JPWO2005117920A1 - 循環器機能障害因子除去剤 - Google Patents
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Abstract
循環器機能障害(特に、心機能不全)の改善に有効であり、循環器疾患、例えば、心臓疾患(例えば、心不全又はうっ血性心不全)や静脈血栓症の予防又は治療に有効な循環器機能障害因子除去剤を提供する。循環器機能障害因子除去剤は、球形活性炭を有効成分とする。
Description
本発明は、循環器機能障害因子除去剤に関する。本発明の循環器機能障害因子除去剤によれば、特に心不全患者における循環器機能障害を改善することができ、その改善作用により、心機能不全の改善や心不全の治療又は予防に有効である。
健全な心臓は、そのポンプ機能により末梢組織の需要に応じて血液を供給している。しかし、心臓のポンプ機能に障害が発生すると、末梢組織の血液需要に応じることができなくなる。このような状態が「心不全」である。心不全が発生すると、心臓のポンプ機能を代償するために、種々の調節機構が体内で活動を開始する。
心不全の代償機構には、早い代償機序と遅い代償機序とが知られている。早い代償機序の代表例としては、心臓の拡張終期容積が増加して心拍出量を回復させる機序や、循環反射によって交感神経の緊張が高まり、心臓の収縮性を増す機序、更には、静脈系コンプライアンスを減少させ、その結果として平均体循環圧が増加し、静脈還流が促進される機序がある。一方、遅い代償機序の代表例としては、心臓を構成する心筋細胞のサイズが大きくなり、心臓の壁が厚くなる心肥大や、腎臓によるナトリウムイオンと水の排泄が制限され、血液量が増加する機序がある。
このような代償機構により、循環血液量が増加し、静脈還流が増加する。しかし、心不全が或る程度長引くと、この代償機構のために幹部静脈に血液が過剰に貯留し、うっ血症状(例えば、静脈圧の上昇、浮腫、又はうっ血による肝臓肥大など)が現れる。このように、心臓のポンプ機能障害に、静脈系のうっ血が更に加わった状態を「うっ血性心不全」と称している。
心不全の代償機構には、早い代償機序と遅い代償機序とが知られている。早い代償機序の代表例としては、心臓の拡張終期容積が増加して心拍出量を回復させる機序や、循環反射によって交感神経の緊張が高まり、心臓の収縮性を増す機序、更には、静脈系コンプライアンスを減少させ、その結果として平均体循環圧が増加し、静脈還流が促進される機序がある。一方、遅い代償機序の代表例としては、心臓を構成する心筋細胞のサイズが大きくなり、心臓の壁が厚くなる心肥大や、腎臓によるナトリウムイオンと水の排泄が制限され、血液量が増加する機序がある。
このような代償機構により、循環血液量が増加し、静脈還流が増加する。しかし、心不全が或る程度長引くと、この代償機構のために幹部静脈に血液が過剰に貯留し、うっ血症状(例えば、静脈圧の上昇、浮腫、又はうっ血による肝臓肥大など)が現れる。このように、心臓のポンプ機能障害に、静脈系のうっ血が更に加わった状態を「うっ血性心不全」と称している。
このような心不全又はうっ血性心不全の治療薬としては、従来から、強心剤、血管拡張剤、例えば、ACE阻害剤やアンジオテンシンII受容体拮抗剤(ARB)、β遮断剤、抗不整脈剤、あるいは利尿剤が広く使用されているが、現在のところ、心不全又はうっ血性心不全の本質的な治療方法は依然として確立していないと言われている。
例えば、うっ血性心不全患者に対する利尿薬においては、第一選択薬としてフロセミドが広く用いられている。フロセミドは、ループ利尿薬の代表例であり、ナトリウム再吸収を阻害すると共に、自由水の吸収も間接的に抑制するので、強力な利尿作用を示す。しかしながら、循環血液量を必要以上に減少させたり、血液濃縮による血栓・塞栓症などの合併症を生じることがまれではなく、投与量の決定に明確な指針が存在しないという欠点がある(非特許文献1)。また、α型ヒトANP製剤(カルペチド)も強力なナトリウム利尿作用を有することから、うっ血性心不全患者に用いられているが、過度の血圧低下が生じることがある(非特許文献1)。以上のように、従来の利尿剤にも種々の欠点が存在する。
心不全患者は、高齢化社会の本格的な到来に伴って、ますます増加することが確実であることから、心機能不全を改善し、心不全を治療及び予防する有効な手段が望まれている。なお、本明細書において「心不全」は、特に断らない限り、うっ血性心不全を含むものとする。
心不全患者は、高齢化社会の本格的な到来に伴って、ますます増加することが確実であることから、心機能不全を改善し、心不全を治療及び予防する有効な手段が望まれている。なお、本明細書において「心不全」は、特に断らない限り、うっ血性心不全を含むものとする。
木原康樹,「治療と診断」,Vol.89,No.1,2001,55−60
本発明者は、心機能不全を改善し、心不全を治療及び予防する有効な手段を鋭意研究するために、心不全モデル動物(ダール食塩感受性ラット)に球形活性炭を経口投与したところ、心不全のパラメータであるBNPの上昇が有意に抑制されて、心肥大の進行が有意に抑制され、更に、心筋の線維化も明確に抑制されることを見出した。
BNP(Brain natriuretic peptide:脳性ナトリウム利尿ペプチド)は、うっ血性心不全患者や循環血液量が増大した場合に血中濃度が上昇する。従って、BNP血中濃度の上昇は循環器機能障害の発生を示している。しかしながら、BNPは、心臓で分泌されるタンパク質であるので、消化器官に大量に存在することは考えにくい。ところが、後述する実施例に示すように、球形活性炭の経口投与によってBNP血中濃度の上昇が有意に抑制されることから、消化管に存在する液性因子(すなわち、循環器機能障害因子)が球形活性炭によって吸着されることによって循環器機能障害が改善し、その改善がBNP血中濃度の上昇抑制として現れるものと考えられる。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
BNP(Brain natriuretic peptide:脳性ナトリウム利尿ペプチド)は、うっ血性心不全患者や循環血液量が増大した場合に血中濃度が上昇する。従って、BNP血中濃度の上昇は循環器機能障害の発生を示している。しかしながら、BNPは、心臓で分泌されるタンパク質であるので、消化器官に大量に存在することは考えにくい。ところが、後述する実施例に示すように、球形活性炭の経口投与によってBNP血中濃度の上昇が有意に抑制されることから、消化管に存在する液性因子(すなわち、循環器機能障害因子)が球形活性炭によって吸着されることによって循環器機能障害が改善し、その改善がBNP血中濃度の上昇抑制として現れるものと考えられる。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、球形活性炭を有効成分とする、循環器機能障害因子除去剤に関する。
本発明による循環器機能障害因子除去剤の好ましい態様は、経口投与用である。
また、本発明による循環器機能障害因子除去剤の別の好ましい態様は、球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである。
更に、本発明による循環器機能障害因子除去剤の別の好ましい態様は、循環器機能障害改善剤、あるいは、循環器疾患の予防又は治療剤である。
本発明による循環器機能障害因子除去剤の好ましい態様は、経口投与用である。
また、本発明による循環器機能障害因子除去剤の別の好ましい態様は、球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである。
更に、本発明による循環器機能障害因子除去剤の別の好ましい態様は、循環器機能障害改善剤、あるいは、循環器疾患の予防又は治療剤である。
本発明による循環器機能障害因子除去剤は、例えば、経口薬として服用することにより、副作用を伴わず、循環器機能障害(特に、心機能不全)の改善に有効であり、循環器疾患、例えば、心臓疾患(例えば、心不全又はうっ血性心不全)や静脈血栓症の予防又は治療に有効である。
本発明の循環器機能障害因子除去剤の有効成分である、球形活性炭としては、医療用に使用することが可能な球形活性炭である限り、特に限定されるものではないが、経口投与用球形活性炭、すなわち、医療用に内服使用することが可能な球形活性炭が好ましい。前記球形活性炭の粒径は、0.01〜2mmであることが好ましく、0.05〜2mmであることがより好ましく、0.05〜1mmであることが更に好ましい。
前記球形活性炭としては、例えば、特開平11−292770号公報又は特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭を用いることができる。以下、特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭について説明し、続いて、特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭について説明する。
前記球形活性炭としては、例えば、特開平11−292770号公報又は特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭を用いることができる。以下、特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭について説明し、続いて、特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭について説明する。
特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭は、好ましくは直径0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mmの球形活性炭である。また、好ましくは比表面積が500〜2000m2/g、より好ましくは700〜1500m2/gの球形活性炭である。また、好ましくは細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/g、より好ましくは0.05〜0.8mL/gの球形活性炭である。なお、上記の比表面積は、自動吸着量測定装置を用いたメタノール吸着法により測定した値である。空隙量は、水銀圧入ポロシメーターにより測定した値である。前記の球形活性炭は、粉末活性炭に比べ、服用時に飛散せず、しかも、連続使用しても便秘を惹起しない点で有利である。
球形活性炭の形状は、重要な因子の1つであり、実質的に球状であることが重要である。球形活性炭の中では、後述の石油系ピッチ由来の球形活性炭が真球に近いため特に好ましい。
球形活性炭の形状は、重要な因子の1つであり、実質的に球状であることが重要である。球形活性炭の中では、後述の石油系ピッチ由来の球形活性炭が真球に近いため特に好ましい。
特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭の製造には、任意の活性炭原料、例えば、オガ屑、石炭、ヤシ殻、石油系若しくは石炭系の各種ピッチ類又は有機合成高分子を用いることができる。球形活性炭は、例えば、原料を炭化した後に活性化する方法によって製造することができる。活性化の方法としては、水蒸気賦活、薬品賦活、空気賦活又は炭酸ガス賦活などの種々の方法を用いることができるが、医療に許容される純度を維持することが必要である。
特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭としては、炭素質粉末からの造粒活性炭、有機高分子焼成の球形活性炭及び石油系炭化水素(石油系ピッチ)由来の球形活性炭などがある。
炭素質粉末からの造粒活性炭は、例えば、タール、ピッチ等のバインダーで炭素質粉末原料を小粒球形に造粒した後、不活性雰囲気中で600〜1000℃の温度に加熱焼成して炭化し、次いで、賦活することにより得ることができる。賦活方法としては、水蒸気賦活、薬品賦活、空気賦活又は炭酸ガス賦活などの種々の方法を用いることができる。水蒸気賦活は、例えば、水蒸気雰囲気中、800〜1100℃の温度で行われる。
炭素質粉末からの造粒活性炭は、例えば、タール、ピッチ等のバインダーで炭素質粉末原料を小粒球形に造粒した後、不活性雰囲気中で600〜1000℃の温度に加熱焼成して炭化し、次いで、賦活することにより得ることができる。賦活方法としては、水蒸気賦活、薬品賦活、空気賦活又は炭酸ガス賦活などの種々の方法を用いることができる。水蒸気賦活は、例えば、水蒸気雰囲気中、800〜1100℃の温度で行われる。
有機高分子焼成の球形活性炭は、例えば、特公昭61−1366号公報に開示されており、次のようにして製造することが可能である。縮合型又は重付加型の熱硬化性プレポリマーに、硬化剤、硬化触媒、乳化剤などを混合し、攪拌下で水中に乳化させ、室温又は加温下に攪拌を続けながら反応させる。反応系は、まず懸濁状態になり、更に攪拌することにより熱硬化性樹脂球状物が出現する。これを回収し、不活性雰囲気中で500℃以上の温度に加熱して炭化し、前記の方法により賦活して有機高分子焼成の球形活性炭を得ることができる。
石油系ピッチ由来の球形活性炭は、直径が好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mm、比表面積が好ましくは500〜2000m2/g、より好ましくは700〜1500m2/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が好ましくは0.01〜1mL/gである。この石油系ピッチ由来の球形活性炭は、例えば、以下の2種の方法で製造することができる。
石油系ピッチ由来の球形活性炭は、直径が好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mm、比表面積が好ましくは500〜2000m2/g、より好ましくは700〜1500m2/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が好ましくは0.01〜1mL/gである。この石油系ピッチ由来の球形活性炭は、例えば、以下の2種の方法で製造することができる。
第1の方法は、例えば、特公昭51−76号公報(米国特許第3917806号明細書)及び特開昭54−89010号公報(米国特許第4761284号明細書)に記載されているように、まず、溶融状態で小粒球形状としたピッチ類を酸素により不融化した後、不活性雰囲気中で600〜1000℃の温度に加熱焼成して炭化し、次いで、水蒸気雰囲気中で850〜1000℃の温度で賦活する方法である。第2の方法は、例えば、特公昭59−10930号公報(米国特許第4420433号明細書)に記載されているように、まず、溶融状態で紐状としたピッチ類を破砕した後、熱水中に投入して球状化し、次いで、酸素により不融化した後、上記の第1の方法と同様の条件で炭化、賦活する方法である。
本発明において有効成分の球形活性炭としては、(1)アンモニア処理などを施した球形活性炭、(2)酸化及び/又は還元処理を施した球形活性炭なども使用することができる。これらの処理を施すことのできる球形活性炭は、前記の石油系ピッチ由来の球形活性炭、炭素質粉末の造粒活性炭、有機高分子焼成の球形活性炭の何れであってもよい。
前記のアンモニア処理とは、例えば、球形活性炭を、1〜1000ppmのアンモニアを含有するアンモニア水溶液で、アンモニア水溶液と球形活性炭の容量比を2〜10として、10〜50℃の温度で、0.5〜5時間処理することからなる。前述の石油系ピッチ由来の球形活性炭にアンモニア処理を施した活性炭としては、特開昭56−5313号公報(米国特許第4761284号明細書)に記載の球形活性炭を挙げることができる。例えば、アンモニア処理が施された球形活性炭としては直径が0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、比表面積が500〜2000m2/g、好ましくは700〜1500m2/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/g、pHが6〜8の球形活性炭を例示することができる。
前記の酸化処理とは、酸素を含む酸化雰囲気で高温熱処理を行なうことを意味し、酸素源としては、純粋な酸素、酸化窒素又は空気などを用いることができる。また、還元処理とは、炭素に対して不活性な雰囲気で高温熱処理を行なうことを意味し、炭素に対して不活性な雰囲気は、窒素、アルゴン若しくはヘリウム又はそれらの混合ガスを用いて形成することができる。
前記の酸化処理は、好ましくは酸素含有量0.5〜25容量%、より好ましくは酸素含有量3〜10容量%の雰囲気中、好ましくは300〜700℃、より好ましくは400〜600℃の温度で行われる。前記の還元処理は、好ましくは700〜1100℃、より好ましくは800〜1000℃の温度で不活性雰囲気中で行われる。
前述の石油系ピッチ由来の球形活性炭に酸化及び/又は還元処理を施した例としては、特公昭62−11611号公報(米国特許第4681764号明細書)に記載の球形活性炭を挙げることができる。
酸化及び/又は還元処理が施された球形活性炭としては、直径が0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、比表面積が500〜2000m2/g、好ましくは700〜1500m2/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/gである球形活性炭が好ましい。
酸化及び/又は還元処理が施された球形活性炭としては、直径が0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、比表面積が500〜2000m2/g、好ましくは700〜1500m2/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/gである球形活性炭が好ましい。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、直径が0.01〜1mmであり、BET法により求められる比表面積が700m2/g以上であり、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満であり、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜0.70meq/gである球形活性炭である。特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、特定範囲の細孔容積を有する。すなわち、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満である。また、本発明においては、全塩基性基が0.20〜1.00meq/gである球形活性炭(特願2002−293906号又は特願2002−293907号参照)も使用することができる。
一方、前記特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭は、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙容積(すなわち、細孔直径20〜15000nmの細孔容積)が0.1〜1mL/gである。特開2002−308785号公報の記載によれば、細孔直径20〜15000nmの細孔容積を0.04mL/g以上で0.10mL/g未満に調整すると、毒性物質であるβ−アミノイソ酪酸に対する高い吸着特性を維持しつつ、有益物質であるα−アミラーゼに対する吸着特性が有意に低下する。球形活性炭の細孔直径20〜15000nmの細孔容積が大きくなればなるほど消化酵素等の有益物質の吸着が起こりやすくなるため、有益物質の吸着を少なくする観点からは、前記細孔容積は小さいほど好ましい。しかしながら、一方で、細孔容積が小さすぎると毒性物質の吸着量も低下する。従って、経口投与用吸着剤においては、毒性物質の吸着量(T)の有益物質の吸着量(U)に対する比(T/U)、すなわち、選択吸着率が重要である。例えば、球形活性炭の選択吸着率を、DL−β−アミノイソ酪酸(毒性物質)の吸着量(Tb)のα−アミラーゼ(有益物質)の吸着量(Ua)に対する比(Tb/Ua)として評価することができる。すなわち、選択吸着率は、例えば、以下の式:
A=Tb/Ua
(ここで、Aは選択吸着率であり、TbはDL−β−アミノイソ酪酸の吸着量であり、Uaはα−アミラーゼの吸着量である)
によって評価することができる。
A=Tb/Ua
(ここで、Aは選択吸着率であり、TbはDL−β−アミノイソ酪酸の吸着量であり、Uaはα−アミラーゼの吸着量である)
によって評価することができる。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満の範囲内で優れた選択吸着率を示し、前記細孔容積が0.05mL/g以上で0.10mL/g未満の範囲内で一層優れた選択吸着率を示す。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、直径が0.01〜1mmである。直径は、好ましくは0.02〜0.8mmである。なお、本明細書で「直径がDl〜Duである」という表現は、JIS K 1474に準じて作成した粒度累積線図(平均粒子径の測定方法に関連して後で説明する)において、ふるいの目開きDl〜Duの範囲に対応するふるい通過百分率(%)が90%以上であることを意味する。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、BET法により求められる比表面積(以下「SSA」と省略することがある)が700m2/g以上である。SSAが700m2/gより小さい球形活性炭では、毒性物質の吸着性能が低くなるので好ましくない。SSAは、好ましくは800m2/g以上である。SSAの上限は特に限定されるものではないが、嵩密度及び強度の観点から、SSAは、2500m2/g以下であることが好ましい。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、BET法により求められる比表面積(以下「SSA」と省略することがある)が700m2/g以上である。SSAが700m2/gより小さい球形活性炭では、毒性物質の吸着性能が低くなるので好ましくない。SSAは、好ましくは800m2/g以上である。SSAの上限は特に限定されるものではないが、嵩密度及び強度の観点から、SSAは、2500m2/g以下であることが好ましい。
更に、特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭では、官能基の構成において、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜0.70meq/gである。官能基の構成において、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜0.70meq/gの条件を満足しない球形活性炭では、上述した有毒物質の吸着能が低くなるので好ましくない。官能基の構成において、全酸性基は0.30〜1.00meq/gであることが好ましく、全塩基性基は0.30〜0.60meq/gであることが好ましい。その官能基の構成は、全酸性基が0.30〜1.20meq/g、全塩基性基が0.20〜0.70meq/g、フェノール性水酸基が0.20〜0.70meq/g、及びカルボキシル基が0.15meq/g以下の範囲にあり、且つ全酸性基(a)と全塩基性基(b)との比(a/b)が0.40〜2.5であり、全塩基性基(b)とフェノール性水酸基(c)とカルボキシル基(d)との関係〔(b+c)−d〕が0.60以上であることが好ましい。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
最初に、石油ピッチ又は石炭ピッチ等のピッチに対し、添加剤として、沸点200℃以上の2環式又は3環式の芳香族化合物又はその混合物を加えて加熱混合した後、成形してピッチ成形体を得る。なお、前記の球形活性炭は経口投与用であるので、その原料も、安全上充分な純度を有し、且つ品質的に安定であることが必要である。
最初に、石油ピッチ又は石炭ピッチ等のピッチに対し、添加剤として、沸点200℃以上の2環式又は3環式の芳香族化合物又はその混合物を加えて加熱混合した後、成形してピッチ成形体を得る。なお、前記の球形活性炭は経口投与用であるので、その原料も、安全上充分な純度を有し、且つ品質的に安定であることが必要である。
次に、70〜180℃の熱水中で、前記のピッチ成形体を撹拌下に分散造粒して微小球体化する。更に、ピッチに対して低溶解度を有し、かつ前記添加剤に対して高溶解度を有する溶剤で、ピッチ成形体から添加剤を抽出除去し、得られた多孔性ピッチを、酸化剤を用いて酸化すると、熱に対して不融性の多孔性ピッチが得られる。こうして得られた不融性多孔性ピッチを、更に炭素と反応性を有する気流(例えば、スチーム又は炭酸ガス)中で、800〜1000℃の温度で処理すると、多孔性炭素質物質を得ることができる。
こうして得られた多孔性炭素質物質を、続いて、酸素含有量0.1〜50vol%(好ましくは1〜30vol%、特に好ましくは3〜20vol%)の雰囲気下、300〜800℃(好ましくは320〜600℃)の温度で酸化処理し、更に800〜1200℃(好ましくは800〜1000℃)の温度下、非酸化性ガス雰囲気下で加熱反応による還元処理をすることにより、特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭を得ることができる。
前記の製造方法において、特定量の酸素を含有する雰囲気としては、純粋な酸素、酸化窒素又は空気等を酸素源として用いることができる。また、炭素に対して不活性な雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム等を単独で用いるか、あるいはそれらの混合物を用いることができる。
前記の原料ピッチに対して、芳香族化合物を添加する目的は、原料ピッチの軟化点を降下させることにより流動性を向上させて微小球体化を容易にすること及び成形後のピッチ成形体からその添加剤を抽出除去させることにより成形体を多孔質とし、その後の工程の酸化による炭素質材料の構造制御並びに焼成を容易にすることにある。このような添加剤としては、例えば、ナフタレン、メチルナフタレン、フェニルナフタレン、ベンジルナフタレン、メチルアントラセン、フェナンスレン、又はビフェニル等を単独で、又はそれらの2種以上の混合物を用いることができる。ピッチに対する添加量は、ピッチ100重量部に対し芳香族化合物10〜50重量部の範囲が好ましい。
ピッチと添加剤との混合は、均一な混合を達成するために、加熱して溶融状態で行うのが好ましい。ピッチと添加剤との混合物は、得られる多孔性球状炭素質の粒径(直径)を制御するため、粒径約0.01〜1mmの粒子に成形することが好ましい。成形は溶融状態で行ってもよく、また混合物を冷却後に粉砕する等の方法によってもよい。
ピッチと添加剤との混合物から添加剤を抽出除去するための溶剤としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、又はヘプタン等の脂肪族炭化水素、ナフサ、又はケロシン等の脂肪族炭化水素を主成分とする混合物、あるいはメタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール等の脂肪族アルコール類等が好適である。
ピッチと添加剤との混合物から添加剤を抽出除去するための溶剤としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、又はヘプタン等の脂肪族炭化水素、ナフサ、又はケロシン等の脂肪族炭化水素を主成分とする混合物、あるいはメタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール等の脂肪族アルコール類等が好適である。
このような溶剤でピッチと添加剤との混合物成形体から添加剤を抽出することによって、成形体の形状を維持したまま、添加剤を成形体から除去することができる。この際に、成形体中に添加剤の抜け穴が形成され、均一な多孔性を有するピッチ成形体が得られるものと推定される。
なお、添加剤の抜け穴サイズ(すなわち、細孔容積)の制御は、常法、例えば、添加剤の量、ピッチ成形体の微小球体化工程における添加剤の析出温度(冷却温度)を制御することによって実施することができる。また、添加剤の抽出により生成した細孔容積は不融化条件によっても影響を受ける。例えば、不融化処理が強ければ熱処理による熱収縮が小さくなり、添加剤の抽出により得られた細孔が維持されやすい傾向にある。
なお、添加剤の抜け穴サイズ(すなわち、細孔容積)の制御は、常法、例えば、添加剤の量、ピッチ成形体の微小球体化工程における添加剤の析出温度(冷却温度)を制御することによって実施することができる。また、添加剤の抽出により生成した細孔容積は不融化条件によっても影響を受ける。例えば、不融化処理が強ければ熱処理による熱収縮が小さくなり、添加剤の抽出により得られた細孔が維持されやすい傾向にある。
こうして得られた多孔性ピッチ成形体を、次いで不融化処理、すなわち酸化剤を用いて、好ましくは常温から300℃までの温度で酸化処理することにより、熱に対して不融性の多孔性不融性ピッチ成形体を得ることができる。ここで用いる酸化剤としては、例えば、酸素ガス(O2)、あるいは酸素ガス(O2)を空気や窒素等で希釈した混合ガスを挙げることができる。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭が有する各物性値、すなわち、平均粒子径、比表面積、細孔容積、全酸性基、及び全塩基性基は、以下の方法によって測定する。
(1)平均粒子径
球形活性炭についてJIS K 1474に準じて粒度累積線図を作成する。平均粒子径は、粒度累積線図において、横軸の50%の点の垂直線と粒度累積線との交点から、横軸に水平線を引いて交点の示すふるいの目開き(mm)を求めて、平均粒子径とする。
(1)平均粒子径
球形活性炭についてJIS K 1474に準じて粒度累積線図を作成する。平均粒子径は、粒度累積線図において、横軸の50%の点の垂直線と粒度累積線との交点から、横軸に水平線を引いて交点の示すふるいの目開き(mm)を求めて、平均粒子径とする。
(2)比表面積
連続流通式のガス吸着法による比表面積測定器(例えば、MICROMERITICS社製「Flow Sorb II 2300」)を用いて、球形活性炭試料のガス吸着量を測定し、BETの式により比表面積を計算することができる。具体的には、試料である球形活性炭を試料管に充填し、その試料管に窒素30vol%を含有するヘリウムガスを流しながら以下の操作を行い、球形活性炭試料への窒素吸着量を求める。すなわち、試料管を−196℃に冷却し、球形活性炭試料に窒素を吸着させる。次に、試料管を室温に戻す。このとき球形活性炭試料から脱離してくる窒素量を熱伝導度型検出器で測定し、吸着ガス量(v)とする。
BETの式から誘導された近似式:
vm=1/(v・(1−x))
を用いて液体窒素温度における、窒素吸着による1点法(相対圧力x=0.3)によりvmを求め、次式:
比表面積=4.35×vm(m2/g)
により試料の比表面積を計算する。前記の各計算式で、vmは試料表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量(cm3/g)であり、vは実測される吸着量(cm3/g)であり、xは相対圧力である。
連続流通式のガス吸着法による比表面積測定器(例えば、MICROMERITICS社製「Flow Sorb II 2300」)を用いて、球形活性炭試料のガス吸着量を測定し、BETの式により比表面積を計算することができる。具体的には、試料である球形活性炭を試料管に充填し、その試料管に窒素30vol%を含有するヘリウムガスを流しながら以下の操作を行い、球形活性炭試料への窒素吸着量を求める。すなわち、試料管を−196℃に冷却し、球形活性炭試料に窒素を吸着させる。次に、試料管を室温に戻す。このとき球形活性炭試料から脱離してくる窒素量を熱伝導度型検出器で測定し、吸着ガス量(v)とする。
BETの式から誘導された近似式:
vm=1/(v・(1−x))
を用いて液体窒素温度における、窒素吸着による1点法(相対圧力x=0.3)によりvmを求め、次式:
比表面積=4.35×vm(m2/g)
により試料の比表面積を計算する。前記の各計算式で、vmは試料表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量(cm3/g)であり、vは実測される吸着量(cm3/g)であり、xは相対圧力である。
(3)水銀圧入法による細孔容積
水銀ポロシメーター(例えば、MICROMERITICS社製「AUTOPORE 9200」)を用いて細孔容積を測定することができる。試料である球形活性炭を試料容器に入れ、2.67Pa以下の圧力で30分間脱気する。次いで、水銀を試料容器内に導入し、徐々に加圧して水銀を球形活性炭試料の細孔へ圧入する(最高圧力=414MPa)。このときの圧力と水銀の圧入量との関係から以下の各計算式を用いて球形活性炭試料の細孔容積分布を測定する。
具体的には、細孔直径15μmに相当する圧力(0.07MPa)から最高圧力(414MPa:細孔直径3nm相当)までに球形活性炭試料に圧入された水銀の体積を測定する。細孔直径の算出は、直径(D)の円筒形の細孔に水銀を圧力(P)で圧入する場合、水銀の表面張力を「γ」とし、水銀と細孔壁との接触角を「θ」とすると、表面張力と細孔断面に働く圧力の釣り合いから、次式:
−πDγcosθ=π(D/2)2・P
が成り立つ。従って
D=(−4γcosθ)/P
となる。
本明細書においては、水銀の表面張力を484dyne/cmとし、水銀と炭素との接触角を130度とし、圧力PをMPaとし、そして細孔直径Dをμmで表示し、下記式:
D=1.27/P
により圧力Pと細孔直径Dの関係を求める。本発明における細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積とは、水銀圧入圧0.07MPaから63.5MPaまでに圧入された水銀の体積に相当する。
水銀ポロシメーター(例えば、MICROMERITICS社製「AUTOPORE 9200」)を用いて細孔容積を測定することができる。試料である球形活性炭を試料容器に入れ、2.67Pa以下の圧力で30分間脱気する。次いで、水銀を試料容器内に導入し、徐々に加圧して水銀を球形活性炭試料の細孔へ圧入する(最高圧力=414MPa)。このときの圧力と水銀の圧入量との関係から以下の各計算式を用いて球形活性炭試料の細孔容積分布を測定する。
具体的には、細孔直径15μmに相当する圧力(0.07MPa)から最高圧力(414MPa:細孔直径3nm相当)までに球形活性炭試料に圧入された水銀の体積を測定する。細孔直径の算出は、直径(D)の円筒形の細孔に水銀を圧力(P)で圧入する場合、水銀の表面張力を「γ」とし、水銀と細孔壁との接触角を「θ」とすると、表面張力と細孔断面に働く圧力の釣り合いから、次式:
−πDγcosθ=π(D/2)2・P
が成り立つ。従って
D=(−4γcosθ)/P
となる。
本明細書においては、水銀の表面張力を484dyne/cmとし、水銀と炭素との接触角を130度とし、圧力PをMPaとし、そして細孔直径Dをμmで表示し、下記式:
D=1.27/P
により圧力Pと細孔直径Dの関係を求める。本発明における細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積とは、水銀圧入圧0.07MPaから63.5MPaまでに圧入された水銀の体積に相当する。
(4)全酸性基
0.05規定のNaOH溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形活性炭試料1gを添加し、48時間振とうした後、球形活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるNaOHの消費量である。
0.05規定のNaOH溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形活性炭試料1gを添加し、48時間振とうした後、球形活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるNaOHの消費量である。
(5)全塩基性基
0.05規定のHCl溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形活性炭試料1gを添加し、24時間振とうした後、球形活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるHClの消費量である。
0.05規定のHCl溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形活性炭試料1gを添加し、24時間振とうした後、球形活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるHClの消費量である。
なお、本発明の循環器機能障害因子除去剤の有効成分である、球形活性炭としては、更に、特願2004−110575号明細書に記載の平均粒子径が小さい球状活性炭、すなわち、平均粒子径が50〜200μmであり、BET法により求められる比表面積が700m2/g以上である球状活性炭、あるいは特願2004−110576号明細書に記載の平均粒子径が小さい表面改質球状活性炭、すなわち、平均粒子径が50〜200μmであり、BET法により求められる比表面積が700m2/g以上であり、全酸性基が0.30meq/g〜1.20meq/gであり、そして全塩基性基が0.20meq/g〜0.9meq/gである表面改質球状活性炭を用いることもできる。
本発明の医薬製剤の有効成分である球形活性炭としては、更に、WO2004/39380号公報に記載のX線回折法による回折角(2θ)が1.4以上である球状活性炭を用いることができる。更にまた、WO2004/39381号公報に記載の熱硬化性樹脂を炭素源とする球状活性炭を用いることもできる。
本発明の循環器機能障害因子除去剤は、後述する実施例で具体的に示すように、尿量、及び尿中ナトリウムには影響を与えずに、BNPの上昇を抑制し、心重量の増加を抑制し、更に、心筋の線維化を抑制する効果を示す。これは、消化管に存在する液性因子(すなわち、循環器機能障害因子)が球形活性炭によって吸着されることによって循環器機能障害が改善し、その改善がBNP血中濃度の上昇抑制として現れるものと考えられる。従って、本発明による循環器機能障害因子除去剤は、例えば、経口薬として服用することにより、副作用を伴わず、循環器機能障害(特に、心機能不全)の改善に有効であり、循環器疾患、例えば、心臓疾患(例えば、心不全又はうっ血性心不全)や静脈血栓症の予防又は治療に有効である。
本発明の循環器機能障害因子除去剤における有効成分である、球形活性炭(好ましくは粒径0.01〜2mmの球形活性炭)は、それ単独で、あるいは、所望により薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、低代謝回転骨に起因する種々の疾病の治療又は予防が必要な対象[動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)]に、有効量で投与することができる。本発明の循環器機能障害因子除去剤は、好ましくは経口的に投与される。その投与量は、例えば、対象(哺乳動物、特にはヒト)、年齢、個人差、及び/又は病状などに依存する。例えば、ヒトの場合の1日当たりの投与量は、通常、球形活性炭量として0.2〜20gであるが、症状により、投与量を適宜増減してもよい。また、投与は1回又は数回に分けて行なってもよい。球形活性炭は、そのまま投与してもよいし、活性炭製剤として投与してもよい。球形活性炭をそのまま投与する場合、球形活性炭を飲料水などに懸濁したスラリーとして投与することもできる。
活性炭製剤における剤形としては、例えば、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、スティック剤、分包包装体、又は懸濁剤などの任意の剤形を採用することができる。カプセル剤の場合、通常のゼラチンカプセルの他、必要に応じ、腸溶性のカプセルを用いることもできる。顆粒、錠剤、又は糖衣錠として用いる場合は、体内で元の微小粒子に解錠されることが必要である。活性炭製剤中の球形活性炭の含有量は、通常1〜100%である。本発明において、好ましい活性炭製剤は、カプセル剤、スティック剤、又は分包包装体である。これらの製剤の場合、球形活性炭は、そのまま容器に封入される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《製造例1:多孔性球状炭素質物質の製造》
特許第3522708号(特開2002−308785号公報)の実施例1に記載の方法と同様にして多孔性球状炭素質物質を得た。具体的な操作は、以下の通りである。
石油系ピッチ(軟化点=210℃;キノリン不溶分=1重量%以下;H/C原子比=0.63)68kgと、ナフタレン32kgとを、攪拌翼のついた内容積300Lの耐圧容器に仕込み、180℃で溶融混合を行った後、80〜90℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を直径と長さの比が約1〜2になるように破砕した。
0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより冷却し、20℃で3時間冷却し、ピッチの固化及びナフタレン結晶の析出を行い、球状ピッチ成形体スラリーを得た。
大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチ成形体の約6倍重量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、235℃まで昇温した後、235℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状酸化ピッチを得た。
続いて、多孔性球状酸化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中で900℃で170分間賦活処理して多孔性球状活性炭を得、更にこれを流動床にて、酸素濃度18.5vol%の窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で470℃で3時間15分間、酸化処理し、次に流動床にて窒素ガス雰囲気下で900℃で17分間還元処理を行い、多孔性球状炭素質物質を得た。
得られた炭素質材料の主な特性は以下の通りである。
比表面積=1300m2/g(BET法);
細孔容積=0.08mL/g
(水銀圧入法により求めた細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積);
平均粒子径=350μm;
全酸性基=0.67meq/g;及び
全塩基性基=0.54meq/g。
特許第3522708号(特開2002−308785号公報)の実施例1に記載の方法と同様にして多孔性球状炭素質物質を得た。具体的な操作は、以下の通りである。
石油系ピッチ(軟化点=210℃;キノリン不溶分=1重量%以下;H/C原子比=0.63)68kgと、ナフタレン32kgとを、攪拌翼のついた内容積300Lの耐圧容器に仕込み、180℃で溶融混合を行った後、80〜90℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を直径と長さの比が約1〜2になるように破砕した。
0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより冷却し、20℃で3時間冷却し、ピッチの固化及びナフタレン結晶の析出を行い、球状ピッチ成形体スラリーを得た。
大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチ成形体の約6倍重量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、235℃まで昇温した後、235℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状酸化ピッチを得た。
続いて、多孔性球状酸化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中で900℃で170分間賦活処理して多孔性球状活性炭を得、更にこれを流動床にて、酸素濃度18.5vol%の窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で470℃で3時間15分間、酸化処理し、次に流動床にて窒素ガス雰囲気下で900℃で17分間還元処理を行い、多孔性球状炭素質物質を得た。
得られた炭素質材料の主な特性は以下の通りである。
比表面積=1300m2/g(BET法);
細孔容積=0.08mL/g
(水銀圧入法により求めた細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積);
平均粒子径=350μm;
全酸性基=0.67meq/g;及び
全塩基性基=0.54meq/g。
《薬理試験例》
(a)試験方法
実験動物としては、ダール食塩感受性ラット及びダール食塩非感受性ラット(各々雄性5週齢;日本SLCより購入)を使用した。これらのラットを訓化飼育後、ダール食塩感受性群を、血圧及び体重に関して偏りが生じないように、食塩感受性群(対照群:計10匹)と球形活性炭投与群(計10匹)とに分けた。なお、ダール食塩感受性ラット(Dahl salt-sensitive rat)は、心不全モデル動物として知られている〔木原康樹など,「心臓」Vol.27,No.5,(1995)450−461〕。
これらのダール食塩感受性ラット(対照群及び球形活性炭投与群)並びにダール食塩非感受性ラット(正常群:計10匹)に、1.2%食塩水を自由摂取させると共に、食塩感受性群(対照群)及びダール食塩非感受性ラット(正常群)には、通常飼料(CE−2;日本クレア製)を与え、球形活性炭投与群には、通常飼料に球形活性炭群5%を含有させた混餌を与え、それぞれ28週間飼育した。体重測定及び血清生化学検査(腎機能検査及びBNP)を実施し、尿量、尿中ナトリウム排泄量、及び血圧を測定し、心重量及び左心室重量を測定した。更に、解剖後の心臓の病理標本を作製し、H.E.染色により線維化の有無を観察した。
(a)試験方法
実験動物としては、ダール食塩感受性ラット及びダール食塩非感受性ラット(各々雄性5週齢;日本SLCより購入)を使用した。これらのラットを訓化飼育後、ダール食塩感受性群を、血圧及び体重に関して偏りが生じないように、食塩感受性群(対照群:計10匹)と球形活性炭投与群(計10匹)とに分けた。なお、ダール食塩感受性ラット(Dahl salt-sensitive rat)は、心不全モデル動物として知られている〔木原康樹など,「心臓」Vol.27,No.5,(1995)450−461〕。
これらのダール食塩感受性ラット(対照群及び球形活性炭投与群)並びにダール食塩非感受性ラット(正常群:計10匹)に、1.2%食塩水を自由摂取させると共に、食塩感受性群(対照群)及びダール食塩非感受性ラット(正常群)には、通常飼料(CE−2;日本クレア製)を与え、球形活性炭投与群には、通常飼料に球形活性炭群5%を含有させた混餌を与え、それぞれ28週間飼育した。体重測定及び血清生化学検査(腎機能検査及びBNP)を実施し、尿量、尿中ナトリウム排泄量、及び血圧を測定し、心重量及び左心室重量を測定した。更に、解剖後の心臓の病理標本を作製し、H.E.染色により線維化の有無を観察した。
体重に関しては、対照群と球形活性炭投与群との間には、有意差は認められず、食塩感受性ラット(対照群及び球形活性炭投与群)と食塩非感受性ラット(正常群)との間にのみ有意差が認められた。薬理試験例に記載のすべての検定は、Studentのt検定を用いて行った。
対照群と正常群:p<0.001;
球形活性炭投与群と正常群:p<0.001。
また、腎機能の指標であるクレアチニン(Cr)及び尿素窒素(BUN)については、各群間に有意差は認められなかった。
対照群と正常群:p<0.001;
球形活性炭投与群と正常群:p<0.001。
また、腎機能の指標であるクレアチニン(Cr)及び尿素窒素(BUN)については、各群間に有意差は認められなかった。
(2)尿量、尿中ナトリウム排泄量、及び血圧の測定
尿量の測定結果を図1に示し、尿中ナトリウム排泄量の測定結果を図2に、そして血圧の測定結果を図3に示す。
尿量、尿中ナトリウム排泄量、及び血圧に関しては、対照群と球形活性炭投与群との間には、有意差は認められなかった。
尿量の測定結果を図1に示し、尿中ナトリウム排泄量の測定結果を図2に、そして血圧の測定結果を図3に示す。
尿量、尿中ナトリウム排泄量、及び血圧に関しては、対照群と球形活性炭投与群との間には、有意差は認められなかった。
(3)BNPの測定
血清BNP濃度の測定結果を図4に示す。各群間に有意差が認められた。
対照群と球形活性炭投与群:p<0.05;
対照群と正常群:p<0.001;
球形活性炭投与群と正常群:p<0.001。
なお、BNP(Brain natriuretic peptide:脳性ナトリウム利尿ペプチド)の血中濃度は、健常人では低値であるが、心不全患者で増加し、無症状の心不全でも上昇するので、心不全の診断と評価に有用である〔米持英俊など,「綜合臨床」2003.1/Vol.52,No.1,P.64−68;小室一成編著,「心不全フロンティア」,メディカルレビュー社,2003年4月,P.155−161〕。
血清BNP濃度の測定結果を図4に示す。各群間に有意差が認められた。
対照群と球形活性炭投与群:p<0.05;
対照群と正常群:p<0.001;
球形活性炭投与群と正常群:p<0.001。
なお、BNP(Brain natriuretic peptide:脳性ナトリウム利尿ペプチド)の血中濃度は、健常人では低値であるが、心不全患者で増加し、無症状の心不全でも上昇するので、心不全の診断と評価に有用である〔米持英俊など,「綜合臨床」2003.1/Vol.52,No.1,P.64−68;小室一成編著,「心不全フロンティア」,メディカルレビュー社,2003年4月,P.155−161〕。
(4)心重量及び左心室重量
心重量の測定結果を図5に示し、左心室重量の測定結果を図6に示す。心重量(図5)については、各群間に有意差が認められた。
対照群と球形活性炭投与群:p<0.05;
対照群と正常群:p<0.001;
球形活性炭投与群と正常群:p<0.001。
一方、左心室重量(図6)については、対照群と球形活性炭投与群との間、及び対照群と正常群との間に有意差が認められたが、球形活性炭投与群と正常群との間には有意差は認められなかった。
対照群と球形活性炭投与群:p<0.05;
対照群と正常群:p<0.001。
心重量の測定結果を図5に示し、左心室重量の測定結果を図6に示す。心重量(図5)については、各群間に有意差が認められた。
対照群と球形活性炭投与群:p<0.05;
対照群と正常群:p<0.001;
球形活性炭投与群と正常群:p<0.001。
一方、左心室重量(図6)については、対照群と球形活性炭投与群との間、及び対照群と正常群との間に有意差が認められたが、球形活性炭投与群と正常群との間には有意差は認められなかった。
対照群と球形活性炭投与群:p<0.05;
対照群と正常群:p<0.001。
(5)心臓組織の線維化
解剖後の心臓の病理標本を作製し、H.E.染色により線維化の有無を顕微鏡によって観察した結果を、図7(対照群)、図8(球形活性炭投与群)、及び図9(正常群)に示す。対照群(図7)には、明らかな線維化が観察されたのに対し、球形活性炭投与群(図8)及び正常群(図9)には線維化が観察されなかった。すなわち、ダール食塩感受性ラットの心臓組織に出現する線維化が、球形活性炭の経口投与によって抑制されることが明らかになった。
解剖後の心臓の病理標本を作製し、H.E.染色により線維化の有無を顕微鏡によって観察した結果を、図7(対照群)、図8(球形活性炭投与群)、及び図9(正常群)に示す。対照群(図7)には、明らかな線維化が観察されたのに対し、球形活性炭投与群(図8)及び正常群(図9)には線維化が観察されなかった。すなわち、ダール食塩感受性ラットの心臓組織に出現する線維化が、球形活性炭の経口投与によって抑制されることが明らかになった。
《製剤調製例1:カプセル剤の調製》
前記製造例1で得た球形活性炭200mgをゼラチンカプセルに封入してカプセル剤を調製した。
前記製造例1で得た球形活性炭200mgをゼラチンカプセルに封入してカプセル剤を調製した。
《製剤調製例2:スティック剤の調製》
前記製造例1で得た球形活性炭2gを積層フィルム製スティックに充填した後、ヒートシールしてスティック剤とした。
前記製造例1で得た球形活性炭2gを積層フィルム製スティックに充填した後、ヒートシールしてスティック剤とした。
本発明の循環器機能障害因子除去剤によれば、心不全患者における利尿抵抗性を改善することができ、その改善作用により、更に心不全の治療又は予防することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
Claims (16)
- 球形活性炭を有効成分とする、循環器機能障害因子除去剤。
- 経口投与用である、請求項1に記載の循環器機能障害因子除去剤。
- 球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである、請求項1又は2に記載の循環器機能障害因子除去剤。
- 循環器機能障害改善剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の循環器機能障害因子除去剤。
- 球形活性炭と、薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる担体又は希釈剤とを含有する、循環器機能障害の治療又は予防用医薬組成物。
- 経口投与用である、請求項5に記載の循環器機能障害の治療又は予防用医薬組成物。
- 球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである、請求項5又は6に記載の循環器機能障害の治療又は予防用医薬組成物。
- 循環器機能障害改善剤である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の循環器機能障害の治療又は予防用医薬組成物。
- 球形活性炭を、循環器機能障害の治療又は予防が必要な対象に、有効量で投与することを含む、循環器機能障害を治療又は予防する方法。
- 経口投与用である、請求項9に記載の循環器機能障害を治療又は予防する方法。
- 球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである、請求項9又は10に記載の循環器機能障害を治療又は予防する方法。
- 循環器機能障害改善剤である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の循環器機能障害を治療又は予防する方法。
- 球形活性炭の、循環器機能障害の治療又は予防用医薬組成物を製造するための使用。
- 経口投与用である、請求項13に記載の使用。
- 球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである、請求項13又は14に記載の使用。
- 循環器機能障害改善剤である、請求項13〜15のいずれか一項に記載の使用。
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