JP4895286B2 - アクリル系繊維およびパイル布帛 - Google Patents

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本発明は、ソフト性のヌメリ感があり、優れた風合いと外観を兼ね備え、衣料、寝具、敷物などに用いられるパイル布帛に関する。
一般に天然の毛皮を構成する立毛繊維は、根元部分が太くて先端部分が細い比較的長い差毛と、細くて比較的短い産毛からなっている。このような天然の毛皮は感触が柔軟で且つ腰の強い独特の風合いを有しており、消費者ニーズの高い製品となっている。しかしながら、近年、自然環境保護の見地から天然毛皮の使用が控えられる傾向にあり、合成繊維を使用し、天然毛皮に近い、すなわちその表面は柔軟な風合いを有し、腰があり、更にボリューム感があるボアやハイパイルといったパイル布帛の開発が望まれている。
ところで、パイル布帛は、天然毛皮同様、差毛と産毛の2層構造で構成されている。パイル部分とは、このパイル布帛を構成する差毛及び産毛のことを指す。差毛用合成繊維と産毛用合成繊維からからなるスライバーを、スライバー編み機を使用して編み、パイル布帛中間品を得、そのパイル布帛中間品をポリッシャー工程等の仕上げ工程を経ることにより、パイル布帛が作成される。パイル布帛中間品を、ポリッシング工程で処理することにより、差毛用合成繊維の先端部の捲縮が除去され、パイル布帛に獣毛ライクな外観と風合いを与えている。一方、産毛は保温を良くし、且つボリューム感を与えるためにクリンプが付与された産毛用合成繊維を使用している。従って、産毛は、前述のポリッシャー工程においても、捲縮を除去せずに残存させる事が必要である。
さらに段差パイル布帛とは、産毛用に染色された高収縮性繊維を使用したものである。この産毛用高収縮性繊維と、染色後の刺毛用合成繊維とからからなるスライバーを、スライバー編み機を使用して段差パイル布帛中間品を得、その段差パイル布帛中間品を、ポリッシャー工程等の仕上げ工程で、差毛の捲縮除去と産毛の収縮を行うことにより、刺毛と産毛とのパイルの高さの差が大きく、色調的にも明瞭な段差を有する段差パイル布帛が作成される。この場合も、前述と同様に、産毛の捲縮を残存させる事が必要であるが、特に、段差パイルの場合は、出来上がった段差パイル布帛における産毛のパイルの高さにバラツキが発生しやすく、不均一な段差で外観を悪化させることから、差毛の捲縮を除去しやすくし、産毛が収縮し且つ捲縮が除去されない程度に、ポリッシャー工程の条件を穏やかにすることが大きな課題であった。
差毛用合成繊維として、捲縮のないストレート形状を有するアクリル系繊維を使用することにより、パイル布帛に毛捌き性がよくソフトな風合いを与え、同時に光沢ある外観を与えることが知られている。特に断面が扁平形状のアクリル系繊維は、表面のガサツキ感が改善されることからパイル布帛の差毛として好適に用いられる(特許文献1および特許文献2)。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のアクリル系繊維は、製造時の緩和処理や染色処理など高温の熱履歴を受けることにより捲縮が固定されており、上述のポリッシング工程での捲縮除去が困難な場合が多く、差毛の捲縮除去促進によるソフトな風合いと、産毛の捲縮維持によるボリューム感との両立は困難であった。
この問題の解決のため、繊維の動的粘弾性を示す力学的損失正接(Tanδ)の最大値を特定の範囲内として、差毛の捲縮除去性を向上する方法(特許文献3)が提案されている。しかしながら、繊維の捲縮除去性の面では改良されるものの、開示された特定のポリマー組成及び力学的損失正接(Tanδ)の最大値の範囲では、差毛用アクリル系繊維の熱可塑性が高まることから、パイル布帛中間品の高温でのポリッシング処理により、得られたパイル布帛の風合いが硬くなるという問題があり、さらに、パイル布帛の使用時において、差毛の形態が経時的に変化し、へたりを起こすため、ボリューム感が減少したり、差毛同士が解れて、外観が悪くなるという問題があった。
特開平9−78378号公報 WO2006−008933号公報 特開平11−315416号公報
そこで、本発明の目的は、上記の欠点を改良し、アクリル系繊維に付与された捲縮の除去をパイル布帛中間品のポリッシング工程で容易に行うことができ、パイル布帛および段差パイル布帛に優れた風合いと外観を与えることが出来る、差毛として有効なアクリル系繊維を提供することにある。
本発明の第1の要旨は、アクリロニトリル単位を70質量%以上含有するアクリル系ポリマーからなるアクリル系繊維であって力学的損失正接(Tanδ)の最大値が0.3〜0.5であり、且つ150℃における捲縮弾性率が40%以下であることを特徴とするアクリル系繊維である。
第2の要旨は、請求項1に記載のアクリル系繊維を、パイル部分にパイルを構成する繊維全体に対して10質量%以上、パイルに含有するパイル布帛である。
本発明に係るアクリル系繊維は、ソフト性とヌメリ感のある優れた風合いと外観を兼ね備え、衣料、寝具、敷物などに用いられるパイル用途に好適に用いることができる。
本発明のアクリル系繊維は、アクリロニトリル単位を70質量%以上と、アクリロニトリルと共重合可能な不飽和単量体単位とを含むアクリル系ポリマーよりなる。このアクリル系ポリマーにおけるアクリロニトリル単位の含有量が70質量%未満である場合は、染色鮮明性、発色性などのアクリル系繊維としての特徴が得られず、また熱特性をはじめとする他の物性も低下する傾向となり、パイル布帛中間品のポリッシング処理により、パイル布帛の風合いが硬くなる、また、パイル布帛の使用時、差毛の形態が経時的に変化し、へたりを起こし、ボリューム感が減少したり、差毛同士が解れて外観が悪くなる傾向となるので好ましくない。
アクリロニトリルと共重合可能な不飽和単量体としては、特に限定されないが、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどを用いることができる。更に目的に応じて、ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、メタクリルスルホン酸ソーダ、アクリルアミドメチルスルホン酸ソーダなどのイオン性不飽和単量体を共重合成分として用いることができる。
本発明のアクリル系繊維は、力学的損失正接(Tanδ)の最大値が0.3〜0.5であることが必要である。0.3未満であればポリッシング工程での捲縮除去が困難となり、また0.5を超えると、パイル布帛中間品のポリッシング工程において、アクリル系繊維が熱硬化し、得られたパイル布帛の風合いが悪くなり、また、パイル布帛の使用時、差毛の形態が経時的に変化し、へたりを起こし、ボリューム感が減少したり、差毛同士が絡まり外観が悪くなる傾向となるので好ましくない。さらに、風合いとその経時的変化のバランスの点で、0.47以下であることが、より好ましい。
本発明のアクリル系繊維は、150℃における捲縮弾性率が40%以下であることが必要である。捲縮弾性率が40%を超えると、パイル布帛中間品のポリシャー工程での捲縮除去が困難となるので好ましくない。
パイル布帛に優れた風合いと外観を与えることが出来るアクリル系繊維を製造するためには、経時安定性および耐熱性をあらわすアクリロニトリル単位の含有量、捲縮度と経時安定性を主にあらわす力学的損失正接(Tanδ)の最大値、および捲縮易脱性を主に表す捲縮弾性率の値が、特定の範囲内であることが必要であり、この中の一つの条件が外れても、本発明のアクリル系繊維が製造できない。例えば、アクリロニトリル単位が70質量%以上含有するアクリル系ポリマーからなるアクリル系繊維であっても、紡糸工程での延伸温度や延伸倍率といった処理条件によって、力学的損失正接(Tanδ)の最大値が0.3未満、又は、0.5を超える繊維とすることが可能であるが、0.3未満の場合は、耐熱性は有するものの、ポリッシング工程での捲縮除去が困難となることから差毛のソフトな風合いが得られず、一方、0.5を超える場合は、耐熱性は備えるが、経時安定性が大きく損なわれたパイル布帛しか得られないので好ましくない。さらに、力学的損失正接(Tanδ)の最大値が0.3〜0.5の範囲内であっても、アクリロニトリル単位が70質量%未満の場合は耐熱性に劣り、ポリッシング工程での処理によって風合いの硬いパイル布帛しか得られないので好ましくない。また、アクリロニトリル単位が70質量%以上含有するアクリル系ポリマーからなり、且つ力学的損失正接(Tanδ)の最大値が0.3〜0.5の範囲にあるアクリル系繊維であっても、紡糸工程での延伸温度や延伸倍率といった処理条件によって、150℃における捲縮弾性率が40%を越える繊維とする事が可能であり、その場合、耐熱性や経時安定性は備えるが、捲縮除去が困難であり、差毛の捲縮除去促進によるソフトな風合いと、産毛の捲縮維持によるボリューム感との両立は困難となるので好ましくない。従って捲縮の除去をパイル布帛の製造工程で容易に行うことができ、パイル布帛に優れた風合いと外観を与えることが出来る、特にその差毛として有効なアクリル系繊維を得るためには、アクリロニトリル単位のポリマー中含有量、繊維の力学的損失正接(Tanδ)の最大値、および150℃における捲縮弾性率が同時に、本発明の特定の範囲内にあることによってのみ製造が可能である。
本発明のアクリル系繊維の単繊維繊度は1dtex以上、25dtex以下であることが望ましく、さらに1.5dtex以上、11dtex以下であることがより好ましい。アクリル系繊維の繊度が1dtex未満になると、アクリル系繊維自体が細すぎて腰がなく、また立直性に欠けるため、良好な風合いや外見を有するパイル布帛が得られないので好ましくない。一方、繊維が25dtexを超えると、アクリル系繊維の曲げ剛性が高くなり、ガサツキ感の強いパイル布帛になる傾向となるので好ましくない。
本発明のアクリル系繊維は、例えば、以下のような湿式紡糸法を用いて製造することができる。先ずアクリロニトリル単位を70質量%以上含有するアクリル系ポリマーを溶剤に溶解し紡糸原液を調整する。このときアクリル系ポリマーを溶解する溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムキシドなどの有機溶剤や、硝酸、ロダン塩水溶液などの無機溶剤を用いることができる。扁平繊維、Y字断面繊維等の異型断面繊維を製造する場合は、異型断面の作りやすさから、溶剤として有機溶剤が好ましく用いられる。アクリル系ポリマーが15〜28質量%となるように溶剤に溶解して紡糸原液とし、紡糸口金から紡糸する。紡糸原液中のアクリル系ポリマーの濃度が15質量%未満では、異型断面形状の繊維を製造する際など、凝固時に紡糸口金の孔形状と繊維断面形状の差が大きくなることから好ましくない。一方28質量%を超えると紡糸原液の経時安定性が悪くなり紡糸原液が悪化するので好ましくない。
上記のように紡糸原液を紡糸口金のノズルより凝固浴中へ吐出した後、得られた凝固糸を60℃以上の熱水中、2〜6倍の延伸倍率で第1段階延伸を施した後、油剤付与、乾燥緻密化の処理が行われる。この乾燥緻密化処理温度としては、特に制限はないが、100℃〜140℃で行うことが好ましく、さらに好ましくは、125℃〜135℃である。100℃未満だと、乾燥緻密化が進まないので好ましくなく、140℃を越えると、次に示す弛緩熱処理の温度を、高温にする事が必要となるので好ましくない。
次に、前述の乾燥緻密化処理されたアクリル系繊維を、弛緩率が、0.80倍(20%収縮)〜0.90倍(10%収縮)となるように弛緩乾熱処理する。弛緩乾熱処理温度は、弛緩乾熱処理における弛緩率が0.80倍(20%収縮)〜0.90倍(10%収縮)となるように、前述の乾燥緻密化処理温度より高温に設定されるが、120℃〜150℃であることが好ましく、さらに好ましくは130℃〜150℃である。温度が120℃未満では、0.9倍以下(10%収縮以上)の緩和が得られず、染色性及び繊維加工に必要な物性が得られないため好ましくなく、150℃を超えると、後述の第2次延伸による処理を行っても、力学的損失正接(Tanδ)の最大値が、0.3未満となるので好ましくない。
さらに、引き続きスチームによる第2段階延伸が施される。このときの延伸倍率は1.2〜1.7倍に設定することが好ましい。1.2倍未満の場合は力学的損失正接(Tanδ)の最大値が0.5を超えるので好ましくなく、一方、1.7倍を超えると、捲縮弾性率が40%を超え、ポリッシャー工程において捲縮の除去が困難になるので好ましくない。第2段階延伸における温度は、120〜150℃とするのが好ましい。120℃未満の場合は、1.2倍以上の第2次延伸を行うのが困難になり、得られた繊維の力学的損失正接(Tanδ)の最大値が0.5を越える傾向となるので好ましくなく、150℃を越えると、得られた繊維の力学的損失正接(Tanδ)の最大値及び捲縮弾性率の値の変動が大きくなる傾向となるので好ましくない。なお、120℃の条件に相当する蒸気圧は200kPaであり、150℃に相当する蒸気圧は500kPaである。
第2段階延伸を施した後、定法により機械捲縮が付与されるが、機械捲縮付与前のアクリル系繊維の温度を70℃以上、100℃以下に冷却した後、機械捲縮を付与し、機械捲縮の付与後、直ちに空冷により、アクリル系繊維の温度を50℃以下に冷却する。機械捲縮付与前のアクリル系繊維の温度が、70℃未満であると、機械捲縮の付与が不十分となるので好ましくなく、100℃を越えると、捲縮弾性率が40%を越えるので好ましくない。また、機械捲縮付与後のアクリル系繊維の温度が50℃を越える場合も、捲縮弾性率が40%を越えるので好ましくない。
以上のように、第1次延伸、乾燥緻密化処理に次いで施される0.8倍〜0.9倍の弛緩乾熱処理、1.2〜1.7倍の第2次延伸、及びアクリル系繊維の温度を制御した状態での機械捲縮付与とを組み合わせる事により、本発明のアクリル系繊維を得ることができる。
本発明のパイル布帛は、本発明のアクリル系繊維を、そのパイル部分に、パイルを構成する繊維全体に対して10質量%以上含むことが必要である。10質量%未満では、差毛の風合い、外観が悪くなる傾向となるので好ましくない。差毛としての存在感の点で、20質量%以上含まれるのが、より好ましい。
以下、本発明に係るアクリル系繊維のより具体的な実施形態として、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

(力学的損失正接 Tanδの測定方法)
セイコー電子工業株式会社TMA/SS150Cを用い、JIS−K7198の試料をアクリル系繊維のフィラメントとした以外は、JIS−K7198の測定法に従った。すなわち、アクリル系繊維(試長10mm)を総繊度33dtexとなるように分け、昇温速度2℃/min、測定温度範囲(温度23±2℃)〜200℃、空気中、初荷重33mg/dtexとし、周波数0.05Hz、17mg/dtexの荷重による正弦波モードで、引張り振動をさせながら測定を行った。

(捲縮弾性率測定方法)
150℃に加温した乾燥器の中へ、アクリル系繊維を2時間放置してアクリル系繊維の温度を150℃にした後、乾燥器の中で、その温度を維持した状態で、JIS−L−1015に準じて捲縮弾性率を測定した。ここで、捲縮を除去するポリッシャー加工における設定温度が、100〜200℃であることより、アクリル系繊維の捲縮弾性率測定温度を、150℃とした。

(パイル布帛の外観、触感評価方法)
得られたパイル布帛を、10名の判定者により、外観、風合い、経時的変化の官能的評価を、以下のように行い、その平均値を個々の点数とし、それらの合計点数が、24点以上を、総合評価◎、20〜23点を○、16〜19点を△、15点以下をXとした。
a)外観評価(目視)
1)パイル布帛における差毛用アクリル系繊維の捲縮除去性
捲縮が完全に除去されている 5点
捲縮が殆ど除去されている 3点
捲縮の除去性がやや劣る 1点
捲縮の除去性が劣る 0点

2)パイル布帛における差毛と産毛の段差ばらつき
段差は完全に一様である 5点
段差は殆ど一様である 3点
段差はややばらつきが目立つ 1点
段差がばらついている 0点

b)パイル布帛の風合い評価(触感)
1)ソフト感:優れる 5点 普通 3点 やや劣る 1点 劣る 0点
2)立毛感 :優れる 5点 普通 3点 やや劣る 1点 劣る 0点

c)パイル布帛の経時的風合い保持性の評価(触感)
パイル布帛の上に、100g/cmに相当する荷重を3日間保持した後に評価。
1)ソフト感:優れる 5点 普通 3点 やや劣る 1点 劣る 0点
2)立毛感 :優れる 5点 普通 3点 やや劣る 1点 劣る 0点
(実施例1〜5及び比較例1〜7)
表1に示した組成のアクリル系ポリマーを固形分濃度20質量%になるようにジメチルアセトアミドに溶解して紡糸原液を調整した。この得られた紡糸原液を用いて表1に示した繊度が得られるように扁平型ノズル口金を使用して湿式紡糸し、洗浄工程を経た後、湿熱下、延伸倍率5倍で第1延伸し、次いで油剤を付着させ150℃の乾熱ローラーで乾燥後、表1に示す温度で弛緩乾熱処理を施し、さらに表1に示す第2延伸の延伸方法及び第2延伸倍率で、第2延伸処理を行ったのち、クリンプ付与し、表1に示すような力学的損失正接(Tanδ)の最大値及び捲縮弾性率を有するアクリル系繊維を得た。尚、使用した扁平型ノズル口金の孔形状は長方形で、その縦と横の比率は3dtexおよび5dtexは1:8、10dtexは1:13のノズルを使用した。また得られた繊維の扁平率は、繊維断面を電子顕微鏡で観察した上で、断面の最長部を最短部で割り返すことで算出した。

表1
Figure 0004895286

得られたアクリル系繊維を、51mmにカットし、差毛用原綿を得た。これら原綿を、各々、オーバーマイヤー染色機を用い、染料の使用量を、原綿質量に対して2質量%として、98℃、30分間の条件で染色した。一方、産毛用原綿として市販のアクリル繊維「ボンネル(登録商標)」V17(三菱レイヨン株式会社製)を上記と同様に染色処理行った。続いて、各々の差毛用原綿と産毛用原綿とを、差毛用原綿70質量%と産毛用原綿30質量%の割合で、混綿してスライバーを作製した。そして、これらのスライバーと、基布となる地糸のポリエステルフィラメント糸(150dtex/48f)とを用いて、スライバーニッティング機によりスライバーニットを作製し、生地1.5mあたりの質量が1050gのパイル布帛中間品を得た。その後、120℃でプレポリッシング処理(パイルの方向性の歪みを除くために、予備的に行うポリッシング)とプレシャーリング(パイルの予備的な先端カット処理)を行ってパイル長を17mmに揃えた後、パイル裏面にアクリル酸エステル系接着剤でバックコーティングを行い、さらに、160℃のポリッシング、続いてブラッシングを行い、引き続いて140℃、125℃、95℃の温度条件でのポリッシングと、シャーリングを組み合わせて、パイル布帛中間品表層部のアクリル系扁平繊維のクリンプを除去することでパイル高さが25mmのパイル布帛を得た。そして、得られたパイル布帛について、上記方法により外観評価および触感評価を行いパイル布帛の品質を総合的に評価した。その試験結果を表2に示す。このように、本発明のアクリル系繊維は、外観、風合い、経時的風合い変化に優れている事が分かった。

表2
Figure 0004895286
(実施例6〜9及び比較例8〜13)
実施例1、比較例1及び2で得られたアクリル系繊維を、51mmにカットし、長パイル用原綿とし、それぞれオーバーマイヤー染色機を用い、染料の使用量を、原綿質量に対して2質量%として、98℃、30分間の条件で染色した。それぞれの長パイル用原綿と、短パイル用原綿として、市販のアクリル繊維で原着高収縮の「ボンネル(登録商標)」V85(三菱レイヨン株式会社製)とを、長パイル用原綿70質量%と短パイル用原綿30質量%の割合で混綿してスライバーを作製した。そして、これらのスライバーと、基布となる地糸のポリエステルフィラメント糸(150dtex/48f)とを用いて、スライバーニッティング機により、それぞれスライバーニットを作製し、生地1.5mあたりの質量が1050gのパイル布帛中間品を得た。その後、120℃でプレポリッシング処理(パイルの方向性の歪みを除くために、予備的に行うポリッシング)とプレシャーリング(パイルの予備的な先端カット処理)を行ってパイル長を17mmに揃えた後、パイル裏面にアクリル酸エステル系接着剤でバックコーティングを行った。その後、各々のパイル布帛中間品を、表3に示すようにポリッシング温度を、140℃、150℃、または160℃に設定し、本仕上げにおける最初のポリッシング処理(第1ポリッシング)と、ブラッシング処理を行い、引き続いて140℃、125℃、95℃の温度条件でのポリッシング及びシャーリング処理することにより、長パイル高さL1が25mmで、短パイル高さL2が6mmとなる段差パイル布帛を得た。そして、得られた段差パイル布帛について、上記方法により外観評価および触感評価を行いパイル布帛の品質を総合的に評価した。その試験結果を表3に示す。このように、本発明のアクリル系繊維は、外観、風合い、経時的風合い変化に優れている事が分かった。

表3
Figure 0004895286

Claims (4)

  1. アクリロニトリル単位を70質量%以上含有するアクリル系ポリマーからなるアクリル系繊維であって、力学的損失正接(Tanδ)の最大値が0.3〜0.5であり、且つ150℃における捲縮弾性率が40%以下であることを特徴とするパイル布帛用アクリル系繊維(ただし、繭形横断面を有し、かつ該横断面を外接して形成した最小長方形の長辺Aと短辺Bの関係がB/A=0.75〜0.25であるアクリル系繊維、および、繊維の横断面形状が円形であるアクリル系繊維を除く)。
  2. 請求項1に記載のアクリル系繊維を、パイル部分にパイルを構成する繊維全体に対して10質量%以上含有することを特徴とするパイル布帛。
  3. 長パイル部分と短パイル部分とを有する段差パイル布帛であって、請求項1に記載のアクリル系繊維を、長パイル部分に含有していることを特徴とする請求項2に記載のパイル布帛。
  4. アクリロニトリル単位を70質量%以上含有するアクリロニトリル系ポリマーを有機溶媒に溶解させ、紡糸原液とし、凝固浴に吐出して、紡糸した後、引き続き、第一段階延伸を施し、油剤付与に引き続き、乾燥緻密化処理を施し、さらに熱緩和処理を施し、引き続き第2延伸を施すアクリル系繊維の製造方法であって、前記第2延伸を、延伸倍率1.2〜1.7倍、温度120〜150℃で施すパイル布帛用アクリル系繊維の製造方法。
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