明細書 スタティ ック ミキサー 技術分野
本発明は、 例えば、 浴場の排水路に設けられて汚水に浄化薬を混合す るのに用いられるスタティ ック ミキサーに関するものである。 背景技術
従来、 例えば、 浴場の排水路を流れる汚水に浄化薬を混ぜる場合には、 浄化薬供給用の配管を上記排水路に接続するようにしている。
しかしながら、 上記したように、 浄化薬供給用の配管を排水路にただ 単に接続しているだけなので、 汚水に対して浄化薬が良好に混ざり合う とは言い難く、 最近では、 汚水に対する浄化薬の混合効率を高めるため に、 排水路の浄化薬供給用配管との接続部分の下流側にミキサーを配置 することが検討されている。
流体の混合撹拌効率の優れたミキサーと して、 例えば、 特開平 9一 2 9 9 7 7 6号公報に本発明者による発明に係るスタティ ック ミキサーが 開示されている。
すなわち、 このスタティ ック ミキサーは、 ミキサー本体とこのミキサ 一本体の筒部の内径より も径の小さい有低の衝突筒体を具備していて、 衝突筒体をその開口側が流体の流入口側を向く よ うにして筒部内に収容 し、 衝突筒体の外周面から放射状に突出させた固定用部材の先端を筒部 の内周面に連結することで、 筒部に対して衝突筒体を同心状に固定した 構成を成している。
しかしながら、 このスタティ ックミキサーにおいては、 流入口側から
流出口側への流体の流れが、 上記ミキサー本体の筒部の内周面に連結し た固定用部材によって流出口側方向に常時分断、 分割される状態となる ことから、 毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが固定用部材に跨って引つ 掛かる可能性がある。
このように、 ミキサー内部の流路を複雑にすると、 汚水に混入してい る毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが引っ掛かって、 汚水が流れ難くな つたりまったく流れなく なったりする恐れがあるという問題を有してお り、 この問題を解決することが従来の課題となっていた。 発明の開示
本発明は、 このよ うな従来技術の有する課題に鑑みてなされたもので、 その目的とするところは、 例えば、 排水路に用いた場合には、 汚水に混 入している毛髪や糸くずなどの長尺状のごみによる流れの停滞を引き起 こすことなく、 汚水に対して効率良く浄化薬を混合させることができ、 その結果、 浄化薬の量の低減化に寄与することが可能であるスタティ ッ ク ミキサーを提供することにある。
本発明者は、 上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、 上記した スタティ ック ミキサー (特開平 9 _ 2 9 9 7 7 号) を改良することで、 上記目的が達成されることを見出し、 本発明を完成するに至った。
即ち、 本発明のスタティ ック ミキサーは、 一方の端壁に流体流入口を 有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する筒状のミキサー本体 を備え、 このミキサ一本体の内部にはその側壁から軸心と直交する方向 に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじゃま板を設け、 この じゃま板の先端縁には流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着 させた仕切り壁を設けたことを特徴とする。
上記した構成を有するスタティ ック ミキサーにおいて、 上記じゃま板
は、 ミキサ一本体の内部の側壁から軸心と直交する方向に延出している ので、 該じゃま板の先端縁以外の周縁部は該側壁に密着した状態になつ ている。
また、 上記仕切り壁の先端と一方の端壁との間には流体の流路幅が確 保されている。
さ らに、 上記じゃま板の先端縁とこれに対向する側壁で囲まれた空間 が流体の流路と して保たれている。
そして、 上記じゃま板、 ミキサー本体の側壁及び仕切り壁によって断 面コ字状の仕切り空間が形成されていて、 この仕切り空間において、 流 体の最初の混合撹拌がなされる。
なお、 これらのことは、 以下に示す本発明のスタティ ックミキサーの 他の構成例における同様の構成部分についても同じである。
次に、 本発明のスタティ ック ミキサーの他の構成例と しては、 一方の 端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を有する 筒状のミキサ一本体を備え、 このミキサ一本体の内部にはその側壁から 軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を遮るじ やま板を設け、 上記ミキサー本体の内部の他方の端壁側部位には該他方 の端壁から流体流入口側に向けて延出して両端を側壁に密着させた仕切 り壁を設け、 この仕切り壁の軸心と直交する方向の位置をじゃま板の先 端縁から流体流出口の上記先端縁側の縁までの間に設定したことを特徴 とするスタティ ック ミキサーがある。
上記仕切り壁の先端と じゃま板との間には流体の流路幅が確保されて いる。
上記した構成を有するスタティ ック ミキサーにおいては、 上記ミキサ 一本体の内部の他方の端壁、 側壁及び仕切り壁によって断面コ字状の仕 切り空間が形成されるが、 一旦混合撹拌された流体がこの仕切り空間に
流入してさ らなる混合撹拌がなされる。
これらのことは、 以下に示す本発明のスタティ ック ミキサーのさ らに 他の構成例における同様の構成部分についても同じである。
また、 本発明のスタティ ック ミキサーのさらに他の構成例と しては、 一方の端壁に流体流入口を有していると共に他方の端壁に流体流出口を 有する筒状のミキサー本体を備え、 このミキサー本体の内部にはその側 壁から軸心と直交する方向に延出して流体流入口と流体流出口との間を 遮るじゃま板を設け、 このじゃま板の先端縁には流体流入口側に向けて 延出して両端を側壁に密着させたじゃま板側仕切り壁を設け、 上記ミキ サー本体の内部の他方の端壁側部位には該他方の端壁から流体流入口側 に向けて延出して両端を側壁に密着させた端壁側仕切り壁を設け、 この 端壁側仕切り壁の軸心と直交する方向の位置をじゃま板の先端縁から流 体流出口の上記先端縁側の縁までの間に設定したことを特徴とするスタ ティ ック ミキサーがある。
上記した構成を有するスタティ ック ミキサ一において、 流体流入口側 の仕切り空間で流体の最初の混合撹拌がなされ、 次いで、 この仕切り空 間と流体流出口側の仕切り空間との間の流路でさらなる混合撹拌がなさ れ、 そして、 この流体流出口側の仕切り空間でより一層混合撹拌される。 そしてまた、 本発明のスタティ ック ミキサ一のより好適な例と して、 流体流入ロ及ぴ流体流出口をじゃま板の基端が位置する側壁の近傍に寄 せると共に、 じゃま板の先端と該先端と向き合う側壁との間の流路幅を 狭めてあることを特徴と している。 なお、 上記じゃま板の基端とは、 該 じゃま板の先端縁以外の周縁部の中央ないしその近傍を指す。
さらに、 本発明のスタティ ックミキサーのより一層好適な例と して、 じゃま板の流体流入口側の面に凹部を設けたことを特徴と し、 この際、 凹部を複数の小穴 (断面が半球形状や矩形形状や三角形状を成す小穴)
と したり、 少なく とも 1条の渦卷状溝と レたり、 あるいは、 複数の小穴 と少なく とも 1条の渦卷状溝とをミ ックスさせてなるものと したりする ことができる。 なお、 . 「渦卷状溝」 とは、 面に溝き り加工を施して線状 に形成したもののほか、 面に板状部材を取り付けて線状に形成したもの を指すが、 この 「渦卷状溝」 は、 連続的に形成したものに限定されるも のではなく、 断続的に形成したものも含むものとする。
さらにまた、 本発明のスタティ ック ミキサーのよ り一層好適な例と し て、 じゃま板の流体流入口側の面に凸部を設けたことを特徴と し、 この 際も、 凸部を複数の突起と したり、 少なく とも 1条の渦卷状突条と した り、 複数の突起と少なく とも 1条の渦卷状突条とをミ ックスさせてなる ものと したりすることができる。 なお、 「突起」 とは、 面に半球形状や 三角錐形状の塊等を取り付けて形成したものを指す。
本発明のスタティ ック ミキサーにおいて、 ミキサー本体は筒状であり、 その断面形状は特に限定されず、 適宜断面形状のものが採用されるが、 例えば、 円形状、 楕円形状、 半円と円弧を組み合わせた形状、 矩形形状 等が挙げられる。
また、 ミキサー本体の側壁から延出するじゃま板の大きさは、 流体流 入口から流体流出口への流束 (流体の流れ) を遮断するのに十分な大き さ、 すなわち、 流体が流体流入口から流体流出口へ直接流れるのを防ぐ のに十分な大きさであればよく、 特に限定されない。
さらに、 上記じゃま板の先端縁の形状も特に限定されないが、 直線状、 劣弧状 (円周上の 2点で円周を二つに分けたときの長さが全円周の半分 より も小さい円弧状) 、 三角状、 多角形状等が好適なものと して挙げら れる。
そして、 このじゃま板の先端縁に設ける仕切り壁は、 その先端縁形状 に合わせたものにすればよく、 例えば、 平板状、 曲板状、 V字状、 多角
板状等にすればよい。
これと同様に、 流体流出口側の部位に設ける仕切り壁の形状もまた特 に限定されず、 例えば、 平板状、 曲板状、 V字状、 多角板状等にすれば よい。
また、 上記じゃま板の先端縁及び/又は流体流出口側の部位に設けれ る仕切り壁の長さは、 特に限定されず、 乱流が生じるように適宜長さに
Pス 。
そして、 本発明のスタティ ック ミキサーにおいて、 じゃま板の枚数は 限定しない。 じゃま板を複数枚配置する場合には、 隣接する じゃま板を ミキサ一本体の相対向する側壁から交互に延出させたり、 延出方向を所 定角度、 例えば、 9 0 ° ずつずらして延出させたりすることが望ましい。 そしてまた、 本発明のスタティ ック ミキサーにおいて、 ミキサー本体 の側壁や端壁の内面に対しても、 必要に応じて上記した凹部ゃ凸部を設 けることが可能である。
さ らに、 本発明のスタティ ック ミキサーにおいて、 仕切り空間を形成 する仕切り壁の先端と ミキサ一本体の内部の一方の端壁との距離 (流路 幅) や、 じゃま板の先端と ミキサー本体の内部の側壁との間の流路幅は、 流体の性状や用途に応じて適宜設定することができる。
本発明のスタティ ックミキサーにおいて、 例えば、 じゃま板の先端縁 に仕切り壁を設けて仕切り空間を形成したスタティ ック ミキサーにおい て、 ミキサー本体に流入した排ガスや排水などの流体及ぴ浄化薬は、 仕 切り空間内に流入してじゃま板の内面に衝突するので、 仕切り空間のじ やま板付近には激しい乱流が発生することとなる。
そして、 この激しい乱流が反転して仕切り空間の仕切り壁を乗り越え るまでの段階で、 順次流入してく る流体と激しく衝突することから、 排 ガスや排水などの流体と浄化薬との混合撹拌が極めて効率良く成される
こととなる、 すなわち、 浄化薬の量を少なく抑え得ることとなる。
そして、 本発明のスタティ ックミキサーによれば、 流体の流れがミキ サ一本体内の構成部材によって常時分断、 分割されることがないため、 流体の流れに乗っている毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが、 該ミキサ 一本体内の構成部材に跨って引っ掛かることはない。
したがって、 例えば、 浴場の排水路に用いた場合であったと しても、 汚水に混入している長尺状のごみによって、 流れが停滞してしまうなど といった事態の発生が回避されること となる。
また、 よ り好適な例と してのスタティ ック ミキサーでは、 流体流入口 をじゃま板の基端が位置する側壁の近傍に寄せて、 じゃま板の先端と該 先端と向き合う側壁との間の流路幅を狭めることによって、 流体及び浄 化薬が最初に混合する仕切り空間内のじゃま板の面積を流体流入口の面 積と比べてそれ程大きくならないようにしているので、 流体全体の速度 の減衰もよ り一層少なく抑えられることとなり、 その結果、 排水などの 流体と浄化薬との混合撹拌がより一層効率良く成されること となる。
さらに、 より一層好適な例と してのスタティ ック ミキサーでは、 じや ま板の流体流入口側の面には、 凹部又は凸部を設けているので、 この凹 部又は凸部に流体及び浄化薬が衝突することで、 各凹凸毎に回転流や乱 流が発生して流体及び浄化薬を混合して撹拌することから、 上記激しい 乱流とも相俟って、 排ガスや排水などの流体と浄化薬とを極めて効率良 く混合撹拌し得ることとなる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明に係わるスタティ ックミキサ一の一実施例を示す断面 説明図 ( a ) , 流体流入口側からの正面説明図 ( b ) 及ぴ図 1 ( a ) に おける A— A線位置に基づく矢視説明図 ( c ) 、 図 2は、 じゃま板に設
ける凹部形成パターン説明図 ( a ) 〜 ( c ) 、 図 3は、 図 1のスタティ ックミキサーを排水浄化に用いる際の配管説明図、 図 4は、 本発明に係 わるスタティ ック ミキサーの他の実施例を示す断面説明図、 図 5は、 本 発明に係わるスタティ ック ミキサーのさらに他の実施例を示す断面説明 図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を実施例により更に詳細に説明するが、 本発明はこれら 実施例に限定されるものではない。
図 1〜図 3は本発明に係わるスタティ ックミキサ一の一実施例を示し ており、 この実施例では、 本発明に係わるスタティ ック ミキサーを排水 路に設置して、 排水に浄化薬を混合させるのに適用した場合を示す。 図 1に示すように、 このスタティ ック ミキサー 1は、 一方の端壁 1 1 に流体流入口 1 2を有し且つ他方の端壁 1 3に流体流出口 1 4を有する 筒状を成すミキサー本体 1 0を備えており、 このミキサー本体 1 0の流 体流入口 1 2には配管接続用のフランジ 2を有する流入管 3が接続して あると共に、 流体流出口 1 4にも同じく配管接続用のフランジ 4を有す る流出管 5が接続してある。
ミキサー本体 1 0は、 図 1 ( c ) 及ぴ図 2にも示すように、 断面が略 半円状を成す主管部 1 5及び断面が略円弧状を成す副管部 1 6を具備し ていて、 このミキサー本体 1 0の内部には、 主管部 1 5の側壁 1 5 aか ら軸心と直交する方向に延出して流体流入口 1 2及び流体流出口 1 4の 間を遮るじゃま板 1 7が設けてあり、 また、 このじゃま板 1の直線状を 成す先端縁には、 流体流入口 1 2側に向けて延出して両端を上記主管部 1 5の内部の側壁 1 5 aに密着させた仕切り壁 1 8が設けてあり、 そし て、 該じゃま板 1 7、 該主管部 1 5の内部の側壁 1 5 a及び該仕切り壁
1 8によって、 断面コ字状の仕切り空間 Sが形成されている。
上記仕切り壁 1 8の先端と一方の端壁 1 1 との間には、 適宜の流路幅 が確保してあり、 また、 仕切り壁 1 8の先端とこれに対向する上記副管 部 1 6の内部の側壁 1 6 aで囲まれる空間によつて、 流体の流路を確保 している。
この場合、 流体流入口 1 2及び流体流出口 1 4をじゃま板 1 7の基端 が位置する主管部 1 5の内部の側壁 1 5 aの近傍に寄せると共に副管部 1 6の曲率を小さくすることによって、 じゃま板 1 7の先端と副管部 1 6の内部の側壁 1 6 a との間の流路幅 Wを狭めるよ うにしており、 これ により、 上記仕切り空間 Sのじやま板 1 7の面積が流体流入口 1 2の開 口面積と比べてそれ程大きくならないようにしている。
また、' じゃま板 1 7の流体流入口 1 2側の面には、 図 2 ( a ) に示す ように、 凹部と しての断面が半球形状を成す小穴 1 7 a (断面が矩形形 状や三角形状を成す小穴 1 7 aでもよい) が複数設けてあり、 これらの 複数の小穴 1 7 aに排水及び浄化薬を衝突させることで、 各小穴 1 7 a 毎に乱流を生じさせるようにしている。
なお、 じゃま板 1 7の流体流入口 1 2側の面に設ける凹部は、 上記小 穴 1 7 aに限定されるものではなく、 凹部を少なく とも 1条の渦巻状溝 と したり、 図 2 ( b ) に示すように、 複数の小穴 1 7 a と 3条の渦卷状 溝 1 7 b とをミ ックスさせてなるものと したり、 図 2 ( c ) に示すよう に、 複数の小穴 1 7 a と 1条の渦巻状溝 1 7 c とをミ ックスさせてなる ものと したりすることができる。
上記渦巻状溝 1 7 b , 1 7 cは、 流体流入口 1 2側の面に溝きり加工 を施して線状に形成するようにしてもよいほか、 流体流入口 1 2側の面 に板状部材を取り付けて線状に形成するよ うにしてもよく、 この際、 渦 卷状溝 1 7 b, 1 7 cは、 連続的に形成したものに限定されるものでは
なく、 断続的に形成したものも含む。
上記したスタティ ック ミキサー 1を用いて排水に浄化薬を混合させる に際しては、 図 3に示すように、 排水路 5 0上にスタティ ック ミキサー 1を配置すると共に、 このスタティ ック ミキサー 1 の上流側手前に浄化 薬供給槽 5 1からの浄化薬供給路 5 2を接続させ、 スタティ ック ミキサ 一 1によって、 浄化薬供給槽 5 1からの浄化薬 (N a C 1 O ; 次亜塩素 酸ナトリ ウム) と排水とを混合反応させて、 排水の浄化を行う ようにし ている。 なお、 図 3における符号 5 3は粗い目のフィルタであるが、 毛 髪や糸くずなどの長尺状のごみの相当量は排水の流れに乗ってフィルタ 5 3の粗い目を通過してしまう。
上記したスタテイ ツク ミキサー 1において、 流入管 3及び流体流入口 1 2を通ってミキサー本体 1 0に流入した排水及び浄化薬は、 そのほと んどが図 1 ( a ) に矢印 P 1で示すようにして仕切り空間 S内に流入し てじゃま板 1 7の内面に衝突するので、 仕切り空間 Sのじやま板 1 7付 近には激しい乱流が発生することとなる。
この激しい乱流は、 図 2 ( a ) に矢印 P 2で示すよ うにして主管部 1 5の内部の側壁 1 5 aに沿って回りつつ、 図 1 ( a ) に矢印 P 3で示す ようにして仕切り壁 1 8を乗り越えて仕切り空間 Sからあふれ出る。 そして、 激しい乱流が仕切り壁 1 8を乗り越えて仕切り空間 Sからあ ふれ出よう とするまでの段階において、 順次流入してく る排水及び浄化 薬と激しく擦れ合うことカゝら (矢印 P 1の流れと矢印 P 2及び矢印 P 3 の流れとが激しく擦れ合うことから) 、 排水と浄化薬との混合撹拌が極 めて効率良く成されることとなる、 すなわち、 浄化薬の量を少なく抑え 得ることとなる。
そして、 ミキサー本体 1 0の内部において、 その構成部材によって排 水の流れが常時分断、 分割されることがないため、 排水の流れに乗って
いる毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが、 該ミキサー本体 1 0内の構成 部材に引っ掛かって堆積することがなく、 したがって、 流れが停滞して しまうなどといった事態の発生が回避されること となる。
なお、 スタティ ックミキサーと しては、 流体流路の途中にただ単にじ やま板だけを設ける構造も考えられるが、 この場合には、 長尺状のごみ による流れの停滞という問題は解決されるものの、 流体の混合攪拌が効 率よく行われず、 本発明の目的を達成することはできない。
また、 上記したスタティ ック ミキサー 1では、 上記したごとく、 流体 流入口 1 2をじゃま板 1 7の基端が位置する主管部 1 5の内部の側壁 1 5 aの近傍に寄せると共に副管部 1 6の曲率を小さ くすることで、 じや ま板 1 7の先端と副管部 1 6の内部の側壁 1 6 a との間の流路幅 Wを狭 めるようにしているので、 すなわち、 排水及び浄化薬が最初に混合する 仕切り空間 S内のじゃま板 1 7の面積が流体流入口 1 2の開口面積と比 ベてそれ程大きくならないようにしているので、 流体全体の速度の減衰 をより少なく抑え得ること となり、 その結果、 排水と浄化薬との混合撹 拌がより一層効率良く成されること となる。
さらに、 上記したスタティ ックミキサー 1では、 じゃま板 1 7の流体 流入口 1 '2側の面に、 断面が半球形状を成す小穴 1 7 aを複数設けてい るので、 これらの小穴 1 7 aに排水及び浄化薬が衝突することで、 各小 穴 1 7 a毎に回転流や乱流が発生して排水及び浄化薬を混合して撹拌す ることから、 上記大きな渦流とも相俟って、 排水と浄化薬とを極めて効 率良く混合撹拌し得ること となる。
図 4は、 本発明に係わるスタティ ック ミキサ一の他の実施例を示して おり、 図 4に示すように、 この実施例のスタティ ック ミキサー 1 Aが先 の実施例のスタティ ック ミキサー 1 と相違するところは、 ミキサー本体 2 0の内部の他方の端壁 1 3側部位に、 流体流入口 1 2側に向けて延出
して両端をミキサー本体 2 0の主管部 1 5の内部の側壁 1 5 aに密着さ せた仕切り壁 2 8を設け、 該他方の端壁 1 3、 該側壁 1 5 a及び該仕切 り壁 2 8によって、 断面コ字状の仕切り空間 S aを形成している点にあ り、 他の構成は、 先の実施例のスタティ ック ミキサー 1 と同じである。 なお、 この仕切り壁 2 8の先端と該じゃま板 1 7 との間には、 適宜の流 路幅が確保してある。
このスタティ ック ミキサー 1 Aでは、 流入管 3及び流体流入口 1 2を 通ってミキサ一本体 2 0に流入した排水及び浄化薬は、 そのほとんどが じゃま板 1 7の内面に衝突するので、 このじゃま板 1 7付近には大きな 乱流が発生することとなる。
この大きな乱流は、 主管部 1 5の内部の側壁 1 5 aに沿って回りつつ、 じゃま板 1 7を乗り越えて他方の端壁 1 3側に流出するが、 この大きな 乱流がじゃま板 1 7を乗り越えて流れ出よう とするまでの段階において、 順次流入してく る排水及び浄化薬と激しく擦れ合う。
次いで、 じゃま板 1 7を乗り越えた排水及び浄化薬との混合流は、 仕 切り壁 2 8で狭められた流路を通って仕切り空間 S aに入り込むこと力 ら、 この段階においても混合撹拌が促進され、 したがって、 排水と浄化 薬との混合撹拌が極めて効率良く成されることとなる、 すなわち、 浄化 薬の量を少なく抑え得ること となる。
そして、 ミキサー本体 2 0の内部には、 その構成部材によって排水の 流れが常時分断、 分割されることがないため、 排水の流れに乗っている 毛髪や糸くずなどの長尺状のごみが引っ掛かって堆積することがなく、 したがって、 流れが停滞してしまうなどといった事態の発生が回避され ることとなる。
図 5は、 本発明に係わるスタティ ック ミキサ一のさらに他の実施例を 示しており、 図 5に示すように、 この実施例のスタティ ックミキサー 1
Bが先の実施例のスタティ ック ミキサー 1 と相違するところは、 ミキサ 一本体 3 0の内部のじゃま板 1 7の先端縁に、 流体流入口 1 2側に向け て延出して両端をミキサ一本体 3 0における主管部 1 5の内部の側壁 1 5 aに密着させたじゃま板側仕切り壁 3 8 aを設け、 該じゃま板 1 7、 該側壁 1 5 a及びこのじゃま板側仕切り壁 3 8 aにより、 断面コ字状の 仕切り空間 S 1を形成すると共に、 ミキサ一本体 3 0の内部の他方の端 壁 1 3側部位に、 流体流入口 1 2側に向けて延出して両端を該側壁 1 5 aに密着させた端壁側仕切り壁 3 8 bを設け、 この端壁側仕切り壁 3 8 bの軸心と直交する方向の位置をじゃま板 1 7の先端縁から流体流出口 1 4の該先端縁側の縁までの間に設定し、 さらに、 該他方の端壁 1 3、 該側壁 1 5 a及び該端壁側仕切り壁 3 8 bにより、 断面コ字状の仕切り 空間 S 2を形成した点にあり、 他の構成は、 先の実施例のスタティ ック ミキサー 1 と同じである。
なお、 上記じゃま板側仕切り壁 3 8 aの先端と一方の端壁 1 1 との間、 及び、 端壁側仕切り壁 3 8 bの先端と じゃま板 1 7 との間には、 適宜の 流路幅が確保してある。
つまり、 このスタティ ックミキサー 1 Bは、 上記した実施例における スタティ ック ミキサー 1 , 1 Aを組み合わせた構成を成しており、 した がって、 このスタティ ックミキサー 1 Bでは、 汚水に混入している毛髪 や糸くずなどの長尺状のごみによって、 流れが停滞してしまうなどとい つた事態の発生を回避したうえで、 排水と浄化薬とをより一層効率良く 混合撹拌し得ることとなる、 すなわち、 浄化薬の量をより一層少なく抑 え得ること となる。
上記した実施例では、 本発明に係わるスタティ ック ミキサーを排水に 浄化薬を混合させるのに適用した場合を示したが、 これに限定されるも のではなく、 他の適用例と して、 例えば、 水に蒸気を混合させるのに用
いることが可能である。
産業上の利用可能性
以上説明したように、 本発明のスタティ ックミキサーでは、 上記した 構成と しているので、 例えば、 排水路に用いた場合には、 汚水に対して 効率良く浄化薬を混合させることができ、 その結果、 浄化薬の量の低減 化に寄与することが可能であり、 加えて、 汚水に混入している毛髪や糸 くずなどの長尺状のごみによる流れの停滞が生じるのを回避することが できるという非常に優れた効果がもたらされる。