JPWO2006008933A1 - 立毛布帛 - Google Patents

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Abstract

ソフトな風合いを有しながらもボリューム感及びリカバリー性に優れた、極めて天然毛皮に似た毛さばき性の良い触感を有するパイル布帛を提供することを目的とする。すなわち、本発明は繊維断面が扁平比9〜15の範囲内である扁平形であって、繊度が6〜10デシテックス、繊維表面の繊維軸と垂直方向に0.25〜1.5μmの凹凸を有するアクリル系繊維(A)を、パイル部全体を構成する繊維に対して40〜80重量%含有し、且つ、扁平比が1〜4の範囲内である繊維断面を有し、繊度が2〜8デシテックスであるアクリル系繊維(B)を前記パイル部全体に対して20〜60重量%含有する平均パイル長が12〜30mmであることを特徴とするパイル布帛に関する。

Description

本発明は毛さばき性に優れた天然毛皮並の触感を有するパイル(立毛)布帛製品に関する。
一般に、天然毛皮を構成する立毛繊維は、根元部が太く、毛先部が細い、比較的長さの長い刺毛と細くて比較的長さの短い産毛からなり、ソフトでありながらリカバリー性に優れた風合いを有している。これに対し、合成繊維からなるパイル布帛商品は従来から数多く提案・上市されている。しかしながら、原料となる繊維が長さ方向に均一な太さを有するため、天然毛皮の根元の太さと同じ太さの合成繊維を用いると繊維のソフトさを著しく損ない、一方で、先端の太さと同じ太さの繊維を用いると腰のない風合いとなってしまう。従って、これらの原因により天然毛皮並みの触感を有するパイル製品は得られていないのが現状である。
これに対し、これまでにも様々な技術が開示されている。例えば、(特許文献1)では、0.230以下の繊維−繊維間の摩擦係数を有する収縮性繊維と扁平又は楕円断面を有する非収縮性繊維とからパイル布帛を構成することでソフト感、ブルーミング性及び立毛状のいずれもを満たしうる技術が示されている。
また、(特許文献2)では、表面に凹凸形状を有するアクリル系合成繊維の繊維断面外周に沿って一定の中心線粗さを有するものは、シリコン処理による効果が最大限発揮され、その結果、極めて優れた獣毛調の風合いを有する繊維を得ることが記されている。
一方で、異形断面繊維の使用や繊維の先端を分割する方法等も多く提案されている。例えば、(特許文献3)に示されるように、先端部が割繊するY字断面繊維を利用し、繊維の断面に力を加えて先端部を割繊させ、根元部の太さのわりには触感がソフトな独特の風合いを有するという技術がある。
また、(特許文献4)には、特定の単繊維繊度を有した繊維であって、かつ、この単繊維繊度と断面二次モーメントとの関係が一定関係を満たす亜鈴形、Y字形、十字形断面を代表例とする異形断面繊維からなるパイル地製品に天然毛皮の風合いが発現することが示されている。
(特許文献5)、(特許文献6)、(特許文献7)では、特定の扁平比、繊度、及びこれらの繊維断面形状に起因した繊維表面の凹凸の数・大きさを有するパイル用原綿を用いることで毛さばき性、嵩高性及びソフトな触感を有するパイル地に関する技術が示されている。
さらには、(特許文献8)に、繊維の繊維断面形状を異形断面形状とし、この繊維断面形状をコントロールした繊維を刺毛部分に用い、その結果、特定の厚み−圧縮応力特性を示す触感に優れたパイル布帛を得ることが記されている。
しかしながら、このようにして得られたパイル布帛、もしくはこれらの原綿を用いて作成されたパイル布帛は、ソフト感、ボリューム感及びリカバリー性のすべてを十分に満足するものではない。
特開平8−260289号公報 特開平11−21769号公報 特開平1−51564号公報 特開平11−217725号公報 特開平8−260234号公報 特開平9−78375号公報 特開平9−78378号公報 特開平10−158959号公報
本発明は、毛さばき性に優れた天然毛皮並の触感を有するパイル(立毛)布帛製品を得ようとするものである。
本発明は、繊維断面が扁平比9〜15の範囲内である扁平形であって、繊度が6〜10デシテックス、繊維表面の繊維軸と垂直方向に0.25〜1.5μmの凹凸を有するアクリル系繊維(A)を、パイル部全体を構成する繊維に対して40〜80重量%含有し、且つ、扁平比が1〜4の範囲内である繊維断面を有し、繊度が2〜8デシテックスであるアクリル系繊維(B)を前記パイル部全体に対して20〜60重量%含有する平均パイル長が12〜30mmであることを特徴とするパイル布帛に関するものである。
好ましい形態としては、扁平比3〜15の範囲内である扁平形であって、繊度が12〜33デシテックスであるアクリル系繊維(C)をパイル部全体を構成する繊維に対して5〜25重量%含有する請求項2に記載のパイル布帛に関するものである。
また、このときの該アクリル系繊維(B)は非収縮性アクリル系繊維であることが好ましい。さらに、該アクリル系繊維(A)を構成する重合体のアクリロニトリル重量は、特に限定されないが、より好ましくは30〜70重量%である。
該アクリル系繊維(B)の繊維表面にオルガノポリシロキサンが付着してなることを特徴とするものが好ましく、該アクリル系繊維(A)の繊維表面の繊維軸と垂直方向に形成される凹凸がセルロース誘導体により形成されることで本発明の効果が顕著になる。
本発明に係るパイル布帛によれば、天然毛皮が有する良好な毛さばき性を得ることができる。
本発明は、繊維断面が扁平比9〜15の範囲内である扁平形であって、繊度が6〜10デシテックス、繊維表面の繊維軸と垂直方向に0.25〜1.5μmの凹凸を有するアクリル系繊維(A)を、パイル部全体を構成する繊維に対して40〜80重量%含有し、且つ、扁平比が1〜4の範囲内である繊維断面を有し、繊度が2〜8デシテックスであるアクリル系繊維(B)を前記パイル部全体に対して20〜60重量%含有する平均パイル長が12〜30mmであることを特徴とするパイル布帛に関するものである。
ここでいう扁平比とは、繊維断面の長軸の長さと短軸の長さの比であり、より詳しくは、長軸の長さを短軸の長さで割った値で表されものである。また、扁平形とは楕円形、交差円形、繭形、だるま形、ドッグボーン形、リボン形よりなる群から選ばれる断面形状でる。
該アクリル系繊維(A)の扁平比が9未満では、混用する繊維の繊度にもよるが、混用する繊維の繊度が細い場合に収束が起こり、パイル布帛として毛さばき性が悪くなる傾向があり、一方、扁平比が15を超えると、該アクリル系繊維(A)の繊度が比較的小さいことからパイル布帛としてリカバリー性の乏しいものとなる傾向がある。
リカバリー性に乏しいとは、パイル布帛の真上から垂直方向から荷重をかけた後、その荷重を取り除いてもなおパイルを構成する繊維が、圧縮されていた状態から初期の状態に戻りにくいことを意味する。
さらに、繊度が6デシテックス未満では、アクリル系繊維(A)の扁平比が比較的高いことからボリューム感にかけレジリエンスの弱いものとなってしまい、一方、10デシテックスを超えるとやや触感のハードなものとなる傾向があり好ましくない。
また、該アクリル系繊維(A)の繊維表面の繊維軸と垂直方向に形成される凹凸が0.25μm未満であった場合、本発明に記した繊維構成を行なった場合であっても、パイル布帛にべとつきが発生するなど、優れた毛さばき性を発揮せず、従来品と有意差のないものとなってしまう。一方、1.5μmを超える場合は、触感がガサツキ、また、繊維自体が割れやすくなり紡績性等の加工性が低下する傾向がある。
このようなアクリル系繊維(A)の構成割合がパイル部全体を構成する繊維に対して40重量%未満では、パイル布帛において、繊維断面形状、繊度、表面凹凸を規定した該アクリル系繊維(A)の特徴が発揮されず、やはり、従来品と差がなく優れた毛さばき性を有さないものとなってしまい、一方、80重量%以上ではスライバー強度が弱くカード等の加工性が低下するほか、形成されるパイル布帛もボリューム感及びレジリエンスに乏しいものとなってしまう。
好ましい形態としては、該アクリル系繊維(A)をパイル部全体を構成する繊維に対して40〜80重量%、より好ましくは、50〜75重量%の割合で含有し、且つ、扁平比が1〜4、好ましくは、1.5〜3.5の範囲内である繊維断面で、繊度が2〜8デシテックス、より好ましくは3〜5.7デシテックスであるアクリル系繊維(B)をパイル部全体に対して20〜60重量%、好ましくは、25〜50%の割合で含有するものである。
該アクリル系繊維(A)の割合がパイル部全体を構成する繊維に対して40重量%未満であれば、先述したような理由から従来品と差がなく優れた毛さばき性を有さず、一方、80重量%を超える場合には、パイル布帛を触ったときに該アクリル系繊維(B)を混用している効果が少なく、ボリューム感及びリカバリー性に乏しいものとなってしまう。
さらに、該アクリル系繊維(B)の繊維断面の扁平比として4を超えるものは、該アクリル系繊維(A)と混合した場合、パイル部を構成するすべての繊維の扁平比が大きくなってしまいボリューム感にかけ、レジリエンスも弱いものとなってしまう。
繊度が2デシテックス未満では、混合する該アクリル系繊維(A)の扁平比が大きいことから、やはり、ボリューム感にかけレジリエンスの弱いものとなってしまい、一方、繊度が8デシテックスを超える場合には、混用する該アクリル系繊維(A)の扁平比は大きいもののこれらと併用することでハードな触感となってしまう傾向がある。
該アクリル系繊維(B)の混合割合がパイル部全体を構成する繊維に対して20重量%未満では、パイル布帛を触ったときにアクリル系繊維(B)を混用している効果が少なく、ボリューム感及びリカバリー性に乏しく、一方、60重量%を超えるとアクリル系繊維(A)を混合している効果が小さく、収束傾向であり良好な毛さばき性を発現しない。
さらに好ましい形態としては、扁平比3〜15、好ましくは6〜13である繊維断面で、繊度12〜33デシテックス、好ましくは15〜25デシテックスであるアクリル系繊維(C)をパイル部全体を構成する繊維に対して5〜25重量%、好ましくは、10〜20重量%含有してなるパイル布帛である。
該アクリル系繊維(C)を混用する目的、効果としては、天然毛皮の有する刺毛感を出すためであり、これらを考慮した場合、扁平比が3未満では、該アクリル系繊維(C)の繊度が太いことから刺毛感以上に触感の硬いものとなってしまい、一方、扁平比が15以上では該アクリル系繊維(C)の繊度が比較的大きいことから繊維断面が強調された視覚的に異物感を感じるものとなってしまう。ここでいう刺毛感とは、天然の毛皮に触れたときに感じることのできるソフトな触感の中にも感じることのできる立毛感のことである。
また、繊度が12デシテックス未満では、期待効果である刺毛感が発現しにくく、一方、33デシテックス以上では単繊維繊度が太く触感のハードなものとなってしまう。
この時、パイル部全体を構成する繊維に対して該アクリル系繊維(C)の割合が5重量%未満では該アクリル系繊維(C)をブレンドしている効果が充分ではなく、逆に、25重量%以上では、該アクリル系繊維の繊度が大きいことから刺毛感以上に異物が混入したようなひっかかりのある触感のものとなってしまい好ましくない。
また、本発明の好ましいパイル布帛の形態としては、平均のパイル長の範囲が、パイル値用の下限値として12mm、好ましくは13mm、より好ましくは15mmで、上限値としては30mm、好ましくは28mm、より好ましくは25mmである。平均パイル長の下限値については、パイル長12mm未満では、触感のハードなものとなってしまい好ましくなく、パイル長12mmでは、触感は、ややハードとなるが、本発明の特徴であるソフト感とボリューム感の両立を著しく阻害するものではない。パイル長13mmは、ソフト感とボリューム感の両立する下限値である。またパイル長15mmで最適なソフト感とボリューム感のり両立したパイル布帛が得られる。一方、パイル長の上限値については、パイル長30mmを超えるとレジリエンスに乏しいものとなってしまい好ましくない、パイル長30mmは極めてソフトであるが、レジリエンスとしては、限界とる値である。パイル長28mmは、良好なレジリエンスが得られ、パイル長25mmで最適なレジリエンスとソフト感が得られる。このことより、最も良好なパイル布帛の形態は、パイル長が15〜25mmの範囲にあるパイル布帛である。
また、該アクリル系繊維(B)は非収縮性アクリル系繊維であることがより好ましい。該アクリル系繊維(B)が収縮性繊維であった場合、パイル製造工程のテンタリングによる該収縮性繊維の収縮によってアクリル系繊維(A)を巻き込む形で収縮を発現し少なからずパイル部根元の毛さばき性の損なわれたものとなってしまう傾向がある。
この時の非収縮繊維とは、乾熱収縮率が5%未満のものをいう。乾熱収縮率とは、まず、収縮前の繊維を8.83×10-3cN/dtex荷重下で試料長(Lb)を測定し、次にこの繊維試料を無荷重下の状態にて均熱オーブン中で130℃×20分の処理を行ない、この時の収縮後の試料長をLaとして次式より算出されるものである。
乾熱収縮率(%)=[(Lb−La)/Lb]×100
さらには、本発明におけるアクリル系繊維(A)を構成する重合体のアクリロニトリル重量は特に限定されないが、より好ましくはアクリロニトリル30〜70重量%、このとき、アクリロニトリルと共重合可能な他のビニル系モノマーを65〜2重量%及びこれらと共重合可能なスルホン酸基含有ビニル系モノマー0〜10重量%よりなる共重合体である。前記アクリロニトリルと共重合可能なビニル系モノマーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン等に代表されるハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン類、アクリル酸、メタクリル酸に代表される不飽和カルボン酸類及びこれらの塩類、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチルに代表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、グリシジルメタクリレート等に代表される不飽和カルボン酸のエステル類、酢酸ビニルや酪酸ビニルに代表されるビニルエステル類、アクリルアミドやメタクリルアミドに代表されるビニル系アミド類、メタリルスルホン酸やその他ビニルピリジンやメチルビニルエーテル、メタクリロニトリル等公知のビニル化合物があり、これらの1種あるいは2種以上を共重合して得られるアクリル系共重合体であってもよい。
また、前記スルホン酸基含有ビニル系モノマーとしては、スチレンスルホン酸、パラスチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、パラメタクリロイルオキシベンゼンスルホン酸、メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸、又はこれらの金属塩類及びアミン塩類等を用いることができる。
さらに、本発明のパイル布帛を形成する該アクリル系繊維(B)の表面にオルガノポリシロキサンを付着させることで本発明の効果が顕著になる。この場合、アクリル系繊維(A)には該オルガノシロキサンを付着させても付着させなくてもどちらでもかまわない。
前記オルガノシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーンから選ばれる少なくとも一種類を用いるのが好ましい。前記のオルガノポリシロキサンは処理液の形で繊維表面に付着させるが、処理液を付着させた後に90℃以上の温度で処理することで柔軟効果をより発揮することができ、この処理温度のさらに好ましい温度範囲としては100℃以上である。また、上記オルガノポリシロキサンを主体とする処理液はその粘度調節と経時安定性より界面活性剤を用いてオルガノポリシロキサンを水中で乳化したものであることが好ましく、さらに、この乳化状処理液は繊維との親和性を増すために500cp(常温)以下の粘度であることが好ましい。繊維表面へのオルガノポリシロキサンの付着量は繊維重量に対して0.01〜0.7重量%、好ましくは0.03〜0.5重量%であるのが好ましい。0.01重量%未満ではヌメリ感が小さく天然毛皮調の風合いを与えにくく、一方、0.7重量%を超えるとベタツキ感が生じ風合いを損なう恐れがある。
本発明のパイル布帛を形成する該アクリル系繊維(B)の繊維表面の繊維軸方向に形成される凹凸がセルロース誘導体により形成されることで本発明の効果が顕著になる。前記セルロース誘導体としては、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロースエステルがより好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は何等これらに限定されるものではない。実施例の記載に先立ち、分析測定条件及び評価方法について説明する。
(1)繊度測定
繊度は、オートバイブロ式繊度測定機Denior Computer DC−11(サーチ制御電気製)を使用して測定し、サンプル数n=25の平均値を使用した。
(2)扁平比測定
S−3500N走査電子顕微鏡(日立製作所製)を使用し、イオンコーターIB−3型(エイコー・エンジニアリング製)でAu蒸着した繊維断面を観察し、繊維断面の長軸幅と短軸幅とを測定した。長軸幅及び短軸幅はn=25の平均値を使用した。この長軸幅及び短軸幅から扁平比=長軸幅/短軸幅を求めた。
(3)繊維表面の高低差測定
一本の繊維をスライドガラス上に無緊張状態のまま両面テープで固定し、キーエンス社製レーザー顕微鏡を使用して、繊維軸方向に垂直な方向10ケ所について測定を行なった。凹凸の測定方法は、縦軸に凹凸の高さ、横軸に繊維外周方向の長さとすることにより繊維表面の形状を波形化して表し、このときの、凸部の最大値5点の平均値と凹部の最小値5点の平均との差を高低差とした。このときの1ケ所における測定範囲はいずれも10μmで行ない、10ケ所についての平均値を高低差として示した。また、これらの値は、カットオフ値0.08mm設定で自動傾き補正を行なった値である。プローブ顕微鏡の測定条件は、対物レンズ:150倍、内臓レンズ:20倍、スキャンピッチ0.05μmであった。
(4)ハイパイル布帛の作成
得られた繊維に対し、油剤付与、機械クリンプ付与およびカット等の必要な処理、操作を行った。この時の機械クリンプとは、ギアークリンプ法やスタフィングボックス法などの公知の方法で得られたクリンプをいい、特に限定されるものではないが、好ましいクリンプ形状としては、捲縮度4〜15%、好ましくは5〜10%。クリンプの山数としては6〜15山/インチ、好ましくは8〜13山/インチの範囲であるのが良い。前記した捲縮度とはJIS−L1074に代表される測定法によって得られるものである。その後、これらの繊維をカットし、スライバー編機にてパイル布帛を編成した。次いで120℃でプレポリッシング処理とプレシャーリング処理を行ないパイル長を揃えた後、パイル裏面にアクリル酸エステル系接着剤でバックコーテイングを行なった。その後、155℃のポリッシング、続いてブラッシングを行ない、さらに135℃、120℃、90℃でポリッシングとシャーリングを組み合わせ(各工程2回ずつ)、立毛表層部のクリンプを除去することで一定のパイル長を持つ立毛布帛を作成した。
(5)パイル布帛の触感評価
前記のように作成したパイル布帛に対し、毛サバキ性の観点から4段階評価による触感官能的評価を行ない、以下の基準で評価した。
◎:優れた毛サバキ性を有し極めて天然毛皮に近い触感を与える。
○:良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与える。
△:天然毛皮と比較し毛サバキ性がやや劣る。
×:毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくない。
(6)平均パイル長の測定
パイル布帛中のパイル部を構成している繊維を毛並みが揃うように垂直に立たせ、ノギスを用いることで、パイル部を構成している繊維の根元から長パイル部あるいは短パイル部の先端までのそれぞれの長さ(パイル布帛裏面からの長さではない)の測定を10ヶ所について行ない、その平均値を平均パイル長とした。
(製造例1〜5)
アクリロニトリル49重量部、塩化ビニル50重量部とスチレンスルホン酸ナトリウム1重量部よりなるアクリル系共重合体をアセトンに溶解し、さらに前記アクリル系共重合体100重量部に対し、0.8μm以下の粒度分布を持つ分散性に優れた酸化チタン[堺化学工業株式会社製、A−160]を2.3重量部と酢酸セルロース2.5重量部とを加えたものを紡糸原液として孔径0.04×0.65mm、孔数7133の紡糸口金を通し、アセトン濃度が30%の水溶液による凝固浴槽に湿式紡糸し、次いでアセトン濃度が35%と25%の水溶液である2つの浴槽を通し2.0倍の延伸を行ない、その後75℃の水洗浴槽にて前記の延伸と合わせて3.0倍の1次延伸を行なった。その後、得られた繊維に油剤を付与した後、125℃の雰囲気下で乾燥させ、さらに125℃で最終ドラフト6.5倍になるように延伸を行ない、続いて、145℃の乾熱雰囲気下で緩和熱処理により7.8デシテックス(製造例1)、5.6デシテックス(製造例2)、6.5デシテックス(製造例3)、9.5デシテックス(製造例4)、11デシテックス(製造例5)の繊維を得た。この時の扁平比はいずれも12であった。
(製造例6)
製造例1と同様の紡糸原液を用い、孔径0.05×0.43mm、孔数8333の紡糸口金を通し、製造例1と同様の紡糸条件にて7.8デシテックス、扁平比7.6の繊維を得た。
(製造例7)
添加物として、酸化チタンと酢酸セルロースを加えていないこと以外は、製造例1と同様の条件にて製造することによって、7.8デシテックス、扁平比12の繊維を得た。
(製造例8)
アクリロニトリル93重量部、酢酸ビニル7重量部よりなるアクリル系共重合体をジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、さらに、前記アクリル系共重合体100重量部に対し0.8μm以下の粒度分布を持つ分散性に優れた酸化チタン[堺化学工業株式会社製、A−160]2.0重量部を加えたものを紡糸原液として孔径0.04×0.65m
m、孔数7133の紡糸口金を通し、DMAc濃度が60%の水溶液による凝固浴槽に湿式紡糸し1.6倍の延伸を行なった。続いて、この凝固糸を沸水中で溶剤を洗浄しながら5.0倍に延伸後、130℃の熱ローラーで乾燥を行なった。その後、2.5Kg/cm2Gの加圧水蒸気雰囲気下で緩和熱処理することで7.8デシテックスの繊維を得た。この時の扁平比は13であった。
表1に製造例1〜8で得られた繊維の組成並びに特徴を記す。
Figure 2006008933
以下の実施例及び比較例に用いた繊維の「カネカロン(登録商標)」RCLとファンクルH105はアクリル系非収縮繊維で、「カネカロン(登録商標)」AHはアクリル系非収縮繊維でオルガノポリシロキ酸を付着したもの。また「カネカロン(登録商標)」AHDはアクリル系収縮繊維でオルガノポリシロキ酸を付着したものである。
(実施例1、2)
製造例1で得られた繊維にクリンプ付与を行なった後38mmにカットした。次いで、この繊維を詰め密度0.30g/cm3でオーバーマイヤー染色機に詰め、染色処理を行った。この時の染色処方は、 Maxilon Yellow 2RL 200% 0.0228%omf、 Maxilon Red GRL 150% 0.0075%o
mf、 Maxilon Blue GRL 300% 0.0063%omf(以上チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の染料とレベノール WX(花王社製)0.5%omf及びウルトラMT#100(ミテジマ化学社製)0.5g/Lの染色助剤を配合した染色処方で、室温から3℃/分で昇温し98℃に達したところで60分保温染色した。一方、市販のアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH(株式会社カネカ製)を上記と同条件下で染色を行ない、これらを70重量%と30重量%(実施例1)、これらを50重量%と50重量%(実施例2)の割合でを混綿しパイル布帛を作成した。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、実施例1の平均パイル長は18mm、実施例2の平均パイル長は22mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したようにいずれも毛さばき性に優れた極めて獣毛に近い触感を有するものであった。
Figure 2006008933
なお、実施例1に使用した「カネカロン(登録商標)」AHは3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3、実施例2に使用した「カネカロン(登録商標)」AHは5.6dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
(実施例3、4)
製造例3及び製造例4で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したようにいずれも良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平率は3であった。
(実施例5)
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)及びアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」RCL17dtex、51mm(株式会社カネカ製)を順に60重量%、25重量%、15重量%の割合で混綿しパイル布帛を作成した。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛さばき性に優れた極めて獣毛に近い触感を有するものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3で、「カネカロン(登録商標)」RCL17dtex、51mmの繊維断面の扁平比は7.5であった。
(実施例6)
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維とアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AHD(10)4.4dtex、32mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は550g/m2であり、平均パイル長は15mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」AHD4.4dtex、32mmの繊維断面の扁平比は3、収縮率は32%であった。
(実施例7)
製造例8で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。
同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
(比較例1)
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、平均パイル長は35mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
(比較例2〜5)
製造例2および5〜7で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように天然毛皮と比較し毛サバキ性がやや劣る、もしくは、毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
(比較例6)
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を30重量%と70重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように天然毛皮と比較し毛サバキ性がやや劣るものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
(比較例7〜8)
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」RCL7.8dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%(比較例7)、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル繊維「ファンクル(登録商標)」H105 5.6dtex、38mm(三菱レイヨン株式会社製)を70重量%と30重量%(比較例8)、の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は20mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」RCL7.8dtex、38mmの扁平比は6.0、また、「ファンクル(登録商標)」H105 5.6dtex、38mmの扁平比は10.5であった。
本発明に係るパイル布帛によれば、天然毛皮が有する良好な毛さばき性を得ることができ、天然毛皮並の触感を有するパイル布帛製品等に有用である。
本発明は毛さばき性に優れた天然毛皮並の触感を有するパイル(立毛)布帛製品に関する。
一般に、天然毛皮を構成する立毛繊維は、根元部が太く、毛先部が細い、比較的長さの長い刺毛と細くて比較的長さの短い産毛からなり、ソフトでありながらリカバリー性に優れた風合いを有している。これに対し、合成繊維からなるパイル布帛商品は従来から数多く提案・上市されている。しかしながら、原料となる繊維が長さ方向に均一な太さを有するため、天然毛皮の根元の太さと同じ太さの合成繊維を用いると繊維のソフトさを著しく損ない、一方で、先端の太さと同じ太さの繊維を用いると腰のない風合いとなってしまう。従って、これらの原因により天然毛皮並みの触感を有するパイル製品は得られていないのが現状である。
これに対し、これまでにも様々な技術が開示されている。例えば、(特許文献1)では、0.230以下の繊維−繊維間の摩擦係数を有する収縮性繊維と扁平又は楕円断面を有する非収縮性繊維とからパイル布帛を構成することでソフト感、ブルーミング性及び立毛状のいずれも満たしうる技術が示されている。
また、(特許文献2)では、表面に凹凸形状を有するアクリル系合成繊維の繊維断面外周に沿って一定の中心線粗さを有するものは、シリコーン処理による効果が最大限発揮され、その結果、極めて優れた獣毛調の風合いを有する繊維を得ることが記されている。
一方で、異形断面繊維の使用や繊維の先端を分割する方法等も多く提案されている。例えば、(特許文献3)に示されるように、先端部が割繊するY字断面繊維を利用し、繊維の断面に力を加えて先端部を割繊させ、根元部の太さのわりには触感がソフトな独特の風合いを有するという技術がある。
また、(特許文献4)には、特定の単繊維繊度を有した繊維であって、かつ、この単繊維繊度と断面二次モーメントとの関係が一定関係を満たす亜鈴形、Y字形、十字形断面を代表例とする異形断面繊維からなるパイル地製品に天然毛皮の風合いが発現することが示されている。
(特許文献5)、(特許文献6)、(特許文献7)では、特定の扁平比、繊度、及びこれらの繊維断面形状に起因した繊維表面の凹凸の数・大きさを有するパイル用原綿を用いることで毛さばき性、嵩高性及びソフトな触感を有するパイル地に関する技術が示されている。
さらには、(特許文献8)に、繊維の繊維断面形状を異形断面形状とし、この繊維断面形状をコントロールした繊維を刺毛部分に用い、その結果、特定の厚み−圧縮応力特性を示す触感に優れたパイル布帛を得ることが記されている。
しかしながら、このようにして得られたパイル布帛、もしくはこれらの原綿を用いて作成されたパイル布帛は、ソフト感、ボリューム感及びリカバリー性のすべてを十分に満足するものではない。
特開平8−260289号公報 特開平11−21769号公報 特開平1−51564号公報 特開平11−217725号公報 特開平8−260234号公報 特開平9−78375号公報 特開平9−78378号公報 特開平10−158959号公報
本発明は、毛さばき性に優れた天然毛皮並の触感を有するパイル(立毛)布帛製品を得ようとするものである。
本発明は、繊維断面が扁平比9〜15の範囲内である扁平形であって、繊度が6〜10デシテックス、繊維表面の繊維軸と垂直方向に0.25〜1.5μmの凹凸を有するアクリル系繊維(A)を、パイル部全体を構成する繊維に対して40〜80重量%含有し、且つ、扁平比が1〜4の範囲内である繊維断面を有し、繊度が2〜8デシテックスであるアクリル系繊維(B)を前記パイル部全体に対して20〜60重量%含有する平均パイル長が12〜30mmであるパイル布帛に関するものである。
好ましい形態としては、扁平比3〜15の範囲内である扁平形であって、繊度が12〜33デシテックスであるアクリル系繊維(C)をパイル部全体を構成する繊維に対して5〜25重量%含有するパイル布帛に関するものである。
また、このときの前記アクリル系繊維(B)は非収縮性アクリル系繊維であることが好ましい。さらに、該アクリル系繊維(A)を構成する重合体のアクリロニトリル重量は、特に限定されないが、より好ましくは30〜70重量%である。
前記アクリル系繊維(B)の繊維表面にオルガノポリシロキサンが付着しているのが好ましい。また、前記アクリル系繊維(A)の繊維表面の繊維軸と垂直方向に形成される凹凸がセルロース誘導体により形成されることで本発明の効果が顕著になる。
本発明に係るパイル布帛によれば、天然毛皮が有する良好な毛さばき性を得ることができる。
本発明は、繊維断面が扁平比9〜15の範囲内である扁平形であって、繊度が6〜10デシテックス、繊維表面の繊維軸と垂直方向に0.25〜1.5μmの凹凸を有するアクリル系繊維(A)を、パイル部全体を構成する繊維に対して40〜80重量%含有し、且つ、扁平比が1〜4の範囲内である繊維断面を有し、繊度が2〜8デシテックスであるアクリル系繊維(B)を前記パイル部全体に対して20〜60重量%含有する平均パイル長が12〜30mmであるパイル布帛に関するものである。
ここでいう扁平比とは、繊維断面の長軸の長さと短軸の長さの比であり、より詳しくは、長軸の長さを短軸の長さで割った値で表されものである。また、扁平形とは楕円形、交差円形、繭形、だるま形、ドッグボーン形、リボン形よりなる群から選ばれる断面形状でる。
前記アクリル系繊維(A)の扁平比が9未満では、混用する繊維の繊度にもよるが、混用する繊維の繊度が細い場合に収束が起こり、パイル布帛として毛さばき性が悪くなる傾向があり、一方、扁平比が15を超えると、該アクリル系繊維(A)の繊度が比較的小さいことからパイル布帛としてリカバリー性の乏しいものとなる傾向がある。
リカバリー性に乏しいとは、パイル布帛の真上から垂直方向から荷重をかけた後、その荷重を取り除いてもなおパイルを構成する繊維が、圧縮されていた状態から初期の状態に戻りにくいことを意味する。
さらに、繊度が6デシテックス未満では、アクリル系繊維(A)の扁平比が比較的高いことからボリューム感にかけレジリエンスの弱いものとなってしまい、一方、10デシテックスを超えるとやや触感のハードなものとなる傾向があり好ましくない。
また、前記アクリル系繊維(A)の繊維表面の繊維軸と垂直方向に形成される凹凸が0.25μm未満であった場合、本発明に記した繊維構成を行なった場合であっても、パイル布帛にべとつきが発生するなど、優れた毛さばき性を発揮せず、従来品と有意差のないものとなってしまう。一方、1.5μmを超える場合は、触感がガサツキ、また、繊維自体が割れやすくなり紡績性等の加工性が低下する傾向がある。
このようなアクリル系繊維(A)の構成割合がパイル部全体を構成する繊維に対して40重量%未満では、パイル布帛において、繊維断面形状、繊度、表面凹凸を規定した前記アクリル系繊維(A)の特徴が発揮されず、やはり、従来品と差がなく優れた毛さばき性を有さないものとなってしまい、一方、80重量%を超えるとスライバー強度が弱くカード等の加工性が低下するほか、形成されるパイル布帛もボリューム感及びレジリエンスに乏しいものとなってしまう。
好ましい形態としては、前記アクリル系繊維(A)をパイル部全体を構成する繊維に対して40〜80重量%、より好ましくは、50〜75重量%の割合で含有し、且つ、扁平比が1〜4、好ましくは、1.5〜3.5の範囲内である繊維断面で、繊度が2〜8デシテックス、より好ましくは3〜5.7デシテックスであるアクリル系繊維(B)をパイル部全体に対して20〜60重量%、好ましくは、25〜50%の割合で含有するものである。
前記アクリル系繊維(A)の割合がパイル部全体を構成する繊維に対して40重量%未満であれば、先述したような理由から従来品と差がなく優れた毛さばき性を有さず、一方、80重量%を超える場合には、パイル布帛を触ったときに該アクリル系繊維(B)を混用している効果が少なく、ボリューム感及びリカバリー性に乏しいものとなってしまう。
さらに、前記アクリル系繊維(B)の繊維断面の扁平比として4を超えるものは、前記アクリル系繊維(A)と混合した場合、パイル部を構成するすべての繊維の扁平比が大きくなってしまいボリューム感にかけ、レジリエンスも弱いものとなってしまう。
繊度が2デシテックス未満では、混合する該アクリル系繊維(A)の扁平比が大きいことから、やはり、ボリューム感にかけレジリエンスの弱いものとなってしまい、一方、繊度が8デシテックスを超える場合には、混用する前記アクリル系繊維(A)の扁平比は大きいもののこれらと併用することでハードな触感となってしまう傾向がある。
前記アクリル系繊維(B)の混合割合がパイル部全体を構成する繊維に対して20重量%未満では、パイル布帛を触ったときにアクリル系繊維(B)を混用している効果が少なく、ボリューム感及びリカバリー性に乏しく、一方、60重量%を超えるとアクリル系繊維(A)を混合している効果が小さく、収束傾向であり良好な毛さばき性を発現しない。
さらに好ましい形態としては、扁平比3〜15、好ましくは6〜13である繊維断面で、繊度12〜33デシテックス、好ましくは15〜25デシテックスであるアクリル系繊維(C)をパイル部全体を構成する繊維に対して5〜25重量%、好ましくは、10〜20重量%含有してなるパイル布帛である。
クリル系繊維(C)を混用する目的、効果としては、天然毛皮の有する刺毛感を出すためであり、これらを考慮した場合、扁平比が3未満では、前記アクリル系繊維(C)の繊度が太いことから刺毛感以上に触感の硬いものとなってしまい、一方、扁平比が15を超えると、前記アクリル系繊維(C)の繊度が比較的大きいことから繊維断面が強調された視覚的に異物感を感じるものとなってしまう。ここでいう刺毛感とは、天然の毛皮に触れたときに感じることのできるソフトな触感の中にも感じることのできる立毛感のことである。
また、繊度が12デシテックス未満では、期待効果である刺毛感が発現しにくく、一方、33デシテックスを超えると単繊維繊度が太く触感のハードなものとなってしまう。
この時、パイル部全体を構成する繊維に対して該アクリル系繊維(C)の割合が5重量%未満では前記アクリル系繊維(C)をブレンドしている効果が充分ではなく、逆に、25重量%を超えると、該アクリル系繊維の繊度が大きいことから刺毛感以上に異物が混入したようなひっかかりのある触感のものとなってしまい好ましくない。
また、本発明の好ましいパイル布帛の形態としては、平均のパイル長の範囲が、パイル値用の下限値として12mm、好ましくは13mm、より好ましくは15mmで、上限値としては30mm、好ましくは28mm、より好ましくは25mmである。平均パイル長の下限値については、パイル長12mm未満では、触感のハードなものとなってしまい好ましくなく、パイル長12mmでは、触感は、ややハードとなるが、本発明の特徴であるソフト感とボリューム感の両立を著しく阻害するものではない。パイル長13mmは、ソフト感とボリューム感の両立する下限値である。またパイル長15mmで最適なソフト感とボリューム感のり両立したパイル布帛が得られる。一方、パイル長の上限値については、パイル長30mmを超えるとレジリエンスに乏しいものとなってしまい好ましくない、パイル長30mmは極めてソフトであるが、レジリエンスとしては、限界とる値である。パイル長28mmは、良好なレジリエンスが得られ、パイル長25mmで最適なレジリエンスとソフト感が得られる。このことより、最も良好なパイル布帛の形態は、パイル長が15〜25mmの範囲にあるパイル布帛である。
また、前記アクリル系繊維(B)は非収縮性アクリル系繊維であることがより好ましい。前記アクリル系繊維(B)が収縮性繊維であった場合、パイル製造工程のテンタリングによる収縮性繊維の収縮によってアクリル系繊維(A)を巻き込む形で収縮を発現し少なからずパイル部根元の毛さばき性の損なわれたものとなってしまう傾向がある。
この時の非収縮繊維とは、乾熱収縮率が5%未満のものをいう。乾熱収縮率とは、まず、収縮前の繊維を8.83×10-3cN/dtex荷重下で試料長(Lb)を測定し、次にこの繊維試料を無荷重下の状態にて均熱オーブン中で130℃×20分の処理を行ない、この時の収縮後の試料長をLaとして次式より算出されるものである。
乾熱収縮率(%)=[(Lb−La)/Lb]×100
さらには、本発明におけるアクリル系繊維(A)を構成する重合体のアクリロニトリル重量は特に限定されないが、より好ましくはアクリロニトリル30〜70重量%、このとき、アクリロニトリルと共重合可能な他のビニル系モノマーを65〜2重量%及びこれらと共重合可能なスルホン酸基含有ビニル系モノマー0〜10重量%よりなる共重合体である。前記アクリロニトリルと共重合可能なビニル系モノマーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン等に代表されるハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン類、アクリル酸、メタクリル酸に代表される不飽和カルボン酸類及びこれらの塩類、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチルに代表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、グリシジルメタクリレート等に代表される不飽和カルボン酸のエステル類、酢酸ビニルや酪酸ビニルに代表されるビニルエステル類、アクリルアミドやメタクリルアミドに代表されるビニル系アミド類、メタリルスルホン酸やその他ビニルピリジンやメチルビニルエーテル、メタクリロニトリル等公知のビニル化合物があり、これらの1種あるいは2種以上を共重合して得られるアクリル系共重合体であってもよい。
また、前記スルホン酸基含有ビニル系モノマーとしては、スチレンスルホン酸、パラスチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、パラメタクリロイルオキシベンゼンスルホン酸、メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸、又はこれらの金属塩類及びアミン塩類等を用いることができる。
さらに、本発明のパイル布帛を形成する前記アクリル系繊維(B)の表面にオルガノポリシロキサンを付着させることで本発明の効果が顕著になる。この場合、アクリル系繊維(A)には前記オルガノシロキサンを付着させても付着させなくてもどちらでもかまわない。
前記オルガノシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーンから選ばれる少なくとも一種類を用いるのが好ましい。前記のオルガノポリシロキサンは処理液の形で繊維表面に付着させるが、処理液を付着させた後に90℃以上の温度で処理することで柔軟効果をより発揮することができ、この処理温度のさらに好ましい温度範囲としては100℃以上である。また、上記オルガノポリシロキサンを主体とする処理液はその粘度調節と経時安定性より界面活性剤を用いてオルガノポリシロキサンを水中で乳化したものであることが好ましく、さらに、この乳化状処理液は繊維との親和性を増すために500cp(常温)以下の粘度であることが好ましい。繊維表面へのオルガノポリシロキサンの付着量は繊維重量に対して0.01〜0.7重量%、好ましくは0.03〜0.5重量%であるのが好ましい。0.01重量%未満ではヌメリ感が小さく天然毛皮調の風合いを与えにくく、一方、0.7重量%を超えるとベタツキ感が生じ風合いを損なう恐れがある。
本発明のパイル布帛を形成する前記アクリル系繊維(B)の繊維表面の繊維軸方向に形成される凹凸がセルロース誘導体により形成されることで本発明の効果が顕著になる。前記セルロース誘導体としては、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロースエステルがより好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は何等これらに限定されるものではない。実施例の記載に先立ち、分析測定条件及び評価方法について説明する。
(1)繊度測定
繊度は、オートバイブロ式繊度測定機Denier Computer DC−11(サーチ制御電気製)を使用して測定し、サンプル数n=25の平均値を使用した。
(2)扁平比測定
S−3500N走査電子顕微鏡(日立製作所製)を使用し、イオンコーターIB−3型(エイコー・エンジニアリング製)でAu蒸着した繊維断面を観察し、繊維断面の長軸幅と短軸幅とを測定した。長軸幅及び短軸幅はn=25の平均値を使用した。この長軸幅及び短軸幅から扁平比=長軸幅/短軸幅を求めた。
(3)繊維表面の高低差測定
一本の繊維をスライドガラス上に無緊張状態のまま両面テープで固定し、キーエンス社製レーザー顕微鏡を使用して、繊維軸方向に垂直な方向10ケ所について測定を行なった。凹凸の測定方法は、縦軸に凹凸の高さ、横軸に繊維外周方向の長さとすることにより繊維表面の形状を波形化して表し、このときの、凸部の最大値5点の平均値と凹部の最小値5点の平均との差を高低差とした。このときの1ケ所における測定範囲はいずれも10μmで行ない、10ケ所についての平均値を高低差として示した。また、これらの値は、カットオフ値0.08mm設定で自動傾き補正を行なった値である。プローブ顕微鏡の測定条件は、対物レンズ:150倍、内臓レンズ:20倍、スキャンピッチ0.05μmであった。
(4)ハイパイル布帛の作成
得られた繊維に対し、油剤付与、機械クリンプ付与およびカット等の必要な処理、操作を行った。この時の機械クリンプとは、ギアークリンプ法やスタフィングボックス法などの公知の方法で得られたクリンプをいい、特に限定されるものではないが、好ましいクリンプ形状としては、捲縮度4〜15%、好ましくは5〜10%。クリンプの山数としては6〜15山/インチ、好ましくは8〜13山/インチの範囲であるのが良い。前記した捲縮度とはJIS−L1074に代表される測定法によって得られるものである。その後、これらの繊維をカットし、スライバー編機にてパイル布帛を編成した。次いで120℃でプレポリッシング処理とプレシャーリング処理を行ないパイル長を揃えた後、パイル裏面にアクリル酸エステル系接着剤でバックコーテイングを行なった。その後、155℃のポリッシング、続いてブラッシングを行ない、さらに135℃、120℃、90℃でポリッシングとシャーリングを組み合わせ(各工程2回ずつ)、立毛表層部のクリンプを除去することで一定のパイル長を持つ立毛布帛を作成した。
(5)パイル布帛の触感評価
前記のように作成したパイル布帛に対し、毛サバキ性の観点から4段階評価による触感官能的評価を行ない、以下の基準で評価した。
:優れた毛サバキ性を有し極めて天然毛皮に近い触感を与える。
:良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与える。
:天然毛皮と比較し毛サバキ性がやや劣る。
:毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくない。
(6)平均パイル長の測定
パイル布帛中のパイル部を構成している繊維を毛並みが揃うように垂直に立たせ、ノギスを用いることで、パイル部を構成している繊維の根元から長パイル部あるいは短パイル部の先端までのそれぞれの長さ(パイル布帛裏面からの長さではない)の測定を10ヶ所について行ない、その平均値を平均パイル長とした。
(製造例1〜5)
アクリロニトリル49重量部、塩化ビニル50重量部とスチレンスルホン酸ナトリウム1重量部よりなるアクリル系共重合体をアセトンに溶解し、さらに前記アクリル系共重合体100重量部に対し、0.8μm以下の粒度分布を持つ分散性に優れた酸化チタン[堺化学工業株式会社製、A−160]を2.3重量部と酢酸セルロース2.5重量部とを加えたものを紡糸原液として孔径0.04×0.65mm、孔数7133の紡糸口金を通し、アセトン濃度が30%の水溶液による凝固浴槽に湿式紡糸し、次いでアセトン濃度が35%と25%の水溶液である2つの浴槽を通し2.0倍の延伸を行ない、その後75℃の水洗浴槽にて前記の延伸と合わせて3.0倍の1次延伸を行なった。その後、得られた繊維に油剤を付与した後、125℃の雰囲気下で乾燥させ、さらに125℃で最終ドラフト6.5倍になるように延伸を行ない、続いて、145℃の乾熱雰囲気下で緩和熱処理により7.8デシテックス(製造例1)、5.6デシテックス(製造例2)、6.5デシテックス(製造例3)、9.5デシテックス(製造例4)、11デシテックス(製造例5)の繊維を得た。この時の扁平比はいずれも12であった。
(製造例6)
製造例1と同様の紡糸原液を用い、孔径0.05×0.43mm、孔数8333の紡糸口金を通し、製造例1と同様の紡糸条件にて7.8デシテックス、扁平比7.6の繊維を得た。
(製造例7)
添加物として、酸化チタンと酢酸セルロースを加えていないこと以外は、製造例1と同様の条件にて製造することによって、7.8デシテックス、扁平比12の繊維を得た。
(製造例8)
アクリロニトリル93重量部、酢酸ビニル7重量部よりなるアクリル系共重合体をジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、さらに、前記アクリル系共重合体100重量部に対し0.8μm以下の粒度分布を持つ分散性に優れた酸化チタン[堺化学工業株式会社製、A−160]2.0重量部を加えたものを紡糸原液として孔径0.04×0.65mm、孔数7133の紡糸口金を通し、DMAc濃度が60%の水溶液による凝固浴槽に湿式紡糸し1.6倍の延伸を行なった。続いて、この凝固糸を沸水中で溶剤を洗浄しながら5.0倍に延伸後、130℃の熱ローラーで乾燥を行なった。その後、2.5Kg/cm2Gの加圧水蒸気雰囲気下で緩和熱処理することで7.8デシテックスの繊維を得た。この時の扁平比は13であった。
表1に製造例1〜8で得られた繊維の組成並びに特徴を記す。
Figure 2006008933
以下の実施例及び比較例に用いた繊維の「カネカロン(登録商標)」RCLとファンクルH105はアクリル系非収縮繊維で、「カネカロン(登録商標)」AHはアクリル系非収縮繊維でオルガノポリシロキサンを付着したもの。また「カネカロン(登録商標)」AHDはアクリル系収縮繊維でオルガノポリシロキサンを付着したものである。
(実施例1、2)
製造例1で得られた繊維にクリンプ付与を行なった後38mmにカットした。次いで、この繊維を詰め密度0.30g/cm3でオーバーマイヤー染色機に詰め、染色処理を行った。この時の染色処方は、Maxilon Yellow 2RL 200% 0.0228%omf("omf"は"on the mass of fiber"の略)、 Maxilon Red GRL 150% 0.0075%omf、 Maxilon Blue GRL 300% 0.0063%omf(以上チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の染料とレベノール WX(花王社製)0.5%omf及びウルトラMT#100(ミテジマ化学社製)0.5g/Lの染色助剤を配合した染色処方で、室温から3℃/分で昇温し98℃に達したところで60分保温染色した。一方、市販のアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH(株式会社カネカ製)を上記と同条件下で染色を行ない、これらを70重量%と30重量%(実施例1)、これらを50重量%と50重量%(実施例2)の割合でを混綿しパイル布帛を作成した。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、実施例1の平均パイル長は18mm、実施例2の平均パイル長は22mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したようにいずれも毛さばき性に優れた極めて獣毛に近い触感を有するものであった。
Figure 2006008933
なお、実施例1に使用した「カネカロン(登録商標)」AHは3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3、実施例2に使用した「カネカロン(登録商標)」AHは5.6dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
(実施例3、4)
製造例3及び製造例4で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したようにいずれも良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平率は3であった。
(実施例5)
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)及びアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」RCL17dtex、51mm(株式会社カネカ製)を順に60重量%、25重量%、15重量%の割合で混綿しパイル布帛を作成した。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛さばき性に優れた極めて獣毛に近い触感を有するものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3で、「カネカロン(登録商標)」RCL17dtex、51mmの繊維断面の扁平比は7.5であった。
(実施例6)
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維とアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AHD(10)4.4dtex、32mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は550g/m2であり、平均パイル長は15mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」AHD4.4dtex、32mmの繊維断面の扁平比は3、収縮率は32%であった。
(実施例7)
製造例8で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。
同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
(比較例1)
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、平均パイル長は35mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
(比較例2〜5)
製造例2および5〜7で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように天然毛皮と比較し毛サバキ性がやや劣る、もしくは、毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
(比較例6)
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を30重量%と70重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように天然毛皮と比較し毛サバキ性がやや劣るものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
(比較例7〜8)
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」RCL7.8dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%(比較例7)、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル繊維「ファンクル(登録商標)」H105 5.6dtex、38mm(三菱レイヨン株式会社製)を70重量%と30重量%(比較例8)、の割合で混綿し、パイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は20mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」RCL7.8dtex、38mmの扁平比は6.0、また、「ファンクル(登録商標)」H105 5.6dtex、38mmの扁平比は10.5であった。
[産業上の利用可能性]
本発明に係るパイル布帛によれば、天然毛皮が有する良好な毛さばき性を得ることができ、天然毛皮並の触感を有するパイル布帛製品等に有用である。

Claims (6)

  1. 繊維断面が扁平比9〜15の範囲内である扁平形であって、繊度が6〜10デシテックス、繊維表面の繊維軸と垂直方向に0.25〜1.5μmの凹凸を有するアクリル系繊維(A)を、パイル部全体を構成する繊維に対して40〜80重量%含有し、且つ、扁平比が1〜4の範囲内である繊維断面を有し、繊度が2〜8デシテックスであるアクリル系繊維(B)を前記パイル部全体に対して20〜60重量%含有する平均パイル長が12〜30mmであることを特徴とするパイル布帛。
  2. 扁平比3〜15の範囲内である扁平形であって、繊度が12〜33デシテックスであるアクリル系繊維(C)をパイル部全体を構成する繊維に対して5〜25重量%含有する請求項1に記載のパイル布帛。
  3. 該アクリル系繊維(B)が非収縮性アクリル系繊維であることを特徴とする請求項1または2記載のパイル布帛。
  4. 該アクリル系繊維(A)を構成する重合体がアクリロニトリル30〜70重量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパイル布帛。
  5. 該アクリル系繊維(B)の繊維表面にオルガノポリシロキサンが付着してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパイル布帛。
  6. 該アクリル系繊維(A)の繊維表面の繊維軸と垂直方向に形成される凹凸がセルロース誘導体により形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパイル布帛。
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