JP2010120936A - 血管内皮機能改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】血管内皮機能の改善に有効であり、例えば、糖尿病、高血圧、心疾患、脳梗塞、インスリン抵抗性、多臓器不全、又は敗血症の症状を軽減させ、発症を予防することができる血管内皮機能改善剤を提供する。
【解決手段】球形活性炭を有効成分とする血管内皮機能改善剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、血管内皮機能改善剤に関する。本発明によれば、実質的に副作用のない経口投与剤の服用によって、糖尿病、高血圧、心疾患、脳梗塞、インスリン抵抗性、多臓器不全、又は敗血症を有効に治療又は予防することができる。
血管内皮細胞は、血管の内腔を覆っている一層の細胞群であり、血管内皮細胞からは、様々な生理活性物質が産生及び分泌されることが知られている。血管内皮細胞が産生及び分泌する生理活性物質としては、血管平滑筋を弛緩させる一酸化窒素(NO)、プロスタサイクリン(PGI)、及び内皮由来過分極因子(endothelial-derived hyperpolarizing factor; EDHF)などの内皮由来弛緩因子(EDRF)、血管平滑筋を収縮させるエンドセリンなどの内皮由来収縮因子(EDCF)、トロンボモジュリンやヘパラン酸などの抗血栓性因子、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター、及び血小板活性化因子などの血栓形成因子、並びにICAM−1、VCAM−1、及びセレクチンなどの血球の内皮付着因子を挙げることができる。
このような生理活性物質を産生及び分泌する血管内皮細胞の機能が低下すると、冷え性、更年期障害、腰痛、関節痛、ほてり、眼精疲労、肩凝り、発汗、皮膚掻痒感、肌荒れなどの種々の症状をひき起こす。特に、内皮由来弛緩因子(EDRF)及び内皮由来収縮因子(EDCF)の産生及び分泌の異常が起こると、糖尿病、高血圧、心疾患、脳梗塞、及びインスリン抵抗性などの疾患の原因となる。また、多臓器不全及び敗血症などの疾患においては、抗血栓性因子、血栓形成因子、及び血球の内皮付着因子の産生及び分泌が乱れ、生体に重大な影響を及ぼす。従って、血管内皮機能低下を防ぎ、血管内皮機能を改善することは、様々な疾患の予防及び治療において有効であると考えられる。
このように生体内のホメオスタシスに重要な役割を果たしている血管内皮の機能を改善する薬剤として、硝酸薬(非特許文献1)、L-Arginine(非特許文献2)、大豆の麹菌培養物(特許文献1)、及び酢酸、酢酸イオン及び酢酸塩(特許文献2)が報告されている。しかしながら、これらの物質は、医薬品として十分な効果が得られるものではなかった。
特開2007−8846号公報 特開2007−137803号公報
「ザ・ランセット(The Lancet)」(オランダ)1994年、第343巻、p.1115−1122 「アメリカン・ソサイエティー・フォー・クリニカル・インベスティゲーション(The American Society for Clinical Investigation)」(米国)1992年、第90巻、p.1248−1253
本発明者は、血管内皮機能を改善する技術について鋭意研究した結果、驚くべきことに、球形活性炭の経口投与により、優れた改善効果が現れることを見出した。球形活性炭製剤は、従来、腎臓疾患などに対する経口解毒剤として使われており、副作用や毒性が実質的にないことも知られているが、血管内皮機能を改善する作用を有するとの知見は、従来は全く無い。本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、球形活性炭を有効成分とする血管内皮機能改善剤に関する。
本発明の好ましい態様は、経口投与用である。
本発明の別の好ましい態様は、球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである。
本発明の更に別の好ましい態様は、球形活性炭の比表面積が500〜2000m/gである。
本発明の更に別の好ましい態様は、糖尿病、高血圧、心疾患、脳梗塞、インスリン抵抗性、多臓器不全、又は敗血症の治療又は予防用である。
本発明によれば、血管内皮機能を改善することができるので、例えば、糖尿病、高血圧、心疾患、脳梗塞、インスリン抵抗性、多臓器不全、又は敗血症治療又は予防に有効である。また、連続的に経口投与しても、毒性がなく、便秘などの有害な副作用がない。
胸部大動脈における内皮依存性血管弛緩反応(EDVR)に関する比較試験の結果を示すグラフである。
本発明の血管内皮機能改善剤の有効成分である、球形活性炭としては、医療用に使用することが可能な球形活性炭である限り、特に限定されるものではないが、経口投与用球形活性炭、すなわち、医療用に内服使用することが可能な球形活性炭が好ましい。前記球形活性炭の粒径は、0.01〜2mmであることが好ましく、0.05〜2mmであることがより好ましく、0.05〜1mmであることが更に好ましい。
前記球形活性炭としては、例えば、特開平11−292770号公報又は特開2002−308785号公報(特許第3522708号公報)に記載の球形活性炭を用いることができる。以下、特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭について説明し、続いて、特開2002−308785号公報(特許第3522708号公報)に記載の球形活性炭について説明する。
特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭は、好ましくは直径0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mmの球形活性炭である。また、好ましくは比表面積が500〜2000m/g、より好ましくは700〜1500m/gの球形活性炭である。また、好ましくは細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/g、より好ましくは0.05〜0.8mL/gの球形活性炭である。なお、上記の比表面積は、自動吸着量測定装置を用いたメタノール吸着法により測定した値である。空隙量は、水銀圧入ポロシメータにより測定した値である。前記の球形活性炭は、粉末活性炭に比べ、服用時に飛散せず、しかも、連続使用しても便秘を惹起しない点で有利である。
球形活性炭の形状は、重要な因子の1つであり、実質的に球状であることが重要である。球形活性炭の中では、後述の石油系ピッチ由来の球形活性炭が真球に近いため特に好ましい。
特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭の製造には、任意の活性炭原料、例えば、オガ屑、石炭、ヤシ殻、石油系若しくは石炭系の各種ピッチ類又は有機合成高分子を用いることができる。球形活性炭は、例えば、原料を炭化した後に活性化する方法によって製造することができる。活性化の方法としては、水蒸気賦活、薬品賦活、空気賦活又は炭酸ガス賦活などの種々の方法を用いることができるが、医療に許容される純度を維持することが必要である。
特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭としては、炭素質粉末からの造粒活性炭、有機高分子焼成の球形活性炭及び石油系炭化水素(石油系ピッチ)由来の球形活性炭などがある。
炭素質粉末からの造粒活性炭は、例えば、タール、ピッチ等のバインダーで炭素質粉末原料を小粒球形に造粒した後、不活性雰囲気中で600〜1000℃の温度に加熱焼成して炭化し、次いで、賦活することにより得ることができる。賦活方法としては、水蒸気賦活、薬品賦活、空気賦活又は炭酸ガス賦活などの種々の方法を用いることができる。水蒸気賦活は、例えば、水蒸気雰囲気中、800〜1100℃の温度で行われる。
有機高分子焼成の球形活性炭は、例えば、特公昭61−1366号公報に開示されており、次のようにして製造することが可能である。縮合型又は重付加型の熱硬化性プレポリマーに、硬化剤、硬化触媒、乳化剤などを混合し、攪拌下で水中に乳化させ、室温又は加温下に攪拌を続けながら反応させる。反応系は、まず懸濁状態になり、更に攪拌することにより熱硬化性樹脂球状物が出現する。これを回収し、不活性雰囲気中で500℃以上の温度に加熱して炭化し、前記の方法により賦活して有機高分子焼成の球形活性炭を得ることができる。
石油系ピッチ由来の球形活性炭は、直径が好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mm、比表面積が好ましくは500〜2000m/g、より好ましくは700〜1500m/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が好ましくは0.01〜1mL/gである。この石油系ピッチ由来の球形活性炭は、例えば、以下の2種の方法で製造することができる。
第1の方法は、例えば、特公昭51−76号公報(米国特許第3917806号明細書)及び特開昭54−89010号公報(米国特許第4761284号明細書)に記載されているように、まず、溶融状態で小粒球形状としたピッチ類を酸素により不融化した後、不活性雰囲気中で600〜1000℃の温度に加熱焼成して炭化し、次いで、水蒸気雰囲気中で850〜1000℃の温度で賦活する方法である。第2の方法は、例えば、特公昭59−10930号公報(米国特許第4420433号明細書)に記載されているように、まず、溶融状態で紐状としたピッチ類を破砕した後、熱水中に投入して球状化し、次いで、酸素により不融化した後、上記の第1の方法と同様の条件で炭化、賦活する方法である。
本発明において有効成分の球形活性炭としては、(1)アンモニア処理などを施した球形活性炭、(2)酸化及び/又は還元処理を施した球形活性炭なども使用することができる。これらの処理を施すことのできる球形活性炭は、前記の石油系ピッチ由来の球形活性炭、炭素質粉末の造粒活性炭、有機高分子焼成の球形活性炭の何れであってもよい。
前記のアンモニア処理とは、例えば、球形活性炭を、1〜1000ppmのアンモニアを含有するアンモニア水溶液で、アンモニア水溶液と球形活性炭の容量比を2〜10として、10〜50℃の温度で、0.5〜5時間処理することからなる。前述の石油系ピッチ由来の球形活性炭にアンモニア処理を施した活性炭としては、特開昭56−5313号公報(米国特許第4761284号明細書)に記載の球形活性炭を挙げることができる。例えば、アンモニア処理が施された球形活性炭としては直径が0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、比表面積が500〜2000m/g、好ましくは700〜1500m/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/g、pHが6〜8の球形活性炭を例示することができる。
前記の酸化処理とは、酸素を含む酸化雰囲気で高温熱処理を行なうことを意味し、酸素源としては、純粋な酸素、酸化窒素又は空気などを用いることができる。また、還元処理とは、炭素に対して不活性な雰囲気で高温熱処理を行なうことを意味し、炭素に対して不活性な雰囲気は、窒素、アルゴン若しくはヘリウム又はそれらの混合ガスを用いて形成することができる。
前記の酸化処理は、好ましくは酸素含有量0.5〜25容量%、より好ましくは酸素含有量3〜10容量%の雰囲気中、好ましくは300〜700℃、より好ましくは400〜600℃の温度で行われる。前記の還元処理は、好ましくは700〜1100℃、より好ましくは800〜1000℃の温度で不活性雰囲気中で行われる。
前述の石油系ピッチ由来の球形活性炭に酸化及び/又は還元処理を施した例としては、特公昭62−11611号公報(米国特許第4681764号明細書)に記載の球形活性炭を挙げることができる。
酸化及び/又は還元処理が施された球形活性炭としては、直径が0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、比表面積が500〜2000m/g、好ましくは700〜1500m/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/gである球形活性炭が好ましい。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、直径が0.01〜1mmであり、BET法により求められる比表面積が700m/g以上であり、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満であり、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜0.70meq/gである球形活性炭である。特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、特定範囲の細孔容積を有する。すなわち、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満である。また、本発明においては、全塩基性基が0.20〜1.00meq/gである球形活性炭(特願2002−293906号又は特願2002−293907号参照)も使用することができる。
一方、前記特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭は、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙容積(すなわち、細孔直径20〜15000nmの細孔容積)が0.1〜1mL/gである。特開2002−308785号公報の記載によれば、細孔直径20〜15000nmの細孔容積を0.04mL/g以上で0.10mL/g未満に調整すると、毒性物質であるβ−アミノイソ酪酸に対する高い吸着特性を維持しつつ、有益物質であるα−アミラーゼに対する吸着特性が有意に低下する。球形活性炭の細孔直径20〜15000nmの細孔容積が大きくなればなるほど消化酵素等の有益物質の吸着が起こりやすくなるため、有益物質の吸着を少なくする観点からは、前記細孔容積は小さいほど好ましい。しかしながら、一方で、細孔容積が小さすぎると毒性物質の吸着量も低下する。従って、経口投与用吸着剤においては、毒性物質の吸着量(T)の有益物質の吸着量(U)に対する比(T/U)、すなわち、選択吸着率が重要である。例えば、球形活性炭の選択吸着率を、DL−β−アミノイソ酪酸(毒性物質)の吸着量(Tb)のα−アミラーゼ(有益物質)の吸着量(Ua)に対する比(Tb/Ua)として評価することができる。すなわち、選択吸着率は、例えば、以下の式:
A=Tb/Ua
(ここで、Aは選択吸着率であり、TbはDL−β−アミノイソ酪酸の吸着量であり、Uaはα−アミラーゼの吸着量である)
によって評価することができる。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満の範囲内で優れた選択吸着率を示し、前記細孔容積が0.05mL/g以上で0.10mL/g未満の範囲内で一層優れた選択吸着率を示す。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、直径が0.01〜1mmである。直径は、好ましくは0.02〜0.8mmである。なお、本明細書で「直径がDl〜Duである」という表現は、JIS K 1474に準じて作成した粒度累積線図(平均粒子径の測定方法に関連して後で説明する)において、ふるいの目開きDl〜Duの範囲に対応するふるい通過百分率(%)が90%以上であることを意味する。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、BET法により求められる比表面積(以下「SSA」と省略することがある)が700m/g以上である。SSAが700m/gより小さい球形活性炭では、毒性物質の吸着性能が低くなるので好ましくない。SSAは、好ましくは800m/g以上である。SSAの上限は特に限定されるものではないが、嵩密度及び強度の観点から、SSAは、2500m/g以下であることが好ましい。
更に、特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭では、官能基の構成において、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜0.70meq/gである。官能基の構成において、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜0.70meq/gの条件を満足しない球形活性炭では、上述した有毒物質の吸着能が低くなるので好ましくない。官能基の構成において、全酸性基は0.30〜1.00meq/gであることが好ましく、全塩基性基は0.30〜0.60meq/gであることが好ましい。その官能基の構成は、全酸性基が0.30〜1.20meq/g、全塩基性基が0.20〜0.70meq/g、フェノール性水酸基が0.20〜0.70meq/g、及びカルボキシ基が0.15meq/g以下の範囲にあり、且つ全酸性基(a)と全塩基性基(b)との比(a/b)が0.40〜2.5であり、全塩基性基(b)とフェノール性水酸基(c)とカルボキシ基(d)との関係〔(b+c)−d〕が0.60以上であることが好ましい。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
最初に、石油ピッチ又は石炭ピッチ等のピッチに対し、添加剤として、沸点200℃以上の2環式又は3環式の芳香族化合物又はその混合物を加えて加熱混合した後、成形してピッチ成形体を得る。なお、前記の球形活性炭は経口投与用であるので、その原料も、安全上充分な純度を有し、且つ品質的に安定であることが必要である。
次に、70〜180℃の熱水中で、前記のピッチ成形体を撹拌下に分散造粒して微小球体化する。更に、ピッチに対して低溶解度を有し、かつ前記添加剤に対して高溶解度を有する溶剤で、ピッチ成形体から添加剤を抽出除去し、得られた多孔性ピッチを、酸化剤を用いて酸化すると、熱に対して不融性の多孔性ピッチが得られる。こうして得られた不融性多孔性ピッチを、更に炭素と反応性を有する気流(例えば、スチーム又は炭酸ガス)中で、800〜1000℃の温度で処理すると、多孔性炭素質物質を得ることができる。
こうして得られた多孔性炭素質物質を、続いて、酸素含有量0.1〜50vol%(好ましくは1〜30vol%、特に好ましくは3〜20vol%)の雰囲気下、300〜800℃(好ましくは320〜600℃)の温度で酸化処理し、更に800〜1200℃(好ましくは800〜1000℃)の温度下、非酸化性ガス雰囲気下で加熱反応による還元処理をすることにより、特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭を得ることができる。
前記の製造方法において、特定量の酸素を含有する雰囲気としては、純粋な酸素、酸化窒素又は空気等を酸素源として用いることができる。また、炭素に対して不活性な雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム等を単独で用いるか、あるいはそれらの混合物を用いることができる。
前記の原料ピッチに対して、芳香族化合物を添加する目的は、原料ピッチの軟化点を降下させることにより流動性を向上させて微小球体化を容易にすること及び成形後のピッチ成形体からその添加剤を抽出除去させることにより成形体を多孔質とし、その後の工程の酸化による炭素質材料の構造制御並びに焼成を容易にすることにある。このような添加剤としては、例えば、ナフタレン、メチルナフタレン、フェニルナフタレン、ベンジルナフタレン、メチルアントラセン、フェナンスレン、又はビフェニル等を単独で、又はそれらの2種以上の混合物を用いることができる。ピッチに対する添加量は、ピッチ100重量部に対し芳香族化合物10〜50重量部の範囲が好ましい。
ピッチと添加剤との混合は、均一な混合を達成するために、加熱して溶融状態で行うのが好ましい。ピッチと添加剤との混合物は、得られる多孔性球状炭素質の粒径(直径)を制御するため、粒径約0.01〜1mmの粒子に成形することが好ましい。成形は溶融状態で行ってもよく、また混合物を冷却後に粉砕する等の方法によってもよい。
ピッチと添加剤との混合物から添加剤を抽出除去するための溶剤としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、又はヘプタン等の脂肪族炭化水素、ナフサ、又はケロシン等の脂肪族炭化水素を主成分とする混合物、あるいはメタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール等の脂肪族アルコール類等が好適である。
このような溶剤でピッチと添加剤との混合物成形体から添加剤を抽出することによって、成形体の形状を維持したまま、添加剤を成形体から除去することができる。この際に、成形体中に添加剤の抜け穴が形成され、均一な多孔性を有するピッチ成形体が得られるものと推定される。
なお、添加剤の抜け穴サイズ(すなわち、細孔容積)の制御は、常法、例えば、添加剤の量、ピッチ成形体の微小球体化工程における添加剤の析出温度(冷却温度)を制御することによって実施することができる。また、添加剤の抽出により生成した細孔容積は不融化条件によっても影響を受ける。例えば、不融化処理が強ければ熱処理による熱収縮が小さくなり、添加剤の抽出により得られた細孔が維持されやすい傾向にある。
こうして得られた多孔性ピッチ成形体を、次いで不融化処理、すなわち酸化剤を用いて、好ましくは常温から300℃までの温度で酸化処理することにより、熱に対して不融性の多孔性不融性ピッチ成形体を得ることができる。ここで用いる酸化剤としては、例えば、酸素ガス(O)、あるいは酸素ガス(O)を空気や窒素等で希釈した混合ガスを挙げることができる。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭が有する各物性値、すなわち、平均粒子径、比表面積、細孔容積、全酸性基、及び全塩基性基は、以下の方法によって測定する。
(1)平均粒子径
球形活性炭についてJIS K 1474に準じて粒度累積線図を作成する。平均粒子径は、粒度累積線図において、横軸の50%の点の垂直線と粒度累積線との交点から、横軸に水平線を引いて交点の示すふるいの目開き(mm)を求めて、平均粒子径とする。
(2)比表面積
連続流通式のガス吸着法による比表面積測定器(例えば、MICROMERITICS社製「Flow Sorb II 2300」)を用いて、球形活性炭試料のガス吸着量を測定し、BETの式により比表面積を計算することができる。具体的には、試料である球形活性炭を試料管に充填し、その試料管に窒素30vol%を含有するヘリウムガスを流しながら以下の操作を行い、球形活性炭試料への窒素吸着量を求める。すなわち、試料管を−196℃に冷却し、球形活性炭試料に窒素を吸着させる。次に、試料管を室温に戻す。このとき球形活性炭試料から脱離してくる窒素量を熱伝導度型検出器で測定し、吸着ガス量(v)とする。
BETの式から誘導された近似式:
=1/(v・(1−x))
を用いて液体窒素温度における、窒素吸着による1点法(相対圧力x=0.3)によりvを求め、次式:
比表面積=4.35×v(m/g)
により試料の比表面積を計算する。前記の各計算式で、vは試料表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量(cm/g)であり、vは実測される吸着量(cm/g)であり、xは相対圧力である。
(3)水銀圧入法による細孔容積
水銀ポロシメータ(例えば、MICROMERITICS社製「AUTOPORE 9200」)を用いて細孔容積を測定することができる。試料である球形活性炭を試料容器に入れ、2.67Pa以下の圧力で30分間脱気する。次いで、水銀を試料容器内に導入し、徐々に加圧して水銀を球形活性炭試料の細孔へ圧入する(最高圧力=414MPa)。このときの圧力と水銀の圧入量との関係から以下の各計算式を用いて球形活性炭試料の細孔容積分布を測定する。
具体的には、細孔直径15μmに相当する圧力(0.07MPa)から最高圧力(414MPa:細孔直径3nm相当)までに球形活性炭試料に圧入された水銀の体積を測定する。細孔直径の算出は、直径(D)の円筒形の細孔に水銀を圧力(P)で圧入する場合、水銀の表面張力を「γ」とし、水銀と細孔壁との接触角を「θ」とすると、表面張力と細孔断面に働く圧力の釣り合いから、次式:
−πDγcosθ=π(D/2)・P
が成り立つ。従って
D=(−4γcosθ)/P
となる。
本明細書においては、水銀の表面張力を484dyne/cmとし、水銀と炭素との接触角を130度とし、圧力PをMPaとし、そして細孔直径Dをμmで表示し、下記式:
D=1.27/P
により圧力Pと細孔直径Dの関係を求める。本発明における細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積とは、水銀圧入圧0.07MPaから63.5MPaまでに圧入された水銀の体積に相当する。
(4)全酸性基
0.05規定のNaOH溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形活性炭試料1gを添加し、48時間振とうした後、球形活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるNaOHの消費量である。
(5)全塩基性基
0.05規定のHCl溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形活性炭試料1gを添加し、24時間振とうした後、球形活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるHClの消費量である。
なお、本発明の血管内皮機能改善剤の有効成分である球形活性炭としては、更に、特開2005−314415号公報に記載の平均粒子径が小さい球形活性炭、すなわち、平均粒子径が50〜200μmであり、BET法により求められる比表面積が700m/g以上である球形活性炭、あるいは特開2005−314416号公報に記載の平均粒子径が小さい表面改質球形活性炭、すなわち、平均粒子径が50〜200μmであり、BET法により求められる比表面積が700m/g以上であり、全酸性基が0.30meq/g〜1.20meq/gであり、そして全塩基性基が0.20meq/g〜0.9meq/gである表面改質球形活性炭を用いることもできる。
更に、本発明の血管内皮機能改善剤の有効成分である球形活性炭としては、WO2004/39381号公報に記載の球形活性炭あるいはその表面改質球形活性炭、すなわち、熱硬化性樹脂を炭素源として製造され、直径が0.01〜1mmであり、そしてラングミュアの吸着式により求められる比表面積が1000m/g以上である球形活性炭、あるいはその表面改質球形活性炭を用いることができる。
更に、本発明の血管内皮機能改善剤の有効成分である球形活性炭としては、WO2004/39380号公報に記載の球形活性炭あるいはその表面改質球形活性炭、すなわち、直径が0.01〜1mmであり、ラングミュアの吸着式により求められる比表面積が1000m/g以上であり、そして式(1):
R=(I15−I35)/(I24−I35) (1)
〔式中、I15は、X線回折法による回折角(2θ)が15°における回折強度であり、I35は、X線回折法による回折角(2θ)が35°における回折強度であり、I24は、X線回折法による回折角(2θ)が24°における回折強度である〕
で求められる回折強度比(R値)が1.4以上である球形活性炭あるいはその表面改質球形活性炭を用いることができる。
本発明の血管内皮機能改善剤は、例えば血管内皮細胞から産生及び分泌される内皮由来弛緩因子(EDRF)、又は内皮由来収縮因子の産生及び/又は分泌を、病的な状態から回復することによって血管内皮の機能を改善することができる。
内皮由来弛緩因子(EDRF)としては、一酸化窒素(NO)、プロスタサイクリン(PGI)、内皮由来過分極因子(endothelial-derived hyperpolarizing factor; EDHF)を挙げることができるが、本発明の血管内皮機能改善剤は、特には血管内皮からの一酸化窒素(NO)の産生及び/又は分泌を病的な状態から回復することによって血管内皮の機能を改善することができる。
更に、本発明の血管内皮機能改善剤の作用には、血管内皮細胞から産生及び/又は分泌される内皮由来弛緩因子(EDRF)、又は内皮由来収縮因子に反応する平滑筋細胞などの機能を改善する作用を含むことができる。
本発明の血管内皮機能改善剤は、例えば、糖尿病、高血圧、心疾患、脳梗塞、インスリン抵抗性、多臓器不全、又は敗血症の治療又は予防に有効であり、例えば、連続的に経口投与しても、毒性がなく、便秘などの有害な副作用がない。糖尿病、高血圧、心疾患、脳梗塞、インスリン抵抗性、多臓器不全、又は敗血症においては、大血管又は微小血管の血管内皮の機能が障害されることがあるが、本発明の血管内皮機能改善剤は、血管内皮の機能を改善することによって、これらの疾患を治療又は予防することができる。
本発明の血管内皮機能改善剤における有効成分である、球形活性炭(好ましくは粒径0.01〜2mmの球形活性炭)は、それ単独で、あるいは、所望により薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、血管内皮機能の改善が必要な対象[動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)]に、有効量で投与することができる。本発明の血管内皮機能改善剤は、好ましくは経口的に投与される。その投与量は、例えば、対象(哺乳動物、特にはヒト)、年齢、個人差、及び/又は病状などに依存する。例えば、ヒトの場合の1日当たりの投与量は、通常、球形活性炭量として0.2〜20gであるが、症状により、投与量を適宜増減してもよい。また、投与は1回又は数回に分けて行なってもよい。球形活性炭は、そのまま投与してもよいし、活性炭製剤として投与してもよい。球形活性炭をそのまま投与する場合、球形活性炭を飲料水などに懸濁したスラリーとして投与することもできる。
活性炭製剤における剤形としては、例えば、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、スティック剤、分包包装体、又は懸濁剤などの任意の剤形を採用することができる。カプセル剤の場合、通常のゼラチンカプセルの他、必要に応じ、腸溶性のカプセルを用いることもできる。顆粒、錠剤、又は糖衣錠として用いる場合は、体内で元の微小粒子に解錠されることが必要である。活性炭製剤中の球形活性炭の含有量は、通常1〜100%である。本発明において、好ましい活性炭製剤は、カプセル剤、スティック剤、又は分包包装体である。これらの製剤の場合、球形活性炭は、そのまま容器に封入される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《製造例1:多孔性球状炭素質物質の製造》
特許第3522708号(特開2002−308785号公報)の実施例1に記載の方法と同様にして多孔性球状炭素質物質を得た。具体的な操作は、以下の通りである。
石油系ピッチ(軟化点=210℃;キノリン不溶分=1重量%以下;H/C原子比=0.63)68kgと、ナフタレン32kgとを、攪拌翼のついた内容積300Lの耐圧容器に仕込み、180℃で溶融混合を行った後、80〜90℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を直径と長さの比が約1〜2になるように破砕した。
0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより冷却し、20℃で3時間冷却し、ピッチの固化及びナフタレン結晶の析出を行い、球状ピッチ成形体スラリーを得た。
大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチ成形体の約6倍重量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、235℃まで昇温した後、235℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状酸化ピッチを得た。
続いて、多孔性球状酸化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中で900℃で170分間賦活処理して多孔性球形活性炭を得、更にこれを流動床にて、酸素濃度18.5vol%の窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で470℃で3時間15分間、酸化処理し、次に流動床にて窒素ガス雰囲気下で900℃で17分間還元処理を行い、多孔性球状炭素質物質を得た。こうして得られた多孔性球状炭素質物質を、以下の薬理試験例において、球形活性炭として使用した。
得られた炭素質材料の主な特性は以下の通りである。
比表面積=1300m/g(BET法);
細孔容積=0.08mL/g
(水銀圧入法により求めた細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積);
平均粒子径=350μm;
全酸性基=0.67meq/g;及び
全塩基性基=0.54meq/g。
《製造例2:多孔性球状炭素質物質の製造》
特開2005−314416号公報の実施例1に記載の方法と同様にして多孔性球状炭素質物質(表面改質球形活性炭)を得た。具体的な操作は、以下の通りである。
脱イオン交換水220g、及びメチルセルロース58gを1Lのセパラブルフラスコに入れ、これにスチレン105g、純度57%ジビニルベンゼン(57%のジビニルベンゼンと43%のエチルビニルベンゼン)184g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.68g、及びポロゲンとして1−ブタノール63gを適宜加えたのち、窒素ガスで系内を置換し、この二相系を200rpmで攪拌し、55℃に加熱してからそのまま20時間保持した。得られた樹脂を濾過し、ロータリーエバポレーターで乾燥させたのち、減圧乾燥機にて1−ブタノールを樹脂から蒸留により除去してから、90℃において12時間減圧乾燥させ、平均粒子径180μmの球状の多孔性合成樹脂を得た。多孔性合成樹脂の比表面積は約90m/gであった。
得られた球状の多孔性合成樹脂100gを目皿付き反応管に仕込み、縦型管状炉にて不融化処理を行った。不融化条件は、3L/minで乾燥空気を反応管下部より上部に向かって流し、5℃/hで260℃まで昇温したのち、260℃で4時間保持することにより球状の多孔性酸化樹脂を得た。球状の多孔性酸化樹脂を窒素雰囲気中600℃で1時間熱処理したのち、流動床を用い、64.5vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中、820℃で10時間賦活処理を行い、球形活性炭を得た。得られた球形活性炭を、更に流動床にて、酸素濃度18.5vol%の窒素と酸素の混合ガス雰囲気下470℃で3時間15分間酸化処理し、次に流動床にて窒素ガス雰囲気下900℃で17分間還元処理を行い、表面改質球形活性炭を得た。
得られた表面改質球形活性炭の主な特性は以下の通りである。
比表面積=1763m/g(BET法);
細孔容積=0.05mL/g
(水銀圧入法により求めた細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積);
平均粒子径=111μm(Dv50);
全酸性基=0.59meq/g;及び
全塩基性基=0.61meq/g。
《薬理試験例1》
(1)実験方法
SLCジャパンより7週齢の雄のウイスター系ラット(計36匹)を入荷した。1週間の馴化期間後の8週齢にて、手術群(計24匹)とシャム手術群(計12匹)とに分け、手術群は、左腎の2/3の腎動脈を分枝結紮し、その1週後の9週齢にて右腎を摘出し慢性腎不全モデルを作製した。シャム手術群は、8週齢及び9週齢にて、それぞれ開腹手術を行うのみで、腎動脈の分枝結紮や右腎摘出を行わずに、そのまま開腹部を縫合した。9週齢以降、各群について、血圧、血液分析、及び尿分析の各種パラメータを測定した後、17週齢において、手術群をランダムに多孔性球状炭素質物質投与群(以下、投与群:12匹)と、多孔性球状炭素質物質非投与群(以下、非投与群:12匹)とに分けた。なお、シャム手術群、投与群、及び非投与群は、いずれも自由給餌環境下で飼育され、投与群に対しては、4g/kg/dayで、製造例1で調製した多孔性球状炭素質物質を与えた。それぞれの群について、体重並びに摂餌量は毎週測定された。
(2)血管内皮細胞依存性の反応の評価方法
評価には胸部大動脈を用いた。具体的には、19週齢においてラットを屠殺し、胸部大動脈を摘出して円筒状に3mmの長さに切り、95%O及び5%COの雰囲気下で、5mLのクレブス重炭酸溶液の中でインキュベートさせた。
次に、円筒状胸部大動脈を1gの張力で引っ張ってから、3×10−7Mのノルエピネフリンを添加して前処理して張力をかけた。張力がプラトーに達したら、血管内皮依存弛緩剤であるアセチルコリンを加えた。ここで、添加するアセチルコリンの濃度を、10−9〜10−5Mまで段階的に変化させた。張力は微小標本マグヌス実験装置(Model MTOB−1Z、ラボサポート社)にて測定した。アセチルコリンに対する反応性はノルエピネフリンによってかかった張力の%変化で表した。
(3)結果
張力の%変化の測定結果を図1に示す。
なお、多孔性球状炭素質物質投与前のクレアチニンクリアランス(Ccr;mL/min/100g体重)は、シャム手術群と比較し、非投与群及び投与群ともに同等に有意に低下し(0.39±0.03vs0.23±0.01,0.23±0.01,p<0.01)、尿蛋白(UP;mg/day)は増加していた(9.0±0.3vs55.2±11.1,51.3±9.6,p<0.01)。
シャム手術群と慢性腎不全群の非投与群と投与群を比較すると残存腎臓の反映で腎機能指標であるクレアチニンクリアランスは低下していた。慢性腎不全群では機能する腎臓が除かれており、少ない残存腎臓が体全体の機能を代償する。シャム手術群と比較してモデル作製後しばらくは、低値ながらも腎機能は安定推移している(シャム前:0.39±0.03,後:0.48±0.03 非投与群前:0.23±0.01,後:0.27±0.02 投与群前:0.23±0.01,後:0.28±0.03)。本試験においても慢性腎不全群の17週齢から19週齢までの非投与群と投与群の腎機能は安定に推移していたにも関わらず、尿蛋白上昇は投与群で上昇抑制傾向にあった(シャム前:9.0±0.3,後:9.3±0.7 非投与群前:55.2±11.1,後:157.6±30.7 投与群前:51.3±9.6,後:123.2±19.7)。一方、見かけ上の腎機能が試験開始時から投与終了まで安定している条件下で大動脈の内皮依存性血管弛緩反応(EDVR)は、シャム手術群と比較して、非投与群で有意に低下し、投与群で有意に改善した(p<0.05)(図1)。血清及び尿中のインドキシル硫酸(IS)は、非投与群と比較して、投与群で有意に低下していた(血清:0.28±0.04vs0.14±0.03mg/dL,尿中:1.71±0.14vs0.52±0.04mg/day,p<0.08)。
従って、内皮依存性血管弛緩反応の低下する疾患において、本発明の球形活性炭を有効成分とする血管内皮機能改善剤を経口投与することによって、血管内皮の機能が改善されることが分かった。
《製剤調製例1:カプセル剤の調製》
前記製造例1で得た球形活性炭200mgをゼラチンカプセルに封入してカプセル剤を調製した。
《製剤調製例2:スティック剤の調製》
前記製造例1で得た球形活性炭2gを積層フィルム製スティックに充填した後、ヒートシールしてスティック剤とした。
血管内皮機能の改善に有効であり、例えば、糖尿病、高血圧、心疾患、脳梗塞、インスリン抵抗性、多臓器不全、又は敗血症の症状を軽減させ、発症を予防することができる。

Claims (5)

  1. 球形活性炭を有効成分とする血管内皮機能改善剤。
  2. 経口投与用である、請求項1に記載の血管内皮機能改善剤。
  3. 球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである、請求項1又は2に記載の血管内皮機能改善剤。
  4. 球形活性炭の比表面積が500〜2000m/gである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の血管内皮機能改善剤。
  5. 糖尿病、高血圧、心疾患、脳梗塞、インスリン抵抗性、多臓器不全、又は敗血症の治療又は予防用である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の血管内皮機能改善剤。
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