JP6004155B2 - パイル布帛 - Google Patents
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Description
<断面形状がY字型で繊度が1.0〜10.0デシテックスのアセテート繊維>
本発明のパイル布帛の立毛部の紡績糸に使用するアセテート繊維は、Y字型を有している。Y字型断面にすることでよりドライタッチで清涼感ある風合いを実現することができる。また、繊度は1.0〜10.0デシテックスである。この繊度範囲にすることでドライタッチの中でもより柔らかいものから、剛毛なものまで幅広い風合いを実現することが可能となり、且つ製造工程通過性が良好となる。また、当該アセテート繊維を構成するポリマーとしては、水酸基の74%以上92%未満が酢酸化されている酢酸セルロース(エステル化度は、2.22以上2.76未満。)または水酸基の92%以上が酢酸化されている酢酸セルロース(エステル化度は、2.76以上3.00未満。)が挙げられる。さらに、当該アセテート繊維に、酸化チタン、銀などの無機物、または機能性ポリマーなどをアセテート繊維の原液段階、もしくは繊維製造後に後加工方法にて付与・混合し、機能性を与えることも可能である。
また、本発明のパイル布帛の立毛部の紡績糸におけるアセテート繊維の含量は、30質量%以上である。30質量%以上にすることで目的のドライタッチな特徴を発現することができる。
本発明のパイル布帛を構成する立毛部の紡績糸は、1.0〜11.0デシテックスのアクリル繊維を70質量%以下含むことが好ましい。当該紡績糸が1.0〜11.0デシテックスのアクリル繊維を70質量%以下含むことで、アクリル繊維が持つ発色性、ボリューム感を表現することができる。
本発明における1.0〜11.0デシテックスのアクリル繊維は、通常のアクリル繊維の製造に用いられるものと同様のアクリロニトリル系重合体から構成されていればよく、繊維構成の重合体については特に限定はない。
本発明のパイル布帛を構成する立毛部の紡績糸の製造方法は、特に限定はなく、公知の紡績方法、紡績方式にて、通常のパイル布帛の製造に用いられると同様の糸番手に作製される。
本発明のパイル布帛のグランド部は、1.0〜5.0デシテックスのポリエステル繊維を主として含む。グランド部が1.0〜5.0デシテックスポリエステル繊維を主として含むことで、通常の加工工程と同様のパイル布帛が作成可能となる。
次に本発明のパイル布帛の製造方法を説明する。まず、本発明のアセテート繊維及び、またはその他合成繊維、天然繊維などを含有する紡績糸に染色を行う。染色は各素材に適合した染料を選定し実施する。また、場合によってはこの染色工程を省略して使うことも可能である。また、染色処理と同時に柔軟処理等の機能性処理を行うこともできる。尚、各合成繊維の収縮素材をアセテート繊維と共に混合することも可能であり、その場合は染色工程の前に蒸気を紡績糸に付与し、プレバルキー処理をすることで均一に収縮させることが可能である。
「繊度測定」
繊度は、オートバイブロ式繊度測定器Denior ComputerDC−11(サーチ制御電気製)を使用して測定し、サンプル数n=25の平均値を使用した。
パイル布帛表面のドライ感およびボリューム感を触手による官能試験で行い次の4段階で評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:普通、×:不良
(アセテート繊維の作製)
30質量%の酢酸セルロース(水酸基の74%以上92%未満が酢酸化されている酢酸セルロース。エステル化度は、2.22以上2.76未満。)、3質量%の水、0.2質量%の二酸化チタン、残りはアセトンを溶媒として30〜40℃の温度において混合することにより紡糸原液を調製した。この紡糸原液を孔の断面形状が三角断面である吐出孔を有する紡糸口金を用いて紡糸した。紡糸は、紡糸原液の温度を55℃、紡糸筒内の温度を80℃、紡糸速度を300m/min、紡糸延伸比を1.6倍に設定して行った。得られた繊維の断面形状はY字型であり。繊度は4.4デシテックスであった。さらに得られた繊維に捲縮を付与した後、102mmにカットした。
水系懸濁重合法によりアクリロニトリル95質量%、酢酸ビニル5質量%からなるアクリロニトリル共重合体を得た。このアクリロニトリル共重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、ポリマー濃度25%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を孔形状が扁平型形状のノズル口金を用い湿式紡糸し、沸水中で溶剤を洗浄しながら5.0倍延伸を施し、続いて油剤を付着させ150℃の熱ローラーで乾燥し、300kPaの加圧スチーム中で緩和処理を行い、その後スチーム存在下で1.5倍の延伸処理を行うことで、沸水収縮率が25.0%繊維断面が扁平形状、単繊維繊度が3.3dtexの収縮性アクリル繊維を作製した。さらに得られた繊維に捲縮を付与した後、102mmにカットしてアクリル繊維とした。
前記のアセテート繊維50質量%と前記のアクリル繊維50質量%とを計量したのち混綿した。その後、打綿機に投入しラップを作成した。ラップをローラーカードに投入し、スライバーを作成した。次に、練条工程を2回通したのち、粗紡工程を経て、粗糸を作成した。このときの粗糸撚り数の設定は0.4回/インチとした。次に、粗糸をリング精紡機に通しメートル番手32番手の紡績糸を作成した。この時の撚り数は、360回/mであった。次に、ワインダー工程で、紡績糸の欠点除去を行った後、コーンに巻き取り、合糸工程、撚糸工程を経て、32番双糸を作成した。尚、撚糸工程の撚り数は220回/mであった。
紡績糸をカセ染め機での黒色に染色した。染色した紡績糸と165デシテックス48フィラメントのポリエステルフィラメントとをフライスボア編機での編み工程を通し、編み立てと同時にパイルのループを切断し立毛部とし、立毛部が紡績糸からなりグランド部がポリエステルフィラメントからなるバイル布帛を作製した。次に、パイル裏面にアクリル酸エステル系接着剤でバックコーティングを行い、毛抜けを防ぎ、ブラッシングを2〜10回通し毛先部分の撚りを解除した。そして、170℃のポリッシング、続いてブラッシングを行い、更に170℃、150℃、130℃、90℃でポリッシングとシャーリングを組み合わせ(各工程2回ずつ)、立毛表層部のクリンプを除去し、毛伸び性を高めることでパイル長が15mmのパイル布帛を作製した。作製後、上記記載のパイル布帛の評価を実施した。
表1に示すようにアセテート繊維の繊度、紡績糸中の各繊維の含有率を変更した以外は同様の製造方法にて加工した。これらパイル布帛の評価結果を表1に併せて示した。
Claims (2)
- 立毛部が、断面形状がY字型で繊度が1.0〜10.0デシテックスのアセテート繊維を30質量%以上含む紡績糸からなり、グランド部が1.0〜5.0デシテックスポリエステル繊維を主として含むパイル布帛。
- 立毛部を構成する紡績糸が、1.0〜11.0デシテックスのアクリル繊維を70質量%以下含む請求項1に記載のパイル布帛。
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