JPWO2005008685A1 - 導電性粉末およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、鉄などの原子価4以下の金属元素を特定量以下に抑制した二酸化チタンを用い、その二酸化チタンの水性懸濁液に、スズ化合物およびリン化合物を含む酸水溶液とアルカリ水溶液とを該水性懸濁液のpHを2〜6の範囲あるいは8〜12の範囲に維持するように加え、次いで、600〜925℃の温度で焼成し、良好な導電層を有する二酸化チタンを提供する。

Description

本発明は、二酸化チタンの表面に酸化スズおよびリンを含み、実質的にアンチモンを含まない導電層を有する導電性粉末およびその製造方法に関する。
二酸化チタンは、ミクロンサイズからナノサイズと幅広く粒子径を制御することができ、その粒子形状は粒状、略球状、球状のほか、針状、紡錘状、板状など種々のものが知られている。たとえば、約0.15〜0.25μmの粒子径を有する二酸化チタンは、隠蔽性、着色力に優れ、化学的にも安定であることから、白色顔料として広い分野に使われている。約0.1μm以下の微粒子二酸化チタンは、樹脂に配合すると透明性を示し、紫外線を遮蔽することから、透明顔料として、また、長さ1〜10μm、長さ対直径の比(軸比)が3以上の針状形状を有する二酸化チタンは、着色力を弱めた特殊顔料や充填剤として用いられている。
このような二酸化チタンの表面に導電層を形成すると、元来絶縁体である二酸化チタンに導電性を施すことができ、ガラス、電子写真用トナーなどのセラミック製品、高分子成形体、高分子フィルムなどのプラスチック製品、電子写真複写紙、静電記録紙などの紙製品等の導電性付与剤あるいは帯電防止剤として使用されている。導電層を形成する基体粒子として二酸化チタンを用いる理由は、所望の導電性を得るために必要な導電性物質の添加量を削減するためのほかに、前記のとおり二酸化チタンには種々の粒子径や粒子形状のものがあり、導電性付与剤の使用場面に応じて二酸化チタンの機能性を適宜選択できるためである。たとえば、白色顔料二酸化チタンを基体粒子として用いると、白色導電性粉末が得られ、微粒子二酸化チタンを基体粒子として用いると、透明導電性粉末が得られ、また、針状二酸化チタンを基体粒子として用いると、その形状異方性を利用して導電性の効率化が図れる。
二酸化チタンの表面に形成する導電層としては、従来、アンチモンをドープした酸化スズが優れた導電性を有し、しかも、導電性の経時変化が少ないことから、幅広く用いられている(たとえば、特許文献1参照)。しかし、近年、アンチモンの毒性が懸念され、アンチモンを用いない導電性粉末の研究が行われ、アンチモンに代えてリンをドープした酸化スズが開発されている(たとえば、特許文献2、3参照)。
特公平6−17231号公報 特許第3357107号公報 特許第3365821号公報
リンをドープした酸化スズは、毒性上の問題がないものの、二酸化チタン表面上に、良好な導電性を有する層を形成しにくく、リンドープ酸化スズの調製条件によって導電性が大幅に変動し、不安定であることから、改善が求められている。
本発明者等は、リンをドープした酸化スズの導電層を形成する二酸化チタンを見直し、その結果、従来法で得られる既知の二酸化チタンは、その製造原料、製造途中で添加する添加剤あるいは製造した二酸化チタンの表面処理原料に由来するナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、ケイ素、リン、硫黄、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、鉄などの化合物を含有していることが判明した。そのうち、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、鉄などの原子価4以下の金属元素の化合物を特定量以上含有した二酸化チタンの表面に導電層を形成しても、原子価4以下の金属元素が焼成によって導電層に拡散して、良好な導電性が得られないこと、それに反して、原子価4以下の金属元素を特定量以下とした二酸化チタンを用いると良好な導電性が得られることを見出した。さらに、リンをドープした酸化スズの導電層を形成する手段として、原子価4以下の金属元素の化合物を特定量以下とした二酸化チタンの水性懸濁液に、スズ化合物およびリン化合物を含む酸水溶液とアルカリ水溶液とを該水性懸濁液のpHを特定の範囲に維持するように加え、次いで、特定の温度で焼成することにより、原子価4以下の金属元素の化合物を所定量以下しか含まない導電性粉末が得られ、このものは良好な導電性が得られることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(イ)二酸化チタンの表面に、酸化スズおよびリンを含むがアンチモンを実質的に含まない導電層を有し、導電性粉末に含まれる不純物としての原子価4以下の金属元素の含有量が、下記(1)式で求められる(A)として0.1以下であることを特徴とする導電性粉末である。
(1)式:(A)=(M)×(4−n)+(M)×(4−n)+(M)×(4−n)+(M)×(4−n)+…+(M)×(4−n
ここで、M、M、M、M、…、Mは、導電性粉末中の酸化スズのSnに対する原子価4以下の金属元素のそれぞれの原子比であり、n、n、n、n、…、nは、M、M、M、M、…、Mの原子比を有する金属元素のそれぞれの価数を示し、M、nのXは、導電性粉末に含まれる前記金属元素の数を示し、1以上の自然数をとり得る。
また、好ましい態様として、前記導電層を形成する酸化スズが二酸化チタンの表面積1m当り、SnOとして0.015〜0.3gの範囲であり、あるいは、前記導電層に含まれるリンが酸化スズに対してP/Sn原子比で0.10〜0.50の割合である。さらに、二酸化チタンに含まれる、不純物としての原子価4以下の金属元素の含有量が、下記(2)式で求められる(B)として0.02以下であることも好ましい態様である。
(2)式:(B)=(M´)×(4−n´)+(M´)×(4−n´)+(M´)×(4−n´)+(M´)×(4−n´)+…+(M´)×(4−n´
ここで、M´、M´、M´、M´、…、M´は、二酸化チタンのTiに対する原子価4以下の金属元素のそれぞれの原子比であり、n´、n´、n´、n´、…、n´は、M´、M´、M´、M´、…、M´の原子比を有する金属元素のそれぞれの価数を示し、M´、n´のYは、二酸化チタンに含まれる前記金属元素の数を示し、1以上の自然数をとり得る。
さらに、本発明は、(ロ)二酸化チタンに含まれる、不純物としての原子価4以下の金属元素の含有量が、上記(2)式で求められる(B)として0.02以下である二酸化チタンの水性懸濁液に、スズ化合物およびリン化合物を溶解した酸水溶液とアルカリ水溶液とを該水性懸濁液のpHを2〜6の範囲あるいは8〜12の範囲に維持するように加え、次いで、得られた生成物を分別し、600〜925℃の温度で焼成して、二酸化チタン表面に酸化スズとリンを含む導電層を形成することを特徴とする導電性粉末の製造方法である。
本発明は、二酸化チタンの表面に、酸化スズおよびリンを含むがアンチモンを実質的に含まない導電層を有し、導電性粉末に含まれる不純物としての原子価4以下の金属元素の含有量が、(1)式で求められる(A)として0.1以下であることを特徴とする導電性粉末であり、導電性を阻害する不純物が少ないため、所望の導電性を有するものである。本発明の導電性粉末は、従来の導電性粉末と同じように、ガラスなどのセラミック製品、高分子成形体、高分子フィルムなどのプラスチック製品、電子写真複写紙、静電記録紙などの紙製品等の導電性付与剤、帯電防止剤あるいは電子写真用トナーの帯電調整剤または感光ドラムの抵抗調整剤などとして用いられ、セラミック製品、プラスチック製品、紙製品等に本発明の導電性粉末を練り込んだり、製品表面あるいは製品原料表面に導電性粉末を含有した塗料を塗布するなどして用いられる。
また、本発明は、二酸化チタンに含まれる、不純物としての原子価4以下の金属元素の含有量が、(2)式で求められる(B)として0.02以下である二酸化チタンの水性懸濁液に、スズ化合物およびリン化合物を溶解した酸水溶液とアルカリ水溶液とを該水性懸濁液のpHを2〜6の範囲あるいは8〜12の範囲に維持するように加え、次いで、得られた生成物を分別し、600〜925℃の温度で焼成して、二酸化チタン表面に酸化スズとリンを含む導電層を形成することを特徴とする導電性粉末の製造方法であり、このような方法とすることにより、その表面に被覆される酸化スズおよびリンを含む導電層を連続した被膜として形成することができ、また、導電性を阻害する不純物の含有量を少なくでき、所望の導電性を有するものを簡便に製造することができる。
本発明の導電性粉末は、二酸化チタンの表面に、酸化スズおよびリンを含む導電層を有し、この導電層中にはアンチモンを実質的に含まず、しかも、導電性粉末中に不純物としての原子価4以下の金属元素が特定量以下であることが重要であり、導電性粉末を9.8MPaの圧力で成型し円柱状圧粉体とした時の粉体抵抗値は、好ましくは1×10Ω・cm以下、より好ましくは1×10Ω・cm以下、最も好ましくは1×10Ω・cm以下のものとすることが可能である。
本発明において、導電性粉末に含まれる不純物の含有量は、下記(1)式で求められる(A)として換算する。
(1)式:(A)=(M)×(4−n)+(M)×(4−n)+(M)×(4−n)+(M)×(4−n)+…+(M)×(4−n
(1)式中、M、M、M、M、…、Mは、たとえば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄などの、原子価4以下のそれぞれの金属元素の原子比を示し、導電性粉末中の酸化スズのSnに対するものである。M、M、M、M…、Mは導電性粉末に含有される不純物である原子価4以下の金属元素の数に応じ、MのXは、1以上の自然数をとり得る。導電性粉末中に、原子価4以下の金属元素が含まれない場合は、M=0となる。ただし、原子価4以下の金属元素には、酸化スズにドープしない後述するカップリング剤などの焼成後に導電性粉末表面に処理した有機金属化合物を含まない。なお、本発明において、金属元素としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムなどの典型金属元素、鉄などの遷移金属元素のほかに、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、セレン、テルルなどの半金属元素を含むものとする。一方、これらの金属元素以外の元素を非金属元素という。また、本発明において、原子比とは、基準とする金属原子の数に対する対象の金属原子の数の比である。
また、(1)式中のn、n、n、n、…、nは、M、M、M、M、…、Mの原子比を有する金属元素のそれぞれの価数(原子価)を示し、0より大きく4以下の数値をとり得る。nのXは、MのXと同じ数値であり、1以上の自然数をとり得る。ナトリウム、カリウムなどは原子価1、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などは原子価2、アルミニウムなどは原子価3である。なお、鉄は原子価2または3、ケイ素、ジルコニウムの原子価はそれぞれ2または4、ニオブの原子価は2〜5であり、複数の原子価をとり得る金属元素がある。これらの場合、導電性粉末に含有するその原子価の状態をXPS(X線光電子分光)、ESR(電子スピン共鳴)などで調べ、その結果、原子価が0より大きく4より小さいものを導電性を阻害する不純物とし、原子価が4のものを導電性に影響を与えない不純物とし、一方、原子価が4より大きいものは不純物としない。特に、原子価が0より大きく3以下の金属元素は、導電性阻害の影響力が大きい不純物である。
(1)式においては、導電性粉末に含有する原子価4以下の金属元素を対象として、酸化スズ中のスズの価数4からそれらの金属元素の価数nを引いた値を、それぞれの金属元素の含有量(Snに対する原子比で代用)に乗じることにより、それぞれの不純物の影響力を算出することができ、その総和(A)を不純物総含有量とする。従って、不純物総含有量(A)はΣ(M)×(4−n)で表される。本発明では、この不純物総含有量(A)が0.1以下であることが重要であり、好ましくは0.07以下、より好ましくは0.06以下、さらに好ましくは0.02以下、最も好ましくは0.001以下である。原子価4以下の金属元素の不純物総含有量が少なくとも前記範囲であれば所望の導電性が得られるが、前記範囲より多すぎると、所望の導電性が得られにくくなる。なお、本発明においては、金属元素の定量分析は蛍光X線分析法を用い、また、金属元素の価数は、前記の通り、XPS(X線光電子分光)、ESR(電子スピン共鳴)などで調べる。
二酸化チタン表面に形成される導電層は、酸化スズを構成する4価のスズイオンの一部が5価のリンイオンによって置換され、酸化スズの中にリンが固溶(ドープ)した構造をとり、実質的にアンチモンは含有されない。実質的にアンチモンが含有されないとは、通常の蛍光X線分析装置、例えば理学電気工業社製RIX3000を使用して、蛍光X線分析法において、アンチモンが検出限界以下であることを意味する。導電層中の酸化スズの量は適宜設定することができるが、二酸化チタンの表面積1m当り、SnOとして0.015〜0.3gの範囲が好ましく、0.03〜0.3gの範囲がより好ましく、この範囲であれば少なくとも良好な導電性が得られる。一方、この範囲より少なすぎると連続した導電層の形成が困難となりやすく、所望の導電性が得られにくく、また、多すぎると二酸化チタン表面以外に析出しやすく経済的ではなく、また、導電性粉末の白度の低下も起こりやすい。酸化スズの量は0.05〜0.2gの範囲がさらに好ましい。導電層中のリンの量は適宜設定することができるが、酸化スズに対し、P/Sn原子比として0.10〜0.50の割合が好ましく、この範囲であれば、良好な導電性が得られる。一方、この範囲より少なすぎると所望の導電性が得られにくくなり、また多すぎても導電性が低下しやすい。リンの量は0.13〜0.40の割合がより好ましく、0.15〜0.30の割合がさらに好ましい。酸化スズとリンを含む導電層は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄などの原子価4以下の金属元素の含有量が少ないものが好ましく、連続した導電層の形成は透過型電子顕微鏡写真で確認することができる。また、導電層の形成状態の指標として、(3)式より求められる導電層の比表面積を用いることができる。その比表面積か70m/gより大きいと連続した層以外に酸化スズが微細な粒子塊で存在しており、70m/g以下であれば少なくとも連続した層以外に酸化スズが微細な粒子塊で存在していないといえる。なお、(3)式中の導電層形成成分の含有量は酸化スズ(SnOとしての量)、リン(Pとしての量)の合量である。
(3)式:導電層の比表面積(m/g)=(導電性粉末の比表面積値)/(その導電性粉末1g中の導電層形成成分の含有量)
なお、本発明においては、二酸化チタン、導電性粉末の比表面積はBET法により求めることができる。
本発明の導電性粉末において、酸化スズとリンを含む導電層を形成するための二酸化チタンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄などの原子価4以下の金属元素の含有量が少ないものが好ましく、二酸化チタンに含まれる不純物としての原子価4以下の金属元素の含有量が、下記(2)式で求められる(B)として0.02以下であることがより好ましい。
(2)式:(B)=(M´)×(4−n´)+(M´)×(4−n´)+(M´)×(4−n´)+(M´)×(4−n´)+…+(M´)×(4−n´
(2)式中、M´、M´、M´、M´、…、M´は、たとえば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄などの、原子価4以下のそれぞれの金属元素の原子比を示し、二酸化チタンのTiに対するものである。M´、M´、M´、M´、…、M´は二酸化チタンに含有される不純物である原子価4以下の金属元素の数に応じ、M´のYは、1以上の自然数をとり得る。二酸化チタンに、原子価4以下の金属元素が含まれない場合は、M´=0となる。n´、n´、n´、n´、…、n´は、M´、M´、M´、M´、…、M´の原子比を有する金属元素のそれぞれの価数(原子価)を示し、0より大きく4以下の数値をとり得る。n´のYは、M´のYと同じ数値であり、1以上の自然数をとり得る。ナトリウム、カリウムなどは原子価1、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などは原子価2、アルミニウムなどは原子価3である。なお、鉄は原子価2または3、ケイ素、ジルコニウムの原子価はそれぞれ2または4、ニオブの原子価は2〜5であり、複数の原子価をとり得る金属元素がある。これらの場合二酸化チタンに含有するその原子価の状態をXPS(X線光電子分光)、ESR(電子スピン共鳴)などで調べ、その結果、原子価が0より大きく4より小さいものを導電性を阻害する不純物とし、原子価が4のものを導電性に影響を与えない不純物とし、一方、原子価が4より大きいものは不純物としない。特に、原子価が0より大きく3以下の金属元素は、導電性阻害の影響力が大きい不純物である。
(2)式においては、二酸化チタンに含有する原子価4以下の金属元素を対象として、二酸化チタンの表面に被覆処理される酸化スズ中のスズの価数4からそれらの金属元素の価数nを引いた値を、それぞれの金属元素の含有量(Tiに対する原子比で代用)に乗じることにより、それぞれの不純物の影響力を算出することができ、その総和(B)を二酸化チタン中の不純物総含有量とする。従って、二酸化チタン中の不純物総含有量(B)はΣ(M´)×(4−n´)で表される。本発明では、この不純物総含有量(B)が好ましくは0.02以下、より好ましくは0.015以下、さらに好ましくは0.006以下である。原子価4以下の金属元素の二酸化チタン中の不純物総含有量が少なくとも前記範囲であれば所望の導電性が得られるが、前記範囲より多すぎると、所望の導電性が得られにくくなる。また、原子価4より大きい金属元素は、リンが酸化スズにドープされ発生した伝導電子の移動度を低下させるため、二酸化チタンとしては原子価4より大きい金属元素の化合物もできる限り含まないのが好ましい。このような金属元素としてはたとえばニオブなどが挙げられる。また、リン、硫黄などの非金属元素(酸素は除く)の化合物も二酸化チタンにはできる限り含まれないのが好ましい。より具体的には、二酸化チタンとしては、原子価4以下の金属元素および原子価4より大きい金属元素のほか、リン、硫黄などの非金属元素(酸素は除く)を含めた全不純物含有量が無水酸化物換算でTiOに対して1.5重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下、すなわちTiO純度が98.5重量%以上、好ましくは99.0重量%以上、より好ましくは99.5重量%以上、さらに好ましくは99.9重量%以上の高品位のものが好適である。
本発明で用いる二酸化チタンの粒子形状、粒子径は、導電性粉末の使用場面に応じて適宜選択することができる。粒子形状は、たとえば、粒状、略球状、球状のもの、針状、繊維状、柱状、棒状、紡錘状、板状、その他の類似形状のものをそれぞれ用いることができ、後者の針状形状などの軸比を有するものが導電性の効率化を図りやすいため好ましい。また、粒子径は、粒状、略球状、球状のものでは0.01〜3μmの平均粒子径を持つものが好ましく、0.03〜0.3μmがより好ましい。一方、針状、繊維状、柱状、棒状、紡錘状などの軸比を有する場合は、長さ0.05〜0.3μm、長さ対最大直径の比(軸比)が3以上、好ましくは10以上の紡錘状微粒子二酸化チタン、あるいは、長さ1〜10μm、長さ対直径の比(軸比)が3以上、好ましくは10以上の針状、棒状等の二酸化チタンがさらによい。二酸化チタンの粒子形状、粒子径は電子顕微鏡写真より観測され、測定される。
また、二酸化チタンの比表面積は粒子の形状や大きさによって異なり、粒状、略球状、球状のものでは0.5〜160m/gの範囲が好ましく、4〜60m/gの範囲がより好ましい。針状、繊維状、柱状、棒状のものでは0.3〜20m/gが好ましく、1〜15m/gがより好ましい。また、紡錘状のものでは10〜250m/gが好ましく、30〜200m/gがより好ましい。本発明で用いる二酸化チタンの結晶系は、ルチル、アナタース、ブルッカイト、無定形のどの結晶系のものでも使用できるが、導電層の主成分である酸化スズと同じ結晶系であるルチル型の二酸化チタンは導電性が発現しやすいため、好ましい。
前記の導電性粉末の表面には、樹脂への分散性を改善したり、導電性の経時安定性を改善するなどのために、有機物を付着させてもよい場合がある。有機物としては、たとえば、ケイ素系、チタニウム系、アルミニウム系、ジルコニウム系、ジルコニウム・アルミニウム系などの有機金属化合物や、ポリオールなどが挙げられる。これらの有機物を一種あるいは二種以上用いてもよく、その含有量は、導電性粉末の表面積1mに対して、0.0001〜0.4g程度であり、0.0006〜0.2g程度がより適当である。
具体的には、ケイ素系有機金属化合物としては、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルメチルジメトキシシランなどのアルキルシラン類、フェニルトリエトキシシランンなどのフェニルシラン類、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどのフルオロシラン類、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンジオール、アルキル変性シリコーンオイル、アルキルアラルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、両末端アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、両末端エポキシ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどのポリシロキサン類等が挙げられ、また、チタニウム系有機金属化合物としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネートなどのチタネートカップリング剤等が、また、アルミニウム系有機金属化合物としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミネートカップリング剤等が挙げられる。ジルコニウム系有機金属化合物としては、例えば、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシステアレートなどが挙げられる。
また、ポリオールとしてはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
本発明の導電性粉末の製造方法においては、二酸化チタンに含まれる、不純物としての原子価4以下の金属元素の含有量が、上記(2)式で求められる(B)として0.02以下、好ましくは0.015以下、より好ましくは0.006以下である二酸化チタンを用いることが重要である。また、好ましい態様として、原子価4以下の金属元素および原子価4より大きい金属元素のほか、リン、硫黄などの非金属元素(酸素は除く)を含めた全不純物含有量が無水酸化物換算でTiOに対して1.5重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下、すなわちTiO純度が98.5重量%以上、好ましくは99.0重量%以上、より好ましくは99.5重量%以上、さらに好ましくは99.9重量%以上の高品位の二酸化チタンを好適に用いることができる。このような二酸化チタンは、塩素法、硫酸法、火炎加水分解法、湿式加水分解法、中和法、ゾル−ゲル法などの従来の二酸化チタンの製造において、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄などの原子価4以下の金属元素、あるいは全不純物を特定量以下しか含有しない二酸化チタンを製造できる方法、あるいは製造条件を選択することにより製造することができる。また、不純物を特定量以上含む二酸化チタンを製造した後に、不純物含有の二酸化チタンを酸またはアルカリで処理して、あるいは酸処理した後にアルカリ処理したり、アルカリ処理した後に酸処理して、原子価4以下の金属元素、あるいは全不純物を上記範囲の量にまで除去することができる。使用する酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、弗酸などの無機酸が適当であり、普通これらの酸の1〜50重量%水溶液を用いる。アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの10〜50重量%水溶液を用いる。酸処理あるいはアルカリ処理は、二酸化チタンを前記酸溶液あるいはアルカリ溶液に投入し、1〜3時間撹拌すればよく、必要に応じて50〜90℃に加熱しながら撹拌してもよい。酸あるいはアルカリのそれぞれ単独処理で所望の品位の二酸化チタンが得られるが、望ましくは酸処理とアルカリ処理とを組み合せる方が高品位の二酸化チタンが得られやすい。
このような二酸化チタンを水性懸濁液とし、この中にスズ化合物およびリン化合物を加えて二酸化チタンの表面にスズ化合物とリン化合物を被覆させる。被覆させる方法としては種々の方法があるが、本発明では、スズ化合物およびリン化合物を溶解した酸水溶液とアルカリ水溶液とを別々に調製し、それらを、二酸化チタン水性懸濁液のpHを2〜6の範囲あるいは8〜12の範囲に維持するように加えることが重要である。水性懸濁液のpHが前記範囲であれば少なくともスズ化合物、リン化合物が均一に二酸化チタン表面に被覆され、良好な導電性が得られるが、この範囲より低すぎても、高すぎてもスズ化合物、リン化合物が二酸化チタン表面に被覆されにくく、所望の導電性が得られにくく、不純物としての原子価4以下の金属元素の化合物の含有量が増加してしまう。二酸化チタン水性懸濁液のpHが8〜12の範囲であれば、スズ化合物、リン化合物がより均一に被覆するので好ましく、9〜10の範囲がより好ましい。酸性サイドでは2〜3のpH範囲が好ましい。水性懸濁液の二酸化チタン濃度は適宜設定することができ、25〜300g/lが適当であり、50〜200g/lが好ましい。また、水性懸濁液の温度は室温(10〜30℃)〜95℃の範囲が好ましく、60〜8090℃の範囲がより好ましい。スズ化合物およびリン化合物を溶解した酸水溶液とアルカリ水溶液の温度は特には限定されず、水性懸濁液と同程度の温度で差し支えない。
スズ化合物として、種々のものを使用し得るが、たとえば塩化第二スズ、塩化第一スズ、スズ酸カリウム、スズ酸ナトリウム、フッ化第一スズ、シュウ酸第一スズなどが挙げられる。また、リン化合物としては、たとえば三塩化リン、オルトリン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素アンモニウム、亜リン酸、亜リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸三ナトリウム、五塩化リンなどが挙げられ、これらのうちの一種あるいは二種以上の化合物を使用することができる。このようなスズ化合物、リン化合物を、塩酸硫酸、硝酸、弗酸などの無機酸、あるいは蟻酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸などの有機酸に溶解して、酸水溶液を調製する。スズ化合物の添加量は、二酸化チタンに対し酸化スズを所定量被覆することができる量であればよく、二酸化チタンの表面積1m当りSnOとして好ましい範囲である0.015〜0.3gに相当する量、より好ましくは0.03〜0.3gに相当する量、さらに好ましくは0.05〜0.2gに相当する量で被覆するのに必要な量であり、リン化合物の添加量は、酸化スズに対し所定量ドープすることができる量であればよく、P/Sn原子比として好ましくは0.10〜0.50の割合となる量、より好ましくは0.13〜0.40の割合となる量、さらに好ましくは0.15〜0.30の割合でドープするのに必要な量である。酸水溶液中のスズ化合物、リン化合物のそれぞれの濃度は適宜設定することができる。
一方、中和剤として使用するアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩、アンモニア、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、ヒドラジン、ヒドロキシアミンなどの塩基性化合物の少なくとも一種の水溶液を用いることができる。
次に、二酸化チタンの表面にスズ化合物とリン化合物を被覆させた生成物を分別し、600〜925℃の温度で焼成する。分別は普通濾過し、必要に応じて洗浄して行う。中和剤としてアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩を使用する場合は、洗浄不足でアルカリ金属が該生成物に吸着し、残存すると導電性を低下させる原因となるのでアルカリ金属が残存しないように充分な洗浄を行うのが好ましい。生成物の洗浄の程度は濾液の比導電率で管理することができ、比導電率(単位μS/cm)が小さいほど洗浄が行われていることを示す。洗浄の程度として、濾液の比導電率が125μS/cm以下になるまで洗浄するのが好ましく、50μS/cm以下まで洗浄するのがより好ましい。
分別して得られる生成物は、その後必要に応じて乾燥した後600〜925℃、好ましくは750〜925℃、より好ましくは800〜900℃、さらに好ましくは825〜875℃の温度で焼成する。焼成は、酸化雰囲気、還元雰囲気、不活性ガス雰囲気のいずれの雰囲気中でも行うことができ、空気中で行うのが経済的に有利であるが、空気を窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスで希釈した低酸素濃度の雰囲気下、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、あるいは水素、アンモニア、一酸化炭素などの還元雰囲気下で焼成すると良好な導電性が得られるため好ましい。低酸素濃度雰囲気下の酸素濃度としては経済性ならびに導電性の観点を考慮して5〜15容量%が好ましく、7〜10容量%がより好ましい。なお、焼成時間は装置形式、処理量などによって異なり一概に規定できないが1〜8時間、好ましくは1〜63〜6時間が適当である。焼成後取り出しができる温度まで冷却する。冷却には、焼成後直ちに急冷する方式と、被焼成物の物温を2時間以上かけてゆっくりと室温近くまで冷却する徐冷方式とを選択することができる。急冷方式と徐冷方式とを比べると、低酸素濃度雰囲気下、あるいは不活性ガス雰囲気下、還元雰囲気下で焼成した後そのままの状態で冷却する場合、急冷方式と徐冷方式には得られる導電性に大差なく安定しているが、空気中で焼成した後そのままの状態で冷却する場合、急冷方式では徐冷方式に比べ良好な導電性が得られやすい。このことから、急冷方式ではいずれの雰囲気下であっても良好な導電性が得られるため好ましい方式である。焼成温度は好ましくは750℃以上、特に800℃以上の高温度である。このように高温で焼成すると、被焼成物の粒子の粗大化や焼結を実質的に惹起することなく焼成でき、焼成時の雰囲気や冷却方式を適宜選択することによって十分な導電性を容易に付与し得る。
冷却後、被焼成物を焼成装置から取り出した後、粉末にするために常法に従って解砕処理を施すこともできる。解砕後、必要に応じて解砕物のpHを調整したり、不純物を除去したりすることもできる。また、必要に応じて、解砕物の表面に湿式法または乾式法等で有機物を処理することもできる。
本発明の導電性粉末は、従来の導電性粉末と同じように、ガラスなどのセラミック製品、高分子成形体、高分子フィルムなどのプラスチック製品、電子写真複写紙、静電記録紙などの紙製品等の導電性付与剤、帯電防止剤、電子写真用トナーの帯電調整剤または感光ドラムの抵抗調整剤などとして用いられ、セラミック製品、プラスチック製品、紙製品等に本発明の導電性粉末を練り込んだり、製品表面あるいは製品原料表面に導電性粉末を含有した塗料を塗布するなどして用いられる。前記のプラスチック製品原料の樹脂としては、その目的、用途などに応じて選択され、特に限定されるものでなく種々の公知のものを使用し得るが、たとえば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、変性ポリフェニレンエーテルなどの汎用エンジニアリング・プラスチックス、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドビスマレイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂などの特殊エンジニアリング・プラスチックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性汎用樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。また、本発明の導電性粉末を含む塗料を調製するための樹脂としては、種々の樹脂を用いることができる。これらのプラスチック製品あるいは導電性塗料に配合する本発明の導電性粉末の配合量は用途に応じて適宜設定することができる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1
平均粒径が0.25μmの高品位ルチル型二酸化チタン粉末を用いた。この二酸化チタンは、塩素法で製造したものであり、不純物としての原子価4以下の金属元素としてケイ素(4価)が二酸化チタンのTiに対する原子比で0.00027含まれていたが、式(2)で求められる(B)は0であった。不純物として原子価4以下の金属元素以外の元素(酸素は除く)として、硫黄(6価、非金属元素)がSOとして0.02重量%含まれ、TiO純度は99.96重量%であった。BET法で求めた比表面積は6.6m/gであった。
この高品位ルチル型二酸化チタン粉末100gを水中に投入して濃度100g/lの懸濁液とした。塩酸水溶液を添加して系のpHを2〜3に調整し、70℃に加熱した後この中に塩化スズ(SnCl)50重量%水溶液173g、85重量%リン酸(HPO)6.1gおよび12N−塩酸溶液75mlを混合した溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを該懸濁液のpHを2〜3に維持するように60分間に亘って並行添加して、二酸化チタン粉末上にリン酸を含有する酸化スズの水和物からなる被覆層を形成させた。なお、この懸濁液の最終pHを2とした。さらに70℃に維持したまま20分間撹拌して熟成させた。
次に、被覆された二酸化チタン粉末を濾過し、濾液の比導電率が50μS/cmになるまで洗浄した後、120℃で一晩乾燥して被覆された二酸化チタン粉末を回収した。回収された被覆された二酸化チタン粉末を空気中、電気炉で850℃にて1時間焼成し、次いでパルペライザーパルベライザーにて解砕粉砕して、本発明の白色導電性粉末(試料A)を得た。
この試料Aに含まれる酸化スズは二酸化チタンの表面積1m当りSnOとして0.076gであり、リンは酸化スズに対してP/Sn原子比で0.17の割合であった。また、この試料Aに含まれる不純物としての原子価4以下の金属元素は検出限界以下であり、(1)式で求められる(A)は0であった。また、試料Aの比表面積は30.2m/gであり、導電層の比表面積は86.4m/gであった。
実施例2
実施例1において、高品位ルチル型二酸化チタン粉末の代わりに少量のアルミナを含有する平均粒径が0.25μmのルチル型二酸化チタン粉末を用いたこと以外は同様に処理して、本発明の白色導電性粉末(試料B)を得た。
用いた二酸化チタンは、塩素法で製造したものであり、アルミニウム(3価)の含有量は二酸化チタンのTiに対する原子比で0.005であり、その他の原子価4以下の金属元素は検出されず、(2)式で求められる(B)は0.005であった。また、原子価4以下の金属元素以外の元素(酸素は除く)は検出されず、TiO純度は99.7重量%であり、BET法で求めた比表面積は6.8m/gであった。
この試料Bに含まれる酸化スズは二酸化チタンの表面積1m当りSnOとして0.074gであり、リンは酸化スズに対してP/Sn原子比で0.17の割合であった。また、この試料Bに含まれるアルミニウム(3価)のSnに対する原子比は0.019であり、(1)式で表される(A)は0.019であった。
実施例3
実施例1において、高品位ルチル型二酸化チタン粉末の代わりに少量のアルミナを含有する平均粒径が0.25μmのルチル型二酸化チタン粉末を用いたこと以外は同様に処理して、本発明の白色導電性粉末(試料C)を得た。
用いた二酸化チタンは、塩素法で製造したものであり、アルミニウム(3価)の含有量は二酸化チタンのTiに対する原子比で0.015であり、その他の原子価4以下の金属元素は検出されず、(2)式で求められる(B)は0.015であった。また、原子価4以下の金属元素以外の元素(酸素は除く)として、リン(5価、非金属元素)がPとして0.1重量%含まれ、TiO純度は99.0重量%であり、BET法で求めた比表面積は7.1m/gであった。
この試料Cに含まれる酸化スズは二酸化チタンの表面積1m当りSnOとして0.07gであり、リンは酸化スズに対してP/Sn原子比で0.17の割合であった。また、この試料Cに含まれるアルミニウム(3価)のSnに対する原子比は0.057であり、その他の原子価4以下の金属元素は検出されず、(1)式で求められる(A)は0.057であった。
実施例4
実施例1において、高品位ルチル型二酸化チタン粉末の代わりに下記の高品位の針状酸化チタン粉末を用い、また、塩化スズ(SnCl)50重量%水溶液173gの代わりに307g、85重量%リン酸(HPO)6.1gの代わりに10.8gをそれぞれ使用したこと以外は同様に処理して、本発明の白色導電性粉末(試料D)を得た。
この試料Dに含まれる酸化スズは二酸化チタンの表面積1m当りSnOとして0.077gであり、リンは酸化スズに対してP/Sn原子比で0.17の割合であった。また、この試料Dに含まれる原子価4以下の金属元素は検出されず、(1)式で表される(A)は0であった。
なお、実施例4で用いた針状酸化チタン粉末は、特公昭47−44974号明細書に記載の方法に従って製造した。すなわち微粒子含水二酸化チタンをTiOとして4重量部、塩化ナトリウム4重量部およびリン酸水素ナトリウム(NaHPO・2HO)1重量部を均一に混合してルツボに入れ、電気炉にて825℃で3時間焼成した。その後焼成物を水中に投入して1時間煮沸した後濾過、洗浄して可溶性塩類を除去した。このようにして得られた針状酸化チタンは長さ3〜5μm、直径0.05〜0.07μmのものであり、このものの成分を分析した結果不純物としてナトリウム分をNaOとして3.8重量%、リン分をPとして4.4重量%含み、TiO純度は91.0重量%であった。なお、微粒子含水二酸化チタンは、TiOとして200g/lの濃度の四塩化チタン水溶液を30℃に保持しながら水酸化ナトリウム水溶液で中和してコロイド状の非晶質水酸化チタンを析出させ、このコロイド状水酸化チタンを70℃で5時間熟成しその後120℃で乾燥して得られたルチル型の微少チタニアであった。
次に、前記の針状酸化チタンを水中に投入して水懸濁液とし、この中に水酸化ナトリウム水溶液(200g/l)を添加して系のpHを13.0に調整した。その後90℃に加熱して2時間撹拌してアルカリ処理を行い、次に塩酸水溶液(100g/l)を添加して系のpHを7.0に調整した後濾過し、濾液の比導電率が50μS/cmになるまで洗浄した。引続き次のような酸処理をした。
得られた濾過ケーキを再び水中に投入して水懸濁液とした後塩酸水溶液(100g/l)を添加して系のpHを1.0に調整し、90℃に加熱して2時間撹拌後濾過し、濾液の比導電率が50μS/cmになるまで洗浄した。
以上のようにして処理された針状酸化チタンの成分を分析した結果、不純物としての原子価4以下の金属元素は検出限界以下であり、(2)式で求められる(B)は0であった。不純物として原子価4以下の金属元素以外の元素(酸素は除く)として、リン(5価、非金属元素)がPとして0.1重量%含まれ、TiO純度は99.9重量%であった。また、この針状酸化チタンのBET法で求めた比表面積は11.5m/gであった。
比較例1
実施例1において、高品位ルチル型二酸化チタン粉末の代わりに平均粒径が0.25μmの顔料用のルチル型二酸化チタン粉末を使用したこと以外は同様に処理して、試料Eを得た。
用いた二酸化チタンは、二酸化チタンのTiに対する原子比で0.034のアルミニウム(3価)を含有し、ケイ素(4価)を0.0027含有し、その他の原子価4以下の金属元素は検出されず、式(2)で求められる(B)は0.034であった。また、原子価4以下の金属元素以外の元素(酸素は除く)として、リン(5価、非金属元素)がPとして0.1重量%含まれ、TiO純度は97.6重量%であり、BET法で求めた比表面積は12.4m/gであった。
この試料Eに含まれる酸化スズは二酸化チタンの表面積1m当りSnOとして0.04gであり、リンは酸化スズに対してP/Sn原子比で0.17の割合であった。また、この試料Eに含まれるアルミニウム(3価)のSnに対する原子比は0.12であり、ケイ素(4価)が0.0080であり、その他の原子価4以下の金属元素は検出されず、(1)式で表される(A)は0.12であった。
比較例2
実施例1において、高品位ルチル型二酸化チタン粉末の代わりに酸化亜鉛を含むルチル型二酸化チタン粉末を用いたこと以外は同様に処理して、試料Fを得た。
用いた二酸化チタンは、硫酸法で製造したものであり、二酸化チタンのTiに対する原子比で亜鉛(2価)が0.007、ナトリウム(1価)が0.003、アルミニウム(3価)が0.003、ケイ素(4価)が0.0027含まれており、その他の原子価4以下の金属元素は検出されず、式(2)で求められる(B)は0.026であった。また、原子価4以下の金属元素以外の元素(酸素は除く)として、リン(5価、非金属元素)がPとして0.2重量%、ニオブ(5価)がNbとして0.2重量%含まれ、TiO純度は98.4重量%であり、BET法で求めた比表面積は6.7m/gであった。
この試料Fに含まれる酸化スズは二酸化チタンの表面積1m当りSnOとして0.075gであり、リンは酸化スズに対してP/Sn原子比で0.17の割合であった。また、酸化スズのSnに対する原子比でこの試料Fに含まれる亜鉛(2価)は0.025であり、ナトリウム(1価)は0.016であり、アルミニウム(3価)は0.01であり、ケイ素(4価)が0.017であり、その他の原子価4以下の金属元素は検出されず、(1)式で求められる(A)は0.108であった。
試験例1
前記実施例1〜4および比較例1、2で得られた導電性粉末についてその粉体抵抗(Ω・cm)を次の方法で測定し、第1表の結果を得た。この結果から、本発明の実施例の試料A〜Dによれば、良好な粉体抵抗値が得られることがわかる。
(粉体抵抗の評価)
試料粉末1gを円柱状筒(内径18mm)を用いて、9.8MPaの圧力で成型して円柱状圧粉体を得た。その直流抵抗を測定し下記の式から粉体抵抗を算出した。
粉体抵抗(Ω・cm)=測定値(Ω)×断面積(cm)/厚み(cm)
Figure 2005008685
*1:二酸化チタンの表面積1m当りのSnO含有量(g)
試験例2
実施例1〜4および比較例2の導電性粉末各20gをアクリル樹脂(アクリディックA−165−45、固形分45重量%、大日本インキ化学工業製)30.6g、トルエン−ブタノール混合溶液(混合重量比1:1)16.4gおよびガラスビーズ50gと混合した後ペイントシェーカー(Red devil社、#5110)に入れて20分間振とうしてそれぞれのミルベースを調製した。次に、各ミルベースにそれぞれの顔料濃度が第2表のものになるように上記アクリル樹脂および上記トルエン−ブタノール混合溶液をそれぞれ所定量加え、撹拌、混合して塗料を調節した。この塗料をアート紙に乾燥膜厚が22μmとなるように塗布し、24時間自然乾燥して試験紙を作成した。TR−8601(アドバンテスト製、チャンバー:TR−42)またはR−506(川口電気製作所製、チャンバー:P−611)でこのシートの表面抵抗率を測定して第2表の結果を得た。この結果から、本発明の実施例の試料A〜Dによれば、良好な表面抵抗値を有するものが得られることがわかる。
Figure 2005008685
酸化スズ含有量の影響を調べるために、実施例1において、塩化スズ(SnCl)50重量%水溶液173gの代わりに、104g、260g、346gをそれぞれ用いること以外は同様に処理して、試料G、H、Iを調製した。
なお、これらの試料のリン含有量をP/Sn原子比で0.17とするため、実施例1において用いた、85重量%リン酸(HPO)6.1gの代わりにそれぞれ3.7g、9.2g、12.2gを使用した。
得られた試料の粉体抵抗を試験例1に従って測定したところ、第3表に示す結果が得られた。また、得られた試料の表面抵抗率を試験例2に従って測定したところ、第4表に示す結果が得られた。これらの結果から、導電層を形成する酸化スズが二酸化チタンの表面積1m当り、SnOとして少なくとも0.03〜0.3gの範囲であれば、良好な粉体抵抗値、表面抵抗値が得られることがわかる。
Figure 2005008685
*1:二酸化チタンの表面積1m当りのSnO含有量(g)
Figure 2005008685
*1:二酸化チタンの表面積1m当りのSnO含有量(g)
リン含有量の影響を調べるために、実施例1において、リン酸を添加しないこと、85重量%リン酸(HPO)6.1gの代わりに10.2gをそれぞれ用いること以外は同様に処理して、試料J、Kを調製した。
得られた試料の粉体抵抗を試験例1に従って測定したところ、第5表に示す結果が得られた。これらの結果から、導電層に含まれるリンが酸化スズに対してP/Sn原子比で0.10〜0.50の割合であれば、良好な粉体抵抗値が得られることがわかる。
Figure 2005008685
焼成温度の影響を調べるために、実施例1において、850℃での焼成を行わないこと、600℃、700℃、800℃、900℃、950℃、1000℃のそれぞれの温度で空気中焼成すること以外は同様に処理して、試料L、M、N、O、P、Q、Rを調製した。
得られた試料の粉体抵抗を試験例1に従って測定したところ、第6表に示す結果が得られた。これらの結果から、焼成温度として、少なくとも750〜925℃程度が好ましいことがわかる。
Figure 2005008685
塩化スズ、リン酸を添加する際のpHの影響を調べるために、実施例1において、高品位ルチル型二酸化チタン水性懸濁液に、塩化スズ(SnCl)、85重量%リン酸(HPO)および12N−塩酸溶液を混合した溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを該懸濁液のpHを9〜10に維持するように60分間に亘って並行添加し、その後この懸濁液の最終pHを2としたこと以外は実施例1と同様に処理して、試料Sを調製した。
この試料Sの比表面積は17.3m/gであり、導電層の比表面積は49.5m/gであることから、実施例1の試料Aに比べて、より連続した導電層が形成されていることが示され、また、透過型電子顕微鏡写真からも連続した導電層を確認できた。
なお、試料Sに含まれる酸化スズは二酸化チタンの表面積1m当りSnOとして0.075gであり、リンは酸化スズに対してP/Sn原子比で0.17の割合であった。また、この試料Sに含まれる原子価4以下の金属元素は検出限界以下であり、(1)式で表される(A)は0であった。
得られた試料の粉体抵抗を試験例1に従って測定したところ、第7表に示す結果が得られた。これらの結果から、塩化スズ、リン酸を添加する際のpHとして、2〜6程度の酸性域と同様に8〜12程度のアルカリ性域も好ましいことがわかる。
Figure 2005008685
焼成の際の酸素濃度、冷却方式の影響を調べるために、実施例1において、焼成前の被覆された二酸化チタン粉末を空気中で焼成し、焼成後急冷(被焼成物をすぐに取り出し室温中で放冷)したもの、あるいは、空気中で焼成し、焼成後徐冷(300℃まで2時間かけて冷却)したものを調製した(試料T)。さらに、実施例1において、焼成前の被覆された二酸化チタン粉末を酸素濃度7〜8容積%(空気を窒素ガスで希釈)、酸素濃度0容積%(窒素ガス)の雰囲気下で850℃にて1時間焼成し、焼成後前記と同じように急冷方式または徐冷方式で冷却して、試料U、Vを調製した。
得られた試料の粉体抵抗を試験例1に従って測定したところ、第8表に示す結果が得られた。これらの結果から、低酸素濃度雰囲気下、あるいは不活性ガス雰囲気下で焼成した後そのままの状態で冷却する場合、急冷方式と徐冷方式には得られる導電性に大差なく安定しており、冷却方式の影響が少ないこと、一方、空気中で焼成した後そのままの状態で冷却する場合、急冷方式が好ましいことがわかる。
Figure 2005008685
本発明によれば、毒性上の問題のあるアンチモンを実質的に含まない、良好な導電性を有するリンをドープした酸化スズの導電層を有する二酸化チタンが提供される。

Claims (5)

  1. 二酸化チタンの表面に、酸化スズおよびリンを含むがアンチモンを実質的に含まない導電層を有し、導電性粉末に含まれる不純物としての原子価4以下の金属元素の含有量が、下記(1)式で求められる(A)として0.1以下であることを特徴とする導電性粉末。
    (1)式:(A)=(M)×(4−n)+(M)×(4−n)+(M)×(4−n)+(M)×(4−n)+…+(M)×(4−n
    ここで、M、M、M、M、…、Mは、導電性粉末中の酸化スズのSnに対する原子価4以下の金属元素のそれぞれの原子比であり、n、n、n、n、…、nは、M、M、M、M、…、Mの原子比を有する金属元素のそれぞれの価数を示し、M、nのXは、導電性粉末に含まれる前記金属元素の数を示し、1以上の自然数をとり得る。
  2. 前記導電層を形成する酸化スズが二酸化チタンの表面積1m当り、SnOとして0.015〜0.3gの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の導電性粉末。
  3. 前記導電層に含まれるリンが酸化スズに対してP/Sn原子比で0.10〜0.50の割合であることを特徴とする請求項1に記載の導電性粉末。
  4. 二酸化チタンに含まれる、不純物としての原子価4以下の金属元素の含有量が、下記(2)式で求められる(B)として0.02以下であることを特徴とする請求項1に記載の導電性粉末。
    (2)式:(B)=(M´)×(4−n´)+(M´)×(4−n´)+(M´)×(4−n´)+(M´)×(4−n´)+…+(M´)×(4−n´
    ここで、M´、M´、M´、M´、…、M´は、二酸化チタンのTiに対する原子価4以下の金属元素のそれぞれの原子比であり、n´、n´、n´、n´、…、n´は、M´、M´、M´、M´、…、M´の原子比を有する金属元素のそれぞれの価数を示し、M´、n´のYは、二酸化チタンに含まれる前記金属元素の数を示し、1以上の自然数をとり得る。
  5. 二酸化チタンに含まれる、不純物としての原子価4以下の金属元素の含有量が、上記(2)式で求められる(B)として0.02以下である二酸化チタンの水性懸濁液に、スズ化合物およびリン化合物を溶解した酸水溶液とアルカリ水溶液とを該水性懸濁液のpHを2〜6の範囲あるいは8〜12の範囲に維持するように加え、次いで、得られた生成物を分別し、600〜925℃の温度で焼成して、二酸化チタン表面に酸化スズとリンを含む導電層を形成することを特徴とする導電性粉末の製造方法。
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