JP2005162683A - 高尿酸血症の治療又は予防剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高尿酸血症の治療又は予防剤は、球形活性炭を有効成分とする。
【選択図】なし
Description
痛風は、我が国では稀な疾患と考えられていたが、1960〜70年代の高度成長期に患者数が急増し、現在では極めてありふれた疾患となっている。痛風の基礎疾患である高尿酸血症についても、成人男性における頻度は1960年代に約5%、70年代から80年代前半に約15%、80年代後半から90年代にかけて約20%となり、経年的な増加がみられる(非特許文献1)。
前記の尿酸排泄促進薬は、尿細管における尿酸の生理的再吸収を抑制することによって腎からの尿酸排泄能力を高め、血清尿酸値を低下させる。しかしながら、その使用中は常に尿路結石の発現に注意する必要があり、副作用として、胃腸障害と頭痛、ふらつきなどがある。更に、特異体質の患者に投与された場合に重篤な肝障害が起こることがある(前記非特許文献1)。
一方、尿酸生成抑制薬としては、アロプリノールが痛風治療に導入され、広く使用されている。このアロプリノールは、プリン代謝経路の最終段階に作用するキサンチンオキシダーゼを阻害し、血清尿酸値の低下とともに、尿中の尿酸排泄量も減少させる。しかしながら、腎不全の患者に過剰投与すると、オキシプリノールが大量に血中に蓄積して致死的な中毒症候群を起こすことがある(前記非特許文献1)。
「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版」日本痛風・核酸代謝学会発行(2002年9月1日)
本発明者は、高尿酸血症モデルラットに、球形活性炭を経口投与したところ、驚くべきことに、血液中の尿酸レベルが高値から有意に降下することを見出した。本発明は、こうした知見に基づくものである。
本発明の好ましい態様の高尿酸血症剤は、経口投与用である。
更に本発明の好ましい態様において、球形活性炭の平均粒子径は0.01〜2mmである。
前記球形活性炭としては、例えば、特開平11−292770号公報又は特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭を用いることができる。以下、特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭について説明し、続いて、特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭について説明する。
球形活性炭の形状は、重要な因子の1つであり、実質的に球状であることが重要である。球形活性炭の中では、後述の石油系ピッチ由来の球形活性炭が真球に近いため特に好ましい。
炭素質粉末からの造粒活性炭は、例えば、タール、ピッチ等のバインダーで炭素質粉末原料を小粒球形に造粒した後、不活性雰囲気中で600〜1000℃の温度に加熱焼成して炭化し、次いで、賦活することにより得ることができる。賦活方法としては、水蒸気賦活、薬品賦活、空気賦活又は炭酸ガス賦活などの種々の方法を用いることができる。水蒸気賦活は、例えば、水蒸気雰囲気中、800〜1100℃の温度で行われる。
石油系ピッチ由来の球形活性炭は、直径が好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mm、比表面積が好ましくは500〜2000m2/g、より好ましくは700〜1500m2/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が好ましくは0.01〜1mL/gである。この石油系ピッチ由来の球形活性炭は、例えば、以下の2種の方法で製造することができる。
酸化及び/又は還元処理が施された球形活性炭としては、直径が0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、比表面積が500〜2000m2/g、好ましくは700〜1500m2/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/gである球形活性炭が好ましい。
A=Tb/Ua
(ここで、Aは選択吸着率であり、TbはDL−β−アミノイソ酪酸の吸着量であり、Uaはα−アミラーゼの吸着量である)
によって評価することができる。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満の範囲内で優れた選択吸着率を示し、前記細孔容積が0.05mL/g以上で0.10mL/g未満の範囲内で一層優れた選択吸着率を示す。
最初に、石油ピッチ又は石炭ピッチ等のピッチに対し、添加剤として、沸点200℃以上の2環式又は3環式の芳香族化合物又はその混合物を加えて加熱混合した後、成形してピッチ成形体を得る。なお、前記の球形活性炭は経口投与用であるので、その原料も、安全上充分な純度を有し、且つ品質的に安定であることが必要である。
ピッチと添加剤との混合物から添加剤を抽出除去するための溶剤としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、又はヘプタン等の脂肪族炭化水素、ナフサ、又はケロシン等の脂肪族炭化水素を主成分とする混合物、あるいはメタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール等の脂肪族アルコール類等が好適である。
このような溶剤でピッチと添加剤との混合物成形体から添加剤を抽出することによって、成形体の形状を維持したまま、添加剤を成形体から除去することができる。この際に、成形体中に添加剤の抜け穴が形成され、均一な多孔性を有するピッチ成形体が得られるものと推定される。
なお、添加剤の抜け穴サイズ(すなわち、細孔容積)の制御は、常法、例えば、添加剤の量、ピッチ成形体の微小球体化工程における添加剤の析出温度(冷却温度)を制御することによって実施することができる。また、添加剤の抽出により生成した細孔容積は不融化条件によっても影響を受ける。例えば、不融化処理が強ければ熱処理による熱収縮が小さくなり、添加剤の抽出により得られた細孔が維持されやすい傾向にある。
(1)平均粒子径
球形活性炭についてJIS K 1474に準じて粒度累積線図を作成する。平均粒子径は、粒度累積線図において、横軸の50%の点の垂直線と粒度累積線との交点から、横軸に水平線を引いて交点の示すふるいの目開き(mm)を求めて、平均粒子径とする。
連続流通式のガス吸着法による比表面積測定器(例えば、MICROMERITICS社製「Flow Sorb II 2300」)を用いて、球形活性炭試料のガス吸着量を測定し、BETの式により比表面積を計算することができる。具体的には、試料である球形活性炭を試料管に充填し、その試料管に窒素30vol%を含有するヘリウムガスを流しながら以下の操作を行い、球形活性炭試料への窒素吸着量を求める。すなわち、試料管を−196℃に冷却し、球形活性炭試料に窒素を吸着させる。次に、試料管を室温に戻す。このとき球形活性炭試料から脱離してくる窒素量を熱伝導度型検出器で測定し、吸着ガス量(v)とする。
BETの式から誘導された近似式:
vm=1/(v・(1−x))
を用いて液体窒素温度における、窒素吸着による1点法(相対圧力x=0.3)によりvmを求め、次式:
比表面積=4.35×vm(m2/g)
により試料の比表面積を計算する。前記の各計算式で、vmは試料表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量(cm3/g)であり、vは実測される吸着量(cm3/g)であり、xは相対圧力である。
水銀ポロシメータ(例えば、MICROMERITICS社製「AUTOPORE 9200」)を用いて細孔容積を測定することができる。試料である球形活性炭を試料容器に入れ、2.67Pa以下の圧力で30分間脱気する。次いで、水銀を試料容器内に導入し、徐々に加圧して水銀を球形活性炭試料の細孔へ圧入する(最高圧力=414MPa)。このときの圧力と水銀の圧入量との関係から以下の各計算式を用いて球形活性炭試料の細孔容積分布を測定する。
具体的には、細孔直径15μmに相当する圧力(0.07MPa)から最高圧力(414MPa:細孔直径3nm相当)までに球形活性炭試料に圧入された水銀の体積を測定する。細孔直径の算出は、直径(D)の円筒形の細孔に水銀を圧力(P)で圧入する場合、水銀の表面張力を「γ」とし、水銀と細孔壁との接触角を「θ」とすると、表面張力と細孔断面に働く圧力の釣り合いから、次式:
−πDγcosθ=π(D/2)2・P
が成り立つ。従って
D=(−4γcosθ)/P
となる。
本明細書においては、水銀の表面張力を484dyne/cmとし、水銀と炭素との接触角を130度とし、圧力PをMPaとし、そして細孔直径Dをμmで表示し、下記式:
D=1.27/P
により圧力Pと細孔直径Dの関係を求める。本発明における細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積とは、水銀圧入圧0.08MPaから63.5MPaまでに圧入された水銀の体積に相当する。
0.05規定のNaOH溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形活性炭試料1gを添加し、48時間振とうした後、球形活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるNaOHの消費量である。
0.05規定のHCl溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形活性炭試料1gを添加し、24時間振とうした後、球形活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるHClの消費量である。
ヒトや類人猿には、尿酸をアラントインに変換する酵素(ウリカーゼ)が存在しないので、血液中に尿酸が存在する。一方、ヒトや類人猿以外の哺乳動物(例えば、ラット)では、肝臓にウリカーゼが存在し、ウリカーゼは尿酸をアラントインに変換するので、ラットなどの血液中には、尿酸が存在しない。
そこで、ラットなどの血液中で尿酸濃度を高い状態に維持し、高尿酸血症状態のモデルラットを作製するためには、ウリカーゼ活性を阻害し、尿酸からアラントインへの代謝を妨害する必要がある。1974年に、Wismanらは、ウリカーゼ阻害剤(オキソン酸)と尿酸とをモデル動物に経口投与し、持続的な高尿酸血症状態を維持する高尿酸血症モデルを作製した。その後、この実験モデル動物が痛風の腎障害実験モデルとして使用されてきている。
しかしながら、この実験モデルは、ウリカーゼ阻害剤(オキソン酸)と尿酸とを飼料と共に与えている。従って、本発明の有効成分のように、吸着能を有する球形活性炭を経口投与すると、ウリカーゼ阻害剤(オキソン酸)が球形活性炭と接触して吸着されてしまうために、高尿酸血症モデルを作製することは困難である。
石油系ピッチ(軟化点=210℃;キノリン不溶分=1重量%以下;H/C原子比=0.63)68kgと、ナフタレン32kgとを、攪拌翼のついた内容積300Lの耐圧容器に仕込み、180℃で溶融混合を行った後、80〜90℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を直径と長さの比が約1〜2になるように破砕した。
0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより冷却し、20℃で3時間冷却し、ピッチの固化及びナフタレン結晶の析出を行い、球状ピッチ成形体スラリーを得た。
大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチ成形体の約6倍重量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、235℃まで昇温した後、235℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状酸化ピッチを得た。
続いて、多孔性球状酸化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中で900℃で170分間賦活処理して多孔性球形活性炭を得、更にこれを流動床にて、酸素濃度18.5vol%の窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で470℃で3時間15分間、酸化処理し、次に流動床にて窒素ガス雰囲気下で900℃で17分間還元処理を行い、球形活性炭を得た。
得られた球形活性炭の特性は、SSAが1300m2/gであり、細孔容積が0.08mL/gであり、平均粒子径が350μmであり、全酸性基が0.67meq/gであり、全塩基性基が0.54meq/gであった。なお、前記細孔容積は、水銀圧入法により求めた細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積に相当する。
なお、得られた球形活性炭に関して、ラット(Cpb:WU:ウイスターランダム)への経口投与による急性毒性試験を実施したところ、毒性試験法ガイドライン(薬審第118号)による最大投与量(雌雄ラット5000mg/kg)においても異常は観察されなかった。
(1)イノシンの前投与
体重約350gの9週齢の雄のJcl-Sprague-Dawley系ラット(12匹;日本クレア)に、イノシン〔和光純薬工業(株)〕を一日60mg/kgの量で、それぞれ、4日間連続で経口投与した。イノシンは、一日投与量を朝と夕方の2回に分けて与えた。
イノシンの前投与開始から5日目に、生理食塩水に懸濁したウリカーゼ阻害剤(オキソン酸)を前記ラットの背部皮下に、3時間に一回の割合で、それぞれ250mg/kgの量を投与した。オキソン酸の初回投与から2時間後に、イノシンの追加投与前の検体採取のために、頚静脈から採血した。その採血直後に、イノシンの経口投与及び製造実施例で調製した球形活性炭の経口投与を行い、その時刻を基準時(0分)とした。製造実施例で調製した球形活性炭の投与は、一日4g/kgの量で市販の流動食〔大塚製薬(株)〕に練り混ぜて行い、イノシンの経口投与とは時期をずらせて実施した。前記の基準時から30分、60分、120分、及び240分の経過後に検体採取のため頚静脈から採血した。これらのタイムスケジュールを図1に示す。なお、図1において、○はウリカーゼ阻害剤投与を示し、◎はイノシンの追加投与を示し、●は球形活性炭投与を示し、▼は採血を示す。
結果を表1に示す。表1において、対照群とは、イノシンの追加投与は行ったが、球形活性炭の投与を行わなかった群であり、本発明群とは、イノシンの追加投与と共に、球形活性炭の投与を行なった群である。また、表1に示す数値は血液中の尿酸濃度(mg/dL)である。
以上の結果から、球形活性炭は、プリン体(イノシン)摂取による血中尿酸値の上昇を抑制したことが分かる。
前記製造実施例で得た球形活性炭200mgをゼラチンカプセルに封入してカプセル剤を調製した。
前記製造実施例で得た球形活性炭2gを積層フィルム製スティックに充填した後、ヒートシールしてスティック剤とした。
●・・・球形活性炭投与時;▼・・・採血時。
Claims (3)
- 球形活性炭を有効成分とする、高尿酸血症の治療又は予防剤。
- 経口投与用である請求項1に記載の高尿酸血症の治療又は予防剤。
- 球形活性炭の平均粒子径が0.01〜2mmである請求項1又は2に記載の高尿酸血症の治療又は予防剤。
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WO2006123618A1 (ja) * | 2005-05-16 | 2006-11-23 | Kureha Corporation | 酸化ストレス抑制剤 |
JP2009256331A (ja) * | 2008-03-25 | 2009-11-05 | Nagase Chemtex Corp | 高尿酸血症、又は痛風の予防、改善、又は治療剤 |
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2003
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