JP5376822B2 - 透明導電膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電膜の製造方法に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのパネル型ディスプレイや太陽電池等は、光の透過が可能なように、ガラス基板上に酸化インジウム・スズ(ITO)や酸化インジウム・亜鉛(IZO)等の透明導電膜が設けられた構成を有している。
特許文献1には、硝酸インジウム、活剤及び媒体からなる透明導電膜形成用塗布液を基体に塗布し、約350℃以上の温度で熱処理するITO透明導電膜の形成方法が開示されている。
特許文献2には、スズ化合物を溶媒に溶解させたものを基板上に塗布した後に加熱して焼成することにより酸化スズ被膜を得、スズ化合物とインジウム化合物とを溶媒に溶解させたものを酸化スズ被膜上に塗布した後に加熱して焼成するITO透明導電膜の形成方法が開示されている。
特許文献3には、基質を加水分解性シリコン化合物とスズを含む第1溶液に浸漬して引き上げた後に加熱し、その後、基質をインジウムの加水分解性化合物を含む第2溶液に浸漬して引き上げた後に乾燥し、そして、基質を還元雰囲気下で加熱するITO透明導電膜の形成方法が開示されている。
ところで、インジウムは、非常にレアな金属であり、今後の需要の増加に伴って、十分に供給されない可能性がある。そのため、ニオブをドープしたチタン酸化物などの他の材質による透明導電膜の開発が進められている。
非特許文献1には、ガラス基板上にPLD法によりニオブをドープした多結晶のチタン酸化物の透明被膜を形成し、それに対し、水素ガス雰囲気下、500℃で1時間の加熱処理を施すことにより、その体積抵抗率が6×10−4Ω・cmまで低下することが記載されている。
非特許文献2には、無アルカリガラス基板上に反応性スパッタリング法によりニオブをドープしたチタン酸化物の透明被膜を形成し、それに対し、水素ガス雰囲気下、700℃で2時間の加熱処理を施すことにより、その体積抵抗率が6.9×10−3Ω・cmまで低下することが記載されている。
非特許文献3には、ガラス基板上にEB蒸着法によりニオブをドープしたアモルファスのチタン酸化物の透明被膜を形成し、それに対し、真空下、500℃で1時間の加熱処理を施すことにより、その体積抵抗率が1.49Ω・cmまで低下することが記載されている。
非特許文献4には、無アルカリガラス基板上にRFマグネトロンスパッタリング法によりニオブをドープしたチタン酸化物の透明被膜を形成し、それに対し、窒素ガス雰囲気下、500℃で30分の加熱処理を施すことにより、その体積抵抗率が7.1×10Ω・cmから2.2×10Ω・cmまで低下することが記載されている。
特公昭61−046552号公報 特開昭61−096610号公報 特開昭59−213623号公報 第67回応用物理学会学術講演会講演予稿集 (2006) P.568 講演番号30P-RA-16 第67回応用物理学会学術講演会講演予稿集 (2006) P.568 講演番号30P-RA-18 第67回応用物理学会学術講演会講演予稿集 (2006) P.567 講演番号30P-RA-13 Sol Energy Mater Sol Cells 90,2867-2880(2006)
本発明は、新規な透明導電膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の透明導電膜の製造方法は、
チタン化合物と遷移元素化合物とを含有する溶液又は分散液を基材上にコートするコーティングステップと、
上記コーティングステップで基材上にコートした溶液又は分散液を加熱して焼成することにより遷移元素がドープされたチタン酸化物の透明被膜を形成する焼成ステップと、
上記焼成ステップで形成した透明被膜を酸素濃度が1vol%未満のガス雰囲気下で加熱する加熱ステップと、
を備える。
本発明は、溶液又は分散液から遷移元素がドープされたチタン酸化物の透明導電膜を形成するという従来にない新規な透明導電膜の製造方法である。
以下、実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の透明導電膜の製造方法は、チタン化合物と遷移元素化合物とを含有する溶液又は分散液を基材上にコートし、基材上にコートした溶液又は分散液を加熱して焼成することにより遷移元素がドープされたチタン酸化物の透明被膜を形成した後、それを酸素を含有しないガス雰囲気下で加熱処理するものである。このような透明導電膜の製造方法は、溶液又は分散液から遷移元素がドープされたチタン酸化物の透明導電膜を形成する従来にない新規なものである。
以上のようにして製造される透明導電膜は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのパネル型ディスプレイや太陽電池等の透明電極等に適用される。
なお、本出願において、「透明」とは、550nmの光の内部透過率が70%以上であることを意味し、また、「膜」とは、厚さが1000nm以下のものを意味する。
内部透過率とは反射損失を含まない透過率であり、以下の数式により求められる。
内部透過率(%)=透過率(%)×100÷(100−反射率(%))
透過率、反射率は分光光度計を用いて求められる。
<液準備ステップ>
本実施形態の透明導電膜の製造方法では、チタン化合物と遷移元素化合物とを含有する溶液又は分散液を準備する。
チタン化合物としては、加水分解により水酸化チタンを生成する例えばチタンアルコキシドやチタン塩、後述するチタン酸ナノシートのように微細な粒子状のチタン酸化物が挙げられる。これらのチタンアルコキシド及びチタン塩は、いずれか一方を単独で用いても、また、両者を混合して用いてもいずれでもよい。ここで、水酸化チタンは、Ti(OH)、Ti(OH)、Ti(OH)又はHTiOの組成式で表されるものを包含する。
チタンアルコキシドとしては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数2〜4のアルコキシドを有するチタンアルコキシドが好ましく、具体的には、例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ-n-プロポキシド、チタンテトラ-n-ブトキシド、チタンテトラメトキシメトキシド、チタンテトラエトキシエトキシド等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、一般的な入手のし易さ、取り扱い性の観点から、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシドを用いることが好ましい。
チタン塩としては、例えば、四塩化チタンや三塩化チタンや二塩化チタンなどの塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、硝酸チタニル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、一般的な入手のし易さ、取り扱い性の観点から、四塩化チタン、硫酸チタン及び硫酸チタニルを用いることが好ましい。
遷移元素化合物は、原子番号21(スカンジウム)から29(銅)、39(イットリウム)から47(銀)、57(ランタン)から79(金)のいずれかの元素又は原子番号89(アクチニウム)以上のいずれかの元素の化合物である。遷移元素化合物は、原子番号41のニオブや原子番号73のタンタルといった長周期型周期表の5A族元素の化合物であることが好ましく、ニオブ化合物が特に好ましい。遷移元素化合物としては、例えば、遷移元素のアルコキシ化合物、遷移元素塩、遷移元素の錯体の他、微細粒子状の遷移元素の酸化物が挙げられる。遷移元素化合物は、単一種で構成されていても、また、複数種で構成されていてもいずれでもよい。
ニオブ化合物としては、ニオブアルコキシドを用いることが好ましく、例えば、ニオブペンタメトキシド、ニオブペンタエトキシド、ニオブペンタイソプロポキシド、ニオブペンタ−n−プロポキシド、ニオブペンタ−n−ブトキシド、ニオブペンタメトキシメトキシド、ニオブペンタエトキシエトキシド等が挙げられる。
タンタル化合物としては、タンタルアルコキシドを用いることが好ましく、例えば、タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタ−n−プロポキシド、タンタルペンタ−n−ブトキシド、タンタルペンタメトキシメトキシド、タンタルペンタエトキシエトキシド等が挙げられる。
溶液とは、液体状態にある均一な混合物であり、溶質が溶解しているものである。
溶液を構成するための溶媒としては、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t-ブタノール、1-ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等が挙げられる。チタンアルコキシドやチタン塩、或いは、遷移元素のアルコキシドや遷移元素塩の一部のものは、これら溶媒に溶解して透明な溶液を形成することができる。
分散液とは、微細な粒子が浮遊している溶液である。肉眼での観察で透明な場合もあるが、そのような場合でも、浮遊している粒子により光線が散乱されるティンダル現象が起きる。分散液を構成するための分散媒としては、有機カチオンに水を加えたもの等が挙げられ、更に上記溶液の溶媒を用いてもよい。この微細な粒子は、チタンや遷移元素のアルコキシドや塩などが加水分解して結合した酸化物であってもよい。
上記溶液又は分散液には、チタン化合物としてチタンアルコキシド及び/又はチタン塩が含まれ、有機カチオンがさらに含まれていてもよい。
この場合、チタンアルコキシドやチタン塩といったチタン化合物が、有機カチオン(典型的にはアミン類又は4級ホスホニウム水酸化物)の存在下で加水分解され、遷移元素が一部ドープされた形でチタン酸化物が形成される。これは、従来のアナターゼ型やルチル型のチタニアとは異なり、チタン酸又はその塩を含有する厚さがシングルナノスケールのシート、すなわちチタン酸ナノシート(本出願では、遷移元素が一部ドープされたものを含む。)と呼ばれる構造体である。そして、これにより優れた導電性を有する透明導電膜を得ることができる。
チタン酸ナノシートは、チタンを中心として6個の酸素が配位した8面体構造を基本ユニットとし、このユニットが二次元平面状に広がった分子レベルの厚み(nmレベル)を持ったシート構造を有する。このチタン酸ナノシートは、二チタン酸、三チタン酸、四チタン酸、五チタン酸、六チタン酸、レピドクロサイト型等の構造を有するチタン酸ナノシートを包含し、例えば、チタン酸との塩の形態で、有機カチオンをアミン類由来のものとすれば、N/Tiモル比で0.2以下の割合で含まれていると考えられる。
チタン酸ナノシートは、分散液中において、チタン酸ナノシートが1枚ずつばらばらに分散した状態であると推察され、チタン酸ナノシート分散液は、系によっては、チタン酸ナノシートが積層し層を成した状態や、一部凝集したものを含むと考えられる。
このようなチタン酸ナノシートは、ラマンスペクトルで波数が260〜305cm−1、440〜490cm−1及び650〜1000cm−1の領域にそれぞれピークを有する。なお、従来の代表的な酸化チタンであるアナターゼ型チタニアは、ラマンスペクトルで波数が140〜160cm−1、390〜410cm−1、510〜520cm−1及び630〜650cm−1の領域にピークを有し、ルチル型チタニアは、ラマンスペクトルで波数が230〜250cm−1、440〜460cm−1及び600〜620cm−1の領域にピークを有する。チタン酸ナノシートについては、特開2006−182588号公報を参照することができる。
かかるチタン酸ナノシート分散液からなる薄膜形成用塗布材は、透明性に優れることが好ましく、具体的には濁度が30%以下であることが好ましい。なお、濁度はJIS K0101に準拠した方法により求めることができる。
有機カチオンとしては、第1級アミンを由来とするカチオン、第2級アミンを由来とするカチオン、第3級アミンを由来とするカチオン、及び第4級アンモニウム水酸化物を由来とするカチオン、並びに第4級ホスホニウム水酸化物を由来とするカチオンが好ましく、具体的には、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルベンジルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラプロピルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、及びテトラペンチルホスホニウムヒドロキシド等を由来とするカチオンが挙げられる。
有機カチオンは、単一種が含まれていてもよく、また、複数種が含まれていてもよい。
有機カチオンの含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
なお、かかるチタン酸ナノシート分散液は、例えば、アミン類或いは4級ホスホニウム水酸化物の含水溶液とチタン化合物とを混合することにより、また、アミン類或いは4級ホスホニウム水酸化物とチタン化合物との混合液と水とを混合することにより、さらに、チタン化合物の加水分解により得られた水酸化チタンをアミン類或いは4級ホスホニウム水酸化物と混合することによって得ることができる。また、チタン化合物と遷移元素化合物とは、アルコール等に溶解させて還流した後に溶媒を留去することにより得られる原料混合物の形態にしておいてもよい。さらに、有機カチオンを混合する場合、有機カチオンを水以外の相溶性の高い溶媒、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール等のアルコールに予め溶解させておいてもよい。
上記溶液又は分散液のチタン化合物の含有量は、例えばTiOに換算して0.5〜50質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。チタン化合物と遷移元素化合物との含有比率は、遷移元素とチタン元素の原子比で1:99〜30:70であることが好ましく、5:95〜20:80であることがより好ましい。従って、液中の遷移元素化合物は、チタン化合物と原子比から設定される。
ここで、原子比とは、元素の原子数の相対比を意味し、当業者によって、atom ratio 或いはat.として表現されるものである。なお、本出願では、透明導電膜に含まれるチタン元素と遷移元素との比率の規定以外に、原料となるチタン化合物及び遷移元素化合物を含有する溶液や分散液中の各化合物濃度の規定にもこれを用いる。
溶液又は分散液には、その他に塩酸や硝酸などの酸が含まれていてもよい。
溶液を得る方法は、例えば、各成分を混合して攪拌機などで攪拌する方法の他、それに還流や希釈を組み合わせる方法等が挙げられる。
分散液を得る方法は、例えば、各成分を混合した後、スターラー、攪拌機、ホモジナイザーや分散器などで分散させる方法等が挙げられる。
<コーティングステップ>
本実施形態の透明導電膜の製造方法では、チタン化合物と遷移元素化合物とを含有する溶液又は分散液を基材上にコートする。
ここで、基材としては、例えば、石英基板、ガラス基板、耐熱プラスチック基板等が挙げられる。
コーティング方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、浸漬法等が挙げられる。
<焼成ステップ>
本実施形態の透明導電膜の製造方法では、基材上にコートした溶液又は分散液を加熱して焼成することにより遷移元素がドープされたチタン酸化物の透明被膜を形成する。つまり、溶液や分散液から溶媒や分散媒を飛散させると共に、チタン化合物及び遷移元素化合物を熱分解して遷移元素がドープされたチタン酸化物の透明被膜を形成する。
このとき、焼成における温度条件を300〜1000℃とすることが好ましく、500〜800℃とすることがより好ましい。保持時間条件は0.1時間以上とすることが好ましく、生産性、消費エネルギーを考慮すると24時間以下とすることが好ましく、0.1〜2時間とすることがより好ましい。なお、保持時間は温度条件が満たされる間の時間である。また、焼成のための昇温速度は例えば0.1〜10K/分であり、焼成後の室温までの冷却時間は例えば1〜24時間である。
加熱炉としては、特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、株式会社モトヤマ社製の型式SS−2030KPRDや型式SL−2035Dを例示することができる。
加熱炉の炉内雰囲気は、大気雰囲気としても、不活性ガス雰囲気や還元性ガス雰囲気などの実質的に酸素を含有しないガス雰囲気(酸素濃度が1vol%未満のガス雰囲気)としてもよい。
また、このとき得られる透明被膜は、膜厚が例えば10〜1000nmであり、表面抵抗率に膜厚を乗じた体積抵抗率が例えば10Ω・cm以上である。
なお、以上のコーティングステップ及び焼成ステップは繰り返し行ってもよい。
<加熱ステップ>
本実施形態の透明導電膜の製造方法では、基材上の透明被膜を、酸素濃度が1vol%未満のガス雰囲気下で加熱処理する。これにより透明被膜の低抵抗化が図られ透明導電膜が製造される。
このとき、加熱処理を酸素濃度が1vol%未満のガス雰囲気下で行うが、酸素濃度を、下限を0vol%として、0〜100ppmとすることが好ましく、0〜50ppmとすることがより好ましく、0〜10ppmとすることが最も好ましい。なお、酸素濃度の測定は、例えば、ZrO酸素センサーである東レエンジニアリング社製の型式LC−750L等によって測定することができる。
酸素濃度が1vol%未満のガスとしては、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガス、及び/又は、水素ガスなどの還元性ガスを主成分とするガスが挙げられる。これらのうち、汎用性の観点から、不活性ガスの窒素ガスを用いることが好ましい。また、不活性ガスを単一種で構成してもよいが、透明導電膜のより低抵抗率化を発現させるためには、水素ガスなどの還元性ガスを1vol%以上含有したものを用いることがより好ましい。特に、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを用いることが好ましく、具体的な混合体積割合N:Hが1:99〜100:0のものが好ましく、1:99〜4:96のものがより好ましい。
加熱炉内には、常時、酸素濃度が1vol%未満のガスの新気を供給することが好ましい。
加熱処理における温度条件を300〜1000℃とすることが好ましく、500〜800℃とすることがより好ましい。保持時間条件を0.1時間以上24時間以下とすることが好ましく、5〜120分間とすることがより好ましい。なお、保持時間は温度条件が満たされる間の時間である。また、加熱処理のための昇温速度は例えば0.1〜10K/分であり、加熱処理後の室温までの冷却時間は例えば1〜24時間である。冷却は、加熱を停止して放冷しても、温度制御しながら行っても、いずれでもよい。
加熱炉としては、特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、株式会社モトヤマ社製の型式MBA−2040D−SPを例示することができる。
また、このとき得られる透明導電膜は、膜厚が例えば10〜1000nmであり、体積抵抗率が例えば10−4〜10Ω・cmである。また、550nmの光の透過率が70〜95%である。
なお、この加熱ステップは、焼成ステップにおいて加熱炉内で透明被膜が形成された基板を冷却し、それを同じ又は別の加熱炉で加熱処理するものであっても、また、焼成ステップにおいて加熱炉内で透明被膜を形成し、冷却することなく同じ加熱炉内で引き続いて加熱処理するものであってもよい。
(試験評価用試料)
以下の実施例の透明導電膜及び比較例の透明被膜を作製した。
<実施例1>
チタンテトラエトキシド17.6gとニオブペンタエトキシド4.3gとをエタノール55.9gに溶解させた後に12時間還流した。これに塩酸(有効分濃度:36質量%)1.7gを加えて、攪拌機を用いて室温で1時間撹拌した後、さらにエタノール119.3gを加えた溶液を得た。この溶液は、最終的に作製される透明導電膜中のニオブ元素とチタン元素の含有比が15:85(原子比)となるようにしたものである。
次に、上記で得た溶液を厚さ1.1mmの平滑な無アルカリガラスの基板(コーニング1737)上に滴下し、スピナー(株式会社エイブル社製 ASS−303L)を用いて3000回転/分で面内回転させることにより基板上に溶液をスピンコートした。
続いて、溶液をコーティングした基板を加熱炉(株式会社モトヤマ社製 型式SS−2030KPRD)に入れ、昇温速度を1K/分として室温から500℃まで炉内温度を上げ、500℃に達した状態で30分間保持する焼成処理を行った後、約12時間かけて室温まで放冷した。このとき、炉内は大気雰囲気とした。これにより基板上にはニオブがドープされたチタン酸化物の透明被膜が形成された。
基板上の透明被膜上に溶液を滴下してスピンコートし、それを加熱して焼成する上記の焼成処理をさらに4回繰り返し、合計5回の透明被膜の被膜形成を行った。
最後に、透明被膜が形成された基板を加熱炉(株式会社モトヤマ社製 型式MBA2040D−SP)に入れ、昇温速度を1K/分として室温から500℃まで炉内温度を上げ、500℃に達した状態で30分間保持する加熱処理を行った後、約12時間かけて室温まで放冷した。このとき、炉内に窒素ガス(酸素濃度1ppm未満)を導入して炉内を窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気)とした。これにより基板上にはニオブがドープされたチタン酸化物の透明導電膜が形成された。
以上のようにして得られた透明導電膜を実施例1とした。
<実施例2>
透明被膜の加熱処理の際、炉内に還元性ガス(ガス組成(体積比) 水素:窒素=4:96、酸素濃度1ppm未満)を導入して炉内を還元性ガス雰囲気としたことを除いて、実施例1と同様にして得られた透明導電膜を実施例2とした。
<比較例1>
加熱処理を施していないことを除いて、実施例1と同様にして得られた透明被膜を比較例1とした。
<実施例3>
焼成処理及び加熱処理のそれぞれの温度条件を600℃としたことを除いて、実施例1と同様にして得られた透明導電膜を実施例3とした。
<実施例4>
透明被膜の加熱処理の際、炉内に還元性ガス(ガス組成(体積比) 水素:窒素=4:96、酸素濃度1ppm未満)を導入して炉内を還元性ガス雰囲気としたことを除いて、実施例3と同様にして得られた透明導電膜を実施例4とした。
<比較例2>
加熱処理を施していないことを除いて、実施例3と同様にして得られた透明被膜を比較例2とした。
<実施例5>
基板として、厚さ1.5mmの平滑な石英基板を用い、また、焼成処理の加熱炉として、株式会社モトヤマ社製の型式SL−2035Dを用い、さらに、焼成処理及び加熱処理のそれぞれの温度条件を700℃としたことを除いて、実施例1と同様にして得られた透明導電膜を実施例5とした。
<実施例6>
透明被膜の加熱処理の際、炉内に還元性ガス(ガス組成(体積比) 水素:窒素=4:96、酸素濃度1ppm未満)を導入して炉内を還元性ガス雰囲気としたことを除いて、実施例5と同様にして得られた透明導電膜を実施例6とした。
<比較例3>
加熱処理を施していないことを除いて、実施例5と同様にして得られた透明被膜を比較例3とした。
<実施例7>
基板として、厚さ1.5mmの平滑な石英基板を用い、また、焼成処理の加熱炉として、株式会社モトヤマ社製の型式SL−2035Dを用い、さらに、焼成処理及び加熱処理のそれぞれの温度条件を750℃としたことを除いて、実施例1と同様にして得られた透明導電膜を実施例7とした。
<実施例8>
透明被膜の加熱処理の際、炉内に還元性ガス(ガス組成(体積比) 水素:窒素=4:96、酸素濃度1ppm未満)を導入して炉内を還元性ガス雰囲気としたことを除いて、実施例7と同様にして得られた透明導電膜を実施例8とした。
<比較例4>
加熱処理を施していないことを除いて、実施例7と同様にして得られた透明被膜を比較例4とした。
<実施例9>
チタンテトラエトキシド21.0gとニオブペンタエトキシド1.5gとをエタノール58.3gに溶解させた後に12時間還流した。これに塩酸(有効分濃度:36質量%)1.9gを加えて、攪拌機を用いて室温で1時間撹拌した後、さらにエタノール124.1gを加えた溶液を得た。この溶液は、最終的に作製される透明導電膜中のニオブ元素とチタン元素との含有比が5:95(原子比)となるようにしたものである。
次に、上記で得た溶液を厚さ1.5mmの平滑な石英基板上に滴下し、スピナーを用いて3000回転/分で面内回転させることにより基板上に溶液をスピンコートした。
続いて、溶液をコーティングした基板を加熱炉(株式会社モトヤマ社製 型式SL−2035D)に入れ、昇温速度を1K/分として室温から750℃まで炉内温度を上げ、750℃に達した状態で30分間保持する焼成処理を行った後、約12時間かけて室温まで放冷した。このとき、炉内は大気雰囲気とした。これにより基板上にはニオブがドープされたチタン酸化物の透明被膜が形成された。
基板上の透明被膜上に溶液を滴下してスピンコートし、それを加熱して焼成する上記の焼成処理をさらに4回繰り返し、合計5回の透明被膜の被膜形成を行った。
最後に、透明被膜が形成された基板を加熱炉(株式会社モトヤマ社製 型式MBA2040D−SP)に入れ、昇温速度を1K/分として室温から750℃まで炉内温度を上げ、750℃に達した状態で30分間保持する加熱処理を行った後、約12時間かけて室温まで放冷した。このとき、炉内に窒素ガス(酸素濃度1ppm未満)を導入して炉内を窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気)とした。これにより基板上にはニオブがドープされたチタン酸化物の透明導電膜が形成された。
以上のようにして得られた透明導電膜を実施例9とした。
<実施例10>
透明被膜の加熱処理の際、炉内に還元性ガス(ガス組成(体積比) 水素:窒素=4:96、酸素濃度1ppm未満)を導入して炉内を還元性ガス雰囲気としたことを除いて、実施例9と同様にして得られた透明導電膜を実施例10とした。
<比較例5>
加熱処理を施していないことを除いて、実施例9と同様にして得られた透明被膜を比較例5とした。
<実施例11>
チタンテトラエトキシド16.2gとニオブペンタエトキシド5.7gとをエタノール57.6gに溶解させた後に12時間還流した。これに塩酸(有効分濃度:36質量%)1.8gを加えて、攪拌機を用いて室温で1時間撹拌した後、さらにエタノール122.1gを加えた溶液を得た。この溶液は、最終的に作製される透明導電膜中のニオブ元素とチタン元素との含有比が20:80(原子比)となるようにしたものである。
次に、上記で得た溶液を1.5mmの平滑な石英基板上に滴下し、スピナーを用いて3000回転/分で面内回転させることにより基板上に溶液をスピンコートした。
続いて、溶液をコーティングした基板を加熱炉(株式会社モトヤマ社製 型式SL−2035D)に入れ、昇温速度を1K/分として室温から750℃まで炉内温度を上げ、750℃に達した状態で30分間保持する焼成処理を行った後、約12時間かけて室温まで放冷した。このとき、炉内は大気雰囲気とした。これにより基板上にはニオブがドープされたチタン酸化物の透明被膜が形成された。
基板上の透明被膜上に溶液を滴下してスピンコートし、それを加熱してそれを加熱して焼成する上記の焼成処理をさらに4回繰り返し、合計5回の透明被膜の被膜形成を行った。
最後に、透明被膜が形成された基板を加熱炉(株式会社モトヤマ社製 型式MBA2040D−SP)に入れ、昇温速度を1K/分として室温から750℃まで炉内温度を上げ、750℃に達した状態で30分間保持する加熱処理を行った後、約12時間かけて室温まで放冷した。このとき、炉内に窒素ガス(酸素濃度1ppm未満)を導入して炉内を窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気)とした。これにより基板上にはニオブがドープされたチタン酸化物の透明導電膜が形成された。
以上のようにして得られた透明導電膜を実施例9とした。
<実施例12>
透明被膜の加熱処理の際、炉内に還元性ガス(ガス組成(体積比) 水素:窒素=4:96、酸素濃度1ppm未満)を導入して炉内を還元性ガス雰囲気としたことを除いて、実施例11と同様にして得られた透明導電膜を実施例12とした。
<比較例6>
加熱処理を施していないことを除いて、実施例11と同様にして得られた透明被膜を比較例6とした。
<実施例13>
チタンテトラエトキシド8.5gとタンタルテトラエトキシド2.7gとをエタノール27.2gに溶解させた後に12時間還流した。これに塩酸(有効分濃度:36質量%)0.9gを加えて、攪拌機を用いて室温で1時間撹拌した後、さらにエタノール59.0gを加えた溶液を得た。
次に、上記で得た溶液を1.5mmの平滑な石英基板上に滴下し、スピナーを用いて3000回転/分で面内回転させることにより基板上に溶液をスピンコートした。
続いて、溶液をコーティングした基板を加熱炉(株式会社モトヤマ社製 型式SL−2035D)に入れ、昇温速度を1K/分として室温から750℃まで炉内温度を上げ、750℃に達した状態で30分間保持する焼成処理を行った後、約12時間かけて室温まで放冷した。このとき、炉内は大気雰囲気とした。これにより基板上にはタンタルがドープされたチタン酸化物の透明被膜が形成された。
基板上の透明被膜上に溶液を滴下してスピンコートし、それを加熱して焼成する上記の焼成処理をさらに4回繰り返し、合計5回の透明被膜の被膜形成を行った。
最後に、透明被膜が形成された基板を加熱炉(株式会社モトヤマ社製 型式MBA2040D−SP)に入れ、昇温速度を1K/分として室温から750℃まで炉内温度を上げ、750℃に達した状態で30分間保持する加熱処理を行った後、約12時間かけて室温まで放冷した。このとき、炉内に窒素ガス(酸素濃度1ppm未満)を導入して炉内を窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気)とした。これにより基板上にはタンタルがドープされたチタン酸化物の透明導電膜が形成された。
以上のようにして得られた透明導電膜を実施例13とした。
<実施例14>
透明被膜の加熱処理の際、炉内に還元性ガス(ガス組成(体積比) 水素:窒素=4:96、酸素濃度1ppm未満)を導入して炉内を還元性ガス雰囲気としたことを除いて、実施例13と同様にして得られた透明導電膜を実施例14とした。
<比較例7>
加熱処理を施していないことを除いて、実施例13と同様にして得られた透明被膜を比較例7とした。
<実施例15>
チタンエトキシド9.5gとニオブエトキシド1.5gとをエタノール27.0gに溶解させて12時間還流した後、ロータリーエバポレーターを用いてエタノールを留去することにより原料アルコキシド11.2gを得た。
ジエチルアミン(和光純薬工業社製)1.6g(ジエチルアミン:22mmol)に水81.6gを混合し、これを室温下で撹拌しながら、原料アルコキシドを少しずつ10.7g(Ti:39.7mmol,Nb:4.4mmol)滴下した。このとき、原料アルコキシドの滴下直後には、それが加水分解して白濁したが、撹拌を継続すると無色透明の分散液となった。この分散液は、ジエチルアミンの濃度が1.7質量%、金属酸化物の濃度が4.0質量%、チタンとニオブとの合計のアミン(有機カチオン)に対するモル比が2であり、最終的に作製される透明導電膜中のニオブ元素とチタン元素との含有比が10:90(原子比)となるようにしたものである。また、ラマン分光光度計(日本分光社製)にてラマンスペクトルを確認したところ、この分散液は、440〜490cm−1及び650〜1000cm−1の領域にそれぞれピークを有する、つまり、チタン酸ナノシート分散液であった。
次に、上記で得た分散液を厚さ1.5mmの平滑な石英の基板上に滴下し、スピナー(共和理研社製 K359SD1)を用いて3000回転/分で面内回転させることにより基板上に溶液をスピンコートした。
続いて、分散液をコーティングした基板を加熱炉(モトヤマ社製 型式SS−2030KPRD)に入れ、昇温速度を5K/分として室温から750℃まで炉内温度を上げ、750℃に達した状態で30分間保持した後、約12時間かけて室温まで放冷した。このとき、炉内は大気雰囲気とした。これにより基板上にはニオブがドープされたチタン酸化物の透明被膜が形成された。
基板上の透明被膜上に分散液を滴下してスピンコートし、それを加熱して焼成する処理をさらに4回繰り返し、合計5回の透明被膜の被膜形成を行った。
最後に、透明被膜が形成された基板を加熱炉(モトヤマ社製 型式MBA2040D−SP)に入れ、昇温速度を5K/分として室温から750℃まで炉内温度を上げ、750℃に達した状態で30分間保持した後、約12時間かけて室温まで放冷した。このとき、炉内に還元ガス(ガス組成(体積比) 水素:窒素=4:96、酸素濃度1vol%未満)を流通させて炉内を不活性ガス雰囲気とした。これにより基板上にはニオブがドープされたチタン酸化物の透明導電膜が形成された。
以上のようにして得られた透明導電膜を実施例15とした。
<比較例8>
加熱処理を施していないことを除いて、実施例15と同様にして得られた透明被膜を比較例8とした。
<実施例16>
チタンエトキシド45.2gとニオブエトキシド7.0gとをエタノール135.3gに溶解させて12時間還流した後、ロータリーエバポレーターを用いてエタノールを留去することにより原料アルコキシド57.2gを得た。
トリエチルアミン(和光純薬工業社製)1.1g(トリエチルアミン:11mmol)に水37.33gを混合し、これを室温下で撹拌しながら、原料アルコキシドを少しずつ5.73g(Ti:19.8mmol,Nb:2.2mmol)滴下した。このとき、原料アルコキシドの滴下直後には、それが加水分解して白濁したが、撹拌を継続すると無色透明の分散液となった。この分散液は、トリエチルアミンの濃度が2.4質量%、金属酸化物の濃度が4.0質量%、チタンとニオブとの合計のアミン(有機カチオン)に対するモル比が2であり、最終的に作製される透明導電膜中のニオブ元素とチタン元素との含有比が10:90(原子比)となるようにしたものである。
この分散液を用いて実施例15と同様にして得られた透明導電膜を実施例16とした。
<比較例9>
加熱処理を施していないことを除いて、実施例16と同様にして得られた透明被膜を比較例9とした。
(試験評価方法)
<膜厚>
実施例1〜14及び比較例1〜7のそれぞれについて、割断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製 FE-SEM S-4000)を用いて観察し、被膜の膜厚を測定した。
また、実施例15及び16並びに比較例8及び9のそれぞれについて、蛍光X線分析装置(リガク社製 ZSX100e)を用いて分析した。そして、被膜中のTiの蛍光X線(XRF)強度により膜厚を算出した。なお、事前に、標準試料の割断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製FE-SEM S-4000)を用いて観察して膜厚を測定し、その標準試料の蛍光X線強度により検量線を作成した。
<体積抵抗率>
実施例1〜16及び比較例1〜9のそれぞれについて、四端子式抵抗率計(三菱化学社製 Loresta-GP MCP-T600)を用い、被膜の表面抵抗率を測定した。
そして、表面抵抗率に膜厚を乗じて体積抵抗率を算出した。
<内部透過率>
実施例1〜16及び比較例1〜9のそれぞれについて、基板も含めて分光光度計(日立製作所社製 U-3300)を用いて波長550nmの光の透過率を、分光光度計(シマズ製作所社製 Solid Spec−3700)を用いて波長550nmの光の反射率を測定した。なお、実施例1〜16及び比較例1〜9で用いた石英基板は、膜自体の透明性を明確にするため、550nmの光に対して、少なくとも80%以上の透過率を有するものである。
(試験評価方法)
実施例1〜14及び比較例1〜7について、表1は膜厚、表2は表面抵抗率、表3は体積抵抗率、表4は透過率のそれぞれの結果を示す。実施例15及び16並びに比較例8及び9について、表5は、膜厚、表面抵抗率、体積抵抗率、及び透過率の結果を示す。
Figure 0005376822
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以上の結果によれば、加熱処理の有無が異なる実施例1及び2と比較例1、実施例3及び4と比較例2、実施例5及び6と比較例3、実施例7及び8と比較例4、実施例9及び10と比較例5、実施例11及び12と比較例6、実施例13及び14と比較例7、実施例15と比較例8、並びに実施例16と比較例9をそれぞれ比較すれば、加熱処理を行うことにより被膜が低抵抗化していることが分かる。
加熱処理時の炉内雰囲気ガスが異なる実施例1と実施例2、実施例3と実施例4、実施例5と実施例6、実施例7と実施例8、実施例9と実施例10、実施例11と実施例12、並びに、実施例13と実施例14をそれぞれ比較すれば、不活性ガス雰囲気下よりも還元性ガス雰囲気下の方が被膜の低抵抗化に有効であることが分かる。
焼成処理及び加熱処理の温度条件が異なる実施例1と実施例3と実施例5と実施例7、及び、実施例2と実施例4と実施例6と実施例8をそれぞれ比較すれば、700℃までは高温ほど低抵抗化に有効で、700℃と750℃とではその効果が同等であることが分かる。
ニオブ元素含有量が異なる実施例7と実施例9と実施例11、及び、実施例8と実施例10と実施例12をそれぞれ比較すれば、ニオブ元素とチタン元素の含有比が15:85(原子比)で抵抗率が最も低くなることが分かる。
本発明は、透明導電膜の製造方法について有用である。

Claims (8)

  1. チタン化合物と遷移元素化合物とを含有する溶液又は分散液を基材上にコートするコーティングステップと、
    上記コーティングステップで基材上にコートした溶液又は分散液を加熱して焼成することにより遷移元素がドープされたチタン酸化物の透明被膜を形成する焼成ステップと、
    上記焼成ステップで形成した透明被膜を酸素濃度が1vol%未満のガス雰囲気下で加熱する加熱ステップと、
    を備えた透明導電膜の製造方法であって、
    上記チタン化合物がチタンアルコキシド及び/又はチタン塩であって、上記溶液又は分散液が、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、及び第4級アンモニウム水酸化物、並びに第4級ホスホニウム水酸化物から選ばれる少なくとも1種を由来とする有機カチオンをさらに含有する透明導電膜の製造方法。
  2. 上記溶液中又は分散液中においてチタン化合物がチタン酸ナノシートの構造体を形成している請求項に記載された透明導電膜の製造方法。
  3. チタン化合物と遷移元素化合物とを含有する溶液又は分散液を基材上にコートするコーティングステップと、
    上記コーティングステップで基材上にコートした溶液又は分散液を加熱して焼成することにより遷移元素がドープされたチタン酸化物の透明被膜を形成する焼成ステップと、
    上記焼成ステップで形成した透明被膜を酸素濃度が1vol%未満のガス雰囲気下で加熱する加熱ステップと、
    を備えた透明導電膜の製造方法であって、
    上記チタン化合物がチタンアルコキシド及び/又はチタン塩であって、上記溶液又は分散液が有機カチオンをさらに含有し、
    上記溶液中又は分散液中において上記チタン化合物がチタン酸ナノシートの構造体を形成している透明導電膜の製造方法。
  4. 上記遷移元素化合物が長周期型周期表の5A族元素の化合物である請求項1乃至のいずれかに記載された透明導電膜の製造方法。
  5. 上記5A族元素がニオブである請求項に記載された透明導電膜の製造方法。
  6. 上記酸素濃度が1vol%未満のガスが不活性ガス及び/又は還元性ガスを主成分とするガスである請求項1乃至のいずれかに記載された透明導電膜の製造方法。
  7. 上記酸素濃度が1vol%未満のガスの主成分である不活性ガスが窒素ガスである請求項に記載された透明導電膜の製造方法。
  8. 上記焼成ステップにおける加熱温度条件を300〜1000℃及び保持時間条件を0.1時間以上24時間以下とする請求項1乃至のいずれかに記載された透明導電膜の製造方法。
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