JPWO2005117041A1 - 電子部品、積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

電子部品、積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

内部電極層12と誘電体層10とを有する電子部品を製造する方法であって、導電体成分および誘電体成分を含有する焼成前内部電極薄膜12aを形成する工程と、焼成後に誘電体層10となるグリーンシート10aと前記内部電極薄膜12aとを積層させる工程と、前記グリーンシート10aと前記内部電極薄膜12aとの積層体を焼成する工程とを有する電子部品の製造方法であって、内部電極層のそれぞれの厚みを薄層化した場合でも、焼成段階での導電体粒子の粒成長を抑制し、内部電極層の球状化、電極途切れを有効に防止し、静電容量の低下を効果的に抑制することができる積層セラミックコンデンサなどの電子部品およびその製造方法を提供する。

Description

本発明は、電子部品、積層セラミックコンデンサおよびその製造方法に関し、特に、薄層化、小型化対応の電子部品および積層セラミックコンデンサに関する。
電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とが交互に複数配置された積層構造の素子本体と、該素子本体の両端部に形成された一対の外部端子電極とで構成される。
この積層セラミックコンデンサは、まず焼成前誘電体層と焼成前内部電極層とを必要枚数だけ交互に複数積層させて焼成前素子本体を製造し、次いで、これを焼成し、その後、焼成後の素子本体の両端部に一対の外部端子電極を形成して製造される。
焼成前誘電体層には、シート法や延伸法などで製造されるセラミックグリーンシートなどが用いられる。シート法とは、誘電体粉末、バインダ、可塑剤および有機溶剤などを含む誘電体塗料を、ドクターブレード法などを用いてPETなどのキャリアシート上に塗布し、加熱乾燥させて製造する方法である。延伸法とは、誘電体粉末とバインダが溶媒に混合された誘電体懸濁液を押出成形して得られるフィルム状成形体を二軸延伸して製造する方法である。
焼成前内部電極層の形成は、上述したセラミックグリーンシート上に、金属粉末とバインダを含む内部電極ペーストを所定パターンで印刷する印刷法や、メッキや蒸着、あるいはスパッタリングなどにより、グリーンシート上に導電体薄膜を所定パターンで形成する薄膜形成法により行われる。特に、内部電極層を、薄膜形成法により得られる導電体薄膜により形成すると、内部電極層の薄層化をすることができ、積層セラミックコンデンサの小型薄層化、大容量化を図ることができる。
このように、積層セラミックコンデンサの製造に際しては、焼成前誘電体層と焼成前内部電極層とを同時に焼成することになる。このため、焼成前内部電極層に含まれる導電材には、焼成前誘電体層に含まれる誘電体粉末の焼結温度よりも高い融点を持つこと、誘電体粉末と反応しないこと、焼成後の誘電体層に拡散しないこと、が要求される。
ところで、近年、各種電子機器の小型化により、電子機器の内部に装着される積層セラミックコンデンサの小型化および大容量化が進んでいる。この積層セラミックコンデンサの小型化および大容量化を進めるために、誘電体層はもとより、内部電極層を薄層化することが求められている。内部電極層を薄層化する方法としては、焼成前内部電極層を薄膜形成法により得られる導電体薄膜により形成する方法が例示される(たとえば、特許文献1:特許3491639号公報)。
この特許文献1には、薄膜形成法により形成された第1の金属層の上に、セラミック粒子を含有する第2の金属層を複合メッキ法により形成することを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法が開示されている。この文献記載の製造方法によると、焼成後に内部電極層となる第1の金属層の他に、接着層として機能する第2の金属層を形成することにより、焼成後の内部電極層と誘電体層とのデラミネーションを防止することができるという旨が記載されている。
しかしながら、この文献においては、前記第2の金属層は、デラミネーションを防止するための接着層であり、メッキ法により形成されている。そのため、この第2の金属層は、誘電体粒子の含有量を比較的多くする必要があり、また、その厚みについても、厚くせざるをえなかった。
また、焼成前内部電極層に含まれる導電材としては、比較的安価であるという理由等により卑金属であるニッケルが好適に用いられている。しかしながら、このニッケルは、焼成前誘電体層に含まれる誘電体粉末と比較して融点が低いため、焼成前誘電体層と焼成前内部電極層とを同時焼成した場合、両者の焼結温度の差が生じてしまう。このように焼結温度に大きな差がある場合に、焼成を高い温度で行うと、導電材に含まれるニッケル粒子が、粒成長により球状化してしまい、任意の箇所に空孔を生じる。その結果、焼成後の内部電極層を連続的に形成することが困難になる。このように焼成後の内部電極層が連続していない場合、積層セラミックコンデンサの静電容量が低下してしまう傾向にある。
焼成時におけるニッケル粒子の粒成長の抑制を目的として、従来より、内部電極層用の導電性ペースト中に、ニッケル粒子と共に、共材として誘電体粒子を添加する方法が行われている。このように導電性ペースト中に、ニッケル粒子と誘電体粒子とを含有させる場合においては、ニッケル粒子の粒成長を抑制するために、誘電体粒子の添加量を、ニッケル粒子に対し、5重量%以上、あるいは1.33mol%以上と比較的多く添加する必要があった。
しかしながら、誘電体粒子およびニッケル粒子を均一に分散させることは、一般に困難であり、誘電体粒子、あるいはニッケル粒子が凝集してしまう傾向にある。そして、このように凝集した誘電体粒子は、焼結により数μm程度に粒成長し、内部電極層の途切れを引き起こしてしまう。そのため、いずれにしても、静電容量が低下してしまうという問題がある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、特に内部電極層の厚みを薄層化した場合でも、焼成段階での導電体粒子の粒成長を抑制し、内部電極層の球状化および電極途切れを有効に防止し、静電容量の低下を効果的に抑制することができる積層セラミックコンデンサなどの電子部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、内部電極層と誘電体層とを有する積層セラミックコンデンサなどの電子部品の製造方法において、導電体成分と誘電体成分とを含有し、前記誘電体成分の含有量が、0mol%より大きく、0.8mol%以下である焼成前内部電極薄膜または、0wt%より大きく、3wt%以下である焼成前内部電極薄膜を形成し、この焼成前内部電極薄膜とグリーンシートとの積層体を焼成することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の観点に係る電子部品の製造方法は、
内部電極層と誘電体層とを有する電子部品を製造する方法であって、
導電体成分と誘電体成分とを含有する焼成前内部電極薄膜を形成する工程と、
焼成後に誘電体層となるグリーンシートと、前記焼成前内部電極薄膜とを、積層させる工程と、
前記グリーンシートと前記焼成前内部電極薄膜との積層体を焼成する工程とを有し、
前記焼成前内部電極薄膜中の前記誘電体成分の含有量を、前記焼成前内部電極薄膜全体に対して、0mol%より大きく、0.8mol%以下とすることを特徴とする。
本発明の第1の観点に係る積層セラミックコンデンサの製造方法は、
内部電極層と誘電体層とが交互に積層してある素子本体を有する積層セラミックコンデンサを製造する方法であって、
導電体成分と誘電体成分とを含有する焼成前内部電極薄膜を形成する工程と、
焼成後に誘電体層となるグリーンシートと、前記焼成前内部電極薄膜とを、交互に積層させる工程と、
前記グリーンシートと前記焼成前内部電極薄膜との積層体を焼成する工程とを有し、
前記焼成前内部電極薄膜中の前記誘電体成分の含有量を、前記焼成前内部電極薄膜全体に対して、0mol%より大きく、0.8mol%以下とすることを特徴とする。
なお、本発明の第1の観点において、前記焼成前内部電極薄膜中の誘電体成分としては、特に限定されないが、BaTiO,Y,HfO等が挙げられる。
本発明の第2の観点に係る電子部品の製造方法は、
内部電極層と誘電体層とを有する電子部品を製造する方法であって、
導電体成分と誘電体成分とを含有する焼成前内部電極薄膜を形成する工程と、
焼成後に誘電体層となるグリーンシートと、前記焼成前内部電極薄膜とを、積層させる工程と、
前記グリーンシートと前記焼成前内部電極薄膜との積層体を焼成する工程とを有し、
前記焼成前内部電極薄膜中の前記誘電体成分の含有量を、前記焼成前内部電極薄膜全体に対して、0wt%より大きく、3wt%以下とすることを特徴とする。
また、本発明の第2の観点に係る積層セラミックコンデンサの製造方法は、
内部電極層と誘電体層とが交互に積層してある素子本体を有する積層セラミックコンデンサを製造する方法であって、
導電体成分と誘電体成分とを含有する焼成前内部電極薄膜を形成する工程と、
焼成後に誘電体層となるグリーンシートと、前記焼成前内部電極薄膜とを、交互に積層させる工程と、
前記グリーンシートと前記焼成前内部電極薄膜との積層体を焼成する工程とを有し、
前記焼成前内部電極薄膜中の前記誘電体成分の含有量を、前記焼成前内部電極薄膜全体に対して、0wt%より大きく、3wt%以下とすることを特徴とする。
なお、本発明の第2の観点において、前記焼成前内部電極薄膜中の誘電体成分としては、特に限定されないが、BaTiO,MgO,Al,SiO,CaO,TiO,V,MnO,SrO,Y,ZrO,Nb,BaO,HfO,La,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,CaTiO,SrTiO等が挙げられる。
本発明においては、焼成後に内部電極層を構成することになる焼成前内部電極薄膜として、導電体成分とともに、共材である誘電体成分を含有する焼成前内部電極薄膜を形成する。そのため、焼成後の内部電極層を薄層化した場合に、特に問題となっていた誘電体材料と導電体材料との焼結温度の差に起因する内部電極層の球状化、および電極途切れを有効に防止し、静電容量の低下を効果的に抑制することができる。
本発明において、前記焼成前内部電極薄膜に含有される導電体成分としては、導電性を有する材料から構成されていれば良く、特に限定されないが、たとえば、金属材料などが挙げられる。また、誘電体成分としては、特に限定されず、誘電体材料などの各種無機物を使用することができる。
前記焼成前内部電極薄膜に含有される前記導電体成分および誘電体成分は、共に、焼成後には、内部電極層を形成することとなるが、前記誘電体成分の一部については、焼成後に誘電体層を形成することになっても良い。なお、前記焼成前内部電極薄膜には、前記導電体成分および誘電体成分以外の成分が含有されていても良い。
また、本発明においては、焼成前内部電極薄膜中の誘電体成分の含有量を、焼成前内部電極薄膜全体に対して、0mol%より多く、0.8mol%以下とすることにより、電極途切れを有効に防止することができる。あるいは、焼成前内部電極薄膜中の誘電体成分の含有量を、焼成前内部電極薄膜全体に対して、0wt%より大きく、3wt%以下とすることにより、電極途切れを有効に防止することができる。
前記焼成前内部電極薄膜は、たとえば、焼成後に誘電体層となるグリーンシートの上に直接成膜する方法や、あるいは、誘電体材料を含有する剥離層の上に成膜する方法などにより形成することができる。
本発明の製造方法においては、前記剥離層上に、前記焼成前内部電極薄膜を形成し、次いで、この焼成前内部電極薄膜上に接着層を形成し、接着層を介して、焼成前内部電極薄膜とグリーンシートとを接着させる転写法を採用することが好ましい。
本発明において、好ましくは、前記焼成前内部電極薄膜の厚みを、0.1〜1.0μm、より好ましくは0.1〜0.5μmとする。前記焼成前内部電極薄膜の厚みを、このような範囲とすることにより、焼成後の内部電極層の薄層化を図ることができる。
本発明において、前記焼成前内部電極薄膜は、薄膜形成法により所定パターンで形成することが好ましい。薄膜形成法としては、たとえば、メッキ法、蒸着法、スパッタリング法などが挙げられ、特にスパッタリング法とすることが好ましい。
前記導電体成分および誘電体成分からなる焼成前内部電極薄膜を、薄膜形成法、特に、スパッタリング法により形成することにより、前記焼成前内部電極薄膜中に、誘電体成分を均一に分布させることが可能となる。特に、本発明においては、好ましくは、誘電体成分をナノオーダーのレベルで均一に分布させることができる。したがって、焼成前内部電極薄膜中の誘電体成分の含有量を、上述のように比較的少量とした場合においても、誘電体成分の添加効果を十分に発揮させることができ、金属材料等の導電体材料の球状化に起因する電極途切れを有効に防止することができる。
本発明において、好ましくは、前記導電体成分および前記誘電体成分を構成することになる金属材料および無機物を同時にスパッタリングすることにより、前記焼成前内部電極薄膜を形成する。
本発明において、“同時にスパッタリングする”とは、スパッタにより形成される前記焼成前内部電極薄膜中の導電体成分および誘電体成分が、均一に分布するような方法で、スパッタリングを行うことを意味する。“同時にスパッタリングする”方法としては、たとえば、金属材料を含有する導電体ターゲットと、誘電体材料などの無機物を含有する導電体ターゲットとを、所定時間の間隔(たとえば、1〜30秒程度)で交互にスパッタリングする方法が挙げられる。あるいは、前記導電体成分と前記誘電体成分とを含有する複合ターゲットを使用して、スパッタリングする方法なども好適に用いることができる。
なお、前記無機物としては、特に限定されないが、各種誘電体材料や各種無機酸化物などが例示される。無機酸化物としては、たとえば、BaTiO,MgO,Al,SiO,CaO,TiO,V,MnO,SrO,Y,ZrO,Nb,BaO,HfO,La,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,CaTiO,SrTiO等が挙げられ、これらは、前記焼成前内部電極薄膜や前記グリーンシート中に添加副成分として含有させることも可能である。
本発明において、前記スパッタリングを行う際には、導入ガスとして、不活性ガスを使用することが好ましい。不活性ガスとしては、特に限定されないが、好ましくはArガスを使用する。また、前記不活性ガスのガス導入圧力は、0.01〜2Paとすることが好ましい。
本発明においては、前記焼成前内部電極薄膜に含まれる誘電体成分と、前記グリーンシートとが、実質的に同じ組成の誘電体をそれぞれ含有することが好ましい。このようにすることで、焼成前内部電極薄膜とグリーンシートとの密着性を、さらに向上させることができ、本発明の作用効果が高まる。なお、本発明において、前記焼成前内部電極薄膜および前記グリーンシートに含有される前記誘電体は、必ずしも完全に同じ組成とする必要はなく、実質的に同じ組成を有していれば良い。また、前記焼成前内部電極薄膜および/または前記グリーンシートには、必要に応じて、それぞれ異なる副成分を添加していても良い。
本発明においては、前記焼成前内部電極薄膜に含まれる誘電体成分の平均粒径が、好ましくは1〜10nmである。誘電体成分の平均粒径は、たとえば、焼成前内部電極薄膜を切断し、この切断面をTEMで観察することにより測定することができる。
前記焼成前内部電極薄膜に含まれる誘電体成分、および前記グリーンシートに含有される前記誘電体としては、たとえば、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等が挙げられ、なかでも、チタン酸バリウムを用いることが好ましい。
本発明において、好ましくは、前記焼成前内部電極薄膜に含まれる導電体成分が、ニッケルおよび/またはニッケル合金を主成分とする。ニッケル合金としては、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)および白金(Pt)から選択される1種以上の元素とニッケルとの合金が好ましく、合金中のニッケル含有量は87mol%以上であることが好ましい。
本発明において、好ましくは、前記積層体を、10−10 〜10−2Paの酸素分圧を持つ雰囲気中で、1000℃〜1300℃の温度で焼成する。本発明によると、金属材料の焼結温度以上で焼成した時に、特に問題となる内部電極層の球状化、および電極途切れを有効に防止することができるため、上記温度での焼成が可能となる。
好ましくは、前記積層体を焼成した後に、10−2〜100Paの酸素分圧を持つ雰囲気中で、1200℃以下の温度でアニールする。上記の焼成後に、特定のアニール条件でアニールさせることで、誘電体層の再酸化が図られ、誘電体層の半導体化を阻止し、高い絶縁抵抗を取得することができる。
本発明に係る電子部品は、上記いずれかの方法により製造される。
電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
本発明によると、焼成段階での導電体粒子の粒成長を抑制し、焼成後の内部電極層の球状化および電極途切れを有効に防止し、静電容量の低下を効果的に抑制することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2は本発明の製造方法に係る焼成前内部電極薄膜の要部断面図である。 図3Aは本発明の焼成前内部電極薄膜の形成方法を示す要部断面図である。 図3Bは本発明の焼成前内部電極薄膜の形成方法を示す要部断面図である。 図3Cは本発明の焼成前内部電極薄膜の形成方法を示す要部断面図である。 図4Aは本発明の一実施形態に係るスパッタリングの方法を示す概略側面図である。 図4Bは本発明の一実施形態に係るスパッタリングの方法を示す概略上面図である。 図5は本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットの要部断面図である。 図6Aは焼成前内部電極薄膜の転写方法を示す要部断面図である。 図6Bは焼成前内部電極薄膜の転写方法を示す要部断面図である。 図6Cは焼成前内部電極薄膜の転写方法を示す要部断面図である。 図7Aは焼成前内部電極薄膜の転写方法を示す要部断面図である。 図7Bは焼成前内部電極薄膜の転写方法を示す要部断面図である。 図7Cは焼成前内部電極薄膜の転写方法を示す要部断面図である。 図8は本発明の実施例に係る積層体試料の要部断面図である。 図9Aは本発明の実施例に係る焼成後の内部電極層のSEM写真である。 図9Bは本発明の比較例に係る焼成後の内部電極層のSEM写真である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
まず、本発明に係る方法により製造される電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1端子電極6と、第2端子電極8とを有する。コンデンサ素体4は、誘電体層10と、内部電極層12とを有し、誘電体層10の間に、これらの内部電極層12が交互に積層してある。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第1端部4aの外側に形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第2端部4bの外側に形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある。
本実施形態では、内部電極層12は、後で詳細に説明するように、図2に示す導電体成分と誘電体成分とを含有する焼成前内部電極薄膜12aを焼成することにより形成される。
誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどの誘電体材料で構成され、なかでも、チタン酸バリウムが好適に使用できる。また、誘電体層10には、必要に応じて各種副成分を添加することが可能である。各誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。特に本実施形態では、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下に薄層化されている。
端子電極6および8の材質も特に限定されないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.6mm、好ましくは0.6〜3.2mm)×横(0.3〜5.0mm、好ましくは0.3〜1.6mm)×厚み(0.1〜1.9mm、好ましくは0.3〜1.6mm)程度である。
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例を説明する。
まず、焼成後に図1に示す誘電体層10を構成することになるセラミックグリーンシートを製造するために、誘電体ペーストを準備する。
誘電体ペーストは、通常、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
誘電体原料としては、複合酸化物や、焼成により酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。誘電体原料は、通常、平均粒子径が0.1〜3.0μm程度の粉末として用いられる。なお、きわめて薄いグリーンシートを形成するためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉末を使用することが望ましい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いられるバインダとしては、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダが用いられるが、好ましくはポリビニルブチラールなどのブチラール系樹脂が用いられる。
また、有機ビヒクルに用いられる有機溶剤も特に限定されず、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエンなどの有機溶剤が用いられる。また、水系ペーストにおけるビヒクルは、水に水溶性バインダを溶解させたものである。水溶性バインダとしては特に限定されず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。誘電体ペースト中の各成分の含有量は特に限定されず、通常の含有量、たとえばバインダは1〜5質量%程度、溶剤(または水)は10〜50質量%程度とすればよい。
誘電体ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されても良い。ただし、これらの総含有量は、10質量%以下とすることが望ましい。バインダ樹脂として、ブチラール系樹脂を用いる場合には、可塑剤は、バインダ樹脂100質量部に対して、25〜100質量部の含有量であることが好ましい。可塑剤が少なすぎると、グリーンシートが脆くなる傾向にあり、多すぎると、可塑剤が滲み出し、取り扱いが困難である。
次に、上記誘電体ペーストを用いて、ドクターブレード法などにより、図7Aに示すように、第2支持シートとしてのキャリアシート30上に、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは0.5〜10μm程度の厚みで、グリーンシート10aを形成する。グリーンシート10aは、キャリアシート30に形成された後に乾燥される。グリーンシート10aの乾燥温度は、好ましくは50〜100℃であり、乾燥時間は、好ましくは1〜5分である。
次に、上記のキャリアシート30とは別に、図6Aに示すように、第1支持シートとしてのキャリアシート20を準備し、その上に、剥離層22を形成する。次に、剥離層22の表面に、焼成後に内部電極層12を構成することになる焼成前内部電極薄膜12aを所定パターンで形成する。
キャリアシート20および30としては、たとえばPETフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、シリコンなどがコーティングしてあるものが好ましい。これらのキャリアシート20および30の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmである。これらのキャリアシート20および30の厚みは、同じでも異なっていても良い。
剥離層22は、好ましくは図7Aに示すグリーンシート10aを構成する誘電体と同じ誘電体粒子を含む。また、この剥離層22は、誘電体粒子以外に、バインダと、可塑剤と、任意成分として剥離剤とを含む。誘電体粒子の粒径は、グリーンシートに含まれる誘電体粒子の粒径と同じでも良いが、より小さいことが好ましい。剥離層22の形成方法としては、特に限定されないが、きわめて薄く形成する必要があるために、たとえばワイヤーバーコーターまたはダイコーターを用いて、塗布する方法が好ましい。
焼成前内部電極薄膜12aは、図2に示すように、剥離層22上に形成され、導電体成分および誘電体成分を含有している。
内部電極薄膜12aに含有される導電体成分としては、導電性を有する材料から構成されていれば良く、特に限定されないが、金属材料などが例示される。このような金属材料としては、たとえば、誘電体層10の構成材料として、耐還元性を有する材料を使用した場合には、卑金属を用いることができる。このような卑金属としては、ニッケルを主成分とする金属、またはニッケルと他の金属との合金が好ましい。ニッケル合金としては、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)および白金(Pt)から選択される1種以上の元素とニッケルとの合金が好ましく、合金中のニッケル含有量は87mol%以上であることが好ましい。なお、ニッケルまたはニッケル合金中には、S,C,P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。
内部電極薄膜12aに含有される誘電体成分としては、誘電体材料などの各種無機物が使用でき、特に限定されないが、剥離層22やグリーンシート10aに含有される誘電体材料と、実質的に同じ組成の誘電体材料を含有することが好ましい。このようにすることで、内部電極薄膜12aと剥離層22やグリーンシート10aとの間に形成される接触面の密着性のさらなる向上を図ることができる。
内部電極薄膜12a中の誘電体成分の含有量は、内部電極薄膜全体に対して、0mol%より大きく、0.8mol%以下とする。または、内部電極薄膜12a中の誘電体成分の含有量は、内部電極薄膜全体に対して、0wt%より大きく、3wt%以下とする。本実施形態においては、後に詳述するが、内部電極薄膜12aを、スパッタリング法などの薄膜形成法で形成するため、内部電極薄膜12a中に、誘電体成分をナノオーダーのレベルで、均一に分布させることが可能となる。したがって、誘電体成分の含有量を、上述のように比較的少量とした場合においても、誘電体成分の添加効果を十分に発揮させることができ、金属材料などの導電体材料の球状化に起因する電極途切れを有効に防止することができる。
焼成前内部電極薄膜12aの厚みは、0.1〜1.0μmとすることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5μmとする。内部電極薄膜12aの厚みを、このような範囲とすることにより、焼成後の内部電極層の薄層化を図ることができる。
導電体成分と誘電体成分とを含有する焼成前内部電極薄膜12aを形成する方法としては、メッキ法、蒸着法、スパッタリング法などの薄膜形成法が挙げられるが、本実施形態においては、スパッタリング法により形成する。
スパッタリング法により焼成前内部電極薄膜12aを形成する場合には、たとえば、以下のようにして行う。
まず、図3Aに示すように、キャリアシート20上の剥離層22の表面に、遮蔽マスクとして、所定パターンを有するメタルマスク44を形成する。次いで、図3Bに示すように、剥離層22の上に内部電極薄膜12aを形成する。
本実施形態においては、内部電極薄膜12aの形成は、図4A、図4Bに示すように、導電体成分を含有する導電体ターゲット40と、誘電体成分を含有する誘電体ターゲット42とを使用し、両ターゲットを交互にスパッタリングすることにより行う。すなわち、本実施形態では、図4A、図4Bに示すように、導電体ターゲット40と誘電体ターゲット42との上を、剥離層22およびメタルマスク44(図示省略)の形成されたキャリアシート20を回転させ、剥離層22上に、所定時間の間隔(たとえば、1〜30秒程度)で交互に、導電体成分および誘電体成分を形成する。このように導電体成分および誘電体成分を数秒間隔で交互に形成することにより、内部電極薄膜12a中に、誘電体成分をナノオーダーのレベルで、均一に分布させることが可能となるとともに、誘電体成分の凝集を有効に防止することができる。
すなわち、本実施形態においては、焼成前内部電極薄膜12a中に含まれる誘電体成分の平均粒径を、好ましくは1〜10nmとし、均一に分散させることができる。なお、誘電体成分の平均粒径は、たとえば、焼成前内部電極薄膜12aを切断し、この切断面をTEMで観察することにより測定することができる。
上記回転速度としては、たとえば、0.5〜15rpmとし、1〜30秒の間隔で、導電体ターゲット40と誘電体ターゲット42のスパッタリングを行うことが好ましい。
内部電極薄膜12a中の導電体成分を形成することになる導電体ターゲット40としては、導電材料が使用でき、たとえば、ニッケルを主成分とする金属、またはニッケルと他の金属との合金などが使用できる。
また、内部電極薄膜12a中の誘電体成分を形成することになる誘電体ターゲット42としては、誘電体材料などの各種無機物が使用でき、たとえば、複合酸化物や、焼成により酸化物となる各種化合物などが挙げられる。
スパッタリングする際には、導入ガスとして、不活性ガス、特に、Arガスを使用することが好ましく、また、そのガス導入圧力は、0.1〜2Paとすることが好ましい。その他のスパッタリング条件としては、到達真空度が好ましくは10−2Pa以下、より好ましくは10−3Pa以下、スパッタリング温度が好ましくは20〜150℃、より好ましくは20〜120℃である。
なお、本実施形態においては、内部電極薄膜12a中における導電体成分および誘電体成分の含有比率は、たとえば、導電体ターゲット40および誘電体ターゲット42の出力を調整することにより、制御することができる。導電体ターゲット40の出力は、好ましくは、50〜400W、より好ましくは100〜300W、誘電体ターゲット42の出力は、好ましくは、10〜100W、より好ましくは10〜50Wとする。また、好ましくは、導電体成分の成膜速度を5〜20nm/min.誘電体成分の成膜速度を1nm/min.以下とする。
また、内部電極薄膜12aの厚みの制御は、上記各スパッタリング条件および成膜時間を調整することにより行うことが可能である。
次いで、メタルマスク44を取り除くことにより、図3Cに示すように所定パターンを有し、導電体成分および誘電体成分を含有する内部電極薄膜12aを、剥離層22の表面に形成することができる。
次に、上記のキャリアシート20および30とは別に、図6Aに示すように、第3支持シートとしてのキャリアシート26の表面に接着層28が形成してある接着層転写用シートを準備する。キャリアシート26は、キャリアシート20および30と同様なシートで構成される。接着層28の組成は、離型剤を含まない以外は、剥離層22と同様である。すなわち、接着層28は、バインダと、可塑剤と、離型剤とを含む。接着層28には、グリーンシート10aを構成する誘電体と同じ誘電体粒子を含ませても良いが、誘電体粒子の粒径よりも厚みが薄い接着層を形成する場合には、誘電体粒子を含ませない方がよい。
次に、図6Aに示す内部電極薄膜12aの表面に、転写法により、接着層を形成する。すなわち、図6Bに示すように、キャリアシート26の接着層28を、内部電極薄膜12aの表面に押し付け、加熱加圧して、その後キャリアシート26を剥がすことにより、図6Cに示すように、接着層28を、内部電極薄膜12aの表面に転写する。
その時の加熱温度は、40〜100℃が好ましく、また、加圧力は、0.2〜15MPaが好ましい。加圧は、プレスによる加圧でも、カレンダロールによる加圧でも良いが、一対のロールにより行うことが好ましい。
その後に、内部電極薄膜12aを、図7Aに示すキャリアシート30の表面に形成してあるグリーンシート10aの表面に接着する。そのために、図7Bに示すように、キャリアシート20の内部電極薄膜12aを、接着層28を介して、グリーンシート10aの表面にキャリアシート20と共に押し付け、加熱加圧して、図7Cに示すように、内部電極薄膜12aを、グリーンシート10aの表面に転写する。ただし、グリーンシート側のキャリアシート30が引き剥がされることから、グリーンシート10a側から見れば、グリーンシート10aが内部電極薄膜12aに接着層28を介して転写される。
この転写時の加熱および加圧は、プレスによる加圧・加熱でも、カレンダロールによる加圧・加熱でも良いが、一対のロールにより行うことが好ましい。その加熱温度および加圧力は、接着層28を転写するときと同様である。
このような図6A〜図7Cに示す工程により、単一のグリーンシート10a上に、所定パターンを有し、導電体成分と誘電体成分とを含有する焼成前内部電極薄膜12aが形成される。これを用いて、内部電極薄膜12aおよびグリーンシート10aが交互に多数積層された積層体を得る。
その後、この積層体を最終加圧した後、キャリアシート20を引き剥がす。最終加圧時の圧力は、好ましくは10〜200MPaである。また、加熱温度は、40〜100℃が好ましい。その後に、積層体を所定サイズに切断し、グリーンチップを形成する。そして、グリーンチップを脱バインダ処理および焼成する。
脱バインダ処理は、本発明のように内部電極薄膜の導電体成分として、卑金属であるニッケルを用いる場合、脱バインダ雰囲気中のAir中またはN中にすることが好ましい。また、それ以外の脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、より好ましくは10〜50℃/時間、保持温度を好ましくは200〜400℃、より好ましくは250〜350℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜20時間、より好ましくは1〜10時間とする。
グリーンチップの焼成は、酸素分圧が好ましくは10−10 〜10−2Pa、より好ましくは10−10 〜10−5Paの雰囲気で行う。焼成時の酸素分圧が低すぎると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがあり、逆に酸素分圧が高すぎると、内部電極層が酸化する傾向がある。
グリーンチップの焼成は、1300℃以下、より好ましくは1000〜1300℃、特に好ましくは1150〜1250℃の低温で行う。焼成温度が低すぎると、グリーンチップが緻密化せず、逆に焼成温度が高すぎると、内部電極層の電極途切れが生じたり、誘電体の還元が生じてしまうからである。
これ以外の焼成条件としては、昇温速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間、温度保持時間を好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜3時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間とする。また、焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、NとHとの混合ガスをウェット(加湿)状態で用いることが好ましい。
次いで、焼成後のコンデンサチップ体にはアニールを施す。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これにより絶縁抵抗(IR)の加速寿命を著しく長くすることができ、信頼性が向上する。
焼成後のコンデンサチップ体のアニールは、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧下で行うことが好ましく、具体的には、酸素分圧が好ましくは10−2〜100Pa、より好ましくは10−2〜10Paの雰囲気で行う。アニール時の酸素分圧が低すぎると、誘電体層10の再酸化が困難となり、逆に高すぎると、内部電極層12が酸化する傾向にある。
本実施形態においては、アニール時の保持温度または最高温度を、好ましくは1200℃以下、より好ましくは900〜1150℃、特に好ましくは1000〜1100℃とする。また、本発明では、これらの温度の保持時間を、好ましくは0.5〜4時間、より好ましくは1〜3時間とする。アニール時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内部電極層のニッケルが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。なお、アニールは昇温過程および降温過程だけから構成してもよい。すなわち、温度保持時間を零としてもよい。この場合、保持温度は最高温度と同義である。
これ以外のアニール条件としては、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間とする。また、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、加湿したNガス等を用いることが好ましい。
なお、Nガスを加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は0〜75℃程度が好ましい。
脱バインダ処理、焼成およびアニールは、連続して行っても、独立に行ってもよい。これらを連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、アニールの保持温度に達したときに雰囲気を変更してアニールを行なうことが好ましい。一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあるいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、アニール時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあるいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、アニールに際しては、Nガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、アニールの全過程を加湿したNガス雰囲気としてもよい。
このようにして得られた焼結体(素子本体4)には、例えばバレル研磨、サンドプラスト等にて端面研磨を施し、端子電極用ペーストを焼きつけて端子電極6,8が形成される。端子電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、端子電極6,8上にめっき等を行うことによりパッド層を形成する。なお、端子電極用ペーストは、上記した電極ペーストと同様にして調製すればよい。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
本実施形態においては、焼成後に内部電極層12を構成することになる焼成前内部電極薄膜12aとして、導電体成分および誘電体成分を含有し、誘電体成分の含有量が0mol%より多く、0.8mol%以下である内部電極薄膜12aを形成する。あるいは、焼成後に内部電極層12を構成することになる焼成前内部電極薄膜12aとして、導電体成分および誘電体成分を含有し、誘電体成分の含有量が0wt%より多く、3wt%以下である内部電極薄膜12aを形成する。そのため、焼成後の内部電極層12を薄層化した場合に、特に問題となっていた誘電体材料と導電体材料との焼結温度の差に起因する内部電極層12の球状化、および電極途切れを有効に防止し、静電容量の低下を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態においては、導電体成分および誘電体成分を含有する内部電極薄膜12aの成膜を、スパッタリング法により行うため、内部電極薄膜12a中に誘電体成分をナノオーダーのレベルで均一に分布させることが可能となる。したがって、内部電極薄膜12a中の誘電体成分の含有量を、上述のように比較的少量とした場合においても、誘電体成分の添加効果を十分に発揮させることができ、金属材料等の導電体材料の球状化に起因する電極途切れを有効に防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、その他の電子部品に適用することが可能である。
また、上述した実施形態においては、焼成前内部電極薄膜12aをスパッタリング法により形成する際に、スパッタリングターゲットとして、図4A、図4Bに示すような導電体ターゲット40と誘電体ターゲット42とを使用したが、導電体成分と誘電体成分とを混合し、焼結することにより得られる複合ターゲットを使用することもできる。このような複合ターゲットを使用する場合においては、複合ターゲット中の導電体成分と誘電体成分との混合比を調整することにより、内部電極薄膜12aに含有される導電体成分と誘電体成分との比率を制御することができる。
あるいは、スパッタリングターゲットとして、図5に示すように、ペレット状に加工した複数個の誘電体ターゲットを、導電体ターゲットの上に、載せることにより形成されるターゲットを使用することもできる。この場合においても、導電体ターゲットの上に載せるペレット状の誘電体ターゲットの大きさ、あるいは、数を調整することにより、内部電極薄膜12aに含有される導電体成分と誘電体成分との比率を制御することができる。
また、焼成前内部電極薄膜12aの表面に接着層28を形成する工程の前に、内部電極薄膜12aが形成されていない剥離層22の表面に、内部電極薄膜12aと実質的に同じ厚みを有し、グリーンシート10aと実質的に同じ材質からなる余白パターン層を形成しても良い。
また、本発明では、スパッタリング法以外の薄膜形成法を用いても良い。その他の薄膜形成法としては、蒸着法や分散メッキ法などがある。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
各ペーストの作製
まず、BaTiO粉末(BT−02/堺化学工業(株))と、MgCO、MnCO、(Ba0.6Ca0.4)SiOおよび希土類(Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y)から選択された粉末とを、ボールミルにより16時間、湿式混合し、乾燥させることにより誘電体材料とした。これら原料粉末の平均粒径は0.1〜1μmであった。(Ba0.6Ca0.4)SiOは、BaCO、CaCOおよびSiOをボールミルにより、16時間、湿式混合し、乾燥後に1150℃にて空気中で焼成したものをボールミルにより、100時間湿式粉砕して作製した。
得られた誘電体材料をペースト化するために、有機ビヒクルを誘電体材料に加え、ボールミルで混合し、誘電体グリーンシート用ペーストを得た。有機ビヒクルは、誘電体材料100質量部に対して、バインダとしてポリビニルブチラール:6質量部、可塑剤としてフタル酸ビス(2エチルヘキシル)(DOP):3質量部、酢酸エチル:55質量部、トルエン:10質量部、剥離剤としてパラフィン:0.5質量部の配合比である。
次に、前記の誘電体グリーンシート用ペーストをエタノール/トルエン(55/10)によって重量比で2倍に希釈したものを剥離層用ペーストとした。
次に、誘電体粒子および剥離剤を入れない以外は同様な前記の誘電体グリーンシート用ペーストを、トルエンによって重量比で4倍に希釈したものを接着層用ペーストとした。
グリーンシート10aの形成
まず、上記の誘電体グリーンシート用ペーストを、ワイヤーバーコーターを使用し、PETフィルム(第2支持シート)上に塗布し、次いで、乾燥することにより、厚み1.0μmのグリーンシートを形成した。
焼成前内部電極薄膜12aの形成
上記の剥離層用ペーストを、ワイヤーバーコーターを使用し、別のPETフィルム(第1支持シート)上に塗布し、次いで、乾燥することにより、厚み0.3μmの剥離層を形成した。
次に、剥離層の表面に、内部電極薄膜12aを形成するための所定パターンを有するメタルマスク44を使用し、スパッタリング法により、図2に示すような、導電体成分および誘電体成分を含有する内部電極薄膜12aを形成した。内部電極薄膜12aの厚みは、0.4μmとし、内部電極薄膜12aに含有される導電体成分および誘電体成分の含有比率は、それぞれ表1に示す比率とした。なお、導電体成分および誘電体成分の含有比率は、導電体ターゲットの出力を一定とし、誘電体ターゲットの出力を変化させることにより、調整を行った。
本実施例においては、スパッタリングは、まず、導電体成分を形成するための導電体ターゲット、および誘電体成分を形成するための誘電体ターゲットを準備し、図4A、図4Bに示す方法で行った。導電体ターゲットとしては、Niを、誘電体ターゲットとしては、BaTiOをそれぞれ使用し、NiおよびBaTiOターゲットとしては、直径約4インチ、厚さ3mmの形状に切り出して得られたスパッタリングターゲットを用いた。
その他のスパッタリングの条件としては、到達真空度:10−3Pa以下、Arガス導入圧力:0.5Pa、温度:室温(20℃)とした。また、スパッタリング時の出力は、Niターゲット:200W、BaTiOターゲット:10〜100Wとした。
なお、本実施例においては、各試料に内部電極薄膜12aを形成する際に、ガラス基板にも同時にスパッタによる成膜を行っておき、次いで、この薄膜の形成されたガラス基板を割り、その破断面をSEM観察することにより、スパッタリングにより形成された内部電極薄膜12aの厚みを測定した。
接着層の形成
上記の接着層用ペーストを、ワイヤーバーコーターを使用し、別のPETフィルム(第3支持シート)上に塗布し、次いで、乾燥することにより、厚み0.2μmの接着層を形成した。なお、本実施例においては、PETフィルム(第1支持シート、第2支持シートおよび第3支持シート)は、いずれも、表面にシリコーン系樹脂により剥離処理を施したPETフィルムを使用した。
最終積層体(焼成前素子本体)の形成
まず、内部電極薄膜12aの表面に、図6に示す方法で接着層28を転写した。転写時には、一対のロールを用い、その加圧力は1MPa、温度は80℃とした。
次に、図7に示す方法で、接着層28を介してグリーンシート10aの表面に内部電極薄膜12aを接着(転写)した。転写時には、一対のロールを用い、その加圧力は1MPa、温度は80℃とした。
次に、次々に内部電極薄膜12aおよびグリーンシート10aを積層し、最終的に、21層の内部電極薄膜12aが積層された最終積層体を得た。積層条件は、加圧力は50MPa、温度は120℃とした。
焼結体の作製
次いで、最終積層体を所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成およびアニール(熱処理)を行って、チップ形状の焼結体を作製した。
脱バインダは、
昇温速度:15〜50℃/時間、
保持温度:400℃、
保持時間:2時間、
冷却速度:300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNガス、
で行った。
焼成は、
昇温速度:200〜300℃/時間、
保持温度:1200℃、
保持時間:2時間、
冷却速度:300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNとHの混合ガス、
酸素分圧:10−7Pa、
で行った。
アニール(再酸化)は、
昇温速度:200〜300℃/時間、
保持温度:1050℃、
保持時間:2時間、
冷却速度:300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNガス、
酸素分圧:10−1Pa、
で行った。なお、脱バインダ、焼成およびアニール時の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用い、水温0〜75℃にて行った。
次いで、チップ形状の焼結体の端面をサンドブラストにて研磨したのち、外部電極用ペーストを端面に転写し、加湿したN+H雰囲気中において、800℃にて10分間焼成して外部電極を形成し、図1に示す構成の積層セラミックコンデンサのサンプルを得た。
このようにして得られた各サンプルのサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は21、その厚さは1μmであり、内部電極層の厚さは0.5μmであった。各サンプルについて、電気特性(静電容量C、誘電損失tanδ)の特性評価を行った。結果を表1に示す。電気特性(静電容量C、誘電損失tanδ)は、次のようにして評価した。
静電容量C(単位はμF)は、サンプルに対し、基準温度25℃でデジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で測定した。静電容量Cは、好ましくは0.9μF以上を良好とした。
誘電損失tanδは、25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で測定した。誘電損失tanδは、好ましくは0.1未満を良好とした。
なお、これらの特性値は、サンプル数n=10個を用いて測定した値の平均値から求めた。表1において、評価基準の欄の○は、上記の全ての特性において良好な結果を示したものを示し、×は、それらの内の1つでも良好な結果が得られなかったものを示す。
Figure 2005117041
表1に、各試料に形成した焼成前内部電極薄膜12aの厚み、ニッケルおよびBaTiOの含有比率、静電容量、誘電損失tanδ、および各試料の評価を示す。
表1に示すように、焼成前内部電極薄膜12aを、導電体成分であるニッケルと誘電体成分であるBaTiOとを含有し、BaTiOの含有比率をそれぞれ0.18、0.35、0.80mol%とした実施例の試料2〜4は、いずれも静電容量が、0.9μF以上となり、また誘電損失tanδが、0.1未満となり良好な結果となった。
一方、内部電極薄膜12aとして、誘電体成分であるBaTiOを含有させなかった比較例の試料1は、内部電極層の球状化が起こり、電極途切れが発生してしまい、静電容量が、0.83μFと低くなる結果となった。また、内部電極薄膜12a中のBaTiOの含有比率を1.33mol%とした比較例の試料は、内部電極層の電極途切れが発生してしまい、静電容量が0.72μFと低くなる結果となった。
焼成前内部電極薄膜として、導電体成分および誘電体成分を含有し、内部電極薄膜中の誘電体成分の含有量を、内部電極薄膜全体に対して、0mol%より大きく、0.8mol%以下とすることにより、焼成後の内部電極層を薄層化した場合においても、内部電極層の球状化および電極途切れを有効に防止し、静電容量の低下を抑制できることが確認できた。
実施例2
実施例1で作製した誘電体グリーンシート用ペーストを、ワイヤーバーコーターを使用し、PETフィルム(キャリアシート)上に塗布し、次いでこれを乾燥し、グリーンシート10aとし、このグリーンシート10aの上に、実施例1と同様の方法で、焼成前内部電極薄膜12aを形成し、図8に示すような積層体を作製した。次いで、この積層体から、PETフィルムを剥離し、グリーンシート10aおよび内部電極薄膜12aから構成される焼成前試料を作製し、この焼成前試料について、実施例1と同様の方法で、脱バインダ、焼成、アニールを行い、誘電体層10および内部電極層12からなる焼成後の表面観察用試料を作製した。
次いで、得られた表面観察用の試料について、内部電極層12が形成された面と垂直な方向より、SEM観察を行い、焼成後の内部電極層の観察および評価を行った。得られたSEM写真を図9A、図9Bに示す。ここにおいて、図9Aは実施例1の試料3に、図9Bは実施例1の試料1に、それぞれ相当する。すなわち、図9A、図9Bは、それぞれ、実施例1の各コンデンサ試料と同じ条件で内部電極薄膜を形成した試料についてのSEM写真である。
図9Aは、焼成前内部電極薄膜12aを、導電体成分であるニッケルと誘電体成分であるBaTiOとを含有し、BaTiOの含有比率を0.35mol%とした試料のSEM写真であり、図より明らかなように、内部電極層(SEM写真中の白色の部分)の途切れは観測されず、良好な結果であった。
一方、図9Bより、内部電極薄膜12aとして、誘電体成分であるBaTiOを含有させなかった試料は、ニッケルの球状化が起こり、電極途切れが顕著となる結果となった。特に、図9Aと図9Bとを比較することにより、内部電極薄膜12a中に、本発明の範囲内で、誘電体成分を含有させることにより、ニッケルの球状化の抑制ができ、内部電極の途切れを有効に防止することが可能となることが確認できる。
実施例3
焼成前内部電極薄膜12aの形成において、誘電体ターゲットとして用いたBaTiOの代わりにYbを用いた以外は、実施例1と同様にして、サンプルを得た。各サンプルについて、電気特性(静電容量C、誘電損失tanδ)の特性評価を行った。結果を表2に示す。電気特性(静電容量C、誘電損失tanδ)は、実施例1と同様に行った。
Figure 2005117041
表2に、各試料に形成した焼成前内部電極薄膜12aの厚み、ニッケルおよびYbの含有比率、静電容量、誘電損失tanδ、および各試料の評価を示す。
表2に示すように、焼成前内部電極薄膜12aを、導電体成分であるニッケルと誘電体成分であるYbとを含有し、Ybの含有比率をそれぞれ0.7、1.9、3wt%とした実施例の試料2〜4は、いずれも静電容量が、0.9μF以上となり、また誘電損失tanδが、0.1未満となり良好な結果となった。
一方、内部電極薄膜12aとして、誘電体成分であるYbを含有させなかった比較例の試料1は、内部電極層の球状化が起こり、電極途切れが発生してしまい、静電容量が、0.83μFと低くなる結果となった。また、内部電極薄膜12a中のYbの含有比率を5.14wt%とした比較例の試料は、内部電極層の電極途切れが発生してしまい、静電容量が0.74μFと低くなる結果となった。
焼成前内部電極薄膜として、導電体成分および誘電体成分を含有し、内部電極薄膜中の誘電体成分の含有量を、内部電極薄膜全体に対して、0wt%より大きく、3wt%以下とすることにより、焼成後の内部電極層を薄層化した場合においても、内部電極層の球状化および電極途切れを有効に防止し、静電容量の低下を抑制できることが確認できた。なお、Ybの場合に0wt%より大きく、3wt%以下が好ましいことが確認できたが、下記の実施例4の結果から、MgO,Al,SiO,CaO,TiO,V,MnO,SrO,Y,ZrO,Nb,BaO,HfO,La,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Lu,CaTiO,またはSrTiOにおいても同様の結果が得られると考えられる。
実施例4
焼成前内部電極薄膜12aの形成において、誘電体ターゲットとして用いたBaTiOの代わりにMgO,Al,SiO,CaO,TiO,V,MnO,SrO,Y,ZrO,Nb,BaO,HfO,La,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,CaTiO,またはSrTiOを用いた以外は、実施例1と同様にして、サンプルを得た。各サンプルについて、電気特性(静電容量C、誘電損失tanδ)の特性評価を行った。結果を表3に示す。電気特性(静電容量C、誘電損失tanδ)は、実施例1と同様に行った。
Figure 2005117041
表3に、各試料に形成した焼成前内部電極薄膜12aの厚み、ニッケルおよび前記添加した各酸化物の含有比率、静電容量、誘電損失tanδ、および各試料の評価を示す。
表3に示すように、焼成前内部電極薄膜12aを、導電体成分であるニッケルと誘電体成分である前記各酸化物とを含有し、前記各酸化物の含有比率をそれぞれ表3に示すwt%とした実施例の各試料は、いずれも静電容量が、0.9μF以上となり、また誘電損失tanδが、0.01未満となり良好な結果となった。
焼成前内部電極薄膜として、導電体成分および誘電体成分を含有し、内部電極薄膜中の誘電体成分の含有量を、内部電極薄膜全体に対して、0wt%より大きく、3wt%以下とすることにより、焼成後の内部電極層を薄層化した場合においても、内部電極層の球状化および電極途切れを有効に防止し、静電容量の低下を抑制できることが確認できた。

Claims (18)

  1. 内部電極層と誘電体層とを有する電子部品を製造する方法であって、
    導電体成分と誘電体成分とを含有する焼成前内部電極薄膜を形成する工程と、
    焼成後に誘電体層となるグリーンシートと、前記焼成前内部電極薄膜とを、積層させる工程と、
    前記グリーンシートと前記焼成前内部電極薄膜との積層体を焼成する工程とを有し、
    前記焼成前内部電極薄膜中の前記誘電体成分の含有量を、前記焼成前内部電極薄膜全体に対して、0mol%より大きく、0.8mol%以下とすることを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. 前記焼成前内部電極薄膜中の前記誘電体成分がBaTiO,YおよびHfOのうち少なくとも1種を含む請求項1に記載の電子部品の製造方法。
  3. 内部電極層と誘電体層とを有する電子部品を製造する方法であって、
    導電体成分と誘電体成分とを含有する焼成前内部電極薄膜を形成する工程と、
    焼成後に誘電体層となるグリーンシートと、前記焼成前内部電極薄膜とを、積層させる工程と、
    前記グリーンシートと前記焼成前内部電極薄膜との積層体を焼成する工程とを有し、
    前記焼成前内部電極薄膜中の前記誘電体成分の含有量を、前記焼成前内部電極薄膜全体に対して、0wt%より大きく、3wt%以下とすることを特徴とする電子部品の製造方法。
  4. 前記焼成前内部電極薄膜中の前記誘電体成分が、BaTiO,MgO,Al,SiO,CaO,TiO,V,MnO,SrO,Y,ZrO,Nb,BaO,HfO,La,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,CaTiO,およびSrTiOのうち少なくとも一種を含む請求項3に記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記焼成前内部電極薄膜の厚みを、0.1〜1.0μmとする請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記焼成前内部電極薄膜を、薄膜形成法で形成する請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  7. 前記薄膜形成法とは、スパッタリング法、蒸着法、または分散メッキ法であることを特徴とする請求項6に記載の電子部品の製造方法。
  8. 前記導電体成分および前記誘電体成分を構成することになる金属材料および無機物を同時にスパッタリングすることにより、前記焼成前内部電極薄膜を形成する請求項7に記載の電子部品の製造方法。
  9. 前記スパッタリングを行う際には、導入ガスとして、不活性ガスを使用し、前記不活性ガスのガス導入圧力を0.01〜2Paとする請求項8に記載の電子部品の製造方法。
  10. 前記焼成前内部電極薄膜に含まれる誘電体成分と、前記グリーンシートとが、実質的に同じ組成の誘電体をそれぞれ含有する請求項1〜9のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  11. 前記焼成前内部電極薄膜に含まれる誘電体成分の平均粒径が1〜10nmである請求項1〜10のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  12. 前記焼成前内部電極薄膜に含まれる導電体成分が、ニッケルおよび/またはニッケル合金を主成分とする請求項1〜11のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  13. 前記積層体を、10−10 〜10−2Paの酸素分圧を持つ雰囲気中で、1000℃〜1300℃の温度で焼成する請求項1〜12のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  14. 前記積層体を焼成した後に、10−2〜100Paの酸素分圧を持つ雰囲気中で、1200℃以下の温度でアニールする請求項1〜13のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の方法により製造される電子部品。
  16. 内部電極層と誘電体層とが交互に積層してある素子本体を有する積層セラミックコンデンサを製造する方法であって、
    導電体成分と誘電体成分とを含有する焼成前内部電極薄膜を形成する工程と、
    焼成後に誘電体層となるグリーンシートと、前記焼成前内部電極薄膜とを、交互に積層させる工程と、
    前記グリーンシートと前記焼成前内部電極薄膜との積層体を焼成する工程とを有し、
    前記焼成前内部電極薄膜中の前記誘電体成分の含有量を、前記焼成前内部電極薄膜全体に対して、0mol%より大きく、0.8mol%以下とすることを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
  17. 内部電極層と誘電体層とが交互に積層してある素子本体を有する積層セラミックコンデンサを製造する方法であって、
    導電体成分と誘電体成分とを含有する焼成前内部電極薄膜を形成する工程と、
    焼成後に誘電体層となるグリーンシートと、前記焼成前内部電極薄膜とを、交互に積層させる工程と、
    前記グリーンシートと前記焼成前内部電極薄膜との積層体を焼成する工程とを有し、
    前記焼成前内部電極薄膜中の前記誘電体成分の含有量を、前記焼成前内部電極薄膜全体に対して、0wt%より大きく、3wt%以下とすることを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
  18. 請求項16または17に記載の方法により製造される積層セラミックコンデンサ。
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