JPWO2006008933A1 - 立毛布帛 - Google Patents
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Abstract
Description
さらには、本発明におけるアクリル系繊維(A)を構成する重合体のアクリロニトリル重量は特に限定されないが、より好ましくはアクリロニトリル30〜70重量%、このとき、アクリロニトリルと共重合可能な他のビニル系モノマーを65〜2重量%及びこれらと共重合可能なスルホン酸基含有ビニル系モノマー0〜10重量%よりなる共重合体である。前記アクリロニトリルと共重合可能なビニル系モノマーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン等に代表されるハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン類、アクリル酸、メタクリル酸に代表される不飽和カルボン酸類及びこれらの塩類、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチルに代表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、グリシジルメタクリレート等に代表される不飽和カルボン酸のエステル類、酢酸ビニルや酪酸ビニルに代表されるビニルエステル類、アクリルアミドやメタクリルアミドに代表されるビニル系アミド類、メタリルスルホン酸やその他ビニルピリジンやメチルビニルエーテル、メタクリロニトリル等公知のビニル化合物があり、これらの1種あるいは2種以上を共重合して得られるアクリル系共重合体であってもよい。
繊度は、オートバイブロ式繊度測定機Denior Computer DC−11(サーチ制御電気製)を使用して測定し、サンプル数n=25の平均値を使用した。
S−3500N走査電子顕微鏡(日立製作所製)を使用し、イオンコーターIB−3型(エイコー・エンジニアリング製)でAu蒸着した繊維断面を観察し、繊維断面の長軸幅と短軸幅とを測定した。長軸幅及び短軸幅はn=25の平均値を使用した。この長軸幅及び短軸幅から扁平比=長軸幅/短軸幅を求めた。
一本の繊維をスライドガラス上に無緊張状態のまま両面テープで固定し、キーエンス社製レーザー顕微鏡を使用して、繊維軸方向に垂直な方向10ケ所について測定を行なった。凹凸の測定方法は、縦軸に凹凸の高さ、横軸に繊維外周方向の長さとすることにより繊維表面の形状を波形化して表し、このときの、凸部の最大値5点の平均値と凹部の最小値5点の平均との差を高低差とした。このときの1ケ所における測定範囲はいずれも10μmで行ない、10ケ所についての平均値を高低差として示した。また、これらの値は、カットオフ値0.08mm設定で自動傾き補正を行なった値である。プローブ顕微鏡の測定条件は、対物レンズ:150倍、内臓レンズ:20倍、スキャンピッチ0.05μmであった。
得られた繊維に対し、油剤付与、機械クリンプ付与およびカット等の必要な処理、操作を行った。この時の機械クリンプとは、ギアークリンプ法やスタフィングボックス法などの公知の方法で得られたクリンプをいい、特に限定されるものではないが、好ましいクリンプ形状としては、捲縮度4〜15%、好ましくは5〜10%。クリンプの山数としては6〜15山/インチ、好ましくは8〜13山/インチの範囲であるのが良い。前記した捲縮度とはJIS−L1074に代表される測定法によって得られるものである。その後、これらの繊維をカットし、スライバー編機にてパイル布帛を編成した。次いで120℃でプレポリッシング処理とプレシャーリング処理を行ないパイル長を揃えた後、パイル裏面にアクリル酸エステル系接着剤でバックコーテイングを行なった。その後、155℃のポリッシング、続いてブラッシングを行ない、さらに135℃、120℃、90℃でポリッシングとシャーリングを組み合わせ(各工程2回ずつ)、立毛表層部のクリンプを除去することで一定のパイル長を持つ立毛布帛を作成した。
前記のように作成したパイル布帛に対し、毛サバキ性の観点から4段階評価による触感官能的評価を行ない、以下の基準で評価した。
パイル布帛中のパイル部を構成している繊維を毛並みが揃うように垂直に立たせ、ノギスを用いることで、パイル部を構成している繊維の根元から長パイル部あるいは短パイル部の先端までのそれぞれの長さ(パイル布帛裏面からの長さではない)の測定を10ヶ所について行ない、その平均値を平均パイル長とした。
アクリロニトリル49重量部、塩化ビニル50重量部とスチレンスルホン酸ナトリウム1重量部よりなるアクリル系共重合体をアセトンに溶解し、さらに前記アクリル系共重合体100重量部に対し、0.8μm以下の粒度分布を持つ分散性に優れた酸化チタン[堺化学工業株式会社製、A−160]を2.3重量部と酢酸セルロース2.5重量部とを加えたものを紡糸原液として孔径0.04×0.65mm、孔数7133の紡糸口金を通し、アセトン濃度が30%の水溶液による凝固浴槽に湿式紡糸し、次いでアセトン濃度が35%と25%の水溶液である2つの浴槽を通し2.0倍の延伸を行ない、その後75℃の水洗浴槽にて前記の延伸と合わせて3.0倍の1次延伸を行なった。その後、得られた繊維に油剤を付与した後、125℃の雰囲気下で乾燥させ、さらに125℃で最終ドラフト6.5倍になるように延伸を行ない、続いて、145℃の乾熱雰囲気下で緩和熱処理により7.8デシテックス(製造例1)、5.6デシテックス(製造例2)、6.5デシテックス(製造例3)、9.5デシテックス(製造例4)、11デシテックス(製造例5)の繊維を得た。この時の扁平比はいずれも12であった。
製造例1と同様の紡糸原液を用い、孔径0.05×0.43mm、孔数8333の紡糸口金を通し、製造例1と同様の紡糸条件にて7.8デシテックス、扁平比7.6の繊維を得た。
添加物として、酸化チタンと酢酸セルロースを加えていないこと以外は、製造例1と同様の条件にて製造することによって、7.8デシテックス、扁平比12の繊維を得た。
アクリロニトリル93重量部、酢酸ビニル7重量部よりなるアクリル系共重合体をジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、さらに、前記アクリル系共重合体100重量部に対し0.8μm以下の粒度分布を持つ分散性に優れた酸化チタン[堺化学工業株式会社製、A−160]2.0重量部を加えたものを紡糸原液として孔径0.04×0.65m
m、孔数7133の紡糸口金を通し、DMAc濃度が60%の水溶液による凝固浴槽に湿式紡糸し1.6倍の延伸を行なった。続いて、この凝固糸を沸水中で溶剤を洗浄しながら5.0倍に延伸後、130℃の熱ローラーで乾燥を行なった。その後、2.5Kg/cm2Gの加圧水蒸気雰囲気下で緩和熱処理することで7.8デシテックスの繊維を得た。この時の扁平比は13であった。
製造例1で得られた繊維にクリンプ付与を行なった後38mmにカットした。次いで、この繊維を詰め密度0.30g/cm3でオーバーマイヤー染色機に詰め、染色処理を行った。この時の染色処方は、 Maxilon Yellow 2RL 200% 0.0228%omf、 Maxilon Red GRL 150% 0.0075%o
mf、 Maxilon Blue GRL 300% 0.0063%omf(以上チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の染料とレベノール WX(花王社製)0.5%omf及びウルトラMT#100(ミテジマ化学社製)0.5g/Lの染色助剤を配合した染色処方で、室温から3℃/分で昇温し98℃に達したところで60分保温染色した。一方、市販のアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH(株式会社カネカ製)を上記と同条件下で染色を行ない、これらを70重量%と30重量%(実施例1)、これらを50重量%と50重量%(実施例2)の割合でを混綿しパイル布帛を作成した。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、実施例1の平均パイル長は18mm、実施例2の平均パイル長は22mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したようにいずれも毛さばき性に優れた極めて獣毛に近い触感を有するものであった。
製造例3及び製造例4で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したようにいずれも良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平率は3であった。
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)及びアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」RCL17dtex、51mm(株式会社カネカ製)を順に60重量%、25重量%、15重量%の割合で混綿しパイル布帛を作成した。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛さばき性に優れた極めて獣毛に近い触感を有するものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3で、「カネカロン(登録商標)」RCL17dtex、51mmの繊維断面の扁平比は7.5であった。
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維とアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AHD(10)4.4dtex、32mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は550g/m2であり、平均パイル長は15mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」AHD4.4dtex、32mmの繊維断面の扁平比は3、収縮率は32%であった。
製造例8で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。
同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、平均パイル長は35mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
製造例2および5〜7で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように天然毛皮と比較し毛サバキ性がやや劣る、もしくは、毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を30重量%と70重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように天然毛皮と比較し毛サバキ性がやや劣るものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」RCL7.8dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%(比較例7)、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル繊維「ファンクル(登録商標)」H105 5.6dtex、38mm(三菱レイヨン株式会社製)を70重量%と30重量%(比較例8)、の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は20mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」RCL7.8dtex、38mmの扁平比は6.0、また、「ファンクル(登録商標)」H105 5.6dtex、38mmの扁平比は10.5であった。
さらには、本発明におけるアクリル系繊維(A)を構成する重合体のアクリロニトリル重量は特に限定されないが、より好ましくはアクリロニトリル30〜70重量%、このとき、アクリロニトリルと共重合可能な他のビニル系モノマーを65〜2重量%及びこれらと共重合可能なスルホン酸基含有ビニル系モノマー0〜10重量%よりなる共重合体である。前記アクリロニトリルと共重合可能なビニル系モノマーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン等に代表されるハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン類、アクリル酸、メタクリル酸に代表される不飽和カルボン酸類及びこれらの塩類、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチルに代表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、グリシジルメタクリレート等に代表される不飽和カルボン酸のエステル類、酢酸ビニルや酪酸ビニルに代表されるビニルエステル類、アクリルアミドやメタクリルアミドに代表されるビニル系アミド類、メタリルスルホン酸やその他ビニルピリジンやメチルビニルエーテル、メタクリロニトリル等公知のビニル化合物があり、これらの1種あるいは2種以上を共重合して得られるアクリル系共重合体であってもよい。
繊度は、オートバイブロ式繊度測定機Denier Computer DC−11(サーチ制御電気製)を使用して測定し、サンプル数n=25の平均値を使用した。
S−3500N走査電子顕微鏡(日立製作所製)を使用し、イオンコーターIB−3型(エイコー・エンジニアリング製)でAu蒸着した繊維断面を観察し、繊維断面の長軸幅と短軸幅とを測定した。長軸幅及び短軸幅はn=25の平均値を使用した。この長軸幅及び短軸幅から扁平比=長軸幅/短軸幅を求めた。
一本の繊維をスライドガラス上に無緊張状態のまま両面テープで固定し、キーエンス社製レーザー顕微鏡を使用して、繊維軸方向に垂直な方向10ケ所について測定を行なった。凹凸の測定方法は、縦軸に凹凸の高さ、横軸に繊維外周方向の長さとすることにより繊維表面の形状を波形化して表し、このときの、凸部の最大値5点の平均値と凹部の最小値5点の平均との差を高低差とした。このときの1ケ所における測定範囲はいずれも10μmで行ない、10ケ所についての平均値を高低差として示した。また、これらの値は、カットオフ値0.08mm設定で自動傾き補正を行なった値である。プローブ顕微鏡の測定条件は、対物レンズ:150倍、内臓レンズ:20倍、スキャンピッチ0.05μmであった。
得られた繊維に対し、油剤付与、機械クリンプ付与およびカット等の必要な処理、操作を行った。この時の機械クリンプとは、ギアークリンプ法やスタフィングボックス法などの公知の方法で得られたクリンプをいい、特に限定されるものではないが、好ましいクリンプ形状としては、捲縮度4〜15%、好ましくは5〜10%。クリンプの山数としては6〜15山/インチ、好ましくは8〜13山/インチの範囲であるのが良い。前記した捲縮度とはJIS−L1074に代表される測定法によって得られるものである。その後、これらの繊維をカットし、スライバー編機にてパイル布帛を編成した。次いで120℃でプレポリッシング処理とプレシャーリング処理を行ないパイル長を揃えた後、パイル裏面にアクリル酸エステル系接着剤でバックコーテイングを行なった。その後、155℃のポリッシング、続いてブラッシングを行ない、さらに135℃、120℃、90℃でポリッシングとシャーリングを組み合わせ(各工程2回ずつ)、立毛表層部のクリンプを除去することで一定のパイル長を持つ立毛布帛を作成した。
前記のように作成したパイル布帛に対し、毛サバキ性の観点から4段階評価による触感官能的評価を行ない、以下の基準で評価した。
パイル布帛中のパイル部を構成している繊維を毛並みが揃うように垂直に立たせ、ノギスを用いることで、パイル部を構成している繊維の根元から長パイル部あるいは短パイル部の先端までのそれぞれの長さ(パイル布帛裏面からの長さではない)の測定を10ヶ所について行ない、その平均値を平均パイル長とした。
アクリロニトリル49重量部、塩化ビニル50重量部とスチレンスルホン酸ナトリウム1重量部よりなるアクリル系共重合体をアセトンに溶解し、さらに前記アクリル系共重合体100重量部に対し、0.8μm以下の粒度分布を持つ分散性に優れた酸化チタン[堺化学工業株式会社製、A−160]を2.3重量部と酢酸セルロース2.5重量部とを加えたものを紡糸原液として孔径0.04×0.65mm、孔数7133の紡糸口金を通し、アセトン濃度が30%の水溶液による凝固浴槽に湿式紡糸し、次いでアセトン濃度が35%と25%の水溶液である2つの浴槽を通し2.0倍の延伸を行ない、その後75℃の水洗浴槽にて前記の延伸と合わせて3.0倍の1次延伸を行なった。その後、得られた繊維に油剤を付与した後、125℃の雰囲気下で乾燥させ、さらに125℃で最終ドラフト6.5倍になるように延伸を行ない、続いて、145℃の乾熱雰囲気下で緩和熱処理により7.8デシテックス(製造例1)、5.6デシテックス(製造例2)、6.5デシテックス(製造例3)、9.5デシテックス(製造例4)、11デシテックス(製造例5)の繊維を得た。この時の扁平比はいずれも12であった。
製造例1と同様の紡糸原液を用い、孔径0.05×0.43mm、孔数8333の紡糸口金を通し、製造例1と同様の紡糸条件にて7.8デシテックス、扁平比7.6の繊維を得た。
添加物として、酸化チタンと酢酸セルロースを加えていないこと以外は、製造例1と同様の条件にて製造することによって、7.8デシテックス、扁平比12の繊維を得た。
アクリロニトリル93重量部、酢酸ビニル7重量部よりなるアクリル系共重合体をジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、さらに、前記アクリル系共重合体100重量部に対し0.8μm以下の粒度分布を持つ分散性に優れた酸化チタン[堺化学工業株式会社製、A−160]2.0重量部を加えたものを紡糸原液として孔径0.04×0.65mm、孔数7133の紡糸口金を通し、DMAc濃度が60%の水溶液による凝固浴槽に湿式紡糸し1.6倍の延伸を行なった。続いて、この凝固糸を沸水中で溶剤を洗浄しながら5.0倍に延伸後、130℃の熱ローラーで乾燥を行なった。その後、2.5Kg/cm2Gの加圧水蒸気雰囲気下で緩和熱処理することで7.8デシテックスの繊維を得た。この時の扁平比は13であった。
製造例1で得られた繊維にクリンプ付与を行なった後38mmにカットした。次いで、この繊維を詰め密度0.30g/cm3でオーバーマイヤー染色機に詰め、染色処理を行った。この時の染色処方は、Maxilon Yellow 2RL 200% 0.0228%omf("omf"は"on the mass of fiber"の略)、 Maxilon Red GRL 150% 0.0075%omf、 Maxilon Blue GRL 300% 0.0063%omf(以上チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の染料とレベノール WX(花王社製)0.5%omf及びウルトラMT#100(ミテジマ化学社製)0.5g/Lの染色助剤を配合した染色処方で、室温から3℃/分で昇温し98℃に達したところで60分保温染色した。一方、市販のアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH(株式会社カネカ製)を上記と同条件下で染色を行ない、これらを70重量%と30重量%(実施例1)、これらを50重量%と50重量%(実施例2)の割合でを混綿しパイル布帛を作成した。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、実施例1の平均パイル長は18mm、実施例2の平均パイル長は22mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したようにいずれも毛さばき性に優れた極めて獣毛に近い触感を有するものであった。
製造例3及び製造例4で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したようにいずれも良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平率は3であった。
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)及びアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」RCL17dtex、51mm(株式会社カネカ製)を順に60重量%、25重量%、15重量%の割合で混綿しパイル布帛を作成した。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛さばき性に優れた極めて獣毛に近い触感を有するものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3で、「カネカロン(登録商標)」RCL17dtex、51mmの繊維断面の扁平比は7.5であった。
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維とアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AHD(10)4.4dtex、32mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は550g/m2であり、平均パイル長は15mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」AHD4.4dtex、32mmの繊維断面の扁平比は3、収縮率は32%であった。
製造例8で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を50重量%と50重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように良好な毛サバキ性を有し天然毛皮に近い触感を与えるものであった。
同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、平均パイル長は35mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
製造例2および5〜7で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付はいずれも650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように天然毛皮と比較し毛サバキ性がやや劣る、もしくは、毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mm(株式会社カネカ製)を30重量%と70重量%の割合で混綿しパイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は18mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように天然毛皮と比較し毛サバキ性がやや劣るものであった。同様に、「カネカロン(登録商標)」AH3.3dtex、38mmの繊維断面の扁平比は3であった。
製造例1で得られた繊維について、実施例1と同様に、クリンプ付与、カット、染色処理を行った、さらに、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」RCL7.8dtex、38mm(株式会社カネカ製)を70重量%と30重量%(比較例7)、これらの繊維と同条件で染色を行なったアクリル繊維「ファンクル(登録商標)」H105 5.6dtex、38mm(三菱レイヨン株式会社製)を70重量%と30重量%(比較例8)、の割合で混綿し、パイル布帛の作成を行なった。この時のパイル布帛の最終目付は650g/m2であり、平均パイル長は20mmに切り揃えた。得られたパイル布帛は表2に示したように毛サバキ性が不十分であり天然毛皮として似つかわしくないものであった。なお、「カネカロン(登録商標)」RCL7.8dtex、38mmの扁平比は6.0、また、「ファンクル(登録商標)」H105 5.6dtex、38mmの扁平比は10.5であった。
[産業上の利用可能性]
Claims (6)
- 繊維断面が扁平比9〜15の範囲内である扁平形であって、繊度が6〜10デシテックス、繊維表面の繊維軸と垂直方向に0.25〜1.5μmの凹凸を有するアクリル系繊維(A)を、パイル部全体を構成する繊維に対して40〜80重量%含有し、且つ、扁平比が1〜4の範囲内である繊維断面を有し、繊度が2〜8デシテックスであるアクリル系繊維(B)を前記パイル部全体に対して20〜60重量%含有する平均パイル長が12〜30mmであることを特徴とするパイル布帛。
- 扁平比3〜15の範囲内である扁平形であって、繊度が12〜33デシテックスであるアクリル系繊維(C)をパイル部全体を構成する繊維に対して5〜25重量%含有する請求項1に記載のパイル布帛。
- 該アクリル系繊維(B)が非収縮性アクリル系繊維であることを特徴とする請求項1または2記載のパイル布帛。
- 該アクリル系繊維(A)を構成する重合体がアクリロニトリル30〜70重量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパイル布帛。
- 該アクリル系繊維(B)の繊維表面にオルガノポリシロキサンが付着してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパイル布帛。
- 該アクリル系繊維(A)の繊維表面の繊維軸と垂直方向に形成される凹凸がセルロース誘導体により形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパイル布帛。
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