JP2010050088A - 透明導電性基板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた導電性を発現する酸化チタン系透明導電性基板を製造する、透明導電性基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 ドーパントとしてニオブまたはタンタルがドープされたドープ酸化チタンのアモルファスまたは酸化チタンのアモルファスからなる第一の膜の上に、該第一の膜を構成するドープ酸化チタンまたは酸化チタンのドーパント含有比率よりも高い含有比率で前記ドーパントがドープされたドープ酸化チタンのアモルファスからなる第二の膜が積層されてなる積層膜を、透明基材上に形成した後に、還元雰囲気下にて加熱によるアニール処理を施して、ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなる透明導電性膜を形成することにより、比抵抗が9×10-3Ω・cm以下の透明導電性基板を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた導電性を発現する酸化チタン系透明導電性膜を備えた透明導電性基板とその製造方法に関する。
従来から、太陽電池や液晶表示装置等に用いられる透明導電性基板としては、例えば酸化インジウム錫(ITO)膜やAlをドープした酸化亜鉛(ZnO)膜などの導電性膜を設けたものが汎用されている。しかし、ITO膜は希少金属であるIn(インジウム)を必須とするので、他の金属への代替が要望されているという実情があり、また、AlをドープしたZnO膜は両性元素を含むので吸湿しやすく用途が制限されることがあるという欠点があった。そこで、近年、酸化チタンを用いた透明導電性基板の開発が進められている。
酸化チタンを用いた透明導電性基板の製造方法としては、これまでに、無アルカリガラス等の透明基材の上にスパッタ法やPLD(パルスレーザーデポジション)法によってニオブドープ酸化チタンのアモルファス薄膜を形成し、還元雰囲気下でアニール処理して結晶化させる方法が知られている(非特許文献1参照)。しかし、このような方法で得られた酸化チタン膜は、未だ従来のITO膜やZnO膜と同等の導電性を発現するには至っていないのが現状であり、酸化チタン系透明導電性基板の実用化に向けては、透明導電性膜の導電性のさらなる向上が求められている。
「最新透明導電膜大全集〜材料別特注と代替展望/サイクル・工程別ノウハウ・応用別要求特性等〜」、株式会社情報機構発行、2007年12月17日、p187〜p198
そこで、本発明の課題は、優れた導電性を発現する酸化チタン系透明導電性膜を形成する、透明導電性基板の製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、ニオブまたはタンタルをドーパントとするドープ酸化チタンのアモルファス薄膜を還元雰囲気下でのアニール処理によってアナターゼ結晶相へ転移させ酸素欠損を生じさせようとする際の結晶化温度が、ドープ酸化チタンのドーパント含有比率に比例することを見出した。そして、この知見に基づき、前記ドープ酸化チタンのアモルファス薄膜を透明基材上に形成し、これを還元雰囲気下でアニール処理することにより透明導電性膜を形成するにあたり、このアモルファス薄膜と透明基材との間にドーパント含有比率が異なる別の酸化チタン系アモルファス薄膜(第一の膜)を介在させるようにし、この透明基材に接する酸化チタン系アモルファス薄膜(第一の膜)を、これより上に形成されるアモルファス薄膜(第二の膜)を構成するドープ酸化チタンのドーパント含有比率よりも低いドーパント含有比率の酸化チタンで形成することにより、アニール処理における温度上昇において、まず下層(透明基材側の膜)の酸化チタン系アモルファス薄膜(第一の膜)がアナターゼ結晶相に変化し始め、これが種晶として結晶核の働きをなし、その上に形成されたドープ酸化チタンのアモルファス薄膜(第二の膜)の結晶化が促進されることを見出した。本発明は、このような知見により完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)ドーパントとしてニオブまたはタンタルがドープされたドープ酸化チタンのアモルファスまたは酸化チタンのアモルファスからなる第一の膜の上に、該第一の膜を構成するドープ酸化チタンまたは酸化チタンのドーパント含有比率よりも高い含有比率で前記ドーパントがドープされたドープ酸化チタンのアモルファスからなる第二の膜が積層されてなる積層膜を、透明基材上に形成した後に、還元雰囲気下にて加熱によるアニール処理を施して、ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなる透明導電性膜を形成する、ことを特徴とする比抵抗が9×10-3Ω・cm以下の透明導電性基板の製造方法。
(2)前記積層膜は、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物を含む前駆体液、または(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を塗布して加熱することにより形成する、前記(1)記載の透明導電性基板の製造方法。
(3)前記(A)チタン化合物および前記(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物として水酸化物を用いる、前記(2)記載の透明導電性基板の製造方法。
(4)還元雰囲気下におけるアニール処理の加熱温度が450〜550℃である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の透明導電性基板の製造方法。
(5)還元雰囲気下におけるアニール処理の加熱温度が550℃超であり、前記第二の膜を構成するドープ酸化チタンのニオブまたはタンタルの含有比率が10モル%超である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の透明導電性基板の製造方法。
(6)アナターゼ型結晶相を有する透明導電性膜を形成する、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の透明導電性基板の製造方法。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法によって得られた透明導電性基板。
本発明によれば、優れた導電性を発現する酸化チタン系透明導電性膜を備えた透明導電性基板を提供することができる。詳しくは、本発明によれば、上述したように、ニオブまたはタンタルがドープされたドープ酸化チタンのアモルファス薄膜(第二の膜)の結晶化が促進されるので、その結果、抵抗の低い透明導電性膜が形成され、優れた導電性を発現させることができるのである。また、ニオブまたはタンタルがドープされたドープ酸化チタンのアモルファス薄膜(第二の膜)の結晶化が促進されると、アニール処理の温度を比較的低温に設定できるという効果も得られ、これにより透明基材の選択における制約が低減され、例えば可撓性を有する耐熱温度が低い樹脂フィルムを透明基材として用いることで、いわゆるロールtoロール法での透明導電性基板の製造も可能となる。
実施例1で得られた透明導電性基板における導電性膜のX線回折ピークを示したグラフである。 比較例1で得られた透明導電性基板における導電性膜のX線回折ピークを示したグラフである。
本発明の透明導電性基板の製造方法においては、ドーパントとしてニオブまたはタンタルがドープされたドープ酸化チタンのアモルファスまたは酸化チタンのアモルファスからなる第一の膜の上に、該第一の膜を構成するドープ酸化チタンまたは酸化チタンのドーパント含有比率よりも高い含有比率で前記ドーパントがドープされたドープ酸化チタンのアモルファスからなる第二の膜が積層されてなる積層膜を、透明基材上に形成する。以下、前記積層膜の形成の一実施形態として、まず、透明基材上に第一の膜を形成し、次いで、該第一の膜の上に第二の膜を形成する方法について説明する。
前記第一の膜の形成は、酸化チタン系アモルファス薄膜を形成できる方法であれば、どのような方法で行ってもよく、例えば、従来公知のスパッタ法やPLD法のような真空系で成膜する方法で行なってもよいし、金属酸化物粒子を含むスラリーあるいは溶液を基材に塗布した後に加熱する、いわゆる塗布法で行なってもよい。ただし、スパッタ法やPLD法のように真空系で成膜する方法では、大掛かりな装置が必要で設備的なコストが嵩み、ひいては製品コストの高騰が懸念されるので、工業的な大量生産には、既存の設備を用いて簡便な操作で安価に実施することができる塗布法が適している。
前記第一の膜を塗布法で形成する場合、具体的には、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物を含む前駆体液(以下、第一の膜の形成に用いるこの前駆体液を「前駆体液(I)」とする)、または(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物(以下、「ニオブ化合物またはタンタル化合物」を纏めて「ドーパント化合物」と称し、「ニオブまたはタンタル」を纏めて「ドーパント」と称することもある)に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液(以下、第一の膜の形成に用いるこの前駆体液を「前駆体液(II)」とする)を、透明基材に塗布して加熱する方法が好ましく挙げられる。
前記前駆体液(I)は(A)チタン化合物がペルオキシ化されてなる錯体(ペルオキシ錯体)を含むものである。該ペルオキシ錯体は加熱により酸化チタンとなる金属酸化物前駆体であり、前駆体液(I)により形成される膜は酸化チタンからなる。
他方、前記前駆体液(II)は、(A)チタン化合物および(B)ドーパント化合物がペルオキシ化されてなる錯体(ペルオキシ錯体)を含むものである。該ペルオキシ錯体は加熱によりニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンとなる金属酸化物前駆体であり、前駆体液(II)により形成される膜はニオブまたはタンタルがドープされたドープ酸化チタンからなる。
前記前駆体液(II)は、i)(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させることにより得られた反応生成物であるチタンのペルオキシ錯体と、(B)ドーパント化合物に過酸化水素を反応させることにより得られた反応生成物であるドーパントのペルオキシ錯体とを所望の割合で混合して得られたものであってもよいし、ii)(A)チタン化合物と(B)ドーパント化合物とを予め所望の割合で混合した混合物に対して過酸化水素を反応させることにより得られたものであってもよい。
前記前駆体液(II)を得るに際し、(A)チタン化合物もしくは該チタン化合物由来のペルオキシ錯体と、(B)ドーパント化合物もしくは該ドーパント化合物由来のペルオキシ錯体との混合割合は、特に制限されるものではなく、その前駆体液で形成しようとする膜に所望されるドーパント(ニオブまたはタンタル)含有比率となるように適宜設定すればよい。ドープ酸化チタンのドーパント含有比率は、通常、0.1〜40モル%、好ましくは5〜30モル%の範囲で設定するのがよい。ドーパント含有比率が前記範囲よりも小さいと、ドープ効果が不充分となり、導電性が低下するおそれがあり、一方、ドーパント含有比率が前記範囲よりも大きくても、導電性が低下したり、膜の透明性が低下したりするおそれがある。
前記前駆体液(I)または前記前駆体液(II)を得るに際し、過酸化水素による反応(すなわち、ペルオキシ化反応)は、例えば、チタン化合物、ドーパント化合物またはこれらの混合物を適当な溶媒により溶解させ、必要に応じて攪拌しつつ、濃度1〜60重量%程度の過酸化水素水を添加することにより行うことができる。チタン化合物またはドーパント化合物に反応させる過酸化水素の量については、特に制限はないが、通常、チタン化合物に対しては、1モルのチタン化合物につき0.8〜20モルの過酸化水素を、ドーパント化合物に対しても、1モルのドーパント化合物につき0.8〜20モルの過酸化水素を反応させればよい。ペルオキシ化反応の反応時間は、通常1秒〜60分、好ましくは5分〜20分程度である。なお、過酸化水素によるペルオキシ化反応は、通常、激しい発熱を伴うので、反応は冷却しながら(具体的には、内温を−10℃以下に保つようにして)行うことが望ましい。反応後、さらに、−10℃以下に冷却しつつ熟成保持してもよい。
前記過酸化水素によるペルオキシ化反応に用いることのできる溶媒としては、特に制限はないが、水系やアルコール系等の水溶性溶剤が好ましく用いられる。具体的には、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール等が挙げられる。
前記(A)チタン化合物は、チタン源としてTi原子を含むものであれば特に制限はなく、例えば、塩化チタン(二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタン等)、チタンアルコキシド(メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド等)、硫酸チタニル、金属チタン、水酸化チタン(オルトチタン酸)、オキシ硫酸チタン等を用いることができる。
前記(B)ドーパント化合物のうちニオブ化合物は、ニオブ源としてNb原子を含むものであれば特に制限はなく、例えば、塩化ニオブ、ニオブアルコキシド(メトキシド、エトキシド等)、金属ニオブ、水酸化ニオブ等を用いることができる。他方、前記(B)ドーパント化合物のうちタンタル化合物は、タンタル源としてTa原子を含むものであれば特に制限はなく、例えば、塩化タンタル、タンタルアルコキシド(メトキシド、エトキシド等)、金属タンタル、水酸化タンタル等を用いることができる。
なお、上記のうち、チタンアルコキシド、ニオブアルコキシド、タンタルアルコキシドは、水分と接触すると直ちに反応する不安定な物質なので、乾燥(低湿度)雰囲気で扱うことが好ましい。
前記前駆体液(I)または前記前駆体液(II)を得るに際しては、前記(A)チタン化合物および前記(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物として水酸化物を用いることが好ましい。具体的には、前記(A)として水酸化チタンを用い、前記(B)として水酸化ニオブまたは水酸化タンタルを用いるか、もしくは、これら水酸化物以外のチタン化合物およびドーパント化合物を用い、過酸化水素と反応させる前に予めアルカリあるいは水を加えるなどして水酸化し、生じた水酸化物の沈殿を分取、洗浄すればよい。このように、水酸化物を過酸化水素と反応させて得られたペルオキシ錯体であれば、炭素原子を含む有機部位が全く存在しないことになり、高温に加熱して有機部位を分解・揮散させる必要がないため、酸化物に変換する際の加熱温度を比較的低温に設定することができるので好ましい。例えば、水酸化物以外のチタン化合物およびドーパント化合物をそのまま用いて過酸化水素と反応させた場合には、得られたペルオキシ錯体の一部に有機部位が存在することになり、この有機部位を分解・揮散させるためには、少なくとも400℃以上、好ましくは500〜600℃程度の温度に加熱することが必要になる。
前記前駆体液(I)または前記前駆体液(II)の固形分濃度は、通常、10重量%以下とするのが好ましく、特に、前駆体液の保存安定性(ポットライフ)の観点からは、2重量%以下であるのがより好ましい。固形分濃度が10重量%を超えると、前駆体液の保存安定性が大幅に低下し、塗布時に粘度が上昇するので、均一に塗布することが困難になるおそれがある。
なお、ここでいう固形分濃度は、前駆体液を得る際に用いたチタン化合物およびドーパント化合物の合計重量が、前駆体液の全重量中に占める割合(重量%)を意味するものである。
前記前駆体液(I)または前駆体液(II)を透明基材上に塗布する際の塗布方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法等を採用することができる。なお、前駆体液の塗布は、所望の厚みになるように1回の塗布作業で行ってもよいし、複数回の塗布作業を重ねて行うようにしてもよい。
前記前駆体液(I)または前駆体液(II)を塗布した後に加熱する際の加熱温度や加熱時間は、ペルオキシ錯体(前駆体液)を酸化チタンもしくはドープ酸化チタンに変化させうる限り、特に制限されない。加熱温度の上限については、前駆体液の組成に応じて結晶化温度が異なるので、結晶化温度以下の範囲とするのがよい。より具体的には、500℃以下、好ましくは50〜400℃とするのがよい。また、加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜設定すればよいのであるが、通常1分〜1時間、好ましくは3分〜30分間程度である。なお、例えば第一の膜の形成で塗布した前駆体液(I)または前駆体液(II)の固形分濃度が低い場合などには、前記加熱に先立ち、風乾(自然乾燥)もしくは真空乾燥や減圧乾燥等の手段によって溶媒を均一に揮散させてもよく、これにより、均一な膜を形成しやすくなる。
前記第一の膜の膜厚は、特に制限されないが、例えば、第一の膜の膜厚が小さすぎると、アニール処理において種晶として作用する結晶核を充分に存在させることができず、上述した結晶化促進効果が得られなくなるおそれがあり、一方、第一の膜の膜厚が大きすぎると、透明性が低下するおそれがあるので、ドライ膜厚で、通常、3nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上であり、50nm以下、好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の範囲であるのがよい。
なお、本発明の透明導電性基板の製造方法において用いることのできる透明基材としては、熱が付加される各工程(例えば第一および第二の膜形成時の加熱や、後述する焼成およびアニール処理など)における加熱温度で形状を維持しうるものであり、かつ透明性を有するものであれば、特に制限はない。例えば、各種ガラス等の無機材料、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリイミドなどのプラスチック類)等の高分子材料などで形成された板状物、シート状物、フィルム状物等を用いることができる。透明基材の可視光透過率は、通常、90%以上、好ましくは95%以上であるのがよい。
前記第一の膜の上に形成する第二の膜は、第一の膜を構成するドープ酸化チタンまたは酸化チタンのドーパント含有比率よりも高い含有比率で前記ドーパントがドープされたドープ酸化チタンのアモルファスからなることが重要である。これにより、第一の膜はより低温で先にアナターゼ結晶相に変化し始め、これが種晶として結晶核の働きをなし、その上に形成された第二の膜の結晶化が促進される。
なお、本発明において、ドーパント含有比率とは、ドープ酸化チタンまたは酸化チタンを構成する全ての金属の総量に対して、ニオブまたはタンタルが占める比率を百分率で示したものである。通常、酸化チタン(ドープされていない酸化チタン)のドーパント含有比率は0モル%であり、ドープ酸化チタンのドーパント含有比率は、例えば上述した前駆体液(II)を用いて形成したドープ酸化チタンであれば、前駆体液(II)中の(A)チタン化合物もしくは該チタン化合物由来のペルオキシ錯体と(B)ドーパント化合物もしくは該ドーパント化合物由来のペルオキシ錯体との合計を100モルとしたときのドーパントのモル数が、ドーパント含有比率に相当する。
本発明においては、上述したように、前記第一の膜におけるドーパント含有比率が第二の膜におけるドーパント含有比率よりも小さい(換言すれば、第二の膜におけるドーパント含有比率が第一の膜におけるドーパント含有比率よりも高い)。ここで、2つのドーパント含有比率の差が小さすぎると、各アモルファス膜の結晶化温度に殆ど差が生じないことになり、上述した結晶化促進効果が期待できないおそれがあるが、逆に、2つのドーパント含有比率の差が大きすぎると、第一の膜と第二の膜とのマッチングの点で不利となる。すなわち、通常、ニオブまたはタンタルがドープされていないアナターゼ結晶相の酸化チタンの結晶形は正方晶であり、これにドープされるドーパントの量に応じて、a軸、b軸、c軸の格子定数が変化していくことになり、第一の膜と第二の膜との間でa軸、b軸、c軸の格子定数のずれが大きくなると、膜同士のマッチングが悪くなるのである。したがって、a軸、b軸、c軸の格子定数のずれを出来るだけ小さく抑えるうえでは、第一の膜と第二の膜とは近い組成であることが望ましい。これらを勘案すると、「(第二の膜におけるドーパント含有比率)−(第一の膜におけるドーパント含有比率)」の値は、通常、5〜25程度であるのがよい。
なお、上述したような膜同士のマッチングの観点では、第一の膜を構成する酸化チタンまたはドープ酸化チタンと、第二の膜を構成するドープ酸化チタンとは、組成が近いことが好ましいので、第一の膜がドープ酸化チタンで形成される場合には、両膜を形成する2つのドープ酸化チタンにおけるドーパントの種類等は、同じであることが好ましい。
前記第二の膜の形成は、塗布法で行うことが好ましい。前記第二の膜を塗布法で形成する場合、具体的には、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ドーパント化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液(以下、第二の膜の形成に用いるこの前駆体液を「前駆体液(III)」とする)を、前記第一の膜の上に塗布して加熱する方法が好ましく挙げられる。
前記前駆体液(III)は、その組成(すなわち、(A)チタン化合物もしくは該チタン化合物由来のペルオキシ錯体と、(B)ドーパント化合物もしくは該ドーパント化合物由来のペルオキシ錯体との混合割合)が異なる以外は、上述した前駆体液(II)と同様であり、第二の膜の形成については、第一の膜の形成について述べた上記の各説明を準用することができる。
前記前駆体液(III)の組成については、(A)チタン化合物もしくは該チタン化合物由来のペルオキシ錯体と、(B)ドーパント化合物もしくは該ドーパント化合物由来のペルオキシ錯体との混合割合を、該前駆体液(III)で形成しようとする第二の膜におけるドーパント含有比率が第一の膜におけるドーパント含有比率よりも高くなるように適宜設定すればよい。ただし、前記前駆体液(III)の組成は、上述したように、膜同士のマッチングの点では、第一の膜を形成する前記前駆体液(I)または前記前駆体液(II)の組成と近いことが好ましいので、そのドーパント含有比率は、第二の膜と第一の膜とのドーパント含有比率の差が前記範囲になるように設定することが好ましく、さらに、第一の膜がドーパントを含む前記前駆体液(II)で形成される場合には、両膜を形成する前駆体液には異なるドーパントが存在しないことが好ましい。なお、前駆体液(III)で形成されるドープ酸化チタンのドーパント含有比率は、通常0.1〜40モル%、好ましくは5〜30モル%の範囲で設定するのがよい。
前記前駆体液(III)を第一の膜の上に塗布して第二の膜を形成する際の塗布方法は、特に制限はなく、例えば、上述した第一の膜の形成する際の塗布方法と同様の方法を採用することができる。前駆体液の塗布は、所望の厚みになるように1回の塗布作業で行ってもよいし、複数回の塗布作業を重ねて行うようにしてもよい。
前記前駆体液(III)を塗布した後に加熱する際の加熱温度や加熱時間は、ペルオキシ錯体(前駆体液)を酸化チタンもしくはドープ酸化チタンに変化させうる限り、特に制限されない。具体的には、加熱温度は、前駆体液中のドーパント量に応じて適宜設定すればよいのであるが、加熱温度が高すぎると、安定した結晶相が析出し、アニール処理効果の発現が見られなくなるおそれがあるので、500℃以下、好ましくは50〜400℃とするのがよい。また、加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜設定すればよいのであるが、通常、1分〜1時間、好ましくは3分〜30分間程度である。なお、例えば第二の膜の形成で塗布した前駆体液(III)の固形分濃度が低い場合などには、前記加熱に先立ち、風乾(自然乾燥)もしくは真空乾燥や減圧乾燥等の手段によって溶媒を均一に揮散させてもよく、これにより、均一な膜を形成しやすくなる。
前記第二の膜の膜厚は、特に制限されないが、例えば、最終的に形成される積層膜、すなわち第一の膜および第二の膜の合計の膜厚(ドライ膜厚)が10nm〜300nmとなるようにすればよい。最終的に形成された積層膜の膜厚が前記範囲よりも小さいと、基材に凹凸が存在する場合などに部分的に塗布されにくい箇所や実際に塗布されていない箇所が生じるおそれがあり、一方、前記範囲よりも大きいと、透明性が低下するおそれがある。
かくして、第一の膜の上に第二の膜が積層された積層膜が形成されるが、本発明における積層膜の形成方法はこれに限定されるものではなく、例えば、透明基材上に前記前駆体液(I)または前駆体液(II)を塗布した後、加熱によりペルオキシ錯体(前駆体液)を酸化チタンもしくはドープ酸化チタンに変化させることなく、前駆体液(III)を塗布し、その後、加熱することにより各前駆体液を纏めて酸化チタンもしくはドープ酸化チタンに変化させるようにしてもよい。この場合、必要に応じて、前駆体液(I)または前駆体液(II)の塗布後に、風乾(自然乾燥)もしくは真空乾燥や減圧乾燥等の手段によって溶媒を均一に揮散させてもよい。
また、本発明の透明導電性基板の製造方法における前記積層膜は、前記第二の膜の上に、さらに、ニオブまたはタンタルがドープされたドープ酸化チタンのアモルファスからなる第三の膜、第四の膜、第五の膜、・・・を積層したものであってもよい。この場合、第二の膜の上に積層する各膜は、それぞれ、その下層の膜を構成するドープ酸化チタンのドーパント含有比率よりも高い含有比率で前記ドーパントがドープされたドープ酸化チタンのアモルファスからなる膜とするのが好ましい。これにより、アニール処理における温度上昇において、下層(透明基材に近い側の膜)から順にアナターゼ結晶相に変化し始め、これが種晶として結晶核の働きをなし、その上に形成されたドープ酸化チタンのアモルファス薄膜の結晶化を促進させることができる。
上述のように、第二の膜の上にさらなる膜を形成したものを積層膜とする場合、第二の膜の上に積層する各膜の膜厚は、特に制限されないが、最終的に形成される積層膜、すなわち第一の膜、第二の膜およびその上に積層される全ての膜の合計の膜厚(ドライ膜厚)が、10nm〜300nmの範囲になるようにすればよい。したがって、第二の膜の上にさらなる膜を形成したものを積層膜とすると、必然的に各膜の厚みは薄くなるので、アニール処理での結晶化が進行しやすくなり、結果として、積層された各膜は良好な結晶性を有することとなる。
第二の膜の上に積層する各膜の詳細については、前記ドーパント含有比率および膜厚を上述のように設定すること以外は、基本的に第二の膜と同様であればよく、例えば、前記前駆体液(III)における組成((A)チタン化合物もしくは該チタン化合物由来のペルオキシ錯体と、(B)ドーパント化合物もしくは該ドーパント化合物由来のペルオキシ錯体との混合割合)をドーパント含有比率に応じて変えた前駆体液を用いて形成することができる。ただし、この場合、各前駆体液の塗布ごとに、ペルオキシ錯体(前駆体液)を酸化チタンもしくはドープ酸化チタンに変化させるための加熱を行なうと、積層する膜が多くなる分だけ下層の膜に熱履歴が重なることになるので、上述したように、各前駆体を順次塗布した後、纏めて加熱することにより酸化チタンもしくはドープ酸化チタンに変化させるようにするか、もしくは各前駆体液の塗布ごとに加熱するのであれば、できるだけ低温で行なうことが望ましい。
本発明の透明導電性基板の製造方法においては、前記積層膜を形成した後に、還元雰囲気下にて加熱によるアニール処理を施す。これにより、積層膜を形成する酸化チタンもしくはNbまたはTaドープ酸化チタンは、アモルファス相からアナターゼ相に結晶転移するとともに、結晶相中に酸素欠損を生じ、導電性を向上させることができる。しかも、通常、酸素欠損を導入すると抵抗の高いルチル結晶相に変化しやすい傾向となるが、本発明においては、第二の膜を形成するドープ酸化チタン中にニオブまたはタンタルが含まれており、このニオブまたはタンタルが、酸素欠損を導入してもアナターゼ結晶相を安定化させる作用をなすため、高い導電性を発現しうる結晶状態を維持させることができる。
前記アニール処理の際の還元雰囲気には、特に制限はなく、例えば、窒素、一酸化炭素、アルゴンプラズマ、水素プラズマ、水素、真空、アンモニア、不活性ガス(アルゴン等)、あるいはこれらの混合ガスの雰囲気など、一般的な還元雰囲気であればよい。好ましくは、強還元雰囲気である水素雰囲気(水素ガス100%雰囲気)を採用するのがよい。
前記アニール処理における加熱温度は、基板上に形成されたニオブまたはタンタルをドープした酸化チタンのアモルファス結晶相が高い導電性を発現するアナターゼ型に変化しうる温度であればよく、ドーパントの含有比率などに応じて適宜設定すればよい。アナターゼ結晶相に変化させるために必要な温度は、酸化チタンへのニオブまたはタンタルのドープ量が多いほど高くなるのであり、アニール処理の加熱温度の下限は、通常450℃以上、好ましくは500℃以上である。他方、加熱温度があまりに高いと、アナターゼ結晶相が抵抗の高いルチル結晶相に変化し始めて導電性が低下するとともに、膜の透明性も低下する傾向があるので、アニール処理の加熱温度の上限は、通常700℃以下、好ましくは600℃以下、より好ましくは550℃以下の範囲で設定することが望ましい。ただし、ルチル結晶相に変化し始めるときの温度は、ドーパントの含有比率によって異なるのであり、ドーパントの含有比率が比較的高い場合には、アニール処理の際の加熱温度がある程度高くても、結晶相が変化して導電性が低下することはない。具体的には、前記第二の膜におけるドーパントの含有比率(前記第二の膜を形成するドープ酸化チタン中のニオブまたはタンタルの含有比率)が10モル%超である場合には、前記アニール処理の加熱温度が550℃超であっても、結晶相がルチル型に変化することはなく、良好な導電性が得られる。また、アニール処理の加熱温度の設定には、上記に加えて、使用する透明基材の耐熱温度も考慮される。例えば、無アルカリガラスを透明基材として用いる場合には、通常700℃以下、好ましくは600℃以下、より好ましくは550℃以下である。アニール処理時間(加熱時間)は、加熱温度等に応じて適宜設定すればよいのであるが、通常、1分〜1時間、好ましくは3分〜30分間程度である。
かくして、ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなる透明導電性膜が形成される。この透明導電性膜は、アナターゼ型結晶相を有し、周期律表のVA族に属する5価のNbまたはTaドープ酸化チタンの多結晶体からなる薄膜であり、良好な透明性を備えると同時に、高い導電性を発現するものである。
本発明の透明導電性基板は、以上のような本発明の透明導電性基板の製造方法によって得られたものである。本発明の透明導電性基板の透過率は、可視光領域で、通常70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上であり、赤外領域で、通常70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。また、本発明の透明導電性基板の比抵抗は、通常9×10-3Ω・cm以下、好ましくは8×10-3Ω・cm以下である。なお、これらの透過率および比抵抗は、例えば実施例で後述する方法によって測定することができる。
本発明の透明導電性基板は、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ、LED(発光素子)、有機ELディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイ電極、太陽電池の電極、窓ガラスの熱線反射膜、帯電防止膜等の用途に好適に用いられる。さらに、本発明の製造方法により得られた透明導電性基板は、屈折率が高いという特長を活かして、反射防止機能を有した帯電防止膜としても有効である。
なお、上述した本発明の製造方法では、透明基材の上に直接第一の膜を形成しているが、例えば液晶ディスプレイのようなデバイス等の透明電極用途においては、透明基材の上に着色膜(カラーフィルター)等の中間膜を介在させ、それらの上に前記第一の膜を形成するようにしてもよく、このように透明基材と第一の膜との間に中間膜を介在させた態様も本発明の範囲に包含される。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
なお、透明導電性基板の物性は以下の方法で測定した。
<比抵抗> 比抵抗は、抵抗率計(三菱化学(株)製「LORESTA−GP,MCP−T610」)を用いて、四端子四探針法により測定した。詳しくは、サンプルに4本の針状の電極を直線上に置き、外側の二探針間に一定の電流を流し、内側の二探針間に一定の電流を流し、内側の二探針間に生じる電位差を測定し、抵抗を求めた。
<透過率> 透過率は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて、190nm〜2700nmの範囲で測定した。
<結晶性> X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用いて、薄膜測定用のアタッチメントを使用して結晶性を評価した。
<結晶構造> エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(TEM−EDX)を用いてチタンへのニオブまたはタンタルのドープ状態を調べるとともに、電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて結晶構造を調べた。
なお、以下の実施例および比較例において、チタンペルオキシ錯体とニオブペルオキシ錯体とを混合して前駆体液を得るに際しては、特に断りのない限り脱水エタノールを用いて、所望の固形分濃度となるように調整した。
(実施例1)
まず、アルゴンガス雰囲気中でチタンテトライソプロポキシド4.0gを脱水エタノール28.5g中に溶解させ、得られた溶液に濃度30重量%の過酸化水素水8.0gを攪拌下で徐々に添加し、添加終了後、5分間攪拌して、ペルオキシ化反応させた。なお、反応は、溶液を入れたフラスコの周囲をドライアイスで冷却しながら行い、過酸化水素水の添加によって発熱した際に溶液の内温が−10℃を超えないように制御した。このようにして得られた反応生成物をチタンペルオキシ錯体(a1)とした。
他方、アルゴンガス雰囲気中でニオブペンタエトキシド1.5gを脱水エタノール19.2g中に溶解させ、得られた溶液に濃度30重量%の過酸化水素水1.6gを攪拌下で徐々に添加し、添加終了後、5分間攪拌して、ペルオキシ化反応させた。なお、反応は、上記と同様に、溶液を入れたフラスコの周囲をドライアイスで冷却しながら行い、過酸化水素水の添加によって発熱した際に溶液の内温が−10℃を超えないように制御した。このようにして得られた反応生成物をニオブペルオキシ錯体(b1)とした。
上記チタンペルオキシ錯体(a1)を、透明基材(無アルカリガラス「コーニング社製1737」、厚さ0.7mm)上に、ドライ膜厚20nmとなるように、スピンコーターにて1回塗布し、風乾(自然乾燥)した後、空気中にて100℃で10分間加熱して、酸化チタンのアモルファス(該アモルファス中のニオブおよびタンタルの含有比率は0モル%)からなる第一の膜を形成した。
次に、上記チタンペルオキシ錯体(a1)と、上記ニオブペルオキシ錯体(b1)とを、チタン:ニオブ=85:15(モル比)となるような割合で混合し、固形分濃度7重量%の前駆体液とした。この前駆体液を、上記第一の膜の上に、ドライ膜厚100nmとなるように、スピンコーターにて1回塗布し、300℃で10分間加熱して、ニオブドープ酸化チタンのアモルファス(該アモルファス中のニオブ含有比率は15モル%)からなる第二の膜を形成した。
その後、水素100%の還元雰囲気下にて420℃で60分間アニール処理を施して、透明導電性基板を得た。この透明導電性基板における導電性膜の結晶相をX線回折により調べたところ、図1に示すように、高結晶性のアナターゼ型であった。また、その結晶構造を、TEM−EDXおよびFE−SEMにより観察したところ、Nbがドープされた酸化チタンの多結晶体であった。
得られた透明導電性基板の比抵抗は3.3×10-3Ω・cmであり、透過率は、可視領域で約80%、赤外領域で約80%であった。
(比較例1)
実施例1において、第一の膜を形成することなく、透明基材上に直接、第二の膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、透明導電性基板を得た。
すなわち、実施例1と同様にして得たチタンペルオキシ錯体(a1)と、実施例1と同様にして得たニオブペルオキシ錯体(b1)とを、チタン:ニオブ=85:15(モル比)となるような割合で混合し、固形分濃度7重量%の前駆体液とした。この前駆体液を、透明基材(無アルカリガラス「コーニング社製1737」、厚さ0.7mm)上に、ドライ膜厚100nmとなるように、スピンコーターにて1回塗布し、300℃で10分間加熱して、ニオブドープ酸化チタンのアモルファス(該アモルファス中のニオブ含有比率は15モル%)からなる膜を形成した。
その後、水素100%の還元雰囲気下にて420℃で60分間アニール処理を施して、透明導電性基板を得た。この透明導電性基板における導電性膜の結晶相をX線回折により調べたところ、図2に示すように、アナターゼ型であったが結晶性は低かった。
得られた透明導電性基板の比抵抗は5.4×10-2Ω・cmであり、透過率は、可視領域で約80%、赤外領域で約80%であった。

Claims (7)

  1. ドーパントとしてニオブまたはタンタルがドープされたドープ酸化チタンのアモルファスまたは酸化チタンのアモルファスからなる第一の膜の上に、該第一の膜を構成するドープ酸化チタンまたは酸化チタンのドーパント含有比率よりも高い含有比率で前記ドーパントがドープされたドープ酸化チタンのアモルファスからなる第二の膜が積層されてなる積層膜を、透明基材上に形成した後に、還元雰囲気下にて加熱によるアニール処理を施して、ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなる透明導電性膜を形成する、ことを特徴とする比抵抗が9×10-3Ω・cm以下の透明導電性基板の製造方法。
  2. 前記積層膜は、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物を含む前駆体液、または(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を塗布して加熱することにより形成する、請求項1記載の透明導電性基板の製造方法。
  3. 前記(A)チタン化合物および前記(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物として水酸化物を用いる、請求項2記載の透明導電性基板の製造方法。
  4. 還元雰囲気下におけるアニール処理の加熱温度が450〜550℃である、請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性基板の製造方法。
  5. 還元雰囲気下におけるアニール処理の加熱温度が550℃超であり、前記第二の膜を構成するドープ酸化チタンのニオブまたはタンタルの含有比率が10モル%超である、請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性基板の製造方法。
  6. アナターゼ型結晶相を有する透明導電性膜を形成する、請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性基板の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の方法によって得られた透明導電性基板。
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JP2017196595A (ja) * 2016-04-28 2017-11-02 サスティナブル・テクノロジー株式会社 基体の表面保護膜及び基体の表面保護膜の造膜方法

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