバーランとは、起泡前の体積に対して、起泡後の体積が増加した割合(%)を意味する。
糖質としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖等、オリゴ糖、糖アルコール等が挙げられる。甘味料としては、例えばスクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン、ネオテーム、羅漢果抽出物、モナチン、アドバンテーム等が挙げられる。
本発明の泡状食品は、以下の工程に従って、製造することができる。
(1)本発明の泡用製剤を水に溶解させて、対象とする食品の溶液を得る工程、
(2)得られた溶液を0〜40℃に冷却して、起泡させる工程、
(3)必要に応じて特定の容器に移し替えて冷却して、泡状食品を製造する工程。
本発明の泡用製剤を用いれば、40℃程度の高温でホイップしても均一で安定な泡構造を作ることができる。従来の泡用製剤では十分に冷却してからでなければ泡構造を作ることができなかったため、本発明の泡用製剤によって、作業性および作業効率が格段に向上する。
本発明において、ホイップする温度としては、0〜40℃が挙げられ、好ましくは0〜30℃が挙げられる。
評価試験で用いられた試験方法を以下に説明する。
[状態]
冷却後の泡の状態を、下記基準に従って、評価した。
× :分離
○ :やや均一でない弱い泡
◎ :完全に均一な滑らかな泡
泡状食品を冷蔵(10℃以下)で2週間保存した後の泡の状態を観察して、下記基準に従って、長期保存安定性を評価した。
− :試験不実施
○ :泡を安定に維持している
[食感]
食感は5名のパネラーによって、冷却後の泡状食品の口当たりを下記基準で評価し、5名の評価を平均した。
× :悪い
○ :良い
◎ :非常に良い
表1に示す配合で泡状食品を調製した。具体的には、ゼラチン、アルギン酸プロピレングリコールエステル(アルギン酸エステル)、タマリンドガム、およびグラニュー糖を水に加え、85℃で加熱攪拌して溶解させた。その後、水で全量が100重量%となるように調整し、40℃に冷却した。溶液のpHは5.5.5〜5.8であった。その溶液を、40℃で2分間、ミキサー(キッチンエイドKSM5(エフ・エム・アイ社製))でホイップして、容器に充填し、冷蔵庫で冷却して、実施例1〜5、比較例1と2の泡状食品を得た。
実験1と同様にして、ただし、水で全量が100重量%となるように調整した際、クエン酸を表2に記載の量添加して、溶液のpHを3.8に調整して、実施例6〜10、比較例3と4の泡状食品を調製した。
実験1と同様にして、実施例11および12と比較例5〜7の泡状食品を調製した。
実験2と同様にして、実施例13および14と比較例8〜10の泡状食品を調製した。
実験1と同様にして、実施例15と比較例11〜16の泡状食品を調製した。
実験1〜4の実験結果から分かるとおり、アルギン酸プロピレングリコールエステルが0.02〜1.0重量部であり、タマリンドガムが0.02〜1.0重量部であり、ゼラチンが0.6〜5重量部である場合(実施例1〜14)、pHが5.7であっても、3.8であっても、均一で滑らかな泡構造が得られ、口当たりが良好であった。また、実施例で得られた泡状食品は、いずれも冷蔵(10℃以下)で2週間保存しても、分離することなく安定な状態を長時間保持していた。例えば、実施例3の泡状食品は、室温で2〜3日間、放置しても泡状構造を安定に保持していた。実施例で得られた泡状食品のオーバーランは、130〜550%であった。
さらに、アルギン酸プロピレングリコールエステルが0.2〜0.5重量部であり、タマリンドガムが0.2〜0.5重量部であり、ゼラチンが1.2〜3重量部である場合(実施例2〜4、8、9)では、より均一で滑らかな泡構造が得られ、より口当たりが良好であった。
実験5の実験結果から分かるとおり、タマリンドガムを他の増粘多糖類に代えたところ、均一で滑らかな泡構造は得られなかった。
いちご泡
下表の各材料を混合してホイップすることで、いちご泡を調製した。いちご泡のオーバーランは約230%であった。いちごの香り立ちが良く、ふわふわで軽い食感であった。また、冷蔵(10℃以下)で2週間保存しても、分離することなく安定な状態を長時間保持していた。
ミルク泡
下表の各材料を混合してホイップすることで、ミルク泡を調製した。ミルク泡のオーバーランは、約290%であった。ミルクの香り立ちが良く、ふわふわで軽い食感であった。また、冷蔵(10℃以下)で2週間保存しても、分離することなく安定な状態を長時間保持していた。
だし泡
下表の各材料を混合してホイップすることで、だし泡を調製した。だし泡のオーバーランは約260%であった。だしの香り立ちがよく、塩味がまろやかになり、ふわふわで軽い食感であった。また、冷蔵(10℃以下)で2週間保存しても、分離することなく安定な状態を長時間保持していた。
Claims (4)
- 食品に添加されることにより前記食品を泡状食品とする泡用製剤であって、
アルギン酸プロピレングリコールエステル、タマリンドガムおよびゼラチンを含有し、
前記泡状食品において、0.02〜1重量%の前記アルギン酸プロピレングリコールエステル、0.02〜1重量%の前記タマリンドガム、および0.6〜5重量%の前記ゼラチンが配合されるように調整された泡用製剤。 - 0.02〜1重量%のアルギン酸プロピレングリコールエステル、0.02〜1重量%のタマリンドガム、および0.6〜5重量%のゼラチンを含有する、泡状食品。
- pHが3.0〜7.0であり、泡状食品に対して水を50〜90重量%含有する、請求項2に記載の泡状食品。
- 請求項1に記載の泡用製剤を水に溶解させて、得られた溶液を0〜40℃で起泡させて均一な泡状構造を形成させることによる、請求項2または3に記載の泡状食品の製造方法。
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