JP4311923B2 - 経口投与用肝疾患治療又は予防剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、経口投与用肝疾患治療又は予防剤に関する。本発明による経口投与用肝疾患治療又は予防剤は、特定範囲の細孔容積を有する多孔性球状炭素質物質を有効成分として含有し、経口服用した場合に、消化酵素等の体内の有益成分の吸着性が少ないにもかかわらず、有毒な毒性物質(Toxin)の消化器系内における吸着性能が優れるという特性を有する。従って、肝疾患者に対して経口的に服用させると、顕著な治癒効果を示す。
【0002】
【従来の技術】
腎機能や肝機能の欠損患者らは、それらの臓器機能障害に伴って、血液中等の体内に有害な毒性物質が蓄積したり生成したりするので、尿毒症や意識障害等の脳症をひきおこす。これらの患者数は年々増加する傾向を示しているため、これら欠損臓器に代わって毒性物質を体外へ除去する機能をもつ臓器代用機器或いは治療薬の開発が重要な課題となっている。現在、人工腎臓としては、血液透析による有毒物質の除去方式が最も普及している。しかしながら、このような血液透折型人工腎臓では、特殊な装置を用いるために、安全管理上から専門技術者を必要とし、また血液の体外取出しによる患者の肉体的、精神的及び経済的負担が高いなどの欠点を有していて、必ずしも満足すべきものではない。
【0003】
近年、これらの欠点を解決する手段として、経口的な服用が可能で、腎臓や肝臓の機能障害を治療することができる経口吸着剤が注目されている。具体的には、特公昭62−11611号公報(特許文献1)に記載の吸着剤は、特定の官能基を有する多孔性球状炭素質物質からなり、生体に対する安全性や安定性が高く、同時に腸内での胆汁酸の存在下でも有毒物質の吸着性に優れ、しかも、消化酵素等の腸内有益成分の吸着が少ないという有益な選択吸着性を有し、また、便秘等の副作用の少ない経口治療薬として、例えば、肝腎機能障害患者に対して広く臨床的に利用されている。
【0004】
【特許文献1】
特公昭62−11611号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者は、前記の多孔性球状炭素質物質からなる経口吸着剤よりも一層優れた選択的吸着性を示す経口吸着剤の探求を進めていたところ、驚くべきことに、特定範囲の細孔容積を有する多孔性球状炭素質物質は、腎臓病での毒性物質であるβ−アミノイソ酪酸の吸着性に優れているにもかかわらず、有益物質である消化酵素(例えば、α−アミラーゼ)等に対する吸着性が、前記特公昭62−11611号公報に記載の吸着剤よりも少ないという優れた選択吸着性を有することを見出した。
更に、本発明者が新たに見出した多孔性球状炭素質物質は、前記特公昭62−11611号公報に記載の吸着剤と同様に、便秘等の副作用が少なく、優れた経口肝疾患治療薬としての作用も示すことが分かった。
本発明はこうした知見に基づくものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、直径が0.01〜1mmであり、BET法により求められる比表面積が700m2/g以上であり、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満であり、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜1.00meq/gである多孔性球状炭素質物質を有効成分として含有する、経口投与用肝疾患治療又は予防剤に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明による経口投与用肝疾患治療又は予防剤の有効成分として用いる多孔性球状炭素質物質は、前記のとおり、特定範囲の細孔容積を有する。すなわち、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満である。一方、前記特公昭62−11611号公報には、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙容積(すなわち、細孔直径20〜15000nmの細孔容積)が0.1〜1mL/gの多孔性球状炭素質物質からなる吸着剤が記載されており、胆汁酸中で、肝性脳症原因物質であるオクトパミンやα−アミノ酪酸、更に腎臓病での毒性物質及びその前躯体であるジメチルアミン、β−アミノイソ酪酸、アスパラギン酸、あるいはアルギニン等の水溶性の塩基性及び両性物質の吸着性に優れており、しかも有益物質である消化酵素等に対する吸着性は少ないことが記載されている。また、前記特公昭62−11611号公報の実施例1〜3では、細孔半径37.5〜75000オングストロームの空隙容積が0.20〜0.23mL/gの吸着剤が実際に調製されており、β−アミノイソ酪酸、γ−アミノ−n−酪酸、ジメチルアミン、及びオクトパミンの吸着性に優れていることが実際に確認されている。
【0008】
これに対し、本発明者が見出したところによると、本明細書の実施例に示すとおり、細孔直径20〜15000nmの細孔容積を0.04mL/g以上で0.10mL/g未満に調整すると、毒性物質であるβ−アミノイソ酪酸に対する高い吸着特性を維持しつつ、有益物質であるα−アミラーゼに対する吸着特性が有意に低下する。多孔性球状炭素質吸着剤の細孔直径20〜15000nmの細孔容積が大きくなればなるほど消化酵素等の有益物質の吸着が起こりやすくなるため、有益物質の吸着を少なくする観点からは、前記細孔容積は小さいほど好ましい。しかしながら、一方で、細孔容積が小さすぎると毒性物質の吸着量も低下する。従って、経口投与用吸着剤においては、毒性物質の吸着量(T)の有益物質の吸着量(U)に対する比(T/U)、すなわち、選択吸着率が重要である。例えば、多孔性球状炭素質物質の選択吸着率を、DL−β−アミノイソ酪酸(毒性物質)の吸着量(Tb)のα−アミラーゼ(有益物質)の吸着量(Ua)に対する比(Tb/Ua)として評価することができる。すなわち、選択吸着率は、例えば、以下の式:
A=Tb/Ua
(ここで、Aは選択吸着率であり、TbはDL−β−アミノイソ酪酸の吸着量であり、Uaはα−アミラーゼの吸着量である)
によって評価することができる。
本発明の経口投与用肝疾患治療又は予防剤の有効成分として用いる多孔性球状炭素質吸着剤は、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満の範囲内で優れた選択吸着率を示し、前記細孔容積が0.05mL/g以上で0.10mL/g未満の範囲内で一層優れた選択吸着率を示す。
【0009】
本発明による経口投与用肝疾患治療又は予防剤の有効成分として用いる多孔性球状炭素質物質は、直径が0.01〜1mmである。多孔性球状炭素質物質の直径が0.01mm未満になると、多孔性球状炭素質物質の外表面積が増加し、消化酵素等の有益物質の吸着が起こり易くなるので好ましくない。また、直径が1mmを越えると、多孔性球状炭素質物質内部への毒性物質の拡散距離が増加し、吸着速度が低下するので好ましくない。直径は、好ましくは0.02〜0.8mmである。なお、本明細書で「直径がDl〜Duである」という表現は、JISK 1474に準じて作成した粒度累積線図(平均粒子径の測定方法に関連して後で説明する)において、ふるいの目開きDl〜Duの範囲に対応するふるい通過百分率(%)が90%以上であることを意味する。
【0010】
本発明による経口投与用肝疾患治療又は予防剤の有効成分として用いる多孔性球状炭素質物質は、BET法により求められる比表面積(以下「SSA」と省略することがある)が700m2/g以上である。SSAが700m2/gより小さい多孔性球状炭素質物質では、毒性物質の吸着性能が低くなるので好ましくない。SSAは、好ましくは800m2/g以上である。SSAの上限は特に限定されるものではないが、嵩密度及び強度の観点から、SSAは、2500m2/g以下であることが好ましい。
【0011】
更に、本発明の経口投与用肝疾患治療又は予防剤の有効成分として用いる多孔性球状炭素質物質では、官能基の構成において、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜1.00meq/gである。官能基の構成において、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜1.00meq/gの条件を満足しない多孔性球状炭素質物質では、上述した有毒物質の吸着能が低くなるので好ましくない。官能基の構成において、全酸性基は0.30〜1.00meq/gであることが好ましく、全塩基性基は0.30〜0.60meq/gであることが好ましい。本発明の経口投与用肝疾患治療又は予防剤の有効成分として用いる多孔性球状炭素質物質では、その官能基の構成は、全酸性基が0.30〜1.20meq/g、全塩基性基が0.20〜1.00meq/g、フェノール性水酸基が0.20〜0.70meq/g、及びカルボキシル基が0.15meq/g以下の範囲にあり、且つ全酸性基(a)と全塩基性基(b)との比(a/b)が0.40〜2.5であり、全塩基性基(b)とフェノール性水酸基(c)とカルボキシル基(d)との関係〔(b+c)−d〕が0.60以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の経口投与用肝疾患治療又は予防剤の有効成分の有効成分として用いる多孔性球状炭素質物質は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
最初に、石油ピッチ又は石炭ピッチ等のピッチに対し、添加剤として、沸点200℃以上の2環式又は3環式の芳香族化合物又はその混合物を加えて加熱混合した後、成形してピッチ成形体を得る。なお、前記の多孔性球状炭素質物質は経口投与用であるので、その原料も、安全上充分な純度を有し、且つ品質的に安定であることが必要である。
【0013】
次に、70〜180℃の熱水中で、前記のピッチ成形体を撹拌下に分散造粒して微小球体化する。更に、ピッチに対して低溶解度を有し、かつ前記添加剤に対して高溶解度を有する溶剤で、ピッチ成形体から添加剤を抽出除去し、得られた多孔性ピッチを、酸化剤を用いて酸化すると、熱に対して不融性の多孔性ピッチが得られる。こうして得られた不融性多孔性ピッチを、更に炭素と反応性を有する気流(例えば、スチーム又は炭酸ガス)中で、800〜1000℃の温度で処理すると、多孔性炭素質物質を得ることができる。
【0014】
こうして得られた多孔性炭素質物質を、続いて、酸素含有量0.1〜50vol%(好ましくは1〜30vol%、特に好ましくは3〜20vol%)の雰囲気下、300〜800℃(好ましくは320〜600℃)の温度で酸化処理し、更に800〜1200℃(好ましくは800〜1000℃)の温度下、非酸化性ガス雰囲気下で加熱反応による還元処理をすることにより、本発明の経口投与用肝疾患治療又は予防剤の有効成分として用いる多孔性球状炭素質物質を得ることができる。
【0015】
前記の製造方法において、特定量の酸素を含有する雰囲気としては、純粋な酸素、酸化窒素又は空気等を酸素源として用いることができる。また、炭素に対して不活性な雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン、又はへリウム等を単独で用いるか、あるいはそれらの混合物を用いることができる。
【0016】
前記の原料ピッチに対して、芳香族化合物を添加する目的は、原料ピッチの軟化点を降下させることにより流動性を向上させて微小球体化を容易にすること及び成形後のピッチ成形体からその添加剤を抽出除去させることにより成形体を多孔質とし、その後の工程の酸化による炭素質材料の構造制御並びに焼成を容易にすることにある。このような添加剤としては、例えば、ナフタレン、メチルナフタレン、フェニルナフタレン、ベンジルナフタレン、メチルアントラセン、フェナンスレン、又はビフェニル等を単独で、又はそれらの2種以上の混合物を用いることができる。ピッチに対する添加量は、ピッチ100重量部に対し芳香族化合物10〜50重量部の範囲が好ましい。
【0017】
ピッチと添加剤との混合は、均一な混合を達成するために、加熱して溶融状態で行うのが好ましい。ピッチと添加剤との混合物は、得られる多孔性球状炭素質の粒径(直径)を制御するため、粒径約0.01〜1mmの粒子に成形することが好ましい。成形は溶融状態で行ってもよく、また混合物を冷却後に粉砕する等の方法によってもよい。
ピッチと添加剤との混合物から添加剤を抽出除去するための溶剤としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、又はヘプタン等の脂肪族炭化水素、ナフサ、又はケロシン等の脂肪族炭化水素を主成分とする混合物、あるいはメタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール等の脂肪族アルコール類等が好適である。
このような溶剤でピッチと添加剤との混合物成形体から添加剤を抽出することによって、成形体の形状を維持したまま、添加剤を成形体から除去することができる。この際に、成形体中に添加剤の抜け穴が形成され、均一な多孔性を有するピッチ成形体が得られるものと推定される。
なお、添加剤の抜け穴サイズ(すなわち、細孔容積)の制御は、常法、例えば、添加剤の量、ピッチ成形体の微小球体化工程における添加剤の析出温度(冷却温度)を制御することによって実施することができる。また、添加剤の抽出により生成した細孔容積は不融化条件によっても影響を受ける。例えば、不融化処理が強ければ熱処理による熱収縮が小さくなり、添加剤の抽出により得られた細孔が維持されやすい傾向にある。
【0018】
こうして得られた多孔性ピッチ成形体を、次いで不融化処理、すなわち酸化剤を用いて、好ましくは常温から300℃までの温度で酸化処理することにより、熱に対して不融性の多孔性不融性ピッチ成形体を得ることができる。ここで用いる酸化剤としては、例えば、酸素ガス(O2)、あるいは酸素ガス(O2)を空気や窒素等で希釈した混合ガスを挙げることができる。
【0019】
本発明の経口投与用肝疾患治療又は予防剤の有効成分として用いる多孔性球状炭素質物質が有する各物性値、すなわち、平均粒子径、比表面積、細孔容積、全酸性基、及び全塩基性基は、以下の方法によって測定する。
(1)平均粒子径
多孔性球状炭素質物質についてJIS K 1474に準じて粒度累積線図を作成する。平均粒子径は、粒度累積線図において、横軸の50%の点の垂直線と粒度累積線との交点から、横軸に水平線を引いて交点の示すふるいの目開き(mm)を求めて、平均粒子径とする。
【0020】
(2)比表面積
連続流通式のガス吸着法による比表面積測定器(例えば、MICROMERITICS社製「Flow Sorb II 2300」)を用いて、多孔性球状炭素質物質試料のガス吸着量を測定し、BETの式により比表面積を計算することができる。具体的には、試料である多孔性球状炭素質物質を試料管に充填し、その試料管に窒素30vol%を含有するヘリウムガスを流しながら以下の操作を行い、多孔性球状炭素質物質試料への窒素吸着量を求める。すなわち、試料管を−196℃に冷却し、多孔性球状炭素質物質試料に窒素を吸着させる。次に、試料管を室温に戻す。このとき多孔性球状炭素質物質試料から脱離してくる窒素量を熱伝導度型検出器で測定し、吸着ガス量(v)とする。
BETの式から誘導された近似式:
vm=1/(v・(1−x))
を用いて液体窒素温度における、窒素吸着による1点法(相対圧力x=0.3)によりvmを求め、次式:
比表面積=4.35×vm(m2/g)
により試料の比表面積を計算する。前記の各計算式で、vmは試料表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量(cm3/g)であり、vは実測される吸着量(cm3/g)であり、xは相対圧力である。
【0021】
(3)水銀圧入法による細孔容積
水銀ポロシメーター(例えば、MICROMERITICS社製「AUTOPORE 9200」)を用いて細孔容積を測定することができる。試料である多孔性球状炭素質物質を試料容器に入れ、2.67Pa以下の圧力で30分間脱気する。次いで、水銀を試料容器内に導入し、徐々に加圧して水銀を多孔性球状炭素質物質試料の細孔へ圧入する(最高圧力=414MPa)。このときの圧力と水銀の圧入量との関係から以下の各計算式を用いて多孔性球状炭素質物質試料の細孔容積分布を測定する。
具体的には、細孔直径15μmに相当する圧力(0.07MPa)から最高圧力(414MPa:細孔直径3nm相当)までに多孔性球状炭素質物質試料に圧入された水銀の体積を測定する。細孔直径の算出は、直径(D)の円筒形の細孔に水銀を圧力(P)で圧入する場合、水銀の表面張力を「γ」とし、水銀と細孔壁との接触角を「θ」とすると、表面張力と細孔断面に働く圧力の釣り合いから、次式:
−πDγcosθ=π(D/2)2・P
が成り立つ。従って
D=(−4γcosθ)/P
となる。
本明細書においては、水銀の表面張力を484dyne/cmとし、水銀と炭素との接触角を130度とし、圧力PをMPaとし、そして細孔直径Dをμmで表示し、下記式:
D=1.27/P
により圧力Pと細孔直径Dの関係を求める。本発明における細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積とは、水銀圧入圧0.07MPaから63.5MPaまでに圧入された水銀の体積に相当する。
【0022】
(4)全酸性基
0.05規定のNaOH溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した多孔性球状炭素質物質試料1gを添加し、48時間振とうした後、多孔性球状炭素質物質試料をろ別し、中和滴定により求められるNaOHの消費量である。
【0023】
(5)全塩基性基
0.05規定のHCl溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した多孔性球状炭素質物質試料1gを添加し、24時間振とうした後、多孔性球状炭素質物質試料をろ別し、中和滴定により求められるHClの消費量である。
【0024】
本発明の経口投与用肝疾患治療又は予防剤の有効成分として用いる多孔性球状炭素質物質は、前記のように両イオン性基(すなわち、酸性基及び塩基性基)を有し、且つ腸内での毒性物質の選択吸着性に優れているので、肝疾患の治療用又は予防用経口投与用吸着剤として用いることができる。
肝疾患としては、例えば、劇症肝炎、慢性肝炎、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、肝線維症、肝硬変、肝癌、自己免疫性肝炎、薬剤アレルギー性肝障害、原発性胆汁性肝硬変、振せん、脳症、代謝異常、又は機能異常を挙げることができる。その他、体内に存在する有害物質による病気、すなわち、精神病等の治療にも用いることができる。
【0025】
本発明による経口投与用肝疾患治療又は予防剤の投与量は、投与対象がヒトであるかあるいはその他の動物であるかにより、また、年令、個人差、又は病状などに影響されるので、場合によっては下記範囲外の投与量が適当なこともあるが、一般にヒトを対象とする場合の経口投与量は1日当り1〜20gを3〜4回に分けて服用し、更に症状によって適宜増減することができる。投与形態は、散剤、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、懸濁剤、スティック剤、分包包装体、又は乳剤等であることができる。カプセル剤として服用する場合は、通常のゼラチンの他に、必要に応じて腸溶性のカプセルを用いることもできる。錠剤として用いる場合は、体内でもとの微小粒体に解錠されることが必要である。更に他の薬剤であるアルミゲルやケイキサレートなどの電解質調節剤と配合した複合剤の形態で用いることもできる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
以下の実施例において、α−アミラーゼ吸着試験及びDL−β−アミノイソ酪酸吸着試験は以下の方法で実施し、選択吸着率は以下の方法で計算した。
(1)α−アミラーゼ吸着試験
多孔性球状炭素質物質試料を乾燥した後、乾燥試料0.125gを正確に量って共栓付三角フラスコにとる。一方、α−アミラーゼ(液化型)0.100gを正確に秤量して、pH7.4のリン酸塩緩衝液を加えて溶かし、正確に1000mLとした液(原液)50mLを、前記の共栓付三角フラスコに正確に加え、37±1℃で3時間振り混ぜる。フラスコの内容物をろ孔0.65μmのメンブランフィルターで吸引ろ過し、はじめのろ液約20mLを除き、つぎのろ液約10mLを取って試料溶液とする。
一方、pH7.4のリン酸塩緩衝液を用いて同じ操作を行い、そのろ液を補正液とする。試料溶液及び補正液につき、pH7.4のリン酸塩緩衝液を対照とし、吸光度測定法により試験を行い、波長282nmにおける吸光度を測定する。試料溶液の吸光度と補正液の吸光度の差を試験吸光度とする。
【0027】
検量線はα−アミラーゼ原液を0mL、25mL、50mL、75mL、及び100mLの量でメスフラスコに正確に分取し、pH7.4リン酸塩緩衝液で100mLにメスアップして波長282nmにおける吸光度を測定することにより作成した。
試験吸光度と検量線より、α−アミラーゼ残存量(mg/dL)を計算した。
多孔性球状炭素質物質試料の量の依存性を測定するため、多孔性球状炭素質物質試料の量を0.500gとし、上記方法と同様の方法で試験吸光度を測定し、α−アミラーゼ残存量を計算した。
【0028】
(2)DL−β−アミノイソ酪酸吸着試験
多孔性球状炭素質物質試料を乾燥した後、乾燥試料2.500gを正確に量って共栓付三角フラスコにとる。一方、DL−β−アミノイソ酪酸0.100gを正確に量り、pH7.4のリン酸塩緩衝液を加えて溶かし、正確に1000mLとした液(原液)50mLを、前記の共栓付三角フラスコに正確に加え、37±1℃で3時間振り混ぜる。フラスコの内容物をろ孔0.65μmのメンブランフィルターで吸引ろ過し、はじめのろ液約20mLを除き、つぎのろ液約10mLを取って試料溶液とする。
試料溶液0.1mLを試験管に正確に取り、pH8.0のリン酸塩緩衝液5mLを正確に加えて混合した後、フルオレスカミン0.100gを非水滴定用アセトン100mLに溶かした液1mLを正確に加えて混合した後で、15分間静置する。この液につき、蛍光光度法により試験を行い、励起波長390nm、及び蛍光波長475nmで蛍光強度を測定する。
【0029】
DL−β−アミノイソ酪酸原液を0mL、15mL、50mL、75mL、及び100mLの量とpH7.4リン酸塩緩衝液とで100mLにして攪拌し、ろ過し、ろ液0.1mLを試験管に正確に取り、pH8.0のリン酸塩緩衝液5mLを正確に加えて混合した後、フルオレスカミン0.100gを非水滴定用アセトン100mLに溶かした液1mLを正確に加えて混合した後で、15分間静置する。これらの液につき、蛍光光度法により試験を行い、励起波長390nm、及び蛍光波長475nmで蛍光強度を測定し、検量線を作成する。最後にDL−β−アミノイソ酪酸の残存量(mg/dL)を上記検量線を用いて計算する。
多孔性球状炭素質物質試料の量の依存性を測定するため、多孔性球状炭素質物質試料の量を0.500gとして上記方法と同様の方法で試験蛍光強度を測定し、DL−β−アミノイソ酪酸の残存量を計算した。
【0030】
(3)選択吸着率
炭素質吸着剤の使用量が0.500gの場合のα−アミラーゼ吸着試験におけるα−アミラーゼ残存量、及び同様に、炭素質吸着剤の使用量が0.500gの場合のDL−β−アミノイソ酪酸吸着試験におけるDL−β−アミノイソ酪酸残存量のそれぞれのデータに基づいて、以下の計算式:
A=(10−Tr)/(10−Ur)
(ここで、Aは選択吸着率であり、TrはDL−β−アミノイソ酪酸の残存量であり、Urはα−アミラーゼの残存量である)
から計算した。
【0031】
【実施例1】
石油系ピッチ(軟化点=210℃;キノリン不溶分=1重量%以下;H/C原子比=0.63)68kgと、ナフタレン32kgとを、攪拌翼のついた内容積300Lの耐圧容器に仕込み、180℃で溶融混合を行った後、80〜90℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を直径と長さの比が約1〜2になるように破砕した。
0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより冷却し、20℃で3時間冷却し、ピッチの固化及びナフタレン結晶の析出を行い、球状ピッチ成形体スラリーを得た。
大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチ成形体の約6倍重量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、235℃まで昇温した後、235℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状酸化ピッチを得た。
続いて、多孔性球状酸化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中で900℃で170分間賦活処理して多孔性球状活性炭を得、更にこれを流動床にて、酸素濃度18.5vol%の窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で470℃で3時間15分間、酸化処理し、次に流動床にて窒素ガス雰囲気下で900℃で17分間還元処理を行い、多孔性球状炭素質物質、すなわち、経口投与用吸着剤を得た。この吸着剤を、本発明の経口投与用肝疾患治療又は予防剤として、以下の安全性確認試験例及び薬理試験例で使用した。
得られた炭素質材料の特性を表1及び表2に示す。
【0032】
【実施例2】
多孔性球状酸化ピッチの賦活処理時間を80分間としたこと以外は、実施例1に記載の方法を繰り返して、多孔性球状炭素質物質を得た。得られた炭素質材料の特性を表1及び表2に示す。
【0033】
【実施例3】
多孔性球状酸化ピッチの賦活処理時間を120分間としたこと以外は、実施例1に記載の方法を繰り返して、多孔性球状炭素質物質を得た。得られた炭素質材料の特性を表1及び表2に示す。
【0034】
【実施例4】
多孔性球状酸化ピッチの賦活処理時間を240分間としたこと以外は、実施例1に記載の方法を繰り返して、多孔性球状炭素質物質を得た。得られた炭素質材料の特性を表1及び表2に示す。
【0035】
【実施例5】
球状化ピッチの析出及びナフタレン結晶析出のための冷却水の温度を25℃としたこと以外は、実施例1に記載の方法を繰り返して、多孔性球状炭素質物質を得た。得られた炭素質材料の特性を表1及び表2に示す。
【0036】
【比較例1】
多孔性球状酸化ピッチの賦活処理を行う代わりに、流動床にて窒素気流下で90分間で900℃まで昇温したこと、及び900℃に達した後に放冷したこと以外は、実施例1に記載の方法を繰り返して、多孔性球状炭素質物質を得た。得られた炭素質材料の特性を表1及び表2に示す。
【0037】
【比較例2】
球状化ピッチの析出及びナフタレン結晶析出のための冷却水の温度を30℃としたこと、及び多孔性球状ピッチを多孔性球状酸化ピッチとするための酸化処理温度を260℃としたこと以外は、実施例1に記載の方法を繰り返して、多孔性球状炭素質物質を得た。得られた炭素質材料の特性を表1及び表2に示す。
【0038】
【比較例3】
実施例1の多孔性球状炭素質物質を粉砕機にて平均粒子径20μmに粉砕し、粉末状多孔性炭素質物質とした。得られた炭素質材料の特性を表1及び表2に示す。
【0039】
【比較例4】
多孔性球状活性炭の還元処理を行わないこと以外は、実施例1に記載の方法を繰り返して、多孔性球状炭素質物質を得た。得られた炭素質材料の特性を表1及び表2に示す。
【0040】
【比較例5】
多孔性球状活性炭の酸化処理及び還元処理を行わないこと以外は、実施例1に記載の方法を繰り返して、多孔性球状炭素質物質を得た。得られた炭素質材料の特性を表1及び媛に示す。
【0041】
【比較例6】
比較のため、日本薬局方記載の「薬用炭」を使用し、同様の評価を行った。なお、前記「薬用炭」は粉末状である。得られた結果を表1及び表2に示す。
【表1】
表1中の細孔容積は、水銀圧入法により求めた細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積に相当する。
【0042】
【表2】
【0043】
細孔容積以外の特性や製造方法が類似している実施例1〜5及び比較例1〜2の7種類の炭素質吸着剤について、選択吸着率と炭素質吸着剤の細孔容積との関係を図1に示す。図1より、細孔容積が0.04〜0.10mL/gの範囲の炭素質吸着剤が、優れた選択吸着率を示すことがわかる。
また、表2及び図1より、本発明の経口投与用肝疾患治療又は予防剤の有効成分として用いることのできる多孔性球状炭素質吸着剤は選択吸着率が優れていることが理解される。
【0044】
【安全性確認試験例】
(1)単回投与による安全性確認
前記実施例1で得られた吸着剤(すなわち、本発明の経口投与用肝疾患治療又は予防剤)を試料として用いた。雄性のSDラット(6週齢)を5匹使用し、ラット用フレキシブルディスポーザブルゾンデを用いて5g/kg/dayに相当する試料を強制経口投与した。投与日から8日間、動物の生死、行動、外観、及び体重の変化等について観察を行った。投与後9日目に剖検を行い、肝臓、腎臓、及び消化管について肉眼的に観察するとともに、肝臓及び腎臓については臓器重量測定を行った。
各個体とも投与直後及び観察期間中に、一般状態に異常は認められなかった。体重増加抑制及び臓器重量等の変化も認められなかった。また、各個体とも剖検所見において肉眼的変化はみられず、消化管内肉眼的検査でも異常は観察されなかった。これらのことから、実施例1で得られた吸着剤を用いた単回投与試験において、毒性学的変化は認められなかった。
【0045】
(2)反復投与による安全性確認
前記実施例1で得られた吸着剤を試料として用いた。雄性のSDラット(6週齢)を5匹使用し、5g/kg/dayの投与量になるように混餌飼料を作製し、24時間自由摂取により28日間投与した。投与期間において、動物の生死、行動、外観、体重、及び摂餌量の変化等について観察を行った。投与後29日目に採血・剖検を行い、肝臓、腎臓、及び消化管について肉眼的に観察するとともに、肝臓及び腎臓については臓器重量測定を行った。また、血液化学的検査として、血清中タンパク分画、総コレステロール及び無機リンについて測定した。
各個体とも試験期間中に一般状態に変化はみられず、体重量及び摂餌量についても順調に推移した。摂餌量より平均投薬量を求めたところ、試験期間中に5g/kg/day前後の投与が行われていた。臓器重量及び血液化学的検査においても特記すべき変化はなかった。各個体とも剖検所見において本件試料投与によると考えられる肉眼的変化、及び消化管内肉眼的検査の異常は観察されなかった。これらのことから、実施例1で得られた吸着剤を用いた28日間反復投与試験において、毒性学的変化は認められなかった。
【0046】
【薬理試験例】
【肝疾患の改善作用】
前記実施例1で得られた吸着剤を試料として用いた。四塩化炭素誘発肝炎ラット14匹を群間に隔たりのないように、対照群(7匹)と吸着剤投与群(7匹)とに分けた。これ以降10週間に亘り、対照群には通常飼料を与え、投与群には吸着剤5%を混合した混餌を摂取させた。肝線維化の指標として、血清中プロリルヒドロキシラーゼ(PH)を測定し、肝機能の検査を目的にICG(indocyanine green;インドシアニングリーン)負荷試験を0週、9週間経過後、及び10週間経過後に検討した。群間の統計学的検定は、t検定を用いた。
対照群の血清中プロリルヒドロキシラーゼ(PH)は、9週間経過後、及び10週間経過後において、各々832.3±517.5(平均±SD)ng/mL、及び854.6±575.6ng/mLであったのに対し、吸着剤投与群の各々の値は、435.0±138.0(平均±SD)ng/mL、及び417.2±255.6ng/mLであり、統計学的に有意差はなかったものの、対照群に比べ低値を示す傾向が認められた。対照群のICG負荷試験は、9週経過後及び10週経過後において、各々1.02±0.16(平均±SD)mg/dL、及び0.78±0.14mg/dLであったのに対し、吸着剤投与群の各々の値は、0.49±0.02(平均±SD)mg/dL、0.44±0.06mg/dLであり、対照群では血中に負荷したICGの停滞が認められたが、吸着剤投与群では、その停滞は有意に抑制された。
以上の結果、実施例1で得られた吸着剤は、本モデルにおいて肝の線維化を遅延し、線維化に伴う肝機能障害を改善して肝炎から肝硬変への進展を抑制する可能性が強く示唆された。
【0047】
【肝臓障害への作用】
(1)肝機能障害を生じていた男性(79歳)の患者で、GOT(glutamic−oxaloacetic transaminase;グルタミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)が47Uで、GPT(glutamic−pyruvic transaminase;グルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ)が66Uの高値を示していたが、実施例1で得られた吸着剤3g/日の用量で経口投与を続けた結果、投与開始から4ヶ月後でGOTが21Uへ低下し、GPTが24Uへ低下した。更に投与を継続すると投与開始から7ヶ月経過後にはGOTが18Uへ低下し、GPTが21Uまで低下し、肝機能障害の回復がみられた。
【0048】
(2)慢性肝炎を有する男性(46歳)の患者で、GOTが169Uで、GPTが353Uの高値を示していたが、実施例1で得られた吸着剤6g/日の用量で経口投与を続けた結果、投与開始1ヶ月後でGOTが15Uへ、GPTが15Uへと低下し、投与開始から6ヶ月後まで、GOTが14〜22Uへ、GPTが14〜21Uと安定的に推移し、肝機能障害の回復がみられた。
【0049】
【肝線維化に対する効果】
(a)試験方法
体重130〜150gの6週齢雄Wistar系ラット(SLC)10匹にコリン欠乏アミノ酸粉末食(Dyets社製:USA)を与え、2週間後にGOT及びGPTの測定値に基づいて、肝線維化発症ラット8匹を選び、それらを群間に偏りを生じないように対照群4匹と、実施例1で得られた吸着剤投与群4匹とに分けた。
対照群ラットにはコリン欠乏アミノ酸粉末食を与え、吸着剤投与群には、コリン欠乏アミノ酸粉末食に前記実施例1で得られた吸着剤4%(重量/重量%)の割合で混合した飼料を与え、それぞれ16週間観察した。
【0050】
摂餌量を1週間に3回、及び体重を1週間に1回の割合で測定し、GOT及びGPTを2週間に1回の割合で測定した。更に、ICG(インドシアニングリーン)テストを11週目(吸着剤投与から)に実施し、肝線維化率測定を16週目(吸着剤投与から)に実施した。
GOT及びGPTは、二波長反射光度法によるエンドポイント法(全自動スパードライシステム・スポットケムSP−4410)により測定した。ICGテストは、インドシアニングリーン(ジアグノグリーン;第一製薬)を5mg/kg体重で投与し、15分後に採血を行い、インドシアニングリーン投与前後の吸光度の差によって算出した。肝線維化率は、アザン染色された病理組織を顕微鏡下画像処理システム(Image Analyzer V10;東洋紡)を用いて識別し、測定した。
【0051】
(b)試験結果
吸着剤投与は、体重、摂餌量、GOT、及びGPTに影響を及ぼさなかった。
吸着剤投与群は、11週目のICGテストにおいて、対照群に比較し、統計学的に有意な低値を示した。表3に各群のICG値を平均±標準誤差で示す。
【0052】
【表3】
対照ラットのICG値に対する統計学的有意性(スチューデントのt検定)
*p<0.01(対照ラットに対する有意性)
【0053】
吸着剤投与群は、16週目の肝線維化率において対照群に比較し統計学的に有意な低値を示し肝線維化を抑制した。表4に各群の肝線維化率を平均±標準誤差で示す。
【0054】
【表4】
対照ラットの肝線維化率に対する統計学的有意性(スチューデントのt検定)
*p<0.002(対照ラットに対する有意性)
【0055】
【発明の効果】
本発明の経口投与用肝疾患治療又は予防剤は、特公昭62−11611号公報に記載の従来公知の吸着性と比べ、腎臓病での毒性物質であるβ−アミノイソ酪酸の吸着性を実質的に維持したまま、有益物質である消化酵素等に対する吸着性が低下する。また、前記特公昭62−11611号公報に記載の吸着剤と同様に、便秘等の副作用が少なく、優れた経口肝疾患治療薬としての作用も示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜5及び比較例1〜2で調製した7種類の炭素質吸着剤について、選択吸着率と炭素質吸着剤の細孔容積との関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 直径が0.01〜1mmであり、BET法により求められる比表面積が700m2/g以上であり、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満であり、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜1.00meq/gである多孔性球状炭素質物質を有効成分として含有する、経口投与用肝疾患治療又は予防剤。
- 肝疾患が、劇症肝炎、慢性肝炎、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、肝線維症、肝硬変、肝癌、自己免疫性肝炎、薬剤アレルギー性肝障害、原発性胆汁性肝硬変、振せん、脳症、代謝異常、又は機能異常である、請求項1に記載の経口投与用肝疾患治療又は予防剤。
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