JPWO2005065808A1 - スタティックミキサー - Google Patents
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Abstract
一方の端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する筒状のミキサー本体を備え、このミキサー本体の内部にはその側壁から軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじゃま板を設け、このじゃま板の先端縁には流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させた仕切り壁を設けたスタティックミキサーである。例えば、このスタティックミキサーを排水路における浄化薬混合用に適用した場合には、汚水に混入している毛髪や糸くずなどの長尺状のごみによる流れの停滞を引き起こすことなく、汚水に対して効率良く浄化薬を混合させることができ、その結果、浄化薬の量の低減化に寄与することが可能である。
Description
本発明は、例えば、浴場の排水路に設けられて汚水に浄化薬を混合するのに用いられるスタティックミキサーに関するものである。
従来、例えば、浴場の排水路を流れる汚水に浄化薬を混ぜる場合には、浄化薬供給用の配管を上記排水路に接続するようにしている。
しかしながら、上記したように、浄化薬供給用の配管を排水路にただ単に接続しているだけなので、汚水に対して浄化薬が良好に混ざり合うとは言い難く、最近では、汚水に対する浄化薬の混合効率を高めるために、排水路の浄化薬供給用配管との接続部分の下流側にミキサーを配置することが検討されている。
流体の混合撹拌効率の優れたミキサーとして、例えば、特開平9−299776号公報に本発明者による発明に係るスタティックミキサーが開示されている。
すなわち、このスタティックミキサーは、ミキサー本体とこのミキサー本体の筒部の内径よりも径の小さい有低の衝突筒体を具備していて、衝突筒体をその開口側が流体の流入口側を向くようにして筒部内に収容し、衝突筒体の外周面から放射状に突出させた固定用部材の先端を筒部の内周面に連結することで、筒部に対して衝突筒体を同心状に固定した構成を成している。
しかしながら、このスタティックミキサーにおいては、流入口側から流出口側への流体の流れが、上記ミキサー本体の筒部の内周面に連結した固定用部材によって流出口側方向に常時分断、分割される状態となることから、毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが固定用部材に跨って引っ掛かる可能性がある。
このように、ミキサー内部の流路を複雑にすると、汚水に混入している毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが引っ掛かって、汚水が流れ難くなったりまったく流れなくなったりする恐れがあるという問題を有しており、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
しかしながら、上記したように、浄化薬供給用の配管を排水路にただ単に接続しているだけなので、汚水に対して浄化薬が良好に混ざり合うとは言い難く、最近では、汚水に対する浄化薬の混合効率を高めるために、排水路の浄化薬供給用配管との接続部分の下流側にミキサーを配置することが検討されている。
流体の混合撹拌効率の優れたミキサーとして、例えば、特開平9−299776号公報に本発明者による発明に係るスタティックミキサーが開示されている。
すなわち、このスタティックミキサーは、ミキサー本体とこのミキサー本体の筒部の内径よりも径の小さい有低の衝突筒体を具備していて、衝突筒体をその開口側が流体の流入口側を向くようにして筒部内に収容し、衝突筒体の外周面から放射状に突出させた固定用部材の先端を筒部の内周面に連結することで、筒部に対して衝突筒体を同心状に固定した構成を成している。
しかしながら、このスタティックミキサーにおいては、流入口側から流出口側への流体の流れが、上記ミキサー本体の筒部の内周面に連結した固定用部材によって流出口側方向に常時分断、分割される状態となることから、毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが固定用部材に跨って引っ掛かる可能性がある。
このように、ミキサー内部の流路を複雑にすると、汚水に混入している毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが引っ掛かって、汚水が流れ難くなったりまったく流れなくなったりする恐れがあるという問題を有しており、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、例えば、排水路に用いた場合には、汚水に混入している毛髪や糸くずなどの長尺状のごみによる流れの停滞を引き起こすことなく、汚水に対して効率良く浄化薬を混合させることができ、その結果、浄化薬の量の低減化に寄与することが可能であるスタティックミキサーを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、上記したスタティックミキサー(特開平9−299776号)を改良することで、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のスタティックミキサーは、一方の端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する筒状のミキサー本体を備え、このミキサー本体の内部にはその側壁から軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじゃま板を設け、このじゃま板の先端縁には流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させた仕切り壁を設けたことを特徴とする。
上記した構成を有するスタティックミキサーにおいて、上記じゃま板は、ミキサー本体の内部の側壁から軸心と直交する方向に延出しているので、該じゃま板の先端縁以外の周縁部は該側壁に密着した状態になっている。
また、上記仕切り壁の先端と一方の端壁との間には流体の流路幅が確保されている。
さらに、上記じゃま板の先端縁とこれに対向する側壁で囲まれた空間が流体の流路として保たれている。
そして、上記じゃま板、ミキサー本体の側壁及び仕切り壁によって断面コ字状の仕切り空間が形成されていて、この仕切り空間において、流体の最初の混合撹拌がなされる。
なお、これらのことは、以下に示す本発明のスタティックミキサーの他の構成例における同様の構成部分についても同じである。
次に、本発明のスタティックミキサーの他の構成例としては、一方の端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する筒状のミキサー本体を備え、このミキサー本体の内部にはその側壁から軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじゃま板を設け、上記ミキサー本体の内部の他方の端壁側部位には該他方の端壁から流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させた仕切り壁を設け、この仕切り壁の軸心と直交する方向の位置をじゃま板の先端縁から流体流出口の上記先端縁側の縁までの間に設定したことを特徴とするスタティックミキサーがある。
上記仕切り壁の先端とじゃま板との間には流体の流路幅が確保されている。
上記した構成を有するスタティックミキサーにおいては、上記ミキサー本体の内部の他方の端壁、側壁及び仕切り壁によって断面コ字状の仕切り空間が形成されるが、一旦混合撹拌された流体がこの仕切り空間に流入してさらなる混合撹拌がなされる。
これらのことは、以下に示す本発明のスタティックミキサーのさらに他の構成例における同様の構成部分についても同じである。
また、本発明のスタティックミキサーのさらに他の構成例としては、一方の端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する筒状のミキサー本体を備え、このミキサー本体の内部にはその側壁から軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじゃま板を設け、このじゃま板の先端縁には流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させたじゃま板側仕切り壁を設け、上記ミキサー本体の内部の他方の端壁側部位には該他方の端壁から流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させた端壁側仕切り壁を設け、この端壁側仕切り壁の軸心と直交する方向の位置をじゃま板の先端縁から流体流出口の上記先端縁側の縁までの間に設定したことを特徴とするスタティックミキサーがある。
上記した構成を有するスタティックミキサーにおいて、流体流入口側の仕切り空間で流体の最初の混合撹拌がなされ、次いで、この仕切り空間と流体流出口側の仕切り空間との間の流路でさらなる混合撹拌がなされ、そして、この流体流出口側の仕切り空間でより一層混合撹拌される。
そしてまた、本発明のスタティックミキサーのより好適な例として、流体流入口及び流体流出口をじゃま板の基端が位置する側壁の近傍に寄せると共に、じゃま板の先端と該先端と向き合う側壁との間の流路幅を狭めてあることを特徴としている。なお、上記じゃま板の基端とは、該じゃま板の先端縁以外の周縁部の中央ないしその近傍を指す。
さらに、本発明のスタティックミキサーのより一層好適な例として、じゃま板の流体流入口側の面に凹部を設けたことを特徴とし、この際、凹部を複数の小穴(断面が半球形状や矩形形状や三角形状を成す小穴)としたり、少なくとも1条の渦巻状溝としたり、あるいは、複数の小穴と少なくとも1条の渦巻状溝とをミックスさせてなるものとしたりすることができる。なお、「渦巻状溝」とは、面に溝きり加工を施して線状に形成したもののほか、面に板状部材を取り付けて線状に形成したものを指すが、この「渦巻状溝」は、連続的に形成したものに限定されるものではなく、断続的に形成したものも含むものとする。
さらにまた、本発明のスタティックミキサーのより一層好適な例として、じゃま板の流体流入口側の面に凸部を設けたことを特徴とし、この際も、凸部を複数の突起としたり、少なくとも1条の渦巻状突条としたり、複数の突起と少なくとも1条の渦巻状突条とをミックスさせてなるものとしたりすることができる。なお、「突起」とは、面に半球形状や三角錐形状の塊等を取り付けて形成したものを指す。
本発明のスタティックミキサーにおいて、ミキサー本体は筒状であり、その断面形状は特に限定されず、適宜断面形状のものが採用されるが、例えば、円形状、楕円形状、半円と円弧を組み合わせた形状、矩形形状等が挙げられる。
また、ミキサー本体の側壁から延出するじゃま板の大きさは、流体流入口から流体流出口への流束(流体の流れ)を遮断するのに十分な大きさ、すなわち、流体が流体流入口から流体流出口へ直接流れるのを防ぐのに十分な大きさであればよく、特に限定されない。
さらに、上記じゃま板の先端縁の形状も特に限定されないが、直線状、劣弧状(円周上の2点で円周を二つに分けたときの長さが全円周の半分よりも小さい円弧状)、三角状、多角形状等が好適なものとして挙げられる。
そして、このじゃま板の先端縁に設ける仕切り壁は、その先端縁形状に合わせたものにすればよく、例えば、平板状、曲板状、V字状、多角板状等にすればよい。
これと同様に、流体流出口側の部位に設ける仕切り壁の形状もまた特に限定されず、例えば、平板状、曲板状、V字状、多角板状等にすればよい。
また、上記じゃま板の先端縁及び/又は流体流出口側の部位に設けれる仕切り壁の長さは、特に限定されず、乱流が生じるように適宜長さに設定する。
そして、本発明のスタティックミキサーにおいて、じゃま板の枚数は限定しない。じゃま板を複数枚配置する場合には、隣接するじゃま板をミキサー本体の相対向する側壁から交互に延出させたり、延出方向を所定角度、例えば、90°ずつずらして延出させたりすることが望ましい。
そしてまた、本発明のスタティックミキサーにおいて、ミキサー本体の側壁や端壁の内面に対しても、必要に応じて上記した凹部や凸部を設けることが可能である。
さらに、本発明のスタティックミキサーにおいて、仕切り空間を形成する仕切り壁の先端とミキサー本体の内部の一方の端壁との距離(流路幅)や、じゃま板の先端とミキサー本体の内部の側壁との間の流路幅は、流体の性状や用途に応じて適宜設定することができる。
本発明のスタティックミキサーにおいて、例えば、じゃま板の先端縁に仕切り壁を設けて仕切り空間を形成したスタティックミキサーにおいて、ミキサー本体に流入した排ガスや排水などの流体及び浄化薬は、仕切り空間内に流入してじゃま板の内面に衝突するので、仕切り空間のじゃま板付近には激しい乱流が発生することとなる。
そして、この激しい乱流が反転して仕切り空間の仕切り壁を乗り越えるまでの段階で、順次流入してくる流体と激しく衝突することから、排ガスや排水などの流体と浄化薬との混合撹拌が極めて効率良く成されることとなる、すなわち、浄化薬の量を少なく抑え得ることとなる。
そして、本発明のスタティックミキサーによれば、流体の流れがミキサー本体内の構成部材によって常時分断、分割されることがないため、流体の流れに乗っている毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが、該ミキサー本体内の構成部材に跨って引っ掛かることはない。
したがって、例えば、浴場の排水路に用いた場合であったとしても、汚水に混入している長尺状のごみによって、流れが停滞してしまうなどといった事態の発生が回避されることとなる。
また、より好適な例としてのスタティックミキサーでは、流体流入口をじゃま板の基端が位置する側壁の近傍に寄せて、じゃま板の先端と該先端と向き合う側壁との間の流路幅を狭めることによって、流体及び浄化薬が最初に混合する仕切り空間内のじゃま板の面積を流体流入口の面積と比べてそれ程大きくならないようにしているので、流体全体の速度の減衰もより一層少なく抑えられることとなり、その結果、排水などの流体と浄化薬との混合撹拌がより一層効率良く成されることとなる。
さらに、より一層好適な例としてのスタティックミキサーでは、じゃま板の流体流入口側の面には、凹部又は凸部を設けているので、この凹部又は凸部に流体及び浄化薬が衝突することで、各凹凸毎に回転流や乱流が発生して流体及び浄化薬を混合して撹拌することから、上記激しい乱流とも相俟って、排ガスや排水などの流体と浄化薬とを極めて効率良く混合撹拌し得ることとなる。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、上記したスタティックミキサー(特開平9−299776号)を改良することで、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のスタティックミキサーは、一方の端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する筒状のミキサー本体を備え、このミキサー本体の内部にはその側壁から軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじゃま板を設け、このじゃま板の先端縁には流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させた仕切り壁を設けたことを特徴とする。
上記した構成を有するスタティックミキサーにおいて、上記じゃま板は、ミキサー本体の内部の側壁から軸心と直交する方向に延出しているので、該じゃま板の先端縁以外の周縁部は該側壁に密着した状態になっている。
また、上記仕切り壁の先端と一方の端壁との間には流体の流路幅が確保されている。
さらに、上記じゃま板の先端縁とこれに対向する側壁で囲まれた空間が流体の流路として保たれている。
そして、上記じゃま板、ミキサー本体の側壁及び仕切り壁によって断面コ字状の仕切り空間が形成されていて、この仕切り空間において、流体の最初の混合撹拌がなされる。
なお、これらのことは、以下に示す本発明のスタティックミキサーの他の構成例における同様の構成部分についても同じである。
次に、本発明のスタティックミキサーの他の構成例としては、一方の端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する筒状のミキサー本体を備え、このミキサー本体の内部にはその側壁から軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじゃま板を設け、上記ミキサー本体の内部の他方の端壁側部位には該他方の端壁から流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させた仕切り壁を設け、この仕切り壁の軸心と直交する方向の位置をじゃま板の先端縁から流体流出口の上記先端縁側の縁までの間に設定したことを特徴とするスタティックミキサーがある。
上記仕切り壁の先端とじゃま板との間には流体の流路幅が確保されている。
上記した構成を有するスタティックミキサーにおいては、上記ミキサー本体の内部の他方の端壁、側壁及び仕切り壁によって断面コ字状の仕切り空間が形成されるが、一旦混合撹拌された流体がこの仕切り空間に流入してさらなる混合撹拌がなされる。
これらのことは、以下に示す本発明のスタティックミキサーのさらに他の構成例における同様の構成部分についても同じである。
また、本発明のスタティックミキサーのさらに他の構成例としては、一方の端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する筒状のミキサー本体を備え、このミキサー本体の内部にはその側壁から軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじゃま板を設け、このじゃま板の先端縁には流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させたじゃま板側仕切り壁を設け、上記ミキサー本体の内部の他方の端壁側部位には該他方の端壁から流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させた端壁側仕切り壁を設け、この端壁側仕切り壁の軸心と直交する方向の位置をじゃま板の先端縁から流体流出口の上記先端縁側の縁までの間に設定したことを特徴とするスタティックミキサーがある。
上記した構成を有するスタティックミキサーにおいて、流体流入口側の仕切り空間で流体の最初の混合撹拌がなされ、次いで、この仕切り空間と流体流出口側の仕切り空間との間の流路でさらなる混合撹拌がなされ、そして、この流体流出口側の仕切り空間でより一層混合撹拌される。
そしてまた、本発明のスタティックミキサーのより好適な例として、流体流入口及び流体流出口をじゃま板の基端が位置する側壁の近傍に寄せると共に、じゃま板の先端と該先端と向き合う側壁との間の流路幅を狭めてあることを特徴としている。なお、上記じゃま板の基端とは、該じゃま板の先端縁以外の周縁部の中央ないしその近傍を指す。
さらに、本発明のスタティックミキサーのより一層好適な例として、じゃま板の流体流入口側の面に凹部を設けたことを特徴とし、この際、凹部を複数の小穴(断面が半球形状や矩形形状や三角形状を成す小穴)としたり、少なくとも1条の渦巻状溝としたり、あるいは、複数の小穴と少なくとも1条の渦巻状溝とをミックスさせてなるものとしたりすることができる。なお、「渦巻状溝」とは、面に溝きり加工を施して線状に形成したもののほか、面に板状部材を取り付けて線状に形成したものを指すが、この「渦巻状溝」は、連続的に形成したものに限定されるものではなく、断続的に形成したものも含むものとする。
さらにまた、本発明のスタティックミキサーのより一層好適な例として、じゃま板の流体流入口側の面に凸部を設けたことを特徴とし、この際も、凸部を複数の突起としたり、少なくとも1条の渦巻状突条としたり、複数の突起と少なくとも1条の渦巻状突条とをミックスさせてなるものとしたりすることができる。なお、「突起」とは、面に半球形状や三角錐形状の塊等を取り付けて形成したものを指す。
本発明のスタティックミキサーにおいて、ミキサー本体は筒状であり、その断面形状は特に限定されず、適宜断面形状のものが採用されるが、例えば、円形状、楕円形状、半円と円弧を組み合わせた形状、矩形形状等が挙げられる。
また、ミキサー本体の側壁から延出するじゃま板の大きさは、流体流入口から流体流出口への流束(流体の流れ)を遮断するのに十分な大きさ、すなわち、流体が流体流入口から流体流出口へ直接流れるのを防ぐのに十分な大きさであればよく、特に限定されない。
さらに、上記じゃま板の先端縁の形状も特に限定されないが、直線状、劣弧状(円周上の2点で円周を二つに分けたときの長さが全円周の半分よりも小さい円弧状)、三角状、多角形状等が好適なものとして挙げられる。
そして、このじゃま板の先端縁に設ける仕切り壁は、その先端縁形状に合わせたものにすればよく、例えば、平板状、曲板状、V字状、多角板状等にすればよい。
これと同様に、流体流出口側の部位に設ける仕切り壁の形状もまた特に限定されず、例えば、平板状、曲板状、V字状、多角板状等にすればよい。
また、上記じゃま板の先端縁及び/又は流体流出口側の部位に設けれる仕切り壁の長さは、特に限定されず、乱流が生じるように適宜長さに設定する。
そして、本発明のスタティックミキサーにおいて、じゃま板の枚数は限定しない。じゃま板を複数枚配置する場合には、隣接するじゃま板をミキサー本体の相対向する側壁から交互に延出させたり、延出方向を所定角度、例えば、90°ずつずらして延出させたりすることが望ましい。
そしてまた、本発明のスタティックミキサーにおいて、ミキサー本体の側壁や端壁の内面に対しても、必要に応じて上記した凹部や凸部を設けることが可能である。
さらに、本発明のスタティックミキサーにおいて、仕切り空間を形成する仕切り壁の先端とミキサー本体の内部の一方の端壁との距離(流路幅)や、じゃま板の先端とミキサー本体の内部の側壁との間の流路幅は、流体の性状や用途に応じて適宜設定することができる。
本発明のスタティックミキサーにおいて、例えば、じゃま板の先端縁に仕切り壁を設けて仕切り空間を形成したスタティックミキサーにおいて、ミキサー本体に流入した排ガスや排水などの流体及び浄化薬は、仕切り空間内に流入してじゃま板の内面に衝突するので、仕切り空間のじゃま板付近には激しい乱流が発生することとなる。
そして、この激しい乱流が反転して仕切り空間の仕切り壁を乗り越えるまでの段階で、順次流入してくる流体と激しく衝突することから、排ガスや排水などの流体と浄化薬との混合撹拌が極めて効率良く成されることとなる、すなわち、浄化薬の量を少なく抑え得ることとなる。
そして、本発明のスタティックミキサーによれば、流体の流れがミキサー本体内の構成部材によって常時分断、分割されることがないため、流体の流れに乗っている毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが、該ミキサー本体内の構成部材に跨って引っ掛かることはない。
したがって、例えば、浴場の排水路に用いた場合であったとしても、汚水に混入している長尺状のごみによって、流れが停滞してしまうなどといった事態の発生が回避されることとなる。
また、より好適な例としてのスタティックミキサーでは、流体流入口をじゃま板の基端が位置する側壁の近傍に寄せて、じゃま板の先端と該先端と向き合う側壁との間の流路幅を狭めることによって、流体及び浄化薬が最初に混合する仕切り空間内のじゃま板の面積を流体流入口の面積と比べてそれ程大きくならないようにしているので、流体全体の速度の減衰もより一層少なく抑えられることとなり、その結果、排水などの流体と浄化薬との混合撹拌がより一層効率良く成されることとなる。
さらに、より一層好適な例としてのスタティックミキサーでは、じゃま板の流体流入口側の面には、凹部又は凸部を設けているので、この凹部又は凸部に流体及び浄化薬が衝突することで、各凹凸毎に回転流や乱流が発生して流体及び浄化薬を混合して撹拌することから、上記激しい乱流とも相俟って、排ガスや排水などの流体と浄化薬とを極めて効率良く混合撹拌し得ることとなる。
図1は、本発明に係わるスタティックミキサーの一実施例を示す断面説明図(a),流体流入口側からの正面説明図(b)及び図1(a)におけるA−A線位置に基づく矢視説明図(c)、図2は、じゃま板に設ける凹部形成パターン説明図(a)〜(c)、図3は、図1のスタティックミキサーを排水浄化に用いる際の配管説明図、図4は、本発明に係わるスタティックミキサーの他の実施例を示す断面説明図、図5は、本発明に係わるスタティックミキサーのさらに他の実施例を示す断面説明図である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
図1〜図3は本発明に係わるスタティックミキサーの一実施例を示しており、この実施例では、本発明に係わるスタティックミキサーを排水路に設置して、排水に浄化薬を混合させるのに適用した場合を示す。
図1に示すように、このスタティックミキサー1は、一方の端壁11に流体流入口12を有し且つ他方の端壁13に流体流出口14を有する筒状を成すミキサー本体10を備えており、このミキサー本体10の流体流入口12には配管接続用のフランジ2を有する流入管3が接続してあると共に、流体流出口14にも同じく配管接続用のフランジ4を有する流出管5が接続してある。
ミキサー本体10は、図1(c)及び図2にも示すように、断面が略半円状を成す主管部15及び断面が略円弧状を成す副管部16を具備していて、このミキサー本体10の内部には、主管部15の側壁15aから軸心と直交する方向に延出して流体流入口12及び流体流出口14の間を遮るじゃま板17が設けてあり、また、このじゃま板1の直線状を成す先端縁には、流体流入口12側に向けて延出して両端を上記主管部15の内部の側壁15aに密着させた仕切り壁18が設けてあり、そして、該じゃま板17、該主管部15の内部の側壁15a及び該仕切り壁18によって、断面コ字状の仕切り空間Sが形成されている。
上記仕切り壁18の先端と一方の端壁11との間には、適宜の流路幅が確保してあり、また、仕切り壁18の先端とこれに対向する上記副管部16の内部の側壁16aで囲まれる空間によって、流体の流路を確保している。
この場合、流体流入口12及び流体流出口14をじゃま板17の基端が位置する主管部15の内部の側壁15aの近傍に寄せると共に副管部16の曲率を小さくすることによって、じゃま板17の先端と副管部16の内部の側壁16aとの間の流路幅Wを狭めるようにしており、これにより、上記仕切り空間Sのじゃま板17の面積が流体流入口12の開口面積と比べてそれ程大きくならないようにしている。
また、じゃま板17の流体流入口12側の面には、図2(a)に示すように、凹部としての断面が半球形状を成す小穴17a(断面が矩形形状や三角形状を成す小穴17aでもよい)が複数設けてあり、これらの複数の小穴17aに排水及び浄化薬を衝突させることで、各小穴17a毎に乱流を生じさせるようにしている。
なお、じゃま板17の流体流入口12側の面に設ける凹部は、上記小穴17aに限定されるものではなく、凹部を少なくとも1条の渦巻状溝としたり、図2(b)に示すように、複数の小穴17aと3条の渦巻状溝17bとをミックスさせてなるものとしたり、図2(c)に示すように、複数の小穴17aと1条の渦巻状溝17cとをミックスさせてなるものとしたりすることができる。
上記渦巻状溝17b,17cは、流体流入口12側の面に溝きり加工を施して線状に形成するようにしてもよいほか、流体流入口12側の面に板状部材を取り付けて線状に形成するようにしてもよく、この際、渦巻状溝17b,17cは、連続的に形成したものに限定されるものではなく、断続的に形成したものも含む。
上記したスタティックミキサー1を用いて排水に浄化薬を混合させるに際しては、図3に示すように、排水路50上にスタティックミキサー1を配置すると共に、このスタティックミキサー1の上流側手前に浄化薬供給槽51からの浄化薬供給路52を接続させ、スタティックミキサー1によって、浄化薬供給槽51からの浄化薬(NaClO;次亜塩素酸ナトリウム)と排水とを混合反応させて、排水の浄化を行うようにしている。なお、図3における符号53は粗い目のフィルタであるが、毛髪や糸くずなどの長尺状のごみの相当量は排水の流れに乗ってフィルタ53の粗い目を通過してしまう。
上記したスタティックミキサー1において、流入管3及び流体流入口12を通ってミキサー本体10に流入した排水及び浄化薬は、そのほとんどが図1(a)に矢印P1で示すようにして仕切り空間S内に流入してじゃま板17の内面に衝突するので、仕切り空間Sのじゃま板17付近には激しい乱流が発生することとなる。
この激しい乱流は、図2(a)に矢印P2で示すようにして主管部15の内部の側壁15aに沿って回りつつ、図1(a)に矢印P3で示すようにして仕切り壁18を乗り越えて仕切り空間Sからあふれ出る。
そして、激しい乱流が仕切り壁18を乗り越えて仕切り空間Sからあふれ出ようとするまでの段階において、順次流入してくる排水及び浄化薬と激しく擦れ合うことから(矢印P1の流れと矢印P2及び矢印P3の流れとが激しく擦れ合うことから)、排水と浄化薬との混合撹拌が極めて効率良く成されることとなる、すなわち、浄化薬の量を少なく抑え得ることとなる。
そして、ミキサー本体10の内部において、その構成部材によって排水の流れが常時分断、分割されることがないため、排水の流れに乗っている毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが、該ミキサー本体10内の構成部材に引っ掛かって堆積することがなく、したがって、流れが停滞してしまうなどといった事態の発生が回避されることとなる。
なお、スタティックミキサーとしては、流体流路の途中にただ単にじゃま板だけを設ける構造も考えられるが、この場合には、長尺状のごみによる流れの停滞という問題は解決されるものの、流体の混合攪拌が効率よく行われず、本発明の目的を達成することはできない。
また、上記したスタティックミキサー1では、上記したごとく、流体流入口12をじゃま板17の基端が位置する主管部15の内部の側壁15aの近傍に寄せると共に副管部16の曲率を小さくすることで、じゃま板17の先端と副管部16の内部の側壁16aとの間の流路幅Wを狭めるようにしているので、すなわち、排水及び浄化薬が最初に混合する仕切り空間S内のじゃま板17の面積が流体流入口12の開口面積と比べてそれ程大きくならないようにしているので、流体全体の速度の減衰をより少なく抑え得ることとなり、その結果、排水と浄化薬との混合撹拌がより一層効率良く成されることとなる。
さらに、上記したスタティックミキサー1では、じゃま板17の流体流入口12側の面に、断面が半球形状を成す小穴17aを複数設けているので、これらの小穴17aに排水及び浄化薬が衝突することで、各小穴17a毎に回転流や乱流が発生して排水及び浄化薬を混合して撹拌することから、上記大きな渦流とも相俟って、排水と浄化薬とを極めて効率良く混合撹拌し得ることとなる。
図4は、本発明に係わるスタティックミキサーの他の実施例を示しており、図4に示すように、この実施例のスタティックミキサー1Aが先の実施例のスタティックミキサー1と相違するところは、ミキサー本体20の内部の他方の端壁13側部位に、流体流入口12側に向けて延出して両端をミキサー本体20の主管部15の内部の側壁15aに密着させた仕切り壁28を設け、該他方の端壁13、該側壁15a及び該仕切り壁28によって、断面コ字状の仕切り空間Saを形成している点にあり、他の構成は、先の実施例のスタティックミキサー1と同じである。なお、この仕切り壁28の先端と該じゃま板17との間には、適宜の流路幅が確保してある。
このスタティックミキサー1Aでは、流入管3及び流体流入口12を通ってミキサー本体20に流入した排水及び浄化薬は、そのほとんどがじゃま板17の内面に衝突するので、このじゃま板17付近には大きな乱流が発生することとなる。
この大きな乱流は、主管部15の内部の側壁15aに沿って回りつつ、じゃま板17を乗り越えて他方の端壁13側に流出するが、この大きな乱流がじゃま板17を乗り越えて流れ出ようとするまでの段階において、順次流入してくる排水及び浄化薬と激しく擦れ合う。
次いで、じゃま板17を乗り越えた排水及び浄化薬との混合流は、仕切り壁28で狭められた流路を通って仕切り空間Saに入り込むことから、この段階においても混合撹拌が促進され、したがって、排水と浄化薬との混合撹拌が極めて効率良く成されることとなる、すなわち、浄化薬の量を少なく抑え得ることとなる。
そして、ミキサー本体20の内部には、その構成部材によって排水の流れが常時分断、分割されることがないため、排水の流れに乗っている毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが引っ掛かって堆積することがなく、したがって、流れが停滞してしまうなどといった事態の発生が回避されることとなる。
図5は、本発明に係わるスタティックミキサーのさらに他の実施例を示しており、図5に示すように、この実施例のスタティックミキサー1Bが先の実施例のスタティックミキサー1と相違するところは、ミキサー本体30の内部のじゃま板17の先端縁に、流体流入口12側に向けて延出して両端をミキサー本体30における主管部15の内部の側壁15aに密着させたじゃま板側仕切り壁38aを設け、該じゃま板17、該側壁15a及びこのじゃま板側仕切り壁38aにより、断面コ字状の仕切り空間S1を形成すると共に、ミキサー本体30の内部の他方の端壁13側部位に、流体流入口12側に向けて延出して両端を該側壁15aに密着させた端壁側仕切り壁38bを設け、この端壁側仕切り壁38bの軸心と直交する方向の位置をじゃま板17の先端縁から流体流出口14の該先端縁側の縁までの間に設定し、さらに、該他方の端壁13、該側壁15a及び該端壁側仕切り壁38bにより、断面コ字状の仕切り空間S2を形成した点にあり、他の構成は、先の実施例のスタティックミキサー1と同じである。
なお、上記じゃま板側仕切り壁38aの先端と一方の端壁11との間、及び、端壁側仕切り壁38bの先端とじゃま板17との間には、適宜の流路幅が確保してある。
つまり、このスタティックミキサー1Bは、上記した実施例におけるスタティックミキサー1,1Aを組み合わせた構成を成しており、したがって、このスタティックミキサー1Bでは、汚水に混入している毛髪や糸くずなどの長尺状のごみによって、流れが停滞してしまうなどといった事態の発生を回避したうえで、排水と浄化薬とをより一層効率良く混合撹拌し得ることとなる、すなわち、浄化薬の量をより一層少なく抑え得ることとなる。
上記した実施例では、本発明に係わるスタティックミキサーを排水に浄化薬を混合させるのに適用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、他の適用例として、例えば、水に蒸気を混合させるのに用いることが可能である。
図1〜図3は本発明に係わるスタティックミキサーの一実施例を示しており、この実施例では、本発明に係わるスタティックミキサーを排水路に設置して、排水に浄化薬を混合させるのに適用した場合を示す。
図1に示すように、このスタティックミキサー1は、一方の端壁11に流体流入口12を有し且つ他方の端壁13に流体流出口14を有する筒状を成すミキサー本体10を備えており、このミキサー本体10の流体流入口12には配管接続用のフランジ2を有する流入管3が接続してあると共に、流体流出口14にも同じく配管接続用のフランジ4を有する流出管5が接続してある。
ミキサー本体10は、図1(c)及び図2にも示すように、断面が略半円状を成す主管部15及び断面が略円弧状を成す副管部16を具備していて、このミキサー本体10の内部には、主管部15の側壁15aから軸心と直交する方向に延出して流体流入口12及び流体流出口14の間を遮るじゃま板17が設けてあり、また、このじゃま板1の直線状を成す先端縁には、流体流入口12側に向けて延出して両端を上記主管部15の内部の側壁15aに密着させた仕切り壁18が設けてあり、そして、該じゃま板17、該主管部15の内部の側壁15a及び該仕切り壁18によって、断面コ字状の仕切り空間Sが形成されている。
上記仕切り壁18の先端と一方の端壁11との間には、適宜の流路幅が確保してあり、また、仕切り壁18の先端とこれに対向する上記副管部16の内部の側壁16aで囲まれる空間によって、流体の流路を確保している。
この場合、流体流入口12及び流体流出口14をじゃま板17の基端が位置する主管部15の内部の側壁15aの近傍に寄せると共に副管部16の曲率を小さくすることによって、じゃま板17の先端と副管部16の内部の側壁16aとの間の流路幅Wを狭めるようにしており、これにより、上記仕切り空間Sのじゃま板17の面積が流体流入口12の開口面積と比べてそれ程大きくならないようにしている。
また、じゃま板17の流体流入口12側の面には、図2(a)に示すように、凹部としての断面が半球形状を成す小穴17a(断面が矩形形状や三角形状を成す小穴17aでもよい)が複数設けてあり、これらの複数の小穴17aに排水及び浄化薬を衝突させることで、各小穴17a毎に乱流を生じさせるようにしている。
なお、じゃま板17の流体流入口12側の面に設ける凹部は、上記小穴17aに限定されるものではなく、凹部を少なくとも1条の渦巻状溝としたり、図2(b)に示すように、複数の小穴17aと3条の渦巻状溝17bとをミックスさせてなるものとしたり、図2(c)に示すように、複数の小穴17aと1条の渦巻状溝17cとをミックスさせてなるものとしたりすることができる。
上記渦巻状溝17b,17cは、流体流入口12側の面に溝きり加工を施して線状に形成するようにしてもよいほか、流体流入口12側の面に板状部材を取り付けて線状に形成するようにしてもよく、この際、渦巻状溝17b,17cは、連続的に形成したものに限定されるものではなく、断続的に形成したものも含む。
上記したスタティックミキサー1を用いて排水に浄化薬を混合させるに際しては、図3に示すように、排水路50上にスタティックミキサー1を配置すると共に、このスタティックミキサー1の上流側手前に浄化薬供給槽51からの浄化薬供給路52を接続させ、スタティックミキサー1によって、浄化薬供給槽51からの浄化薬(NaClO;次亜塩素酸ナトリウム)と排水とを混合反応させて、排水の浄化を行うようにしている。なお、図3における符号53は粗い目のフィルタであるが、毛髪や糸くずなどの長尺状のごみの相当量は排水の流れに乗ってフィルタ53の粗い目を通過してしまう。
上記したスタティックミキサー1において、流入管3及び流体流入口12を通ってミキサー本体10に流入した排水及び浄化薬は、そのほとんどが図1(a)に矢印P1で示すようにして仕切り空間S内に流入してじゃま板17の内面に衝突するので、仕切り空間Sのじゃま板17付近には激しい乱流が発生することとなる。
この激しい乱流は、図2(a)に矢印P2で示すようにして主管部15の内部の側壁15aに沿って回りつつ、図1(a)に矢印P3で示すようにして仕切り壁18を乗り越えて仕切り空間Sからあふれ出る。
そして、激しい乱流が仕切り壁18を乗り越えて仕切り空間Sからあふれ出ようとするまでの段階において、順次流入してくる排水及び浄化薬と激しく擦れ合うことから(矢印P1の流れと矢印P2及び矢印P3の流れとが激しく擦れ合うことから)、排水と浄化薬との混合撹拌が極めて効率良く成されることとなる、すなわち、浄化薬の量を少なく抑え得ることとなる。
そして、ミキサー本体10の内部において、その構成部材によって排水の流れが常時分断、分割されることがないため、排水の流れに乗っている毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが、該ミキサー本体10内の構成部材に引っ掛かって堆積することがなく、したがって、流れが停滞してしまうなどといった事態の発生が回避されることとなる。
なお、スタティックミキサーとしては、流体流路の途中にただ単にじゃま板だけを設ける構造も考えられるが、この場合には、長尺状のごみによる流れの停滞という問題は解決されるものの、流体の混合攪拌が効率よく行われず、本発明の目的を達成することはできない。
また、上記したスタティックミキサー1では、上記したごとく、流体流入口12をじゃま板17の基端が位置する主管部15の内部の側壁15aの近傍に寄せると共に副管部16の曲率を小さくすることで、じゃま板17の先端と副管部16の内部の側壁16aとの間の流路幅Wを狭めるようにしているので、すなわち、排水及び浄化薬が最初に混合する仕切り空間S内のじゃま板17の面積が流体流入口12の開口面積と比べてそれ程大きくならないようにしているので、流体全体の速度の減衰をより少なく抑え得ることとなり、その結果、排水と浄化薬との混合撹拌がより一層効率良く成されることとなる。
さらに、上記したスタティックミキサー1では、じゃま板17の流体流入口12側の面に、断面が半球形状を成す小穴17aを複数設けているので、これらの小穴17aに排水及び浄化薬が衝突することで、各小穴17a毎に回転流や乱流が発生して排水及び浄化薬を混合して撹拌することから、上記大きな渦流とも相俟って、排水と浄化薬とを極めて効率良く混合撹拌し得ることとなる。
図4は、本発明に係わるスタティックミキサーの他の実施例を示しており、図4に示すように、この実施例のスタティックミキサー1Aが先の実施例のスタティックミキサー1と相違するところは、ミキサー本体20の内部の他方の端壁13側部位に、流体流入口12側に向けて延出して両端をミキサー本体20の主管部15の内部の側壁15aに密着させた仕切り壁28を設け、該他方の端壁13、該側壁15a及び該仕切り壁28によって、断面コ字状の仕切り空間Saを形成している点にあり、他の構成は、先の実施例のスタティックミキサー1と同じである。なお、この仕切り壁28の先端と該じゃま板17との間には、適宜の流路幅が確保してある。
このスタティックミキサー1Aでは、流入管3及び流体流入口12を通ってミキサー本体20に流入した排水及び浄化薬は、そのほとんどがじゃま板17の内面に衝突するので、このじゃま板17付近には大きな乱流が発生することとなる。
この大きな乱流は、主管部15の内部の側壁15aに沿って回りつつ、じゃま板17を乗り越えて他方の端壁13側に流出するが、この大きな乱流がじゃま板17を乗り越えて流れ出ようとするまでの段階において、順次流入してくる排水及び浄化薬と激しく擦れ合う。
次いで、じゃま板17を乗り越えた排水及び浄化薬との混合流は、仕切り壁28で狭められた流路を通って仕切り空間Saに入り込むことから、この段階においても混合撹拌が促進され、したがって、排水と浄化薬との混合撹拌が極めて効率良く成されることとなる、すなわち、浄化薬の量を少なく抑え得ることとなる。
そして、ミキサー本体20の内部には、その構成部材によって排水の流れが常時分断、分割されることがないため、排水の流れに乗っている毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが引っ掛かって堆積することがなく、したがって、流れが停滞してしまうなどといった事態の発生が回避されることとなる。
図5は、本発明に係わるスタティックミキサーのさらに他の実施例を示しており、図5に示すように、この実施例のスタティックミキサー1Bが先の実施例のスタティックミキサー1と相違するところは、ミキサー本体30の内部のじゃま板17の先端縁に、流体流入口12側に向けて延出して両端をミキサー本体30における主管部15の内部の側壁15aに密着させたじゃま板側仕切り壁38aを設け、該じゃま板17、該側壁15a及びこのじゃま板側仕切り壁38aにより、断面コ字状の仕切り空間S1を形成すると共に、ミキサー本体30の内部の他方の端壁13側部位に、流体流入口12側に向けて延出して両端を該側壁15aに密着させた端壁側仕切り壁38bを設け、この端壁側仕切り壁38bの軸心と直交する方向の位置をじゃま板17の先端縁から流体流出口14の該先端縁側の縁までの間に設定し、さらに、該他方の端壁13、該側壁15a及び該端壁側仕切り壁38bにより、断面コ字状の仕切り空間S2を形成した点にあり、他の構成は、先の実施例のスタティックミキサー1と同じである。
なお、上記じゃま板側仕切り壁38aの先端と一方の端壁11との間、及び、端壁側仕切り壁38bの先端とじゃま板17との間には、適宜の流路幅が確保してある。
つまり、このスタティックミキサー1Bは、上記した実施例におけるスタティックミキサー1,1Aを組み合わせた構成を成しており、したがって、このスタティックミキサー1Bでは、汚水に混入している毛髪や糸くずなどの長尺状のごみによって、流れが停滞してしまうなどといった事態の発生を回避したうえで、排水と浄化薬とをより一層効率良く混合撹拌し得ることとなる、すなわち、浄化薬の量をより一層少なく抑え得ることとなる。
上記した実施例では、本発明に係わるスタティックミキサーを排水に浄化薬を混合させるのに適用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、他の適用例として、例えば、水に蒸気を混合させるのに用いることが可能である。
以上説明したように、本発明のスタティックミキサーでは、上記した構成としているので、例えば、排水路に用いた場合には、汚水に対して効率良く浄化薬を混合させることができ、その結果、浄化薬の量の低減化に寄与することが可能であり、加えて、汚水に混入している毛髪や糸くずなどの長尺状のごみによる流れの停滞が生じるのを回避することができるという非常に優れた効果がもたらされる。
Claims (12)
- 一方の端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する筒状のミキサー本体を備え、このミキサー本体の内部にはその側壁から軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじゃま板を設け、このじゃま板の先端縁には流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させた仕切り壁を設けたことを特徴とするスタティックミキサー。
- 一方の端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する筒状のミキサー本体を備え、このミキサー本体の内部にはその側壁から軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじゃま板を設け、上記ミキサー本体の内部の他方の端壁側部位には該他方の端壁から流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させた仕切り壁を設け、この仕切り壁の軸心と直交する方向の位置をじゃま板の先端縁から流体流出口の上記先端縁側の縁までの間に設定したことを特徴とするスタティックミキサー。
- 一方の端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する筒状のミキサー本体を備え、このミキサー本体の内部にはその側壁から軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじゃま板を設け、このじゃま板の先端縁には流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させたじゃま板側仕切り壁を設け、上記ミキサー本体の内部の他方の端壁側部位には該他方の端壁から流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させた端壁側仕切り壁を設け、この端壁側仕切り壁の軸心と直交する方向の位置をじゃま板の先端縁から流体流出口の上記先端縁側の縁までの間に設定したことを特徴とするスタティックミキサー。
- 流体流入口及び流体流出口をじゃま板の基端が位置する側壁の近傍に寄せると共に、じゃま板の先端及び該先端と向き合う側壁の間の流路幅を狭めてある請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のスタティックミキサー。
- じゃま板の流体流入口側の面に凹部を設けた請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のスタティックミキサー。
- 凹部を複数の小穴とした請求項5に記載のスタティックミキサー。
- 凹部を少なくとも1条の渦巻状溝とした請求項5に記載のスタティックミキサー。
- 凹部を少なくとも1条の渦巻状溝及び上記渦巻状溝以外の部分に配置した複数の小穴とした請求項5に記載のスタティックミキサー。
- じゃま板の流体流入口側の面に凸部を設けた請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のスタティックミキサー。
- 凸部を複数の突起とした請求項9に記載のスタティックミキサー。
- 凸部を少なくとも1条の渦巻状突条とした請求項9に記載のスタティックミキサー。
- 凸部を少なくとも1条の渦巻状突条び上記渦巻状突条以外の部分に配置した複数の突起とした請求項9に記載のスタティックミキサー。
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