JPH06319458A - 組合せ冷菓及びその製法 - Google Patents

組合せ冷菓及びその製法

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JPH06319458A
JPH06319458A JP5133010A JP13301093A JPH06319458A JP H06319458 A JPH06319458 A JP H06319458A JP 5133010 A JP5133010 A JP 5133010A JP 13301093 A JP13301093 A JP 13301093A JP H06319458 A JPH06319458 A JP H06319458A
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清登 岡
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悟 宮本
Ryusuke Miyashita
隆介 宮下
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アイスクリーム等の冷菓を、ゼラチンを5重
量%以上、水分を36重量%以上含有してなる、マシュ
マロ、ムース、泡雪羹様の食感を呈する多起泡性食品で
被覆してなることを特徴とする組合せ冷菓であり、この
組合せ冷菓を製造するに際し、(A)ゼラチン5重量%
以上、水分36重量%以上の多起泡性食品を調製する工
程、(B)40℃以上に保持された上記多起泡性食品
で、可食性芯材を被覆し、被覆冷菓とする工程及び
(C)上記被覆冷菓表面を急速冷却する工程を順次備え
てなることを特徴とする組合せ冷菓の製法である。 【効果】 外的衝撃に対して強く保形性に優れ、また、
べたつきの生じない、ソフトな食感の多起泡性食品で、
均一に所望の厚みに被覆された組合せ冷菓を提供し得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マシュマロ、ムース、
泡雪羹様の食感を呈する多起泡性食品で冷菓が被覆され
ている組合せ冷菓及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、マシュマロ、ムース、泡雪羹の
ような、特有の軟らかい食感を有する多起泡性食品を用
いた組合せ冷菓としては、例えば、特公昭63−484
99号公報に記載のマシマロ冷菓が挙げられる。この冷
菓は、水分20〜35%のマシマロを冷菓に被覆してな
るものである。このマシマロ冷菓に使用されるマシマロ
は、その水分を、通常のマシマロの水分(約18%)よ
りも高い水分に設定することにより、冷凍下でもソフト
で常温のマシマロに近い食感を有するようにしたもので
ある。しかしながら、このマシマロ冷菓は、通常のゼラ
チン使用量(約3%)であるにも拘わらず、水分を高く
設定しているため、起泡性すなわち空気含有率(オーバ
ーラン(以下ORと記す))は、250%程度が上限で
あり、多起泡性食品としてのソフトな食感に限界があ
る。また、ORが250%に近づくにつれて、「ツノ」
がピンと立つような固い流動性のない状態に泡立ってし
まい、この含泡物で冷菓を被覆すると、冷菓への馴染み
が悪く、均一に被覆することができない。また、冷菓に
被覆したあとのゲルセット力が弱いために保形性が弱
い。従って、市場に流通した際に、外部から少しの押圧
や落下、振動等の衝撃が加わるだけでマシマロ部が剥が
れたり、欠損したりして外観を損ない易い。また、この
方法では、マシマロを冷菓に被覆する方法として、ま
ず、流動性のあるマシマロ生地を、成形用澱粉(スター
チモールド)中に流して成形した後、表面に付着した余
分な澱粉を篩別したマシマロを包あん機に供給し、別の
ノズルから供給されるアイスクリームを被覆している。
しかしながら、流動性のあるマシマロ生地に成形用澱粉
を接触させると、澱粉がマシマロ表面に多量に付着する
ので、篩別をしてもマシマロが粉っぽい風味となってし
まう。また、包あん機から排出されたマシマロ冷菓は、
そのままでは表面がべたついているので、再度成形用澱
粉を被覆する必要があり、成形用澱粉の量が多くなって
しまう。
【0003】また、上記以外に多起泡性食品と冷菓を組
み合わせた例としては、実開昭50−87184号公報
に記載の方法が挙げられる。この方法は、ゼラチン1〜
4%、水分30〜60%に設定されたマシマロを、冷菓
の内部に充填するものである。この方法で得られるマシ
マロも、ゼラチン使用量が少ないわりに水分量が多いた
め、それ自体では保形しにくいものであり、一般にマシ
マロソースと呼ばれる流動性を帯びた多起泡性食品であ
る。従って、このマシマロで冷菓を被覆すると、被覆表
面がべたついてしまい、包材にマシマロが付着してしま
うという問題点がある。
【0004】また、他の例としては、特開昭59−20
3449号公報に記載の方法が挙げられる。この方法で
は、ゼラチンと、大豆蛋白等の蛋白分解物質とを含む水
分45〜60%の溶液を、−3〜25℃の低温で起泡し
て、OR100〜150%の冷菓用含泡組成物を得るも
のである。しかしながら、この方法では、25℃以下で
起泡しているので、ORが低く、泡雪のようなソフトな
食感とはなりにくい。また、蛋白分解物質を添加するこ
とで、起泡した泡のキメが粗くなるのを防止している
が、蛋白分解物質は、特有の臭いや味があるため、含泡
組成物自体の風味を悪くするという問題がある。また、
この方法において、起泡する温度を40℃以上に上昇さ
せると、ORは高くなるものの、流動性が高くなりすぎ
て、可食性芯材に被覆したときに含泡組成物は流れ落ち
てしまい、均一に被覆することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みなされたものであって、その目的とするとこ
ろは、外的衝撃に対して強く保形性に優れ、また、べた
つきの生じない、ソフトな食感の多起泡性食品で、均一
に所望の厚みに被覆された組合せ冷菓及びその製法を提
供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、冷菓を、
ゼラチンを5重量%以上、水分を36重量%以上含有し
てなる多起泡性食品で被覆してなることを特徴とする組
合せ冷菓、並びに、冷菓を多起泡性食品で被覆してなる
組合せ冷菓を製造するに際し、下記工程を順次備えてな
ることを特徴とする組合せ冷菓の製法によって達成され
る。 (A)ゼラチン5%以上、水分36%以上の多起泡性食
品を調製する工程。 (B)40℃以上に保持された上記多起泡性食品で、可
食性芯材を被覆し、被覆冷菓とする工程。 (C)上記被覆冷菓表面を急速冷却する工程。
【0007】次に、本発明を詳しく説明する。本発明の
組合せ冷菓としては、例えば、図1に示すような形態の
ものが挙げられる。同図において、1は芯材としての冷
菓、2は多起泡性食品、3は組合せ冷菓である。まず、
冷菓1は、アイスクリーム、かき氷等の一般に冷菓とい
われるものの他、ケーキ、ビスケット等の菓子類、餅、
パン等の各種食品でもよく、これらの中から適宜選択
し、単独もしくは組み合わせて用いればよい。また、こ
れらは、常法により適宜調製すればよい。例えば、アイ
スクリーム等の冷菓の場合には、図3(a)、(b)に
示すように、冷媒12に浸漬したモールド11内に冷菓
ミックス1aを投入し、更に、平バー10を挿入して冷
却し、脱型することにより得られる。
【0008】次に、本発明にて用いる多起泡性食品2
は、ゼラチンを含有するものである。ゼラチンとして
は、好ましくは150〜350ブルーム(ゼラチンをゼ
リー化したときの強度を示す値)、更に好ましくは25
0〜300ブルームの範囲のものを使用すると、多起泡
性食品としての好ましい弾力性とソフトな食感が付与さ
れ、また、均一被覆性の点で好適である。また、ゼラチ
ンの含有量は、多起泡性食品全体重量中、5%以上、更
に好ましくは7〜15%に設定する。ゼラチンの使用量
が5%未満だと、多起泡性食品表面がべたついて、包材
に付着しやすくなり、また、保形性が悪く、少しの衝撃
で変形、剥離、欠損等が起こり易くなる。また、ORが
出にくく、OR250%程度で上限に達し、多起泡性食
品の流動性が少なくなり、芯材の冷菓に均一に被覆しに
くい。逆に、15%を超えると、冷凍後の食感がゴム様
の弾性の強い食感となる傾向にあり、また、起泡したと
きに流動性が少なく、均一に被覆しにくい傾向にある。
【0009】また、水分は、多起泡性食品仕上がり時水
分として、36%以上、好ましくは、40〜60%、よ
り好ましくは45〜55%に設定する。このように、水
分を設定することにより、後述のようにORを高くする
ことができ、被覆性、操作性が良好となり、その結果、
外観に優れた組合せ冷菓が得られる。すなわち、水分が
36%未満だと、多起泡性食品溶液の流動性が少なくな
り、起泡したときにORが出にくいので、ソフトな食感
の多起泡性食品が得られない。また、起泡して得られる
多起泡性食品の流動性も少なくなり、冷菓に均一に被覆
しにくくなる。また、水分が70%を超えると、起泡す
るのに時間がかかり、また、得られる多起泡性食品を冷
菓に被覆したときに、流れ落ち易くなって均一に被覆し
にくくなると共に、得られる組合せ冷菓の表面がべたつ
いたり、保形性が悪くなる傾向にある。
【0010】また、多起泡性食品には、ゼラチンと共に
糖類を用いることが好適である。糖類の種類は、特に限
定するものではなく、砂糖、水飴、糖アルコール、還元
糖、澱粉分解物、還元澱粉糖、異性化糖等一般に食品に
用いられている糖質甘味料や多糖類が挙げられ、これら
は適宜選択して単独もしくは数種組み合わせて用いれば
よい。また、その含有量は、上記のように、多起泡性食
品の水分が36%以上となるよう適宜調整して用いれば
よい。また、上記原料の他、乳製品、油脂、澱粉類、安
定剤、乳化剤、着色料、香料、酸味料、酒類、果汁、各
種エキス、調味料、ココア、コーヒー、茶類等各種呈味
原料や品質改良剤を適宜選択し、単独もしくは数種組み
合わせて用いてもよい。あるいは、多起泡性食品を起泡
させた後、ナッツ、果肉類、キャンディ等の粒状食品を
混合してもよい。
【0011】次に、本発明の組合せ冷菓は、例えば、次
のようにして製造される。すなわち、まず、ゼラチン
と、その他の多起泡性食品原料とを、好ましくは予め粉
体混合した後、水を添加し、好ましくは65℃以上、更
に好ましくは70〜80℃に到達するまで加熱しなが
ら、攪拌、溶解する。そして、必要に応じ、殺菌をした
後、好ましくは35〜65℃、更に好ましくは45〜5
5℃に保温し、水分を補正して多起泡性食品溶液とす
る。なお、ゼラチンとその他の多起泡性食品原料とを溶
解する水は、単なる水の他、多起泡性原料を溶解、分
散、混合した水溶液や、果汁、牛乳等の水性原料でもよ
い。
【0012】次に、上記温度範囲に保温された多起泡性
食品溶液を、泡立て器、ホイップマシン、ミキサー等の
起泡手段を用いて起泡する。このとき、保温する温度が
35℃未満だと、ゲル化が始まって起泡しにくくなる傾
向にある。逆に、65℃を超えると、水分の蒸発量が多
くなり、多起泡性食品の流動性が少なくなって、芯材に
均一に被覆しにくくなったり、多起泡性食品のキメが粗
くなる傾向にある。
【0013】また、多起泡性食品のORは、好ましくは
100〜400%、更に好ましくは200〜350%に
設定する。ORが100%未満の場合、凍結したとき
に、多起泡性食品特有のソフトで口どけのよい食感が乏
しくなったり、多起泡性食品の流動性が高すぎて、冷菓
に被覆したときに流れ落ち易くなる傾向にある。逆に、
ORが400%を超えると、食感が軟らかくなりすぎた
り、保形性が乏しくなったり、キメが粗くなって被覆し
たときの外観が悪くなったりする傾向にある。なお、O
Rは、空気含有率を示すものであり、本発明において
は、次のようにして求めたものである。すなわち、ま
ず、100ccのカップに起泡前の多起泡性食品溶液
(45℃)を満たし、重量を秤量し、重量Aとする。次
いで、起泡後の多起泡性食品(45℃)を同じカップで
秤量し、重量Bとして、次式により求める。 OR(%)=(A−B)÷B×100(小数点以下四捨
五入)
【0014】次に、上記起泡した多起泡性食品を、40
℃以上、好ましくは45〜55℃に保温し、例えば、図
3(c)に示すように、予め用意した冷菓1を、多起泡
性食品2中に浸漬し、被覆冷菓3′とする。被覆する際
の多起泡性食品の温度が40℃未満だと、多起泡性食品
のゲル化が始まり、流動性がなくなってきて、均一に冷
菓に被覆することができない。逆に、60℃を超える
と、多起泡性食品からの水分蒸発量が多くなって、多起
泡性食品の流動性が少なくなり、冷菓に均一に被覆しに
くくなったり、食感が硬くなったり、きめが粗くなった
りする傾向にある。また、芯材がアイスクリーム等の場
合、被覆時に冷菓が溶け易くなる。
【0015】なお、冷菓1は、予め冷却しておくと、多
起泡性食品を均一に被覆し、また、被覆量を多くできる
点で好適である。その際、冷却温度は、好ましくは−5
℃以下、より好ましくは−10〜−15℃以下に設定す
る。また、冷菓1を、多起泡性食品2中に浸漬する時間
は、通常、0.1〜20秒間、冷菓1がアイスクリーム
等の場合には、1〜5秒間が好適である。
【0016】次に、上記被覆冷菓3′の表面を急速冷却
する。冷却する方法としては、フリーザー凍結、液体窒
素浸漬、粉末状ドライアイス塗布等の急速冷却処理方法
が挙げられ、適宜選択して単独もしくは組み合わせて用
いればよい。特に液体窒素浸漬は、表面の硬化を均一に
行う点で好適である。また、粉末ドライアイス塗布は、
被覆冷菓表面を凹凸状に仕上げることができる。このよ
うに、急速冷却を行うことにより、長期保存中にも表面
のべたつきのない組合せ冷菓とすることができる。
【0017】以上のようにして製造された組合せ冷菓
は、商品化する際には包装した後、冷凍した状態で流通
される。このようにして得られた組合せ冷菓は、ソフト
な食感を有し、かつ、保形性の良好な多起泡性食品で被
覆された冷菓である。
【0018】なお、上記のようにして製造する際には、
特願平2−149107号に記載の装置を用いるとより
好適である。すなわち、冷菓1を保持して、多起泡性食
品2に浸漬し、更にその被覆冷菓3′を搬送する主搬送
コンベアの間歇送り運動に同期する副搬送コンベアを併
設し、主搬送コンベア上の被覆冷菓3′を副搬送コンベ
アに移し、この副搬送コンベアによって被覆冷菓3′を
搬送しながら冷却処理を施した後、処理に要したピッチ
分だけ進んだ主搬送コンベアの位置に再び戻すようにし
た一連の装置を用いると好適である。また、本発明の組
合せ冷菓の形態は、芯材の浸漬工程を簡易に行う場合に
はアイスバータイプが好適であるが、エンローバー等の
浸漬装置を用いて、バーを用いずに任意形状の組合せ冷
菓としてもよい。あるいは、容器に多起泡性食品を充填
後、芯材生地の供給ノズルを多起泡性食品内に挿入して
注入するようにしてもよい。もしくは、多起泡性食品と
芯材生地との充填を同時に行うようにしてもよい。
【0019】また、上記のようにして得られた組合せ冷
菓表面に、付着防止材4を被覆すると、組合せ冷菓表面
のべたつきをより防止でき、好適である。付着防止材4
としては、澱粉類、ラクトース、マンニット等の糖類、
粉末油脂、粉乳、ココア粉末、インスタントコーヒー、
粉末茶類、黄粉等の大豆食品粉末、粉末酒等の粉末食品
やこれらを造粒したり、着色したり、味付けしたり、粉
末表面に油脂を被覆した加工粉末等が挙げられる。ある
いは、種実類、乾果、パン粉等や、菓子類、食品をチッ
プ、フレーク状に加工した粒状物等が挙げられる。ある
いは、コーティングチョコレート等の油脂類や、糖類、
アルコール、酸味料、増粘多糖類、着色料、香料等を溶
解した水性媒体、または果汁、牛乳等の液状食品が挙げ
られる。これらは適宜選択して単独もしくは数種組み合
わせて用いればよい。
【0020】付着防止材の被覆方法としては、ドライコ
ーター、浸漬槽等の従来用いられている被覆方法を用い
ればよい。なお、水性媒体や液状食品を被覆する場合に
は、水性媒体もしくは液状食品を予め0〜10℃程度に
冷却したものを用い、被覆後、更に急速冷却をすると好
適である。また、上記のように、被覆冷菓の表面を急速
凍結した後、付着防止材を被覆すると、付着防止材が過
剰に多起泡性食品表面に吸着されることなく、必要最少
量で均一に被覆することができる。また、組合せ冷菓の
表面を焼いて焦げ目をつけたり、衣を付けてフライした
り、多起泡性食品を被覆した上から更に異なる多起泡性
食品等を被覆した多層冷菓としたりしてもよい。
【0021】また、上記のようにして得られる被覆冷菓
3′表面に対して、図4に示すように、板状物14a、
14bを接触させた後(P1 ,P2 )、引き離し
(Q1 ,Q2 )、これを急速冷却するようにすると、図
2に示すように、多起泡性食品表面に突起5が形成さ
れ、外観的変化に富んだ組合せ冷菓とすることができる
ので好適である。上記板状物は、被覆冷菓表面に接触し
得る形状であれば良く、平板状、波板状、メッシュ状
等、形成させたい突起の形状に合わせて任意形状に設定
すればよい。また、その大きさは、形成させたい突起の
範囲に応じて適宜設定すればよい。また、突起5は被覆
冷菓全面に形成してもよく、任意の部位に形成させるよ
うにしてもよい。また、板状物を被覆冷菓表面に接触さ
せる回数は、任意に設定すればよい。あるいは、板状物
を移動させながら複数回接触させるようにしてもよい。
【0022】また、本発明に係る多起泡性食品の配合に
おいては、ホイッパーの回転スピードが強かったり、泡
立てる時間が長くなる等の起泡条件の変化によって、見
かけのオーバーランは同じでも、気泡が微細化し、物性
的に固くツノが立つような状態に泡立ってしまい、流動
性が低下して、冷菓に被覆したときに、均一な被覆がで
きないことがある。また、この状態は不可逆的で、一度
固く泡立つと、元の状態に戻すことが困難となり、無理
に元の流動性のある状態にしようとすると、起泡が粗く
なったり、ORが低くなったりする。そこで、冷菓を多
起泡性食品中に浸漬して被覆する際に、冷菓に振動を与
えるようにすると、芯材表面と多起泡性食品との馴染み
が良くなり、流動性の少ない多起泡性食品であっても、
均一に冷菓に被覆でき好適である。
【0023】振動を与える方法としては、冷菓を多起泡
性食品に浸漬している間、冷菓の保持装置が振動もしく
は揺動するようにしてもよいし、多起泡性食品が収容さ
れている保温槽が振動もしくは揺動するようにしてもよ
い。あるいは、冷菓の保持装置と保温槽の双方が振動も
しくは揺動するようにしてもよい。また、振動を与える
方向は、図5に示すように、上下動(R1 とR2 の方
向)、横揺れ(R3 とR4 の方向)、らせん方向(図示
せず)等、任意に設定でき、適宜これらを組み合わせて
もよい。
【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明の組合せ冷菓は、
ゼラチン配合量と水分量とが従来の多起泡性食品よりも
高く設定され、高ORで高水分の多起泡性食品で被覆さ
れており、特有のソフトで弾力のある食感が冷凍下でも
保持され、かつ、保形性が良好なものである。このた
め、ソフトな食感を有しながらも流通過程等での押圧、
落下等の外部からの衝撃に強く、通常の包装で充分外観
を保持できるものである。また、高水分でありながら、
表面にべたつきが生じず、包材に付着することがない。
【0025】また、多起泡性食品の冷菓への被覆工程に
おいては、多起泡性食品が高ORでありながら、40℃
以上に保持され、適度な流動性を有しているため、多起
泡性食品を均一な厚みに芯材全周に亘って被覆すること
ができ、被覆表面を滑らかに仕上げることができる。ま
た、製造工程において、多起泡性食品を冷菓に被覆後、
表面を急速冷却しているので、包装工程での変形が防止
され、また、組合せ冷菓表面のべたつきが防止される。
【0026】次に、本発明を実施例に基づき、具体的に
説明する。 〈実施例1〜8、比較例1〜3〉 《冷菓の調製》表1に示す組成でアイスクリームミック
スを常法に従い調製した後、フリージングしてOR20
%、全固形分31%のバニラアイスクリームを得た。次
いで、これを、図3に示すように、冷媒12に浸漬した
モールド11内に80cc充填し、平バー10を差し込
んで凍結させ、モールド11から離型してアイスクリー
ムバーとし、これを冷菓1として用いた。
【0027】
【表1】
【0028】《多起泡性食品の調製》表2もしくは表3
に示す組成で多起泡性食品を調製した。すなわち、ま
ず、粉体原料を粉体混合した後、他の原料と混合し、湯
煎にて攪拌しながら80℃まで加温した。次いで、80
℃で10分間殺菌した後、45℃に保温し、水分を所定
値に補正後、ケーキミキサーでホイップ用攪拌羽を用い
て泡立て、所定のORに調整し、多起泡性食品2を得
た。
【0029】《組合せ冷菓の調製》上記のようにして得
られた多起泡性食品2を保温ジャケット付き浸漬槽13
に供給し、45℃に保温した。次いで、上記のようにし
て調製した冷菓1を、液体窒素槽(図示せず)に1秒間
浸漬して表面温度を−15℃にした後、図3に示すよう
に、浸漬槽13に2秒間浸漬し、引き上げて、被覆冷菓
3´とした。次いで、上記被覆冷菓3´を液体窒素槽
(図示せず)に2秒間浸漬して急速冷却し、更に、その
表面にカカオパウダーを被覆し、図1に示すような組合
せ冷菓3を得た。そして、ポリエチレン包材で三方ピロ
ー包装した。
【0030】以上のようにして得られた実施例品、比較
例品のカカオパウダー付着量(g)を測定し、更に、均
一被覆性、及び−20℃で4週間保管した後、開封して
表面のべたつき(包材への多起泡性食品の付着有無)を
目視にて確認した。また、上記実施例品、比較例品を各
20本ずつ段ボール箱に収容し、振盪機に収容、固定し
て、振盪数50回/分、振幅30cmで5分間横揺れで
振盪した。この後、各試験品を取り出して、外観の変化
(耐衝撃性)を目視にて確認した。また、専門パネラー
20名にて喫食し、食感について官能評価した。その結
果を表2及び表3に併せて示す。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】以上のように、実施例1〜3の組合せ冷菓
は、いずれも外観、食感共に良好であった。また、実施
例4〜7の組合せ冷菓は、水分もしくはORの影響で、
いずれかの項目がやや劣っていた。また、実施例8の組
合せ冷菓は、付着防止材は用いていないが、ゼラチン量
が多いため、組合せ冷菓表面のべたつきが改善されてい
た。
【0034】これに対し、比較例1の組合せ冷菓は、ゼ
ラチン量が不足し、ORが出にくく、食感が悪くなると
共に、気泡が粗くなり、外観的に好ましくなかった。ま
た、比較例2の組合せ冷菓は、水分が少なく、ORが出
にくくなって、食感が悪くなると共に、気泡が粗くな
り、外観的に好ましくなかった。また、比較例3の組合
せ冷菓は、多起泡性食品のORは250%が限界であ
り、ソフト感、弾性が乏しくなると共に、OR250%
では、流動が少なく、冷菓への被覆にムラがあり、外観
的に好ましくなかった。また、耐衝撃性が弱く、変形し
易かった。
【0035】〈比較例4〉被覆温度を35℃とする他
は、実施例1と同様とした。
【0036】〈比較例5〉被覆冷菓表面を急速冷却せず
にココアパウダーを付着させる他は、実施例1と同様に
した。上記比較例4、5について、実施例1と同様に評
価した。その結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】表4より、比較例4の組合せ冷菓は、被覆
温度が低かったため、多起泡性食品がゲル化してしま
い、冷菓に殆ど付着せず、被覆性が悪かった。また、比
較例5の組合せ冷菓は、急速冷却を施さなかったため
に、付着防止材がまだらに付着し、べたつきが残り、外
観的にも食感的にも好ましくなかった。また、付着防止
材の付着量が増加した。また、包材に収容したときに、
多起泡性食品が柔らかすぎて変形を生じた。
【0039】〈実施例9〉多起泡性食品表面に突起を形
成させる他は実施例1と同様とした。すなわち、まず、
図3に示すように、多起泡性食品2を、保温ジャケット
付き浸漬槽13に供給し、40℃に保温した。次いで、
冷菓1を、液体窒素槽(図示せず)に1秒間浸漬して表
面温度を−15℃にした後、浸漬槽13に2秒間浸漬
し、引き上げて被覆冷菓3´とした。次いで、図4に示
すように、板状物14a、14bをP1 、P2 方向に作
動して、被覆冷菓3´に接触させ、次に、Q1 、Q2
向に戻して被覆冷菓3´に突起5を複数形成させた。上
記被覆冷菓3´を液体窒素槽(図示せず)に2秒間浸漬
して、急速冷却し、組合せ冷菓3とした。上記のように
して得られた組合せ冷菓は、被覆性、耐衝撃性、食感が
良好であると共に、組合せ冷菓表面に突起が形成され、
外観的変化に富んだ組合せ冷菓であった。
【0040】〈実施例10〉実施例1において、ORを
350%にし、冷菓表面に多起泡性食品を被覆するに際
し、図5に示すように、R3 、R4 方向に芯材を振動さ
せる他は実施例1と同様として組合せ冷菓を得た。な
お、冷菓への振動は、芯材保持手段にバイブレーターを
併用することで行った。その結果、多起泡性食品の流動
性が少ないにも関わらず、多起泡性食品を芯材表面に均
一に被覆でき、また、外観、食感共に良好であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組合せ冷菓の一例を示す説明図。
【図2】本発明の組合せ冷菓の他の一例を示す説明図。
【図3】本発明の組合せ冷菓の製造工程の一例を示す説
明図。
【図4】本発明の組合せ冷菓の製造工程の他の一例を示
す説明図。
【図5】本発明の組合せ冷菓の製造工程の他の一例を示
す説明図。
【符号の説明】
1 冷菓 2 多起泡性食品 3 組合せ冷菓 3´ 被覆冷菓 4 付着防止材 5 突起 10 平バー 11 モールド 12 冷媒 13 浸漬槽 14a、14b 板状物

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷菓を、ゼラチンを5重量%以上、水分
    を36重量%以上含有してなる多起泡性食品で被覆して
    なることを特徴とする組合せ冷菓。
  2. 【請求項2】 冷菓を多起泡性食品で被覆してなる組合
    せ冷菓を製造するに際し、下記工程を順次備えてなるこ
    とを特徴とする組合せ冷菓の製法。 (A)ゼラチン5重量%以上、水分36重量%以上の多
    起泡性食品を調製する工程。 (B)40℃以上に保持された上記多起泡性食品で、可
    食性芯材を被覆し、被覆冷菓とする工程。 (C)上記被覆冷菓表面を急速冷却する工程。
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