JP2002069745A - アクリル系繊維 - Google Patents

アクリル系繊維

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JP2002069745A
JP2002069745A JP2000268163A JP2000268163A JP2002069745A JP 2002069745 A JP2002069745 A JP 2002069745A JP 2000268163 A JP2000268163 A JP 2000268163A JP 2000268163 A JP2000268163 A JP 2000268163A JP 2002069745 A JP2002069745 A JP 2002069745A
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acrylic
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acrylic fiber
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JP2000268163A
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English (en)
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Takayuki Miyamoto
貴幸 宮本
Seiichi Sakurai
誠一 桜井
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた透明感と光沢感を有し、繊維製品、特に
ハイパイルやボア等の立毛布帛に用いたときに、フェイ
クファーとしてデザイン性に富んだ多様な外観特性とソ
フトな風合いを表現可能なアクリル系繊維を提供する。 【解決手段】アクリロニトリルを35〜60重量%含有
する共重合体を、アセトンを溶媒として用いる湿式紡糸
法により製造されてなり、繊維の幅方向における光透過
率が88%以上で、且つ繊維断面の長軸方向に30μm
以上の直線部を有し、単位繊度(デシテックス)あたり
の繊維の最大表面反射率が2.1を越えるアクリル系繊
維により達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明感と光沢感を
有し、ハイパイル、ボア等の立毛布帛に加工した場合
に、天然毛皮の獣毛調とは異なった、メタリック光沢ま
たはデザイン性に優れた外観を有し、且つソフトな風合
いを表現できるアクリル系繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル系合成繊維は、獣毛ライクな風
合いおよび光沢を有し、ニット分野をはじめボア、ハイ
パイルの分野に広く使用されている。元来、獣毛の構成
はガードヘアー(刺毛)とダウンヘアー(綿毛)の二層
構造により構成されている。このような構造をそのまま
真似たものが合成繊維からなる従来のパイル製品であ
る。しかし一方では、ファッション分野などでは人工的
であって、且つデザイン性に富んだ多様な外観特性が必
要とされている。そのため天然毛皮の獣毛調とは異なっ
た外観のものが市場から要求されている。
【0003】通常、繊維の外観特性は目視評価によるブ
ライトまたはダルの分類と、測色器を用いた白度評価で
表されることが多い。ハイパイル分野に使用されるアク
リル系繊維では、表面光沢と内部の透明性を向上させる
ために、繊維断面形状の扁平化や繊維の緻密化を行って
いる。例えば保護コロイド剤の使用(特開昭49−86
522)や重合時に親水性官能基を混合(特開昭49−
57057)することで繊維内部の透明性を向上させて
いる。しかし一般的に湿式紡糸法で得られるアクリル系
繊維は、繊維表面に皺が形成されると共に繊維内部にボ
イドが形成される。そのため特に太い繊度になると繊維
内部及び表面で光が散乱するため光沢及び透明性を有す
る繊維が得られにくい。
【0004】特開平11−222716には、光沢を向
上させる条件として、繊維表面に一定面積以上の平滑部
分の存在、繊維内部に一定個数以下のボイドの存在、及
び繊維断面が高扁平形状であることが提案されている。
この方法では光沢は改善される方向にあるが、直径15
μm以下のミクロボイドの存在も透明性に影響を及ぼす
ため、このレベルでの繊維の緻密化では優れた光沢性と
透明性を有する繊維を完全に得ることはできない。また
扁平率を高くすれば、繊維間の融着が生じやすくなり、
結局風合いを損ねてしまうという分繊性の問題が生じ
る。そこでノズル形状を異形の扁平断面に改良し、繊維
間の融着を抑制する方法も考案されているが、形状の再
現性の困難や生産制約などの問題が依然残されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は優れた
透明感と光沢感を有し、繊維製品、特にハイパイルやボ
ア等の立毛布帛に用いたときに、フェイクファーとして
デザイン性に富んだ多様な外観特性とソフトな風合いを
表現可能なアクリル系繊維を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、特定の有機溶媒を使
用し、繊維断面を一定以上の直線面を有した形状にし、
且つ良好な分繊性を維持した光沢、透明性及び風合いに
優れたアクリル系繊維が得られることを見い出した。す
なわち本発明は、繊維の幅方向における光透過率が88
%以上で、且つ繊維断面の長軸方向に30μm以上の直
線部を有し、下記式(I)を満たすアクリル系繊維であ
る。 M/D>2.10 (I) [但し、M:最大表面反射率(%)、D:繊度(デシテ
ックス)を表す。]また前記繊維断面の厚み(短軸方向
の幅)が5μm以上であるのが好ましい。
【0007】繊維断面形状としては、長方形、平行四辺
形、菱形、H形及び亜鈴形よりなる群から選択される少
なくとも一種であるのが好ましい。
【0008】さらに、上記アクリル系繊維は、アクリロ
ニトリルを35〜60重量%含有する共重合体を、アセ
トンを溶媒として用いる湿式紡糸法により製造されてな
るものが好ましく、単繊維間の融着率が30%以下であ
るのがより好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明でいう光透過率とは、可視
顕微分光測定により得られるものである。可視顕微分光
測定とは、顕微鏡部と分光器及びこれらを接続する光フ
ァイバーよりなる装置を用い、顕微鏡の対物レンズによ
り拡大された像が光ファイバーの端面に結像されること
で測定部位の光がファイバーに入射する。この入射光は
光ファイバーにより分光器へ導かれここで分光した光を
受光器で受光することで測定される。具体的には、入射
光は繊維断面の幅方向に入射させることで測定を行うの
が好ましい。偏平、菱形、H型及び亜鈴型の断面を有す
る繊維では、繊維断面を短軸と平行な2本の直線で挟ん
だとき、その2本の直線間の中心部(例えば図1〜6を
参照)に、光の入射を行うことで測定を実施した。
【0010】本発明においては、波長領域400〜70
0nmの可視光領域で測定を行ない、550nmにおけ
る光透過率が88%以上を示すことが必要であるが、9
0%以上であるのがより好ましい。光透過率が88%未
満では、透明性が低下し、染色時の染料の発色性が悪化
する。そのためにハイパイル布帛時に、同時に混綿され
た他原綿との色相のコントラストが際だたなくなる。
【0011】本発明でいう最大表面反射率とは、自動変
角光度計を用い、標準光源からの光を繊維の長さ方向に
おける60度の角度で試料面に当て、その時の0〜90
度の反射成分を受光器で測定したときの値の最大値であ
り、測定する試料の中で、表面反射率が最大となる試料
をおおよそ100%となるように受光感度(光電子増倍
管電圧)を設定した(図6)。例えば、JIS−K71
05に代表される試験方法を用いることができる。最大
表面反射率M(%)を繊度D(dtex)で割った、光
沢指数(M/D)が2.10以下では光沢が低くなり、
メタリックな光沢とは異なった性質の外観特性となり、
目的とする商品が得られ難い傾向となる。
【0012】繊維断面の長軸方向に30μm以上の直線
部を有するとは、繊維断面が大小いくつかの直線群から
なり、繊維軸方向(繊維側面)に光を反射するなめらか
な面を形成する必要がある。一定方向にまとまった光束
を反射し、メタリックな光沢を有すためには、断面を形
成する直線群の一つが長軸方向に30μm以上の直線部
を有することが好ましい。30μm未満であると光を反
射するなめらかな面が十分な面積を有せず、メタリック
な光沢にはならない。
【0013】繊維断面の厚みとは、短軸幅のことを指
し、長軸幅すなわち最大幅方向に平行な2本の線で挟ま
れる繊維断面幅のことをいい、該厚みが5μm以上であ
った場合に透過率が88%以上であることが好ましい。
【0014】本発明でいうアクリル系繊維とは、アクリ
ル系重合体からなる繊維をいうが、好ましくはアクリロ
ニトリルを35重量%以上含有し、アクリロニトリルと
共重合可能な他のビニル系モノマーを含む共重合体であ
る。前記アクリロニトリルと共重合可能なビニル系モノ
マーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニ
ル、臭化ビニリデン等に代表されるハロゲン化ビニル及
びハロゲン化ビニリデン類、アクリル酸、メタクリル酸
に代表される不飽和カルボン酸類及びこれらの塩類、ア
クリル酸メチルやメタクリル酸メチルに代表されるアク
リル酸エステルやメタクリル酸エステル、グリシジルメ
タクリレート等に代表される不飽和カルボン酸のエステ
ル類、酢酸ビニルや酪酸ビニルに代表されるビニルエス
テル類、アクリルアミドやメタクリルアミドに代表され
るビニル系アミド類、メタリルスルホン酸やその他ビニ
ルピリジンやメチルビニルエーテル、メタクリロニトリ
ル等公知のビニル化合物があり、これらの1種あるいは
2種以上を共重合して得られるアクリル系共重合体であ
ってもよい。また、前記スルホン酸基含有ビニル系モノ
マーとしては、スチレンスルホン酸、パラスチレンスル
ホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、パラ
メタクリロイルオキシベンゼンスルホン酸、メタクリロ
イルオキシプロピルスルホン酸、又はこれらの金属塩類
及びアミン塩類等を用いることができる。
【0015】なお、これらのアクリル系共重合体は、重
合開始剤として既知の化合物、例えばパーオキシド系化
合物、アゾ系化合物、または各種のレドックス系化合物
を用い、通常のビニル重合方法により得ることができ
る。
【0016】これらのアクリル系共重合体の紡糸方法と
しては、湿式紡糸法が用いられる。紡糸原液及び湿式紡
糸に使用される溶媒としては、アセトンが好ましい。ア
セトンを用いた場合、緻密な凝固構造を形成しやすくな
るため、繊維表面に皺を発生しにくく、即ち平滑にしや
すい点から光沢、透明性に優れた繊維が得られる。上記
のようにアセトンを溶媒として用いる場合は、アクリロ
ニトリルを35〜60重量%含有するアクリル系共重合
体を用いるのが好ましい。
【0017】紡糸原液は公知の一般的な溶解方法を用い
て得ることが出来る。紡糸原液の重合体濃度は、一般的
には20〜40重量%、好ましくは紡糸性、工程安定性
を考慮し、25〜35重量%に調整する。この濃度が2
0重量%未満では、繊維内部にボイドが発生しやすく好
ましくない。一方、40重量%を超えると、粘度が高く
なり紡糸原液がゲル化しやすくなるばかりでなく、紡糸
時の単糸切れも多くなり操業性が低下し好ましくない。
【0018】尚、紡糸原液には必要に応じて、着色剤
(顔料、染料)、防錆剤、着色防止剤、耐光性等に効果
のある安定剤等を添加しても差し支えない。また、本発
明の効果を損なわない範囲において、艶消し剤を添加し
ても良い。
【0019】かくして所定の重合体を混合調整した紡糸
原液は、アクリル系繊維の公知の紡糸方法で繊維化する
ことができる。即ち、この紡糸原液を紡糸口金より紡出
し、延伸、乾燥及び熱処理を行う。
【0020】湿式紡糸用の紡糸浴としては、水または水
と紡糸原液に用いた同じ溶媒を混合した水溶液を用いる
ことができる。
【0021】延伸方法は特に限定はなく、公知の延伸装
置を用いることができるが、延伸倍率は4倍以上である
ことが好ましい。延伸倍率が4倍未満では、強度、弾性
率等の物性及び光沢等の外観に劣るため好ましくない。
通常は延伸の後、必要に応じて紡糸油剤を付与した後に
乾燥緻密化及び熱処理を施す。
【0022】本発明は繊維間の融着率が30%以下であ
ることが好ましい。ここで繊維間の融着率とは、繊維の
一本一本が分離せず、接着している数の率を表したもの
である。具体的には、単繊維200本あたりに、融着に
関与した単繊維の本数により計算されるものである。こ
の繊維間の融着率が30%を越えると、布帛にした場合
の風合いが粗剛となる傾向にある。
【0023】本発明は乾燥緻密化前に、飽和水蒸気処理
を施すことが好ましい。従来、扁平率が高くなれば、繊
維間での融着率が上昇し、断面割れが生じやすくなる。
この結果、扁平率上昇とは逆に、光沢が低下する。また
融着した繊維は、布帛に編成した時に目標とするソフト
な風合いを阻害する。これは乾燥機内の工程中に溶媒が
蒸発するときに、繊維間の接着が生じるからである。接
着剤となっている繊維内の含有溶媒量をできるだけ低減
させる必要がある。そのため乾燥緻密化前に飽和水蒸気
処理を施し、繊維内の含有アセトン量を5.0%omf
(On themass of fabric:繊維
重量あたりのアセトン含有量の百分率)以下に大幅に減
少させることで、接着分子であるアセトン量を高扁平率
においても、融着率を30%以下に抑えた良好な分繊性
を維持することができる。
【0024】この時のアクリル系繊維の繊度は2〜55
デシテックス(以下、dtexと記す)が好ましく、特
に3〜35dtexの範囲が特徴を発揮しやすく好適で
ある。2dtex未満では、繊維が細すぎパイル布帛に
した場合、単繊維1本1本の存在感が観測されず、一
方、55dtexを超えると太すぎて風合いの硬いパイ
ル布帛となり好ましくない。
【0025】繊維の断面形状は、長方形、平行四辺形、
菱形、H形、亜鈴形が好ましい。特に、繊維断面は長方
形状の扁平断面であって、繊維断面の長軸幅(最長幅)
の最小値と短軸幅の最大値との比で表される扁平率は1
0〜35であるのが好ましい。なお、長軸幅(最長幅)
とは、繊維断面に外接する平行な2本の直線間の最大距
離をいう。一方、短軸幅とは、長軸幅すなわち最大幅方
向に平行な2本の線で挟まれる繊維断面幅のことをい
う。扁平率が10未満では、視覚的に重要な繊維幅が狭
くなり、繊維1本1本の存在感に欠けるものとなってし
まうほか、透明性が悪くなるため好ましくない。一方、
扁平率が35を超えると繊維断面が割れやすく好ましく
ない。さらに扁平率が10以上の繊維は、表面積が大き
くなり、基布及びバックコーティング剤との接着面積が
増加し、パイル布帛時の毛抜けが減少する。またソフト
な風合いはもちろんのこと外観的なドレープ性も向上す
る。繊維の断面形状が平行四辺形とは、2組の平行な直
線で形成される四角形であり、ここで言う最長幅とは繊
維断面の対角線をさし、長軸を形成する2本の直線の最
短径が短軸幅である。最短径の短軸幅と対角線である最
長幅との比で表される扁平率が10〜35であることが
好ましい。また繊維の断面形状が菱形とは、2組の平行
な直線で形成され、かつそれぞれの対角線が垂直に交わ
る四角形であり、繊維断面の短い対角線(最長幅)と、
長い対角線の比で表される扁平率が5〜17であること
が好ましい。また繊維の断面形状がH形とは、長方形を
基本とし、長軸面を上下に位置した場合、長軸の両端部
の上下に長方形が付与した形状を指す。その付与された
長方形の幅は、基本とした長方形の短軸幅の1/5〜5
倍の長さであり、高さは基本とした長方形の短軸幅の1
/5〜5倍の長さである。最長径の長軸幅と付与された
2つの長方形の高さを含んだ合計の短軸径と長軸径の比
で表される扁平率が10〜40であるのが好ましい。ま
た繊維の断面形状が亜鈴形とは、長方形を基本とし、長
軸面を上下に位置した場合、長軸の両端部の上下に半円
形が付与した形を指す。その付与された半円形の半径
は、基本とした長方形の短軸幅の1/5〜5倍の長さで
あり、最長径の長軸幅と付与された2つの半円形の半径
を含んだ合計の短軸径と長軸径の比で表される扁平率が
10〜40であることが好ましい。
【0026】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明は何等これらに限定されるものではな
い。実施例の記載に先立ち、分析測定条件及び評価方法
について説明する。
【0027】(A)光透過率測定 顕微鏡にはオリンパス(株)社製金属システム顕微鏡を
用い、色相を一定にした種々の単繊維の光透過率の評価
をサンプル数5点で、かつ、それぞれのサンプルについ
て各2ヶ所、合計10点で測定を行なった。対物レンズ
の倍率は50倍(N.A.=0.70、β=89°)と
し、測定領域は長軸面の中心φ20μmで行なった。な
お、光源には透過・明視野・ハロゲンランプを用いた。
分光器には大塚電子(株)社製瞬間マルチ測光システム
MCPD−113を用い400〜700nmの可視光領
域で測定を行なった。この時の分解能は、2.4nm、
積算時間20000msecまでで、測定を行ないその
平均値を用いた。
【0028】(B)最大表面反射率測定 自動変角高度計GONIO PHOTO METER
GP−200型(村上色彩技術研究所製)により色相を
生成の状態の単繊維11本を捻れることなく、長軸面を
上向きにし、7mmの幅内に平行に並べたときの最大反
射率を求めた(図6)。なお、本発明における最大反射
率の測定条件は以下の通りである。 光源:ハロゲンランプ12V、60W 入射角度:60度 受光絞り:直径3.4mm 受光回転角:0〜90度 光電子増倍管電圧:−565V (C)融着率測定 カット綿の繊維束をナイフで軸に対して垂直にカット
し、電子顕微鏡を用い、200倍の倍率で繊維断面群を
観察する。その視野の中で無作為に200本抽出し、そ
の中で繊維間が融着している数を計算し、200本で割
り、百分率で表示した。そのときの融着率が30%以下
の場合は、布帛時の風合いが良好であることから合格と
判定した。
【0029】(D)アセトン含率の測定 乾燥緻密化工程の直前に、一定量の繊維を採取し、蒸留
水を入れたマイヤーフラスコで、冷却管にて冷水循環し
ながら90±5℃のグリセリンバスにて1時間煮る。そ
の後島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC-14B
にて水溶液のアセトン濃度を測定し、アセトン水溶液
量、105℃、2時間で乾燥させた繊維重量からアセト
ン含率%omf(アセトン重量/繊維重量×100)を
計測する。
【0030】(E)ハイパイル布帛の作成 得られた繊維に対し、油剤付与、機械クリンプ付与およ
びカット等の必要な処理、操作を行った。この時の機械
クリンプとは、ギアークリンプ法やスタフィングボック
ス法などの公知の方法で得られたクリンプをいい、特に
限定されるものではない。その後、これらの繊維を51
mmにカットし、アクリル系繊維「カネカロン(登録商
標)」SL3.3dtex、32mm(鐘淵化学工業製)
と70/30の割合で混綿し、スライバー編機にてパイ
ル布帛を編成した。次いで120℃でプレポリッシング
処理とプレシャーリング処理を行ないパイル長を22m
m揃えた後、パイル裏面にアクリル酸エステル系接着剤
でバックコーテイングを行なった。その後、155℃の
ポリッシング、続いてブラッシングを行ない、さらに1
35℃、120℃、90℃でポリッシングとシャーリン
グを組み合わせ(各工程2回ずつ)、立毛表層部のクリ
ンプを除去することで24mmのパイル長を持つ立毛布
帛を作成した。
【0031】(F)総合評価 得られた原綿の、断面形状、短軸長、長軸長、繊度、光
透過率及び、相対表面反射率、光沢指数、総合評価の結
果を表1に示した。
【0032】(G)風合い特性官能評価 前記のようにして作成したパイル布帛に対し、触感的な
観点から、パイル布帛の研究技術者5名による3段階の
官能的評価を行い、以下の基準で評価した。(表2に示
す。) ○:ソフトで、風合いが非常によい。 △:ややソフトで、風合いがよい。 ×:ソフトでなく、風合いが悪い。
【0033】(実施例1)アクリロニトリル49重量
部、塩化ビニル50重量部とスチレンスルホン酸ナトリ
ウム1重量部よりなるアクリル系共重合体をアセトンに
溶解し、さらに重合体重量あたり5重量部%のポリ酢酸
ビニルを加えたものを紡糸原液(樹脂濃度28重量%)
として口径0.063mm0.89mmの長方形状、孔
数3333の紡糸口金を通し、アセトン濃度が30%の
水溶液による凝固浴槽に湿式紡糸し、次いでアセトン濃
度が55%と25%の水溶液である2つの浴槽を通し
2.0倍の延伸を行った。その後75℃の水洗浴槽にて
1.5倍の1次延伸を行った後、98℃の飽和水蒸気に
よる水洗処理を実施し、繊維のアセトン含率を5.0%
omf以下にした。その後110℃の雰囲気下で乾燥緻
密化処理させ、さらに125℃で最終ドラフト6.5倍
になるように延伸を行い、続いて145℃の乾熱雰囲気
下で熱処理し、22デシテックスの繊維を得た。また上
記方法にてパイル布帛の作成を行った。得られた繊維
の、特性を評価し表1に示した。
【0034】(実施例2)紡糸ノズルを口径0.037
mm0.59mmの長方形状に変更した以外は、実施例
1と同様の方法にて原綿及びパイル布帛を得た。
【0035】(実施例3)紡糸ノズルを口径0.06m
m0.8mmの長方形状に変更した以外は、実施例1と
同様の方法にて原綿及びパイル布帛を得た。
【0036】(実施例4)紡糸ノズルを口径0.073
mm1.17mmの長方形状に変更した以外は、実施例
1と同様の方法にて原綿及びパイル布帛を得た。
【0037】(実施例5)紡糸ノズルを口径0.15m
m0.85mm(付与長方形0.05mm 0.05m
m、最短径0.05mm )のH形状に変更した以外
は、実施例1と同様の方法にて原綿及びパイル布帛を得
た。
【0038】(比較例1)紡糸ノズルを口径0.085
mm0.66mmの長方形状に変更した以外は、実施例
1と同様の方法にて原綿及びパイル布帛を得た。
【0039】(比較例2)アクリロニトリル92重量
%、アクリル酸メチル8重量%よりなるアクリル系共重
合体をジメチルホルムアミド( DMF )に溶解したも
のを紡糸原液(濃度30重量%)とし、口径0.063
mm0.89mm 、孔数3333の紡糸口金を通し、
DMF濃度が60重量%の水溶液による凝固浴槽に紡出
し、次いで、水洗および水洗浴槽で6倍の延伸を行い、
得られた繊維に油剤を付与した後150℃で乾燥を行っ
た。続いて137℃の加圧水蒸気雰囲気下で、0.84
倍(16%)の弛緩熱処理を行い、単繊維繊度22デシ
テックスの扁平繊維を得た。また上記方法にてパイル布
帛の作成を行った。
【0040】(比較例3)繊度3.3dtexの他社製
光沢アクリル繊維(三菱レイヨン社製ボンネルH23
5)の透明度及、最大表面反射率を評価した結果を表1
に示した。
【0041】(比較例4)98℃の飽和水蒸気による水
洗処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様の方法
にて原綿及びパイル布帛を得た。
【0042】(比較例5)98℃の飽和水蒸気による水
洗処理を実施しなかった以外は、実施例2と同様の方法
にて原綿及びパイル布帛を得た
【0043】
【表1】 比較例1は光沢が低く、メタリックな外観特性は得られ
なかった。比較例2及び3は透過率が悪いため、透明感
が得られなかった。また光沢も低く、メタリックな外観
特性は得られなかった。比較例4,5は、ともに融着率
が高く、ソフトな風合いが得られなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明のアクリル系繊維は、透明感と光
沢感を保持していることを特徴とする衣料、玩具(ぬい
ぐるみ)、インテリア用等の広範囲に新たな商品企画を
可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】長方形断面繊維の光透過率を測定する際の、入
射光位置を表した図。
【図2】平行四辺形断面繊維の光透過率を測定する際
の、入射光位置を表した図。
【図3】菱形断面繊維の光透過率を測定する際の、入射
光位置を表した図。
【図4】H型断面繊維の光透過率を測定する際の、入射
光位置を表した図。
【図5】亜鈴型断面繊維の光透過率を測定する際の、入
射光位置を表した図。
【図6】繊維に対する光の最大表面反射率を測定する場
合の試料等の向きを表した図。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維の幅方向における光透過率が88%以
    上で、且つ繊維断面の長軸方向に30μm以上の直線部
    を有し、下記式(I)を満たすアクリル系繊維 M/D>2.10 (I) [但し、M:最大表面反射率(%)、D:繊度(デシテ
    ックス)を表す。]
  2. 【請求項2】前記繊維断面の厚みが5μm以上である請
    求項1記載のアクリル系繊維。
  3. 【請求項3】繊維断面形状が、長方形、平行四辺形、菱
    形、H形及び亜鈴形よりなる群から選択される少なくと
    も一種からなる請求項1記載のアクリル系繊維。
  4. 【請求項4】アクリル系繊維が、アクリロニトリルを3
    5〜60重量%含有する共重合体を、アセトンを溶媒と
    して用いる湿式紡糸法により製造されてなるものである
    請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系繊維。
  5. 【請求項5】単繊維間の融着率が30%以下である請求
    項1〜4のいずれかに記載のアクリル系繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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